ますます不確実性が増す2025年、私たちはどうすべきでしょうか?
私は、経済学者ジョン・メイナード・ケインズが約100年前に提唱した「アニマルスピリット」が、再びそのカギを握ると思っています。
ケインズは、著書『雇用、利子、お金の一般理論』でこう語っています。
『たぶん、かなりたってからでないと結果の全貌がわからないようなことを積極的にやろうという人々の決断は、ほとんどがアニマルスピリットの結果でしかないのでしょう。(中略)アニマルスピリットが衰えて自然発生的な楽観論が崩れ、数学的な期待以外あてにできなくなると、事業は衰退して死にます』
アニマルスピリットとは、不確実な状況を恐れずに挑戦する精神のこと。
かつて日本企業はこのアニマルスピリットを体現し、戦後の復興期や高度経済成長期、世界市場へ果敢に挑戦を続けました。
しかりバブル崩壊後は「企業を守ること」が最優先になり、挑戦する精神は失われ、日本は「失われた30年」と呼ばれる苦難の時期を過ごしてきました。
しかし「失われた30年」で、アニマルスピリットを体現して成長を続けた企業もあります。
・ファーストリテイリングは、「Life Wear」という新たな価値感で、3兆円企業に成長
・キーエンスは、中小製造業の生産プロセスを革新する高付加価値な提案を続けて、平均給与は日本トップ
・ソニーは、低迷を克服し、エンタメとテクノロジーの融合で、再び世界をリード
・楽天は、携帯電話事業で苦戦しながら、ビジネスモデルを大胆に変革中
・さらにこの10年間、日本国内のスタートアップ環境が整備され、多くのスタートアップが育っています
「何が起こるかわからない」ことを私たちはネガティブに捉えがちですが、考えを変えてみると、決して悪いことではありません。想定外の良いことも起こりえからです。
想定外なことを良いことに変えるために必要なのが、不確実性な状況を楽しむアニマルスピリットです。
では、私たちは何から始めるべきでしょうか?
1,小さな挑戦を始めてみる
経営学者ジョン・コッターは、著書『企業変革力』で、「変革の8段階のプロセス」を提唱しています。コッターが提唱しているのも、小さなことでいいので、まず新しい行動で成果を出すことです。
2.失敗を許容する
新しいことほど失敗は付きものですが、実際にやってみて学べることも多いものです。「失敗は勉強代」と思って、挑戦することです
3.学びを継続する
新しいスキルや知識は、新たな挑戦を行う際に、大きな武器になります
私たちがアニマルスピリットを意識して、小さくても挑戦を始めることで、可能性は大きく広がっていくと思います。私自身も、アニマルスピリットをテーマにした新著を準備中です。
2025年が皆様にとって挑戦と成長の一年となることを心より願っています。
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