ソニー製のテレビと、パナソニック製のテレビで、見ることが出来る番組が異なるということはありません。
また、サムソン製のケータイと、シャープ製のケータイで、電話できる相手が制限されるということもありません。
しかし、現在の電子書籍はそうなっていない、ということが、2010年12月12日の日本経済新聞の社説「1台の電子端末でどんな本も読みたい」で指摘されています。
—(以下、引用)—
端末を選ぶのは読者の自由だが、端末が違えば情報サービスも異なる。ソニーの端末で買った作品はシャープの端末では読めない。電子書籍は1台の端末に多くの情報を蓄積できるのが利点だが、雑誌と書籍を読むのに別の端末を買わなければならないのは本末転倒ともいえよう。
—(以上、引用)—
確かにこの視点で考えると、「ソニー製のテレビと、パナソニック製のテレビで、見ることが出来る番組が異なる」という状態です。
消費者の利便性が低いという点で、電子書籍は成熟しておらず、まだまだ発展途上ですね。
—(以下、引用)—
電子書籍が普及するためには、書店のように手軽にネットから買えるようにしなければならない。それには1台の端末でどんな本も読める仕組みづくりが必要である。
—(以上、引用)—
ここでも書かれているように、「どんな本でも読める」のが本来の姿です。
そのためには、様々な点で標準化が必要です。
一方で少数の特定ベンダーによる寡占化が進むリスクもあります。
寡占化は時として消費者の利益を損なう場合があることは、独占禁止法の存在からも分かります。
利便性と、寡占化リスクのバランスをいかに取るかが、今後の電子書籍普及のカギなのかもしれません。