「自分たちの会社をどうすればいいのかを人に聞くなど、もってのほかだ」…古森重隆著「魂の経営」


富士フィルムの経営変革を率いた古森重隆さんのご著書「魂の経営」で、古森さんは次のように書いておられます。

—(以下、引用)—

新規事業を決める議論は、基本的に社内だけで行った。その間部下たちには、「社外のコンサルタントなどの意見を信用しすぎるな。自分たちで考えろ」と言い続けてきた。もちろん、外部の専門家の意見に耳を傾けなければいけないこともある。しかし、専門家の意見は、あくまでも外部の意見として聞くべきである。自分たちの会社をどうすればいいのかを人に聞くなど、もってのほかだ。

—(以上、引用)—

自分が日頃から思っていたことを古森さんはズバリと書いており、「なるほど」と思いました。

企業では、言葉では伝えられない、自分たちしかわからないことは沢山あります。このため、社外の意見というのは、悪い面とよい面があります。

 

悪い面は、社外の正論が必ずしも解決策とは限らないこと。

社内の人しかわからない微妙なことは多いのです。

社外の人が正論で「こうするべき」と言っても、社内の様々な事情で実行できないことも多いのです。その場合、正論はそのまま解決策にはならないのです。しかしその状況がなかなか説明できないこともまた、多いのです。

 

では、社外の意見が意味がないか、というと、そういうことはありません。よい面もあります。

先の例で、「なぜ正論が解決策でないか」を突きつめていくと、これまで気がつかなかった新しい別の解決策が見つかることもあります。

それは、社内で常識と考えていた思い込みとはまったく違った視点が得られたからです。

社内全体がある価値観に染まっている場合、なかなか他の考え方に思いが及ばないことがあります。このような新しい発想を得ることで、ブレイクスルーのきっかけが得られます。

加えて、社内の人が言ってもなかなか説得できないことでも、社外の人が別の言い方で伝えると、説得力があるケースもあります。

 

私も「社外の専門家」としてお客様の仕事に参加する機会が増えてきました。常に新しいことを学んでお客様に提供する価値を高めつつ、お客様の状況に柔軟にあわせた問題解決が図れるように努めていきたいと思います。