本日(6/24)の日本経済新聞の記事「温暖化の地球史(1)激しい気温変動頻繁に」で、過去46億年の地球の温暖・寒冷のサイクルについて紹介されています。
地球史全体の中では、人類が繁栄しているここ1万年はきわめて安定した気候なのだということがよく分かります。
—(以下、記事からのサマリー)—
46億年前:灼熱地獄。徐々に冷え、マグマからの水蒸気で雨が3000年間降り続き、38億年前までに海が誕生。
27億年前:大気の97%を占めていた二酸化炭素が海水に溶け、光合成で酸素を放出する生物も増殖し、温室効果が失われて冷え始める
24-22億年前:地表がすべて凍りつく大氷河時代。赤道も1000mの厚い氷に覆われ、平均気温マイナス50度。温室効果の低下から全球凍結になるまでに数万年かかった。凍った地球が数百万年続いた後、二酸化炭素濃度が現在の数百倍になったため、極端な温暖化が起きる。氷は千年もかからずに消え、平均気温は50度にもなった。
8-6億年前:同様の大氷河時代が2回あった。
5億4千万年以降:中緯度地方まで大規模な氷河が覆う時代が3回あった
ジュラ紀・白亜紀:温暖で、氷河のない時代だった。
最近の氷期:約11万年前に始まり約2万年前にはニューヨーク付近まで氷河が広がり約1万年前まで続いた
—(以上、記事からのサマリー)—
ここ1万年の地表の平均気温は15度程度で変動はプラス・マイナス1度程度で、例外的に安定した気候ですが、その直前には数十年で7度上昇し、また数年から十数年で5-6度変化する時期も頻繁にあったそうです。
21世紀末までに平均気温が5-6度上昇すると言われていますが、このようになると、言うまでもなく人間にとっての影響は甚大です。
しかしこのような現象も、地球史全体で見ると、頻繁にあることなのですね。
実際、地球46億年の歴史の中では、二酸化炭素の量が大気の97%を占めていた灼熱の時期もありましたし、逆に赤道まで1000mの氷に覆われた大氷河期もあり、つい最近もニューヨークまで氷河で覆われた時期もありました。
このように見ると、「温暖化ガス排出で地球が滅びる」という考えは、もしかしたら、人間の尊大なエゴなのかもしれません。
確かに地球温暖化が続くと、人間という種の存続のためには非常に難しい環境になります。
しかし、仮に人間が滅びても、地球という生命体は滅びることなく、46億年前から始まった進化を続ける筈です。
人間が地球をコントロールするという発想自体、間違っているのではないでしょうか?
従って、私達は、「人間もこの地球という生命体の一部である」という認識を持って、どのように地球と共生していくかを考えるべき時期に来ているのではないかと思います。
付記(2007/6/26 22:40):
地球温暖化対策が緊急の課題であることは言うまでもありません。地球で他の生物と共生し、温暖化の大きな原因を作り出している人間として、責任を持って対策する必要があります。このことについては、当ブログでも過去何回か問題提起させていただいている通りです。
一方で、これとは別に、地球全体の歴史を長期的に考える視点もまた、必要ではないかというのが、本エントリーの主旨です。
両者は異なる視点であります。言うまでもなく、後者の視点は「だから過去も温暖化があったから、問題ないではないか?」という結論には繋がりません。実際に、過去、地球全体で気候の大変動があった際には、多くの生命が死に絶えたのですから。
ご指摘をいただきましたので、注記させていただきます。
> このような現象も、地球史全体で見ると、頻繁にある
たしかにそのようです。
が、変動の速度のはげしさは、いまだかつてない急激なものであるという事実もあるようです。
微分係数が実際、どの程度惑星に影響するのかは、わたしにはわかりません。しかし、ともに生きているいくばくかの生物たちにとって、人間は致命的な存在だなあとも、おもうのです。
こんにちは。
>変動の速度のはげしさは、いまだかつてない急激なもの
アラスカ大学の赤祖父俊一さんによれば、小氷期からの回復速度を見積もったところ「0.5°C/100年」ぐらいになるそうです。それと比較すると「未だかつてないほど急激」とまでは言えなそうです。それと、北半球の大陸の昇温要因は自然成分の「数十年振動( multi-decadal oscillations)」の影響がかなり大きいようで、それと人為的な昇温成分を区別することが大事みたいですね。
『Multi-decadal changes would be either positive or negative in 2100. This rough estimate is based on the recovery rate of 0.5°C/100 years during the last few hundred years. 』
『Further, the IPCC models cannot reproduce the prominent continental warming, in spite of the fact that the measured amount of CO2 was considered. This particular warming is likely to be part of multi-decadal oscillations, a natural cause. 』
http://www.iarc.uaf.edu/highlights/2007/akasofu_3_07/
『The recovery rate from the Little Ice Age may be as much as 0.5°C/100 years, comparable to the present warming trend of 0.6°C/100 years. The warming caused by the linear change must be carefully evaluated and subtracted in determining the greenhouse effect.』
http://www.iarc.uaf.edu/highlights/2007/akasofu_3_07/Why_has_global_warming.pdf
『There seems to be a roughly linear increase of the temperature of about 0.5°C/100 years (~1°F/100 years) from about 1800, or even much earlier, to the present.』
http://www.iarc.uaf.edu/highlights/2007/akasofu_3_07/Earth_recovering_from_LIA_R.pdf
誰が地球温暖化で人間が滅びるという予測をしたのでしょうか。もし、そのような研究があれば、画期的だと思いますが。
地球温暖化が問題となっているのは、過去人間が経験したことのない変化によって、森林や生物、人間活動等が甚大な影響を受けるということです。
これは、人間が引き起こしているものですから、人間による温室効果ガスの排出が、他の生物に影響を与えてもいいのでしょうか。
そもそも、温室効果ガスの削減は、人間が地球を管理しようとしているのではなく、人間が地球に及ぼしてきた影響を相殺しようとしているだけです。
>>誰が地球温暖化で人間が滅びるという予測をしたのでしょうか。
『気候変動+2℃』の著者である山本良一はゴアとの対談でこう述べています。『今年1月8日のカナダの新聞に「このまま地球温暖化の暴走が進むと、2012年までに45億人の人々が死ぬかもしれない」という記事が載りました。この数字の算出根拠は示されていませんが、新年早々、大きな驚きでした。』
http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/rpt_32.html
また、半導体の権威である西澤潤一は二酸化炭素の増加によって窒息する日が来ると言っています。
「 現実化してきた地球滅亡へのシナリオ 国際社会の結束と日本の環境技術が鍵 」
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/2007/01/post_500.html
「 私たちが『窒息死』する日 」
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/2000/12/post_7.html
IPCCのAR4,WG2では、「これまで評価された植物及び動物種の約20~30%は、全球平均気温の上昇が1.5~2.5℃を超えた場合、絶滅のリスクが増加する可能性が高い。」とされていますよ。表SPM-1「世界平均気温の上昇による主要な影響」には「地球規模での重大な絶滅(※重大な:ここでは40%以上)」とあります。
http://www.jma.go.jp/jma/press/0704/06a/ipcc_ar4_wg2.html
>>過去人間が経験したことのない変化
これは温暖化だけではなく、都市化に伴う大気汚染や森林伐採、越境汚染など多岐にわたる問題です。決して、温室効果ガスに矮小化されたところで解決できない問題も山積みだと思います。
いけべさん、
コメントを下さり、ありがとうございました。
>>しかし、ともに生きているいくばくかの生物たちにとって、人間は致命的な存在だなあとも、おもうのです。
おっしゃる通り、人間の活動が地球規模の影響を生み、同じ地球に棲んでいる他の種の存続に影響を与えていることはまぎれもない事実だと思います。
しょうゆゴマさん、非常にお詳しい情報を下さり、感謝します。
私は日本経済新聞の記事で岐阜大学・川上紳一教授の話として書いてあったものをデータを引用したのですが、太古の現象の推測ですので、色々な見方があり、一概に決め付けられない、ということですね。勉強になりました。ありがとうございます。
おっしゃる通り、自然変動分と人為的な行為による変動分を分けて議論し、かつ、ミクロな視点ではなく、マクロな視点で捉えることが必要ですね。
satoさん、コメントありがとうございました。
satoさんがおっしゃるように、人間による行為が他の生物に影響を与えるのは避けたいですね。
必ず出てくる地球には過去に温暖期もあったという話。しかし、現在の温暖化は明らかに人間の活動により大量発生して温暖化ガスによるものであり、明らかに人間が原因。このままの状態では多くの生物を絶滅させ、美しい地球環境を崩壊させる。それを地球は存続すると語る姿勢には大きな憤慨を憶えます。人間が多くの動植物を絶滅させることをなんとも思わないとしたらそれこそ人間の大きなエゴだと思うのですが。
家の前にゴミ大量にだして昔はこの辺は荒地だったと言うような話のような気がします。はたまた散々飲み食いして、後始末もせずにどうにでもなれと叫んでいる泥酔者の如くのような発言かと思います。
毎日エネルギーを大量に消費しながらこうした無責任な発言をするのはなんとも。
おやじ1号さん、
コメントをくださり、ありがとうございました。
現在の温暖化は、温暖化ガスだけでなく森林伐採等、様々な人間の活動の結果であるということは、ほぼ明らかになってきていますし、多くの生命にとって存続の危機であるという点、全くおっしゃる通りだと思います。
例えば下記で書かせていただいたような早急で具体的な対策が必要であると思います。
http://blogs.itmedia.co.jp/mm21/2007/05/2040_d350.html
http://blogs.itmedia.co.jp/mm21/2007/05/post_a718.html
http://blogs.itmedia.co.jp/mm21/2007/05/20_57e1.html
このように地球温暖化対策は火急の課題であり、地球で他の生物と共生し、温暖化の大きな原因を作り出している人間として責任を持って対策する必要があります。
一方で、これとは別の視点で、地球そのものは古来より存続し続けており温暖化が起こっても存在し続けるという長期的な視点もまた、我々は持っておくべきではないでしょうか?
●原因を作り出した当事者として責任を取る。
●一方で、人類が存在しなかった過去にも同様のことがあった(そしてその時も多くの生命が死に絶えた)との認識を持つ。
両者を混同すると、おやじ1号さんも指摘されているように、「過去も同じようなことがあったじゃないか?」という議論になりかねません。
私自身は両者を分けて考えていたのですが、もし私の文章で誤解を招いていましたらば、お詫びいたします。
数年前、モルディヴ旅行に行ったとき、すでに海の中に沈んでしまっている島がありました。当時はまだまだ関心がなかったのですが、聞くところによると温暖化のせいらしい、というではありませんか。
大きなことはできないけど、その後電気をまめに消したりするようになりました。
ちなみに、永井さんはいつもマイ箸をお持ちですよね。感心して見ています。
もしかしたら選挙で環境問題重視の議員を選ぶことも良い環境にむけて可能性がでてくるのかな、と思います。下記のサイトを見つけました。参考までに・・・・。
http://www.senkyo.janjan.jp/bin/manifest/mani-map.html
http://www.manifesto-senkyo.jp/
一部の気象学者の間には温暖化はポイントオブノーリターン、つまり後戻りが出来ないポイントを通り過ぎてしまったという話もあるとか。さらなる気温上昇が海中に溶解しているCO2を放出させたり、ツンドラ地帯の凍土の中のCO2も溶け出すとか嫌な話がたくさんあるようです。
話題のバイオ燃料も原料が植物からということでCO2が回収可能として評価されていますが、、これとて現存する二酸化炭素量が減るというわけではありません。となると現在進行中の温暖化が現在のCO2濃度に起因するものならば、問題解決にはつながりません。いずれはグリーンランド氷河の溶解や南極大陸の氷河の大崩壊へつながる可能性もあるかと思います。
まさにイナゴの大群が草地を食い尽くして最後は死滅するように、人類も脆弱な地球環境を破壊しつくしてしまうのかもしれません。
地球規模の気候変動が恒常化すれば、通常の経済活動にも大きな阻害要因となり、経済活動も停滞するかと思います。
まさに人類存亡の危機と考えるべき現在の状況。今までの価値観や考え方を変えざるを得ない状況に来ているかと考えます。
ちょっと考えてみてください。地上を移動する場合は数十キロ、数百キロ移動するのは簡単です。しかし、チョット上へ10キロ移動することを考えてみてください。あのエベレストの頂上では酸素濃度も少なく、そこでは人間は生活できません。人間を含めて生物はたかだか上空10000メートルの狭い幅の空間の中で生きているということを意識してみてください。そして多くの大気現象はその空間の中で起きているわけです。地球をりんごにたとえるなら大気層はその皮よりも薄いわけでそんな薄っぺらな大気層など誠に脆弱だと思ってもよいのではないでしょうか。その薄い大気層のなかであちこちで火を燃やしたら当然なんらかの影響はでてきて当然。人類はその環境を破壊するほどまでに繁栄し、強大になってきたと言っても過言ではないと思います。
永井様にもお子様やお孫様がいらっしゃるかと思いますが、我々の次の世代の社会に対しての我々は何かをすべきではないかと思いませんか。
影響力のあるお立場にいらっしゃる永井様。
今一度どうすべきかお考えになるのもよいかと思います。
「人間が地球をコントロールするという発想自体、間違っているのではないでしょうか?」
というのは何か他人事のようで違うような気がいたします。
こぶらーさん、
コメントを下さり、ありがとうございました。
おっしゃる通り、マイ箸、身近なところから少しでも環境負荷を減らせれば、と思い、愛用しています。
こんなところから、皆が少しずつ環境問題に具体的に取り組んでいくといいですね。
「人間が地球をコントロールするという発想自体、間違っているのではないでしょうか?」と意見で私は違う意味にとらえました。私達は地球の一部なので他人事で言っていないと思いますし、ただ1地球人としてやりきれないと言うことではないのでしょうか。私たちの祖父母等が生きていた時代には技術的な面で進んでなかったためか、地球に良くない(私たちに良くない)事を沢山して来たのかも知れません。発達している今でさえツズケテイルのですから私たちの責任でもあると思います。現状では便利になった世の中ですからその便利さを捨てるのは難しい事でもあります。私たちは地球にコントロールされてるのでは無いのでしょうか。そして地球は他の何かにコントロールされてるとして私たち人間はほんの現象で必要であったから生まれ、地球にとって必要でなくなれば滅びるという事では無いのでしょうか。果物が木から落ちる様に、乳歯が落ちる様に、長い歴史のなかで人間もいつも変化しツズケテいるのでは無いのでしょうか。人間も地球のほんの一部で絶滅したとしても長い歴史のほんの一瞬の出来事なのでは。
最後に永井さんに質問です。いつ頃から温暖化が急激に進んだのですか?