日銀の「異次元金融緩和」が続いてますが、物価は上がらず、株価も低迷したまま。
一方で米国の株価は最高値を伺う展開です。
とはいっても、多くの人たちはどこか、「それは日銀と政府の仕事でしょ。自分は目の前の仕事で忙しいし」と思っているようです。
かなりヤバイ状況だと思います。
私は、物価が下がるのも、株価が低迷するのも、ビジネスパーソンのマーケティング思考欠如と、それを自覚していないことが、大きな原因だと思います。
「いいものを作っていれば売れたモノづくりの時代」、日本からは世界ヒット商品が続々生まれていました。
しかし今の日本からほとんど生まれていません。Pokémon GOのように新しい価値を生み出して頑張っている日本の企業(任天堂・株式会社ポケモン・米国ナイアンティックの3社)もありますが、極めて少数です。
「体験を求めるコトづくりの時代」になったのに、気がついていない。
だから、お客さんが心から「欲しい」と思うようなワクワクする商品やサービスが生まれない。
「お客様が買う理由」を創り出していないのが、大きな問題なのです。
その代わりにやっているのが、ムダを省く生産性向上です。
これも大切ですが、生産性向上だけでは需要は増えません。(政府は公共投資で需要を増やそうとしていますが、財源が必要なので限界もあります)
需要を増やさずに、生産性を向上させて供給力を増やせば、需要と供給の関係で、逆に価格は下がります。そしてデフレも進みます。
本来需要を増やすために必要なのは、「お客様が買う理由」を創り出すことです。
これは日銀や政府の仕事ではありません。
ビジネスパーソンが自分の仕事を通じて、「お客さんが買いたくなるような」価値を創り出すことを考え抜き、それを実現するしかありません。主役は私たちビジネスパーソンです。
では、どうすればよいでしょうか?
厳しい指摘をしている方がいます。一橋大院商学研究科のクリスティーナ・アメージャン教授です。
インタビュー記事で、日本のマネジメントのビジネス知識について「幼稚園レベル」と厳しいご指摘をしておられます。
十分なビジネスの基礎知識、ビジネスナレッジを備えた人材が足りないのです。社外取締役に限らず、日本の経営者、マネジメント層は基本的なMBA(経営学修士)の知識が不足しています。ハイレベルな知識を求めているのではありません。最も基礎的な知識を欠いているのです。厳しいようですが、幼稚園レベルです。
経営者も含めた私たちビジネスパーソン一人一人が、仕事で役立つ実践的で最低限のマーケティング思考を身につけ、日々の仕事を通じて「お客様が買う理由」を創り出していくことが必要だと思います。
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。
■Facebookページで「いいね」すると、さらに色々な情報がご覧になれます。