先日当ブログでもご紹介した新著英語版は、日本発グローバル向けの本なのですが、個人出版なので、自分でプロモーションしていく必要があります。
そのために必要なのは、コミュニケーションサイト。
そこで、Facebookのファンページに作ってみました。
どれだけ効果があるものなのか、まだ未知数です。
個人でこのようなことを行っている人はまだ少ないと思いますので、色々と経験を積んでみたいと思います。
尚、英語版をレビューして下さる方は、まだまだ募集中です。
先日当ブログでもご紹介した新著英語版は、日本発グローバル向けの本なのですが、個人出版なので、自分でプロモーションしていく必要があります。
そのために必要なのは、コミュニケーションサイト。
そこで、Facebookのファンページに作ってみました。
どれだけ効果があるものなのか、まだ未知数です。
個人でこのようなことを行っている人はまだ少ないと思いますので、色々と経験を積んでみたいと思います。
尚、英語版をレビューして下さる方は、まだまだ募集中です。
当ブログでご案内していた、3冊目の本「バリュープロポジション マーケティング戦略、50の作法」の英語版"The Art of Value Proposition"ドラフトが完成しました。
ご案内している日本語版をそのまま英訳した内容です。
全部で118ページ、単語数は17,000 words。
コンパクトな本です。
以下は、本書のpreface(はじめに)からの抜粋です。
—(以下、抜粋)—
Today, companies are making effort to answer their customers’ needs. As they become similar, they fell in a trap of price competition. We need a real differentiation, not homogenous competition, delivering only one value to customers by thinking differently.
Japanese culture has built in "customer first" split from Edo Period, which is far way back from the age of marketing. We often observe that this culture makes a company become just a customer’s Yes-man, however.
On the other hand, marketing created a concept of "Value Proposition" in the US and Europe. This is an effective framework to differentiate ourselves from customer view point, while it is not popular in Japan yet.
If we revisit "customer first" culture in Japan using value proposition framework, we may get a new finding for marketing strategy development.
This book summarizes 50 hints and tips for marketing strategy development and execution, based upon value proposition framwork using Japanese customer case studies.
The targets are business persons who are thinking to deliver only one value to customers with a robust strategy with customer-centric thinking.
It may be worthwhile writing about myself, the author, and my thought in the preface. I am a marketing manager in IBM-Japan for more than 10 years, while studying marketing theories in various places.
I wrote two marketing books in 2008 and 2009 based upon IBM marketing manager experiences.After that, through speeching and blogging in Japan, I found a concise book which summarizes value proposition essence would be helpful, then I wrote this book.
While I am a typical business person, I am writing books because I believe business persons should put out their knowledge and experiences, which they learned, to outside and global. Business persons should not be kept only as an insider of their company.
Business persons’ writings might not be superior to these of professional writers in quality and sophistication. Business persons’ experiences that they learned from real business have, however, significant value.
Information has a unique characteristic. Sharing information rises in the value of information. There are deep values in sharing our experiences and knowledge with many people.
Additionally, Internet swept away the national boundaries. It is easy now for everyone to put out his or her knowledge to global. The only barrier is English for text. We have no barrier for music and image.
If professionals learn their knowledge and experiences each other globally, we can build a peaceful and better planet.
As a trial of this, I published this book as a self-publishing in Japanese and English simultaneously. (See "Acknowledgment" for the details)
I am more than happy if this book is helpful for you.
Takahisa Nagai
—(以上、抜粋)—
ご参考までに、以下は上記に相当する日本語版の「はじめに」です。
—(以下、抜粋)—
現代、多くの企業が顧客の要望に忠実に応えようと努力しています。その結果、企業間の差がなくなり、価格競争の罠に陥っています。今、必要なのは、同質の競争から脱却した本当の差別化。つまり他者と違うことを考え、顧客から見てオンリーワンとなる明確な価値の提供です。
日本ではマーケティングの概念が生まれるはるか前の江戸時代から、「顧客本位」の精神が商売に根付いています。しかしともすると、近視眼的に「顧客の言うことだけを聞けばよい」と考えてしまう傾向も散見されます。
一方、欧米発のマーケティングの世界では、顧客視点で戦略を構築する「カスタマーバリュープロポジション」(略してバリュープロポジション)という考え方が生まれています。バリュープロポジションの概念はまだ日本では一般的ではありませんが、この考え方は、顧客視点による差異化を考える上で、有効な方法論です。日本に根付いた「顧客本位」という考え方を、「バリュープロポジション」の枠組みで見直すと、マーケティング戦略構築にあたって新たな視点が生まれてきます。
本書は、バリュープロポジションという概念をもとに、マーケティング戦略を構築・推進するための50の作法を、さまざまなマーケティング理論を網羅しつつ、主に日本の事例を中心にまとめたものです。
本書は、「徹底した顧客中心志向で、骨太な戦略を構築し、差異化を図り、オンリーワンの価値を提供したい」と考えるビジネスパーソンの方々を対象にしています。
筆者は日本アイ・ビー・エムで、さまざまな場でマーケティング理論や経営理論も学びながら、マーケティングを10年以上担当しています。
IBMのマーケティングマネジャーとして携わってきた業務の経験を元に、これまで2冊の本を上梓しました。
その後、講演、ブログ、勉強会などで多くの方々の意見から、「バリュープロポジションについて簡潔にまとめた本があるとよいのでは?」と考え、執筆したのが本書です。
普通の会社員である筆者が執筆活動を続けるのは、「ビジネスパーソンは、勤務する会社のインサイダーとしてだけではなく、社外やグローバルに、自分が学んだことを主体的に情報発信していくべき」との思いによるものです。
ビジネスパーソンが書く文章は、洗練度や品質面ではプロの書き手にはかなわないかもしれません。しかしプロフェッショナルとして、現場で現実と格闘しているビジネスパーソンの経験は大きな価値がありますし、だからこそ書ける世界もあります。
また、情報は共有することで価値を増大するという性質を持っています。知識をより多くの人達と共有することは、大きな意味があります。
さらにネットでは国境の壁は事実上消滅しています。一人の個人がグローバルに情報を発信することは、今やとても簡単。文字の場合、壁は英語だけ。音楽や映像の場合、その壁すら存在しません。
さまざまな経験と知恵を持ったプロフェッショナルが、主体的に情報発信し、グローバルでお互いに学び合うことで、よりよい世界を実現できるはずです。
このための試みとして、本書は、個人出版の形で、日本語版と英語版を同時に出版しています。(詳しくは巻末の謝辞を参照下さい)
本書が皆様の参考になれば、筆者としてこれほど嬉しいことはありません。
永井孝尚
—(以上、抜粋)—
各章の構成は、こちらです。
日本語版同様、各章は見開きでこんな感じ。全て2ページで完結しています。
出版形態は、米国AmazonのDTP (Digital Text Platform)で電子書籍として個人出版する形になると思います。(少数部数を日本で印刷するかもしれません)
私にとっては初の英語の本。
本書をお読みいただき、中身や英語についてコメントや感想を下さる方がおられれば、大変ありがたく思います。
これから10日間、1月23日まで、本書ドラフト版をお読みいただける方を募集させていただきたく思います。
ご賛同下さる方は、大変お手数ですが、こちらからご連絡をいただけると幸いです。
折り返し、PDF版を送付します。
コメントやご感想をお送り下さった方には、出版した際に、正式版を差し上げます。
よろしくお願いいたします。
年末に新著の英語版を書きながら、Facebookを色々といじっていました。
何回か当ブログで書いていますように、新著を日本語版と英語版で書いています。
日本語版の情報は当ブログで情報発信できますが、現時点では英語で情報発信する手段がありません。
当ブログは日本語ブログなので、当ブログで英文で書いても、当ブログの読者の方々にはご迷惑です。
また、本来リーチしたい海外の方に対しては、本文だけ英語で書いても、当ブログでは周りの情報(「最近のエントリー」や「最近のコメント」など)が日本語なので、これも不親切。
そもそも、海外の検索エンジンで当ブログが引っかかるかどうかも微妙です。
ちなみにGoogleで、"Value Proposition Takahisa Nagai"で検索すると、言語=日本語では当ブログは上位に表示されますが、言語=英語では全く表示されません。
つまり、当ブログで英文コンテンツを書いても、リーチしたい海外の方々には、なかなか情報が届かないということですね。
英語環境のブログを作ることも考えたりしながら、色々な人にご相談しましたが、現時点ではまずFacebookのファンページを作るのがよいのではないか、という結論に至っています。
やはり、5億人以上のユーザーがいることは魅力。
ということでFacebookを触っています。
なかなか面白いですね。
10年近く前に一緒に仕事をしていた米国人の同僚(現在は定年退職)と思いもがけずに再会したり、一昨年まで日本で一緒に仕事をしていた米国人の同僚と友人になったり、中国人や英国人の昔の友人が見つかったり、と、色々と面白い発見があります。
日本からグローバルへの情報発信ツールとして、かなり有力な手段なのではないかと感じています。
ファンページも作り始めていますが、情報が少なく、試行錯誤しながら作成中です。
新著の英語版ドラフト作成が一段落したら、英語版ファンページをしっかり作り込みたいと思います。
できれば、英語版TypePadのような英語環境のブログと組合わせるとベストですが、これも体力があれば是非やりたいところです。
この年末年始は、ほぼ自宅にいて新著の翻訳をしていましたが、ほぼ一通り訳し終えました。
あとは、もう一回目を通したいですね。
最初は英語への翻訳自体がチャレンジでしたが、何とかここまで出来た、といった感じです。
あと1週間程度で、当ブログで限定公開できればと思っています。
問題は、出来上がった英語の品質ですね。
ちなみに、全50章の目次は下記のような感じです。
(変更記録: 2011/1/12 タイトル修正しました)
Title: The Art of Value Proposition
Subtitle: 50 Hits and Tips to Become The Only One for Your Customers With Customer Centric Thinking
Contents
Preface
14 Hits and Tips to Understand Market from Customer View Point
1. Customer Viewpoint and Business Viewpoint
2. Value Proposition Is The Start Point of Marketing
3. Why Your Value Proposition Does Not Work?
4. Focusing Niche Customer Needs Enables Leading Share
5. Do You Know Real Users Over Customers?
6. Customer Is Not God, But King That We Should Serve
7. Customers Need A Hole, Not A Drill
8. Misunderstanding of Customer Satisfaction
9. Customer Wants To Be Self-consistent
10. To Whom Should We Sell?
11. Market Analysis Does Not Create New Market
12. Do Not Trust Market Research Too Much
13. 1% Difference Has No Meaning
14. Objective Thinking and Subjective Thinking
11 Hints and Tips to Develop Marketing Strategy
15. What Is The Business Of Your Company?
16. Preventive Care Enlarged Dentists’ Prospects 10 Times
17. Two Critical Factors For Innovator In Matured Market
18. Why Do We Need A Clear and Robust Strategy?
19. Vacuum Tube Research Never Brought Transistor
20. We Should Not Adhere To Beat Competitors
21. Illusion to Marketing Theory
22. Why Does A Strategy Become Pie-in-the-sky?
23. Positioning Exists in Customers’ Hearts
24. Never Compete Against Market Leader On Price
25. How Do We Cross The Chasm To Diffuse New Products?
13 Hints and Tips to Execute Marketing Strategy
26. New Product Wins by Collecting Diffused Knowledge
27. We Keep Lossing If We Keep Doing What We Want
28. Cost Is A Fact; Price Is A Strategy
29. Think Price First, Then Consider How To Make It
30 Two Types of Forbidden Discounts
31. Why Customers Are Happy While It Is 40 Times Priced?
32. How Does Top Sales Behave?
33. What Is The Difference Between Sales And Marketing
34. Sales Evolve From Hunter To Farmer
35. Channel Strategy Should Deliver Value To Customers
36. "Cool Biz" Learned From "Energy Saving Look" Failure
37. Why Impressive Advertising Does Not Generate Sales?
38 Social Media Is Sympathetic Media
12 Hints and Tips to Validate and Enhance Marketing Strategy
39. Hypothesis Verification Evolves A Strategy
40. "Root Cause" and "Excuse"
41. A Summary of Current Actions Is Not Issue Analysis
42. The Source Of Evil Loop
43. Courage For Transformation
44. Stiff Shoulder Gives Hints Of Root Cause Analysis
45. What Prevents Fact-based Thinking
46. Deselecting Central Issues
47. Selling New Product Is A Hard Work
48. Why Did Your Customer Buy Your Product?
49. Misunderstanding About KPI
50. Story Relives and Stabilizes Issue Resolution Process
Reference
Acknowledgment
Index
About the Author
先日のブログで、英語の文法校正ツールGrammarlyを紹介させていただきました。
新著を英語へ翻訳しているのですが、その英語の品質を何とか上げたいと考えて、見つけたツールです。
この4日間ほど、新著用に書いていた12,000単語ほどの英語文章をGrammarlyでチェックしてみて、だいぶ使い勝手が分かってきましたので、ご報告します。
その前に、注意点が二つあります。
・これは2011年1月2日時点の情報です。当ツールはオンラインツールであり、仕様が変更になる可能性があります。
・本ツールは英語です。メッセージや校正箇所の指摘は全て英語です。(分かりやすい英語です)
■まず最初に
・Grammarlyのサイトに行きます。
・試しに文章を入れてチェックすることができますが、結果を見るにはユーザー登録が必要です。ここでクレジットカード情報の入力を求められます。最初の7日間は試用期間なので、この期間内にキャンセルすれば課金されないとのこと。
・この際に、下記3つの使用料プラン(subscription plan)から選択することを求められます。
Monthly Subscription ― $19.95/month
Quarterly Subscription ― $13.45/month (billed as one payment of $39.95)
Annual Subscription ― $7.95/month (billed as one payment of $95.45)
私はMonthly Subscriptionをチェックして進めました。ただ、試用期間中に、これをAnnualに変更しようとしたところできませんでした。現在問い合せ中です。
■Grammarlyでできること
上記が終わると、校正用画面が出てきます。
始め方は簡単で、校正用画面に文章をコピペして、左上にあるReview Changesのボタンを押すだけ。
サーバー側でチェックした後、結果が表示されます。
結果画面には、下記が表示されます
・100点満点で現在の英語が何点か?
・修正すべき箇所。1箇所ずつ順番に、丁寧な説明とともに表示されます。
その修正箇所ですが、詳しい説明とともに、次のようなチェックをしてくれます
・定冠詞(the)・不定冠詞(a)のチェック。theにすべきかaにすべきかは、なかなか日本人には分からない点ですが、説明と一緒に読むと、どのようにすればよいか分かります
・接続詞の誤用の指摘。適切な接続詞を推奨してくれます
・疑問形の文章のチェック。例えばdoをどこに入れるか、等
・重複していて削除した方が分かりやすくなる単語の指摘
・句読点の位置の指摘。(カンマやピリオド。位置によって意味が変わりますよね)
・構文の構成の間違い
・不要な言葉の指摘。例えばActuallyとかReally、It is important thatなどは、多くの場合、不要な単語だと改めて認識しました
・例えばフォーマルな文章では"And .."や"But …"で始めない、とか、"So…."で書き始めるのは不適切、といった指摘
・受動形の指摘。日本人はどうしても能動形でなく受動形で書きがちですが、ほとんどの場合、能動形で書くと、文章が短く、かつ、主語も明確で分かりやすい文章になります
・さらに間違いではないのですが、同義語の候補も提示してくれますので、より適切な単語を使うこともできます。
・また、インターネット上に似た文章があると、引用元を明記するように警告してくれます。私の場合、何カ所か引用した箇所を警告してくれました。
ほかにも色々な指摘をしてくれます。
以上がGrammarlyで出来ることです。
■私の場合、どのように校正を進めたか?
・まずガイドに従い、順番に自分で文章を修正してみて再チェックし、徐々に点数を100点に近づけます。
・100点になった時点で、同義語候補を表示したモードで、改めて頭から英語の文章を見直します。
・既にかなりチューンアップされていますが、一通り修正された後に改めて読むと、意味が通っていなかったり、言い方が不明瞭な箇所がよくわかります。同義語もチェックしながら、順番に修正していきます。
・一通り修正した後、修正した部分に文法ミスがある場合もあるので、再度文章チェック。
・これを2-3回くらい繰り返します。
■実際に使ってみた感想
英語の品質は、かなり上がります。
ただ、自動的に英語を修正してくれる訳ではありません。
もともと、本ツールはネイティブ向けのツールなので、英語を書き直しながら品質を高めていく、という使い方になります。
実際には、チェック漏れや、正しいと思われる場所を間違いと指摘するケースも、いくつかありました。
しかし、自分だけの力では、英語の品質はここまで上げられないので、自分にとっては十分過ぎる程の価値がありました。
校正の品質も、今後は徐々に上がっていくことでしょうし、PCソフトではなくオンラインツールなので、その品質向上もリアルタイムに享受することができます。
正しい文章の例と間違った文章の例が解説付きで表示されるので、私にとっても改めて英語の文法の勉強になりました。
仕事で英語を使う人がこれを使い続けると、英語力が確実に上達すると思います。
かなり使えるツールであることが分かったので、私は試用期間が終わってからも使い続けたいと思います。
■おまけ
セオドア・レビットの歴史的論文「マーケティング・マイオピア」の引用部分をチェックした時のこと。
引用部分の英語自体は、英語のネイティブであるセオドア・レビットが50年前に書いたものであり、分かりやすいのですが、Grammarlyで結構間違いを指摘されました。
あくまで、Grammarlyが予め持っている英語文章のルールをそのままコンピュータで当てはめて適用しているだけなので、過剰に信用しないことも必要なのでしょうね。
昨年10月末にご案内した執筆中の新著ですが、11月末に皆様からいただいたフィードバックを反映し
、英語版も書き始め、英語版の最初のドラフトが間もなく出来上がるところです。
一方で、タイトルをそろそろ決定しなければいけないのですが…..。
当初はこうしていました。
【2010年10月時点】
■日本語タイトル
バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック
-徹底した顧客中心主義で骨太なマーケティング戦略を構築するための50のヒント-■英語タイトル
Value Proposition Marketing Handbook
– 50 Hints and Tips to Implement A Thorough Customer Centric and Bold Marketing Strategy –
ただ、50の章に分れているものの、実際には日々時間がある時に読み返すタイプのもので、ハンドブックのように分からなかったらすぐに参照するタイプの本ではないのですよね。
ということで、「ハンドブック」という言葉は止めました。
また、朝カフェで柳下さんの講演"Think Different"をお聴きし、「差異化」というのがキーワードだ、とハタと気付きました。
そこで、11月中旬にはこうしてみました。
【2010年11月中旬時点】
■日本語タイトル
バリュープロポジション マーケティング戦略
-徹底した顧客中心思考で骨太なマーケティング戦略を構築し、差異化を図るための50のヒント-■英語タイトル
Value Proposition Marketing Strategy
– 50 Hints and Tips to Differentiate with Bold Marketing Strategy Based Upon Thorough Customer Centric Thinking-
この形で進めようと考えたのですが、さらに英語版への翻訳をしている中で、グローバル視点では、日本的な「顧客へのおもてなし」の心が本書では重要なキーワードであると改めて考えましたので、これを表現する言葉は"art"なのではないか、考えました。(実際、本書には日本の事例が多く入っています)
そこで、現時点ではこのようにしています。
【2011年1月2日時点】
■日本語タイトル
バリュープロポジション マーケティング戦略、50の作法
-徹底した顧客中心主義で、顧客にオンリーワンの価値を提供するために-■英語タイトル
The Art of Customer Value Proposition
– 50 Hits and Tips to Become The Only One for Your Customers With Customer Centric Thinking –
まだまだ二転三転するかもしれません。
特に現時点でのチャレンジは、
・海外向けには「日本発の顧客へのおもてなしの心」をアピールする一方で、
・日本国内向けにはその「顧客のおもてなしの心」をバリュープロポジションという米国流のキッチリとしたフレームワークにあてはめて分かりやすく提示する
という両面の要素を、いかに本書のタイトルでシンプル・明快に表現するか、です。
もう少し考えてみたいと思います。(アイディア募集中です!)
この年末年始休暇に、集中して新著の英語版を書いています。
「仕事で英語を使うこともあるし、まぁ、何とかなるかな」と思い、12月初めから隙間時間を見つけて、少しずつ書き貯めていました。
「日本語で書く本ですら大変なのに、そもそも英語の本なんて書けるのか?」
という話しもありますが、半年掛けて日本語でかなりロジックを詰めたので、ゼロから英語で書くのよりはかなり楽です。
既に日本語で作成した文章を英語に置換える作業を、ひたすら行うということになります。
面白いのは、英語に置換える過程で、かなり詰めたはずの日本語で書いた文章に、ロジックミスが見つかること。
やはり、日本語よりも英語の方がロジカルに表現できるようになっているということでしょうか?
当然、見つけたロジックミスは、オリジナルの日本語版も修正することになります。
今回の本は全部で4万文字。
全50章なので、一章あたり2ページ見開きで約800文字。
現時点で、「はじめに」と「あとがき」を除くと、全50章中、なんとか9割ほど書けたという段階です。
ただ、英語の品質はかなり怪しいので、今後、この品質をいかに向上させるかがカギですね。
本当はネイティブの方にチェックいただくべきと思いますが、現在の品質は、書いた本人(=私)が見ても、そのはるか前の段階。
ある方が「ネイティブの人に、日本人が書いた文章の校正をお願いすると、すごくストレスが貯まるみたい。最初から日本語を訳した方が楽」とおっしゃっていたのが、頭をよぎります。
「書籍として許せるレベル」以前に、「公式文書として何とか意味が伝わる」レベルの英語まで持っていく必要があるなぁ、と昨日の時点で痛感。
そこで何かいい英語校正ツールがないか探してみたところ、StyleWriterというソフトとGrammarlyというサービスを見つけました。
最初にStyleWriterを見つけたのですが、価格は160ドル。
文章も短く分かりやすくしてくれますし、よさそうなのですが、実際に使えるのか(そして自分のPCに導入できるのか)試せないので厳しいところ。
さらに調べたら、ネット上で「Grammarlyがいい」という情報を見つけ、早速試してみました。
既に訳した文章のうち、第1章~10章を本日チェックし終えましたが、英語の品質を上げるために、結構使えそうです。
機会がありましたら、当ブログでも使い方なども紹介したいと思います。
母国語でない英語で文章を書いていると、なかなかよい言い回しが思いつかない、っていうこと、ありませんか?
3冊目の本の英語版を書いていますが、まさに今、私はそんな状況です。
そんな場合、英辞郎 on the Webが結構役立ちます。(しかも驚くべきことに、無料です)
・まず、収録語数が極めて多い。2010年12月15日時点で、英和見出項目数は180万9000、和英見出項目数は210万です
・しかも、これらの膨大な語彙をすぐに検索できる
・それも、前方一致だけでなく、用例で、後方一致や文章の中間で使われている場合にも、検索できる。用例を探す場合、これは本当に助かります。
・さらに、検索窓に入れる言葉は、日本語でも英語でもOK。英語の文章を書いていると頻繁に英語や日本語で調べるのですが、言語を切替える必要ないということで、使い勝手は大幅によくなっており、書く時間が短縮できます。
今の辞書に不満をお持ちの方は、一度試してみるといいかもしれません。
尚、iPhone版(無料)もあります。これも結構便利です
ソニー製のテレビと、パナソニック製のテレビで、見ることが出来る番組が異なるということはありません。
また、サムソン製のケータイと、シャープ製のケータイで、電話できる相手が制限されるということもありません。
しかし、現在の電子書籍はそうなっていない、ということが、2010年12月12日の日本経済新聞の社説「1台の電子端末でどんな本も読みたい」で指摘されています。
—(以下、引用)—
端末を選ぶのは読者の自由だが、端末が違えば情報サービスも異なる。ソニーの端末で買った作品はシャープの端末では読めない。電子書籍は1台の端末に多くの情報を蓄積できるのが利点だが、雑誌と書籍を読むのに別の端末を買わなければならないのは本末転倒ともいえよう。
—(以上、引用)—
確かにこの視点で考えると、「ソニー製のテレビと、パナソニック製のテレビで、見ることが出来る番組が異なる」という状態です。
消費者の利便性が低いという点で、電子書籍は成熟しておらず、まだまだ発展途上ですね。
—(以下、引用)—
電子書籍が普及するためには、書店のように手軽にネットから買えるようにしなければならない。それには1台の端末でどんな本も読める仕組みづくりが必要である。
—(以上、引用)—
ここでも書かれているように、「どんな本でも読める」のが本来の姿です。
そのためには、様々な点で標準化が必要です。
一方で少数の特定ベンダーによる寡占化が進むリスクもあります。
寡占化は時として消費者の利益を損なう場合があることは、独占禁止法の存在からも分かります。
利便性と、寡占化リスクのバランスをいかに取るかが、今後の電子書籍普及のカギなのかもしれません。
沢山の方々からアドバイスをいただいたおかげで、『バリュープロポジション マーケティング戦略』(仮題)はほぼ完成しました。
ありがとうございました。
実は、日本語と英語を同時に出版しようと考えています。
日本語版は一段落しましたので、今週から英語版を書き始めています。
日本語の場合、ブログを毎日書いていることもあって、それなりに文章を書けます。
しかし英語の場合、最近は仕事でも時折しか使用しないこともあって、ちゃんとした本の文章を書くのはなかなか難しいですね。
おそらく、最終段階になったら、ネイティブのチェックが必要かな、と思っています。
進捗状況ですが、本日時点で、全50章中まだ9章までしか書けていません。
年末年始休暇をフルに使っても、一通り英語版を書き終えるまでは正月休みまではかかりそうですね。
さらに再度読み直しを入れると、さらに1ヶ月かな、と思います。
元々この本は「バリュープロポジション」の考え方を紹介することが目的だったのですが、英語版を書き始めて改めて分かったことは、本書では日本企業の事例が結構多いこと。
そして、日本企業には顧客中心主義が当り前に定着していることです。
例えば、「お客様は神様です」という考え方について触れている章があります。
日本人からすると当り前ですが、海外では「お客様は神様」という考え方自体、ある種のパラダイム転換が必要なのかもしれません。
そのようなことを考えると、内容は同じでも、英語版と日本語版であえてタイトルを変えることも必要かもしれません。
それにしても、日本と海外に向けて、日本語版と英語版を同時に個人が出版できるというのは、なかなか素晴らしい時代になったものだと感じています。
先週の朝カフェ次世代研究会で講演いただいた高木芳紀さんが、「わたくしの正体。」というエントリーを書かれています。
「ニッチトップ」という言葉がありますが、誰でも使う名刺の世界で、高木さんはまさにニッチトップな方なんですね。
そんな高木さん、「1秒で10倍稼ぐありえない名刺の作り方」という本を書かれています。
2008年7月発売ですので、2年前に出版された本です。
しかし、現在、絶版されています。
「初版が完全に売り切れで在庫なし、増刷の予定もない」そうです。
この本、Amazonの書評では大絶賛です。
Amazonで中古の本も19冊出ていますが、一番安くて1933円から。一番高いのはなんと8850円。プレミアム本です。
高木さんはブログで、
どなたか出版関係の方、改訂版で再発売、もしくは電子書籍での再デビューという可能性はありませんでしょうか?
と書いておられます。
本の著作権は著者にありますが、版権は出版社が持っています。
増刷するかどうかは版権を持っている出版社側のビジネス上の判断ですし、他にも出版社内の様々な事情があると思います。
必ずしも、著者や読者の希望を100%満足できる、ということはないと思います。
一方で、著者としては、「自分の本を読みたい」と希望されている読者の方々に、増刷できないと本を提供できないというジレンマもあります。
著者の立場では、著作権は持っていても、版権を持っていないので、電子書籍版を出したくても自分だけの判断では出せないのですよね。(これは個々の出版時の契約内容によりますが)
個人出版の場合、自分で全てのリスクを被ることになりますが、版権も自分で持つので、このような問題は生じません。
例えば、私は今年3月に、2年前に出版した「戦略プロフェッショナルの心得」のPDF版を無償ダウンロードできるようにしました。
この本は個人出版で、私が発行者になっています。ISBNコードも私が自分で取りました。(簡単です)
自分で版権を持っているので、電子書籍版を出すのも、無料で配るのも、自分の思い通りです。
一方で、流通チャネルが極めて限定されるので(例えば、私の場合はAmazonのe託販売だけ)、世の中で人々の目に触れる機会が限定されてしまい、数が出ないという問題もあります。
「戦略プロフェッショナルの心得」も、印刷費を回収できておらず、赤字です。
2冊目の「朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力」は、秀和システム様から出版いただきました。やはり商業出版の場合、全国の書店に並びますし、世の中の評価も個人出版の場合とは全く違うことを実感しました。
高木さんのエントリーを拝見して、改めて色々と考えさせられました。
いずれにしても、高木さんの「1秒で10倍稼ぐありえない名刺の作り方」、是非改訂版か、電子書籍版でふたたび多くの方々が読めるようになるといいなぁ、と思います。(実は私も読みたいと思っている1人です)
書評では大絶賛だし、プレミアムもついている。
著者も改訂版や電子書籍化を望んでおられる。
私が出版関係者だったら、これは宝の山だと思うのですが。
ブログを書いているとほとんど意識していなかったのですが、2年前に初めて本を書いたときに、ある編集のプロの方から、それまでまったく知らなかったことを指摘いただいたことがあります。
世の中には、正しい送りがなとか、漢字、言葉があるということです。
編集の世界では、その基準は、共同通信社記者ハンドブックです。
パソコンを使っていると、かな漢字変換でつい難しい漢字を使用しがちです。
しかし、そのような文章が、必ずしも読みやすい訳ではありません。
共同通信社記者ハンドブックは、分かりやすい表現や正しい仮名遣いを掲載しており、報道機関やメディアで文章を書く人達の標準になっています。
でも、このハンドブックを読んでチェックするのは大変ですよね。
実は、校正ツールJust Right!に、「共同通信社記者ハンドブック校正辞書 for Just Right!」(Just Systemsのサイトで購入可能)というオプション製品があります。
この二つを使うと、自動的に共同通信社記者ハンドブックに準拠しているかどうかチェックしてくれます。
ちょっと高かったのですが、3冊目の本ですし、個人出版なので自力で校正する必要もあります。
今までの経験から、自力の校正はとても時間がかかるので、今回、思い切って購入。
昨晩届き、早速チェックしてみました。
結構使えます。
こんな感じで指摘してくれます。
下さい → ください
様々な → さまざまな
エッセイ → エッセー
拡がる → 広がる
皆様 → 皆さま
人達 → 人たち
分っているのか → 分かっているのか
左側も必ずしも間違いではないのですが、共同通信社記者ハンドブックでは右側が標準です。
また、修飾関係があいまいな表現も指摘してくれます。例えば下記の文章は
複雑なデジタル家電への手厚いアフターサービス
これは、「複雑なデジタル家電を使用する際に提供する、手厚いアフターサービス」とでもすべきですね。
時に正しい表現も指摘する場合がありますが、それは自分が確認すればよいので問題はありません。自分が気がつかない怪しい表現を指摘してくれることが重要です。
表記揺れも指摘してくれます。
万引 と 万引き
見いだす と 見出す
一人 と 1人 と 1人
一つずつチェックして修正する形になります。
注意すべき点は、100%正確ではないこと。
例えば、表記揺れで数十カ所指摘された部分を、一括で修正すると、おかしな文章になってしまうケースが結構あります。
一例を挙げると、「いう」「言われる」「言う」「言える」という表記揺れを、「言う」にあわせて一括修正すると、最後の「言える」が「言る」になってしまいます。
完成した文章に、間違いが組み込まれてしまうことになるので、これでは本末転倒ですね。
『「間違い指摘ツール」であり、必ずしも「修正ツール」ではない』と理解して使うと、素晴らしい威力を発揮してくれそうです。
Just Right!と校正辞書をあわせると4万円近くかかりますが、継続して品質の高い文章を書くニーズがある人たちにとっては、時間的コストを削減できるという意味で、とてもリーズナブルなのではないでしょうか?
他には代替製品がなく、対象顧客が絞られているあたりは、とてもバリュープロポジションが明確な商品ですね。
まだ使い始めて1-2時間ですので、また新しい発見がありましたら、ご報告したいと思います。
ちなみに、この文章もJust Right! + 共同通信社記者ハンドブック校正辞書でチェックしてみました。
「数十カ所」とすべきところを、「数十箇所」にしていたのを指摘してくれました。
現在書いている本を出版する一つの選択肢として、電子書籍を考えています。
しかし、アマゾンDTPなどのインフラが整っている米国市場と比べて、日本市場の状況や方向性が今一つよく見えません。
そんな中、書店で別冊宝島「電子書籍の正体 出版界に黒船は本当にやってきたのか?」 を見つけたので、早速購入して読んでみました。
色々と現在の状況が書かれています。
どちらかというと出版社側の視点を感じますが、それはそれで、とても参考になりました。
その中で、「電子書籍が儲からない6つの理由」という章があり、とても興味深かったので、ご紹介します。
Q1:10-20代向けのコンテンツを中心に配信したい
→Yesだと、儲からない。iPad等が高すぎて若年層は利用できないし、中高生はクレジットカード決裁できない
→Noだと、Q2へ。
Q2:30-40代向けに売れるキラーコンテンツを持っていない
→Yesだと儲からない。電子書籍で売れているのはスター作家の2次利用作が大半。
→Noだと、Q3へ。
Q3:キラーコンテンツの作家が、ネット上で強い影響力を持っている
→Yesだと儲からない。ネットに強い作者は自分ですべてを完結できてしまう(出版社や取次が儲からない、ということですね)
→Noだと、Q4へ。
Q4:iPhone向けのストリーミング配信を中心に検討している
→Yesだと儲からない。ストリーミング配信だと突然読めなくなることがある(マンガなどの場合ですね)
→Noだと、Q5へ。
Q5:決裁システムやプロモーションはAppStoreなどに一任してしまう
→Yesだと儲からない。売上の30%がAppleで残り70%を出版社、著者、アプリ開発者が分け合う。しかも紙媒体よりも格安の値段でないと売れない
→Noだと、Q6へ。
Q6:ネットプロモーションによって多数の人に波及したい
→Yesだと儲からない。ネット上では、紙媒体のような継続的・劇的なヒットは難しい。(自分の好きな情報しか見ない)
→Noだと、儲からない。
主に出版社や取次の視点で、儲かるかどうかを議論していますが、現在の状況がよく分ります。(詳しくは本書をご覧下さい)
このような本が出版されていること自体、ガートナーのハイプカーブで言うところの「幻滅期」に電子書籍は入りつつある、ということでしょうか?
確かに私も、本書は電子書籍ではなく、書店で見つけて購入しています。
他にも、電子書籍での購入はほとんどありません。
電子書籍が日本で本格的に普及するのは、もう少しかかるのでしょうか?
奇しくも、昨日、Sony Readerも国内投入が正式発表されました。
あるいは、電子書籍が向いている特定分野では急激に利用度が高まる一方で、全体的には徐々にゆっくり普及するのかもしれませんね。
さて、そこで私が現在書いている3冊目の本ですが、「採算性はいいから、なるべく多くの方々に読んでいただきたい」という思いがある一方で、「二度目の個人出版で、これがビジネスとして成立するものなのかチャレンジしたい」という思いもあります。
ちなみに、一度目の個人出版は、出版2年間が経過し、いまだに印刷費が回収できていません。
どのようなアプローチで進めるか?
色々と考えてみると、楽しいですね。
先日来ご紹介している新著を、どのように個人出版するか、検討しています。
第一の選択肢は電子書籍。
しかし、日本の電子書籍の状況は、混沌としているようです。
今年年初、年末にはアマゾンやアップルが日本でも電子書籍を開始し、個人でも簡単に出版し、広く流通できる環境が整うと言われていました。
しかし、現時点ではまだ発表がありません。
App StoreでiOSアプリとして出版するのが、現時点で現実的な方法のようですが、個人にとってはハードルが高いようです。
日本で電子書籍を扱っているサイトも多いので、そちらで販売する方法もあります。ただ、出版する著者の立場で考えると、市場カバレッジの点で、十分な確信が持てません。
これが、米国だとかなり状況が異なります。
例えばアマゾンの場合、とっても簡単です。
アマゾンで個人が電子書籍で出版する場合、Amazon DTP (Digital Text Platform)というインフラを使います。
以前はアマゾンで電子出版するには、米国の社会保障番号(SSN)/連邦納税者識別番号(TIN)/米国法人番号(EIN)のいずれかが必要な上に、さらに米国の銀行口座が必要でした。
実質的に、米国在住者に限られていたということですね。
しかし2010年1月15日からは、米国外に住む人でもアカウントを開いて出版できるようになっています。
こちらに詳しい説明が掲載されています。
私も登録画面まで試してみましたが、スイスイ進みます。
また、アマゾンはKindleのWindows版やiPhone版など、様々なプラットホームをサポートしています。
ちなみに、こちらはWindows版。(「Kindle操作ガイド」です)
こちらはiPhone版です。(これも「Kindle操作ガイド」を表示)
メールIDで認証されていますので、複数プラットホームで読んでいても同期されています。
専用機のKindleの方も、Kindle 3から日本語をサポートしています。
しかし、肝心のAmazon DTPが、英語、ドイツ語、フランス語しかサポートしていません。
この手軽さで、日本語が出版できればいいのですけれどもね。
見方を変えれば、英語のコンテンツさえ作れれば、日本にいながらにして世界中を相手に個人出版できる、ということでもあります。
しかも、原稿を書きあげれば、あとはほとんどお金がかかりません。
これは、その気になった人にとっては、素晴らしいことですね。
私も、今回の新著が一段落したら、英語版にチャレンジしてみたいなぁ、と思っていますが、その際には、Amazon DTPは有力な選択肢になりそうです。
70名の方から「送付希望」をいただき、うち現時点で23名からコメントをいただきました。
皆様お忙しい中、じっくり読んで下さり、その上、とてもていねいなコメントも書いて下さった方も多く、感謝です。
【これまでの経緯です】
2010/10/26: 3冊目の本「バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック (仮題)」、ドラフト版が完成。コメント下さる方を募集中です (1週間限定)
2010/10/29: 「バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック (仮題)」、30名からご希望をいただきました。ありがとうございました!まだ申込受付中です
2010/11/05: 「バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック (仮題)」ドラフト版は、最終的に70名からご希望をいただきました。ありがとうございました!
2020/11/07: 個人出版ドラフト版への感想が続々。やはり、他人の異なる見方は、とても参考になると実感。
「コメントは、11月中旬まで」ということでお願いしておりましたので、これからコメントをお送りいただける方もおられるかと思います。
一方で、そろそろどのようにいただいたアドバイスを反映するかを考えることも必要です。
そこで、先週末にコメントを集計し、対応策をまとめてみました。
大まかには、下記のような対応策を考えております。
1.タイトルの見直し
「ハンドブック」というと、「知りたいことにすぐにアクセスできる」というイメージがあります。
一方で本書は、テーマ別にカテゴリーを分けているものの、どちらかというと、各テーマの考え方や心得を理論や事例を交えてエッセイ風に書いたものです。
必ずしも、必要な時に、すぐにアクセスできる形になっていません。
皆様のご意見を拝読し、「ハンドブック」という名称は、必ずしも適切ではないことが分りました。
本書の狙いをより反映したタイトルを検討しています。
2.各章の構成の流れを見直す
本書は各章が2ページの見開き構成になっています。
各章の構成は、
1行のタイトル → 数行のポイント → 1.5ページのメイン文章
という流れですが、合計50章の統一感がまだまだ不十分です。
そこで下記を修正します。
・タイトル、ポイント、メインで情報の重複を排除し、1つの章の中で、ストーリーの差異化を図る
・数行のポイントは、格言形式で統一する
・句読点のつけ方を統一する
3.メイン文章の構成をパターン化する
多くの場合、各章は、
気付き → 理論 → 主張 → 具体例 → メッセージ
というパターンで論理展開しています。
パターン化することでリズムができ、読みやすくなります。
一方で、必ずしも全ての章がこのパターンを踏襲しておらず、場合によっては理解の流れが途切れる箇所も散見されます。
そこで、出来るかぎり流れを揃えます。
4.各章の順番の見直し
全体のストーリー構成上、各章の順番を見直して、各章がよどみなく繋がるようにします
上記2-4は、「ストーリーがよどみなく流れる」ことを意識したものです。
5.事例を増やす
本書では、全50章中35章に事例を入れており(かなり「ゆるく」数えています)、「事例があるので分りやすい」とのご意見を多くいただきました。
一方で、残りの15章には事例がありません。
ストーリーを見直し検討した結果、合計8章に事例の追加が必要であるとの結論になりました。追加したいと思います。
6.「はじめに」に、その後の新しい知見を加える
本書のドラフトは8月下旬に書き終えたものがベースです。
その後の「朝カフェ次世代研究会」などで、様々な学びが得られましたので、それらを反映します。
7.「おわりに」に、今回の試みを紹介する
今回のネットで皆様からいただいたご意見は、全て真摯でとても参考になるものでした。
一人で書いていたら、決して気がつかないことも多くご指摘いただきました。
このアプローチは、電子書籍が本格的に普及し始める近い将来、ビジネスパーソンが個人出版をする際に多くの方々の参考になると思いますので、「おわりに」にまとめたいと思います。
8.各章の修正を行う
分りにくい言葉の補足説明、明らかな間違い、要調査項目等、個別に指摘いただいたものを修正していきます。
9.過去2冊との位置付け
重複部分をどうするか、リニューアルする部分と、定番パターン化する部分のバランスを考えたいと思います
上記7.に少し書きましたが….、オープンソースソフトウェア(OSS)というのは、もしかしたらこんな感じで、多くの方々の知恵が次々と反映されて、プログラムが進化していくのかもしれませんね。
私の場合、いただいたコメントを反映するかどうかの基準は、「そもそも、本書で何を訴えたいのか?」「このコメントを反映して、その本書の訴えたいことや、強みを強化できるのか?」でした。(自分の想いですね)
幸い、いただいたアドバイスの多くが、そのようなコメントでした。
いいパターンで回り始めていることを感じます。
コメントを下さった方々は皆、現役ビジネスパーソンの方々。
現代の日本の現役ビジネスパーソンの知恵が詰まった本になるといいなぁ、と思っております。
「バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック (仮題)」ドラフト版のご感想やコメントが徐々に集まってきています。
皆さん、すごく丁寧に読み込んで下さり、コメントを書いて下さっています。
感謝感激です。
皆さんのコメントを見ていて思うのは、「やはりこのような形で公開してよかった」ということ。
自分では気がつかなかった点を指摘いただいたり、自分で妥協していた部分に新しいアイディアを提供いただいたり、と、いただいたコメントを反映することで、確実に質が高まっていると感じています。
やはり、色々な異なった考え方を集めて、それらを消化し、高めていくことで、必ずより高い価値が生まれるなのですね。
「正反合」の弁証法的アプローチですね。
一方で、賛同いただける方々にWebから申込んでいただいて、個別にメールでPDF版をお送りするという手順もよかったのかもしれません。
Webで登録いただき、ご自身でダウンロードいただく方法もありましたが、これでは今回のような人同士のコミュニケーションは生まれにくかったようにも思います。
現在、いただいたコメントを一つずつ熟読し、それをドラフト版に逐次反映している段階。
なかなか楽しい作業です。
個人出版で品質を高める一つのアプローチとして、この方法はとても有効だと実感しました。
当ブログでご紹介した「バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック (仮題)」ドラフト版の受付を完了しました。
最終的に、70名もの方々からご賛同をいただきました。
厚く感謝申上げます。
早速、数名の方々から感想やアドバイスをいただきました。
一人では恐らく決して気がつかないであろう間違いや、新しい知見をいただきました。
本当にありがたいですね。
今回は、当ブログやTwitterに加えて、「戦略プロフェッショナルの心得」PDF版/e-Pub版をダウンロードされた際に、「メルマガ配信を希望する」をチェックして下さった方々700名にも、メールでご案内させていただきました。
個人で、ブログ、Twitter、メルマガなどの様々なメディアを持っている大切さが、改めてよく分りました。
今後、皆様からいただくご感想やアドバイスを反映して、よりよい内容にしていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
先日、当ブログでご紹介した「バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック (仮題)」ドラフト版には、30名の方々からご賛同をいただき、皆様一人一人にドラフト版PDFを送付させていただきました。
「4-5名位のご希望をいただければ、ありがたいなぁ」と思っていたので、こんなに沢山の方々からのリクエストをいただいて、とても嬉しく思います。
既に小俣さんもブログで感想をアップして下さっています。
お送りして1日で完読。
合計100ページ程度とは言え、相変わらずの速読に感服です。ありがとうございます。
本書にも事例として書かせていただきましたが、開発(この場合、執筆)のなるべく早い段階で、お客様(この場合、読者の方々)に意見をいただいて、タイムリーに反映して作り込んでいくことは、改めて重要なことと思いました。
皆さんには11月中旬頃までにご意見をお願いしておりますので、その時点から更新を始めると、年内一杯かかる見込みです。
いずれにしても、時間をかけていいものに仕上げていきたいと思います。
申込は11月1日(月)まで11月3日(水)まで受け付けておりますので、希望される方は、是非こちらからお申込み下さい。(10/31変更:好評につき、2日延長します。11/4変更:申込締切りにつきリンクを外しました)
本書の概要はこちらです。
当ブログや、ITmediaさんのインタビュー記事でも予告していた、3冊目の本「バリュープロポジション・マーケティング ハンドブック (仮題)」のドラフトが、やっと完成しました。
まだバージョン0.75ですが、取りあえず人様に読んでいただけるレベルにはなったと思います。(…多分…)
内容ですが、全部で118ページ、文字数は普通の本の半分以下の4万文字。
結構サクっと読めると思います。
以下は、本書の「はじめに」からの抜粋です。
—(以下、抜粋)—
バリュープロポジションとは、顧客視点でマーケティング戦略を構築するための考え方です。
本書は、このバリュープロポジションの考え方をもとに、マーケティング戦略を構築するために知っておきたい50のヒントを、ハンドブックの形でコンパクトにまとめました。
それぞれのヒントは、ポイントを絞って見開き2ページに収まるように書かれています。
本書は、バリュープロポジションの視点で、様々なマーケティング理論を網羅的にまとめています。
(中略)
世界のフラット化が進展していく中で、企業の競争は業種や業態を超えてグローバルな規模に拡大しています。
同時に企業は顧客中心主義への変革を求められています。
それは、「顧客は大切」という建前や精神論ではなく、競争がグローバルなレベルで激化していく世界の中で、顧客中心主義を徹底しない限り、企業は生き残れないからに他なりません。
あらゆるビジネスパーソンが、このような徹底した顧客中心主義に基づいたマーケティング戦略の考え方を、体系的に理解することが求められています。
本書は、そのような力を付けたいと考えているビジネスパーソンの方々のお役に立つことを目的にしています。
常に手元に置いておき、必要な時に手元ですぐにチェックしたり、ちょっと時間が空いたり、気が向いた際に時々見直してみる、といったように、日々の業務で役立てられるような使い方を想定しています。本書が、皆様の日々のビジネスで少しでもお役に立てば幸いです。
なお、本書に掲載された内容は筆者である永井孝尚個人の見解であり、必ずしも筆者の勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。
永井孝尚
—(以上、抜粋)—
各章の構成はこんな感じです。
—(以上、抜粋)—
はじめに
バリュープロポジションをもとに、顧客と市場を理解するための14のヒント
第1章 顧客の立場、ビジネスの立場
第2章 マーケティングの出発点は、バリュープロポジション
第3章 顧客に伝わらないバリュープロポジション
第4章 市場を絞ると、トップシェアが見える
第5章 顧客の向うにいる本当のユーザーは、見えているのか?
第6章 お客様は神様だが、間違うこともある
第7章 顧客は、ドリルではなく、穴が欲しい
第8章 顧客満足の誤解
第9章 顧客は、首尾一貫した自分でいたい
第10章 今、売るべき顧客は誰か分っているのか?
第11章 分析では、新市場は生まれない
第12章 市場調査を鵜呑みにしてはならない
第13章 1%の差は、意味がない
第14章 客観と主観バリュープロポジションをもとに、戦略を構築するための11のヒント
第15章 自分達の事業は何か?
第16章 シンプルで骨太な戦略が求められる理由
第17章 マーケティング理論への幻想
第18章 顧客中心に考え、市場を10倍に拡げた歯医者
第19章 成熟市場におけるイノベータ成功の条件
第20章 トランジスタは、真空管研究からは生まれなかった
第21章 競合打倒を中心に考えてはいけない
第22章 なぜ戦略が画に描いた餅になってしまうのか?
第23章 ポジショニングは、顧客の心の中に作られる
第24章 市場リーダーに価格勝負は厳禁
第25章 新商品普及の壁、キャズム越えに必要なことバリュープロポジションをもとに、マーケティングミックスを設計するための13のヒント
第26章 新商品開発成功のカギは分散した知恵を集められるか?
第27章 やりたいことだけをやっていては、負け続ける
第28章 まず価格を考え、そしてどう作るか考える
第29章 コストは事実、価格は戦略
第30章 やってはいけない2つの値引き
第31章 25倍高いコーラの顧客満足度が高い理由
第32章 トップセールスに必要な資質
第33章 セールスとマーケティングの違い
第34章 狩猟型から農耕型へ進化するセールス
第35章 チャネル戦略の基本は相互補完、判断基準は顧客価値
第36章 省エネルックの失敗から徹底的に学んだクールビズ
第37章 目立つ広告なのに、なぜ売れない?
第38章 ソーシャルメディアは、共感のメディアバリュープロポジションをもとに、戦略を検証し、改善するための12のヒント
第39章 戦略の基本は、仮説検証
第40章 何が悪魔のループを生み出すのか?
第41章 現在の対策を整理しても、問題は分析できない
第42章 現状を変える勇気
第43章 一見似ている「根本原因」と「言いわけ」の決定的な違い
第44章 肩凝りを考えると、原因分析が分かる
第45章 新商品が売れない理由
第46章 事実に基づいて考えることを、阻むもの
第47章 論点を捨てられるか?
第48章 あるいは、売れた理由を考えてみる
第49章 KPIの誤解
第50章 物語化による、問題解決の追体験と固定化
参考文献
おわりに
著者紹介—(以上、抜粋)—
各章は見開きでこんな感じ。全て2ページで完結しています。
概略は以上のような本です。
出版形態はまだ最終決定していませんが、恐らく電子書籍で個人出版する形になると思います。
本書はまだまだチューンナップが必要です。ぜひ皆様のご意見を参考に、必要な部分は見直したいと思っております。
そこで、これから1週間、本書を読んで、コメントや感想を下さる方を募集しております。
ご賛同下さる方は、 こちらからご連絡をいただけると幸いです。
(11/04変更:申込締切りにつきリンクを外しました)
折り返し、PDF版を送付します。
また、コメントを下さった方には、出版した際に、正式版を差し上げます。
これから1週間、11月1日(月)まで11月3日(水)まで募集します。(10/31変更:好評につき、2日延長します)
よろしくお願いいたします。
昨日のエントリーで、iPhone 4の感想を書きました。
今回は、iBooksの感想を書きます。
iBooks上で読める日本語の本は、現在極めて限られているようです。
一方で、こちらで紹介しましたように、オルタナブロガーの佐々木さんのご尽力のおかげで、拙著『戦略プロフェッショナルの心得』ePub版をiBooksで読むことができます。
まだePubは縦書きをサポートしていないので、横書きになりますが、まったく問題なく読めます。
まず、iPhone 4では、iBooksのライブラリー上で、こんな感じで表示されます。
これをクリックすると、こんな感じで表紙が表示されます。
iPADだと見開きで2ページ表示されたりしますが、iPhone 4だと1ページ表示です。
ページめくりも快適で、普通の本と全く同様に読めます。
「ちょっと文字を大きくしたい」とか「小さくしたい」という方は、AAの部分を触ると、簡単に調整できます。
こちらに書きましたように、KindleでもPDF版の同じ本を読んでみましたが、現時点では文字の大きさを変えられる分、iBooksでePub版を読めるこの環境の方が、使いやすそうです。
ただし、Kindleでも正式に日本語がサポートされれば、状況は変わるかもしれません。
『戦略プロフェッショナルの心得』ePub版はこちらから無償でダウンロードできます。
ダウンロードしたファイルを、iTunes上で本として登録した上で、iPhoneを同期すると、iPhoneで読めます。(もちろん、iBooksは導入してくださいね)
なお、ダウンロードの際に簡単なアンケート(無記名可)がありますので、恐縮ですがご協力いただければ幸いです。
オルタナブロガーの佐々木康彦さんが、『戦略プロフェッショナルの心得』のePub版を作成して下さいました。
詳しくは、下記に書かれています。
上記ブログでは、実際にどんな形で読めるかも、紹介して下さっています。
こちらのサイトでダウンロードいただけます。
ご興味ある方は、是非お試し下さい。
(佐々木さん、ePub版を製作いただき、ありがとうございました!!)
オルタナティブブロガーの斉藤さんが「個人が印税35%の電子書籍を出版できる時代 – Amazon Kindleの衝撃」というエントリーを書かれています。
はてぶのブックマークも凄い反響です。
私のエントリーにもトラックバックして下さっています。(ありがとうございます)
「本を出版したい」という人達にとって、出版への障壁が下がるのは、素晴らしいことです。
一方で、電子書籍によって、著者と読者の間にある出版社・出版卸・小売り書店の大きな中抜き現象が起こるとしたら、出版業界にとって大きな衝撃です。
どのようなことが起こるのか、考えてみました。
私は、2008年に初めての自費出版をし、2009年に初めての商業出版をしました。
私の経験では、自費出版でも、それなりの品質の本を出すことは不可能ではありません。
実際、私が自費出版した際にも、多くの方から、「自費出版にしては、ちゃんとした出版社から出した本みたいですね」と言われました。
しかし、これは言い換えると、プロの編集者の眼を通っていない自費出版は、プロの品質を超えることはない、ということでもあります。
実際、その後の商業出版で、編集の方のプロのアドバイスは、まったくレベルが違うことを実感しました。
改めて考えてみると、出版社の編集者は、単に著者が書いた原稿を本に編集し直す、という単純な仲介作業だけを行っているのではありません。
著者が書こうとしている本が、読者にとってどのような価値があるかを見極め、本の方向性を著者と一緒になって考えたり、原稿を書く前の構成案に対してよりよい内容になるようなアドバイスをしたり、著者に様々な材料を提供したり、といった、高度なコンサルテーションも行っています。
私も、商業出版をした際には、編集者の方に大変助けていただきました。
一方で斉藤さんも書かれている通り、電子書籍はKindleのような電子書籍専用端末だけでなくiPhoneのようなスマートフォンなどでも読めるようになり、電子書籍が読めるマシンは数年以内に数億台の規模になります。
考え方を変えると、今まで縮小し続けてきた出版市場は、電子書籍が普及し読者にとっての利便性が高まることで、再び成長していく可能性もあります。
数十年後を考えてみると、本棚というものの存在自体がなくなるのかもしれません。ちょうど音楽が、大型のLPレコードがCDに代りライブラリーが小さくなり、さらにネットでの流通にシフトしてCD市場が縮小していったのと同じです。
今、目の前にある自宅の大きな本棚を見ていて、その未来の可能性を感じます。
しかし、現在の書籍が数年間で一気に電子書籍に置き換わることは、恐らくないでしょう。
一方で、電子書籍の普及の波は止められません。
著者の書いた原稿を、そのまま受け取って編集・印刷し出版卸に卸す、といった業務だけを行い、自身の変革ができない出版社にとって、電子書籍の普及は大きな危機かもしれません。
しかし、柔軟な変革の意志と、高付加価値サービス提供能力を持っている出版社にとっては、電子書籍の普及は、停滞していた出版市場が大きく変革し拡大していく中で、自社のビジネスを拡大できるチャンスとなる大きな可能性があります。
まさに、「オールドミドルマン」から「ニューミドルマン」への進化が求められているということなのでしょう。
そして、印刷・販売・流通といった「規模」のビジネスが必要な部分はネットで完結できるようになることを考えると、この変革の機会を活かせるのは、もしかしたら出版社というよりも、むしろ出版社の中で高度な編集能力を蓄えてきた個人の編集者なのかもしれません。
そして、出版社は、従来型の出版ビジネスは継続しながらも、徐々にコンサルテーションにシフトしていく企業体になっていくのかもしれません。
昨年、「GoogleやIBMの未来を方向付けた「顧客視点の事業定義」」で書きましたように、今こそ「出版社の事業とは何か?」を顧客視点で考え直す時期なのでしょう。
今後、ビジネスマンが自費出版する際には、まず電子書籍として出版し、その上で売れた本は出版社から本で流通、という流れが定着することも考えられます。
「本を出したい」というビジネスマンが商業出版する障壁も低くなるでしょう。
さらに、書店には、このような自然淘汰の競争を勝ち抜いた、高品質な書籍のみが並ぶようになるのかもしれません。
先日ご紹介した「戦略プロフェッショナルの心得」英訳の件、多くの方から祝福のメッセージをいただきました。
ありがとうございました。
ここで、お詫びがございます。
実はコレ、エイプリルフールでございます。
先のエントリーにあった
「注文は、こちらからどうぞ。」
のこちらをクリックいただくと分かるようになっております。
クリックいただいた皆様からは、このような祝福のメッセージを頂戴いたしました。
皆さん、本当に暖かい方ばかりで、本当にありがたく、そして申し訳ないような。(^o^;)ゞ
何とぞ、エイプリルフールに免じて、お許し下さいませ。m(_"_;)m
ちなみに、このエントリーをきっかけに本を注文してくださった方も何名かおられたようです。
重ねて大変ありがたく、そして申し訳ない気持ちです。(^o^;)ゞ
この週末から、紀伊國屋書店・新宿本店で「戦略プロフェッショナルの心得」の販売を開始いただきました。
二階の新書売り場(売り場奥に向かって、左側の書棚)と、三階のビジネス書売り場(階段を出て真正面)に置いていただいています。
先日のエントリーで、紀伊國屋書店・IBM箱崎店の店頭で販売を開始したことをお伝えしましたが、リアル書店での販売はこれで2店目です。尚、紀伊国屋書店の他の店舗からも注文可能です。
紀伊國屋書店・新宿本店にお立ち寄りなる機会がある方は、是非お手にとってご覧下さい。
「戦略プロフェッショナルの心得」を9/19に販売開始してから、ちょうど1ヶ月経過しました。
いやぁ、この1ヶ月間、実に色々ありましたねー。
まとめてみます。
■アマゾンでは1,000位から5,000位の間を行ったり来たりしています。私はよく分かりませんが、出版社の方によると、個人の自費出版でこの順位は凄いことだそうです。
■他にも、ネット書店では、クリエイジ様でお取り扱いいただいています。本書の紹介ページはこちら
■実際の書店(リアル店舗?)では、こちらに書きましたように、お取り扱いは今のところ1店です。この店では数十冊売れているようです。
■読んだ方からの意見です。
・参考になる。ウチの会社の社員(またはウチの部のメンバー)に読ませたい
・お客さんに配るために、100部購入した
・中身は読みやすいのだが「戦略プロフェッショナル」というタイトルがちょっと取っつきにくい印象がある
他にウェブ上の感想はこちらにまとめています。
■ログ等を見てみると、ITmediaエンタープライズで書いた7回の連載記事をお読みになって興味を持って下さった方が、多いようです。
・「差別化」に潜む落とし穴 (2008/9/18掲載)
・新製品普及の壁「キャズム」――売れない理由を科学する (2008/9/19掲載)
・手強いライバル、成熟市場――あなたならどうする
(2008/9/22掲載)
・値引き販売という麻薬 (2008/9/26掲載)
・営業とマーケティングは考え方が正反対 (2008/9/29掲載)
・「売れていない」ことは問題ではない (2008/9/29掲載)
・周りの人はあなたの仕事をしっかり見ています(2008/9/30掲載)
■いつの間にかはてなで紹介されていました。こちらです。
■勤務先では、社内イントラネットで紹介されたこともあって、面識のない方から声をかけていただく機会が増え、ちょっとドギマギしながらも、嬉しく思っています。
■この本がきっかけで、勤務先で「社内の若手営業向けにマーケティング戦略の研修講師を行って欲しい」との要望をいただきました。いい機会なのでお引き受けしましたが、研修講師の大変さを改めて知りました。猛勉強中です。
自費出版ということで、実に多くの方々からご支援をいただきました。本当に感謝しております。
今回、初版で2,000部印刷しましたが、まずはこれを全部売りたいですね。
ただ、初版が全部売れた後にどうするか、そろそろ考え初めて、年内には何らかの結論を出しておく必要がありそうです。
一番可能性があるのは、今まで通り自費出版として第2版を印刷する方法です。
もう一つ、ご興味がある出版社様がいれば、体裁を変えて新たに出版社様経由で出版する方法もあるかな、と思っていますが、これは興味を持って下さる出版社様がいるかどうか次第ですね。
ということで、ご興味がある出版社様は、こちらからお声がけいただければ幸いです。
今回、「戦略プロフェッショナルの心得」を書いた際に、ある方から次のようなアドバイスをいただきました。
「世の中に戦略の本は沢山ある。
しかし戦略をしっかり定義しているのは、伊丹敬之先生の本があるくらいで、戦略を明確に定義した本はほとんど存在しない。
だから、永井さんの本では、永井さんなりの戦略を定義して下さい。」
実際、自宅にある戦略関係の本を一通りチェックしてみたところ、確かに戦略について明確に定義した本は、伊丹先生の本以外にはありませんでした。
「マーケティング」について定義した本は、あるのですけどね。
ということで、今回の本では、第8章「戦略とは何か?」で、以下のように戦略を定義させていただきました。
—(以下、第8章より抜粋)—
・戦略は、策定するだけでなく実行しなければ意味がありません。
・戦略を策定する段階では、さまざまな事業環境や自社の能力を考慮して、ターゲットとする顧客を定義し、その顧客に提供する価値を社内外のあらゆる関係者との協業を通じて最大化する方法を定めます。
・実行の段階では、ますます速くなる市場やビジネス環境の変化に常に対応し続けるために、戦略の策定と戦略の実行を常に密接に連携させあって、仮説検証プロセスを通じて継続的な変革を実現していきます。
以上を踏まえて、本書では「戦略」を次のように定義します。
戦略とは、さまざまな事業環境や自社の能力を考慮して、ターゲットとする顧客を定義し、その顧客に提供する価値を社内外のあらゆる関係者との協業を通じて最大化する方法を策定した上で、ますます速くなる市場やビジネス環境の変化に常に対応し続けるために、戦略の策定と戦略の実行を常に密接に連携させあって、仮説検証プロセスを通じて継続的な変革を実現していく、一連のプロセスである。
—(以上、第8章より抜粋)—
実際、どんなにかっこいい戦略を作っても、実行困難だったり、実行する人のハラにおちていないと、その戦略は何も価値がありません。
まったく、戦略は策定するだけでは不十分で、実践を伴い結果を出して、はじめて戦略の価値が出てくる、というのが実感です。
ビジネスの現場で事業戦略に関わっている立場で、ささやかながら、アカデミックな戦略本とは違った視点での提言ができたのではないか、と思っております。
(林さんのブログに書かせていただいたコメントを書き直してみました)
最近、私が出版した「戦略プロフェッショナルの心得」を知っている人に会うと、よく言われる言葉があります。
「これでいよいよ、印税生活ですね」
あのー、えーっと。
まぁ、もちろん、皆さんは本気ではおっしゃってはいないんです。
それはよく分かっているんですが。
それでも実態は、ちょっと違うような……。
確かに、出版社から出版すると、売上の8~10%の印税が入ります。
初出版費用を負担せずに出版した場合、これはまるまる収入になります。
とは言え、必ずしも売れるとは限りません。
先日、ある新聞を見たら、著名な政治家の先生方10名が出した本が何部売れたかが出ていました。
5万部を超えていたのは、麻生さんの「とてつもない日本」と、安倍さんの「美しい國へ」の2冊だけ。
他の政治家の先生方の本は、そこまで達していません。販売実数1万部以下の本が結構多かったように記憶しています。
全国的に著名で、しかも支持団体がある政治家の先生でも、このような状況なのです。
普通のビジネスパーソンが出すビジネス書なら、1万部売れれば大ヒットなのではないでしょうか?
でも、仮に定価1000円で1万部売れて、印税が特別待遇で10%としても、印税収入は100万円です。
100万円というと多いように思えます。
しかし、例えば私の場合、今回の本を書くのに3ヶ月半かけました。
一日平均2時間使いましたので、合計約200時間。自費出版なので、余計に時間がかかっていますが。
計算すると分かりますが、これだけの時間でこれだけの収入、実はマックでバイトしていた方が、収入が多いのです。orz
しかも私の場合、出版社を通さない自費出版です。
印税は入りません。
それどころか、出費が100万円近くかかっています。
売れないと、現在自宅で山積みしている2000冊の本が不良在庫になるリスクを自分で背負っているのです。
ということで、少なくとも現時点では、「印税生活」というよりも、「出版貧乏」なのです。
では、「本を出したことを後悔しているか」というとそんなことは全くありません。
大変満足しています。
自分の考えをまとめられましたし、多くの方々からの反響は大変励みになりました。
ある尊敬している方から言われた、次の言葉が、私のいまの気持ちの全てを代弁してくれています。
「これからの時代、
著書は、名刺代わりになりますので、
大切な一石を打たれましたね。」
もし出版の話が来ておらず、かつ出版をしたい人、という方がいれば、私は迷わず「是非、あなたも自費出版を」とお勧めします。
もちろん、ある程度お金が出せることが大前提です。
しかし、海外旅行に2週間程度行く程度のお金で自費出版できる時代になりました。
得られるモノを考えると、それ程高いものではないようにも思います。
「戦略プロフェッショナルの心得」ですが、紀伊國屋書店様のご厚意で、本日より、紀伊國屋書店・IBM箱崎店の店頭に置いて下さることになりました。
今までアマゾンのネット販売のみでしたが、初のリアル書店での販売になります。
IBM箱崎オフィスにお立ち寄りなる機会がある方は、お立ち寄になり、お手にとってご覧下さいませ。
まだ取り扱い店は1店です。増えるといいですね。
今回の自費出版での経験を通じて、自費出版で必要と感じたことをまとめてみます。
全部で7つで、個人的な独断で順位付けしてみました。
7位から順に、1位まで紹介します。
■第7位:本の在庫をストックする部屋のスペースを確保する
これ、実は結構大事です。
今回、初版で2000冊を印刷し、全て家で在庫管理していますが、比較的小さな新書であっても、2000冊というのは結構なボリュームです。
ちなみに、新書2000冊がどの程度の量かというと、横に段ボールを二個並べて積み上げて2m近くの高さになります。より大きな単行本の場合はさらに大きなスペースが必要になります。
ということで、私は自費出版の作業を進めている最中に、この在庫スペースを確保しなければいけないということに途中で気づき、デスクトップPCを処分し、PC用机を廃棄して、スペースを確保しました。
「自費出版した。本が沢山家にやって来た。でも、家に置けない。どうしよう」
ということがないようにしたいものです。
■第6位:勤務先の承認を得る
「面倒くさいから、会社に黙っておこうっと」
….ううむ、この方法、お勧めしません。
勤務先に黙って出版すると、色々な不都合が起こる可能性があります。
例えば、著作権の問題、出版収入が勤務先と利益相反している可能性、書いている内容が勤務先のブランド価値を毀損する可能性、等々です。
自分の判断が妥当かどうか、という問題ではなく、客観的な勤務先の第三者の判断を入れることがとても大切です。
のちのち自分に全ての問題が降りかかってきます。
「面倒くさい」と思うかもしれませんが、自分を守るためにも、そして勤務先の仲間に不要な迷惑をかけないためにも、勤務先のしかるべき部門に問い合せて確認することをお勧めします。
■第5位:早めに転載許可を取る
本の中で他の本や雑誌・新聞の内容を転載する場合、転載承認依頼が必要になります。
出版社、新聞社に個別に問い合せて、承認を獲得することになります。
ほとんどの会社では、標準プロセスが既にあるので、申請すればほぼ数日で承認が完了します。
場合によっては本文書き直しもあるので、転載許可は出来るだけ前倒しで完了させるとよいでしょう。
■第4位:本を出すと宣言し、出来るだけ多くの人達に見ていただく
「伽藍とバザール」を書いたオープンソースソフトのカリスマ的人物、エリック・レイモンド氏は、「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない」 と言いました。
これは本でも全く同様に当てはまります。
出来る限り多くの方々に原稿をチェックいただくことで、誤字脱字の類はもちろん、ロジックの間違いや、よりよい本にするためのアドバイスを得られます。
特に専任の編集者がいない自費出版の場合、なおさらです。
できるだけ沢山の人に見ていただくことをお勧めします。
■第3位:ワープロ画面上で徹底的に誤字や間違いをたたく
本を書いてエラーをチェックしていると、何回見直しても、不思議とその前には気がつかなかった間違いが見つかります。
なかなか収束しないのですが、時間をかけて修正していくうちに、必ずエラーが減ってきて収束するタイミングがやって来ます。
一旦印刷の校正段階に入ると、エラーを修正して修正を確認するのは、極めて面倒な作業になります。
大切なことは、この段階までワープロ画面上で徹底的に修正を続けることです。
■第2位:マスタースケジュールを立てる
「本を作る」と宣言して、しばらくはこんな感じでした。
5月下旬頃の会話
「いつできますか?」
「まぁ、7月はじめくらいには」
6月中旬頃の会話
「いつできますか?」
「ううむ、なんとか7月中に仕上げたいけど、8月かなぁ?」
6月下旬の会話
「いつごろできますか」
「ちょっと7月中は無理っぽいので、8月になりそうですねぇ」
「………。」(__;)
…ということで、仕事で普通に行っているプロジェクト管理は、自費出版でも必要です。
方法は何でもよいのですが、目標とする完成日までに順番に何を行うべきなのかを書き出して、関係者と合意し、一旦合意したスケジュールは出来る限り守ることが重要です。
いったんしっかりとしたスケジュールを立てれば、あとはただひたすら愚直に出版プロジェクトを進めるだけです。
■第1位:FEPをATOKに変える
やっぱり、生産性と品質を上げる決め手はこれでしょう。
ということで、第1位にさせていただきました。
章立てを作ったりするために、原稿をWordで書く人は多いと思います。
ここで問題になるのはIMEのカナ漢字変換の精度の低さです。
低いだけならちゃんと変換すればよいのですが、Wordで使うと正しく変換済の文字列を変な変換に後から置き換えてしまう場合があります。
このエラー潰し、結構時間を使いました。
私の場合は、カナ漢字変換をATOKに変えたら、この問題がほとんどなくなりました。普段パソコンを使っているときも変なストレスを感じることがほとんどなくなり、精神衛生上も快適です。
ジャストさん、もっとATOKを宣伝するといいのに、と思うのは、私だけでしょうか。
Just Right! 3も試してみたかったのですが、今回は間に合いませんでした。
次回、試してみたいと思います。
ちなみに、上記の中で5位と6位は、自費出版に限らず普通の出版でも必要なことですね。
今月出版した「戦略プロフェッショナルの心得」から抜粋した記事の連載が、本日からITmediaエンタープライズで始まりました。
7回シリーズの連載で、第一回目は
です。
本書のエッセンスをまとめていますので、ご興味をいただいている方は、ご一読いただければと思います。
先週、自宅に本が届きました。
いい感じの仕上がりです。
20冊ずつわら半紙に丁寧に梱包されたブロックが全部で100個。合計2,000冊。
今回改めて分かりましたが、本というのは傷つきやすいのですね。ちょっと間違えると角が曲がったりして売り物にならなくなります。丁寧な梱包は、大切です。
今回の本はスペースを取らないように小さい新書版にしたこともあって、この本のためにスペースを空けた部屋に余裕で入りました。ほぼ予想通りの分量でした。
ただ、これが5,000冊だったり、10,000冊だったりすると厳しいかもしれません。
翌日から、この本を出すにあたりお世話になった方々に配り始めました。
「え、もう出来たの?」
という反応を多くいただきました。
この本、自費出版のため、アマゾンのみで販売しています。
発売日はちょっと先の9月19日(金)ですが、実は既にアマゾンで予約注文の受付を開始しています。
こちらから注文できます。
また、この本は書店で販売しておらず、買う前に実物を確認できないため、ネット上でどのような本かが分かるようにする必要がありました。
そこで、この本の紹介のために、www.takahisanagai.comというサイトも新たに作りました。
このサイトでは、本の目次、本の「はじめに」の全文、読者の声、この本ができるまでの話(当ブログ「自費出版の道」からの引用)、本で十分に紹介できなかった参考文献の紹介、等、この本に関することは一通り分かるようにしています。
9月中旬には、当サイトで本の一部もご覧いただけるようにする予定です。
思えば5月中旬に本を書こうと思い始めてから、本業の仕事や、週末の合唱団の活動や、演奏会の準備の傍ら、わずか3ヶ月間半でここまで来ることができたのは、これまでのブログで書いてきた蓄積があったからであると思います。
ここまで、ブログでのコンテンツの蓄積と皆様からのフィードバック、編集段階のやりとり、アマゾンでの販売、等、全てインターネットを中心に進めてきました。
言い換えれば、インターネットなくして、この本は生まれ得ませんでした。
インターネットというものは、人のつながりそのものである、ということもこの本の出版を通じて改めて実感しました。
これからも新しい本にチャレンジしたいと思います。
16回の連載にお付き合い下さり、ありがとうございました。
次回からは通常モードに戻ります。
この連載では書かなかった本の内容についても折を見てご紹介していきたいと思います。
引き続きよろしくお願いします。
今回の自費出版の本は、アマゾンe託販売を使っての販売になります。
そこで、アマゾンe託販売に登録が必要になります。
登録は「ユーザー登録」と「商品登録」の2ステップになります。(詳しくはこちらに説明があります)
「ユーザー登録」は審査が行われる、とのことでしたが、非常にスムーズに登録が完了しました。
商品登録は、ISBNコード、書籍タイトル、出版社(今回は私)、出版年月日、著者、価格、内容紹介、著者プロフィール、等、アマゾンで通常表示される内容と同じ情報を登録することになります。
アマゾンに情報を掲載する際に、内容がチェックされるようで、アップしてもすぐにその場で確認、という訳にはいきませんので、ちょっと使いづらい面もあります。しかし、非常にアクセスが大きいアマゾンのようなメディアでは必要なことですね。
商品の在庫状況、発注状況、販売状況は、インターネットで逐次確認可能です。アフィリエイトプログラムを使ったことがある方であれば、全く問題なく使えます。
アマゾン側は、一定期間の商品の注文状況をチェックし、数週間程度の在庫をe託販売を行っている担当者(=私)に発注し、この発注に基づき私が都度商品をアマゾンの配送センターに出荷する、という作業になります。
本を印刷会社から直接アマゾンの配送センターに送れれば大変便利なのですが、アマゾン側で過剰在庫を抱えなくて済むような仕組みができています。
ということで、今回は2,000冊を印刷するのですが、この2,000冊はいったん私の家に在庫として置いていくことになります。
新書2,000冊を家に置くことは当初想定していませんでした。
新書2,000冊、そもそも果たして我が家に収まるのでしょうか?
どの程度のスペースを取るか計算したところ、計算上は、普通の段ボール箱2個を横に並べて、縦に積むと190Cmになる高さになることが分かりました。
私の家で本棚と古いパソコンが置いてある部屋があるのですが、この古いパソコンを撤去し、パソコンラックを処分すればなんとかできそうです。
ただ、10,000冊の在庫となると、この5倍の量になるので、自宅での在庫管理はちょっと難しそうです。数千冊が限界ということですね。
まもなく、この2,000冊が我が家に到着する予定です。
ちょっと楽しみでワクワクしています。
原稿が完成し、印刷会社に入稿しました。
Wordファイルの送付で入稿、打合せはメールでやりとりし、校正はPDFファイルと印刷した紙の郵送のやりとりで進めました。
今回は新書版で縦書きになりますので、1ページあたりの文字数・行数や、数字の表記方法等、色々と細かい点を取り決める必要があります。
まず、縦書きにあわせて数字は漢字表記に変更しました。また、全体の体裁はちくま書房「ウェブ進化論」にあわせることにしました。
入校後、数日で初校がPDFファイルで送付されてきました。印刷して週末にチェックしました。
やはり本のスタイルになると読みやすいですね。
同時に、ワープロ原稿では分からなかった部分のアラや、横書きを縦書きにしたことによる間違いも目に付きました。
チェックしていくうちに、入稿段階で見逃していた原稿の間違いにも気付きます。
初校を2回読み返し、修正箇所を赤字でチェックし、印刷会社に返送しました。
これでかなり問題箇所が潰れただろう、と思っていたら、第2校でもかなり多くの間違いを発見しました。再度赤字でチェックを入れます。
第3校でも間違いが見つかりました。しかし間違い箇所はかなり減りました。
第4校の最終チェックでOKを出し、印刷工程に回しました。
一方で、書籍のカバーのデザインも必要です。
今回は「オルタナティブ新書」として、ITmedia編集部でデザインをしていただくことになりました。
簡単な打合せをした上で、ITmedia編集部の大田さんにデザインをしていただき、PDFファイルでチェックしていきます。
『「メジャー感」のあるデザイン』と大田さんがおっしゃる通り、オルタナティブブログのロゴと親和性の高いアイコンのデザインと相まって、いい感じです。
カバーと全体のページ数が確定した時点で、束見本のチェックになりました。
実際に本の印刷で使用する紙を使い、カバーも付けていますが、各ページは白紙になっています。
いよいよ本が出るのだ、とちょっと緊張します。
ところで、カバーの校正で気づいたことがありました。
当初は、本書は1000円以内で買えるように、税込み価格980円を考えていました。
しかし、本は基本的に税別価格表示で、しかもカバーに価格を印刷するのが慣習のようです。
そして、書店で何冊かチェックしたところ、税金計算の際の小数点以下は切り捨てのようです。
そこで、価格を933円に変更しました。税込みだと979円になります。
尚、この消費税の扱いですが、売上1000万円を超えたら税務署に納入義務が生じます。
つまり、私の場合は年間1万冊以上売れると消費税の納税義務が生まれることになります。
初めての本が、しかも自費出版で、年間1万冊売れるというのは凄いことで、もしそうなれば大変うれしいことですが、恐らく私に消費税納税義務が生じることはなさそうです。
では、売上1000万円以下の場合に、お客さんからいただいた分の売上にかかる消費税はまるまる取れてしまうのでしょうか?
ちょっと気になって調べたところ、Wikipediaに説明がありました。
実際には、仕入れ時に消費税がかかっているため、お客様から消費税をいただく必要がある、という考え方のようです。
例えば、税別で100万円分の売上を受け取り、お客様から消費税を5万円(5%分)いただいたとします。
しかし、この売上を立てるのに必要な外部への支払いが税別で90万円発生していたとすれば、既に消費税を4万5千円払っています。お客様からいただいた消費税相当額5万円の中からこれに充当します。
従って、私の段階で発生する消費税相当額は、売上100万円から支払い90万円を差し引いた付加価値分10万円に対する5000円になり、私が消費税の納税義務を負うのはこの部分ということのようです。
消費税は、商品が流れる「バリューチェーン」の各段階で、付加価値が発生するたびに順繰りに支払っている、ということなのですね。
このような仕組みは、自営業や経営者の方々にとって自明のことだと思いますが、会社員をやっているとなかなか理解する機会がありません。
今回の自費出版を通じて、色々と勉強になります。
ここまでの作業で、原稿でたくさんの間違いを発見し、修正してきました。
「ほぼ原稿も完成かな」と思った段階で、ITmediaエンタープライズ編集長の浅井さんとオルタナティブ・ブログ運営事務局の鈴木麻紀さん(ばんちょ~)に原稿を見ていただきました。
さすがに、編集のプロはすごいですね。
出てくる出てくる。
たくさんの間違いを見つけていただきました。
1.使っている単語が統一していない件。例えば、
・「売り上げ」「売上げ」「売上」→「売り上げ」
・「問い合わせ」「問い合せ」→「問い合わせ」
・「等」「など」→「など」
2.用語の修正の件
・「人達」→「人たち」
・「様々」→「さまざま」
・「関わる」→「かかわる」
・「尚、…」→「なお、…」
・「但し」→「ただし」
・「辿り着き」→「たどり着き」
・「囚われる」→「とらわれる」
・「…する訳では」→「…するわけでは」
・「欲しい」→「ほしい」
・「一通り」→「ひと通り」
・「他」→「ほか」
・「筈」→「はず」
・「全て」→「すべて」
・「一旦」→「いったん」
・「よい」→「良い」
・「わからない」→「分からない」
・「時間がかかります」→「時間が掛かります」
・「知りえない」→「知り得ない」
・「数ヶ月」→「数カ月」また、原稿では、普段の仕事の習性から「お客様」という言葉を使用していましたが、読者からみると違和感があるとの指摘をいただき、すべて「顧客」に修正しました。
3.表記の統一の件
・半角と全角のゆれ:?と?など
・著者の引用方法。「さん」つけだったり、「マイケル・ポーター」というように呼び捨てだったり。敬称を統一しました。
4.中黒の取り扱いの件
・「バリュー・プロポジション」→「バリュープロポジション」
・「ライフ・サイクル」→「ライフサイクル」基本的に、3つ以内の単語は・削除がよいようです。
5.明らかな誤字が残っている件
・「(キャズムを)超える」→「(キャズムを)越える」
・「プレーヤー」→「プレイヤー」
・「実施の段階で中座する」→「実施の段階で頓挫する」
など
6.私の文章の癖の件
・接続詞として「従って」という言葉を多様していました。「本来、接続詞がなくとも意味が通じるように文章を組み立てるべき」というご指摘をいただきました。
・強調する意味で「非常に」という言葉も多用していましたが、ほとんどの場合は不要でした。
蛇足ですが、「従って」と「非常に」という言葉が入った自分の文章を改めて見てみると、少し頭が悪そうに見えてしまいました。(他にもいろいろな癖が分かりました)
従って、非常にかっこわるいので削除しました。
7.その他
・「マイケル・ポーター」とか「ヘンリー・ミンツバーグ」などの名前がいきなり出てくるのは読者にとって分かりづらい、とのご指摘をいただき、「○○大学の」「経営学の」等の説明を加えました。
・「各章にまとめを入れた方がよいのでは」との指摘をいただき、追加しました。
おかげさまで、「素人の手作り感」が強かった本も、それなりの本に近づいてきたように思います。(浅井さん、鈴木さん、感謝感謝です!)
今回の本では、ドラフトが出来上がってから入稿するまでに、原稿チェック&修正で1ヶ月半かかりました。
自分の経験では、原稿をチェックする際には、「内容の見直し」と「表記の誤り」を分けて考える必要がありそうです。
内容についてはワープロ上で徹底的に詰めておくことが必要です。
なぜなら、印刷原稿の校正段階では、内容の校正を行うのは非常に困難だからです。
例えば、章立てを変えて構成やロジックを変えるのは、ワープロ上では比較的簡単にできます。しかし、印刷原稿では指示と結果の再確認がきわめて難しくなります。
そのためには、書き始める段階で全体の構造をあらかじめデザインしておいて、全体の構造を常に把握しながら、適宜修正していくことが必要なのではないかと思います。
内容の大きな修正がなくなった段階で、最後の仕上げとして表記のエラーを確認することになります。
私の場合、最初の段階で表記の誤りはほとんど意識できていませんでした。
原稿を書く段階である程度意識していれば、上記で挙げたエラーはかなり減らせたと思います。
カナ漢字変換ソフトでエラーが発生するケースもあるので、必要であれば精度が高いカナ漢字変換ソフトを事前に導入しておくことも必要でしょう。
また、できる限り入稿前にエラーは全滅させておきたいところです。
ワープロ原稿の段階であれば、同じパターンの間違いであっても、検索して順次修正するのは比較的容易です。
しかし印刷原稿の校正段階になると、修正依頼は全て筆記することが必要で、かつ、次の校正で修正されているか再確認する必要があり、とても難しくなります。
いずれにしても、入稿前の原稿確認はできる限り徹底して行うべきであり、その際には、上記のような日本語の用法には注意したいところです。
そして、そのためにも、出来る限り大勢に見てもらった方がよいと思います。
「オープンソース4部作」で有名なエリック・レイモンドは、著書「伽藍とバザール」の中で、
「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない」
と書きました。
書籍の品質も、同様にチェックしていただける人の数が多ければ多いほど、よい本になるのだ、と実感しました。
書名もほぼ決まり、方向性が見えた頃、当初は間違いだらけだった本のコンテンツも、何とか他人に見せられるレベルに達しました。
そこで、何名かの方々にドラフトを見ていただき、コメントをいただきました。
全体的に、好意的なコメントを多くいただきました。
Aさん
すばらしい内容。理論だけでなくアンテナを張り巡らさせた選ばれた情報からの複眼的なもののとらえ方がとても参考になる。
Bさん
新たな視点を取り入れた内容になっている。入門書ではなく実践のためのヒントがちりばめられている。プランニングサイクルに沿った説明として流れと、読む気をそそる各章のタイトルが良い。いくつか新しい観点を加えるとよいのでは。(具体的な指摘をいただき、反映しました)
Cさん
この本は、読者を獲得できると思う。「実践から生まれた本である」という印象づけが、恐らくカギになる。(マーケティングプロモーションに関するアドバイスをいただき、プロモーションプランに加えました)
Dさん
すごく示唆に富んだ文章。事例が多いのもイメージわきやすい。ただ、いろいろな要素があり、結構頭が一杯になる面も。Wordでなく本で読むと違うかも。「マーケティング理論」という単語が入っているタイトルは違和感あり。(→この意見でタイトルを変えました)好き勝手に書きましたが、きっと薔薇色のコメント以外も期待されてのことと思いましたので。
Eさん
一気に読んだ。Very nice。どこかで過去に聞いたか見たかもしれないが、現場力で横串にわかりやすく、すぐ利用したい内容が羅列されているのがポイント。
Fさん
立派な著作。(1)内容が豊富、新たな知識やヒントがある (2)タテにつながっている(3)読みやすい。 堂々たるハードカバーになる。永井さんなりの経営戦略やマーケテイング戦略の「戦略」の定義があればよい。(→このコメントで、「戦略の定義」の章を追加しました。また他にも的を得たコメントをいただき、反映しました) 早く発売してください。
上記は皆さんからいただいたコメントを大幅に簡略化したものです。
本に目を通していただければ、それなりに価値を感じていただけるのでは、という感触を掴むことができました。
上記に加えて、皆様からは親身で細かなアドバイスをいただき、できる限り原稿に反映していきました。
「英知を結集する」というのは、まさにこのようなことを言うのでしょうね。
皆さんに見ていただき、かなり本の内容もレベルアップしたと思います。
もし本を書くことを考えておられる方がいましたら、是非、身近の方々に意見をお聞きになることをお勧めします。
商品名一つで売り上げが大きく変わる事例が世の中には多数あることからも分かるように、商品にとってネーミングはきわめて大切です。
例えば、皆さんご存じの抗菌防臭ソックス「通勤快足」。
最初は「フレッシュライフ」という商品名でしたが、商品名を変えたところ売上が9000万円から8億円にジャンプしたそうです。(詳しくはこちらをご覧ください)
同様に、本でもタイトルはとても大切です。
ということで、タイトルを考えました。
最初は、最近のベストセラーに多いタイトル「なぜxxxxxなのか?」に倣って、
なぜ、マーケティング理論だけでは、戦略は立てられないのか?
- 企業の現場における、戦略プロフェッショナルの仕事 -
としてみました。
この本で書こうとしている内容を表現していますし、当初は「これでOK」と思っておりました。
原稿を周りの何名かに読んでいただき、好感触もいただきました。
しかし、なぜか自分の中に割り切れない感覚があり、色々と考えた結果、その理由が分かりました。
「このタイトルでは、結局、『マーケティング理論』という単語に興味ある人しか反応しない」
「マーケティング理論」という単語に反応するのは、恐らくマーケティング理論に接したことがある人達だけです。
そして、世の中全体では、そのような人達は必ずしも多くはありません。
例えば、現場の第一線でセールスとして活躍し続けてきた人達の過半数にとって、「マーケティング理論」という言葉はどこか遠い世界の話に聞こえてしまい、あまり興味をひかないのではないでしょうか?
世の中に星の数ほどもある本の中で注意を引くためには、ターゲットとなるお客様が気になるキーワードが入っている必要があります。
今回の本は、マーケティング担当者だけでなく、企業やビジネスで戦略に関わっている全ての人達を対象としています。
先のセールスの例のように、このような人達は「マーケティング理論」という単語に必ずしも反応はしないはずです。したがって、このタイトルではあまり売れない可能性が考えられます。
しかし、実際には本書のコンテンツを考えると、この本で書かれている方法論を活かすことで、このような人達にとってもビジネスに大きな価値を生むはずです。
その後、いくつかのタイトル候補を考えた結果、最終的には下記のタイトルにしました。
戦略プロフェッショナルの心得
-ビジネスの現場で、理論だけの戦略が実行できない理由
基本的には、当初考えたタイトルと言っていることは同じですが、より広いターゲットの人達のアンテナに止まるように考慮しました。
もちろん、このタイトルはあくまで仮説ですので、実際の成果を見た上で、必要であれば将来変更することも検討したいと考えています。
自費出版の形もだいぶ見えてきたある日。
有楽町で、オルタナティブ・ブロガーが集まる毎月恒例のブロガーズ会議が行われました。
中華料理屋で行われた二次会には、ITmediaの方々やオルタナブロガーがいつも通り多数参加しました。
今回、ブログで書いた内容を本にまとめるということで、何名かのブロガーにこの自費出版の話をしました。
ITmediaエンタープライズ編集長の浅井さんにも、「今度新書版で、オルタナティブ・ブログに書いている内容を自費出版しますので、よろしくお願いします」とお話ししました。
浅井さんと企画している内容をいろいろとお話ししているうちに、「それならせっかくだから、『オルタナティブ新書』という形でシリーズにしましょう」という話に発展しました。
「オルタナティブ新書」
という語感が何となくいい響きでしたし、オルタナティブ・ブログに書いてきた内容を書籍にまとめる、という一つの道筋をつけられる可能性を感じました。
この後、「オルタナティブ新書」のアイディアを受けて、オルタナティブ・ブログ運営事務局のばんちょ~(鈴木麻紀さん)が社内を奔走し、実際にITmediaさんの中で企画をとりまとめていただきました。
現時点では、「オルタナティブ新書」は、
・オルタナティブ・ブロガーの自費出版。
・発行主体はブロガー。ブロガーが自己責任を持って進める
・カバーのデザインはITmediaさんが行う
・また、ITmediaさんが記事で紹介していただく
という形で進めることになりました。今後はさらに進化していく可能性もあります。
個人が独力で自費出版すると、ブランディングやプロモーションの点で限界があるので、カバーのデザイン支援やメディアでの紹介は大変ありがたいことです。
これも、浅井さんの「オルタナティブ新書」という言葉がスタートラインでした。
このようなブロガーのアイディアを、その場で「オルタナティブ新書」というシンプルなコンセプトにまとめるあたりは、さすがに浅井さんと思いました。
企画を考える上では、ネーミングが企画のコンセプトを明確に表現していることが重要であり、そのネーミングでチームが動いていくことを実感した次第です。
ブロガー主体で、ブログから出版という新しい道をパターン化できる可能性が出てきました。
今回、自費出版で作る本は、アマゾンのe託販売で販売します。
このe託販売で販売するためには、ISBNコードを取得する必要があります。
ISBNコードとは、国際標準図書番号(International Standard Book Number)という意味で、出版物の発行国、出版社、書名が個別に特定できるように割り振った番号です。
よく本を買うと、本の表紙に印刷されているあの番号です。
アマゾンでは、こちらに詳しい説明が掲載されています。
ISBNコードを入手できれば、出版物を出版物の流通システムの上に乗せることができます。
このコード、実は個人でも取得できます。
「日本図書コード(ISBN)と書籍JANコード取得のご案内」(2023/9/14変更:リンク先が別サイトになっていたためURLリンク削除)に取得方法が掲載されています。
「出版者記号は出版者(発行所)だけが取得できます。」と説明されていますが、「出版者」であって、「出版社」ではないところがミソです。
今回は私が出版者となって自費出版するので、私自身が「出版者」として申請することになります。
また、「出版者がご自身で申請してください。印刷会社・編集代行会社など代理人(発行所と異なる方)は申請できません。」とガイドされている通り、自分自身で申請することになります。(他者に委託できません)
7桁の出版者記号を取得するためには、登録料15,750円と国際本部分担金2,100円の合計17,850円が必要になります。これで10個の出版記号(つまり10冊分の書籍の出版記号)を入手できます。
申請はとても簡単です。ウェブフォーム(2023/9/14変更:リンク先が別サイトになっていたためURLリンク削除)に必要事項を記入して印刷し、郵便振込で振り込んだ17,850円の払込金受領証を糊付けし、郵送するだけです。
ホームページでは3週間かかると書いてありましたが、実際には2週間半で「日本図書コード(文字表現とバーコード表現)実施の手引き」というガイドと、「ISBN出版記号のお知らせ」が届きました。
このガイドに従って、自分で書籍に与えられたコードを割り振ることになります。
私は978-4-9904323-0-0というコードを今回作成する本に使用することにしました。
私は日本IBMに勤務している会社員ですので、主な生計は勤務先の給与で立てています。
今回、個人で自費出版するとは言え、勤務先の名前を出した上で本を出します。
本書に掲載された内容は筆者である永井孝尚個人の見解であり、必ずしも筆者の勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。
という一文を本の冒頭に入れていますし、実際、本の内容は私の個人的な見解をまとめたものです。
しかし、読者の方々は、「日本IBM社員の永井が書いた本」と思って本を読まれることになります。
会社のブランド・マネージメントという観点でも、勤務先の会社が本の内容が問題がないかをチェックすることが必要になります。
また、今回は自費出版の販売に伴い収入が入ります。社員を雇用する会社として、社員が外部から収入を得ることに対して、問題がないことも併せて確認する必要があります。
例えば競合他社等、勤務先と利害が相反する団体から収入を受け取るのは問題があります。利益相反になるからです。
従って、
1.出版する書籍が、勤務先の会社の名前を出しても問題がない内容であること
2.受け取る収入が、勤務先と利益相反にならないこと
を確認することが必要になります。
今回、「さすがIBM」と思ったのは、このような承認プロセスが社内にちゃんと整備されているということです。
詳細は社内内部プロセスに関わる話なので割愛させていただきますが、2週間ほどかけて勤務先の承認を得ました。
一方で、本の中では、書籍・雑誌・新聞などから何カ所か転載しています。
そこで著作物利用の許諾も得ました。
まず、本のドラフトをチェックして一覧表を作成しました。このリストには、著者名、出版社名(または新聞社名)、出版日、転載内容等をまとめました。
この結果、合計7カ所から許諾を得る必要があることがわかりました。
この7つの書籍を出版している出版社・新聞社に対して、それぞれ個別にメールやFax、電話でコンタクトしました。
全ての出版社・新聞社では、著作物利用の承認プロセスが整備されています。
必要事項を記入し、書籍のドラフトを添付して送ると、数日で承認されました。
新聞社への寄稿記事の場合、事前にその記事を書いた著者の許諾が必要になります。そこで著者の大学の先生や会社の役員の方に個別にメールを送って事前承認をいただき、その承認内容を添付して新聞社の承認を得ました。
一つ問題があったのは、新聞社の承認を得る際に、新聞記事のコピーを添付する必要がある場合があったことです。
私の場合、ブログに記事を書くと、その記事はそのまま廃棄していましたので、手元には残っていません。
このような場合は、新聞社に連絡して、記事のコピーを有償で購入する必要があります。
結構高い料金であり、また、郵送されるまで1週間程度かかるので、将来ブログに書いた内容を出版したいと考えている人は、転載記事のオリジナルは全て手元に置いておくとよいかもしれません。
一通りの承認を完了するのには、3-4週間を要しました。
勤務先の承認も、著作物利用の承認も、時間がかかります。
出版を考えておられる方は、本のドラフトが完成した時点で、できる限り早めに必要な承認処理を始めておくことが望ましいと思います。
注:著作物利用と引用の区別が不十分でしたので、修正しました (2008/8/14 13:00)
書き始めの当初は、作業はサクサク進み、
「思ったよりも、ずっと早く簡単にできそうだ」
….と思いました。
実際、5月末から作業を始めて、最初のドラフトは10日後にできあがりました。
全体の構成の中で、足りない箇所もいくつかありましたので、それらの部分については新たに書き起こしました。
しかしその中には、実際に読者にどの程度受けるのかがよくわからないものもありました。
ブログに書いているものであれば、ブログのコメントやはてブ等でどの程度読者に受けるのかがある程度予測することができます。しかし、新規書き下ろしとなると、そのようなチェックができません。
そこで、新規に書き下ろした文章のうち、読者にどの程度受けるかどうか分からない文章については、ブログに書いて反応を見てみることにしました。
例えば、このエントリーは、そのようにして書いたモノです。
幸い、ブックマークされ、ポジティブなコメントが付いていたので、意見を反映して修正の上、採用しました。
全体のドラフトができ、改めて読み返してみました。
「ううむ、これではまずい」
本としての体裁を全くなしていないことがわかりました。
まず、2年間かけてブログにバラバラに書いた文章を集めてきたため、整合性が取れていません。
例えば、ロジックの整合性。
考え方はそれなりに首尾一貫して書かかれているのですが、本としてまとめてみると各所で書いている論理が矛盾している箇所が目につきます。
また、用語の整合性も取れていません。同じ用語を様々な言い方で書いています。
パソコンの画面では気がつかなかったこのような問題も、印刷して紙でみると、よくわかります。
パソコンの画面上で一通り書き上げて、論理構成を見直す
→目次を作成して頭から流れをチェックする
→印刷して、再度確認する
これを何回も何回も繰り返しても、見るたびにそれまで気づかなかった間違いや不整合が見つかります。
新書にして240ページ程度の量ですが、この程度のボリュームでもなかなか収束しません。
最終的に、全体のロジックレベルでの大きな問題となるエラーがなくなるまでさらに2週間、大きな間違いが一通りなくなるまでさらに2-3週間、誤字脱字が収束するまでさらに2-3週間を要しました。
一気に書き下ろす場合とは異なり、ブログから本を作る場合ならではの問題かもしれません。
具体的な誤字・脱字・間違いの例は、後ほど校正の様子をご紹介する際にご説明します。