『成功の方程式:席数×回転数』が崩壊したモスバーガーの、次の一手


日経ビジネスオンラインでこのような記事が掲載されています。

「狙いは住宅地 モスバーガー、逆張りのキッチンカー戦略」

記事のポイントは、
・モスバーガーは新業態キッチンカーを営業開始(実証実験)
・初期投資1000万円。客単価は通常モスバーガー800-1200円に対して1000-1500円
・ハンバーガーの価格帯も430-710円と高い
・人員2名、メニュー5種類のみ。仕込みは母店(近隣路面店)
・住宅街のテイクアウトを狙う
・「店よりも高い。わざわざキッチンカーに客が集まるのか」という声も。

とのこと。以上が記事のサマリーです。

以下は、私の意見です。

これまで、飲食店では『勝利の方程式』がありました。

席数 × 回転率

より多くの席数で、より多くの回転数を稼げば、売上が最大化します。このため大きな店で営業時間を長く取り、売上最大化を図っていました。あの『俺のフレンチ』『俺のイタリアン』は、まさに『席数×回転率』の勝者です。

しかしコロナ禍で、お客さんは店に来なくなり、この『勝利の方程式」は破綻しています。今や『席数が多い店』は、大きな負債です。

悩ましいのは、この破綻しているのが一時的なモノなのか、恒久的なモノなのか、見極められないこと。恒久的なモノなのであれば、新たな『勝利の方程式』を編み出さなければなりません。

そこで必要なのは、小さな試行錯誤を繰り返して、新たな『勝利の方程式』を探り当てること。

このような状況を踏まえると、このキッチンカーは次のような戦略を考えているのではないかと思います。

❶従来店内にあったカウンター(=キッチンカー)を、お客さんがいる場所(住宅地)に移動し、食事を提供する機動力をアップすることで、中食需要を拡大させて取り込む
❷商店街で店を選ぶ消費者は価格を比較するが、住宅街の消費者は価格を比較する対象がない。そこで「住宅街の消費者は、価格では選ばない(だろう)」という仮説の下で、やや高めに価格設定する
❸加えて、従来のモスバーガー店舗は個人客が多かったが、住宅街では在宅ワークの会社員を含めたファミリーが対象になるので、高い顧客単価を想定する

記事では「逆張り」と書いていますが、これまで成功していた『成功の方程式』が逆回転していて現時点で機能していないわけで、「新たな成功の方程式確立を、仮説検証をせざるを得ない」という状況。むしろ『正攻法』とも言えるのではないかと思います。

コロナ禍で、これまでの『成功の方程式』が崩壊した業界は実に多いと思います。しかしこんな時こそ、新たな『成功の方程式」を見つければ、大きな飛躍のチャンスになり得ます。

御社では、どのような新たな『成功の方程式』を模索しておられますか?

 

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