仕事のA面、趣味やプライベートのB面


2/1の日本経済新聞夕刊に、資生堂名誉会長の福原義春さんのインタビューが掲載されています。言うまでもなく福原さんは、経済人としても、文化人としても傑出している方です。

何箇所か引用します。

「….社外の芸術文化活動に流れている新しい価値観が会社のマネジメントに組み込まれ、それが経営の背骨となって企業風土を形成していった…」

企業としての歴史が100年にも及ぶ資生堂は、芸術文化活動の支援に積極的ですが、このような活動を通じて会社の価値観が形作られていったようです。

社員にはいつも、「レコードにA面とB面があるように、人生にも仕事のA面と趣味やプライベートのB面があり、二つそろって人生が豊かになる」と伝えてきた。

「人間だから、仕事だけに生きていくわけではない。レコードでも、B面の方がヒットするケースもあるでしょ。B面で得られた成果がA面に反映するような蓄積の仕方ができるかどうかが大事。文化というB面が、ビジネスというA面の燃料ともなり得る。人間は本来が多面体なものだと思う。いろんな会合に参加して、もう一度会いたいなと思う魅力的な人物は、不思議と多面体な人ばかりですよ」

これは強く共感します。

20代の頃、忙しい仕事の合間に写真活動をしていた頃は、自分の中では両者は排他的で相容れない別の活動でした。

この活動を続けてきた今では、仕事も、写真活動も、最近始めた合唱も、自己表現という観点では、自分の中では本質的な違いはなく、いつの間にか違和感なく共存しています。

例えば、写真作品群を高めるためにモチーフについて突き詰めて考え抜いた経験が、マーケティング戦略の構造を構築する際に活きたり、ということは、よく経験します。

また、写真活動や合唱などで、多面的な見方が出来るようになったような気もします。考えてみれば、このブログを書いているのも同様です。

福原さんは分かりやすくレコードのA面とB面で例えていますが、この観点では、私の中では仕事のA面、プライベートのB面といった区別はなく、全てA面です。

とは言え、公(=仕事)の世界には私(=プライベート)はなるべく入らないようにしていますが、私(=プライベート)の世界に公(=仕事)が入っていることは、結構あるような気もします。ということで、実は半分「公私混同」かもしれません。

ちなみに、福原さんが館長を勤める「東京都写真美術館」では、心の糧になるような、様々な感動する作品に出会うことができました。

福原さんは記事で以下のようにも語っています。

「スタッフにはこう訴えました。一枚の写真を見て人生が変わったとか、生きる元気が出てきたとか、来館者がそんなふうに思える展覧会をやろうじゃないか。そういう姿勢でやっていけば、必ずリピーターになってもらえる。それが、写真文化を普及するということではないのかと」

仕事のA面、趣味やプライベートのB面」への4件のフィードバック

  1. > 全てA面
    時代は CD ですもんね:-)
    (デジタル、というべきか?^_^;)

  2. ONとOFF、A面とB面、上手に切り替えられる人がかっこいいなと思いつつ、どうも自分はA面ばっかり(ある意味ONもOFF)のようです。これがいいのか、よくないのか、いつも悩ましいのですが・・・。

  3. mohnoさん、
    なるほど、すんなりA面・B面という言葉を全く違和感なく受け入れてしまったワタシは、実はアナログ世代ってことですね。

  4. 磯島さん、
    私も最近A面とB面があいまいになってきているように思います。生き方が多様化している現代だからこそ、二元論的に分けられないのかもしれませんね。

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