価値ある商品やサービスは、勇気を持ってあえて高価格をつけると、逆に真剣に検討される


店頭で、価格帯1万円程度の商品を検討していて、その中に考えてもいなかったが実は気になる機能を持った1万5千円とか2万円の高価格帯の商品があると、どのように反応するでしょうか?

恐らく最初から除外することはせずに、じっくり見るのではないでしょうか?

このことについて書かれた、『価格より「価値」に目を向けさせる方法』(マルコ・ベルティーニ、リュック・ワシュー)という論文が、Harvard Business Reviewの2010年7月号に掲載されています。

大学院生を使い、スーパーマーケットで二種類の商品(有機レタスとフェア・トレード・コーヒー)の価格についてどのように反応するか、実験をしてみた結果が紹介されています。

—(以下、引用)—

 事前テストから、彼ら彼女らがこれらの商品に支払ってもよいと考えている上乗せ分(プレミアム)は最大20%であることがわかっていた。しかし、80%上乗せしたところ、これら大学院生たちは、これらの商品について、事前テストの倍近い知識や情報を披露し、またぜひ買いたい、買うべきであるという意見が多数出された。

(中略)

 対照的に、彼ら彼女らが想定していた価格とほぼ同じ10%のプレミアムや、190%という法外なプレミアムを示したところ、事前テストと同じく、買うかどうかについて真剣に検討することはほとんどなかった。

—(以上、引用)—

論文では、『以上のことから、潜在顧客が購買を判断する際に、「この店で一番安いのはどれか」という、ありがちな(そして価値をないがしろにする)問いかけではなく、「このようなメリットが必要かどうか」を自問させ、ためらわずに支払う価格帯が必ず存在することがわかる。」としています。

 

私は講演をさせていただく際に、三つの理由(「①シェア2位以下の企業は価格競争では勝てない」「②値下げ販売すると、一時的に売れるが、価格に敏感な顧客しか集まらなくなる」「③値下げ販売すると、優良顧客は去っていく」)を挙げて、「価格勝負は麻薬である。企業の体力を失わせる」というお話しをしています。

実際、値下げが価値を台無しにする悪循環を引き起こすことは、多いのです。

価値がある商品やサービスの場合、勇気を持って、あえて高価格をつけてみることも必要です。

 

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