ほんの数年前、Web 2.0という言葉がまだなかった頃、プロモーションの一環で講演やセミナーを行う際、会場では資料を配らない、という方針の人が結構いました。
そんな人に理由を聞いてみると、「資料が欲しい人には、別途、直接会ってお話しして提案に繋げたい」
これは、当時はそれなりに有効だったように思います。
インターネットはそれなりに普及していましたが、ブログ等もなく、お客様も、リアルな場での情報収集に余念がありませんでした。
企業側の立場では、そこに来ていたお客様をいかに逃さないか、がカギでした。
さて現在、この流れが少し変わっているように思います。
ループスの斉藤さんはじめ、様々な方々が、ブログやネットで貴重な情報(それも、以前はリサーチ会社などから買うとかなりの料金になりそうなレポート)を惜しげもなく公開しておられます。
情報は減るものではなく共有することで価値が増える性質を持っています。
Web 2.0の様々な技術が、このような情報の流れをより円滑にしています。
だから、よい情報を出し続けると、もっと話しを聞きたいと思う人から問い合せが来ますし、出し続けることでブランディングにも繋がっていきます。
実際、以前、斉藤さんのお話しを伺ったところ、斉藤さんのブログをご覧になってファンになった多くの会社が、指名で斉藤さんの会社に仕事を発注するようになっているとのことでした。
価格競争からも解放されたとのこと。
情報を広めることで、さらに他の人のアイディアも得られて、質も向上していきます。
しかも、このような情報を無償で公開し多くの方々に使用していただくことで、世の中はさらによくなっていきます。
「情報を公開してしまうと、何も残らないのではないか?」と聞かれることがあります。
しかし、実はそういうことはありません。
ネットで公開するプレゼン資料だけで伝えられることには限界があるからです。
例えば、一昨日に公開した『人前で話すのが苦手な日本人のためのプレゼンの心得』というプレゼン資料。
既に2日間で200名の方に当プレゼン資料(計43ページ)をご覧いただいています。
しかし、実際の講演では1時間40分のお話しをしています。
この講演では、このプレゼン資料に書いている10倍以上の情報をお話ししています。
実際には、Q&Aなどがあればもっと深い情報をお話しすることになります。
ですので、いい情報を持っていれば、どんどん情報をネットに出すとよいのではないか、と思っております。
ナレッジ・マネジメントの別れ目である「重要なのは、コンテンツか、コンテンツ作成者である人間か?」の潮目が変わったということですね。IT業界全般でも技術の成熟化に伴い、特定製品・技術(=コンテンツ)で差別化するパタンから、お客様固有のソリューションに仕立てて説明する=説明者(コンサルタント、営業マン個人)を売るという転換が起こっているように感じます。
森島さん、
なるほど、そう考えると、この流れがよくわかりますね。
ありがとうございました。