よく、「10,000時間の経験を積むと、その道を究めることができ、第一人者になれる」と言われます。
しかしこのことを少し考えてみると、面白いことに気づきます。
フルタイムのビジネスパーソンは、年間2,000時間働いています。
10,000時間は5年間分。
確かに、その道一筋5年間以上の経験を持ち、第一人者となったビジネスパーソンでは多いと思います。
しかし、5年以上同じ仕事をしていても、第一人者になれない人も多いのもまた、現実です。
なぜでしょうか?
実は、この10,000時間の過ごし方がポイントです。
仮説を立てて、実際にやってみて、うまくいかなかった場合はなぜかを考え、再度やってみる。
そのような試行錯誤を繰り返す、集中した10,000時間であることが必要なのです。
例えば、大学院の博士課程は合計5年間です。
博士課程では、仮説検証による試行錯誤を集中して研究を繰り返し、オリジナリティのある博士論文を仕上げることで、第一人者になっていきます。
仕事でも同じように、自発的に仕事で仮説検証を繰り返しながら集中をした人が第一人者に育っていくのではないでしょうか?
一方で、言われたことを言われた通りに仕事をするのは、受け身の姿勢です。
たとえ10,000時間を費やしても、時間の濃さが薄まってしまいます。
田坂広志先生は、「成長し続けるための77の言葉」という本で、以下のように語っておられます。
….、世の中には、豊かな「経験」は積んでいるけれども、
あまり豊かな「智恵」を身につけていないと感じられる人物がいるからです。
(中略)
では、なぜ、こうした不思議なことが起こるのか。
せっかくの「豊かな経験」を「深い体験」にしていないからです。
すなわち、一つの「経験」をしたとき、その「経験」から学べる「智恵」を
しっかりと学ぶことによって、「経験」を「体験」に深めていないからです。
同じ10,000時間を費やすのであれば、有意義に費やしたいものです。
時間を味方につければ、時間がマジックを生んでくれるのですから。