国内景気も、だいぶ良くなってきました。
しかし一方で、景気改善には、長時間労働で対応しているのが現実のようです。
2015年3月23日の日本経済新聞に「なぜ減らない、長時間労働 昨年、正社員の残業最長に 長く働けば昇進? 意識改革進まず」という記事が掲載されています。
—(以下、引用)—
日本人の長時間労働が減らない。2014年のデータを見ると残業時間は年173時間で前年より7時間、20年前より36時間増え、統計をさかのぼれる1993年以来、最長になった。
—(以上、引用)—
記事では、長時間労働の理由の一つに、終身雇用を挙げ、受注の増減で社員を増減する米国企業と異なり、「今いる社員の労働時間を増やしたり減らしたりして対応するのが一般的」な日本企業の考え方を挙げています。
確かに労働流動性の問題は根深いですね。
試しに、記事中にあった1994年から2014年までの年間残業時間と、景気との関連性を見るために、日銀短観と重ねてみました。
結果はこの通り。
山と谷が見事なほど重なっていて、「景気が良くなれば、残業時間を増やして対応する」という仮説を裏付ける結果となっています。
また、「働く時間が長い人を評価する企業風土」も挙げています。
—(以下、引用)—
山本勲・慶大教授の調査によると、長く働く人ほど、出世する傾向があった。課長の手前の大卒社員を継続調査したところ、週の労働時間が10時間延びるごとに、翌年に課長に昇進する確率が3%上がるという結果が出た。
—(以上、引用)—
「より短い時間で、高い生産性を」と提唱してまいりましたが、道のりはまだまだ遠く、「景気改善→残業増で対応」「景気悪化→仕事量減量で対応」という考え方を改める必要がありそうです。
記事では、「朝残業」を取り入れて効率性を高めて、残業を減らした伊藤忠の例も紹介しています。
また先日のブログで紹介したように、残業しない方が時間単位給与が上がる仕組みを取り入れたSCSKのような事例も出てきています。
まだ統計の数字には出ないレベルで、ゆっくりとではありますが、日本企業も変わっていこうとしているのではないかと思います。