『発生は時間の問題、『21世紀のペスト』』という記事を読みました。長文の書評ですが、非常に読みごたえがある記事です。
簡単にポイントを挙げます。
–(以下、引用)—
・鳥インフルエンザは、よく言われているように大流行の瀬戸際である
・しかし、「インフルエンザ」という名称でいまだに「風邪の一種」と誤解され、危機感が薄い。
・実態はペストと同等の危険性と思うべき。全身の組織がウイルスに取りつかれ、その細胞が破壊される。
・免疫への過剰反応で生体組織を攻撃する。(サイトカインストームという現象) 免疫が活発な子供や若年層ほど危険で死亡率も高い
・厚生労働省は3,200万人が罹患、死亡率2%、最大64万人死者と想定。しかしこれは、1918年に流行ったスペイン風邪の被害をベースに想定。スペイン風邪は弱毒性だった。現在まん延しつつあるのは強毒型で、現在の致死率はマレーシアで80% (感染者数127人中、死亡103人)。厚生労働省の対策は、大流行時にこれが弱毒化するという前提で確かに可能性はある。しかし確実ではない。
・オーストラリア・ロウイー研究所の推計では、死者は全世界1億4200万人、日本で210万人。第二次世界大戦での日本の被害(兵員約230万人+一般市民80万人)に匹敵。
・大流行になったら、なによりも「ウイルスと接触しないことが大切」 最大の防御は自宅に籠城すること。 過去の例では、一回の流行は2カ月前後続く。厚生労働省の指針2週間では足りない。
・厚生労働省の対策行動計画は見通しが甘い。
–(以上、引用)—
この書評で挙げられている本では、個人でできる具体的な対策が書かれています。
ちなみに、Wikipediaによると、
スペイン風邪
流行時期:1918-1919年
全世界での死者: 4,000-5,000万人 (当時の人口の5%程度)
日本での死者: 39万人 (当時の人口の1%弱)
ペスト
流行時期:14世紀
全世界での死者: 8,500万人
ヨーロッパでの死者: 2,000-3,000万人 (当時の人口の1/3~2/3)
となっています。
その1918年に大流行したスペイン風邪ですが、当時、これを実体験した方の談話がありました。
この方の場合は、家族は全員スペイン風邪にかかったものの幸い死ぬことはなかったようです。
ただ、周りの人が次々亡くなった様子や、
『そのうち、「うつる病気」であることが広まるにつれ、人々の行動が変化していった。「葬式に参加することはなくなった。患者が出た家には近づかないように、親にきつく言われた。」』
という部分、非常にリアルです。
戸板で患者が運ばれたり、黒いマスクを付けている画、怖いですが、ほんの90年前に日本で起こった出来事です。
世界がフラット化した現代、伝染力の強いインフルエンザは一瞬で世界中に拡がります。
一方で、大きな被害をもたらす疾病の大流行が事前に予想でき、世界中でこれだけ対策が議論されている、ということは、今までなかったのではないでしょうか?
不必要に騒ぐことは慎むべきは言うまでもありませんが、一方で、パニックは情報不足から起こります。
問題は、その情報を私達一人一人が正しく理解することだと思います。
「その時」にパニックを起こさず、大切な家族を守るためにも、出来るだけ正確な情報を事前に把握し、正しい行動を取れるように、今から準備しておきたいものです。
当ブログの関連リンク
■いつか来る鳥インフルエンザの世界的大流行のため、個人でできること
■風邪やインフルエンザの予防のために
■中国、鳥インフルエンザの人同士で感染を発表。私達も個人レベルで対策を。