月光、復活


私がモノクロ写真で写真を始めた頃、愛用していたのは三菱の「月光」という印画紙でした。少し青みかかった「冷黒調」と呼ばれる締まった色調は、味わい深いものでした。

その後、リバーサルでカラー写真専門になって、モノクロ写真は撮らなくなったため印画紙は使わなくなり、「月光」のことはしばらく忘れていました。

久しぶりに「月光」という懐かしい商品名のことを思い出したのは、ITmediaの『あの「月光」がインクジェット用紙で復活』という記事でした。印画紙の月光が既に2006年3月に発売中止していたは、この記事で初めて知りました。

今回の新しいインクジェット用紙「月光」は、まさに「ブランドの拡張」ですね。

「ブランドの拡張」というと難しく聞こえますが、実は身近でよくご覧になっていると思います。

既存の自社ブランドを活用して、喫煙具のダンヒルが男性用アクセサリー用品に進出したり、メンズ・ファッションのメーカーがサングラスや時計の世界に進出したりするアプローチです。

ただし、進出そのものが市場に受け入れられずに失敗したり、さらに元のブランド価値まで壊す可能性もありますので、慎重に進める必要があります。

今回の「月光」の場合、印画紙は既に販売中止している訳で、オリジナル・ブランドの破壊は起こりません。従って、ブランド拡張にはつきもののリスクは非常に軽減できます。

また、インクジェット用紙でモノクロ写真を印刷するような人は、以前は、銀塩フィルムでモノクロ写真を撮っていた30代から上の世代になるのではないでしょうか? このような世代には「月光」というブランドは、高い価値を持っていると思います。

非常に目の付け所がよいアプローチだと感じました。

月光、復活」への4件のフィードバック

  1. こんばんは永井さん。タイトルだけ読んだ時はてっきりピアノソナタかと(笑)。そしたら印画紙でした。ボクも白黒なら十代の頃に自分で現像しましたが、印画紙だけでなく液体も何もかもの名前をすっかり忘れてました。「月光!」でしたね。初めて映画のパンフレットを複写してパネルに引き伸ばしたのは、なんとジェームスディーンです。闇で(?)バイトもしちゃったものです。永井さんのおかげで忘れていたモノを思い出しました。ボクのOM-10修理に出してみよっと。

  2. Majyokkoさん、
    パンフレットの複写、私も友人に頼まれて学生時代にやったことがあります。私の場合はOM-1にTamron 90mm/f2.5、フィルムはミニコピーでした。ちなみに当時、このフィルムをISO(ASA)8-12程度で撮影し、D76希釈で、グラデーションを出しながら極微粒子現像(というか、無粒子現像)する、ということをよくやっていました。35mmフィルムとは思えないような画像が出てくると結構感激したものです。

  3. す、すごい!流石永井さん!!!もっと早くにそのテクを伝授して貰えていたら、高額バイトになったのに(^^;)動機が不純だ(笑)

  4. Majyokkoさん、
    でも、このように仕上がったネガってとっても薄くって、4号印画紙でないと焼けないんです。
    本当は5号位でないと、って感じだったりします。
    #そう言えば、4号印画紙という言葉も、久しぶりに思い出しました。

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