近所のデパ地下の特設コーナーに、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」が出店していました。お店のメニューが8種類ほど冷凍食品で売られています。
早速購入し、その晩、家で食べてみて驚きました。「俺のフレンチ」で食べるのと全く同じクオリティなのです。
「でも特設コーナー、5月末まで。この後どうしよう? もしかしたらECサイトがあるかも…」
検索したら「俺のEC」というサイトがありました。しかもメニューは数十種類。
そこで考えました。「これって次世代店舗戦略そのものだ…」
最近、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)に特化したネット直販企業が様々な分野で台頭しています。
D2Cは問屋・小売店を通さないので、流通コストは最小限。消費者と直接繋がり、消費者も深く理解できます。一見万能。ただ致命的なジレンマがあります。
リアル顧客の接点がないので、体験を提供できません。体験の提供という点で、リアル店舗は圧倒的に優位です。
そこでD2C企業は、リアル店舗を展開し始めています。米国で男性用スーツを提供するD2C企業IndochinoのCEOは、こう言っています。
「街に出店するたびに、その地域の認知度や売上がオンラインだけの場合と比べて4倍に伸びた」
消費者認知が広がり、売上が伸びるのです。
私もデパ地下で「俺のフレンチ」体験をしなければ、「俺のEC」を検索しませんでした。リアル店舗で体験した結果、「ECで買おう」と考えたわけです。
「俺のEC」では「俺のサブスク」もあります。毎月、食パン15個(月額4,298円税込)、またはスープ8食(月額3,218円税込)を配送します。抜かりないですね。
当初、「俺の」はリアル店舗の客を高回転で入れ替え、薄利多売で高収益を狙う戦略が大当たりしました。
しかしコロナ禍で、店に人が来なくなりました。
そこで「一流シェフによる美味しい料理を、リーズナブル価格で楽しめる」という自社の強みを活かして、リアル店舗に依存しない戦略を進めているのでしょう。これを実現するには、冷凍食品でも味が劣化しない調理法の模索など、裏では様々な工夫をしているのではないかと思います。
そこで「一流シェフの美味しい料理を、リーズナブル価格で…」という強みを活かし、「…自宅で楽しめる」という新戦略を進めているのだと思います。
この戦略実現には、冷凍食品でも味が劣化しない調理法など、裏では様々な工夫をしていると想像します。
デパ地下の「俺の」体験で、色々と学ぶことができました。おかげで体重も少し増えてしまいました。
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