コロナ禍で、多くの飲食店が休業を余儀なくされました。
これはビール会社にとっても大きな危機でした。
特にビール会社の広告部門は、広告宣伝に大金を投じています。
コロナ禍で、広告宣伝をどうすればいいのか?
ありがちな手が「とりあえず自粛する」です。
しかしハイネケンは大胆な手を打ちました。
その広告が、2024年6月6日の日本経済新聞の連載『【十選】世界を変えた公共広告(4)ハイネケン「Shutter Ads」』で紹介されています。
それまでハイネケンは、ビルボードなどの野外広告に750万ユーロ(約13億円)を使っていました。
これを見直し、欧州と南米で休業する5,000店を超えるバーのシャッターをメディアとして購入し、そこにこんなビールの広告を出稿したのです。
See this ad today, enjoy this bar tomorrow.
(今日はこの広告を見ておいて、明日はこのバーで楽しみましょう)
この広告で、コロナ禍でダメージを被ったバーに合計13億円がそのまま入るわけで、資金的に大きな支援になりました。さらにキャンペーンとしても大きな話題を提供しました。ちなみに競合のビール会社も競って同じ取り組みを始めました。こういう模倣は、困っているバーを助けるわけで、とてもいいですね。
ハイネケンのブランドパーパスは
私たちは、より良い世界の実現のために、真の一体感ある喜びを醸造します
We brew the Joy of True Togetherness to inspire a better world
です。
この広告は、まさにブランドパーパスを体現した施策です。
「危機の時ほど、何をすべきかを考えるには、自社のパーパスに立ち返るべき」ということを、この広告の事例は教えてくれると思います。
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