商品企画会議でヒット商品を生み出す3つのヒント+1


商品企画会議

 

「商品企画会議、ウチもやっています。みんなで知恵を出し合っているのですが、なかなかヒット商品が生まれません。どうすればいいのでしょう?」

先週出演した文化放送「オトナカレッジ」で、「ヒット商品を生み出すヒントは、社員やお客さん一人一人の頭の中に散りばめられている。これらを集めることが大切」とお話しした後、こんなご質問をいただきました。

 

私もまったく同じ経験をしてきました。

参加者は誰もが力があるのに、なかなかいいアイデアが出てこない。
議論も深まらない。

しかしある時から、企画会議の生産性が急に高まるようになりました。それは次の3点を意識するようになってからです。

【その1:簡単な叩き台を作る】

「議論が発散するだけだった」という経験をされた方は多いのではないでしょうか?簡単な議論の「叩き台」を用意することで、これを防ぐことができます。できれば叩き台には、(1)現状の事実、(2)課題、(3)解決策をまとめておきたいところです。これを用意すれば、それぞれについて意見を言えるようになり、いいアイデアが生まれます。

必ずしも時間をかけて完璧な叩き台を作る必要はありません。むしろ方向性を誘導しつつ、適度に突っ込める「緩さ」があった方が議論が活性化します。

 

【その2:アイデアを肯定する】

企画会議でよいアイデアを殺すのは簡単です。アイデアが出た瞬間「それはダメだ」と言うことです。参加者は萎縮し、次第に誰もアイデアを出さなくなります。

たとえ荒唐無稽なアイデアでも、まず「いいですね!」と言うように習慣づけてはいかがでしょうか?そしてそのアイデアを否定せずに尊重した上で、そのアイデアをよりよくするためにどうすればよいのかを話し合うと、意外な方向でアイデアが育っていきます。

 

【その3:顧客視点を入れる】

商品企画会議でありがちなのは、技術重視で顧客不在のまま突っ走ってしまうこと。強みの源泉となる技術は大切ですが、顧客にとって価値がなければヒット商品になりません。「これはどんな顧客が考えられるだろうか?」「その顧客は何で困っていて、これはどのように課題を解決できるだろうか?」という顧客視点で議論するように習慣づけたいところです。

 

もう一つ、重要な点があります。一回の企画会議だけで終わらせず、プロジェクトとして継続することです。

経営学者の入山章栄先生は近著「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」で、「ブレインストーミングのアイデア出しは、実は効率が悪い」ということを、最近の研究を引用しながら紹介しておられます。

個人で分担してアイデアを出すのと比較すると、実は複数人でのアイデア出しは「他人への気兼ね」と「集団で話す際、他人の話を聞いている時に思考が中断する」ことで、生産性はむしろ低くなるという研究結果があります。

つまり「その場でアイデアを出す」という観点だけで見ると、実は効率が悪いのです。

ではブレインストーミングは意味がないかというと、そうではありません。多くのクリエイティブと呼ばれている組織は、ブレインストーミングを重視しています。

ブレインストーミングは、誰が何を知っているのかを知り、さらにブレインストーミング後も継続して意見交換し、非公式な場でアイデアを生み出す効果があるのです。つまり、組織全体で学習能力を高めるのですね。

確かに私自身も振り返ってみると、高い生産性を生み出してきたのは単発の商品会議ではなく、「プロジェクト」として継続して定期的に行う商品企画会議でした。

 

あくまで感覚的なものですが、よい企画会議は、5人いればアイデアが5倍になるのではなく、アイデアがアイデアを生み出す相乗効果で増幅され、アイデアが数十倍・数百倍にもなります。

しかし一回限りの会議でアイデアが生まれることはむしろ稀です。継続することが必要です。

 

たとえ最初の商品企画会議でアイデアが出なくても、一回だけで終わらせず、定期的に継続していきたいですね。