孫さんは、戦いを略(はぶ)く意味を理解し、それを徹底的に実践されている


昨日ご紹介した孫さんのインタビュー番組を見ていて、気が付いたことがあります。

IT業界における多くの企業をとても肯定的に捉え、「自社と共存共栄である」とアピールし、対立軸を作らないように配慮している点です。

アップルは、当然ながら賞賛しています。
マイクロソフトも、「偉大な会社だ」
グーグルも、「素晴らしい才能を持った人たちがいる」
サムソンも、「技術もあるし、情熱もある」
その他のIT企業も、「我々はIT革命インフラ事業者として、皆さんがイノベーションの花を咲かせるのを手伝いたい」

競合する米国の携帯通信事業の上位2社に対してすらも、責めることはせずに、「彼らが悪いのではない。競争する環境にないから価格を下げない。だから競争する環境を作り、切磋琢磨する」

少なくとも公の場では、ライバルと名指しするのをできる限り避けている様子がわかります。

 

「戦略」と書いて、「戦いを略(はぶ)く」と書きます。

中国春秋時代の思想家である孫武も、兵法書「孫子」の謀攻篇で、

「百戦百勝は善の善なるものに非ず。

戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」

と述べています。

一方で、最近は減ってきましたが、米国のIT業界では自社の敵を明確に名指しして、「ライバルと比較して、当社は圧倒的にここが凄い。ライバルはこんなに悪い」と明言するケースが多かったように思います。

孫さんの発言は日本人からするととても自然なことに聞こえます。しかし米国スタイルのIT企業の発言に慣れた米国人から見ると、「大人の考え方」に見えるのかもしれません。

 
改めて昨日ご紹介したBloomberg TV番組を見て、孫さんは、「戦いを略(はぶ)く」という「戦略」の意味を、よく理解しておられるように思いました。

 

孫さんは、戦いを略(はぶ)く意味を理解し、それを徹底的に実践されている」への1件のフィードバック

  1. 一見突飛な設定だからこそ、細部のリアリティーは失わず、テーマをしっかり伝えたいという牧野氏。そんな本作の核心が凝縮されているのが、インパクトのあるタイトルとサブタイトルだ。実は劇中でも、サブタイトルが重要な働きをしている。

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