「仕事=やりたいこと」でないという悩み


やる気

 

「『仕事=やりたいこと』であるべきだ、という話ですが…。なかなか仕事がうまくいかないことも多くて、現実は難しいですね」

「お客様が買う理由を、いかに作るか?」という講演で、「やりたい仕事をすることで、知的生産性も高まり、より高い価値を生み出せるようになる」というお話しをした後、こんなご質問をいただきました。

たしかに実際のビジネスの現場では、当初から「仕事=やりたいこと」になっていないことがほとんどです。では、どうすればいいかか?

 

必要なのは、「目の前のお客さんに喜んでいただく」状態に持って行くことではないでしょうか?

4ヶ月前に当コラムでご紹介した、朝市で佃煮を10年間売り続けているおばあちゃんも、自分たちが作っている佃煮をお客さんが喜んで買ってくれることで、「仕事=やりたいこと」になりました。

外部のお客様に接することがない、内勤の仕事でも同じです。

たとえば私は、日本IBMに勤務していた最後の2年間、50歳を過ぎてから人材育成を担当していました。「目の前のお客さん=事業部の社員」です。マーケティング戦略を15年間担当した後でしたので、人材育成の仕事は全くの畑違いの仕事。率直に言って、当初は必ずしも「人材育成=心からやりたい仕事」とは言えませんでしたし、慣れない仕事で最初はなかなかうまくいきませんでした。

しかし社員の皆さんのスキル向上に役立つ人材育成プログラムを企画して実施し、次第に社員から「自分のスキル向上に役立った」「こんな研修を受けたかった」と喜んでいただくようになったことで、「人材育成=心からやりたい仕事」だったと気づきました。2013年に独立後、現在は人材育成の仕事が会社の大きな柱になっています。私の場合、50歳を過ぎてから「人材育成=心からやりたい仕事」とわかったのですね。

多くの仕事で、「目の前のお客さん」は必ずいます。
そのお客さんに、いかに喜んでいただくか?
それが「仕事=やりたいこと」になる大きなきっかけになります。
その原点が、「お客様が買う理由」を徹底的に考えて、お客様に検証すること。

 

たとえ全体の5%でも心から喜んでいただけるお客様がいることが、「仕事=やりたいこと」になるきっかけになり、喜んでいただけるお客さんを増やしていくことで、次第にビジネスが拡大し、世の中にも貢献していけるのではないでしょうか?

マーケティングの方法論を学び、日々実践することで、「仕事=やりたいこと」になっていくのです。