ビジネスでは、何か問題が起こったときに、その原因分析を行うことがよくある。
原因分析を行うにあたっては、必要不可欠なことがある。それは、論理的に考える、ということだ。
往々にして、ロジックやデータはなく、感情論で原因を議論するケースがあるが、これは全くの論外。
論理的思考は、簡単なパターンを覚えて、応用することで鍛えることができるスキルだ。
基本的な考え方を3つ紹介しよう。
1.まず論理的に考えるには、「主張」、「データ」、「ロジック」の3つのセットで考えることが必要だ。
「ある問題の原因は、Aだ」と主張する場合には、それを裏付けるデータと、そのデータと主張とを紐づけるためのロジックが求められる。
データだけでも足りないし、ロジックだけでも不十分だ。両方が揃って、初めて主張が成立する。
しかし、往々にして、データの裏付けがなかったり、データはあってもロジックが弱いまま主張を続けるケースが少なくない。
一例を挙げると、「商品が売れないのは、セールスが顧客をよく理解せず、個別のビジネス課題に応えていないからだ」という主張があったとする。
一見すると、いかにももっともらしい。しかしこの主張には、データもロジックもない。
もしかしたら、顧客はそもそも「セールスが顧客を理解すること」や「個別のビジネス課題に応えること」は重視しておらず、むしろ「価格が安いこと」や「買いやすさ」を重視しているかもしれない。
この主張を裏付けるためには、どうすればよいか?
例えば「データ」として、顧客アンケートを使う。(あるいは第三者の市場調査でもよい)
「購入の際に重視する項目」の上位に「私達を理解し、個別のビジネス課題に応えること」、「自社セールスへの不満」の上位に「当社のビジネス課題に応えていない」という結果があれば、それを提示する。
この「データ」に対して、「主張」を裏付ける「ロジック」を作り、組合わせる。
例えば、「顧客が商品を購入する際に重視する項目は『顧客を理解し、個別のビジネス課題に応えること』だ。しかしながら、顧客は、『当社のセールスはビジネス課題に応えていない』という不満を持っている」というロジックだ。
このようにすると、「商品が売れないのは、セールスが顧客をよく理解せず、個別のビジネス課題に応えていないからだ」という主張が成立する。
2.発生している問題の原因特定のためには、因果関係がどのように成立するかを考えるとよい。
因果関係は、原因と結果の関係である。
ある原因となる事象が起こると、ある結果が生まれる、その関係である。
例えば、「スイッチを入れる」という原因があって、「電灯が点く」という結果を生じる。しかし、電灯が点くことでスイッチは入らないので逆は成立しない。結果の前に必ず原因がある。これが因果関係だ。
一方で、どちらが原因でどちらが結果か分からないものもある。
例えば、「鶏」がいたから「卵」が存在するのか、それとも「卵」があるから「鶏」が存在するのか、どちらが先か明確ではない。
同様に、「売上が下がっているのは、モラルが下がっているからだ」という主張も、実は怪しい。「売上が下がった結果、モラルが下がっている」のかもしれない。つまり因果関係が必ずしも明確ではない。
3.「因果関係」に似たものに「相関関係」がある。両者は混同しやすいので注意が必要だ。
例えば、身長を横軸、体重を縦軸にとってグラフを作ってみると、身長が高いほど体重が重い、という相関が得られる筈だ。
ここで、原因特定にあたって注意すべき落とし穴がある。両者に相関があるからと言っても、必ずしも因果関係はないことだ。
例えば、体重が重い原因は、身長が高いからだ、というのは間違いだ。体重が重い原因は、運動不足、食事過多等が原因と考えられるし、人によって異なる。身長が高いことは原因にならない。
論理的思考のパターンを身につけることで、ビジネススキルは高まる。
そして、その考え方は意外と単純であり、仕事の中で応用していくことで確実に身につく。
是非、試していただきたい。
ところで、今まで、当ブログは「ですます」調で書いてきた。
しかし先日、けんじろうさんのパロディで「だ」「である」調で書いてみたら、結構いいテンポで書けた。
実は私は、ブログを下書きする際に「だ」「である」調で書いて、それを「ですます」調に書き直すという作業を行っていた。「だ」「である」調で書くと割り切ることで、そのまま投稿できる。
ということで、これから時々「だ」「である」調で書いてみたいと思う。