私は勤務先の日本IBMでの役職は、「ICPマーケティング・マネージャー」というものです。
よく「これはどういう役職ですか?」と聞かれますし、IBMのロゴの周りをICPの正式名称である"IBM Certified Professional"という文字が円形に取り囲んでいるので、「IBMさん、ロゴ、変えたんですね」と言われたりします。
以前、こちらに書きましたように、ICPとはIBMのプロフェッショナル専門職の一つで、書類審査・試験・数回の面接等の審査があり、認定されると就任できます。
担当職種の能力やスキルの他、直近の業務の達成度合い、将来への考え方等が審査対象になります。
IBMでは、セールス・スペシャリストや、ITアーキテクト、ITスペシャリスト、コンサルタント等、様々な職種でICP制度があります。
私はマーケティング職の中の、マーケティング・マネージャーという職種でのICPです。
このICP、認定された後も、3年毎に再審査が行われます。
これは、結構な緊張感があります。
再審査の際、求められるレベルの仕事を行っていない、または能力がない、と判断されると、降格されます。
逆に、現職位で要求されているよりも高いアウトプットを出していると認められた場合は、昇格することもあります。
先日のエントリーで、イチローが「自分のやり方を貫く方法」として、
・自己評価が一番厳しいこと
・さらに結果を示すこと
・その上で、言葉で説明できること
・自分の可能性を拡げるには、自分で自分を教育していくしかない
と語っていましたが、まさにこの「結果を示すこと」「言葉で説明できること」が、仕組みの上で求められています。
私の場合、2004年末にICP認定だったので、昨年末に再審査を受けました。おかげさまで再認定されました。
この再認定の仕組みは、自分の仕事を高めていく上で、私にとって非常にいい動機付けになっています。
再認定されるためには、日々業務で行っている仕事のアウトプットが、ICPマーケティング・マネージャーとして、会社から求められているものに見合ったものになっているかを常に考え、成果を把握する必要があります。
その上で、それを誰にでも納得できるように説明できなければなりません。
まさに、イチローが言う「結果を示すこと」「言葉で説明できること」を日々考えることが必要になります。
そこで私は、数ヶ月単位の仕事を終えて結果が出た時点で、一つの仕事の内容を10ページ程度のパワーポイント資料で、いつでも他人に説明できるようにまとめるようにしています。具体的には、
■当初、どのような問題を解こうとしたのか?
■問題を解くにあたって、その時の状況はどうだったのか?
■その状況を、自分なりにどのように分析したのか?
■その分析に対して、どのような戦略・方針を考えたのか?
■その戦略・方針を実施するために、どのような対応策を講じたのか?
■その対応策は、予定通り実施できたか? (成果に関係なく、実行そのもの)
■その対応策は、当初期待していた成果を挙げられたか?
■この結果、当初の問題を解決できたか?
■解決できたとすれば、何がカギだったのか?
■解決できなかったとすれば、どこに問題があったのか?
■その反省を、次のステップでどのように活かすのか?
実際には、仕事を終えた時点で一斉に上記資料を作るのではなく、上記のそれぞれの段階で仕事を行いながら考えを順次まとめていき、次に進めていくようにしています。
組織としても、この資料でプロジェクト進捗状況が把握できるので、この資料をそのまま報告書として使用しています。場合によっては、フィードバックを受けてチューンアップします。
仕事が完了し、最後に結果をレビューした時点で、上記のストーリーが一通り出来上がっている、ということになります。
このように仕事をまとめておけば、この資料をそのまま組織の改善活動の資料としても活用可能です。
この仕組み、日々の業務に仮説検証プロセスを組み込んだものとも言えるかもしれません。
当然のことながら最初から全てがうまくいくことはありません。
ある程度進んだ段階で、前のステップを振り返ってみればこうだった…ということもあると思います。それでもよいのです。前のステップに戻ってその時に行うべきストーリーを作り直し、その経験を次に活かせばよいのです。
このプロセスを仕事に組み込むことで、仕事の質が上がっていきます。
以下は、私が尊敬している田坂広志さんの言葉です。
「人生では成功は約束されていないが、成長は約束されている」
このような仕組みを地道に繰り返して、自分なりに成長を図っていきたいと思います。
はじめまして。
最近読ませて頂いています。
「人生では成功は約束されていないが、成長は約束されている」
イイ言葉ありがとうございます。
KOさん、
ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。