私達はこのように考え勝ちです。
・顧客満足は、企業にとって大切。
・これは疑いようもない真実
・顧客満足度を徹底的に高めれば、必ずビジネス成果に繋がる
たしかに、顧客満足は極めて大切です。
一方で、過当競争の業界で、顧客サポートに力を入れて顧客満足度業界#1を獲得したにも関わらず、それが売上に繋がらず、業績不振で身売りした企業もあります。
顧客満足は、精神論にとどまらず、構造的に考える必要があります。
顧客満足 = (事前)期待値 - 感じた価値
つまり、
・顧客満足は、顧客が感じた価値が事前期待値を上回った場合に生まれます
・感じた価値と事前期待値の差が大きいほど、顧客満足は大きくなります
そこで、顧客満足を高めるために必要なのは、
・顧客の期待値を把握し、
・その期待値に対して働きかけ、
・そして、その期待値を上回る価値を提供し続けることです
しかし往々にして次のようになりがちです
・顧客の期待値(=課題)を把握できない
・期待値が分からないので、働きかけられない
・断片的な顧客要望を、顧客の期待値と考えて、全てに対応しようとする
・あるいは事前に、提供できる価値以上の期待をさせてしまう
・顧客の期待値を満足させられず、あるいは価値が期待値を上回らず、顧客の満足を得られない
注意すべき点は、こちらに書きましたように、顧客自身が、自分にとっての価値(課題に対する解決策)を知らない場合があるということです。
拙著『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』では、顧客の個別要望全てに細かく対応しているA社が、なかなか顧客の言うことを聞かず価格も高いX社と競合した末に、負けてしまう場面を描きました。
これは、顧客が言うがままに対応し値引きなどの期待値を高める一方でそれ以上の価値を提供できないA社に対して、X社はユーザー目線で顧客の真の課題を把握しようと常に努力をし、顧客の期待値を圧倒的に上回る提案(=価値の創造)を行っていたからです。
単に顧客の言いなりになるのではなく、顧客が気づかない真の価値を創造し提供することこそ、顧客満足につながります。