#ms50e 多くの市場調査レポートは過去を延長して未来を予測しており、常に賞味期限の問題を抱えている。市場調査を鵜呑みにせず自分で実際に確認、仮説検証をすべき


ある時期、私が担当したある市場は、当初多くの調査会社が「年二ケタ成長する高成長市場」と報告していました。

しかし、私が担当を始めた時期は、多くの顧客が採算性の観点で一斉にプロジェクト見直しを開始しており、セールス案件がほとんど消滅していました。

調査会社が調査を見直しして低成長率になったと発表したのは半年後。

私が担当を始めた時期は、奇しくも市場の転換点でした。

 

市場調査は、市場という地形を歩くための「地図」です。

この地図、過去データの集まりですが、変化が速くなった現代、この地形が頻繁に変わっているのです。

しかも、新しい建物(=競争相手)が建っていたり、山(=目標)がなくなっていたり、谷(=障害)ができたり、新しい海(=新市場)が生まれたり、という地殻変動レベルの変化が短い時間で起こっています。

一方で、市場調査レポートは、ある時点の「事実」を示しています。

だからこそ、私達は市場調査レポートで、市場を客観的に、かつ俯瞰的に把握し続け、変化が起こった場合はその理由を考えていく必要があるのです。

同時に市場調査による予測を鵜呑みにせずに、顧客の声で検証する等、必ず自分自身で確認することも必要です。

変化を先取りした対策を講じることで、市場で有利な立場に立つことができます。

さらに、自分自身で地殻変動を起こして地図を書き換えることも可能な時代です。

 

市場調査レポートは、受け身に見るのではなく、自分のシナリオを支える多くの情報源の一つとして、活用していきたいものです。