厳しい消費者が集まる日本は、グローバル企業から見ると魅力的な市場


2014/9/4、英ダイソンが世界に先駆けて日本でロボット掃除機を2015年春に先行販売すると発表しました。

2014/9/5に日本経済新聞に掲載された記事『ロボ掃除機 ダイソン参入 まず激戦日本に 「ルンバ」は値下げで対抗』によると、下記の通りです。

—(以下、引用)—

…2015年春に世界に先駆けて日本で売り出す。今秋から日本の消費者と商品改良に取り組み、性能に磨きをかける。

…ダイソンが日本で先行発売するのも消費者の目が厳しい市場で商品を磨き上げるためだ。9月から日本の消費者のモニターを募集し、発売前に準備期間を設けて商品の最終調整をする計画だ。日本市場で磨いた商品で世界市場に挑む。

 記者会見した創業者のジェームズ・ダイソン氏は「日本の消費者は技術を重視する。ロボット分野でも世界トップクラスの地域だ」と語った。

…国内総代理店セールス・オンデマンドの室崎肇社長は「品ぞろえの半分は日本独自仕様だ。排気フィルターの採用など日本の消費者の意見がグローバル商品の開発に生かされている」と話す。

—(以上、引用)—

ダイソンだけではありません。

数ヶ月前に当ブログで書いたエントリーでご紹介した通り、東洋経済オンラインに2014/4/1に掲載された記事『自動掃除機で独走状態、「ルンバ」強さの秘密 アイロボットCEOの描く「10年戦略」とは』でも、アイロボットのコリン・アングルCEOの次の言葉が紹介されています。

—(以下、引用)—

アングル氏は、「日本の顧客を幸せにできれば、世界中の顧客を幸せにすることができる」と言う。開発テストでは、畳の上をはだしで歩いて、細かい粒状のゴミが感じられないかをチェックした。

—(以上、引用)—
 

また、2014/9/6の日本経済新聞の記事「3M、革新は日本から 100%子会社で始動 医療・防災 課題バネに個性派商品」では、米スリーエム(3M)が住友スリーエムを全額出資に切り替えて、日本市場を重視する戦略を進めることが紹介されています。

—(以下、引用)—

….あえて人口減に直面する日本市場に挑み、発想力を鍛える。

….「新興国経済が減速する中で先進国は重要。日本発のイノベーションを世界に広げたい」(インゲ・チューリン会長兼最高経営責任者)との思いがある。…

 「高齢化は大きなビジネスチャンス。電力問題もそう。世界全体で電力不足になる可能性もある」。チューリン氏は課題先進国である日本市場の重要性を強調する。

 ….活気ある研究風土はそのままに、競争激しい日本で発想力を鍛える狙いがある。

—(以上、引用)—

スリーエムもまた、課題先進国・日本が発想力を鍛える場であると捉えています。

 

ネスレ日本も、日本独自のビジネスモデル「ネスカフェ・アンバサダー」を作り上げました。全世界でのネスレグループ展開の可能性もあります。→リンク

 

このように多くのグローバル企業が、消費者の目が厳しい日本市場に注目しています。

なぜか?

それは現在のビジネスでは、顧客の課題をいち早く見つけ、他社に先駆けて解決策を提供することが、差別化の大きなカギだからです。

グローバル企業は、厳しい消費者がいる日本市場で課題と解決先を検証し、それをグローバルに展開するというサイクルを回すことで、常に商品の高付加価値を維持できるのです。

 

一方で日本企業は、国内でこの厳しい顧客の課題に正対し解決策を作り上げているという点で、世界のライバルを先行しています。

解決策を、いかにグローバル展開するか?

日本で培った強みをアジア各国のユーザーにきめ細かく対応することで展開し、12年で売上を3倍に成長させたユニ・チャームなど、事例もたくさん出ています。

自社の強みは日本市場で徹底的に磨き上げて、その強みを世界各地の要望に細かく合わせて提供することがカギなのかな、と思います。