商品開発では、お客様に問うな。自分に問え


商品開発をする時、多くの人は「まず市場調査だ」とか「顧客に聞いて情報を集めよう」と考えます。しかしこのやり方は上手くいかないことが多いのです。

成功する商品開発では、お客様に質問しません。

ジョブズは顧客に聞いたり、市場調査しなかったことで有名です。彼自身が最も厳しいアップル商品のユーザーだったからです。自分が欲しい商品を作り続けました。

ソニーの盛田昭夫さんは、ウォークマン発売10周年のビデオでこう語っています。

『「カセットプレイヤーを持ち歩いて音楽を聴きたい。録音機能を外し軽いヘッドホンを作ったら楽しめるのでは?」と井深さんが言うんですよね。周囲は「録音機能のないプレイヤーは売れたためしがない」といっていましたけど、考えてみたらカーステレオも録音できない。「それならば持ち歩くステレオも、プレイヤーだけでいい」と考えたんですよ』

盛田さんも、お客様に質問しませんでした。

家電でヒット商品を連発するバルミューダの寺尾玄社長も、お客様に質問しません。競合商品のことも考えません。自分で「どんな商品が求められているか」をひたすら考え抜いて商品を開発し、商品発表会ではその物語を語ります。

彼らは必ずしも百発百中ではありません。しかしヒット商品を生み出す打率はライバルを圧倒しています。

彼らがライバルと違うのは、お客様に問うのではなく、自分に問い続けている点です。

「お客様に問うのが正しい」と考える人は、「答えはお客様が持っている」と考えて、「どんな商品欲しいですか?」「どうすれば買いますか?」と問い続けています。しかし現実にはお客様は答えを持っていないことが多いのです。

「自分に問い続けるのが正しい」と考える人は、「答えは自分が持っている」と考え、「なんで自分はそう考えたのか?」「どうすればいいのか?」と自分の直観を掘り下げます。顧客の情報は、考えるための一つのきっかけであり、材料なのです。

しかしこの方法は、商品アイデアを生み出す段階でのみ有効です。
商品を世の中に出した後は、モードを反転させる必要があります。

常にお客様の声に耳を澄ませて、果てしない商品改良が始まります。ただしここでも、そのお客様が正しいお客様なのかを判断することが重要になります。すべてのお客様に対応しようとすると、個性を失った商品になり果ててしまうのです。だからあえてお客様を切り捨てる判断も必要になります。

あなたは商品開発で、自分に徹底的に問い続けていますか?

   

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