
デジタル全盛の時代において、手書きの価値が再評価されています。
確かに私はパソコンを使って仕事のほとんどをこなしていますが、一方で手書きノートも手放せません。
自分なりにパソコンと手書きノートは、使い分けてます。
基本的に、仕事はデフォルトでパソコンで行います。しかし会議のメモを取ったり、読んだ本の要点をまとめる作業は、大きめのノートに手書きメモでまとめてます。
会議のメモや本の要点をパソコンに打ち込んでいた時期もあったのですが、実際にやってみると…
【会議のメモの場合】
パソコンに話の内容を打ち込んでいると、会議の意思決定になかなか参加できません。タイプする作業に集中してしまって、議論内容を理解し、消化して、対応する方向に集中できないのですよね。そこで次第に、気がついた点を最低限メモして、会議の議論に集中するようになりました。
【本の要点をまとめる場合】
パソコンに打ち込んでいると、本の文章をそのまま打ち込みがちです。でもこれだと、後で見直して話の流れがなかなか掴みにくいのです。一方で手書きは書く作業に手間がかかるので、無意識に要点だけを簡潔に書きます。結果として、話の流れがノート上で見えるようになります。一昨年に刊行した「教養書100冊」は、そのようにして教養書の要点をまとめる作業をした上で、書き上げました。
…ということで、試行錯誤しているうちにこの方法に落ち着いたわけです。
実はこのやり方は、理にかなっているそうです。
東京大学大学院総合文化研究科で教授を務め、言語脳科学者でもある酒井邦嘉さんの著書「デジタル脳クライシス」によると
・手書きは、重要なことに絞って書き出す傾向がある。つまり耳や目からの入力情報を、一旦脳で処理し、抽象化し、簡略化した上で、自分が必要と思った情報を書き出している
・キーボードは、耳に入ってきた情報をそのまま書く。つまり上記で脳で行っていた処理→抽象化→簡略化という作業を省略しがちである。
つまり、
→手書きでは、頭の中で「要点を把握する」と言う処理が行われている。
→キーボードでは、こうした思考の過程を先送りしている。
…ということです。
デジタルツールは便利です。高速入力ができ、昔の情報を検索するのも簡単で高速です。私もできるだけ多くの情報をデジタル化して持っています。
一方で、思考ツールとして、手書きもまだまだ有効です。手書きをしているうちに、思わぬヒラメキを思い付くこともあります。
最近、文房具がブームだそうです。多くの人が知らず知らずの間に、こんな手書きの効能に気がついているからかもしれませんね。
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