私達が顧客として店や会社のサービスを利用する際に、色々な問題が発生することがあります。
例えば、スーパーで買った野菜が一部腐っていたり。
パッケージの箱に入っているはずの商品が一部なかったり。
一昔前は、このようなことがあっても、店側はなかなか対応してくれませんでした。
証拠となる色々なモノを用意して、やっと返金や交換を認めてもらうことが多かったのではないでしょうか?
しかし最近は、不具合を申し出ると、その場で即座に返金や交換等の対応を行うことが、以前よりもかなり多くなってきているように感じます。
私の場合、昨年、ある大手サイトでハードディスクを購入しパソコンの古いハードディスクを換装しようとしたところ、どうしてもうまく換装できませんでした。ダメモトで交換を申し出たところ、即座に対応してもらえました。
当ブログで何回かご紹介している「ビューティフルカンパニー」(嶋口充輝著、ソフトバンククリエイティブ)に、その理由が書かれていました。
—(以下、p.134から引用)—
たとえばディズニーランドでは、お客様が「お金を払ったのにチケットが足りなかった」と申告した場合、決してその申し出を疑わない。アメリカのパブリックというスーパーでは、お客様が昨日買った食品がまずかったというと即座に返金するという。そうした例は多い。
なぜそんなことができるのか。それは、こうした行為、信頼は投資だからだ。投資には確かにリスクが付きまとう。しかし、この投資は株式投資のようにハイリスク・ハイリターンではない。これは、あくまでも時間差を前提としたローリスク・ハイリターンの投資行為なのだ。だから、これをコストと考えた途端に、関係性の構築は終わってしまう。
—(以上、引用)—
また、「顧客の信用を勝ちとる18の法則 アドボカシー・マーケティング」(山岡隆志著、日本経済新聞出版社)でも、下記のことが書かれています。
—(以下、p.16より引用)—
このようなシステムでは、顧客が企業を騙すリスクが懸念されるかもしれません。しかし、騙されるリスクより顧客を信用しないために顧客が離れるリスクの方が大きいと、長期的な展望を持つ企業は悟っています。目先の企業利益を考えていては、安定して大きな収益を望むことは難しいでしょう。
—-(以上、引用)—
確かに私の場合、その大手サイトが返品を受け付けた一件の後、商品をネットで買う場合は、返品できるかどうか分らない他通販サイトから買うよりも、少々高くても万が一の場合に確実な対応が期待できるその大手サイトから購入するようになりました。
顧客のLTV (Life Time Value)を考えると、返金・交換をほぼノーチェックで受け付ける行為に伴う費用は非常に安いものです。
まさに、「企業にとって、顧客との信頼関係構築は、確実な投資対象」ということですね。
http://twitter.com/takahisanagai
永井さん、あけましておめでとうございます。
これはまさに私が日頃感じていたことでした。リスクを最低にするということばかりに目がいくと、本質を見失うということの良い例だと思います。一方、頻繁に返品を繰り返すリスクの高い人もいると思いますので、そちらの対応は必要かと思います。
家電戦争で最近話題の池袋に行ったところ「価格比較サイトを見たらこの店でいくらで買ったと書いてあったからわざわざ来た。その値段にしてくれ」と交渉している人を見ました。実は自分も同じ行動を取ったのですが(笑)
永井さんのこちらのエントリを読み、もし価格比較サイトでクチコミ共有されていた価格で損が出ないならばその価格で売ってしまい、クチコミを拡大させて集客につなげるという投資を行う方法もあるな、と思いました。しかし損が出てしまうならば、和解する方法を見つけなくてはなりません。店員さんはそのお客さんに「ネットの書き込みなんて誰でもできるのだから信用しないでくれ」と対応し、お客さんは「わざわざ来たのにひどい!」と言って帰っていました。クチコミによる集客を活用するのはなかなかの困難を伴いそうです。
竹内さん、
コメントありがとうございます。
まったくご指摘の通り、頻繁に返品を繰り返すケースもありますので、補足で書いてみました。
山口さん、
ううむ、このケース、店側は大変ですよね。
価格勝負ではなく、価値で勝負できれば理想ですね。