米国にあるインディアン・ジュエリーの土産店でのお話しです。
この土産店では、インディアンのアクセサリーであるターコイズ(トルコ石)を売っていました。
来店客は多かったのですが、ターコイズは値段の割に高品質にも関わらず売れませんでした。
陳列を変えたり、店員に勧めさせたりしても効果なし。
頭に来た店主は(損していいから、全品処分しよう)と考え、「全部価格を1/2にして!」という殴り書きを売り場主任に残し、買い付けに出張。数日後、店に戻ると商品は売り切れていました。
しかし確認してみたら、売上がものすごく多いのです。
実は主任はメモの殴り書きを「1/2」でなく「2」と読み違え、倍の価格で売っていたのです。
これは社会心理学者ロバート・チャルディーニが、著書「影響力の武器」で紹介している逸話です。
何が起こったのでしょうか?
来店する観光客はみな裕福です。でもターコイズの知識はほとんどありません。よく知らないターコイズを買う場合は、「高い宝石は、高い品質」「安い宝石は、低い品質」という常識に基づいて考え、「これは安いから買うのを止めよう」と判断していたのです。
そして価格を2倍にした途端、「このターコイズは高品質なのだろう」と判断するようになり、売り切れたのです。
私たち日本人は、これまで「良い物を安く提供しよう」と考え、あまり価格戦略のことは考えてきませんでした。
しかし価格戦略はビジネス戦略そのもの。
行動経済学など、価格戦略で活用できる考え方も出てきています。
あらためて価格戦略について理解していくことが必要なのです。
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