目の前の顧客からの要望を、全てと思ってしまう。
そして、目の前の顧客が言うあらゆることに、そのまま対応しようとする。
そういうことはありませんか?
実際には目の前の顧客以外にも、多くの顧客がいます。他の顧客は、さらに100件の別の要望があるかもしれません。長期的に、顧客全体の要望にどのような優先順位で対応するのかを考えていくことも必要です。
さらに目の前の顧客自身が、全ての自分自身の要望を理解しているとは限りません。気が付いていない要望もあるのです。(例えば、こんな例のように)
目の前の顧客からの要望を聞き届けることは、大切なことです。
しかし、目の前の顧客の言っていることだけに対応していれば安泰かというと、そうではありません。
顧客が言うことだけに対応していたら、恐らく、Appleの様々な革新的な製品は生まれていませんでした。素晴らしい製品ばかりですが、機能割切りの製品も多いからです。
日本でも、ウォークマンのような製品も生まれていなかったでしょう。屋外での音楽体験という新しい価値を提供した一方で、録音機能という顧客要望への対応を切り捨てています。
目の前の顧客が言うことを全てと考えて、顧客が言っていることだけに忠実に対応することを、欧米のマーケティングの世界では、customer myopia (カスタマー・マイオピア: 顧客近視眼)と言っているようです。
日本語で「カスタマー マイオピア」で検索してもほとんど見つかりませんが、英語で「customer myopia」で検索するといくつか見つかります。
実は現在、執筆中の新著は、この「カスタマー・マイオピア」からの脱却がテーマ。従来のマーケティングの本とは、かなり変わった趣きになる予定です。
秋には、書店に並ぶようにしたいと思っております。
IBM Connectに学ぶ「カスタマー・マイオピア」
先週、IBM Connect 2012が開催されました。 冒頭の基調講演では、いくつか面白いお話を聞くことができました。 まず、 「丸の内ブランドフォーラム 代表 片平 秀貴 氏」による講演 では、 色々自分たちのお仕事や振る舞いに役立つお話しがありました。 例えば、三井記念病院のドクターの話を引用され、 自分たちは(患者さんの)血管をつなぐのが仕事ではない 患者さん自身に治ってもらうようなパートナーになるのだ というような内容をおっしゃられていました。 これは、 IBM 永井さん執…