低価格路線による減収減益を脱して、戦略的値引きで最高売上を達成した、マクドナルド


日経BPネットで、財部誠一さんが「原田マクドナルド、躍進の秘訣は低価格にあらず」という記事を書いておられます。

マクドナルドは、現在の原田社長が就任する前は、低価格路線で値引きをしていました。

以下、記事からの引用です。

—(以下、引用)—

原田が社長に就任した04年以前の7年間、日本マクドナルドは減収減益だったという。何度となく安売り攻勢で業績回復を狙ったが、それは客単価を下げるばかりで、売上アップにはなんの効果も発揮しなかったばかりか、社内全体のモラールダウン、接客レベルの低下へとつながり、客足は遠のくばかりであった。

—(以上、引用)—

値引きが売上をどんどん減らすバッドスパイラルに陥っていたということですね。

 

現在のマクドナルドは、2010年上期売上は過去最高。

8月も月間売上高が史上最高を記録。

躍進が続いています。

 

一方で、値引きは頻繁に行なっています。

記事によると、この値引きは単なる値引きではなく、周到に考えられた、戦略的な値引きです。

 

原田社長は、就任した2004年1月から1年かけて、マクドナルドのQSC(品質、サービス、清潔さ)を徹底的に向上させ、「いかにお客さんに気持ち良く食体験をしていただくか」を追究しました。

このQSC徹底で変身したマクドナルドを、新生マクドナルド未経験の顧客に体験していただくために、期間限定で大幅値引き商品を看板に客を集めている、ということです。

実際、価格700円のクォーターパウンダーセットが大ヒットしたように、客単価は向上し続けているそうです。

 

単なる値引きは企業の体力を疲弊させる麻薬的効果がありますが、周到に考えられた戦略的な値引きは固定客を増やし客単価も上げる効果があることが分かります。

マクドナルドの場合、そのカギは、QSCという顧客価値の徹底。

この事例からも、顧客価値が価格戦略の軸になっている、ということが分かります。