一昨日の続きです。
田中陽著「セブン・イレブン 終わりなき革新」では、意外なことが書かれています。
セブン・イレブンは自動発注をしないのです。
その理由について、下記のように書かれています。
—(以下、p.199から引用)—-
コンピュータが自動的に発注数量を決めるのではなく、従業員自ら考え、売りたい数量を決めるのである。高度な情報システムで知られるセブン・イレブンなら、自動的に発注数量を決める仕組みくらいできそうなものだが、発注業務の自動化は絶対にしない。
なぜなら、単品管理を徹底するには発注時に一品一品を丁寧に見て、発注数量を決めることが大切だと考えるからである。こうした重要な発注業務は、パートやアルバイトが分担して行っている。
—(以上、引用)—
なぜ重要な発注業務をパートやアルバイトが行っているかというと、品目が2500種類とスーパーに比べて格段に少ない一方で、24時間営業のため欠品を防ぐにはパートやアルバイトが発注業務をしない限り店舗運営が不可能になるからです。
ここで「単品管理を徹底」とあります。この「単品管理」は鈴木会長自ら繰り返し徹底しているものです。
分かっているようで意外に知られていないこの単品管理、本書ではそれを物語る逸話が紹介されています。
ある店舗が飲料のスペースを3割増やし、代わりに酒のスペースを3割減らして、変更前後の販売動向を比較、結果は両方とも売上数量が伸びました。結果を数字で示した訳ですが、鈴木会長は全くこの報告を評価しませんでした。
—(以下、p.171-173から引用)—-
「単品管理の思想がまったくわかっていない」と切って捨てた。…鈴木にとってはただの売り場スペース変更に過ぎなかった。
鈴木によれば、セブン・イレブンの業務のうち最も重要なのが店舗での発注作業だという。消費者の嗜好の変化が激しい現在の消費環境では、「何が売れるのか」「何が売れそうなのか」を勘に頼ることなく客観的なデータを基に商品の販売動向を把握し、発注数量を決めることが大事だと考えている。
…単品管理では「どの商品を、どれだけ発注して、どのように売り場に並べるか」という仮説を立てることが必要だ。
…売れたら「なぜ売れたのか」を、売れなかったら「なぜ売れなかったのか」を、POSデータを参考に検証し、そこで得た情報を次の発注業務に生かしていく。この作業を毎日のように繰り返していくことで、売り場は磨かれていく。
…先の飲料と酒の売り場での実験は、一品一品の本当の販売実績をなんら考慮せず、売り場のスペースを変えるだけの小手先のものであり、単品管理の思想からかけ離れていた。
—(以上、引用)—
まさに「商品単位で何が売れるかを、人間が自分の頭を使って毎日考え続ける」ことが単品管理の真髄ということです。しかもこれをアルバイトやパートの方々が実践しています。
しかしこの一見難しそうな仮説検証思考、アルバイトやパートの方々が出来るのでしょうか?
本書ではその仕組みも紹介しています。
—(以下、p.199から引用)—-
発注は単純作業ではない。しかし、ストア・コンピュータやGOTを操作すれば、誰でも同じ情報を共有できる。情報を活用し販売予測の仮説を立てることで考える楽しさを知り、実際に仮説通りに商品が売れたときに検証することで、喜びを得ることがミソなのである。
….(店舗従業員は)コアな従業員を除きアルバイト学生などはほぼ一年で入れ替わるという。採用の度にいちいちマニュアルを読んで仕事をしてもらうのは事実上不可能である。そのため、POSレジ作業も含め一日あれば一人前の業務が出来るようなシステムが築かれている。
….素人が使えるシステム。それがセブン・イレブンの情報システム設計の思想に色濃く表れている。
—(以上、引用)—
本書を読むと、「お客様が何を求めているのか」を商品単位で考え続ける仕組みやプロセスを、セブン・イレブンは愚直に進化させていることが、改めてよく分かります。
まさに、全てはお客様の満足のためにあるのですね。
他のコンビニに比べると、セブンイレブンは発注が優れている印象がありますね。
近所のコンビニはよく弁当が切れているし、あっても不人気のものが少し残っているだけでほとんど選べなかったり・・・近所でイベントとかあると悲惨で、パンも売切れになることもあるし
確かセブンイレブンでは各店舗でイベント情報も入力するとか昔聞いたことあるので、そこはみらなって欲しいね。
(昔の記憶だと、各店舗にDBサーバーをおいてまで実現してたんだよね、今は違うと思うけど)