自費出版の道#06: テーマを決め、順調に書き始める。が….?

前回書きましたように、本を自費出版する方法は分かりました。

次に、どのような本を出すのか、を決める必要がありました。

写真の本でしたら、既に本にまとめることを念頭に章立てを考えてメルマガで書いてきましたし、章立ても構造化されているので、すぐに出版可能です。

ということで、当初は写真の本を出すことを考えていました。

しかし1週間ほど時間をかけて考えているうちに、単にメルマガで出した内容をそのまま書籍にまとめる、というのは、あまりクリエイティブな作業ではないように思いました。

一方で、本業のマーケティングについてはブログで散発的に書いているだけで、まだ分かりやすい形でまとめていません。

ブログでは、企業の現場で実際にビジネスに関わっている立場で考えたマーケティング戦略について書いています。

これを戦略論と関連づけて構造化すると、今までにない、新しいタイプのマーケティング戦略の本が出来るのではないか、と考えました。

実際、ビジネスの場で、戦略をしっかり立てて、それを実践するのは非常に困難です。

さらに困難なのはそれを仮説検証して進化させていくことです。

これらは、実際に仕事を通じて肌で学んできました。

この経験を本にまとめると、同じ課題に突き当たって頑張っている方々にとって、少しでも参考になるのではないか、と思いました。

そこで、今回初めて出す本は、ブログで書いてきた内容をベースに、マーケティング戦略をテーマに書くこととし、6月はじめから書き始めました。

 

最初に章立てを決めました。

この章立ては割とすんなりと決まりました。

大きく分けると4つの部分に分かれます。

■戦略策定の部分:
市場・顧客理解と、戦略構築の章から構成されます

■戦略実践の部分:
いわゆるマーケティングの4Pと言われる、「製品開発」「チャネル開発」「価格付け」「プロモーション」の章から構成されます

■仮説検証の部分:
戦略策定と実践を結びつける部分で、PDCAを回す部分です

■キャリアプランの部分:
プロフェッショナルとしてキャリアプランをどのように考えるかを述べた部分です

この基本構成は最後まで変わりませんでした。(最終的に、校正時点でアドバイスをいただき、「キャリアプラン」の前に「戦略の定義」の章を加えました)

 

この章立てに則って、ブログから材料を切り出すことになります。

マーケティングのテーマに関するブログのエントリーをテキストデータに落とし、エントリー毎に部品化し、Wordの一つの節とし、目次を作り、目次上の章のタイトルの流れをチェックしながらストーリーの妥当性を検証しました。

おおまかに流れを作った上で、足りない部分と重複する部分を見極め、場合によっては全体の構成の中で足りない部分は書き足し、重複する部分は削除し、作っていきました。

既にブログのエントリーがあることで生産性は大変高く、作業はサクサク進みました。

「思ったよりも、ずっと早く簡単にできそうだ。7月には出せるかも」

….と思いました。

が、実は….。

自費出版の道#05: きっかけ

今年になり、「本をどうやって自費出版するかなぁ」とぼんやり考え始めたある日のこと。

きょこさんのブログ「ベストセラーは自費出版からスタートすることもあるのですよね」を読んで、アマゾンのe託販売サービスを知りました。

アマゾンが販売委託、在庫管理、配送管理まで全て面倒を見てくれて、定価の60%が収入になる、というシステムです。

「もしかしたら、これで自費出版で一番困っていた問題を解決できるのではないか?」

目の前がちょっと開けた感じがしました。

その直後の5月、印刷業を営んでいる知人の会社に遊びに行きました。

オフィスで世間話をしているうちに、知人の友人の方がこの会社から様々な本を自費出版していることを知りました。コストも思ったよりも安いものでした。

頭の中で、両者が結びつきました。

なんのことはない、何も書店に置く必要なんて全くないのだ。

自分でとりあえず本を印刷・製本し、それをアマゾンで売ればいいのではないか。

そして、気がついたら、「本を出そう」と気持ちが固まっていました。

自費出版の道#04: 溜まっていくコンテンツ

前回および前々回でご紹介したように、書籍の出版について試行錯誤は続いていました。

その一方で、もともと文章を書くのは好きだったこともあり、ブログやネットで書いているコンテンツは少しずつ蓄積されていきました。

前々回にご紹介したメルマガ「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!」

・2004/1から2005/10まで約2年間かけてメルマガで配信。

・ちょうど書籍1冊分のボリューム。七部構成。

・技術論ではなく、ハイ・アマチュアを対象に、写真に関わっていく心得をまとめたもの。

・類似書はない。

・配信数に比べて、読者からの反響も大きく、かつ深い→読者の声はこちら

・しかし、どの程度のニーズがあるか見極められない。

 

■本ブログ(「永井孝尚のMM21」)

・元々、マーケティングについて書こうと思って始めたもの。

・その後、外資系企業での勤務体験に基づいて、昔から考えてきたグローバル化の中での日本のあり方についても書くようになった。

・また、ビジネス・スキル系の話も書いている。

・この結果、主に「マーケティング」「ビジネススキル」「グローバライゼーションと日本」の3テーマでコンテンツが溜まっていった。

結果的に、2007年末の時点で、写真関連で1冊分、ビジネス関連で3冊分のコンテンツが、ウェブ上に溜まっていました。

一方で、「本を出したい」と思い始めた10-15年前には自分でも若いと思っていた私も、今年1月をもって40代後半です。

「もし出版社経由の出版が無理ならば、自費出版でもよいので、何らかの形で自分の考えを本にまとめ、世の中で同じ悩みを持ってきた方々に対して発信していきたい」

と思うようになりました。

しかし、販売チャネルが常にネックでした。

「売れなくても、とりあえず100部でもいいから、作っちゃおうかな?」

「でも100万円くらいはかかるかなぁ。元手がなぁ」

とも考えはじめましたが、きっかけが得られず、なかなかふんぎりがつきません。

そうしているうちに、2008年を迎えました。

自費出版の道#03: 初出版への道は、イバラの道(2)

前回、主に写真関連を中心に、書籍を出版するための試行錯誤について書きました。

今回は、共同執筆のアプローチについて書きます。

その後、オルタナティブ・ブログに参加させていただき、主にビジネス関連の話題について投稿するようになりました。

よく、ブログを書いているうちに出版の話が来た、という話を聞きますが、実際には出版の話は来ませんでした。

やはり「ブログを書くと、出版の話が舞い込む」というのは、才能がある一部の方に限った話なのでしょうか?

 

そんなとき、なぜ、新製品が売れないのか?というエントリーを書いた際に、けんじろうさんから、「とてもためになるので、本でも出しては?」というコメントをいただきました。山口さんからも同様のコメントをいただきました。

これはやはり嬉しかったですね。

やりとりを行っているうちに、「共同出版という方法もあります」という話になりました。

確かに、オルタナティブ・ブログでは、マーケティングの専門家がたくさんいます。

「マーケティングのテーマで、複数ブロガーで共同執筆する提案を出版社に行うと、もしかしたら、出版の話も通るかもしれない」

と思い、けんじろうさんはじめ、数名の方にお声を掛けさせていただきました。

たいへんありがたいことに、皆さん、賛同いただきました。

5-6名が集まり、全体の章立てとテーマ、担当するブロガーの方を仮決めし、「そろそろ開始かな」と思った頃、ある方からアドバイスをいただきました。

・人数が多いと、単なる寄せ集めになってしまう危険性あり。

・少人数に絞って、しっかりベースラインを決めるべき。

舞い上がっていた頭を、「ガーン」と殴られたような感じでした。

確かに指摘の通り、書籍のように、一つのテーマに収束させて読者にアピールするモノを作る場合、プロジェクトの人数が増えることは必ずしも有利ではありません。

「人数を絞ってテーマを決める」アプローチを取った場合、この方針が受け入れられるのかどうかは未知数です。

しかし、そもそもお互いに対等であるブロガーのコミュニティで、トップダウンでテーマを決めるのは合いません。

テーマについて意思統一を図るためには、オフラインで何回かブレインストーミング的なことを行った上で、方向性について腹に落ちるようにする必要があります。

なぜなら、各メンバーのクリエイティブな成果を集め、かつ、それらがお互いに相乗効果を持つようにする必要があり、このためには、各メンバーが心から納得した方針を合意した上で進める必要があるからです。

しかし、お声をかけたブロガーの皆様は、マーケティングについて非常に深い洞察をお持ちであることは間違いないのですが、みなビジネスバックグラウンドが異なる方々です。

しかも皆様、きわめて多忙です。

まず、意思統一が図れるのだろうか?

いや、そもそもきわめて多忙な方々が、オフラインで何回も会うことが可能なのだろうか?

自分の考えの甘さを痛感しました。

本来、少々困難があっても進めるべきだったかもしれません。

しかし、本を書くだけでも大変なのに、さらにその上にある課題は山積みです。

「この問題、どのように解決しようか?」

「忙しいのに巻き込まれる方々も迷惑ではないか?」

「そもそも、このようなことの調整で時間を使うのであれば、各自が自分達で書いた方が速いのではないか?」

と考えているうちに、時間が過ぎていき、残念ながらこの話も立ち消えになりました。

自費出版の道#02: 初出版への道は、イバラの道(1)

実は私、以前より本を出したいと思って、色々試みてきました。

とは言っても、今回のような仕事の本ではなく、写真の本や写真集です。

今回はそのことを書きます。

10年以上前から個人のホームページに写真作品を掲載していたこともあり、出版社の方から「素晴らしい写真なので写真集を出版させて下さい」というお声をかけていただいたことも何回かありました。

中には、それなりに名前が通った出版社もありました。

しかし、よく話を聞いてみると、すべて「ただし当社としてもリスクがあるので初版の費用は折半でお願いします」という話。

「リスクを折半する」とは言うものの、100-200万円程度の持ち出しになります。

実は、自費出版の営業でした。

考えてみると、いくら素晴らしい写真であっても、無名のアマチュア写真家に対して、出版社が自社負担で出版に応じることはあまり考えられません。

そこで、費用折半での出版を提案することが多いようです。

厳しい出版業界としては、何とかしてリスクを下げたい、という苦肉の策なのでしょう。

一方でこの方法は、書店に置いていただける可能性があることを除けば、実態は自費出版と同じです。

やはり「ちゃんとした形で出版したい」との考えがあったので、この手のお話は丁重にお断り致しました。

 

また、ある知り合いの作家の方にお骨折りいただき、出版社の編集の方をご紹介いただいたこともありました。アポを取っていただき、出版社まで写真のプリントを持って出かけました。

写真を一通り見ていただき、「せっかくの○○さんのご紹介だし、難しいですけど色々とアイディアがあるので、検討してみましょう」ということで、ある有名作家の小説と組み合わせた出版を提案してみます、とのご返事をいただきました。

しかしその後、こちらから何回か問合せをしましたが、ご返事がありませんでした。

この編集者の方、大変忙しい方でした。自分の手持ちの緊急案件だけで手一杯で、このような話をフォローするのは難しいのでしょうね。貴重な時間を割いて話を聞いていただいただけでありがたかったです。

 

一方で、雑誌に記事を掲載する機会はいくつかいただきました。

例えばレンズ評価記事を学研の写真雑誌「CAPA」のムック本に掲載いただいたり、写真展開催のノウハウをCAPAの月刊誌に掲載いただいたこともありました。

自分の文ではありませんが、写真展を開催した際に、インタビュー記事を写真雑誌に掲載していただいたこともありました。(ちなみに、記事のリンク先には、私の15年前の写真が乗っています。若いです)

しかし、これがなかなか拡がりませんでした。

「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!」というメルマガで、1年間半かけて本一冊分の分量を書いたこともありました。

写真の技術面に関する本は多いのですが、これはアート的プロフェッショナル・フォトグラファーとしてのアマチュア写真家の心得を書いたもので、今まで世の中にはない内容でした。

よく、「メルマガを書いていたら本の出版の話が舞い込んだ」という話を聞きますが、このメルマガの場合は読者の方々から反響は結構あったものの、書籍化の話は来ませんでした。

他にも、パーティ等で出版社の方と知り合いになると、勇気を出して「本を出してみたいと思っているのですが」と、写真のテーマ以外にも、マーケティングの話や、戦略の話、ビジネススキルの話、グローバル化と日本の話等、懐に暖めている企画をお話しするのですが、なかなか実現化しません。

常にネックになったのは、まだ出版した実績がないことです。

考えてみれば当然のことで、全くネームバリューがない、海のものとも山のものとも分からない人間の本を、リスクを取って出版する必然性は、出版者側には全くありません。ビジネスとして、当然のことです。

そのようにして、時間は過ぎていきました。

自費出版の道#01: 今度、初めての本を出します

ここしばらくブログを書けませんでした。

こちらに書きましたように、実はこの2ヶ月間、本を書いていたためです。

5月下旬から、主に早朝と夜、および週末に書いてきました。昨夜最終原稿を印刷会社に入稿しました。

これから版下作成、校正、印刷、製本等を経て、9月上旬に出版予定です。

タイトルは以前ご紹介したものから若干変更し、

戦略プロフェッショナルの心得
 - ビジネスの現場で、理論だけの戦略が実行できない理由 -

としました。

この本、いわゆる自費出版ですが、従来の自費出版と比べると、ちょっと変わった形で世の中に出る予定です。

一種の「自費出版革命」になる可能性があるかもしれない、と思っています。

そこで、これから何回かに分けて、どのようにこの本を作ってきたかを連載形式で紹介していきたいと思います。

いろいろと事情があって、現時点で全貌は書けませんので、何が変わっているのかは、連載が進むにつれて少しずつわかってくると思います。

「ブログで書いてきた内容を本にまとめたいけど、なかなか機会がない。」

そんなブロガーの方々、多いと思います。

私自身、そのような一人でした。

これからご紹介していく内容が、本を出したいと考えておられる方々のご参考になれば大変うれしく思います。

また、「こんなことが知りたい」、「これはこうした方がよいのではないか」、「これはどういうことか?もう少し知りたい」というようなご意見がありましたら、できる限り反映させていきたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。