世界経営者会議(10) 再び1日目:欧米製造業の対応 ーなぜ彼らはアジアにR&D拠点を移すのか?

世界経営者会議のレポートの続きです。

ここ数回、アジアの経営者の声を紹介してきました。ここで欧米の製造業トップの講演をご紹介したいと思います。

 

■BASF マルティン・ブルーダーミュラー副会長

2050年、世界の人口は90億人になる。リソース・環境・気候、食品と栄養、生活の質が重要になる。これらを解決する上で、化学はイネーブラー(enabler)だ。

BASFはサステイナブルな未来のために化学を作っていく。それが新しい企業戦略、”We create chemistry”だ。

R&D 18億ユーロ(2600億円)のうち、1/3は気候変動、エネルギー開発に投資していく。

市場規模と成長率を見ると、アメリカ地域が1900億ユーロ(28兆円)で年+6%。欧州中東アフリカ地域が2000億ユーロ(29兆円)で年+6%。アジア地域が2400億ユーロ(35兆円)で 年+9%。

つまりグローバルでは、アジアが最大市場で、かつ最も成長が速い。

そこで1/4のR&D支出をアジア に振り向け、アジアでイノベーションを推進し、世界に広げる戦略だ。

パートナーシップも重要だ。その際には、どのように関係性を管理するかが課題だ。

社内でも、別事業のR&D担当者同士が話し合うことで新しいアイデアが生まれている。R&Dだけでなく、SCMや生産も同様だ。

頭脳をつなげていくことが大事だ。一緒になることで効率性もスピードも高まる。全ての社員が、「我々はBASFという一つの会社である」という考えを持つことが大切だ。

 

■シュナイダーエレクトリック ジャンパスカル・トリコワ会長兼CEO

当社は25年前は電力管理を中心とした事業だった。

今や売上250億ユーロ(3.6兆円)。内訳はビルディング関連 102億ユーロ、インフラ関連 57億ユーロ、インダストリー関連 59億ユーロ、IT関連 34億ユーロだ。

R&Dに売上の4-5%を投資している。43%は新興国だ。さらに45%の人材がアジアにいる。

そこで本社をパリから香港に移した。当社では全世界45拠点に、11,000名のR&Dエンジニアがいる。顧客がいる現場近くに配置している。

パートナーシップも重要である。日本は生産性が高く、東芝、富士電機、TEPCOなどともパートナーシップを拡大している。

パートナーシップでは色々なものを組み合わせるので、複雑性との戦いになる。だから規格はオープンスタンダードでなければならない。標準化が必要だ。

大切なのは、小さい段階で失敗すること。その際、相手を信用できるかどうか。要は人である。人に尽きる。

 

■マイクロン・テクノロジー マーク・ダーカン CEO

マイクロンはメモリー半導体専業だ。

今、ムーアの法則が鈍化している。これまでデータセンターのデータが中心だった。今はモビリティとクラウドが普及しIoT (Internet of Things、モノのインターネット)のデータが急拡大している。

こんな時代の課題に、1社で全てに対応するのは難しい。だからパートナーシップが必須となった。

研究者たちのパートナーシップを拡大している。 パートナーシップのためには、Win-win(双方にとってのメリット)が何なのかをキチンと定義することが必要だ。真のWin-Winであれば競争ではない。これが真の差別化要因になっていて、持続できるかどうかがカギだ。

 

【所感】

欧米の製造業トップ3名の講演と対談でした。

共通して、R&D拠点としてアジアを重視していることが印象的でした。

現代では、多くの企業は顧客の近くにR&D拠点を置いています。その一つの理由は、R&Dの段階で顧客に「課題」を検証する必要性が、かつてよりもはるかに高まったからではないかと思います。

20−30年前は、門外不出の研究を本国で行うことが多く、R&D拠点も本国に置いていました。現代に比べてプッシュ型のアプローチ、つまり製品主導でも売れていましたし、顧客の課題が多様化していなかったから、というのが背景です。

しかし今は、この方法で製品開発を進めると、多様化・細分化・激変する顧客の課題を間違ったまま開発してしまい、製品を出してもまったく売れないということが起こってしまいます。

だから顧客の近くで、顧客に課題と解決策を検証しながら、製品開発を進めることが必要なのです。

このように考えると、欧米製造業各社が世界で一番成長しているアジア地域にR&D拠点を設置し始めているのは、ある意味必然なのでしょう。

 

昨年の世界経営者会議では、たとえば「欧米企業の多くは、いかにアジアの成長に対処するか苦慮している」という欧州・ヘンケルCEOの発言のように、アジアの成長への対応に悩む欧米企業トップの声が聞かれました。

一方で今年は、欧米企業はアジアの成長に対して、積極的に自社を変革してでも腰を据えて対応しようとする姿勢が印象的でした。

 

この世界経営者会議のレポート、登壇された19名の経営者のうち、まだ6名残っているので、もう少し続けます。

  

【世界経営者会議レポート】

世界経営者会議(1)1日目:IBM・ロメッティCEO、日立・中西CEO

世界経営者会議(2)1日目:KPMGインターナショナル・ビーマイヤー会長

世界経営者会議(3)1日目:iRobot コリン・アングル会長・CEO 製品中心の会社は、マーケティング力も卓越していた

世界経営者会議(4)1日目: Evernote フィル・リービンCEO

世界経営者会議(5)2日目: LIXIL 藤森義明 社長兼CEO いないのは「プロの経営者」よりも、むしろ「プロのマーケター」

世界経営者会議(6)2日目: チャロン・ポカパン(CP)グループ タニン・チャラワノン会長兼CEO 「中国市場のチャンスは無限だ」「インターネットは飽和し、実体経済の変化が重要になる」

世界経営者会議(7)2日目: SMインベストメント テレシタ・シー・コソン副会長 平均年齢23才と若いフィリピンは、なぜ急成長しお金を持っているのか?

世界経営者会議(8)2日目:タイ石油公社(PTT) パイリン・チョーチョーターウォン社長兼CEO タイはバイオハブになる

世界経営者会議(9)2日目:サンミゲル ラモン副会長、社長兼COO ASEAN統合は、アジアの新たな発展の契機になる

世界経営者会議(10) 再び1日目:欧米製造業の対応 ーなぜ彼らはアジアにR&D拠点を移すのか?

 

世界経営者会議(4) 1日目: Evernote フィル・リービンCEO

世界経営者会議レポートの続きです。

Evernote CEOのフィル・リービンさんが登壇しました。
 

【講演より】

現代では情報不足は解消し、むしろ情報過剰になっている。そこでEvernoteでは、「書く」「集める」「見つける」「発表する」の4つのことが出来るようにした。

■書く (write):現代ではプリントアウトはしない。フォントやマージン設定などの必要性は少なくなっている。この結果、ワープロは過剰機能になっている。今必要なのは、書く内容のクオリティそのものだ。これをサポートする。

■集める (collect):必要な全ての情報を簡単に収集できることが必要だ。

■見つける (find):検索(search)ではない。検索能力は不要だ。わかっていなかったけど知りたかったものが、自然に出てくることが必要だ。

■発表する(present):現代の生産性でプレゼンは最悪だ。きちんと発表できていない。

よりよい意思決定のためには、この4つが重要だ。Evernoteにはこれらの機能が全て入っている。製品の背後にあるテクノロジーが、常に何かを探してくれるイメージだ。

 

どんなわがままも聞いてもらえる「子ども」。

周りが働いてくれる「CEO」。

自分の能力が飛躍的に高まる「スーパーマン」。

あなたはどれになりたいだろうか?

私の場合は「スーパーマン」だ。能力を高めて色々なことを実現したい。Evernoteはそれを可能とするのだ。

そこで私が提唱しているのは、Augmented Intelligence (知能増幅)。テクノロジーを活用して、人間の知能を増幅するのだ。

そもそもEvernoteは、私が欲しいものを作った。

だからEvernoteは、Apple Watchなどの全てのウエラブルデバイスにも対応すべく準備してきた。デバイスがシームレスに繋がるようになる。たとえばiPhoneでメモを見ている時に電話がかかってきて、iPhoneの電話機能で話し始めたら、自然とApple Watchにメモが表示される、といったイメージだ。人間にはとてもスムーズな動作であり、自然に対話に入ることが出来る。これをテクノロジーでサポートする。実は背後にあるテクノロジーは高度なものだ。

 

【質疑応答より】

質問:人工知能についてはどう思うか?
→我々は、人工知能ではなく、人間と組み合わせることで、人がより賢くなることを目指している。これがAugmented Intelligence (知能増幅)だ。

質問:10年後にはどんな技術が生まれてくると思うか?
→今後はいくつかの技術の組合せになっていく。ローコスト・ローパワーな組合せが無限の計算能力を生み出せるようになる。技術面の限界はバッテリーくらいのものだ。実は本当の限界は、むしろ人間の想像力にある。現時点ですばらしい技術があるのに、想像力が足りないために使えていないのが現状だ。

→95%の人は、新しいものに接すると、まず否定に走りがちだ。たとえば2万年前に文字が生まれた時は、「文字なんて使っていたら馬鹿になる。ちゃんと覚えて口伝で伝えるべきだ」と言った人がいた筈だ。しかし文字があったから文明が進化した。火も「火事になる」と言って使わなかったら、文明は生まれなかった。ドローンなどの新技術も同じことだ。どのような可能性があるかを考えるべきであり、その上で、いかにリスクを下げるかを考えるべきなのだ。

 
【所感】

フィル・リービンさんのお話を聞くのは初めてでしたが、まさに「ビジョナリー」であり、すばらしい内容でした。

私はEvernoteは使っていなかったのですが、この講演の夜から使うようになりました。このブログもEvernoteを使いながら書いています。とっても便利です。

 

宇宙ビジネス・電気自動車・太陽エネルギーに挑戦するイーロン・マスクの実像。「モノゴトに魔法はない。志を持って実行するのみ」

「地球と人類を救う経営者」として最近話題のイーロン・マスクを描いた本「イーロン・マスクの挑戦 人類を火星に移住させる」(別冊宝島、2014年8月)を読みました。

1971年生まれのイーロン・マスク。その経歴は凄まじいものです。

1995年に起業したZip2社をその後売却し、2200万ドル(22億円)を手にします。

1999年にX.com社の共同設立者となり、これが2001年にPayPal社となり1億7000万ドル(170億円)を手にします。

この資金を元手に2002年に3つ目の会社として宇宙ロケット開発のスペースX社を起業。「人類を火星に移住させる」と宣言。

2004年に電気自動車会社「テスラモーター社」の会長、さらに太陽光発電の「ソーラーシティ社」の会長になります。

大学時代、イーロンは「人類の将来にとってもっとも大きな影響を与える問題は何か」と考え、「インターネット、持続可能エネルギー、宇宙開発の3つ」と考え、これらの事業を立ち上げています。

絵空事で終わらせていないのが凄い点です。

2010年12月8日、スペースX社が独自開発した宇宙ロケット「ファルコン9」は宇宙船ドラゴンを所定の軌道に投入、地球を2周して大気圏に再突入し、太平洋に着水しました。

スペースX社創業からわずか8年、民間の宇宙船としては史上初です。

打ち上げコストは1/10まで下げました。今後ロケット再利用を図り1/100まで下げることを狙っています。現在、国際宇宙ステーションに物資輸送を行いつつ、火星移住のための準備も進めています。

テスラモーター社では、ポルシェより速くフェラーリより安い電気自動車「ロードスター」を開発し販売。レオナルド・ディカブリオやブラッド・ビットといったセレブリティたちがこぞって購入しています。

本書では、あるロックスターはパーティでイーロンに、「ロードスターに文句がある。以前から持っているポルシェに全く乗らなくなった」と言った様子が描かれています。

さらに第2弾としてセダン型の「モデルS」も開発・販売しています。

さらにテスラ社の車に無料で充電するための新しいインフラとして、ソーラーシティ社により、太陽光発電による充電ステーション「スーパーチャージャー・ステーション」を世界に設立しています。

上記の一つだけの取り組みでも難題ですが、イーロン・マスクは、全て手がけて結果を出しています。

本書では、イーロンの取り組みや考え方も紹介しています。

感銘を受けたのは、何度も何度も失敗を繰り返し、成功への糧としている点。

3回失敗したロケットしかり、納期遅れとコスト増で苦しみ顧客の前払い金を私財で保証までした電気自動車開発しかり。そこにあるのは、「金儲けではなく“人類と地球のため”に働く・考える・行動する」という志です。

一方で、イーロン・マスクの考え方はきわめて合理的で真っ当。しかし実行するのは大変なことです。

—(以下、p.73より抜粋)—

「会社の名前で製品は売れているのだ」と思い込んでいる人がいるが、それは間違っている。まずは、素晴らしい製品があって会社のブランドを築く。ブランドは信頼であり、消費者は信頼に基づいて製品を購入してくれる。製品が先にあるのだ」

—(以上、抜粋)—

強い企業ブランドを持っていると、ついついそのブランド力に頼りがちです。しかし、本来はブランド力に頼らず、素晴らしい製品やサービスを作ることに全力を注ぐべきです。その結果が、さらなるブランドの信頼に繋がるのです。

当たり前のことですが、我々がつい陥りやすい罠について、的確に述べています。

—(以下、p.74より抜粋)—

「自ら積極的に批判に耳を傾けることが大切」である。では、どうやって自ら批判を求めていけばいいのだろうか?

その質問にイーロンは「友人に作った製品を見せるんだよ。そして、『どこが良いかは言わないでいいから、良くないところを教えてくれ』って頼むんだよ」

—(以上、抜粋)—

「批判に謙虚になれ」

当たり前のことですが、言うは易く行うは難し、です。

しかし批判に謙虚に耳を傾ければ、必ずよくなります。日々実践したいことです。

—(以下、p.75より抜粋)—

スペースX社は劇的にコストを引き下げてロケットを作り成功を収めている。しかし、これについてイーロンは「革命的なブレークスルーによってではなく、コツコツと地道な努力を積み重ねることで成し遂げたんだ」とコストダウンの意外な神髄を語ってくれた。

…「われわれの(コストダウンの)考え方そのものが、革命的なブレークスルーなんだ」

—(以上、抜粋)—

「愚直に積み重ねる」ことは日本人のお家芸だと思いがちですが、イーロン・マスクもまさに愚直に積み重ねています。

革新的イノベーションの時代から、持続的イノベーションの時代に変わりつつあることを、イーロン自身、認識しているのかも知れません。

愚直に積み重ねて実行するのに加えて、その先にシンプルな目標を定めて戦略的に考えている点が、イーロンの凄さだと思います。それは次のエピソードに現れています。

—(以下、p.82より抜粋)—

「我々のEV(電気自動車)はエコカーではなく、プレミアムカーだ」

そう宣言したイーロンのEV戦略は独創的だった。

所有することを切望し、持っている人に憧れ、持てば自慢したくなるEVカーを立ち上げ、まずは力ずくにでも世間の注目を集めるというものだった。

…値段も10万ドルを超える高級車だ。それならマスコミは取り上げ、世間も興味をそそられるに違いない。その次には、5万ドル程度のミドルクラスの4ドアセダンを送り出し、そして、最後は、大衆の手に届く2万ドルクラスのエントリー車を大量に生産する。これがイーロンが考えた型破りな戦略だった。

—(以上、抜粋)—

これは最初の電気自動車「ロードスター」を開発していた時の発言です。

最初にプレミアム車で成功し話題を取る。そのためにレーシングカーの名門・英国ロータス社と共同開発契約を締結。

次に経験に基づき蓄積した技術を活かして、ミドルクラスに広げる。

さらに量産効果でエントリー車を量産する。

電気自動車メーカーで、このようにシンプルでわかりやすい戦略的な製品ロードマップを持って明言しているのは、テスラ社だけなのかもしれません。

このようにイーロンの考え方はまさに王道。「モノゴトに魔法はない。志を持って実行するのみ」ということですね。
本書では、戦略的に考え、ものすごい愚直な実行力と交渉力で実現してしまうイーロン・マスクの姿をわかりやすく描いています。

今後日本でも、イーロン・マスクは大きな話題になっていくと思います。いま、要注目の一人だと思います。

ちなみに、テスラは既に日本語サイトがあり、日本でも販売中です。モデルSが823万円。大阪パナソニックセンターで試乗できます。

 

 

「欧米系ITソリューションを日本で売ろうと思ったけど、ぜんぜん売れない!」を解決するために

斎藤昌義さんが「欧米との文化の違いを理解しないままに製品やサービスを選定してはいけない」というブログを書いておられます。

私も前職で外資系IT企業の経験が長かったこともあり、思想的背景の違いを踏まえずに欧米の製品を現場に持って行って受け容れられない、ということを沢山経験してきました。

 

そして最近、日本のIT企業(SI業者)も、同じ状況に置かれていることに気がつきました。

ITソリューションとして販売されているのは、海外企業の製品群が多いからです。

日本の大手IT企業(富士通、日立、NEC、NTTデータ)のITソリューションは、多くの場合、オープンな販売チャネルではなく、自社販売チャネル(直販や子会社)で販売しています。

オープンな販売チャネルで広く販売しているITソリューションは、同じオルタナブロガーであるe-Jan ネットワークス社長・坂本さんのCachattoやインフォテリア社長・平野さんのAsteriaのような素晴らしい日本製品もある一方で、市場全体では外資系IT企業の比率が高いのが現実です。

この結果、独立系SI業者からすると、外資系のITソリューションを手がけているケースが多いのです。

 

その際に、冒頭の「思想的背景を踏まえずに、欧米の製品を現場に持って行った際のギャップ」の問題が起こってきます。

「海外で実績が出始めたITソリューション」ということで、SI業者が「じゃあ、ウチでも先行投資して販売しよう」とチャレンジすると、日本ではぜんぜん売れない現実に直面するのです。

ここまでが課題の話。

ではどのように解決すればよいのでしょうか?

一つの方法があります。

 

米国製品を日本市場で展開するケースを例に、このようなことが起こる理由を考えると、日米の「ターゲット顧客」と「その顧客の課題」にギャップがあるからです。

様々な業界で、日米ギャップは沢山あります。たとえば、

■日本のような国民全員が加入する健康保険制度は、米国にはありません。(現在オバマ大統領が、オバマケアで解決を図ろうとしています)

■日本では雇用主が源泉徴収して納税するため個人で確定申告をせずに済みますが、米国では個人の確定申告が義務づけられています。(その代わり多くの節税の方法があります)

■日本では自動車メーカーの傘下に系列の自動車ディーラーがあり取り扱う自動車会社で色分けされてますが、米国では自動車ディーラーは独立系で複数自動車会社の自動車を取り扱います。

このようなギャップがあるため、ターゲット顧客と顧客の課題は、日米では大きく異なるのです。

ですので、海外ITソリューションが前提とするターゲット顧客と顧客課題と、日本市場でのターゲット顧客と課題の現実を見極めることが必要です。

 

SI業者は、たとえば「ある特定分野の業務知識に詳しい」といったように、自社ならではの強みを持っています。

ギャップを埋めるためには、先行投資しようとするITソリューションのターゲット顧客とその顧客の課題、さらにそこで活かせる自社の強みを徹底的に考え抜くことが必要です。

幸いゼロベースで考える場合とは異なり、ITソリューションの海外顧客実績を参考にできます。海外の顧客プロフィールと課題が、日本ではどのように当てはめられるかを考えれば、日本市場での展開にあたって参考になります。

ターゲット顧客の定義を変えたり、同じターゲット顧客でも別の課題に取り組む必要もあるでしょう。

あるいはITソリューションに、自社ならではの強みを活かした、別の付加価値を提供する必要があるかも知れません。

 

「自社の強み?う〜ん……。そんなものはありません。理想論です」というケースも多いのですが、それは違います。実際には、自社の強みは当たり前になっているので、過小評価してしまう企業が多いのが実態なのです。考え抜くとたとえ小さな種であっても見つかるはずですし、逆にたとえ小さな種でもそれを見つけて育てない限り、差別化できません。

「自社の強み」を考え抜くには、先日のブログでご紹介したこのフレームワークが役立ちます。

また、ターゲット顧客・課題・解決策を考えるには、バリュープロポジションの考え方が役立ちます。ご参考までに、こちらは8年前に当ブログで書いた内容ですが、今でも参考になると思います。

 

私は様々な業界のクライアント様と一緒に、上記を考えるワークショップを実施しています。

クライアント様別に最適化してカスタマイズしているので、準備には手間も時間もかかります。

しかし「いかに自社のバリュープロポジションを具体的に作るか」でお困りの企業は多いようで、有り難いことに、多くのお客様から研修・ワークショップ提供のご依頼をいただいています。

 

海外のITソリューションを日本で展開する際に、このバリュープロポジションの考え方が大いに役立つことは、前職でも実感しています。

ITソリューションに携わるセールスやエンジニアこそ、バリュープロポジションを中心としたマーケティングの考え方を身につけると、仕事力向上に役立つはずです。

 

苦手の動画編集が、iMovieで簡単にできた

昔から動画はどちらかと言えば苦手種目でした。

先日動画を撮影し、それを人様に見ていただくために編集することになりました。

苦手種目だった動画ですが、試しにMacBook Proに入っているiMovieを初めて使ってみて驚きました。とても簡単に編集できるのですね。

 

たとえば映画の予告編風に作るのであれば、既に完成済のサンプルから好みのタイプを選択、中にある文字や動画、背景画像を入れ替えるだけで、それなりのモノがすぐに完成します。

動画と動画の繋ぎ(フェードアウトするか、等)も、自由に設定変更できます。BGMも揃っていますし、動画の再生速度も色々と変えられます。

出来上がった動画はそのままYouTubeにアップしたり、ファイルに書き出したりできます。

 

数年前だったら、プロに頼んで100万円以上かかっていたであろうレベルの作品が、細かなこだわりがなければ、誰でも一定レベル以上の作品が簡単に作れてしまう時代なのですね。

 

実際に体験してみて、改めて「現代は、『自分の強みやスキルとは何か?』を考え抜かなければならない時代なのだな」と実感しました。

 

SmartNewsは、視点の偏りを是正しメディアリテラシーを向上させる効果がある

高校生までは、新聞と言えば実家で取っていた朝日新聞でした。

大学3年生くらいから日本経済新聞を読むようになり、現在に至っています。

実際に各社の新聞紙を読み比べるとわかりますが、同じテーマでも論調はかなり異なります。これは一紙だけを読んでいるとなかなかわからないのですよね。

本当は何社かの新聞を併読すると、視点の偏りを是正できます。ただ新聞を何紙も併読するのはなかなか難しいのが現実だと思います。
 

ネットで色々な意見を読めるようになり、かなり改善されたと思います。ただネットの情報では玉石混淆なのが難点です。

私はSmartNewsを毎日読んでいますが、実はSmartNewsは、様々な論点に触れることができるのが隠れた大きなメリットなのだと気がつきました。

たとえば現在、主なメディアでは下記のニュースを読むことができます。

読売新聞、毎日新聞、ハフポスト、サーチナ、ロイター、共同通信、TBSニュース、東洋経済ONLINE、プレジデント、現代ビジネス

それぞれ論調が異なりますので、様々な視点に触れることができます。

これは結果的に、自分のメディアリテラシー向上に繋がります。

 

SmartNewsはネットの反応時間を待たずに記事をサクサク読めるので、ニュースの吸収速度が速いという特性があります。

日々、サクサクと様々なメディアの視点に触れることで、自然とメディアに左右されない見方ができるようになっていくように思います。

 

最近グリーなどの出資でも話題で成長著しいSmartNewsですが、こんな利点もあるのだな、と思いました。
 

 

人間の脳と同等。ニューロン100億個を内蔵するチップは、どのような未来を生み出すのか?

2014年4月24日、古巣である日本IBMの東京基礎研究所を見学する機会をいただきました。

その時に、IBMが神経細胞を模したニューロンチップを開発していることを初めて知りました。その翌日に書いた4/25のブログを読み返してみると、

・非フォン・ノイマン型の300万素子で構成
256個の神経細胞(ニューロン)に相当
・世界で最も優れた情報処理システムである脳細胞の動きをヒントに開発
・米国の国防高等研究計画局(DARPA)が出資するSyNAPSEプロジェクトの成果
・各ニューロンが記憶を保持

このニューロンチップが急速に進化しています。

 

2014年8月7日、IBMは新しいニューロンチップを発表しました。

日経ITproの記事「IBM、2011年比4000倍の巨大ニューロチップを作成」によると、

・CMOSチップ最大級の54億個のトランジスタで構成
100万個の神経細胞(ニューロン)、2億5600万個のシナプス(ニューロン間結合)の働きをシミュレート

今年4月に見たニューロンチップ(開発されたのは2011年だったのですね)のニューロン数が、256個から100万個に。記事タイトルの通り4000倍。まさに指数関数的に進化しています。

記事によると、このシステムはスケーラブルに増やすことができ、既にIBMは16チップ、1600万ニューロン(40億シナプス)のシステムを製作済とのこと。

さらに「IBMは長期的なゴールとして、100億ニューロン、100兆シナプスのシステムの開発を目指す。消費電力は1kW、体積は2リットル以下」とのことです。

 

人間の脳は、10の10乗から11乗のニューロンで構成されています。改めてニューロンチップの進化をニューロンの数で整理すると、

・私が見た4年前の単体チップが、ニューロン256個 (=10の2-3乗)
・今回の単体チップは、100万個 (=10の6乗)
・既に製作済の16チップ構成で、1600万個 (=10の7乗)
・IBMの長期的なゴールは、100億個 (=10の10乗)

 

つまり人間の脳が持つニューロン数と同等のチップ開発が、既に視野に入っているのですね。

 

発表によると、ニューロンチップが実現できるのは、たとえば交通状況を動画で監視して異常を見つける、といったような主に認知機能に関する分野とのことです。(攻殻機動隊-Ghost in the shell-のように「魂が宿る」ということはないようです)

この分野でコンピュータが人間の脳に追いつくのは、実はそんなに遠い未来ではないのかもしれません。

 

今後、ニューロンチップが指数関数的に進化していくと、未来の人間の仕事はどうなるのでしょうか?

 

かつてコンピュータの計算能力向上で、人は細かい日々の計算作業からは解放され、ソロバンは不要になりました。

しかし人間が数字のことは考えないで済むかというとそんなことはありませんでした。

ビジネスで数字で強いことが必須なのは、昔も今も変わっていません。

 

おそらく、同じことがニューロンチップでも起こるのではないかと思います。

たとえば忍耐強く長時間監視するような作業は次第にニューロンチップを使ったマシンにとって替わられる一方、様々な事象を認知する能力の高さは、引き続き求められるのではないでしょうか?

 

テクノロジーの進化は、未来の仕事のあり方を大きく変えていく一方で、人間にしかできないことが何かをしっかりと見極めることもまた重要なことです。

たとえば自動車普及で、自動車の運転手という仕事が生まれる一方で、馬車にかかわる仕事は激減しました。さらに自動車の自動運転が普及すると、この運転手という仕事も激減する可能性があります。

テクノロジーの未来はどうなるのか、興味を持って見ていきたいと思います。

 

「あなたのFacebookアカウントで新しいパスワードのリクエストがありました」という件名のメールが届きました

一昨日、「あなたのFacebookアカウントで新しいパスワードのリクエストがありました」という件名で、Facebookからこんなメールが届きました。(本文中のメールアドレス、他は隠しています)

Facebookpwreset  

心当たりがないので、最初に考えたのは「これって、フィッシング詐欺?」

“あなたのFacebookアカウントで新しいパスワードのリクエストがありました”で検索してみると、なぜか上と同じ画面のブログページがいくつか出てきただけ。これらのページには、特に対応策も「困った」ということも書いていません。中には既に削除されてるページもありました。

 

上記の「今すぐお知らせください」のリンク先URLは下記でした。

https://www.facebook.com/login/recover/disavow_reset_email.php?n=(個人情報のため以下略)

どうも本物の警告メールのようなので上記をクリックすると、次のFacebook画面が出てきました。Facebookthanks_2
リンク先を辿り、このページ「新しいパスワードをリクエストしたことを示すメールが届きましたが、そのようなリクエストはしていません。」をクリックすると、こんな説明が出てきました。

—(以下、引用)—

パスワードの再設定をリクエストしていないのにFacebookパスワードの再設定に関するメールが届いた場合は、他のユーザーがあなたのメールアドレスまたはユーザーネームを入力して自分のアカウントにログインしようとした可能性があります。一般的なユーザーネームまたはメールアドレスを使っている場合は、このようなことが頻繁に発生します。受け取ったメール内のリンクをクリックしない限り、何の変更も行われず、アカウントは安全に保たれます。

パスワードが再設定されたことを確認するメールが再び届いた場合は、アカウントの安全を確保してください。

—(以上、引用)—

 

誰かが私のメールアドレスを使ってFacebookにログインを試み、ログインできないのでリセットを試みた、ということのようです。

どこからか入手したメールアドレス一覧でFacebookにログインを試みることで、弱いパスワードを設定している場合は、容易に乗っ取ることが可能である、ということですね。

怖いですね。

GmailやFacebookを使う場合、2段階認証は必須だと改めて実感しました。

 

一方で、すべての人がITリテラシーを持っているわけではありません。例えばFacebookやGmailの2段階認証を行えるスキルは、必ずしも全ユーザーが持っているわけではないでしょう。

今後、クラッキング技術が高まると、多くの人たちが被害に遭う可能性がますます高まります。

世の中のITリテラシーを高める一方で、一般の人でもクラッキングに対応できる方法も必要になってくるのではないか、と改めて思いました。

 

『人が足りなかったから、突破口が見つかった』…規模10倍のライバルに、常識を覆したディーゼルエンジンで挑んだマツダ

マツダは、社員数2万人で売上2兆円。
一方の業界トップのトヨタは、社員33万人で売上22兆円。

規模10倍のライバルに同じ事をしていては勝てません。そこでマツダは、「スカイアクティブ」という省エネエンジンで差別化しました。圧縮比に注目し、徹底的に圧縮比を高めて燃費を改善。ノーマルのガソリンエンジンでハイブリッド並の省エネを達成し、デミオに搭載しました。

ここまでは2011年時点の情報を元に、「100円のコーラを1000円で売る方法2」でご紹介した話。

実は最近のマツダは、このガソリンエンジンとはまったく逆のアプローチで、ディーゼルエンジンを成功させていることをご存じでしょうか?

 

ディーゼルエンジンの取り組みで、日本の大手自動車メーカーは欧州メーカーに遅れを取っています。ここにマツダはディーゼルエンジン「スカイアクティブD」で挑戦しました。

ディーゼルエンジンは、低速トルクがあって燃費が良いものの、高回転が回らず、排気ガス浄化度はガソリエンジンンに及ばず、価格もガソリンエンジンに比べて高い、というジレンマがあります。

本当は静かでよく回り、排気ガスをキレイにし、価格下げたいところ。

さらに燃料を速く燃やすと窒素酸化物(NOx)が増え、ゆっくり燃やすと黒煙(PM)が増えるので排ガスの後処理装置が必要になり、コストがさらに上がります。

ディーゼルエンジンにはジレンマがあったのです。過去、自動車メーカー各社はここに色々と挑戦してきました。

 

マツダは全く異なる設計でチャレンジしました。このことは下記の記事に掲載されています。

「排ガス対策・静か・高回転」 常識を覆したマツダのディーゼル(モータージャーナル 池田直渡さん

ガソリン版のスカイアクティブでは圧縮率を上げました。

逆に、ディーゼル版のスカイアクティブDでは圧縮を下げたのです。

圧縮を落とせばNOxは減ります。加えて燃料噴射を高精細化して超緻密制御することで、まずNOx抑制エンジンの基本を作りました。

しかしこれだとパワーが出ません。そこで条件がよいときはターボで圧縮を補うようにしました。

つまり通常のディーゼルエンジンは、「エンジン高性能化→排ガス対策」という発想で取り組むところを、マツダは「排ガス対策→高性能化」という逆転の発想で取り組んだのですね。

おかげでディーゼル特有のガラガラ音も激減、強度設計に余裕ができたので鋳鉄製ブロックをアルミに置換して、軽量ディーゼルが誕生。回転部品が軽量化したことでエンジンも高回転化しました。

スカイアクティブD搭載車は走りもよいと評価されています。

 

2011/12/11に掲載された日本経済新聞の記事「イノベーション 成功の法則(3) 『欠乏』『不足』が新機軸生む」で、マツダの人見開発本部長は、『数十人の組織ではあれもこれもできない。一方で必ず燃費の良さは重要になる。エンジンの基本に立ち返り一から考え直すことにした』とおっしゃっています。

さらに『人が足りなかったから、突破口が見つかった』と加えておられます。

この取り組みの結果、圧縮比を上げたガソリンエンジンのスカイアクティブが生まれました。

 

この数年後に挑戦したディーゼル版スカイアクティブDも、方法は全く逆の「圧縮比を下げる」アプローチではありますが、同様の「エンジンの基本に立ち返り一から考え直した」結果生まれたのです。

私たちはつい「リソースが足りない」と思いがちです。

しかしリソースはイノベーションの必須条件ではありません。

むしろスタートアップ企業などを見ていると、リソースがなく、かつしがらみから解き放たれた組織の方が、自由な発想でイノベーションを起こすケースが多いように思います。

 

このマツダの挑戦は、しがらみから解き放たれて発想する大切さを教えてくれます。

 

 

画期的なソニーの曲面CMOSセンサー。デジカメ市場は劇的に変わるか?

2014年7月3日の日経産業新聞で、「ソニーが曲面CMOSセンサーを開発した」という記事が掲載されています。

生物模倣で大進化、デジカメの「目」 ソニーの挑戦

 

1839年にダゲールが「ダゲレオタイプ」を発表して以来、カメラは常に平面上に画像を投影していました。かつての銀塩カメラのフィルムも平面。銀塩カメラの構造を踏襲した現代のデジカメもイメージセンサーは平面です。

 

一方で同じ役目を果たす人間の眼球は、球状です。

眼球では、レンズの反対側にある網膜上に画像が映され、この網膜上にある網膜細胞が光を感知し、視神経がこの画像情報を脳に伝えることで、人は画像を認識し、「モノが見え」ます。

「網膜=イメージセンサー」ですが、網膜は球状、イメージセンサーは平面。

実は従来型カメラの場合、一番シャープに写るのは画像の中心部分。画像周辺部に行くほど、画像が流れ、画質が低下します。これが「像面湾曲収差」と呼ばれる現象です。イメージセンサーが平面だと、中央部と比べて周辺部はレンズまでの距離が違います。だからこの現象が起こるのですね。

しかし眼球の場合、網膜上のどの部分もレンズから等距離になるので、この画質低下は起こりません。

「この眼球に見習って、カメラのイメージセンサーも曲面上にデザインすればいい」とソニーの研究者は考えたようですね。

 

カメラが誕生してから175年、画像投影部分が曲面になるのは画期的なこと。新聞によると、性能上も大きなメリットがあるそうです。

■レンズを簡略化可能。スマホ用カメラで、レンズ枚数を5枚から3枚に減らすことで、小型・軽量化、低コスト化が図れる。(湾曲収差を修正するレンズ設計が不要になるためのようです)

■シリコンの電気特性が変化し、ノイズの原因となる暗電流を1/5に低減でき、暗い場所でもノイズの少ない画像を撮影できる

■像面湾曲収差がなくなるので、明るいレンズを使っても画質が維持できる。(明るいと被写界深度が浅くなることもあり像面湾曲収差が強くなる)

■周辺部が暗く写る「周辺減光」がなくなる

ソニーでは、既にさまざまな曲面CMOSセンサーを試作済とのこと。

この曲面CMOS技術を活用することで、今後デジカメがさらに大きく進化する可能性も出てきました。

たとえばスマホのデジカメ機能がさらに劇的に向上し、現在苦境にあるコンパクトデジカメ市場は消滅してしまうかもしれません。

 

2013年時点で、ソニーは世界のCMOS市場で33%のシェアを持っています。2009年には「裏面照射型CMOSイメージセンサー」で高感度化も実現しました。

ソニーの今後の技術開発に期待したいところです。

 

テクノロジーの大きな可能性を見せてくれた、IBM基礎研究所のコグニティブ・コンピューティング説明会

昨日2014/4/24、IBM東京基礎研究所で「学習するコンピューティング〜“ Cognitive Computing ”」の説明会があり、参加いたしました。

コグニティブ・コンピューティングを中心に、東京基礎研究所が持つ様々な技術が紹介されました。

 

IBMのコグニティブ・コンピューティングといえば、2011年に全米クイズ王に勝ったワトソンがその代表格です。→参照ブログ

ワトソンは開発当初からビジネス活用を検討しており、実際に医療診断や投資アドバイス等でも活用されているそうです。

今回のデモでは、実際に数万種類のレシピを覚えて、家族構成や冷蔵庫の在庫から、1週間のお勧めレシピを提案する様子を見せていただきました。

マイクで「この食材はイヤ」と言うと、別のメニューに調整してくれます。

FAQ形式になっているテキストデータを読む込ませることで、ルールを覚え込ませることができるそうです。

 

また、交通渋滞を緩和する技術のデモもありました。エージェント技術を活用したPredictive Traffic Management (予測トラフィック管理)です。

これは祇園祭で混雑する京都を例にとって、交通状況や気象をシミュレーションして、ソーシャルメディアの反応をリアルタイムにチェックしながら、渋滞待ちを最小化できるバスの運行を実現するものです。

ここでは、東京基礎研が10年以上前から研究している「エージェント技術」と呼ばれるテクノロジーを使い、一台一台の車の癖を一つ一つのエージェントに覚えさせて動かし、交通状況をシミュレーションします。

ソーシャルメディア分析については、オルタナブロガーでもある米持幸寿さんが、実際に2011年に、東日本大震災での風評分析を試行された技術を使っているようです。→米持さんの論文

 

ニューロコンピューティングのハードウェアも展示されていました。

これは、世界で最も優れた情報処理システムである脳細胞の動きをヒントに開発されたものです。

256個の神経細胞(ニューロン)に相当する非フォン・ノイマン型の300万素子を展示していました。(米国の国防高等研究計画局(DARPA)が出資するSyNAPSEプロジェクトの成果です)

各ニューロンが記憶を保持します。将来のニューロンチップが出来ることを紹介するために、町中を動く車や人、自転車を、それぞれ認識する動画デモもありました。(イメージでもであり、現時点ではまだ出来ていないそうです)

展示していたのは256個のニューロンに相当するチップですが、人間の脳は10の10乗から11乗の神経細胞があります。人間レベルになるにはまだまだ時間がかかりそうです。

将来予想されるムーアの法則の限界も考えると、大きな挑戦になりそうですが、まったく新しいコンピュータの予感もさせてくれます。

 

他にも、船舶のエンジンなどのセンサーをモニタリングし故障を予測する異常検知技術や、監督官庁が公開している自動車不具合情報を16カ国に対応して分析できる技術もありました。

 

このように、10年・20年のレンジで長年の研究を続けて、蓄積した技術を元に、リアルな顧客プロジェクトを通して、粘り強く進化させていくのが、IBM基礎研究所の強みであることを、改めて実感しました。

 

デモや説明を見ながら、私は、昨年10月の世界経営者会議で、GEイメルト会長が発言した内容を思い出しました。→イメルトの発言のまとめ

イメルト会長は、「GEの全ての事業会社でソフトウェアは重要だ。GEのサービスの中にソフトウェアを埋め込み、導入機器からのデータ分析をビジネスにする。GEはソフトウェア会社になる。領域によってはIBMがライバルになる」と言っています。

この点について質問をしたところ、「確かにIBMはGEと競合する分野もあるが、同時に協業もしている」との回答でした。

確かに、このような技術の積み重ねはIBMの独断場です。一方でIBMは、その技術を顧客企業の実業務で検証しています。

実業務に強いGEと技術に強いIBMは、お互いにある程度棲み分けていて、重複する部分が競合している、ということのようです。

 

IBMは、技術を活用して顧客のビジネス課題を解決するテクノロジーカンパニー。

実際、1911年の創業で主力事業だったパンチカードシステム(タビュレーティングマシン)も、国勢調査、在庫管理、会計管理などで顧客の情報処理の効率を飛躍的に高め、その後のコンピュータに繋がる情報処理システムでした。

このIBMが持つ幅広いテクノロジーの一端を垣間見て、未来の可能性を堪能した説明会でした。

 

お招きくださった日本IBMの皆様には、深く感謝申し上げます。

 

 

Gmailアカウントが乗っ取られると、いとも簡単に崩壊してしまう私たちの生活。それを防ぐために

普段、Gmailをメールとして使っている方は多いと思います。

そのGmailのパスワード、どのように管理していますでしょうか?

「password」とか「0000」と設定している方はさすがにおられないと思います。しかし、他のアプリやサイトのパスワードと同じにしている方は、意外と多いのではないでしょうか?

 

毎日のように企業の顧客データ漏洩が報じられる今日この頃、あなたのメールアドレスと、登録サービスのパスワードの組み合わせが第三者に渡ってしまう可能性は、高まっています。

もし悪意がある第三者がメールアドレスのパスワードを入手したとします。そしてもしそのパスワードがGmailパスワードと同一であれば、Gmailアカウントが乗っ取られてしまいます。

こうなると、とても大変です。

まず過去のあらゆるメールのやり取りがわかってしまいます。その中には、自分だけでなく、他の人のプライバシーや、取引先の機密情報もあるでしょう。

さらにメールとパスワードの組み合わせで、様々な外部サービス(アマゾンや楽天など)も使用できますし、金融機関などとのお金のやり取りに関する認証も可能になります。

このようにして、私たちの日々の生活がいとも簡単に崩れ去り、信用を失ったり金銭的被害を被る可能性があるのです。

 

このことを改めて認識したのは、この記事を読んだのがきっかけです。

Gmailアカウントを乗っ取られないための基本ガイド

ここに書いてあることは、一つ一つ確実に行うことをお勧めします。

 

この中で「2段階認証」について、実際に設定してみましたので、自分の経験を元に補足説明します。

2段階認証をすると、Googleから6ケタのコードが発行されます。

それ以降は、この6ケタのコードと、自分が設定したパスワードの組み合わせで認証を行うようになります。6ケタのコードを適切に管理することで、外部からの乗っ取りは極めて困難になります。

このコードは、発行されると、携帯メッセージに送られるようになっていますが、私の場合は何らかの不具合で受け取れませんでした。そこで自動の音声電話で送ってもらいました。

ブラウザー経由でGmailにアクセスする場合、自分が設定したパスワードに加えて、このコード入力が必要となります。

またバックアップで1回のみ使用できる10個のコードも発行されます。

一方で、2段階認証に対応していないアプリもあります。たとえばiPhone/iPad等のメールシステムやカレンダー、PC/MacのThunderbirdなどのメーラーです。その場合、別途「アプリ固有パスワード」の発行が必要になります。但し1回のみでOKですし、このパスワードは憶えておく必要はありません。

「アプリ固有パスワード」の詳しい説明はここにありますが、実際に2段階認証を設定すると、もう少しわかりやすい設定方法へのリンクがあります。
 

今一度、ご自身のGmailのセキュリティ設定を見直しておくと、安心だと思います。
 

 

Macの画面が真っ暗になってしまった→調べたらすぐに直った

大雪の昨日。

用事があり、たまプラーザ駅まで歩きました。

Photo_2 たまプラーザが一面大雪でした。

 

その後、仕事をしようと思いスタバに入りMacを開くと、画面が真っ暗です。

何度立ち上げ直しても、起動音はするものの、画面は真っ暗。

「Mac修理になると、ジーニアスバーの予約か」と覚悟。

「でもまぁ、最悪TimeCapsuleのバックアップから直前の状態に戻せるし、自宅にあるバックアップのMBA 11でDropboxの差分データを取ればすぐに作業を再開できるから、なんとかなるか」

もしバックアップがないとすごいストレスで悩んでいたでしょう。シマンテックの調査によると、「PCがクラッシュして使用不能になる」や「PCに保存してあったファイルをすべて損失」は、「失恋」よりもストレスが高いそうです。

しかし数カ月前に何重かのバックアップ手段を講じておいたので、こういう時でも精神的にとても楽です。

 

一方で締切が近い仕事なので、できればここでも仕事を継続したいところ。

MacではWord文書を編集していたので、iPad miniでDropbox経由でWordファイルを持ってきて、編集できるか試してみました。確かにPagesで開いて編集できるのですが、ちょっと使い勝手が違うので、これは断念。

そこでもしかしたら何かリセットして再起動をすれば正常立ち上げするかも….と思い、iPad miniから「Mac 画面が真っ黒」でGoogleを検索したところ、下記記事を発見。

「Macの画面が真っ暗になってしまったらPRAMクリアを行おう。」

記事に書かれているとおり、command + option + P + Rを押しながら電源ボタンを押して再起動したら….見事直りました。

 

いやぁ、このような情報を共有して下さる方、本当に有り難いですね。

私も「少しでも人様の役立つ情報をブログに書いていこう」と改めて思ったのでした。
 

加えて、「データのバックアップを二重・三重にして取っておいてよかった」としみじみ思いました。

 

全米の全メタン排出源の21.5%を占める「家畜のげっぷ」

ナショナル・ジオグラフィック2014.01号の記事「ごみは宝の山」を読んでいたら、こんな図が出てきました。(円グラフのデータを引用)

米国のメタン排出源
・天然ガス・石油産業 37.5%
・下水処理 2%
・その他 5%
・堆肥 8%
・石炭産業 11%
・埋め立て地(ごみ等) 16%
・家畜のげっぷなど 21.5%
(端数処理のため合計は100%になりません)

記事では、このうち16%を占める埋め立て地から生じるメタンガスをエネルギーに変える試みを紹介しています。

実際、既に米国では約150億キロワット時の電力(100万世帯の年間消費電力に相当)を、この方法でまかなっているとのこと。

 

私が驚いたのは、「家畜のげっぷ等」がこれを上回る排出量であること。なんと全体の21.5%です。

 

こう思っていたら、「世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え」でこんな質問がありました。本書は、子ども達の素朴な100の質問に世界の第一人者が真面目に応えるという本です。

「ウシが一年間おならをがまんして、大きいのを一発したら、宇宙まで飛んでいける?」

この質問に、サイエンスライターのメアリー・ローチさんが、真面目に答えています。

本書p.242-244からサマリーすると、

・ウシはおならもげっぷもしない。音がして敵に場所がばれてしまうから。そこでメタンガスをうまく肺にまわして、息と一緒に静かに吐き出す。

・ウシが一年間に息と一緒に吐き出すメタンガスは、一頭で85Kg

・メタンは可燃性。圧力タンクに貯めて勇敢な宇宙飛行ウシにベルト固定式ロケットをつければ、その燃料に使える

・ロケット科学者に頼んで計算してもらった。85Kgのメタンガスがあれば、33秒間にわたって900Kg重の推進力を出せる。これだけあれば空気力学的に抵抗のない流線型をした体重680Kgのウシを高度5Kmまで打ち上げられる。

・宇宙が始まるのは高度32Kmなので答えは「実現できない」ということになるけど、このロケット科学者いわく「このメタンエンジンはホットだ!」

たしかに宇宙には行けないかもしれませんが、家畜から出るメタンガスのエネルギー利用は大いに可能性がありそうです。

 

そう思って検索してみたところ、既に試みがされているようです。日本でも、

日立パワーソリューションズ 鶏糞メタン発酵発電システム

APEC 環境技術交流バーチャルセンター 家畜糞尿のメタン発酵処理と消化液の利活用

  

子どもたちの素朴な疑問は、意外と鋭いなぁ、と思った次第です。

 


 

山田眞次郎・井関利明著「思考 日本企業再生のためのビジネス認識論」を読了。目からウロコが落ちました

山田眞次郎さん「パナソニックは日本企業再生の道しるべか?」というブログを拝読して「面白いなぁ!」と思い、これがきっかけになって、最後に紹介されていたご著書「思考 日本企業再生のためのビジネス認識論」(学研パブリッシング)を読了しました。

本書は,山田さんと慶應義塾大学の井関利明名誉教授の対談。400ページを超える大著です。

今まで自分が考えていた常識を覆してくれると同時に、深く納得する様々な気づきを与えてくれました。

特に参考になった点をご紹介します。沢山ありましたので長くなってしまいますが、ご容赦ください。

■日本ビジネスの強みと言われている「メティキュラス」(几帳面で細かい)と「コンフォート」(心地よいサービス)からは、イノベーションは起こせない。だから「失われた20年」になってしまった (p.16)

■大手メーカーが一時期「六重苦」と言っていた。全て自社責任ではなくビジネス環境が悪いと考えている。実は重大な問題は企業の中にある (p.47)

■GE・ウェルチの「選択と集中」。本来の意味は「現在から未来にかけての選択肢を考慮して選択し、未来に集中する」ということ。だから未来の可能性である異質なものも囲うことが大事だった。しかし多くの日本人は誤解し、異質なものを排除してしまった。 (p.88)

■標準化は、ある意味でイノベーションの対局概念。(p.92) 標準化とは大量生産による弊害。(p.125)

■イノベーションは社内に異質性と多様性を保つから生まれる。全社一丸となるとイノベーションは起きない。 (p.94)

■日本国民は「日本はモノづくりが強い国」と誇りに思っている。しかし実際には(後述するように)日本の技術は半世紀遅れている。(p.132)

■第3発明期の本質である「仕組み連動テクノロジ−」は目に見えないのでなかなか認識できない。戦後からアポロ計画のころまで(1945年-1969年)の25年間、米国で第3発明期の基礎技術が確立されたときに、日本は参加できなかった。それを未だに認識できていない。日本の技術は、厳しい言い方をすると半世紀遅れている。(p.186)

■「仕組み連動テクノロジー」は、目的に合わせて複数の単品が、それぞれ絡み合いながら最適に機能する。たとえば、ミサイル迎撃のための衛星、航空機、イージス艦、迎撃用ミサイル、操作する作業員、関係省庁への連絡網。米国ではそれぞれが一つのシステムとして繋がっている。日本は単品としては揃っている。単品同士を連動させるシステムもある。しかし突発的なミッションにこれらを繋ぎ合わせ、思うとおりに「仕組み連動」させるテクノロジーがない。(p.190-194)

■1993年は歴史的な転換点。91年に冷戦が終わり、インターネットとGPSが軍事から民間に開放され、世界に新しいビジネスチャンスを創り出した。93年にクリントンが「情報ハイウェイ構想」で大統領に選出。その後、94年にネットスケープとアマゾンが設立、95年にWindows95発売、Yahoo!とeBayが設立、98年にGoogleが設立。これらは人とモノとシステムを目に見えないネット上で連動させる仕組みだ。Appleも現在は壮大な「仕組み連動」を構築している。その間、日本は「失われた20年」だった。問題のポイントは、戦後の25年間(1945年-1969年)、米国を中心に起きた第3発明期のイノベーションに貢献できなかったこと。一週遅れとでも言えるくらいの差がついている。(p.219-227)

■「日本は世界一の技術国だ」「やっぱりモノづくりこそが、日本の生きる道だ」と安易に結論づけるのはやめるべき。強みと弱みを明確にし、弱い部分(=仕組み連動テクノロジー)を謙虚に受け容れ、チャレンジすべき。それは若い人たちにしかできない。理解力が高く、感性が鋭く、経験に邪魔されない柔軟な思考を持っているからだ。(p.229-230)

■価格競争の中でクォーツ時計を7000円で売り出したスウォッチや、ホンダやヤマハに機能・性能で劣るハーレーやドゥカティは、独自の「文化価値」を創り上げ価格競争から抜け出し、いまでは優良企業。この「文化価値」こそが、価格競争の次に来る「価値」のあり方。言い換えれば生活のコンテクストの中の「仕組み連動」。供給者である企業サイドだけでは、新しい「価値」を生み出すことは難しくなっている。(p.243-248)

■「マーケティング」の定義も変わる。提供物が単一商品だった過去は4P (Product, Price, Place, Promotion)戦略という企業サイドからの一方向な働きかけが必要だった。(今でも4Pが有効な分野は残ってはいる) パラダイム変換が必要になったひとつのきっかけは、2001年にP.シーボルト出した「個客革命」という著作。ポイントは「顧客が力を持ったという認識」「顧客は企業の資産」「顧客の関係づくりが決め手」「顧客経験」。新しいマーケティングの定義は「課題解決と新しい価値創造のための、関係づくりの社会的作法」である。(p.250-262)

■「イノベーション」を「技術革新」と翻訳したのは誤訳だ。本来は「人々に新しい『生活経験』を約束すること」 まだこの世に存在しない「生活革新」の製品やサービスや情報の組み合わせは、需要サイドと供給サイドや第三者が関わり合い、相互作用の中で初めて生まれてくる。(p.269-273)

■ある程度大きな企業は社内がサイロ構造になっている。改めて全社を見れば、社内は実はきわめて多様性に富んでいるが、横断的に関わって「イノベーションチーム」を作ろうという発想がない。この社内多様性の認識と活用こそ、「創発するマーケティング」の最初のチャンス。(p.282-284)

■イノベーションを起こすにはリーダーは不要。今はイノベーションは個人技ではなくチーム作業だから。役職の裏付けがある人ではなく、組織経験が乏しい若者の方が良い。そういう人たちを集めて自然発生的に異なる役割を担うようにするとチームの生産性は一番高くなる。イノベーションはリーダーによって窒息する。権威を振りかざすリーダーの所為で、対等な人たち同士の相互行為を通じて形成されるはずの共同学習と共進化、共形成が不発に終わる。リーダー待望論があるうちは、積極的な”当事者”は育たない。(p.291-300)

■競争ほど無駄なものはない。競争し合うよりは協力し合う方が、地球全体のためにはどれだけ有効か。さらに今は他産業からどんどん参入し入り乱れているので誰と競争しているのかわからなくなっている。「脱競争」を主張する人は増えている。競争論で著名なM.ポーターも「企業の定義を『シェアードバリューをつくること』に変えなければならない」と言っている。(p.313-318)

 

ごく一部を紹介しました。

実際には本書を読まれると、もっと多くのことを学ぶことができます。上記を読んで「これはいい」と思った方は、是非本書をご一読することをお勧めします。

本書を執筆され、ブログでもご紹介された山田さんには、深く感謝です。
 

 

2年半前のTimeCapsuleを、最新型に変えました

2年半前に買ったTime Capsuleの調子が変です。

気がつくと、バックアップが取れていないまま、数週間経過していることがたびたび。

1年ほど前にAppleのサポートセンターに電話して、Firewall設定に問題があることがわかって修正しました。しかしそれからしばらくしてまたバックアップが取れていません。

先々月にMacBook Proに変えた際に、フルバックアップを取ってしばらく調子がよかったのですが、また気がつくと10日ほどバックアップが取れていませんでした。

Macのデータが消えてTimeCapsuleからリストア出来ないという悲惨な状況は考えただけでも恐ろしいですし、何としても避けたいところ。(とは言え、二重の保険の意味でも、一応写真以外の主なデータはDropbox上に置いてはいますが)

そこで新しいTime Capsuleも出たこともあって、Time Capsuleを買い換えることにしました。

こんな小さな箱に入っています。

Img_2654 

先代Time Capsuleと並べてみました。

真横から比較した図。

Img_2661 

斜め上から比較した図。

Img_2659 

新型はちょっと軽くなった感じです。

また、平面の面積が小さくなったので、棚の隅に置いても違和感がありません。

無線LANの設定は、最低限の入力をするだけでほとんど自動。本当にあっという間でした。

AppleのTime Capsuleのサイト

「AirMac Time Capsuleがあれば、コーヒーをいれるのよりもはやく、新しいWi-Fiネットワークを使う準備が整います。」

と書いていますが、これは本当ですね。

Ethernet経由でバックアップを取り始めたところ、360GBのデータが11時間で完了です。

Img_2657 

無線LANの速度も3倍になりましたし、これでバックアップもちゃんと継続的に取れればいいですね。

無事バックアップも取れたので、タイミングを見て、旧Time Capsule上のデータは、上書き消去しようと思います。

 

複合プリンターを切替えました:Satera MF 4120 → MF 6780dw

こんな感じになりました。(右が4年前に購入したCanon Satera MF 4120(粗大ゴミ収集予定)、左がこのたび新調したCanon Satera MF 6780dw)

Img_2587  

Img_2585

大きさの差は歴然です。MF 6780dwは、いかにも「オフィスで使う複合機」といった風情があります。

Img_2590 

これまでは、2009年に購入したCanonモノクロレーザー複合機であるSatera MF 4120を使っていました。

そして今年7月に独立し、会社を作ってから、自宅で印刷・コピーしたり、スキャナーを使うことが増えました。

MF 4120は安定していていいプリンターなのですが、最近は色々と問題が出てきました。

・2年前にPCをThinPadからMacBookに変えたものの、Mac用ドライバーがスキャナーに対応していないため、Macだとプリントしかできない。

・10枚程度の印刷であれば問題なく印刷できるが、数十枚以上になるとちょっと厳しい。大量印刷・大量コピーの場合は、Kinkos等のコピーサービスに頼らざるを得ない

そこでトナーも少なくなってきたので、このタイミングで切り替えることにしました。

 

下記が要件でした。

1.複合機(プリンター/スキャナー/コピー)で、モノクロのレーザープリンター

補足:私は写真がライフワークですが、写真はネット経由で写真専門店でプリントしているので、写真をプリンターでカラー出力することはありません。むしろ文章を印刷することの方が多いので、モノクロレーザープリンターが必要でした。

2.100枚以上を出力しても問題なく印刷できること

前述の理由です。

3.無線LAN対応であること

これまではUSB接続だったので、プリンターの場所まで移動して印刷していました。

4.重いと腰を痛めるので、あまり重すぎないこと

MF 4120だと12Kg程度なので持ち運びは楽なのですが、複合機はモノにより30Kgを超えたりします。自宅で場所を動かすこともあるので、20Kg程度のものが必要でした。ちなみにMF 6780dwのカラー版Satera MF8380Cdwは、30Kgを超えます。

5.できればA3までスキャンできると有り難いが、なくてもOK

A3までだと新聞記事も余裕でスキャンできるのですが、これは重さや価格との兼ね合いになります。A3をスキャンするケースは限られますし、場合によっては半分ずつスキャンすればイメージ編集で繋げられるので、優先順位を落としました

 

色々と検討した結果、MF 6780dw(2011年9月発売)を選びました。

実は新モデルのMF6880dw(2013年10月発売)も検討しました。

両モデルで目立つ違いは、解像度(600×600 dpi→1200×600 dpi)とスマホのダイレクト印刷機能。

これらは私にとってはあまり重要な機能ではありません。

その割には価格差が2万円あったので、MF 6780dwにしました。

 
これまで使ってきたMF4120と、新調したMF6780dwのスペックの違いは下記の通りです。

Mf6780dw

オフィス環境を考えた場合、プリンター、コピー、スキャナーはちゃんとしたモノを使いたいところなので、これで少し仕事もはかどりそうです。

アマゾンや価格.comでも高く評価されているように、いい製品です。

それにしても、このような複合機がアマゾンで5万円以下で購入できるというのは、便利な世の中です。

 

MacBook Pro Retina 13インチ (Late 2013)とMacBook Air 13インチ (Mid 2012)のパフォーマンスを比較してみたら、意外な結果に

当ブログで、大きさ比較バッテリーの持ち時間比較をご紹介しましたが、今度はパフォーマンスの比較をしてみました。

とは言え、今は普段からMBPを使っているので、通常の使用ではMBAと直接比較する機会はありません。

そこでiPhoneで撮影した52分間のQuickTimeファイル(解像度1280×720、サイズ4.22GB)を、QuickTimeで640×360のサイズにして別名保存すると、どの程度の時間がかかるかを比較してみました。

両マシンのスペックは下記の通りです。

■MacBook Pro Retina 13インチ (Late 2013)
2.6GHz Intel Coe i5, メモリ 16GB 1600MHz DDR3, SSD SM1024F, OSX 10.9

■MacBook Air 13インチ (Mid 2012)
2GHz Intel Core i7, メモリ 8GB 1600 MHz DDR3, SSD SM512E, OSX 10.9

結果は下記の通りでした。(別名保存したファイルは1.15GBになりました)

MBP13: 128秒

MBA13: 138秒

念のため、時間を置いて再立ち上げしてもう一度実行してみましたが、同じ結果でした。

 

もっと差が出ると思いましたが、意外なほど差がないですね。別の使い方だと、また別の結果が出るかもしれません。

ご参考になれば幸いです。

 

 

お客様からのお問い合わせメールが、迷惑フォルダーに!

昨日のブログで、ホームページをリニューアルしたことをご報告しました。

今回のリニューアルでは、講演のご依頼の際に、より詳細な情報を明記いただいた上で、ご依頼内容が私の元にメールで届くように変更しました。

しかしリニューアル作業で実際に申し込めるかを確認してみたところ、当初はメールが届きませんでした。

試行錯誤した結果、迷惑フィルターに引っかかっていたことが判明し、これを解除。無事届くようになりました。

 

一通りリニューアルが完了し、「念のため」と思い、さらに迷惑フィルターをチェックしてみて、驚きました。

ある大手企業様からのご依頼が、数日前にメールで届いていて、迷惑フィルターにひっかかっていました。すぐにフィルターを解除して、ご返事をしました。

 

「迷惑フィルターはマメにチェックする必要がある」ということを実感しました。

 

この一件があってから、毎日巡回するブックマークの一つに、迷惑フィルターを入れるように変更しました。

ご参考までに、Gmailの場合は、Gmail検索窓に下記キーワードを入れて検索すると、チェックできます。

in:spam キーワード

キーワードの部分は、自分の名前や会社名などを入れればOK。

この検索結果のURLをブックマークし、毎日巡回するようにすれば、チェックできます。
 

 

MacBook Pro Retina到着。移行アシスタントで思わぬ落とし穴に

先日発表されたMacBook Pro (Retina, 13インチ, Late 2013)を購入しました。

これまでMacBook Air (13インチ Mid 2012)を使用していました。

使い勝手にはほぼ満足していましたが、バッテリーが2-3時間程度の持ちだと、外出先で電源のある場所を探すことになってしまいます。

また7月独立後は講演の機会が急に増えました。私は講演では必ずiPhoneで動画を撮影して、事後に反省したり、次回以降の参考にするようにしています。

このためデータ量も急増しており、512GBあるハードディスクが手狭になってきました。

新しいMacBook Proは、元々長持ちだったバッテリーもさらに長持ちになり、SSDは最大1TBで、さらに速くなったということで、これらの問題は解決できます。1週間弱悩んだ末に購入することにしました。

 

先週日曜(10/27)に注文して、6日後の土曜(11/2)に届きました。サイトでは2-3日と書いていましたが、やはり時間がかかるようですね。

相変わらず、コンパクトな包装です。

Img_2513  

スイッチを入れて若干の設定情報を入力、移行アシスタントで旧Mac(MacBook Air 13-inch, Mid 2012, OS X 10.9)からデータを移行します。

Thunderbolt経由で旧Macと新Macを繋ぎ、移行アシスタントを始めると、28時間かかるとの表示。

Img_2519  

移行データ総量は270GBありましたし、ネットで検索してみると、「移行アシスタントの表示はあまりアテにならない」との話もあったので、「まあ、そういうものか」と考えて放置。

日本シリーズ第6戦を見ながら3時間半待ちましたが、それでも「26時間かかる」との表示でほとんど進みません。

「いくらなんでも、Thunderbolt経由でこの状況は遅い」と思って調べて見ると、実は、旧Macはターゲットディスクとして立ち上げる必要があることがわかりました。

私の方法が間違っていることが分かり、やり直しです。

移行元となる旧Macは「T」キーを押しながら起動します。こんな感じの画面になりました。

Img_2522  

そして移行先のMacで移行アシスタントを起動すると、前回はMacの絵になっていた移行元が、ハードディスクの絵になりました。

Img_2524_2    

これを選ぶと、パスワード認証の画面。認証すると、色がつきます。

Img_2525_2    

あとはそのまま進むだけ。

最初は「55時間かかる」と表示されましたが、

Img_2528  

10分後には「残り2時間」になり、

Img_2533  

45分後には「残り11分」になったので、「もうすぐ完了だ。さすがThunderbolt」と思いましたが、

Img_2536  

1時間10分後、再び時間が増大して「残り10時間」に。やはり、移行アシスタントの「残り時間表示」はあまりアテにならないようです。

Img_2546  

夜も遅かったので、その時点で就寝することに。

2時間後、ふと起きて画面を見たら、終了していました。

1時間半から3時間の間でデータ移行が完了したことになりますね。

 

旧Macの環境はほぼそのまま再現されているのはさすがです。

MS Officeのライセンス再認証、iTunes、VMwareの設定などをして、そのまま使えるようになりました。

現在、TimeCapsuleへバックアップ中です。

 

使ってみた感じでは、やはりMacBook Air (13-inch, Mid 2012)と比べると、はっきりと体感できるほど速い印象です。

Retinaもきれいですね。ただFirefox (17.0.10)は文字のギザギザ感が残っています。

重量は、MacBook Air 13インチの1.35Kgから、MacBook Pro Retina 13インチの1.57Kgということで、220g程増えました。

実際に持ってみると220gという数字以上の重量差を感じますが、これは慣れかなと思います。

5ヶ月前まで会社員だった時期は、ThinkPad X201とMacBook Airを2台持ち歩いていましたので、それと比べるとずっと軽いですね。

 

実際に使ってみた感想は、後程ご紹介していきます。

 

Dropbox使い始めました

遅ればせながら、Dropboxを使い始めました。

これまでDropboxを使わなかった理由は、個人所有のMacBook Airを、今年6月末まで勤務していた日本IBMの仕事でも使っていたためです。

私のミス操作で、IBMの社内データを他社が管理するサーバー上に置いてしまう可能性があったのですね。

しかし今は自分の会社で仕事をしているので、このような心配はなくなりました。

むしろデータがなくなるリスクの方がはるかに高くなりました。この小さいMacBook Airには、私の仕事のデータが全て入っています。仕事のデータが消えてしまうと、仕事が全て停止してしまいます。考えただけで恐ろしいことです。

Mac上のデータは、自宅ではTimeCapsuleで1時間毎にバックアップを取っているとは言え、TimeCapsule自体もハードディスクの品質に依存するので、必ずしも万全とは言えません。それならば二重の保険の意味でDropboxでデータを二重化した方がよいと考えました。

さらに手元にMacがない場合、iPhone等でMac上のデータを見たい場合もあります。こんな場合も便利です。

 

こちらにありますように、現時点でDropboxの課金体系は下記の通りです。

2GBまで 無料
100GBまで 月額$9.99 (年額$99)
200GBまで 月額$19.99 (年額$199)
500GBまで 月額$49.99 (年額$499)

私の場合、データは200GB近くありました。しかしそのうち写真・動画以外のデータは25GB程度。

そこで写真や動画は、Dropboxで管理しない(TimeCapsuleでのバックアップに留める)こととし、100GBプランに入ることにしました。

 

ネット経由で加入して、Dropboxをインストールすると、Finder上にDropboxが出来ます。そこに、Dropbox上に移したいディレクトリーをそのままドラッグするだけで完了。後はネット経由で同期してくれます。アイコン上に「青色の円に丸い矢印」が付いているとDropbox内のファイルを更新中、「緑色の円にチェックマーク」が付くと同期完了して最新の状態です。

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私の場合、25GB分のファイルは10時間足らずで同期完了しました。

iPhoneにもDropboxのアプリを入れると、ファイルを見ることができます。ファイルを編集するには別途アプリが必要です。

Dropbox2

「安心を買おう」と思って始めましたが、なかなか便利です。

そのうち複数台のMacを使うようになると、この威力をさらに実感するのでしょうね。

 

 

日本IBM様・システム製品事業部イベントで講演させていただきました

昨日9/18(水)、日本IBM様・箱崎本社にて、システム製品事業部主催で行われた「仮想アプライアンスセンター会員情報交換会議」で講演させていただきました。

 

「仮想アプライアンス」という言葉は、わかりにくいかもしれませんね。

 

本来「アプライアンス」とは、英語で「家電」という意味です。

ITの世界では、「アプライアンス」とは、特定機能に特化したコンピュータを指します。

私たちの身近では、家庭用ゲーム機などはまさに「アプライアンス」です。ハードとソフトが一体化して色々な機能が入っていますが、スイッチを入れるとまさに家電のようにすぐに使えますよね。

この「アプライアンス」を進化させたものが「仮想アプライアンス」です。

システムを動かすために必要な全てのものを「仮想化」して、一つのソフトにまとめたものです。(IT業界用語で言うと、ISVアプリケーション、前提となるミドルウェア、オペレーティング・システムを最適に設定してパッケージ化したものです)

このようにすると、コンピュータの「仮想化環境」と呼ばれるシステムで簡単に稼働できるようになるのですよね。

 

このように「仮想アプライアンス化」すると何がいいか?

まず、ITシステムの導入・保守は桁違いに迅速かつ楽になります。

さらに、センターに「カタログ」として登録することで、あたかもAppleのスマホアプリのように、全国、将来的には全世界の顧客に、自社アプリを提供可能になります。

 

日本IBM様では、この「仮想アプライアンス」をIT業界各社と推進するために、稼働確認や技術検証を協業して行う仕組みを作りました。

これが今年4月に発表された、「IBM仮想アプライアンス・センター」です。

日本IBM様のプレスリリース (2013/4/15)

記事「日本のITはサイロからの脱出を~日本IBM、仮想アプライアンスセンターを新設」(クラウドWatch 2013/4/16)

この「仮想アプライアンス・センター」の会員企業は、現在かなりの数に上っています。また仮想アプライアンス化されたISVソリューションも続々生まれています。

日本IBM様では、定期的にこの会員企業各社と情報交換会議を行っています。

私は昨日開催されたこの会員情報交換会議で、日本IBM専務執行役員・三瓶様のオープニングの後に、50分間いただいて講演させていただきました。

当日は100人近い方々にご参加いただきました。

私の講演の様子です。

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講演タイトルはいつも講演でお話ししている「改めて、顧客中心主義について考えよう」です。

私はお客様のご要望に併せて毎回講演内容を作り替えていますが、今回は、この「仮想アプライアンス」の役割について、50年前のトランジスタとトランジスタ・ラジオが起こしたイノベーションに喩えてお話しをさせていただきました。

実はこの「仮想アプライアンス」は、この下の写真にあるチャートでご説明しているように、まさにトランジスタのような「破壊的技術」なのですよね。

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しかし一方で、「破壊的技術」であるトランジスタ単体では、世の中は変えられませんでした。

世の中が変わったのは、トランジスタラジオのように、トランジスタという「破壊的技術」を活用した製品が生み出されて新しい顧客を創造し、イノベーションを起こしたからです。

 

ですので今回集まられたISV各社様が、この「仮想アプライアンス」という「破壊的技術」を活用したISVソリューションにより新しい顧客を創造し、イノベーションを起こすことが、大切なのかなと思います。

 

「仮想アプライアンス」が普及し、会員企業各社様とユーザー様が発展し、さらにはIT業界が発展していくことを願っています。

 

このように貴重な講演の機会をいただき、感謝です。

また、30年間お世話になった日本IBM様からこのようにお声がけいただけるのは、本当に有り難いことです。

  

IBMブロガー会議「メインフレームの未来は明るい」に参加しました

8月7日に日本IBM本社で開催されたブロガー会議「メインフレームの未来は明るい」に参加しました。

6月28日(金)、このオフィスを後にして、1ヶ月半ぶりの日本IBMオフィスです。

 

まず、在職中に毎朝立ち寄っていたタリーズで軽く腹ごしらえ。

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考えてみたら、「外の人」としてIBMオフィスに来るのは1983年の就職活動以来です。

 

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ブロガー会議では、日本IBMの広報、宣伝、STG事業などのよく知っている方々が準備されていました。お疲れ様です。考えてみたら、6月までは自分はあちら側にいたのですよね。(写真は日本IBMの方がFacebookにアップしたものを使わせていただきました)

 

ブロガー会議の内容は、先月発表されたSystem zの新モデルの紹介です。

System zと言っても、IT業界におられない方はご存じないかもしれません。

「メインフレーム」と呼ばれる大型コンピューターのことです。

ということで、ブロガー会議のタイトルも「メインフレームの未来は明るい」

 

私が1984年に日本IBMに入社した頃、IBMは売上の大部分をこのメインフレームで稼いでいました。

このメインフレームの祖先は、1964年に生まれた「システム/360」です。

当時、IBMが巨費を投じて開発したこのシステム/360は、空前の大ヒットになりました。

私が入社した1984年は、その誕生から20年後。

1984年頃のメインフレームは、メインフレーム最上位機種は50 MIPSのモデル3084-Q、ディスクは容量3Gバイトのモデル3380が最新機種でした。チャネル転送速度は3Mbps。最新OSはMVS/XAで、31ビットアドレッシング (2G)。

このスペックで、銀行の取引とか、製造業の製造ライン、流通業の受発注業務といった、大企業のIT基幹システムを支えていたのですよね。

IBMは、1964年のシステム/360誕生から実に約50年間、このメインフレームの世界で、トップシェア・ベンダーとして世の中を支え続けています。

これは考えてみたら凄いことですね。

 

私が入社した30年前のメインフレームは1台数億円でした。

しかし最新型System zの最小モデルの値段はものすごく安くなっています。

なんと最小構成で790万円。これはレンタル費用でなく、買い取り価格です。

そのモデルがこれ。(デモ用にスケルトンモデルになっています。実際には中身は透けていません)

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30年前のゴテゴテした内部と比べると、とってもシンプルな作りですが、これで99.9….%というレベルの抜群の信頼性を持っているのですね。

 

このSystem z、30年前のメインフレームと違って、従来型の銀行取引やバッチ処理といった業務だけでなく、Linux等のプラットホーム上で、ビッグデータ、クラウド、モバイルなどの最新業務にも対応しています。

このような業務を、IBMでは「ニュートランザクション(新しいタイプの業務)」と読んでいるそうです。

これらのニュートランザクションを、従来型の他社IAサーバーやUNIXサーバーでなく、System z上で動かすと何がよいのでしょうか?

他社サーバーだと数十台や数百台のサーバーを個別に管理しなければならないのに対して、System zだと1台で済ませることができるそうです。(「仮想化」とか「サーバー統合」という技術を使います)

数百台のサーバー管理は、設置コスト、管理担当者の労力などを考えると、とても大変です。これを1台で済ませるためにSystem zを導入する企業も多いそうです。

さらに信頼性も抜群に上がるわけですね。

IBMの方(実は元同僚)にお話しを伺ったところ、米国ではSystem z上で動いている業務の半分以上が既にこの「ニュートランザクション」になっているそうです。

日本ではまだそこまで進んでいないとか。是非、進めて欲しいところです。

 

ブロガー会議のあとは、久しぶりに再会したオルタナブロガーの皆様と、IBM箱崎本社近くの飲み屋で飲み会でした。

今年から日本IBMの広報部長に就任された玉川さんもご参加です。

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新・広報部長の玉川さんは、ブロガー会議でもディスカッションを自らリードなさっていました。

戦う広報部長、素晴らしいですね。ますますのご活躍を。

 

30年間勤めた古巣のIBMを、外から見る、という貴重な体験でしたが、「やはりIBMは凄いなぁ」と改めて思った一日でした。

 

 

ScanSnap iX500、スグレものです。

「書類を整理してスッキリしたいなぁ」と考え、ScanSnap iX500を購入して使い始めました。

これは書類スキャナーで、A4印刷物を読み取ってPDFに変換してくれます。

スキャンスピードが速く、両面コピー印刷物でもサクサク読み込めます。素早いですね。

しかも印刷文字を文字認識して、テキスト情報付きでPDF保存してくれます。Mac標準機能のSnaplightを使えば、あとからテキスト検索ですぐに探し出せます。

iPhone/iPadからも、Wifiで簡単に読み込めます。

実は最初はWindows/MacからはWifi接続できていなかったのですが、自動的にScanSnapの最新アップデートがダウンロードされて適用されたようで、無事出来るようになりました。

 

幸い私のMacBook Air (13インチ)は昨年買い換えたばかりで、容量は500GB、空き容量も330GB。まだまだ余裕があります。

おかげさまで持ち歩く書類をだいぶ減らせそうです。

 

 

iWatchで、Appleは時計を再定義できるか?

やや古い記事ですが、下記のような噂があります。

「iWatch」に求められる9つの項目–誰もが欲しがるスマートウォッチになる条件

アップルの取締役、「iWatch」のうわさに言及

AppleがiWaitchを出す意味は何でしょうか?

 

7年前の2006年、当ブログで「あなたは腕時計、していますか?」というエントリーを書きました。下記はそのサマリーです。

■腕時計装着率は、1997年の70%から2005年に46%へ低下した

■2005年腕時計市場は5886億円で前年比8%増。7割がスイス製高級品

■腕時計の価値が「現在の時刻を知る」から「自分自身を表現する」へと再定義され、市場が拡大した

 

このエントリーを書いてから7年間が経ちました。

相変わらず私も腕時計をしていませんし、腕時計をしている人は増えていないように思います。

一方で腕時計市場にはスマートウォッチも出始めています。機は熟しています。

 

Appleはこれまで、音楽プレイヤーをiPodで、電話をiPhoneで、それぞれ再定義してきました。

ただし先行プレイヤーではなく後発プレイヤーとして参入、大がかりな仕掛けと抜群の使い勝手で市場を席巻しました。

このように考えると、Appleが次に再定義するのは腕時計、というのは自然な流れなのかもしれません。

 

ジョブスなき現在、iWatchで時計を再定義できるかどうかが、今後のAppleがイノベーションを継続できるかどうかの試金石になるのかもしれませんね。

 

 

一勝三敗一分けだったプロ棋士 vs.コンピュータ。写真の世界でこの30年の間に起こったことと近いことが、将棋界でも起こっているのかもしれない

五種のコンピュータ将棋ソフトと、五人のプロ棋士が戦う第二回電王戦は、プロ棋士の一勝三敗一分けでした。

2013/4/27の日本経済新聞の記事「文化 将棋界、電脳時代の妙手は」では、プロ棋士の感想や新しい取り組みを紹介しています。

—(以下、引用)—-

…既にその先を見据える棋士もいる。(人間対コンピュータという)この構図に違和感を覚えるという森内名人は「コンピュータはあくまで道具。人間とは能力も役割も異なる」と話す。

…パソコンを持ち込んだ人間同士が戦う「アドバンスドチェス」という新種の対戦も試みられている。局面の形勢判断に優れる人間と、圧倒的な量・速度の読みの能力を持つコンピュータが力を合わせることで、さらに質の高い対局を作りだそうという試みだ。

…「コンピュータに頼るなんていかがなものか」。プロアマ問わず一部に残るそんな偏見も、すぐに薄れることだろう。プロ棋士とは、将棋の真理を探究する天才たちである。探究に有効な手段があるのなら、敬遠する方が不自然だ。

—(以上、引用)—-

この記事を拝読し、写真の世界でも数十年前に起こったことを思い出しました。

 

「自動露出・自動焦点」という言葉が分かる方は40代以上の方でしょうか?

長い間、カメラは基本的に露出はマニュアル、ピントも人間が合わせるのが普通でした。

私が学生の頃、自動露出カメラは既に普及していましたが、私はマニュアルで露出を決めていました。

当時は露出計を使わなくても、「この天気なら、ISO 100のフィルムだと1/60秒、F5.6」と露出が読めたものです。

またピントをすぐに合わせられることも大切なことでした。私も暇があればファインダーを覗いて被写体にピントを合わせる練習をしていました。

写真の仲間内では、この手の腕を競い合っていました。

 

その後、カメラの自動露出の精度は上がっていき、次第に自分で露出を決めることはなくなりました。

ピント合わせも、1980年代後半にミノルタαやキヤノンEOSといった本格的な自動焦点一眼カメラが登場して自動焦点の精度と速度が上がり、自分でピント合わせに手間と時間をかけることもなくなりました。

露出ミス、ピンぼけといった初歩的なミスは激減、シャッターチャンスをものにできる確率はかなり向上しました。露出とピント合わせという点では、プロに近い技術をアマチュアも手にしたわけですね。

さらに以前は銀塩リバーサルフィルムは露出がとてもシビアでした。しかしデジカメをRAWデータで撮影すれば撮影後の補正はかなり余裕を持って行えるようになりました。

露出合わせ、ピント合わせ、各種補正という面では人の手間を大幅に削減され、「よい写真を撮る」という写真を撮る目的が達成できるようになりました。

 

「いやいや、露出もピントも、人間が自分で決めることに価値がある」という考え方も、もちろんあるでしょう。

しかし、「そういうことは機械に任せて、人間はいい写真を撮ることに集中すべきだ」という考え方もあるはずです。

 

記事の中の「コンピュータはあくまで道具。人間とは能力も役割も異なる」「探究に有効な手段があるのなら、敬遠する方が不自然」という話を読み、将棋の世界でも、コンピュータと将棋ソフトの実力が上がり、これと近いことが起こっているように思いました。

 

 

10/31開催、IBMブロガー会議「次世代インフラストラクチャーのアプローチ」に参加しました

10/31、日本IBM主催「New Era of  Computing Forum」が、六本木ヒルズで開催されました。

このイベントの最後に、IBMブロガーズ会議「次世代インフラストラクチャーのアプローチに関するブロガーズ・ミーティング」が開催され、私も参加致しました。

ちなみに夜の六本木ヒルズです。この日の六本木は、ハロウィンの格好をした女性を多く見かけました。なかなか華やかです。

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いつも私が参加するブロガーズイベントには、オルタナブロガー中心に知り合いの方が多く参加されます。今回も、大元さんや林雅之さんといった昔からの知り合いも参加されていました。

しかし今回はオルタナブロガー以外で初対面の方々も多く参加されていました。

その中には、IBM PureSystems国内第一号となるお客様を担当された日本情報通信の菱木さんのような方もおられましたし、Publickey編集長の新野さんも参加されていました。

  

まず日本IBMでテクニカル・リーダーシップを担当している取締役執行役員の宇田さんが、Smarter Computingを実現するテクノロジーについて20分ほどで紹介。

会場の様子です。(写真がブレていてごめんなさい)

201210312

 

その後は質疑応答が中心です。

ブロガーの皆さんのご意見をお伺いして感じたのは以下の点です。

・IBMの過去のテクノロジーに対してコミットメントし続ける姿勢を評価いただきました。例えば48年前のCOBOLのプログラムも最新System Z上で稼働できます。「先進的イメージ訴求もいいが、実際に訴求すべきは、実はこのようなメッセージなのではないか?」というご指摘もありました。

・一方で、「他社と比べてプレス向けの華のあるマーケティングメッセージが下手なのでないか」との厳しいご指摘もいただきました。「事実に基づいてフェアにメッセージを出す」「基本的に競合他社は中傷しない」というのはIBMの企業理念・企業文化に根ざしているところでもあり、大切にしていきたい部分です。さらにSmarter Planetにも代表されるように、大きな視点で世界を変革し続けていくビジョンもIBMが創業以来100年間続けてきたDNAに根ざしたものであり、お客様には単体の製品よりも大きな価値をご提供することを常に目指しています。このような中、華々しい言葉があふれているIT市場でいかに華のあるマーケティングメッセージを訴求していくかは、私たちの課題です。

・上記とも関連しますが、お客様にとってPureSystemsの最大の価値である「専門家ノウハウのパターン化」が、まだまだ分かりづらく、お伝えし切れていない、と実感しました。パターンについては、既に様々な記事でご紹介いただいています。(例えばここ) さらにこのパターンを広く活用いただくために、お客様はPureSystems CentreでIBMやビジネス・パートナー様が提供するパターンにアクセスすることができます。この辺りはまだまだご紹介が不足していると感じました。

 

非常に充実した質疑応答でしたが、会場の時間枠の関係もあり途中で終了せざるを得なかったのはとても残念でした。

同時に、このようにIT業界の第一線で活躍されている方々との意見交換は、私たちにとっても非常に貴重であると改めて実感しました。

今後は宇田さんのような技術責任者に加え、ビジネス責任者やマーケティング責任者も同席するようにし、時間枠も拡げてより徹底した議論ができるようにし、ブロガー会議をより価値があるものにしていきたいと思いました。

 

参加して下さった皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました!

 

 

電話会議で自分の声がハウリングすると話せなくなる困った現象。この仕組みを利用した装置「スピーチジャマー(おしゃべり妨害器)」があの「イグ・ノーベル賞」を受賞

よく電話会議で自分の声がハウリングして聞こえることがあります。

たとえば時系列で書くとこんな感じです。
(「」が自分が話した言葉。()がスピーカーから聞こえる音です。)

「あ、」(あ、)「その件は」(その件は)「ABC社さんの」(ABC社さんの)「山田さんに」(山田さんに)「ご対応を」(ご対応を)「お願いしました」(お願いしました)

実際に自分で経験すると分かりますが、話した自分の言葉が少し遅れて聞こえる度に思考が逆戻りし、上手く話せなくなります。

 

この仕組みを使った装置「スピーチジャマー(おしゃべり妨害器)」を発明した産業技術総合研究所の栗原さんと、科学技術振興機構の塚田さんが、あの「イグ・ノーベル賞」を受賞しました。

記事:「日本のおしゃべり妨害器に「イグ・ノーベル賞」」

—(以下、引用)—

 装置は、特定の方向からの音だけを拾う指向性マイクと、音を遅らせる電気回路、特定の方向だけに音を出す指向性スピーカーを組み合わせた。おしゃべりしている人に向けると、その人の声を拾い、0・2~0・3秒遅れて本人に送り返す。微妙に遅れて届く自分の声に脳が混乱し、しゃべり続けられなくなる。

 会議で延々としゃべり続ける人や、映画館で私語をやめない人などに向けて使うことを想定。周囲の人には影響がなく、装置を向けられた人も、黙れば効果が消えるため実害はない。

—(以上、引用)—

「なるほど、あの現象をこのようにシンプルに使うことができるのか」と、ちょっと感動でした。

結婚式会場に設置したりするといいかも…というのは冗談です。

 

それにしても、記事の下記の部分は笑ってしまいました。

—(以下、引用)—

 授賞式で2人は、ゲストのノーベル賞受賞者に対し3メートルほどの距離から「スピーチジャマー」の効果を試す実演をしたが、スピーチを止めることができず、会場は笑いに包まれた。

—(以上、引用)—

最高です。(笑)

 

 

10年前の「地球シュミレータ」を、一企業が導入する時代

Wikipediaによると、科学技術庁(当時)が600億円を投資してスーパーコンピュータ「地球シュミレータ」を開発し、運用を開始したのは2002年。当時の年間保守料は50億円。

海洋研究開発機構によると、地球全体を3.5Km四方に区切って全球雲解像大気モデルを開発しました。

年間50億円を負担できる企業は滅多にありません。

もし当時、「地球シュミレータと同等システムを、当社でも導入して、新規ビジネスを始めよう」と考えたら、それは非現実的な夢物語だったかもしれません。

 

それからコンピュータの性能はハード・ソフト両面で著しく向上し、10年が経ちました。

EUは2020年までに全エネルギーの20%を再生エネルギーでまかなおうとしています。風力発電はその中心です。

そこでデンマークの電力会社Vestas Wind Systems社(以下、Vestas社)では、さらに高度なシステムを一企業で使用しています。

Vestas社は顧客の風力発電導入を支援していますが、風力発電を導入するユーザーは、風力発電を導入する前に投資対効果(ROI)を見極めたいと考えています。実は風力発電は必ずしも風が強ければよい訳ではなく、発電効率を高めるには微妙な条件があります。ですので設置場所によって発電効率は大きく変わります。

そこでVestas社では、地球規模の天気予報、潮汐、地理空間データ、センサー・データ、衛星写真、森林伐採マップ、気象情報のモデルをはじめとする、数ペタバイトにおよぶ構造化データおよび非構造化データを解析し、最適な設置場所を特定しています。

さらに今後は、風力タービンの稼働状況をリアルタイムに監視し、そこから生まれる膨大なデータを分析し、保守することも検討しています。

 

これを可能にしているのが、ビッグデータ技術です。

Vestras社R&D部門の副社長のインタビューが下記でご覧になれます。


 

たまたまある講演で、お客様にこの事例をお話しさせていただく機会があったので、ご紹介させていただきました。

 

ビッグデータ技術を使うことで、今まで不可能と思っていたことが可能になります。

しかし技術そのものが価値なのではありません。

必要なのは、どのような課題をどのような技術を使って解決しどのような価値を生み出すのか、最初の段階で明確にした上で、ある程度のリスクを許容して取り組むことなのでしょう。

 

 

考えたことを実行するコンピュータ

NHKスペシャル「コンピューター革命 最強×最速の頭脳誕生」を見ました。

コンピュータの進化が、今までとは全く違う世界を生み出すことがよくわかる素晴らしい番組でした。

 

番組で様々な事例が紹介されていました。その中で、人間が考えるだけでTVのチャンネルを変えたり車椅子を自由に動かす実験を紹介していました。脳波を捉えてそれをインプットにしているということでした。

 

私は1984年に日本IBMに入社し開発研究所に配属されました。当時は「第5世代コンピュータ」(ICOT)プロジェクトもあったりした時代です。(懐かしいですね!)

入社した年に1ヶ月間現場の営業所で営業現場研修がありました。研修を終える際にあるお客様にご挨拶に伺いました。お客様は研究所から来た新入社員の私に「将来コンピュータはどうなると思いますか?」とご質問をされました。私は確か「考えたことをコンピュータが実行するようになると思います」とお話ししたように思います。

 

この時はお客様と一緒にいた先輩営業社員とともに「でもそんな世界になったらちょっと怖いですね。まぁ夢物語ですね」と笑っていたのですが、それから28年後の現在、既にそれが実現していたのですね。

改めて、コンピュータの進化とは凄まじいものだと実感します。

 

 

新型iPad。個人的に一番興味深かったのは、….

新型iPadが発売されました。記事はこちら

高解像度ディスプレイとかSiriの日本語化もとても興味深いのですが、私が一番興味深かったのは、製品名です。

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iPad3とかiPad HDとか色々と予想されていたようですが、「新しいiPad (new iPad)」

米国でも混乱があるようで、CNNのサイトでも「なんて呼ぶ? 「新しいiPad」が新しい名前を持たない理由 」という記事が掲載されています。

 

混乱しかねない名前の付け方ですが、考えてみたら、昔のカメラの世界でも似たようなケースがありました。

オートフォーカス一眼が登場する前のプロフェッショナル向けマニュアル一眼レフカメラ、キヤノンF-1です。

私が大学生時代から30代中頃まで、買い換えながら愛用していたカメラです。

最初に出たのが1971年。

それがマイナーチェンジされたのが1976年。この時も正式な製品名はキヤノンF-1でしたが、ユーザーの間ではF-1Nと言われることも多かったのです。

その後、1981年にフルモデルチェンジされて出たのがキヤノンニューF-1。しかし製品名の表記はF-1でした。これは1996年前生産されました。

ユーザーからはF-1、F-1N、ニューF-1と区別されていますが、商品としては全てF-1なのですよね。

 

大きく分けると3モデルで約20年を乗り切ったアナログ時代のF-1と比べると、デジタル時代のiPadはほぼ毎年モデルチェンジしていくことになります。

では、iPad3, iPad4, iPad5, …..と続いてiPad10, iPad20と続くかというと、確かに、ちょっと違うような気がします。

その意味では、「新しいiPad」という名前の割り切りは、アップルらしいな、という気もします。

ただ、もし常にユーザーを驚かすことを考え続けていたスティーブ・ジョブスが健在だったら、何か面白い名前を考えただろうな、と思ったりもしました。

 

 

私がMacBook Airで使っているソフト

「広田稔のMacでいこうぜ(2):独断と偏見で選ぶ! 「MacBook Air」と使いたい基本のハード&ソフト10(後編)」で、以下のソフトが紹介されています。

1、Keynote
2、Office for Mac 2011
3、Jedit
4、Evernote
5、ATOK 2011 for Mac
6、Parallels Desktop
7、Skype
8、The Unarchiver
9、Perian
10、二十世紀ボヤージ

私はこのうち、青字のOffice for Mac 2011とATOK2011 for Macを使用しています。

 

他に使用しているのは、こんなソフトです。

11、PixelMeter (画像処理)

以前ご紹介した通り、Photoshopの基本機能を網羅した画像処理ソフト。しかも格安で2,600円です。このソフトのおかげでそれまでWindowsで慣れていた画像処理環境が復活できました。

12.Transmit 3 (FTP)

私はホームページを5個ほど管理しているので、FTPソフトが必須なのですよね。結構高速で、使いやすいインターフェイスです。

13,FireFox (ウェブブラウザー)

Windows環境で使っていたのですが、その環境をそのまま持ってきました。Bookマークやクッキーもそのままです。結構コレで助かりました。

14,ThunderBird (メール)

これもWindows環境で使っていたのをそのまま持ってきました。過去の遺産を引きずりまくりですね。

15,miエディター

結構軽いテキストエディターです。秀丸の代わりを探していたのですが、なかなか見つからず、現時点で行き着いたのはこれ。軽いので重宝しています。

16、Lotus Notes

Lotus Notesは、ちゃんとMacでもLinuxでも動きます。私の場合アーカイブファイルが4GBを超えているのですが、SSDを使っているMacBook Airだと、処理も結構速いですね。

 

以上、ずっとWindowsユーザー(一時期OS/2 Warpユーザー)だった私が、昨年夏からMacに切り替えて使っているソフトのご紹介でした。

会社ではWindows環境のThinkPax X201を使用していますが、プライベートでは完全にMacBook Airになりました。

思ったよりもちゃんと使えるので、何とか一安心ですね。

 

 

「ひょう窃検知サービス」っていうのがあるんですね

私が学生の頃、レポートは文字通り紙にペンで一文字ずつ書いていきました。

最近は、ほぼ100%ワープロで書ていると思います。

ということで、ITmediaの記事「大学生のデジタル事情(7):コピペ、ダメ、絶対――それでもウィキペディアは利用する」で、最近の学生がレポートを書く状況が分かりました。

「ウィキペディアなんて間違いだらけだから引用するな」という教授は少なくないそうです。

そこで、ウィキペディアで調べはしますが、そのまま引用することはあまりないとか。

逆に問題になっているのが、ネットの文章のコピペです。

私が学生の頃も、レポート書き写しは確かにありました。

当時、ある先生は、「文章の最初の書き出しの10文字を見て、同じモノがあったら両方落第としている。最初の10文字が同じになる確率は、天文学的数字だから」とおっしゃっていました。

そんな書き写しの場合でも「手書きで書く」という作業はあった訳です。これがそのままコピペできてしまう。確かにとっても楽ですが、あまり勉強にはならないですね。

 

ということで、「ひょう窃検知サービス」というのがあるそうです。

 

実はこのチェック、英語であれば、以前「【使用報告】 英語の文法校正ツールGrammarly、結構使えます」というエントリーでご紹介した英文校正支援サービスGrammarlyを使えば、個人でも簡単にできます。

たとえば、「バリュープロポジション戦略50の作法」の英語版で、セオドア・レビットの「マーケティング近視眼」の文章を引用した部分は、Grammarlyではこんな感じで指摘してくれます。

Grammarly1

 

引用元の部分がハイライトされ、該当するネット上のURLが示されます。

Grammarlyの対象ユーザーである学生が、これを利用して、引用元の文章と微妙に異なる文体に変えてチェックから逃れる、ということもできるのですね。

「ひょう窃検知サービス」は日本の大学ではあまりメジャーではないということですが、逆にチェックされる方はこのように対策を立てるのかもしれません。

まぁ、本来は引用箇所は引用箇所として明示し、自分の文章は自分で書くのは一番よいのは言うまでもありませんが。

 

 

【動画】あのASIMOが大進化。走る、ボールを蹴る、跳ぶ、人混みを歩く、キャップを開ける →福島第一原発投入も検討中

ホンダが開発しているASIMO。

2002年の1年間、日本IBMの箱崎事業所にも常駐し、来社いただいたお客様をお迎えしていました。当時のASIMOの音声技術として、IBMのテクノロジーを採用いただいていたご縁でした。

そのASIMO、着実に進化しています。

昨日のニュースで、全面改良された様子が放映されています。

 

ボールを蹴ったり、最大時速9Kmで走ったり、ジャンプしたり、人混みで人間を避けて歩いたり。

キャップを開けることもできます。

ホンダのASIMOのページで、最新の詳細状況を確認できます。

 

9年前に日本IBM箱崎事業所でよく会ったASIMOは、「人間に似た動きをするなぁ」という驚きがありました。

現在のASIMOの動きは、「人間そのもの」です。

身体能力は、もしかしたら私とあまり変わりがないかもしれません。(笑)

 

ニュースによると、ASIMOの技術を活用して原発施設でも作業できる作業アームロボットを開発しており、東京電力が試験中で、福島第一原発投入も検討中だそうです。

 

日本のロボット技術、素晴らしいですね。

 

 

IBMブロガーズ・ミーティング「風評分析クラウド」

8/25(木)に、箱崎にある日本IBM本社でIBMブロガーズ・ミーティングが行われました。

行われた会場は、私が勤務するオフィスの6階下。当然参加しました。

日本IBM・クラウド&スマーターシティ事業・副事業部長の三崎さんがIBMのクラウドソリューションの全体像をお話しされた後、ソフトウェア事業でクラウドのエバンジェリストである米持さんが「風評分析クラウド」についてお話しされました。

この風評分析クラウド、実は使われているテクノロジーは、全米クイズ王にクイズ番組で勝利した、あのワトソンと同じ文章解析技術を使っています。

この文章解析技術は、IBM東京基礎研究所が十数年間かけて長年開発し続けてきたもので、私にとっても馴染みが深いテクノロジーです。

例えば10年前、まだIBMがパソコン事業を行っていた頃、川崎にあったサポート専用コールセンターに集まったお客様の声を、この技術により分析して製品の不具合を特定し、パソコン開発部門で製品開発に役立てたりしていました。このように、IBM社内やお客様の実業務で検証し、技術を磨き続けてきました。

「風評分析クラウド」は、この文章解析技術を活用して、ソーシャルメディア等のネット上の莫大な情報を解析し、インターネット上で発生している風評を早期に把握し、ビジネスで役立てよう、というものです。

米持さんは、ソーシャルメディア分析ならではの考慮点もお話されていました。

例えば、ソーシャルメディアのデータを扱うとなると、1日で1000万件規模のもの凄い量のデータが集まります。従来のやり方をしていてはこのデータは処理できません。そこでストリーミング技術やHadoopの技術を活用しています。

また、ソーシャルメディア上では「あざす」とか、「オワタ」とか、「orz」のように、独特の言葉もあります。このような語句も、文章解析エンジンの辞書に登録する必要があります。

この「風評分析クラウド」、米持さんはIBMがお客様に提供しているパブリッククラウド上に実装して、検証を行っています。

実際にお客様が業務で展開する場合は、「パブリッククラウド上で検証」⇒「オペレーション段階になったら、自社システム上で実装」という流れになるそうです。

大震災後、様々な風評リスクにさらされている企業からの引き合いは。強いようです。

実際の技術の話をお伺いし、改めて勉強になりました。

 

ところで、ブロガーズ・ミーティング終了後、オルタナブロガーのさる方が、

「永井さんは、本を書いているだけじゃなくって、ちゃんと会社の仕事もしている、ってことが、初めてよくわかりました」

とおっしゃって下さいました。

はい、ありがとうございます。

こんな私でも、仕事はちゃんとやっておりますです。(笑)

 

「新アナリティックス宣言」IBMワトソンが教えてくれる、情報爆発の時代に、情報を洞察に変えていく世界

今更言うまでもなく、世の中では情報が凄い勢いで増えています。

この膨大な情報から、いかに適切な洞察を導き出すかは、人類にとって今や大きな課題です。実際、爆発する情報が人間の手に負えなくなってしまった結果、社会では様々なことが起こっています。

では、情報を洞察に変えることなんて、出来るのでしょうか?

 

実は、そのヒントになる事例があります。当ブログでも何回か紹介している事例です。

それは、今年2月に全米クイズ王に、クイズ番組で勝利したコンピュータ・ワトソンです。

このクイズ番組で勝つためには、世の中のあらゆるジャンルを網羅するクイズに対して、全問の70%に対して80%の精度で3秒以内に回答する必要があります。

また、このクイズ番組では、間違えると減点されてしまいますので、点数差の状況を考慮したうえで「あえて答えない」という判断も必要です。

コンピュータ・ワトソンは、全米で放映されたこのクイズ番組で、全米クイズ王と3日間に渡って戦い、勝利しました。

 

このワトソンで使われているハードウェアは、実はIBMが市販しているIBM Power 750サーバーです。既に全世界で数千件のお客様にお使いいただいています。

この汎用ハードウェア上に、ワトソンの中核となるソフトウェアが実装されているのです。つまり、ワトソンは、ソフトウェア・テクノロジーの塊なのです。

ワトソンが初めて実現したのは、情報が多少あいまいでも、自身に蓄積している2億件にものぼる膨大な情報を計算することで得られる相関関係などから全く別のロジックを使い、複数の答えを確からしさという情報を伴って導き出すことが出来るアナリティクス(分析)技術を実現した点です。

質問をさまざまな角度から解析し、膨大な情報源を猛烈な処理スピードで多面的に検証し、より確からしい答えを導き出します。

テレビ番組のエンターテイメントとしてとらえられがちなワトソンですが、この分析技術は、実はさまざまな分野で活用できる可能性があるのです。

その可能性について、詳しく解説する読み物を日本IBMのWebサイト上で作ってみました。題して「新アナリティックス宣言」

情報活用の未来はどうなるのか、ご興味がある方は是非ご一読を。

Analytics

 

 

すごくリアル!3Dスキャナーと3Dプリンター

先々週の朝カフェ次世代研究会で伊藤さんから「ものづくりと3D」のお話をお聞きし、「世の中には3Dプリンターというものがあるのか!」と驚きました。

その感激も醒めやらぬ昨日、アイティ・メディアに「あんなところまで再現!?:4000万円の3Dプリンタで、自分フィギュア化計画」という記事が掲載されていたので、読みました。

3Dプリンターはどのような形で3次元の立体系に出力するのか、今一つイメージできなかったのですが、なるほど、こんな感じなのですね。

 

ちなみにここで使われている3Dスキャナーは約350万円。3Dプリンターは2種類の材料を使って造形できる上位モデルで約4000万円だそうです。まだまだ高価ですね。

記事によると、3Dプリンタは「アクリル樹脂吹きつけ⇒UVライトで固める」という作業を繰り返し、薄い層を重ねて作っていく仕組みだそうです。輪切りを積み重ねているのですね。

輪切り1回分16マイクロメートル。記事では女性記者を3Dスキャナーで読み取り、バストカット銅像とフィギュアを同時に作っていましたが、3Dプリントには約40時間かかったそうです。

記事の写真にもありますように、なかなかリアルです。

 

ちなみに、こちらの記事にあるとおり、フルカラー3Dプリンタというのもあるそうです。

こちらはほとんど実物同様にリアルです。

現時点ではものづくりや特殊用途に使われているケースが多いようです。

今後、大きな需要を生み出すような新しい用途が見つかり市場が形成されれば、3Dプリンターの台数も沢山掃けるようになるので価格が急速に下がり、家庭でも使える日が来るかもしれませんね。

 

 

1997年にチェス世界王者を倒したのは世界でただ1台の専用コンピュータ。2011年に全米クイズ王を倒したのは既に数千の企業で使用されている汎用コンピュータ

1997年5月11日、IBMが開発したコンピューター「ディープブルー」が、当時のチェス世界王者カスパロフ氏と対戦。6連戦で2勝1敗3引き分けと勝ち越しました。

ディープブルーは1秒間に約2億通りを導きだしました。

ここで使われたハードウェアは、IBM RS/6000 SP2というコンピュータ(120MHz 30ノード)をベースに、チェス専用チップを480個搭載した専用コンピュータ。

世界でただ1台のものでした。

このディープブルー開発で得られた基礎技術は、その後、様々なプロジェクトで利用されました。

 

その14年後、2011年2月14日から16日にかけて、IBMが開発したコンピュータ「ワトソン」が、今度は全米で25年間以上続いている人気番組Jeopardy!で、クイズ王と対戦、勝利しました。

このコンピュータ「ワトソン」は自然言語で書かれた情報の断片を分析し、短時間で最も適した解答を導き出す質問応答システムです。

面白いことに、ワトソンのハードウェア自体は、IBMは顧客に販売しているIBM Power 750サーバー(Power7プロセッサー 3.55GHz)という、一般に販売されている汎用コンピュータです。

既に世界で数千以上の企業で導入されています。

ワトソンの場合、このマシンのスペックは、総メモリー容量15TB、総プロセッサー・コア数は2,880個、80 TFLOPS。

この高速・並列処理能力を活かして、数千のタスクを各プロセッサーコアで同時に走らせて、3秒以内に回答を得ているのです。

この汎用コンピュータの上で、今回開発した質問応答システムを動かしているのですね。

この質問応答システムは、大量データリアルタイム処理技術、分析技術、自然言語処理技術等のかたまりです。

なぜ汎用コンピュータを使用したのかというと、IBMは当初からワトソンで培った質問応答システムの成果を、医療や金融サービスといった分野で適用できるように考えていためなのです。

ワトソンの詳細は、下記ビデオでご覧になれます。

 

企業のITのセキュリティ対策 その必須科目と及第点は?

今や生活に不可欠なIT。

セキュリティの脅威も複雑多岐に渡っています。

情報漏洩した場合に訴訟沙汰になる海外と比べ、日本では訴訟になる件数は極めて少ないのが現状です。

このため、海外は訴訟対策で情報セキュリティにお金をかけて対策するのに対し、日本はお金をかけるモチベーションが弱くなっている現実があります。

しかし実際には、基幹システムが停止したり、重要機密情報が知らぬ間に漏洩して、自分たちが気がつかないリスクが生じている可能性もあるのです。

では、どうすればよいのか?

今週から日本IBMのサイトで、下記の特集を開始しました。

企業のITのセキュリティ対策 その必須科目と及第点は?

Security

「情報セキュリティ対策が重要なことは分かっている。でも、全体像が理解できていない」

「情報セキュリティに使える予算は限られている中で、まず最優先で何をすべきか?」

このような企業の声に応えるために大切なのは、全体のリスク評価と、優先順位に基づいた対応です。

具体的な方法について、日本IBMのセキュリティ・エバンジェリストの大西克美さんが語っています。

 

「ソフトウェアが、日本企業の経営を変える」のシリーズも、だいぶ蓄積してきました。

これまでに行ったシリーズをまとめてみました

■第1回:概要編 6つの課題とは?(10月18日より)

■第2回:コラボレーション編(11月15日より)

■第3回:運用の効率化編(12月6日より)

■第4回:俊敏性編(12月27日より)

■第5回:ソフトウェア開発の変革編(1月24日より)

■第6回:リスク管理編(2月14日より)

一度、通して読んでみると、日本企業が抱えている経営課題と、ソフトウェアテクノロジーを活用することでそれらがいかに解決できるかが、お分かりいただけるかと思います。

このシリーズ、まだまだ続きます。

 

 

全米クイズ王に勝ったコンピュータ「ワトソン」が提示する、新しい私たちの未来 #ibmwatson

IBMが4年間をかけて開発したQ&Aシステム「ワトソン」が、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」で、二人のクイズ王と3日間に渡って対決、最終的にワトソンが勝ちました。

ITメディアの記事「IBMのコンピュータ対クイズ王 2回戦はコンピュータの勝利」では、二日目の様子をレポートしています。

ここでは、「米国の都市」カテゴリーの質問に対して、ワトソンが、正解の「シカゴ」ではなく、カナダの都市「トロント」と答えた様子が書かれています。

人間からすると、「米国の都市の問題じゃないか。なんて初歩的なミス!」と思うところですが、記事によると、

 IBMの開発者はこのミスの原因について、Jeopardy!ではクイズのカテゴリー名と答えの内容が合わないことも多いため、Watsonがトレーニングの段階で、カテゴリー名をヒントとして重視しないよう学習していたこと、問題文に「米国の都市」という言葉がなかったことなどを挙げている。

としています。

本100万冊分の情報が入っているワトソンですが、その膨大な情報をどのように活用するのか、こうやって、一つずつ地道に教え込むことが必要なのですね。

asahi.comの記事「スパコン、米のクイズ王に圧勝 本100万冊分の知識」では、「連勝王」「賞金王」の二人(人間)と、ワトソン(人工知能)の比較表が掲載されていて、なかなか興味深い内容になっています。

賞金100万ドルは慈善事業に寄付するとのこと。

当然のことですが、実はIBMは、これよりもかなり大きい金額をかけて、ワトソンを開発しています。

 

エンターテイメントとしてみると、なかなか面白い「コンピュータ vs クイズ王」のイベント。

しかし、IBMは単なるエンターテイメントでこのプロジェクト「ワトソン」を進めてきたのではありません。

 

ワトソンは、自然言語処理技術、分析技術、大量データ処理技術、最適化技術、音声認識技術等、様々な要素技術を統合することで、人とコンピューターの新しい関わり方を提示しています。

2011/3/3修正:ワトソンには音声認識技術は搭載されていません。番組でテキストデータが送られ、処理が始まるようになっています。お詫びと共に訂正いたします。

今後もCPUやメモリー、ディスク等のハード面は指数関数的に速く大容量になります。ワトソンと同等のシステムが、一般の人が使えるようになるのは、そんなに遠い未来ではありません。

たとえば、ワトソンと同じシステムが、将来一人一人のケータイに内蔵され、あらゆる質問に答えることができたら、どうでしょう?

あるいは、そんなに先の話でなく現時点で考えても、昨日の日経新聞夕刊記事に書かれていたように、たとえば医療診断システムへ応用することで、より的確な診断をいつでも行えるようになります。

コンピュータは人間と違い、仕事が続くことで疲れて能率が低下したりミスを誘発することはありません。激務と言われている医師の仕事の一部を肩代わりできる可能性もあります。

他にも、企業の様々な課題を解決するために、活用できる場面は沢山あります。

ワトソンで培った技術は、新しいビジネスをもたらし、テクノロジーで世の中を変革する大きな可能性を秘めているのです。