今や「時間」は、第5の経営資源。
しかし現実には、多くの企業でその貴重な資源は管理されていません。
無駄な会議がいかに多いことか。
ハーバードビジネスレビュー2015年2月号で、「組織の時間も予算管理せよ」という論文が掲載されています。
ここで掲載されているある企業の事例は驚くべきものです。
この企業では上級経営陣が週1回の事業全体の業績レビューを行っています。
会議自体に要する時間…7,000人時/年
会議準備で各ビジネスユニットの会議に要する時間…20,000人時/年
事前に情報を集めクロスチェックする会議時間…63,000人時/年
その準備会議の時間…210,000人時/年
つまり週1回の上級経営陣の会議のために、300,000人時/年を費やしていました。(データ収集や関連作業時間は含んでいません)
仮に一人当たり平均年収500万円(年間実働1800時間)として人件費を計算すると、年間8億3300万円かかっていることになります。実際には幹部が関わっているので人件費はもっと大きくなりますね。
本論文では、「時間管理に関する規律を強化することで、企業全体の持ち時間のうち、少なくとも20%を解放できる可能性がある」として、8つの方法を紹介しています。
そのうち2つを紹介します。
□ 明確かつ的を絞ったアジェンダを作る。たとえばジョブスは今後1年でアップルが最優先すべき事項を10項目挙げさせ、そのリストから下位7項目を削除し「我々が実行できるのは3つだけだ」と宣言した。
□ 全組織的な時間管理の規律を構築する。開始時間を厳守、事前準備の徹底、明確な目的の設定を徹底する。ジョブスは出席者の準備が不十分だと会議を一方的にキャンセルすることで、期待する成果が出そうもない会議に時間と金を無駄にするのを防いだ。
この2つを徹底するだけでも、かなり企業内の無駄な時間は削減できるはず。
ほとんどの企業が「時間」という資源を管理していないということは、そこにコスト削減のための膨大なチャンスが眠っていると言うことでもあります。
多くの企業が残業削減に取り組んでいるのも、単に残業代削減だけではなく、企業として「時間」という経営資源を効率化するためです。
改めて「時間」という視点で無駄を見直してみたいものです。