『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(14):校正(09年8月) + おまけ

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

無事、7月末に脱稿。

と言っても、締切りの1週間前に提出した後は、更新をしないまま、脱稿の期日が過ぎました。

ということで、前倒しで作業を進めた結果、締切りは余裕で通過しました。

 

8月中旬から、校正が始まりました。

 

昨年自費出版をした際には、大変だったのはこの前後の段階でした。

経験しないと気がつかない、思いもよらぬ部分で手間がかかりました。

例えば、原稿は横書きにしているのに、縦書きになることで、数字表記等、様々な部分の修正が必要になります。

また、用語の整合性と統一も大きな問題です。いくつか例を挙げるだけでも、

  • 「売り上げ」「売上げ」「売上」→「売り上げ」
  • 「問い合わせ」「問い合せ」→「問い合わせ」

に統一する、とか、

  • 「人達」→「人たち」
  • 「様々」→「さまざま」
  • 「関わる」→「かかわる」
  • 「尚、…」→「なお、…」

等々、編集の素人ではこの辺りを修正するのはとても大変でした。

 

しかし、さすがは経験豊富な出版社。

校正段階で返ってきた原稿では、このような初歩的な間違いは全て出版社側で修正済の状態で、校正に入れました。

主に、ロジックの整合性や、明らかな間違い、用語の正しさ、等をチェックしていく作業になりました。自費出版と比べると、この作業はとても楽でした。(その分、出版社側で負担していただきました。感謝です)

また、本書では、様々な書籍から引用しています。

そこで、引用箇所とオリジナル文書をまとめた上で、個別に引用許可も取っていただきました。

 

最終的に、2-3回の校正で完了。

締切り間近となった2回目の校正の際、編集担当の方が、雨の日の夜、私の自宅まで校正原稿を届けて下さいました。

毎日のようにメールでやり取りしているのですが、実はお会いするのはこの時が10ヶ月ぶりで、2回目。

小雨が降る道路上で数分しかお話しできませんでしたが、非常に感慨深い思い出になりました。

 

おまけ

本日、いくつかの書店を回って、販売状況を見てきました

  • 地元の書店:置いていませんでした
  • 高島屋二子玉川店内の紀伊國屋書店:1冊ありました
  • 渋谷の紀伊國屋書店(東急プラザ5F):8冊、平積みでした(ありがとうございます)
  • 渋谷のBook 1st渋谷文化村通り店:1冊ありました
  • 渋谷の啓文堂書店(マークシティB1F):1冊ありました

都内の大きい書店にはあるようです。

在庫は総じて少ないようですが、出版社側には在庫がある筈なので、在庫がない場合は注文すれば割とすぐに届くと思います。

 

 

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2009-10-08 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(13):仕上げ段階(09年7月)

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

ほぼ文章も完成に近づいてきましたので、それ以外の部分も順次仕上げていきました。

 

まずイラスト。

当初から主人公は、

「知的で一見おとなしく見えるが、底には強い意志を持っている」

というイメージを設定しました。

このイメージを受けて、イラストは紆余曲折を経て、最終的にはほぼ思った通りのイラストになりました。

私の細かいこだわりに付き合って下さった編集の方々に感謝です。

 

次にタイトル。

ご存じの通り、本書のタイトルは

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』

一見すると、普通に見えるかもしれません。

しかし、このタイトル、悩みに悩んで二転三転。

最後の最後で決定しました。

「朝カフェ」と「マーケティング」というキーワードを入れることはほぼ決まっていましたが、これにどのようなキーワードをどのように組合わせるかで頭を絞りました。

タイトルに頭を絞っていたある時、ある方の

「理論先行のエリートも、勘や臭覚のみに頼る経営者も、決して経営はうまくいかない。理論3割・実践7割だ」

という言葉に出会いました。

「そうだ、これが言いたかったことだったんだ!」とわかり、最終的に「実践的」を「実戦的」に変えてみて、さらに考えてみて、現在のタイトルになりました。

 

また、本書では、副題やオビに下記のメッセージが書かれています。

 

■真の仕事力は、理論と実践の両輪から。

 

■意外と知らない、真の顧客志向とは?

「ウチの会社の事業とは、ソフトウェア開発販売業だ」

「新商品は、顧客の要望をすべて網羅した上で、企画する」

「利益を削って誠心誠意値引きをすれば、お客様は満足だ」

「売上がのびないのは、きっと競合が激しいからだ」

→実は全て間違いです!

 

■本文より引用

『競合よりも顧客のことを最優先で考えるべきだ。競合のことばかり考えて戦略を立てていたら、競合の出方次第で戦略が変わってしまう』 (2-2章より)

『頻繁に値引きすることと、大安売りすることは、似ているようで、まったく意味が違う』 (4-2章より)

『「売れていないのは、売っていないからだ。だから売るのだ」というロジックは堂々巡りだ。このロジックのどこにも原因はない』 (5-2章より)

 

これらのメッセージも、これまで蓄積してきた検討結果や色々な方々のコメントを参考に、本書の価値を読者に届けられるようにデザインしました。

 

いよいよ、本作りも最終段階です。

 

 

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2009-10-07 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(12):仮説検証の実践 (09年6月)

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

6月上旬に、本書のドラフトを一通り書き終えました。

本書の5章では、仮説検証の重要性を述べています。

思い込みを検証せずに進めるプロジェクトは、たいてい失敗します。当初の仮説が正しいのか、適宜チェックポイントを設けて検証することが必要です。

本書でも、仮説検証を行って、当初の狙いが正しく実現できているのかを検証し、品質の向上を図ることにしました。

 

ポイントは、「ターゲットとする読者にとって価値がある内容になっているのかどうか?」という点に尽きます。

そこで、原稿が出来上がった時点で、多くの方々に原稿を読んでいただき、コメントをいただきました。

知合いのマーケティングマネージャーが中心でしたが、知合いの経営者、エンジニア、マネージメント層からもご意見をいただきました。

当初予想していたよりも、多くの肯定的なご意見を頂きました。

  • 「こんな本、今まで見たことがない。マーケティング解説としてとっても分りやすい」
  • 「普通に面白い」(注:若者言葉です)
  • 「長年経営をやっていて、経験知となって頭のどこかに入っていることが、整理されて書かれている。何度も読み直したい」
  • 「若手社員に読ませたい。対象は30代以降では?」
  • 「このような法人向け・パートナー戦略に焦点を当てたマーケティングの本がなかった。需要はかなりあるのではないか?パートナーの若手マーケティング担当者に勧めたい」
  • 「3時間で読了でき、かつ、基礎的なマーケティング理論が非常に多くカバーされている。後で気になる部分も解説でじっくり読み返すことが出来る」

一方で、課題点の指摘も多く頂きました。

いただいたコメントは全てExcelにまとめて、指摘された課題点毎に分類し、それぞれの課題に対する対応策を明記しました。

 

ただし、各課題に対して全て対応していてはと、まさに本書の第5章で主人公が直面した「対症療法」になってしまいます。

そこで、あくまで当初の仮説に対して検証していくというスタイルを保持しながら、課題に対する対応を考えていきました。

代表的な課題点と対策は下記のようなものでした。

  • 主人公の設定。当初の設定は若すぎて、与えられている権限から考えると違和感があるので、30代前半に再設定。
  • 分りにくい部分があったので、大幅に簡略化して分かりやすい記述に修正、図も多用
  • イラストや編集に関するアイディア
  • 不自然な状況設定に関するコメント

プロモーションに関しても、参考になるご意見を多数頂き、本書のマーケティングで活用していきました。

 

また、主人公が女性であることもあり、半数は女性からの意見をいただきました。

男性である私が女性の行動を描くので、笑い話のようなことが色々とありました。

例えば、「久美は自分のカバンを掴んで走っていった」という文章。

会社に持っていくのは当然カバン、と思っていたのですが、多くの方々から

「『カバン』じゃなくって、普通、『バッグ』でしょ」

との鋭いご指摘をいただきました。

他にも、不自然な女性言葉や行動を修正しました。

 

このように、多くの方々にチェックいただいて、かなり品質が向上しました。

しかし、ただ単に意見をいただいて反映するだけでは、品質向上に繋がらなかったのではないでしょうか?

当初から仮説を立てて、その仮説が正しかったかを検証する、という立場を崩さずに検証していったからこそ、この仮説検証プロセスがうまく回ったのではないかと思います。

 


 

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2009-10-04 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

第3-1章の抜粋記事『顧客第一主義の自社が価格の高いライバルに負ける理由』

本日、ITmediaエンタープライズで、『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』からの第2回抜粋記事が掲載されました。

朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力(2)
顧客第一主義の自社が価格の高いライバルに負ける理由

本書から第3-1章をそのまま抜粋したものです。

 

「お客さんの言うことには、絶対NOと言ってはいけない」

とよく言われることがあります。

まぁ、言い方次第というところはありますが、実は、顧客のいいなりになっても必ずしも顧客満足度を高めることはできません。

逆に、一見すると顧客のいいなりになっておらず、しかも価格も高いのに、圧倒的に顧客満足度を高めているケースもあります。

なぜ、そのような違いが起こるのか、書いてみました。

顧客満足についてより深く知りたい方には、ご参考になるかもしれません。

 

ところで、アマゾンに画像が掲載されましたね。

 

 

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2009-10-03 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(11):猛烈に書き始める (09年5月-6月)

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

前回書きましたように、ゴールデンウィーク(GW)の最初の5日間で、登場人物の設定や理論・全体の構成の見直しを行いました。

Excelで章割りした表にストーリーを書き出して、全体のストーリーの大枠を作りました。

その上で、各章での会話の内容、紹介するマーケティング理論、主人公が成長するにあたって学んだ意味、ストーリー上の考慮点等をまとめました。

しかし、それでもなかなかハラに落ちませんでした。

出来上がった後で、さらに半日間から1日置いてから全体を見直して修正し、やっとストーリー全体がハラに落ちて納得できる状態になりました。

 

GWの後半になってから、猛烈に書き始めました。

主人公が叔父にコーチングをお願いする場面を描いた短い第1章を除けば、本書のメインは、第2章から第5章までの全部で4章です。

GW後半で第3章まで完了しました。

6割程度の出来でしょうか?

当初の目標の8割には届きませんでしたが、まずまずです。

 

この時点で一旦全体を見直しました。

全体的に、昨年の自費出版と比べると見直しは少ない状態でした。これは、全体の構成を半年掛けてしっかり作った成果なのでしょう。

それでも、後から見ると、粗が目立ちます。

例えば全体を通してみると、各章のバランスが悪かったので、量を調整しました。

また、図の使い方もバラバラでした。章によっては多用している一方で、全くない章もありました。読者が読みにくくなるので、これも揃えました。

ストーリー上、矛盾がある部分も修正しました。

結局、GW後の週末も数回使い、6月第2週にドラフト第一版が完成しました。

 

 

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2009-10-02 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(10):最初の5日間、何も書かずに何を唸っていたのか? (09年4月)

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

前回書きましたように、GWの最初の5日間は何も書かず、朝から晩まで調べ物をしたり、自宅の机に座ってウンウン唸っていたり、近所のカフェに行って長時間座りながら腕を組んで考えて急にパソコンにアイディアをメモ書きしたりして、何も書きませんでした。

一通りストーリーが出来上がっても、何となくまだハラで納得できず、手を付けられなかったり。

周りから見ればかなり滑稽な状況だったかもしれません。

 

そう言えば、9月5日にNHKの番組「プロフェッショナル」で、「バガボンド」の作者である井上雄彦さんの仕事ぶりを紹介していました。

マンガでは、最初に「ネーム作り」という作業があります。コマをどのように割り振って、どこで何を書くかを決めていく作業です。

番組では、井上さんがカフェをはしごしながら、ネーム作りをしていく様子が描かれていました。

登場人物がどのような人生を歩み、何を考え、どういう心持ちなのか、向き合う作業です。井上さんは、ここで毎回苦しみ抜きます。

 

天才・井上雄彦さんとは比べるべくもありませんが、私がGWの前半で行ったのも、このネーム作り作業と同じでした。

ふり返ってみると、私は、今回のように本を書いたり、講演資料を作成したり、あるいは企画書を作る際には、いつも同じパターンで進めています。

完成まで全体で100の時間を使えるとして、私の場合は最初の30(場合によっては50)は何もアウトプットを出しません。

色々な資料を何回も何回も見直し、頭の中に次々と覚え込んで、「あーでもない」「こーでもない」と考えてばかりです。

徹底的に頭に詰め込んだ後は、全く別のことをして一旦忘れます。

モノの本によると、実はこの間に、詰め込んだ情報が潜在意識によって無意識に整理されていくそうです。(茂木さんではないですが、脳の偉大さに改めて感銘)

このプロセスを経ることで、一見バラバラに見えたそれぞれの要素が繋がり、ストーリーがシンプルになり、エッセンスが絞られていきます。

一方で、このようなプロセスを続けても、なかなかハラに落ちない時があります。

端から見ていると、フラフラ何もせずに暇そうに歩いていて、いかにも何もしていないように見えるのかもしれません。

しかし、実はこのような時は、何も産み出せないので、とても苦しいのですよね。まさに「産みの苦しみ」というものでしょうか?

 

しかし、徐々に整理されてきて、ハラにストンと落ちる段階がやがてやってきます。ハラに落ちた時点、全体100のうち30-40の段階(場合によっては50を過ぎた段階)で、紙にあらすじを書き殴ります。ここで大枠のストーリーが決定します。

100のうち40-70の段階で猛烈にアウトプットを始めて一気に書き上げます。

一通り猛烈なアウトプットが完了すると、またしばらく時間を置きます。そして100のうちの70-100で書き上げたものを見直します。

時間を置くのは、ふたたび一旦忘れるためです。

書いた直後は何かに囚われた状態になっているので、極めて主観的になっていることが多いのです。

実は何かに囚われて主観的になっているからこそ、夢中に書けるのですが、逆に言うと、客観的に自分のアウトプットを見ることができない状態になっています。

アウトプットを見るお客さんの立場に立って客観的な自分を取り戻すためには、この「忘れる」プロセスが必要です。一回忘れることで、全く新しい視点を得られることもあります。

 

そして、このように苦しんだ結果出てくるのは、仕事の場合は1-2枚のチャートだったり、本の場合はすっきりとしたストーリーや文章だったりします。

もしこのようにして作ったチャートや本が、こんなプロセスを経ているとは思われず、「へー、分りやすいなぁ」と思われたとしたら、逆にそれはストーリーがシンプルになりエッセンスが絞られているということなので、この作業は成功、ということになります。

 

このような形で最初の5日間、何も書かずに考え続けたのは、結果的に非常によかったと思います。

 

 

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2009-10-01 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(9):最初の5日間、何も書かない執筆活動 (09年4月)

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

2009年のゴールデンウィーク(GW)、私は11連休でした。

しかし、会社で仕事をしているよりも体力的には厳しかった休みでもありました。

 

執筆開始は2009年4月末、脱稿は7月末目標なので、一見、時間は十分あるように見えます。

しかし昨年自費出版を行った経験で、いったん原稿を書き上げた後の見直しには、書き上げるのと同じ程度の時間とワークロードがかかることを痛感していました。

しかも私は会社員。平日は会社勤務です。

GWを逃すとまとまった時間はほとんど取れません。

書くボリュームを元に、実際に執筆や校正に充てられる時間を逆算してみると、GW中に原稿のかなりの部分を書き上げないと、十分な校正ができず、仕上がりの品質も満足できない、という結論に至りました。

そこで、GW中に全体の8割の原稿を書き上げることを目標として設定、GWの11日間は全て執筆活動に充てました。

せっかくの長期休暇でしたが、家族には負担をかけてしまう結果になりました。

 

当初、ストーリーの大枠は予め決めていたので、すぐに書き始められると考えていました。

しかし、実際に書き始めるとなると話は全く別。

最初の5日間は、何も原稿は書けませんでした。

この5日間は早朝から夜遅くまでかけて、全体の登場人物の設定や、マーケティング理論や全体の構成の見直しを行いました。

 

特に悩んだのは、主人公が勤務する会社の設定。

実は物語の舞台となる会社の設定は、4月時点になっても決定していませんでした。

バリュープロポジションを定義した際、「本書の価値は、法人マーケティングを物語形式で初心者にも分りやすく紹介すること」としました。

このため、法人顧客を相手にする会社を物語の舞台にする必要があります。

分りやすいことが目標なので、読者が分りにくいビジネスは選べません。

また、本書で紹介する理論が全て当てはめられ、主人公が直面する様々な課題を解決していく場面が設定できることも要件です。

さらに、私自身がある程度分っている事業分野でなければ、説得力ある物語になりません。

このような条件を当てはめられる事業分野、なかなか見つけられませんでした。

 

色々な会社を候補に挙げては、本書で紹介する理論をあてはめるとどのようなストーリーが作れるのか、各章の内容を検討していきました。

合計10種類近くの会社のケースを検討したでしょうか?本書のストーリーは長いため、この作業にはかなりの時間と体力を要しました。

 

最終的に、私がソフトウェア事業に関わっていることもあり、ソフトウェア会社を舞台にすることにしました。

しかし、一言で「ソフトウェア」と言っても、多岐の分野に分れており、一般の方々には分りにくいという難点があります。

そこで、法人市場としてイメージしやすい会計ソフトを開発・販売する会社として設定しました。

私自身は、会計ソフトウェア・ビジネスに直接関わったことはありません。

しかし、本書で会計ソフトの顧客として設定した経営者の悩みはそれなりに理解しています。顧客のことは分るので、会計ソフト市場の概略を把握すれば、なんとかなるのではないか、と考えました。

逆に、私が担当するミドルウェアのマーケティングについては、業務機密もあるので、あまり具体的に書けません。会計ソフトウェアを選んだのは結果的によかったように思います。

 

このようにほぼ方針は決めたものの、それでも執筆に踏み切れず、相変わらず色々と考えていました。

 

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2009-09-30 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』、本日発売。ITmediaエンタープライズで連載も始まりました。

本日、『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が発売になりました。書店に山積みになっている本を見ると、「やっと世に出た」と、感無量です。

 

またITmediaエンタープライズでも、本日より本書から抜粋した記事の連載が始まりました。

朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力(1)
GoogleやIBMの未来を方向付けた「顧客視点の事業定義」

これは、本書から第2-1章をそのまま抜粋したものです。

本書がどのような内容かを知りたい方は、ご参考になると思います。

 

今回から、合計4回の連載です。 

 

 

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2009-09-29 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(8):ポジショニングマップの作成 (09年4月)

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

本書の3-4章では、バリュープロポジションを起点にして、商品のポジショニングマップを作る方法が書かれています。

本書でも、プロトタイプが出来上がりつつある段階で、改めて本書自体のポジショニングマップを作成してみました。

 

まず、対象読者を若手ビジネスマンに絞りました。

そして対象読者の課題を「マーケティングを学びたいという向上意欲はある。しかし教えてくれる人が周りにいない。MBAの本はちょっと敷居が高いし、MBAに通うのもちょっと無理と考えている」と設定してみました。

そして、マーケティング関連の本を求める読者のKBF (Key Buying Factor: 主要購買要因)をいくつか考えてみました。

色々な要因を考えた結果、下記2つの軸を選びました。

・初心者向け vs. 上級者向けという軸
・詳細な理論解説 vs. 分りやすいストーリー仕立てという軸

上記2つの軸は、全部で4つの組合わせが可能ですが、この中で、「初心者向け、かつ、分りやすいストーリー仕立て」というポジショニングのマーケティング関連の本は、世の中ではごくわずかです。

そこで、本書をこの部分に位置付けることにしました。

他にも、「理論中心ではなく、実践中心」「主流である消費者向けマーケティングではなく、世に数少ない法人向けマーケティング」等の軸も考えました。これらも適宜、プロモーションで訴求していくことにしました。

 

本書を企画するにあたり、本書で書いてある数多くのマーケティング手法を活用しています。

このポジショニングマップ作成もその一例です。

本書の物語の舞台は会計ソフト会社ですが、本書に書いてあることは、このように書籍出版のマーケティングにも応用できます。

このこと自体、小俣さんもブログで「おそらくほとんどの仕事で役に立つ内容だと思います」と書いて下さっている通り、本書が持つ汎用性の一面を示しているかもしれません。

 

4月下旬、出版社内で企画が通り、正式に出版契約を交しました。

本書の企画から5ヶ月以上経過した2009年4月末。いよいよ、本格的な執筆に入ります。

 

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2009-09-28 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(7):プロトタイプ作成 (09年3月)

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構成と方針がほぼ固まったところで、完成イメージのプロトタイプを作ってみよう、ということになりました。出版社内の企画書で添付資料になりますので、とても重要です。

 

まず、改めて各章のタイトルを作ってみました。

既に各章単位で、部品として大まかにデザインしているのですが、、これをどのような考え方で構成するか、がカギです。

本書は全部で大枠で4つの大きな章に分れ、大きな各章が4つの小さな章に分れます。つまり、合計16の章があります。

全体の流れの中で、それぞれの章のタイトルが違和感がないように揃えるのは、意外と難しい作業です。

また、各部分で何を書くのかを明確に決めておかないと、タイトルが付けられません。

このため、各章の構成やキーメッセージ、ストーリー展開まで細かく考えて想定しながら、考えていく作業になりました。

女性言葉にしたタイトル(「どうして….なの?」とか)にすることも検討しました。しかし、女性雑誌の見出しをよく見てみると、女性言葉はほとんど使われていません。女性は意外と女性言葉を使っていない、ということが分かりこの案は取り止めました。

色々検討した結果、ストーリー展開がよく分るように、タイトルを構成する方向性で進めることになりました。この際、下記の方針を決めました。

・「アレ?」という意外性あるタイトルよりも、ストーリーの流れが分かるタイトルにする
・読まなくても結論が分かってしまうタイトルは避ける
・退屈なタイトルは避け、興味が沸くようなタイトルにする

ここの見出しの部分はかなり時間とワークロードをかけました。

しかし、全体のストーリーを決める上で、非常に重要な骨格となりました。

ここの部分に十分に時間をかけたことで、全体に流れを作ることができたと思います。

 

さらに、4-2章「価格」の章を実際に書いてみました。

当初の企画の通り、主人公と叔父の会話で進む形にしました。

最初に設定を決めていたこともあり、順調に書き進むことができました。

出来上がったものを改めて見直し、冗長な会話部分の一部を解説部分に回したり、会話の全体の考え方の流れが把握できるようにシンプルなものに書き直したり、と調整を行いました。

 

10月下旬の企画開始から5ヶ月目、このように本書の全体像が徐々に出来上がってきました。


 

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2009-09-27 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(6):企画第2段階 (09年1月~09年3月)

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前回書きましたように、本書のバリュープロポジションに行き詰まった2009年1月のある日、ある新聞記事に目がとまりました。

ある会社を舞台にした、テレビの新番組の紹介でした。

新入社員が小さい問題にぶつかりながら、誰からも相手にされていないけど実は経済の達人である窓際係長から色々と教えてもらいながら、解決策を見つけていく、という筋立てでした。

このコンセプトは、現在の行き詰まりを打開するにあたって、大変参考になりました。

そこで、主人公を29歳の若手男性社員に設定、ストーリー仕立てに変更し、一章分書き直してみました。

主人公が活き活きと躍動し、結構面白い内容になってきました。

「これは、もしかしたら行けるかも」と思い始めました。

しかし、「いいかもしれない。でも、何かが気になる」と、今ひとつまだ納得できない部分も残っていました。

 

そんなある日、主人公を女性にしてみたらどうか、というアイディアを思いつきました。

「勤勉で向上心のある女性マーケッター」という位置付けは、読者の共感を呼びそうです。
Book200909182

また、プロモーションの観点でも、本のカバーへも活かしやすくなります。実際、最終的にカバーでは、右の図のように、女性の主人公がコーチングを受けている場面を使うことになりました。

また、この図のように、「朝のカフェ」を主な場面にして展開してはどうか、という話にもなりました。

実はこの本を企画・執筆するにあたって、私自身、毎朝7時にオフィスに出勤し、会社のオフィスビル内にあるカフェで早朝の1時間ほど本書のアイディアを考えながらストーリーを執筆していました。

早朝のカフェは、創造的なアイディアが次々と生まれます。

最近は、都内のビルでも早朝の勉強会が流行っているそうです。これはトレンドなのかもしれません。

これから少しずつご紹介していきますが、本書の様々な登場人物達と著者の私は、実は少しずつ重なっている部分があるのです。

 

こうして、「主人公の勤務先と叔父が教えている大学院が都内の同じビルに入っており、叔父が朝からの授業を持っている日に、ビルにあるカフェで早朝の個人レッスンを受ける」、という設定が出来上がりました。

ほぼ最終版の本書の設定になりました。

また、主人公のイメージとしては、「知的できちんとしているが、底には強い意志を持っている」といったキャラクターの女性がいいのでは、という方向になりました。

各章の構成は、次の3つから構成することになりました。

・ストーリー部分:主人公と叔父のやり取りで、楽しみながら新しい学びを得る
・解説部分:叔父の解説で掘り下げる
・主人公の感想部分:身近に感じさせる

 

ところで、前著『戦略プロフェッショナルの心得』では、敢えて図は一切入れませんでした。

2年ほど前に、当ブログの「図で整理する際に陥りがちな罠」というエントリーでドラッカーの話を紹介した際に書きましたように、図には罠があります。前著ではそのようなこだわりの部分を入れてみました。

しかし今回の本は、「若手ビジネスマンに、分りやすくマーケティングのエッセンスを伝える」という大方針を立てました。そこでこの方針に沿って、今回は図を多用することにしました。

そこで、この時点から本書で理論の説明に使用する図を作り始めました。図を作る際には、下記を考慮しました。

・本の狭いスペースで紹介するので、出来るかぎり大きな文字でシンプルな絵にする
・さらに、図だけでエッセンスが伝えられること
・図のキャプションは分りやすい文章にし、その文章だけで図が伝えらるようにする

このようにして、少しずつ企画案が形になっていきました。

 

 

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2009-09-27 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』、アマゾンで予約受付開始

9/29発売まであと3日。

いよいよ、アマゾンに商品登録されました。

登録すると、注文可能になった時点でお知らせメールが届くようです。

本が出版社の倉庫から出荷されるのが9月29日ですから、塩浜にあるアマゾン・ジャパンの倉庫に入庫されて、商品が登録され、データベース上で「在庫あり」になった時点で、注文可能になるようです。

アマゾンの業務プロセスはかなり自動化されているようなので、おそらく入庫数も、この「お知らせメール」の登録数で、アマゾンのシステムが機械的に判断するのかもしれませんね。

「一日も早く」という方(そういう方がおられると大変嬉しいですけど)は、もしかしたら、近所の書店の方が早く入手できるかもしれません。

アマゾンにはカバー写真や商品情報はまだ掲載されていませんので、それまでは詳しい情報はこちらをご参照下さい。

 

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『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(5):企画第1段階 (08年11月~09年1月)

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編集の方と出会った翌日から、メールでのコミュニケーションが始まりました。

まずは、新しい本がどのようなものになるか、一緒に考えてみようということになり、早速、企画案ドラフトを作ってみました。

実はこの段階では、この企画案は、今回出版した内容とは大きく異なる内容でした。

この時点では、前著『戦略プロフェッショナルの心得』の延長線上で考えました。

対象読者を「スキルは自分で身につけなければ」と常々感じてながら、マーケティングには興味はあるがなかなか敷居が高いと感じている若手ビジネスマン(=団塊ジュニア世代)に絞ってみました。

この世代は、なかなか親身に教えてくれる先輩が周りに見つかりません。本書でその役割のいくぶんかでも果たすことができればと考えました。

これを受けて目次構成を詰めていくことになりました。

おおまかな構成は、前著を基本にし、かつ簡略化していきました。つまり

Step 1:顧客を知る
Step 2:戦略を立てる
Step 3:マーケティングミックスを構築する
Step 4:実践し、結果を改善していく

前著ではビジネスキャリアプランに1章を割り当てましたが、今回、これは割愛しました。ただし、最終的には、ビジネスキャリアに関する考え方は、全編にちりばめられる形になりました。

また、方針としては、世の中の事例を謎解きしながら、マーケティング理論がハラに落ちるように学べることを狙い、コンセプトを詰めていきました。

具体的には、世の中の各種マーケティング事例を中心に、質問を設定し、それぞれに対して回答を解説していく方向性で各章立てを考えていました。例えば以下のような形です。

・なぜ、鉄道会社の事業は鉄道事業ではないのか?
・なぜ、街の電器屋が家電量販店に勝てるのか?

現時点でこの章立てを改めて見直すと、本書の構成の多くの部分が、この時点で部品として出来上がっていました。

しかし、この時点で出来上がっていたのはあくまで部品。

ブログ等で断片的に書くと、それなりにリアクションが期待できる面白い内容だと思います。

しかし、本としては、断片的なメッセージではなく、全体で統一したメッセージ性を求められます。骨太のシナリオのもとで全体最適が必要なのです。

また、このように質問を設定して答えていくタイプの本は、世の中に既に多く存在しています。

色々と詰めていくうちに、「他にはない、この本の本当の価値が一体何なのか」「そもそもの価値が明確に打ち出せていないのではないか」というジレンマに陥ってしまいました。

言い換えると、本書で言うところの

『本書のバリュープロポジションが明確でない』

という点に尽きました。

(1). 対象とする読者が誰なのか、
(2). その読者が抱えている課題が何なのか、
(3). その課題に対して本書がどのような価値を提供できるのか

(1)/(2)はある程度明確にしていましたので、(3)について、改めてしっかりと定義する必要があると感じ始めていました。

企画の第一段階は、行き詰まってきました。

 

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2009-09-25 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(4):ある出会い

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

昨年10月下旬に、一通のメールが届きました。

オルタナ・ブロガーのKさんのご紹介で、秀和システムの編集者の方からでした。

私が昨年出版した自費出版の本を読んで興味を持って下さり、意見交換を兼ねて、お話しの機会を持ちたい、ということが書かれていました。

 

10日後の平日の夕方、表参道のカフェでお会いしました。

世間話から入り、非常に様々な話をしました。当然のことですが、私の本についても話をしました。

話の詳細は割愛しますが、編集について非常に経験豊富な方で、よりよい本にするためには、プロの編集者の眼力が必須であることを再認識しました。

お会いした結果、どのような形で一緒に本の企画が出来るかを、今後メールでじっくり話していこう、と言うことになりました。

 

その後、この編集の方とは、10ヶ月に渡って毎日のようにメールをやり取りを通じて、本の中身についてアドバイスをいただきながら、書き進めていくことになります。

10ヶ月間のメールのやり取りを通じて、編集者と著者は、スムーズなコミュニケーションが出来ることが必要であることがよく分りました。

特に、私のように平日は勤務先で仕事をしているビジネスマンは、平日に編集の方と会議を行うことはほぼ不可能です。

現代、ビジネスマンが仕事以外で何かを行う場合、メールによる円滑なコミュニケーションを行えるスキルを持っていることは、必須ということなのでしょう。


 

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2009-09-24 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(3):そもそもどんな本なのか?

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら

 

さて、本書が生まれる経緯をご紹介する前に、そもそも、本書がどのような本なのかを、もう少し詳しくご紹介します。

こちらにあるように、この本は、法人向けマーケティングについて物語仕立てで分かりやすくまとめたものです。

分かりやすい法人向けマーケティングの本を求める潜在ニーズは高いものの、そのような本は世の中にはほとんど存在しませんでした。本書は、このようなニーズにお応えするものです。

 

主人公は、宮前久美という、中堅会計ソフト会社A社の商品企画部・主任(33歳)です。

宮前久美は、10年間セールスを経験したあと、「顧客に役立つ大ヒット商品を生み出したい」という夢を叶えるために、商品企画部に異動しました。

しかし、宮前久美はセールスとして現場のビジネス経験は持っていますが、マーケティングのことは全くの初心者。異動先の商品企画部で会話される言葉すら分らない状態です。

そんな中、親戚の集まりで叔父の与田誠と出会います。そして、大手企業マーケティング部長を経て大学院でマーケティングを教えることになった与田誠から、早朝のカフェで、マーケティングの実務についてコーチングを受けながら成長していく、という設定です。

移り変わる四季とともに、主人公の宮前久美が様々な難問に突き当たり、悩みつつ、顧客視点による気付きを得ながら、課題を解決し成長する様子が描かれています。

 

また各章では、メンターである与田誠による解説が用意されています。図を活用し、宮前久美が直面している問題に沿った形で、様々なマーケティング理論が分りやすく解説されています。

下記は、本書で紹介しているマーケティング理論の例です。マーケティング担当者としては、「一通りこれだけは押さえておきたい」というものを選んでいます。

・顧客視点からの事業の定義
・3C分析、ポーターの5つの力
・推測統計
・バリュープロポジションと、その落とし穴
・顧客満足の構造
・市場ポジションと競争戦略、規模の効果、経験曲線
・ブルー・オーシャン戦略
・KBF (主要購買決定要因)、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング
・チャネル戦略の考え方
・価格の考え方、コスト基準型価格設定と価値基準型価格設定、EDLP(エブリーデイ・ロープライス)戦略、コスト・リーダーシップ、コストと価格の考え方
・価値認識プロセス、コミュニケーションのプロセス、IMC(統合マーケティングコミュニケーション)、コミュニケーションミックス
・イノベーター理論とキャズム理論
・対症療法と問題解決の違い
・クリティカルシンキング (演繹法と帰納法、因果関係、相関関係、MECE)、仮説検証とPDCA
・データによる問題の深掘りと原因分析の実例
・現場における問題の深掘りと原因分析の実例

本書は物語仕立てで分りやすく書いてはいますが、内容はMBA入門レベルです。

 

下記は、本書のオビからの引用です。本書の内容が垣間見えてくるかもしれません。

 

意外と知らない、真の顧客志向とは?

「ウチの会社の事業とは、ソフトウェア開発販売業だ」

「新商品は、顧客の要望をすべて網羅した上で、企画する」

「利益を削って誠心誠意値引きをすれば、お客様は満足だ」

「売上がのびないのは、きっと競合が激しいからだ」

→実は全て間違いです!

 

【本文より引用】

『競合よりも顧客のことを最優先で考えるべきだ。競合のことばかり考えて戦略を立てていたら、競合の出方次第で戦略が変わってしまう』 (2-2章より)

『頻繁に値引きすることと、大安売りすることは、似ているようで、まったく意味が違う』 (4-2章より)

『「売れていないのは、売っていないからだ。だから売るのだ」というロジックは堂々巡りだ。このロジックのどこにも原因はない』 (5-2章より)

 

【まえがきより抜粋】
本書は、法人向けマーケティングについて物語仕立てで分かりやすくまとめたものです。世の中にあるマーケティングの本は丁寧に理論を書いているものが多いのですが、初心者には敷居が高く、実務でのイメージが今ひとつ湧かない面もあります。また、多くの企業は法人顧客に対してビジネスを行っていますが、世の中にあるマーケティングの本の多くは消費者向けです。これはマーケティング理論が消費者市場で発展してきたことも理由でしょう。分かりやすい法人向けマーケティングの本を求める潜在ニーズは高いものの、そのような本は世の中にはほとんど存在しませんでした。本書は、このようなニーズにお応えするものです。

 

次回は、本書が生まれるきっかけをご紹介します。

 

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2009-09-22 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(2):自費出版から商業出版へ

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーはこちら

 

昨年9月に『戦略プロフェッショナルの心得』を自費出版しました。

この本を出す前から本を出したいと考えておりましたが、商業出版の機会は全く訪れませんでした。

私は本を出した実績がありませんし、どのような内容でどのような文章を書くか、出版社の編集者側からも分らない。当然のことです。

 

一方で、昨年の5月、費用の点と販売・配送の点で、自費出版の敷居はとても低くなっていることが分りました。

そこで昨年、自費出版にチャレンジすることにしました。

約70万円の費用をかけて、昨年9月に2,000部が完成。1年後の現時点で1,000冊を販売または配布しました。

費用は回収できていませんが、自費出版して心からよかったと思っています。

この時の経緯はブログで連載しました。こちらでもご覧になれます。

出版1ヶ月後の状況については、こちらに書かせていただきました。

 

自費出版して感じたことは、「本は名刺代わりになる」ということです。

本は、その人がどのようなことをやってきて、どのようなことができるのかを、何よりも雄弁に語ってくれます。

本を出版したことで、それなりにマーケティングの専門家として見られるようになりました。

一方で、商業出版したいという気持ちはずっとありました。

 

ここで、自費出版と商業出版の違いを考えてみたいと思います。

■商業出版■
・初出版のハードル:高い。実績が必要
・著者の費用負担:なし
・編集・デザイン:プロの編集者と相談して決める
・著者の収益:印税(一般的に8-10%)
・配送・販売:一般書店・ネット
・プロモーション:出版社が実施
・在庫・入庫管理:出版社

■自費出版■
・初出版のハードル:容易。費用負担のみ
・著者の費用負担:数十万円~100万円
・編集・デザイン:自己責任
・著者の収益:定価の2-3割程度
・配送・販売:現実的にアマゾンの委託販売制度「e託販売」のみ
・プロモーション:自己責任
・在庫・入庫管理:自己責任

このように考えると、『戦略プロフェッショナルの心得』を自費出版したのは、「まず自分の本を世の中に出す」という意味では正しい選択だったと思います。

 

しかし反省点もありました。

「本当に出版社が出した本のようだ」

とよく言われました。言い換えると、あくまで「素人が作った自費出版にしては、すごくよい」なのです。

本書のコンテンツ自体は、それなりの内容のものだと、今でも思っています。

しかし、この連載で後程紹介しますが、編集のプロの目から見ると、書籍全体のデザイン、タイトル等、まだまだ工夫できる余地があることが後で分りました。

また、アマゾンのみでの販売であることも、販売上のネックでした。

書店での取次をお願いし、2店舗で取り扱っていただきましたが、他にも仕事を持っているビジネスマンにとっては、自費出版のプロモーションには時間をかけられません。

 

「この自費出版を土台に、商業出版に繋げたい」と思うようになりました。

 

 

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2009-09-21 | カテゴリー : 商業出版 | 投稿者 : takahisanagaicom

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(1):まえがき

自費出版で本を出し、1年後に商業出版で本を出す、という経験をしている人は、もしかしたら少ないかもしれません。

 

既にご紹介の通り、9月29日に秀和システム様より、2冊目の本『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が出版されます。(近日中にアマゾンで注文可能になる予定)

この本は、昨年自費出版した『戦略プロフェッショナルの心得』がベースになっていますが、中身は全く違う本になっています。

 

私は一般企業に勤める普通のビジネスマンです。

本を書く特殊能力を持っている訳ではありません。

本を出すための特殊なコネを持っていた訳でもありません。

平日はかなり忙しく仕事をしていますので本を書くためのまとまった時間もありません。

合唱団の事務局長や同窓会役員等をやっているので、プライベートで本を書くために使える時間は、普通の方よりも、むしろ少ない方かもしれません。

そのような普通の会社員である私が、どのようにして商業出版で本を上梓できたのかを、昨年同様、まとめてみたいと思います。

将来、本を出したいと考えるビジネスパーソンがどれだけ世の中にいるか分りませんが、このような方々のご参考になればと思います。

 

さて、昨年上梓した『戦略プロフェッショナルの心得』は、企画から出版まで4ヶ月間で完成しました。

この時の自費出版した経緯はブログで連載しました。こちらでもご覧になれます。

一方で、今回の『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』は、ベースになる前著があったにも関わらず、2.5倍の10ヶ月間かかりました。この10ヶ月間のうち企画段階で半分以上を使いました。

今回の本は、かなり内容が濃く、かつ読みやすい本に仕上がったと思いますが、恐らくこの企画段階にしっかり時間をかけたことが、その理由だと思います。

では、どのような形で企画を進めていったのでしょうか?

次回から、本書の企画に入るまでのことを順を追ってご紹介したいと思います。

 

尚、この連載のバックナンバーは、こちらのカテゴリーでご覧になることができます。

 

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【画像付き】『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』、サンプル本が出来ました

本日、出版社の秀和システム様でサンプル5冊を受け取りました。

表紙はこんな感じです。

Book200909182

思えば、本書に昨年11月に取り組み始めてから10ヶ月、実際に実物の本を手に取ってみると、感無量です。

帰りの電車では、既に校正段階で何十回も読み直した文章を、また新鮮な気持ちで読み直してしまいました。

発売は11日後の9月29日、価格は1500円(税別)です。

(2009/9/19 10AM更新: オビ付き画像に差替え)

 

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9月末、『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』を出版します

このブログで時々紹介したり、Twitterで時折つぶやいていたりしましたが、2冊目になる本、

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』

いよいよ9月末に、秀和システム様より発売されることになりました。

この本は30代から40代のマーケティング担当者や商品企画担当者向けに書いた本です。

世の中には、初心者には敷居が高く、実務でのイメージが今ひとつ湧かないマーケティングの本が結構あるのではないでしょうか?

また、多くはマーケティングの本は消費者向けです。しかし、実際には多くの企業は法人顧客に対してビジネスを行っています。

分かりやすく法人向けに書かれたマーケティングの本を求める潜在ニーズは高いものの、そのような本は世の中にはほとんど存在しませんでした。

本書は、このようなニーズにお応えするものです。

中堅の法人向けソフトウェア会社で商品企画を担当することになった「宮前久美」という30代の女性が、大学院でマーケティングを教えることになった叔父の「与田誠」から、朝のカフェでコーチングを受けながら、仕事を通じて成長していく物語です。

主なマーケティング理論についても、図を使いながら、与田誠が解説していきます。内容的にはMBAの入門レベルです。

以下の章から構成されています。

・1 あこがれの商品企画部へ異動!

・2 実は顧客が見えていなかった!?
・2-1 ウチの事業って、何だろう?
・2-2 ライバルの分析だけでは不十分
・2-3 絶対ではない数字
・2-4 差別化のカギは、バリュープロポジション

・3 見えそうで見えない顧客
・3-1 ショック!顧客第一主義のウチが、価格が高いライバルに負ける
・3-2 業界1位のライバルに価格勝負してはいけない
・3-3 歯医者さんから、「顧客にとっての真の顧客価値」を学ぶ
・3-4 顧客が見えると、全てが見える

・4 製品を生み出すのに、走り回る
・4-1 他社がわざわざ商品を売ってくれる理由
・4-2 実はとても怖い値引きの誘惑
・4-3 広告で目立てば勝ち?
・4-4 なかなか売れない、大反響の新商品

・5 本当の原因を見極めて、売れない壁を突破せよ
・5-1 対症療法では、問題は解決できない
・5-2 売れていないのは、売っていないから??
・5-3 事実が語ってくれること
・5-4 問題の本質に迫る、そして…

・あとがき
・本書で紹介しているマーケティング理論のまとめ
・さらに深くマーケティングを理解するための30冊

 

ベースになったのは、昨年の同じ時期に上梓した

「戦略プロフェッショナルの心得 -ビジネスの現場で、理論だけの戦略が実行できない理由」

ですが、新しい考え方をかなり取り入れ、ストーリーも全く組み替えました。

出版されましたら、また当ブログでご紹介いたします。

 

時期を見つけて、このブログで、時期を見つけてどのように本書が生まれたのかを順を追ってご紹介していきたいと思います。

 

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