モーツァルトと、写真と、ビジネス

先日ご紹介した合唱の演奏会では、モーツァルトのレクイエムと魔笛の練習を半年間続けました。

この練習の際に、指揮の先生が「モーツァルトの書簡」について何回かお話されました。

モーツァルトが友人に宛てた書簡の中に、「どのような状況であっても、音楽は美しく楽しいものでなければならない。他人に不快な思いをさせてはならない」という文章があります。

晩年恵まれなかったと言われる状況で生み出された作品でも、モーツァルトの音楽は、低音でもあくまで清らかに、高音でも割れずに、早いテンポでも絶妙なリズムやハーモニーを保っています。

大変僭越ですけれども、私のライフワークである写真に対する考え方と全く同じである、ということに気づき、「ナルホド!」と思いました。

土門拳の流れをくむリアリズム写真は「絶対非演出の絶対スナップ」という方法論を掲げています。私もこれには全く同感で、写真に作為を行うことには強い抵抗感を持っています。

一方で、「人様に見せる写真は美しくなければならない」とも思っています。

モーツァルトの書簡をきっかけに改めて考えてみると、写真をセレクションする私の基準の一つは、「この作品は美しいかどうか?」

現実と格闘しているジャーナリストやドキュメンタリーの写真家からすると、この考え方は大きな違和感があるかもしれません。岡本太郎も、「芸術とは美しくあってはならない」と言っています。

一方で、戦場ドキュメンタリー写真でも、ナクトウェイのように深い芸術的な美しさをたたえた写真もあります。ナクトウェイ自身、現場で命をかけて格闘していますが、このような写真には本当に心を動かされます。

世の中は、モーツァルトが大好きという人と、モーツァルトはあまり好きでないという人に分かるようですが、その根本には、人生観の違いがあるように思います。

この人生観の違いは、ビジネスの世界でも存在するのかもしれません。

プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー7つの心得

今日は日曜日。WBC日本・韓国戦をずっと見ていました。日本、強かったですネ!

ということで、今回は仕事から離れて、プライベートの話です。

プロフィールにある通り、私のライフワークは写真です。本業は写真とは全く関係ない仕事ですが、私にとって写真は自己表現の一つの形であり、仕事と写真はお互いにいいバランスを保っています。ちなみに作品はこちら

1989年に初の本格的な個展をキヤノンサロン銀座・札幌・名古屋で開催してから、様々な形で個展を通じて写真を発表してきました。2003年には、恐らく日本で初となる大規模浴場での写真展を、3箇所同時開催しました。

一方で、インターネットが今ほど普及していなかった1994年から3年間、当時普及していたパソコン通信で写真のBBSの管理人をさせていただきました。これが私とネットコミュニティの出会いでした。いきなり管理人でのネットコミュニティへのデビューでしたが(^^;) この3年間は、ネットと関わる心得を叩き込まれるとともに、ネットの素晴らしさと可能性を信じるに至る原体験になりました。

1996年からは、ホームページで写真の発表を始めました。今では考えられないことですが、当時は日本全体で写真サイトは100サイト以下だったように記憶しています。ホームページ作成ソフトもほとんど存在しておらず、他サイトのソースを見て、試行錯誤しながらテキストエディターでhtmlタグを直にタイプしてHPを作っていました。

2004年からは、写真に関する考え方をメルマガで発信し始めました。以前からHPでアマチュア向けの写真展開催ガイド等も掲載していたのですが、本業を別に持ちつつ写真をライフワークとする生き方を自分なりにまとめておきたい、と考えたのがきっかけです。

ということで、2004年1月から2005年10月まで、『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』というメルマガを配信させていただきました。

このメルマガは、「ライフワークは写真」と考える方々を対象に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方を提案することを目的に、以下の7つの心得を順番に紹介しました。

 

【第一の心得】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている

【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分だけのテーマを追い続け、撮り続ける

【第三の心得】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし、機材には溺れない

【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている

【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品セレクションが撮影以上に大切と知っている

【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る

【第七の心得】そして何よりも、写真を楽しむ

 

考えてみると、「写真」という言葉を別の言葉に置き換えると、様々なモノに当てはまりそうです。例えば「音楽」、例えば「仕事」、等々….。

もしご興味のある方は、こちらのバックナンバーをご覧下さい。

また、作品も壁紙にして「メルマガ「風の写真館コレクション」で隔週配信しています。ご興味のある方はこちらもどうぞ。