史上最高の発明家といえば、エジソンでしょう。1000を超える特許の中には電話・白熱電球・蓄音機・映写機など世界を変えた発明もあります。しかし一方でエジソンの発明の中には、フルーツ保存技術、おしゃべり人形、電子ペンなど世に知られていない発明も実に多いのです。
現代でエジソンに比肩するのは、ジョブスでしょうか。Mac、iPod、iPhone、iPadなどで世の中を大きく変えましたが、ジョブスはGIZMODEが「スティーブジョブス失敗集」という記事で取り上げたように失敗作も実に多いのです。
エジソンやジョブスのような天才といえども、現実には悪いアイデアのオンパレードなのです。
実際に調査すると、ある分野の天才的創作者は他の人よりも必ずしも創作の質が優れているわけではありません。大量に制作しているだけなのです。
天才と称されるモーツァルトは600曲、ベートベンは650曲、バッハは1000曲以上作曲しています。ピカソは絵画1800点・彫刻1200点・陶芸2800点、デッサン12000点を制作しました。シェイクスピアは20年間で37の戯曲と154の短編詩を書きました。
これら膨大な作品の中で、傑作として世に知られているのはごく一部。彼らの多くの作品は、知られていません。
組織心理学者のアダム・グラントは著書『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』の中で、「いいアイデアを生む唯一の方法は、大量生産すること。ともかく沢山作り、大量に失敗することだ」と述べています。
理由は天才といえども自分で作ったモノを正しく評価できないからです。これが「確証バイアス」。作っている本人は、自分が作っているモノの長所ばかりが目に付き、欠点を過小評価してしまうのです。
かく言う私もそうです。おかげさまで拙著は多くの方に読んでいただいていますが、残念ながら私はあまり売れなかった本もたくさん書いています。でも書いている最中はどの本も例外なく、編集者と一緒に「これは、今までで最高の本になる!」といいながら書いています。やはり当事者になると、確証バイアスの罠からは逃れられないのですね。
この確証バイアスの罠から逃れる方法が、沢山作ることなのです。その結果、天才的な創作者は傑作も多いのですが、それ以上に駄作も多くなります。
日々仕事をするビジネスパーソンも同じです。仕事でより多くの挑戦をすれば、失敗の数も増えます。しかし同時に成功の数も増えていきます。
まずは打席に立つこと。そしてバットを振ることです。
バットを振ると必ず空振りの可能性があります。
しかしバットを振らないと、ヒットは出ません。
日々、より多く打席に立ち、より多くバットを振りましょう。
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