お客様に刺さるマーケティングメッセージは、コミュニケーションから生まれる


一昨日(10月3日)の「永井経営塾ライブ」のテーマは、「マーケティングコミュニケーション」「お客様に刺さるメッセージをいかに作るか」について議論しました。

お客様の心に刺さるメッセージを作るには、「WHAT(何ができるか?)」からではなく「WHY(なぜ必要なのか?)」から語ることが必要です。

例えばジョブスは、2007年にiPhoneを発表した時、こう言いました。

「スマホっていうけど、世の中にあるスマホって大きなキーボードが付いている。全然スマートじゃないよね」(WHY)

「だから、iPhoneを作ったんだ」(WHAT)

MacBook Airを発表した時、こう言いました。

「世の中のノートPCって、薄型ノートっていうけど分厚いよね」(WHAT)

「(封筒から製品を出しながら…)だからMacBook Airを作ったのさ」(WHY)

一方で当日の永井経営塾ライブでは、こんな質問がありました。

『現実の新商品や新サービス発表では往々にして、「はて? この製品のWHYって、何だっけ?」と悩む状況になったりします。こんな場合、どうすればいいのでしょうか?』

これは色々な原因が考えられますが、その一つが、社内コミュニケーション不全です。

製品を開発した人は多くの場合、「こんな問題を解決したい」と考えて製品を開発しています。しかし往々にして大手企業では、製品発表の担当はマーケティング部門や営業部門。その人たちに、製品を開発した人たちのこの強い想いが伝わっていないことが多いのです。(私も製品開発にいた時、よく経験しました)

本来、ジョブスのように、作った本人が影響力を持って製品への深い想いを語り尽くすべきなのでしょう。

しかしあくまで一般的な話ですが、大手家電メーカーでは数十人にチームで役割分体して商品企画、商品開発、テスト、発表、販促、セールスをしています。その結果、「このメッセージじゃないよ〜」ということも、よく起こるのです。

一方で最近は、大手家電メーカーを退職して新興家電メーカーに転じる熟練技術者も増えています。

転職先の新興家電メーカーでは人が少ないので、一人で商品企画→商品開発→テスト→発表→販促→セールスをしたりします。「一人で全部やるの? 大変だ」と思いがちですが、いい点もあります。商品企画時点の想いを、首尾一貫して市場に発信し、お客様に直接語れることです。

これは一つのヒントになると思います。

たとえば現在、湖池屋社長の佐藤章さんは、キリンビバレッジのマーケティング部長時代にFIREなどのヒット商品を量産しました。佐藤さんはチームを徹底して重視し、商品コンセプトからパッケージ、広告までを一手に手掛けました。

大手企業でも、商品チーム内でコミュニケーション重視で常に密接にやり取りすることで、WHY(なぜ必要なのか?)から語れるようになり、その結果、顧客に刺さるメッセージが作れるようになって、マーケティングメッセージ力は格段に上がっていきます。

「WHYから語る」という目的意識を持って、チームでメッセージを首尾一貫して作り込んでいくことが必要なのだと思います。

 

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