「オルタナティブ出版」を始めます(その2) なぜ電子出版でなく、紙の本なのか?


3月出版を目指して準備中の新著「バリュープロポジション戦略 50の作法 -顧客中心主義を徹底し、本当のご満足を提供するために-」は、当初、電子書籍で出す前提で、昨年2010年6月頃から執筆を開始しました。

しかし現時点では、電子書籍での出版は止めて、通常の本で出版することを考えています。

 

昨年2010年6月の時点では、「2010年末には、Kindleの日本語版が普及し、アマゾンやアップルが電子書籍を個人著作家にも用意するだろうから、その方法で出版しよう」と考えていました。

しかし、2010年末に、これは実現しませんでした。

電子書籍端末の普及も始まりましたが、昨年末に「まだまだ発展途上の電子書籍の課題」で書いたように、現在の電子書籍は、結果的に消費者の利便性を十分に考えているとは言えない状況です。

また、昨年11月に当ブログで書いた「電子書籍が儲からない6つの理由」で紹介したように、現時点の日本では、電子書籍は必ずしもペイするものではありません。

考えてみると、私自身、ここ半年間読んだ本は全て紙の本です。

恐らく、私は世の中の平均値よりも、デジタル生活の比率がかなり高い方の人間だと思いますが、私でも、電子書籍も購入したものの、ほとんど読んでいません

 

実際に本を読む読者のことを考えると、現時点の日本の状況では、電子書籍で出すよりも通常の紙の書籍で出す方が、確実に多くのユーザー数にリーチできます。

ガラケーやパソコンまでを勘定すると、日本における電子書籍を読める端末の普及率は非常に高いのですが、まだまだ一般の人たち(たとえば私の親戚)が電子書籍を読む状況にはなっていません。

そこで、今回は従来の紙の本で出版することにしました。

恐らく、数年間で急速に日本における電子書籍の状況も変わってくると思いますので、その時点で再度検討したいと思います。

 

今回、「オルタナティブ出版」という形で、私自身は著作権と版権を持った形で出版するのも、この部分の判断を自分で主体的に行いたい、というのが一つの理由です。

実は、「オルタナティブ出版」の形で出版した理由は、版権絡みで、もう一つあります。それはまた次回に。