日経BP掲載の須田伸さんの「“芸のない広告”が求められているのかも」は、現代のマーケティング・コミュニケーションのあり方の一面を語っており、興味深い記事でした。
かつて、顧客が購買行動を起こすには、AIDA (Attention-注意⇒Interest-興味⇒Desire-欲求⇒Action-行動)というプロセスを経ると言われていました。
「広告は面白くなければならない」と言われていたのも、このAttention(注意)とInterest(興味)を獲得するためでした。
一方で、コンテンツ連動型広告では、このAとIのプロセスは、広告を掲載しているメディアが既に果たしています。
従って、コンテンツ連動型広告は、後半のDesire(欲求)とAction(行動)を促す役割を担います。凝ったart workはあまり必要なく、十分に練った簡潔なテキストの勝負になります。
私は個人的にコンテンツ連動型広告サービスを使うことがありますが、経験的に、凝った仕掛けやデザインは逆に「クリックというアクション」を遠ざけるように感じます。逆に、簡潔で分かり易い文章、どこに何のコンテンツがあるか分かり易いWebサイトを用意することで、成果が向上することが多いように思います。
では、広告は面白くなくてよいのか、というと、そんなことはありません。むしろ、高度に洗練されたものに進化していくのではないでしょうか?
須田さんは書籍「勝手に広告」を例に挙げておられますが、私がこのケースで思いつくのは、「LEON」「STORY」「VERY」等の雑誌です。
これらの雑誌は内容もゴージャスで非常にお金がかかっていますが、そのコストを考慮すると、雑誌そのものは考えられない位安価(600-800円程度)です。
このようなゴージャスな雑誌が安価に提供できるのも、メーカーとタイアップした結果です。
一方、読者もこの構図を無意識に分かっていて、雑誌編集部とメーカーがタイアップして提案してくるライフスタイルを確信犯的に楽しんでいるように思います。
須田さんは、
『今日の消費者は、情報の受け手として「あらゆる情報の中から自分にとって役立つ部分、楽しい部分だけを抽出して、それ以外は排除してしまう能力」いわゆる「メディアリテラシー」がどんどん進化しています。』
『「情報の受け手」としてのスキルが向上したわけです。 』
『その結果、今日の消費者はさまざまな広告の仕掛けをあっさりと見抜いてしまいます』
と述べておられますが、まさにその通りなのではないでしょうか?
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「広告が効かなくなったんじゃありません。つまらない広告が効かなくなったんです」
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