レディバードクラブ様で講演しました

9月26日に広島で行われたレディバードクラブ様のセミナーで、『お客様が買う理由を、いかに作るか? 「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題して講演しました。

レディバードクラブとは、印刷産業ビジネスのさまざまな経営課題解決のために、セミナーや情報提供などを行うことで、業界を発展させるために設立された団体です。

中国・四国地区の印刷会社を中心に、105名もの方々が参加されました。有り難うございました。

 

 

会社員の独立で、一つだけ押さえるべきは何か?

『「あなた」という商品を高く売る方法』(あなたか)の講演の後、こんなご質問をいただきました。

「永井さんは、4年前に日本IBMを退職後、独立されたのですよね。
起業や独立にあたって、一つだけ押さえておきたいことは何でしょうか?」

「あなたか」の講演では、このようなご質問を意外と多くいただきます。
「独立に挑戦したい」という会社員は、かつてなく増えているようです。
挑戦しようと考えることは、素晴らしいことですね。

このご質問に対して、私は自分の経験で、次のようにお答えしました。

 

私の経験で言えるのは、「お客様がいるかどうか?」 これに尽きると思います。

私の場合、本を書いていました。たまたまその時は売れていましたが、本は水物なので、今後も売れるかどうかは全くわかりません。ですから、本に頼ることは考えていませんでした。

ただ、日本IBMに在職して本を執筆していた最後の3年間、社外から講演のご依頼をかなり多くいただいていました。残念ながらすべて平日のご依頼でした。平日は、私は会社の仕事があります。ですので大変申し訳なかったのですが、すべてお断りしていました。

そんな中、ある企業様から「それなら、土曜に社員を集めるから、数回にわけてワークショップをして欲しい」というご依頼をいただきました。そこで半日のワークショップを数回にわけて数週間行いました。

この時、「謝礼をお支払いしたい」との有り難いお話をいただいたのですが、会社勤めでしたので固辞させていただき、無償で実施しました。ただ勤務先では人材育成部長をしていたので、同一内容を研修で提供した場合、どの程度の相場になるかは、ほぼ把握できました。

「これは独立しても、お客様がいるのではないか?」と考えました。

私は30代前半の頃から「50歳になったら独立しよう」と考えていましたが、この時は51歳。私は「50代がビジネスパーソンとして仕事のピーク」とも考えていたので、「このタイミングで独立しよう」と考え、この年の6月に退職して、独立しました。

 

ここで大切なのは、

「〇〇〇社の社員だから、仕事をお願いしてくれるお客さん」と、
「□□さんだから、仕事をお願いしてくれるお客さん」

の違いを、見極めることが大切です。

私の場合、有り難いことに、「あの本を書いた永井さんだから」と、仕事をお願いされました。
しかし実際には、「〇〇〇社社員の□□さんだから」と、仕事をお願いするお客さんが圧倒的に多いのが現実だと思います。

また、独立する際には「志」もとても大切です。そして若い時期であれば、お客様がよく見えていない状況で「志」だけで独立し失敗しても、失敗から学んでリカバリーできる余裕があります。

しかしシニアの場合、責任も抱えるものも、若い頃と比べると格段に増えています。会社員で長年経験しシニアになってから、「志」だけで独立して失敗すると、失うものは大きいのです。

一方でシニアは、若者が持っていないものを持っています。「経験と勘」です。失敗の勘所がわかっているはずです。

その「経験と勘」に加え、「自分個人に、お客さんがいる」という状態にして独立をすることが、必要なのです。

 

 

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JTB 協定旅館ホテル連盟千葉支部様で、講演しました

昨日2017/9/20、千葉県の富浦で行われたJTB協定旅館ホテル連盟千葉支部様の会議で、『「そうだ、星を売ろう!」阿智村から学ぶ、コト発想への変革』と題して、講演しました。

千葉県の旅館・ホテルの経営者二十数名が参加されました。

講演後は懇親会も行いました。

 

参加された皆様のご感想です。

■自身の体験と併せて、ストーリー性とマーケティングの考えが非常に効果的に伝わる内容であった。

■たいへんよいお話しをお聞かせいただきありがとうございました。

■商品を作る際の間違いなどがあり、ためになる講演でした。

■強みをどう考え、その後の行動の取り方がよくわかりました。今日の講演内容を持ち帰り、社内にもう一度強みとその後の行動について考え直していこうと思います。

■「意識+行動(力)+志」、大変参考になりました。

■自分の志を持って行動すれば、なにごともできる。部下の指導の面でも参考になった。

■地域の活性化=「最終的に人の力」ということがよくわかりました。今後の業務に活かしていきたい。

■自分の地域の事例に一つ一つあてはめて考えてみます。ありがとうございました。

■マーケティングについて大切なことを多く学びました。ネット販売が多い世の中で、旅館業に役立つと思います。

■わかりやすくてよかった。観光資源の少ない千葉県ですが、なんとなくやる気が出ました。探してみます。

■尽きるところ、すべては人を、いかに自分を、最初に志を高めるかですね!継続は力なり。

■1時間の講演ありがとうございました!もっとお聞きしたい位でした。VRIO検証、今後のチーム作りや商品提供に活用します。「仕事=やりたいこと」、今まさにその状況に自分はいます。もっとアンテナ高く行動を増やして、よい失敗を積み上げていきます。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

 

「吉野家はなまるはしご定期券」の裏にある周到な戦略

先日外出中に、急に「吉野家の牛丼が食べたい」と思ったら、すぐ目の前にあったので、入りました。

牛丼並を食べながら食卓の上にこんなものが貼ってあったので、驚きました。

「吉野家はなまるはしご定期券」

ポイントは、

・毎食80円引きの定期券を、9/22まで300円で発売中
・牛丼の「吉野家」、讃岐うどんの「はなまるうどん」の両方で使える
・9/15-10/23の期間中は使い放題。
・期間中であれば1枚で何人でも、何度でも、何食でも利用可能

吉野家自身も、「吉野家史上最大にお得なキャンペーン」と謳っています。

一見すると「こんな大盤振る舞いして、赤字になるんじゃないの?」と思ってしまいますよね。

そこで興味を持って調べて、驚きました。

「吉野家、おそるべし!」

単なる値引きではないのです。

 

ちなみに「はなまるうどん」(以下「はなまる」)は、現在吉野家傘下にあります。

「はなまる」は、それまで日本になかった讃岐うどんのチェーン店を成功させ、順調に成長しました。しかし大量出店があだとなり店の質が低下、売上が急降下し経営危機に陥り、吉野家の傘下に入り、吉野家から38歳の社長が創業者社長とバトンタッチして、店の質やサービスを徹底的に見直し、現在は吉野家グループの中でも優良企業に生まれ変わっています。

その経緯は、拙著「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」の第6章で紹介しました。

たとえば「はなまる」は、「期限切れクーポン大復活祭」と銘打ち、「日本全国どんな店の期限切れクーポンでも、お好きなメニューが50円引き」というキャンペーンを行いました。

きっかけは、「新たに女性客に来て欲しい」と思った社長が、「膨れた女性の財布に何が入っているんだろう?」と思い、周りの女性に聞き回ったところ、店でもらうクーポン券が溜まっていたと知ったことでした。しかもその6割は期限切れ。「何とかできないかな?」と考えて始めたものでした。結果、売上が3%増えて大成功。

他にも「健康志向」を打ちだしていた「はなまる」は、「健康保険証を見せれば50円引き」というキャンペーンも行いました。これも健康意識が高いお客さんを取り込む戦略です。

すべて期間限定でやっているのがミソです。単なる値引きではなく、いずれもその時点で自分たちが「固定客化したい」と狙う顧客を的確に狙った戦略なのです。

ちなみに、この当時のはなまる社長が、現在の吉野家の社長に若くして大抜擢された河村泰貴さんです。

 

今回の「吉野家はなまるはしご定期券」も同じです。

マイライフニュースの記事『吉野家、はなまるうどんとコラボした「はしご定期券」キャンペーンを開始、丼・定食・皿・カレーがいつでも80円引きになる定期券を期間限定発売』によると、「はなまるうどん」では毎年「てんぷら定期券」を販売して好評でした。吉野家でも同じような定期券ができないかを考えましたが、せっかくならお互いにコラボした方が相乗効果が生まれると考え、このキャンペーンが実現しましたそうです。

吉野家一店舗当たり600枚を販売予定で、キャンペーン期間中は2割の利用客増を見込んでいます。

一見大盤振る舞いのキャンペーンも、実は「吉野家」の固定客を「はなまる」へ、そして「はなまる」の固定客を「吉野家」へ、それぞれ誘導して、全体の固定客を増やす仕組みとして周到に考えられたものなのです。

 

 

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『「御社は敷居が高い」って、言われたんだけど…』

講演のQ&Aタイムに、こんなご質問をいただきました。

「お客様から、『御社の商品は敷居が高いですね』と言われたんです。
 当社は高級食材を高価格で定価販売しています。
 このお客様のご意見は、どのように考えればいいのでしょう?
 当社の強みと考えればいいのか、弱みとして考えればいいのか…?」

ご質問の姿からも、お客様の声に誠実に向き合っている姿勢が感じられました。
あなたは、この質問に対して、どう考えますでしょうか?

私は次のようにお答えしました。

 

最初にお客様が「敷居が高い」と考えていることは事実です。
これは事実としてまず受け止めたいですね。

その上で、これをどのように解釈して行動すべきなのか?
それが「これをどうするか?」という考え方、いわゆる「戦略」です。
たとえば「敷居が高い」というお客様の声に対しては、いくつかの戦略が考えられます。

→現在の商品の敷居を下げて、もっと広めよう。
これは敷居が高いことが商品普及の障壁になっている、という考え方です。
現在の商品をより拡販したいのであれば、お客様がもっと買いやすくなる戦略を考えます。
(但し、値段を下げるのは出来る限り避け、あくまで最後の手段として考えるべきです)

→もっと敷居を高めてしまって、ブランド価値を高めよう
現在の商品の売れ行きが満足いくものであり、さらにブランド価値を高めたいと考えるのであれば、この手もあります。より高級感があるパッケージングにしたりして、より高級品を求める顧客にアピールしていきます。

→新たに、敷居が低い商品群を作ってしまおう。
現在の商品のブランドは維持した上で、別ブランドで、より敷居が低い商品を開発して、顧客を広げるパターンです。これまで高級車中心だったベンツが、CクラスやAクラスという普及版ベンツを販売するのもこの戦略です

→敷居が高いままにしよう、
あえて何もせず、現在のブランド戦略を維持するのも、これはこれで一つの戦略です。ただ、お客様は常により贅沢によりワガママになっています。ブランド戦略を維持する場合でも、常にブランド価値向上に努力し続けることも大切です

 

このように、「お客様の声はまず事実として捉える」→「現状認識する」→「その上で戦略を考える」というように、分けて考えるとよいのではないでしょうか?

 

 

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志太経営塾で講演しました

2017年9月7日、静岡県志太3市(焼津市・藤枝市・島田市)の商工会議所が合同で行った「平成29年度 志太経営塾」で講演致しました。

約80名の方々が参加され、『お客様が買う理由を、いかに作るか? 「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題してお話しを致しました。

 

皆様からいただいたコメントを一部ご紹介します。

■講演を聞いて本当に良かったと思います。もともと永井先生の本を読んでいたので、実際に直接講演を聞くことでよい刺激になりました。新規事業を立ち上げる際に、講演で言われたポイントをしっかり押さえたものであるかを考えたいと思います。またモチベーション3.0についても社内で取り入れて、社員が働きやすい環境にしたいと思います。

■自身の事業が2年目に入り、経営計画を立てています。1年目の売上を超えられるか不安でしたが、バリュープロポジションを見つけ出し、お客様にアプローチしたいと思いました。お客様の生の声を聞きに行きます。本などはすべて読んでいましたが、実際に永井孝尚先生の声で話しを聞いて感動しました。

■オリジナル商品を開発しています、サキドリして欲しくなる商品をつくっていきたいと思います。すぐに実行したいと思います、チャンスはたくさん降り注いでいるので、ぶれないビジョンでどんどん挑戦していきたいと思います。素晴らしいお話しを有り難うございました。

■とても勉強になりました。今までとは違う視点で考えて新商品の開発に取り組んでいきます。また自社の強みをもう一度見つめ直してみます。また機会があったらぜひ講演に参加させてもらいます。

■「いかに感動してもらうか」、社長がよく言う言葉の意味がわかりました。ありがとうございました!

■自社の考え方について非常に勉強になった。今まで感覚だけで仕事をしていた気がする。

■非常にわかりやすくやる気になる話でした。今の考えが「思い込みの強み」かどうか見直すチャンスだと感じました。

■ちょうど経営計画を作りたいと考えていました。その中で、マーケティングに落とし込みたいと思います。

■現在、事業を引き継いでいます。以前勤めていた時には営業をしており、永井先生が言っておられた考え方の人がほとんどおらず、いかに売るかの営業であり、機能(多機能)でアプローチの考え方でしたが、今日は参考になりました。今後に活かしていきます。

■具体的で非常にわかりやすいお話しが拝聴でき、感謝でした。ありがとうございました。

■チャンスは雨のように降り注いでいる。危機意識を持ってチャンスを探したいと思いました。「ぶれないビジョンが多様な人を動かす」は、どんな仕事にも当てはまると思います。

■とても感動しました。自社の強みは何だろうかと改めて人誌雨期するきっかけになりました。無形のものを提供するためには何が必要なのかヒントになりました。

■お客様目線で商品開発をする大切さ改めて実感しました。ぶれないビジョン持ち、人動かせようになる。

■すべての内容そのままを自社クライアントに分言葉で説明ることができる。

■最後の質問で、実際に困っていることに対して、すぐに答えられるのがすごいと思いました。

■自社のバリューを見極め、顧客ニズにこたえる。それは作取りであることが大切で、それが顧客満足度を挙げ利己とを学びました。ぜひ実践したいです。

■VRIO分析法は強みを客観的かつ論理にることが出来ので活用していきたい。

■お客様のニーズに応えて「問題意識+行動+志」を気にしながら仕事をしていきます

 

皆様、真摯な姿勢で参加いただき、本当にありがたく感謝致します。

有り難うございました。

 

朝活勉強会「永井塾」第7回『「あなた」という商品を高く売る方法』を行いました

本日、朝活勉強会・永井塾を行いました。

今回のテーマはこちら。

先月出版した『「あなた」という商品を高く売る方法』をベースに、キーポイントをご紹介しました。

 

皆様からのご感想です。

■強みを確立するためには、やはりある程度の時間は必要だなと感じて、少し焦ります。

■自分で考え実践し、失敗という体験を経験にすることの大切さ、それを繰り返す大事さを学べました。

■自分自身だけでなく、今後の部下指導にも役立つヒントがあった。、

■再度、本の内容を勉強できて良かったです。自分自身のバリュープロポジションとジョハリの窓について考えさせられました。

■新規ビジネスを進める上で仮説検証や強みを見つけることなどが大事であることが参考になりました。

■「強みを活かして独自ポジションを確立」することが容易ではないことがよくわかりました。頭で理解することで満足するのではなく、実際のお客様のところに行って教えていただく。実践あるのみですね。

 

多数のご参加をいただき、有り難うございました!

 

来月の永井塾では、皆様のバリュープロポジションを事前に作成の上、発表いただく予定です。メルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガをご覧下さい。

 

 

 

 

「ライバルが現れた。どうしよう?」

講演で、こんなご質問をいただきました。

「『バリュープロポジションを作ろう』ということですけど、
 ライバルが参入して来たら、どうすればいいんでしょうか?」

まったくおっしゃる通りで、バリュープロポジションを作り、誰もいない市場でどんどん売れる状況になっているのを、ライバルは決して見逃してくれません。ですからある程度うまくいくと、ライバルは必ず登場してきます。

では、どうするか?

 

参入障壁があっても、ライバルは必ず現れます。
しかしライバルの登場は悪いことだけではありません。

ライバルが登場すると市場は大きくなります。
自分たちが市場シェアを維持していれば、市場が大きくなれば自分たちも成長できるので、それはいいことです。

 

たとえば「自動お掃除ロボット市場」を作ったのはアイロボット社のルンバ。市場シェア60%です。この市場には10社以上のライバルが参入し、消費者が「自動お掃除ロボットは便利だ」と認めた結果、市場は拡大しています。そしてルンバも性能を向上させ続けてシェアを維持し、成長しています。

 

問題はライバルにシェアを食われる場合。つまりライバルに負けている状態です。

なぜ負けるかというと、自分のバリュープロポジションの賞味期限が切れてしまっているからです。ビジネスには、必ず賞味期限があります。そして賞味期限は必ず切れます。

だから、常に新しいことに挑戦し続けることが、とても大切です。
常に新しいことをやり続けることです。
ただ新しいことをやると、失敗することも多いものです。
しかし失敗から学ぶことで、さらに進化が加速します。

 

そもそも、何もしないままではシェアは必ず食われてしまいます。

だからいずれにしても、常に新しい挑戦をし続けることで、新しいバリュープロポジションを作り続けて進化することが、必須なのです。

 

 

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【書店限定企画】「あなたか」出版記念講演@渋谷を行いました

昨晩2017年8月31日、渋谷で『あなたか』(『「あなた」という商品を高く売る方法』)の発売記念セミナーを行いました。講演の後、皆さんに実際にご自身のバリュープロポジションを作って発表いただき、講評しました。

皆様からのご感想です。

■いま、派遣で働いているため、キャリアの知識が非常に重要です。今後のキャリアアップに役立てます。とてもためになりました。ありがとうございました。

■これから就職をしていく中で、先を見据えて働くときのためになると思います。貴重なお話しありがとうございました。

■「考える→実行→検証」「失敗を認め改善していく」「永井先生の出版プロセス」、すべてがリアルにお話しをお聞きすることで、とても響いてきました。ありがとうございます。

■自社で、みんなで今日の研修をやってみたい。そして実践。(仕事で実験してみたい)

■新規事業や社内提案時にマーケティングの観点を持っていなかったことが本日の発見でした。マーケティングを学んでおられる方が多く刺激を受けました。

■学生なので仕事で役立つかはまだわかりません。しかし人生設計には役立つと思いました。難しいお話しをかみくだいてお伝えいただき、わかりやすかったです。これからマーケティングを学び、仕事にも人生にも活かしていきたいです。

当日の渋谷は、サッカーのワールドカップ予選で騒然とした状況でしたが、こんな中、ご参加いただいた皆様に感謝です。

 

実は、紀伊國屋書店本店などの9書店で販売している『あなたか』には、こんなご案内がはさまっています。こちらで申し込んでいただいた方々をご招待しました。

 

第2回目セミナーは9月28日です。参加ご希望の方は、次の書店で本書をお求めいただき、上記のご案内をご覧になってお申し込み下さい。

紀伊国屋書店 新宿本店 →アクセス
ブックファースト 新宿店 →アクセス 
三省堂書店 東京駅一番街店 →アクセス
三省堂書店 神保町本店 →アクセス
啓文堂書店 渋谷店 →アクセス
文教堂書店 浜松町店 →アクセス
虎ノ門書房 田町店 →アクセス
ジュンク堂 池袋本店 →アクセス
くまさわ書店 品川店 →アクセス

 

 

「言うことは聞け。言いなりはダメ」って、矛盾してない?

こんなご質問をいただきました。

「永井さんは、『お客様の言うことをよく聞こう』とよくいいますよね。
でも『お客さんの言いなりになるな』ともいいます。
なんか、矛盾していませんか?」

ごもっともな疑問ですね。今日はそのお話しです。

 

「ゴホンと言えば龍角散」で誰でも知っている龍角散。現在の社長は、お父様から社長を引き継いだ藤井隆太社長です。引き継いだ当時、年間売上は40億円。お父様は事業多角化に積極的でしたが苦戦し、借金は年間売上と同額の40億円。主力商品の粉薬は若い世代に受け容れられず、売上は下がる一方。経営危機を迎えていました。経営陣は「龍角散はもう古い。新しい商品が必要」という意見でした。

そんな中、藤井隆太社長は、龍角散の愛用者を集めてグループインタビューをしました。

すると「時代遅れ」と思っていた粉薬を、愛用者は「伝統があるから安心できる。身体に優しい」と考えていたのです。

特に若い女性は、「妊婦さんも飲めるしね」

よく聞いてみると意外なことがわかりました。妊婦は喉が痛くても、副作用がある強い薬は飲めません。産婦人科で唯一進められるのが龍角散でした。

つまり龍角散の強みは、「伝統があり身体に優しく安心できる」こと。それを教えてくれたのは愛用者でした。 彼らは、粉薬で飲みにくく咳き込んでしまうことも教えてくれました。

そこで顆粒状ののど薬「龍角散ダイレクトスティック」を発売して大ヒット。2016年度の売上は、社長就任時の4倍となる151億円。経営は立ち直りました。

(詳しくは、日経ビジネス2017.8.17号の特集「挫折力」に掲載されている龍角散の事例をご覧下さい)

 

私も同じことを、先日出版した『「あなた」という商品を高く売る方法』で経験しています。

当初、本書の位置づけは「自分のキャリアづくりを考えている若手ビジネスパーソン向け」でした。 そして執筆の真っ最中、今年5月に行った朝活勉強会・永井塾で本書の一部を紹介しました。すると新しい発見がありました。

実は40〜50代のビジネスパーソンが、「今後の自分のキャリアをどうするか?」をかなり真剣に考えていることがわかったのです。いまや人生100年時代を迎え、定年退職後のビジネスパーソン人生をどうするかは大きな課題なのです。改めて考えると、私も同年代なので、この悩みはとても共感します。

そこで年齢でターゲットを絞り込むのではなく、「自分の商品価値を高めたいと考えているビジネスパーソン」というニーズでターゲットを絞り込みました。

 

つまり、「すべての答えはお客様が持っている」ということです。

 

一方で大事なことがあります。
お客様の言いなりにならないことです。

 

たとえば、皆さんのご自宅にあるテレビのリモコン。お客様の要望をそのまま取り入れて、次々と機能を追加した結果、逆にボタンだらけで使いにくいリモコンになってしまっています。

お客様の言いなりになることが、必ずしも正しいとは限らないのです。
お客様は答えを持っていますが、答えそのものは教えてくれないのです。

 

お客様から得られることは、2つあります。

まずお客様の声は、「仮説を作るためのヒント」です。
龍角散は、「妊婦でも飲める」「でも粉薬は咳き込む」というお客様の声をヒントに、ヒット商品「龍角散ダイレクトスティック」を作りました。

そしてお客様の声は、「仮説を検証する手段」です。
私は、朝活勉強会・永井塾で『「あなた」という商品を高く売る方法』の内容を紹介した結果、本書のターゲット読者を修正しました。

仮説を考えないままで、お客様の声をそのまま取り入れ、言いなりになっても、お客様の本当の課題は解決できません。

必要なのは、私たちが仮説を持つことなのです。

 

 

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「あなたか」出版記念講演を行いました

2017/8/23(水)、ITmedia Executiveの主催で、『「あなた」という商品を高く売る方法』の出版記念講演を行いました。

企業のマネージャーの皆様を中心に、合計42名が参加されました。

 

講演後、『「あなた」という商品をつくる』ためのワークショップと発表も行いました。皆様のご感想です。

■自分の強みを考えるきっかけとともに、新規事業の考え方についての入口に立てることができました。

■仕事にあたる上で、社内外に対してどのように進めていくか指針ができました。また他の方の話を多く聞けて、自分のことを考えるきっかけになりました。わかりやすくお話しいただきありがとうございました。

■具体的に、失敗をおそれず、行動するところから始めたいと思います。昔、新しいことを始めて失敗したことがありましたが、くじけず続けることが大事と気づかされました。

■自分の強みを理解すること、他人に強みを教えてあげることで、業務の効率アップに繋げたいと思います。

■キャリアアップのベースにしたい。今後の役に立つ考え方を教示いただき、有り難うございました。

■プロジェクトチーム内で学び、気づきに使わせていただきたいと思います。ワークの進め方も勉強になります。実際に部下に対して「強み」「弱み」分析をさせて面談した際、強みを多く書くように示してコミュニケーションを行ったことがあり、今回の話に通じることがあり、勉強になりました。ありがとうございました。

■マーケティングを個人に落とし込むコンセプトが面白かったです。社内教育で活用します。

■退職後の生活・仕事をいかにするかを考えていますが、有益なお話でした。役立ちます。

■やさしく、かつ力強いプレゼンでよく伝わりました。自分の強みをどう知るか、そしてそれをどう活かしていくかの気づきの場となりました。

■若手のエンジニアを教える機会が多くあり、キャリア形成の考え方は参考になりました。

■とても参考になりました。また参加者の方々とのディスカッションはよい機会になりました。自分の強みを育てられるよう、バリュープロポジションを意識して業務を行っていきたいと思います。

■話がまとまっていて、聞いていて楽しかったです。また他の方がどんなことを考えているのかを知るよい機会になりました。今後を考える上で、役立てていきます。

■客観的に自分や他の社員を分析する力がつきました。広い意味でのマーケティング思考にも役立ちました。今までにない視点でものを視たり考えたりするヒントになりました。

 

参加された皆様、有り難うございました!

 

 

弱点こそが、あなたの強みの源になる

「自分の強みが何かを考えましょう」というと、このようにおっしゃる方が少なくありません。

「自分の強み?弱点ならいくつも思いつきますが…、強みはなかなか思いつきませんね」

実際には見方を変えると、弱点は強みの源になるのです。

 

たとえば私は、今はマーケティングの専門家として見られています。しかしマーケティングをちゃんと学んだのは、36歳になってからでした。その前までは、製品開発や営業で、悪戦苦闘・七転八倒の繰り返しでした。

「こういう商品を作れば売れるはず」→売れない
「お客様をどんどん訪問して売り込もう」→売れない

36歳でマーケティング職になり、マーケティング戦略を体系的に学ぶ機会がありました。そこで目からウロコが何枚も落ちました。

「なるほど、だから売れなかったのか!」

それまでいくら頑張っても売れなかった理由が、ハラに落ちてよくわかったのです。その後、学んだマーケティング理論をもとに、事業戦略を立てていくようになりました。

この経験が、「マーケティングを知らない人に、わかりやすくマーケティング理論を伝える」という今の私の強みの源になっています。マーケティング理論を知らずに現場で悪戦苦闘していたこそ、マーケティングを知らない人の立場がわかるからです。

 

このように、自分の弱点を活かして強みの源にしたケースは、世の中には少なくありません。

 

中日で219勝して名球会入りした大投手・山本昌は、入団当初は球速130Km/h程度でコントロールもなく、まったく期待されていない選手でした。その後、中日が業務提携していたドジャースのキャンプに参加した時も低い評価。「野球をやめてトラックの運転手になったら?」と言われたりしました。

ある日、米国キャンプの練習で見た大リーグの大投手・バレンズエラのスクリューボールに衝撃を受け、遊びで投げてみたところ驚くほど曲がり、これが決め球になりました。

山本昌のスクリューボールが大きく曲がった理由は、股関節や膝関節が外に割れているという独特の骨格のおかげで、ボールが上手く抜けたためでした。実は中日のトレーナーたちは全員、「山本昌の骨格では、野球選手として大成しないだろう」との意見でした。

山本昌も弱点と思われていたものが、強みになったのですね。

 

個人のケースを紹介してきましたが、これはビジネスでも同じです。

米国では、ウォルマートは地域の小売店に恐れられています。ウォルマートは人口1万人以下の地域に出店し、圧倒的な低価格と品揃えでその地域のお客さんをゴッソリと奪っていくからです。

ウォルマート出店が決まった地域に、小さな模型屋がありました。品揃えと価格競争力で圧倒するウォルマートと正面から戦っても勝てません。

あるコンサルタントが、その模型屋にこうアドバイスしましたた。

「これは大きなチャンスだ。ウォルマートで買える商品は一つも置かなければいい」

この模型屋は、熱狂的なマニアやコレクター向けの商品を揃えるようになりました。彼らはどうしても欲しい商品があると価格は二の次。この店はウォルマートが出店してから逆に繁盛しました。

これも「品揃えと価格ではかなわない」という弱みが、強みに転じた例です。

 

「自分の弱点」と思っていることは、実は「他にはない自分の資質」であることが多いのです。だからこそ、それを活かすことで、他の人には真似できない強みになりうるのです。

 

ご自身の弱みを今一度見直してみることは、意外と自分の強みのヒントを見つける早道なのかもしれません。

 

 

 

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ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益な理由

こんなことでお悩みの方は少なくありません。

「ウチの商品力が弱い。
 全然売れない…」

でも、問題は本当に商品力でしょうか?

世の中を見ると、ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益な会社は少なくありません。

 

たとえば、生命保険(生保)代理店のケースで考えてみましょう。

生保代理店ビジネスはこんな特徴があります。

・商品は、どこも同じ
・立地条件も、大差なし
・販売している人材の質も、大差なし

だからいかに差別化するかがポイントになります。

また、代理店は365日保険のことを考えています。
しかし、お客様は、保険のことはほとんど考えません。「不要」と思っている人もいます。

いかにお客様と関わるかが大切になってきます。

 

千葉県にある保険代理店「ほけんプラザエイプス」(以下、エイプス)のお取り組みを例に、考えてみましょう。

千葉県で35年間の実績があるエイプスは、社員28名。千葉県の金融機関239社中、財務安定性は6位の優良企業です。社長の田切さんにお話を伺ったことがありますが、冒頭、こうおっしゃっていました。

「特別なことはしていません。
誰でもできる、当たり前のことをしているんですが…」

田切さんは、お客さまと会っても保険の話は一切しません。たとえば運送業の経営者と出会うと、こんな話をします。

「運送業の労務管理って、時間管理じゃないですよね」

運送会社は、労務管理が後回しになってしまっている会社が多いのです。運転手の仕事は、A地点からB地点に荷物を運ぶこと。労務管理というと「まずはタイムカード」となりがちですが、これでは労務管理はできません。運送会社の経営者はこう答えます。

「そうなんですよ。わかっていますね!」

しかし田切さん自身が解決策を持っているわけではありません。そこで社労士の先生を招いて経営者と共に勉強会を行って課題解決を図ります。

さらに会社は、労務以外にも、会計・法律など様々な問題を抱えています。そのたびに田切さんは司法書士・会計士・弁護士などを招き勉強会を行います。
経営者は自社の懸案課題が解決できて助かりますし、士業の先生も田切さんが顧客を紹介してくれるので助かっています。この時点でも田切さんは保険の話は一切しません。

そのうち経営者と田切社長との間で、こんな会話が始まります。

「田切さんは保険屋さんですよね。当社はこんな保険に入っているんですけど…」
「この状況なら、こっちの保険商品がいいですよ」

田切さんは、その会社の課題や経営状況を熟知しているので、その会社に最適な保険もわかるわけです。しかしこの段階でも保険は勧めません。

「ご担当の保険代理店さんに、商品を変更するようにお願いするといいですよ」

ここでほとんどの経営者はこのように答えます。

「田切さんの会社も、この保険を扱っているんですよね」
「ええ、そうですよ」
「また田切さんに確認するのも手間ですから、…エイプスさんに保険を切り替えます」

生保代理店はどこも同じ保険商品を同じ価格で扱っています。だからこそ自分の課題を充分に理解して、自分に最適な商品を選んで提案してくれる生保代理店の方がいい。
考えてみれば、当たり前のことですよね。

どこも同じ商品を扱う生保代理店だからこそ、お客さまの課題理解が出発点なのです。

 

他業界の事例を紹介しましょう。
講演である県に出張したときのお話です。そこで会った教材販売業のお客様に会いました。

教材販売業の特徴も、生保代理店に似ています。

・商品は、どこも同じ
・顧客は小中学校(お金はそれほどない)
・立地条件はどこも同じ

だからいかに差別化するかがポイントになります。

この会社は、この県で粘土細工教材のシェアが実に90%だそうです。独占ですよね。同業他社も同じ商品を扱えるのに、なぜシェア90%なのでしょうか?

秘密は、粘土工作授業の手引き書を販売していることです。
小中学校の先生方の悩みは、超多忙なことです。課外指導があったりして、翌日の授業の準備がいつも大変です。そのため、慢性的な残業が発生しています。
校長先生の悩みは、「なんとか先生方の残業を減らせないか?」
粘土工作授業の手引き書があれば、授業準備の負担は大きく減らせます。

「事前準備しなくていい?それに決めた!」

ということになるわけです。

 

共通するのは、「お客様が買う理由を作っていること」。

これに尽きます。

その際に重要なのは、ターゲットとするお客様のお悩みです。

 

たとえ同じ商品を扱っていても強い商品力が宿るのは、ターゲットのお客様のお悩みを徹底的に考え抜いた結果なのです。

 

 

 

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「あなたか」書店大展開が始まりました

8月8日(火)に出版した『「あなた」という商品を高く売る方法』(あなたか)ですが、…

 

早くも、書店大展開が始まっています。

8月9日(水)〜10日(木)の2日間、NHK出版で本書を一緒に作った担当編集の久保田さんとともに、都内20店舗以上の書店様ツアーを敢行しました。このうちネット掲載OKの書店様の様子を紹介します。

なお下記の「記念セミナー」とは、販促協力書店様限定の発売記念セミナーのことです。本書をベースに、著者の私より「自分の商品づくりの方法」をお話しし、ワークショップも行います。(記念セミナー協力店で買った本には、参加無料の講演案内が挟まっています)

 

■三省堂書店神保町本店様

1階新刊コーナーにて「あなたか」と参考文献の「さあ、才能に目覚めよう ストレングスファインダー2.0」、さらに「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」(「これいったい」)と記念セミナーとセットという鉄壁のご展開。書店員さんは本書納品日に読んで、早速「さあ、才能に…」とセットにしたとのこと。流石です。新書フロアでも展開いただいています。

 

■三省堂書店・有楽町店様

2階新書新刊コーナーで、「あなたか」と「これいったい」をセットで大展開いただいています。

 

■ブックファースト新宿店様

「あなたか」と「これいったい」を一緒に大展開。ここ以外にも店内二箇所で展開。
記念セミナーご案内付きです。

 

■虎ノ門書房・田町店様

「あなたか」と「これいったい」をセットで、店内2箇所で展開していだだいてます。記念セミナー案内付き。書店員さんによると「あなたか」に合わせて「これいったい」のPOPも復活していただいたそうです。思えば学生時代、三田に来るたびにお世話になった書店さんです。

 

■紀伊国屋書店・新宿本店様

「あなたか」を店内で合計3箇所展開。商品在庫もたっぷり用意しておられるとのことです。記念セミナー案内付きです。

 

■ジュンク堂・池袋店様

「あなたか」を1階の話題の新書コーナー1箇所、3階の新書フロア4箇所でPOP付き展開中。記念セミナーご案内付き。書店員さんも熱いのは、さすがジュンク堂さんですね!

 

■丸善丸の内本店OAZO

「あなたか」を、1階の目立つ「話題の書コーナー」1箇所、3階の新書フロア3箇所で展開中。書店員さんによると、よく流れているとのこと。丸善本店様では、これまで「これいったい」や、コーラ本なども沢山売ってくださっています。有り難いですね。

 

■三省堂書店・東京駅一番街店様

店は小ぶりですが、ビジネスマンが多い東京駅でお客様の流れがとてもよく、抜群の販売力がある書店様です。「あなたか」を多面展開中。記念セミナー案内付き。
ご依頼いただいて、恥ずかしながら手書きPOPも書きました。「これいったい」の大型パネルも置いてくださってます。
尽力いただいているスーパー書店員・岩本様に感謝です!

 

上記の店以外でも記念セミナー協力店がありますので、是非お店でチェックしてみてください。

 

 

 

 

新著『「あなた」という商品を高く売る方法』

本日、新著『「あなた」という商品を高く売る方法 -キャリア戦略をマーケティングから考える』を出版します。

 

会社員の方々とお話しすると、こんなことでお悩みの方が多いことを実感します。

「日々の仕事が忙しくて、将来のことを具体的に考えられない」
「同期の彼は昇進して活躍している。正直、あせっている」
「仕事でなかなか芽が出ない。このまま仕事を続けていていいのか、将来が不安だ」

しかし、「では、どのような戦略を考えていますか?」とお伺いすると、答えられない人が多いのも現実です。
自分のキャリア戦略を持っている方は、少ないのです。

ビジネスパーソンは「自分という商品づくり」を考えることが必要です。
ほんの20年前までは会社が自分のキャリアの面倒をみてくれましたが、いまや自分のキャリアを会社任せにできない時代だからです。

ここで役立つのが、マーケティング戦略の考え方です。

商品づくりで必要なのは、「顧客にどれだけ必要とされるか」
キャリアづくりで必要なのも、「他人からどれだけ必要とされるか」

「商品づくり」と「自分のキャリアづくり」の基本は、同じです。
あなたのキャリアは、「あなたという商品」の価値を必要とする人が、高く買ってくれることで決まるのです。だから「あなたという商品」の価値を高める戦略が必要なのです。

 

たとえば、「自分の商品価値を高めるには、戦い続けて勝つことが必要だ」と考える人がいますが、M・E・ポーターの「競争戦略理論」では、これは間違いです。

企業は、完全競争の状況では儲かりません。差別化できず価格勝負にならざるを得ないからです。ライバルがいない完全独占になれば値下げは不要になり、高収益になります。つまり「戦いを避ければ収益性が高まる」のです。

個人も同じです。他と競争している状況は、代替があるということですから、評価も低くなりがち。だから目指すべきは、「ライバルと戦い続ける」状態でなく、「誰もやっていない」状態です。

本書では、『「あなた」という商品を高く売る方法』を、マーケティング戦略をまったく知らない人でもよくわかるように、身近な企業や個人の事例を紹介しながら、わかりやすく10ステップでマーケティング理論で裏付けつつ解説しています。

第1章 「競争しない」ための戦略 (競争戦略論)
第2章 AIに仕事を奪われない方法 (イノベーション)
第3章 「戦わずして勝つ」のが真の戦略 (バリュープロポジション)
第4章 「あなたの強み」を育てる (強みの構造とセレンディピティ)
第5章 リスクを下げて何度も挑戦する (リアルオプション理論)
第6章 没頭すれば一流になれる (内発的動機付けとフロー理論)
第7章 あなたの物語が奇跡を生み出す (センスメイキング理論)
第8章 失敗があなたの武器になる (仮説検証とアダプト思考)
第9章 コンフォートゾーンから脱出せよ (ダイナミックケイパビリティ)
第10章 「自分のため」から「社会のため」 (ソーシャルネットワーク理論と利他的動機付け)

あなたの周りにも、「これは彼しかできない」と誰もが認める人がいるはずです。彼らはじっくりと自分という商品づくりをしてきた人たちです。

あなたも、彼らと同じように、「あなたという商品」の価値を高めることができるのです。

 

「部下に育って欲しい」と願っているマネジャーにも、お勧めです。

 

 

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女性5名が、プロレス男5名に綱引きで圧勝した理由

15年ほど前に、テレビ番組で見た光景です。
綱引きの女性チャンピオンチーム5名が、男性プロレスラー5名と勝負しました。

綱引きは、体重(≒筋肉量)が多い方が圧倒的に有利。
合計体重は、女性308Kg vs. 男性516Kg。男性チームが1.67倍でした。
では、結果は?

女性チームの圧勝でした。
男性チームたちは悔しさのあまり、再戦を申し出ました。

半年後のリベンジマッチ。
男性チームには、元大関・小錦も参加しました。
そして、結果は?

またも女性チームの圧勝でした。

こちらに、その番組の様子が掲載されています。

 

なぜこんな結果になったのでしょうか?

男性チームの平均体重は103Kg。しかし一人一人が力任せに綱を引いていました。
一方の女性チームは一瞬のズレもなく、同じタイミングで綱を引いていました。

全体で見ると、女性 308Kg vs. 男性516Kgで、女性の方がはるかに非力。
しかしタイミングが合った瞬間は、女性308Kg(5人分) vs. 男性103Kg(一人分)で、女性の方がはるかに強力。

つまり、5名の力を合わせるタイミングがピッタリだったから、女性チームは圧勝したのです。

 

「会社でのチームの仕事もまったく同じだな」と思いました。

仕事力が抜群に高いスーパービジネスマンを集めているのに、業績低迷から抜け出せない会社は、決して少なくありません。

一人一人は決してスーパービジネスマンではなくても、全員が同じ方向に向かって力を合わせるようにすることが重要です。

たとえば、

・会社の強みは何か?
・会社として、その強みを活かして価値を提供すべきターゲットのお客様は、誰か?
・その人が抱えているニーズに、いかに応えるか?

これらを一人一人がハラ落ちするまでしっかりと考えて整理し、「お客様が買う理由」を作る。
そしてその方向に向かって、一人一人が全力を尽くす。

女性チームが、タイミングをピッタリと合わせて屈強なプロレス軍団たちに圧勝したように、会社も、明確な方向に向かって社員各自が全力を出すことで、大きな力を生み出すのです。

 

 

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朝活勉強会・永井塾 第5回を行いました

本日、朝活勉強会・永井塾を行いました。

今回のテーマは『残業ゼロを実現する「朝30分の仕事術」』。
最初に、6月に出版した『残業ゼロを実現する「朝30分の仕事術」』のエッセンスを講義形式でご紹介しました。

今回も、講義の後は、フリーディスカッション。参加された皆様から、仕事の生産性を高める上で困っていること、ご自身の取り組みなどをお聞かせいただきました。

皆様のご感想です。

■様々な業種の方のお話しが聞けて有意義でした。みなさん同じところで同じ悩みを結構悩んでいらっしゃるのだな、と色々とヒントをいただきました。

■紹介いただいた本を読もうと思います。朝の時間活用、インプット時間など、日々の生活時間も工夫したいと思います。他の参加者の話も聞けるので、理解・共感ができるのはいいですね。

■生産性を高める上で、コミュニケーションの改善のヒントが得られました。時間ポートフォリオについて、まず①インプットと徹底思考の時間を取りたいのですが、積み上がっている仕事を片づけるばかりで、なかなか実現できないのが課題です。

■いろいろな立場とお仕事の話しを具体的に聞けるので、面白い。・講義だけよりもいいと思いました。

■朝の活用は得意な方だと思っていたのですが、新たな発想を学ぶことができ、参考になりました。マーケティングから離れたテーマも面白いですね。

■異業種の方々や、色々な時間の使い方を聞くことができ、今の仕事にも参考にしたいことが多々ありました。朝活勉強会は初参加でしたが、今日のテーマが身近な内容だったことあり、楽しく意見交換できました。

■個人の生産性向上、組織の生産性向上を通じて、社会に貢献し、自分のプライベートを豊かにしたい。

皆様、有り難うございました。

 

第6回目は、8月2日(水) 7:20AMから行います。

次回のテーマは、『ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益』

 

詳細はメルマガでご案内しています。

 

 

ミスター・ビーンに、仮説検証のあるべき姿があった

「仮説検証」という言葉はかなり広まってきましたが、一方でこんな質問も少なくありません。

「仮説検証の大切さは、よく理解しています。でもどのように検証すればいいのでしょうか?」

こんな時、「では、どんな仮説を持っておられますか?」と伺うとこんなお答えが多いのです。

「これだけ売れればいいな、というのはありますけど」

売上目標は願望であり、仮説ではありません。

本来の仮説とは、目標を実現する上で想定される状況と、その状況毎の対応策をセットにしたものです。そして結果を検証したら、予め考えておいた対応策を即座に実施することが必要です。現代のビジネスは時間勝負。このように仮説検証を回すことでビジネスのスピードが上がるのです。

でも、これだけだとちょっとわかりにくいですよね。

 

先日、コメディ映画「ミスター・ビーン」を見ていて、「これぞ、まさに仮説検証のあるべき姿!」という場面がありました。ちなみに見たのはこの映画です。

英国から米国に出張するビーンを、米国のホストが自宅に泊めることになりました。

ホストの自宅に到着したビーンは、どう見ても挙動不審人物。その様子をニコニコと笑顔で見ていた奥さんは、ホストである夫に「ちょっとあなた、キッチンでお話しがあるの」と呼び出し、強い口調でこのように言います。

「はっきり言って、不気味な火星人の方が彼よりもずっとマシよ。彼が家にいるのなんて、ゼッタイ反対。ホテルに泊まってもらってね」

「わ、わかった。そうする」

ホストの彼はその場で約束しますが、その後、仕事先に彼を連れて行くとトラブル続き。ホテル探しする時間もなく、ビーンを連れて帰宅します。

早速、妻がたずねます。

「あなた、ビーンさんは?」

「いや、実は時間がなくて、ホテルが探せなくって……」

ここで奥さんは、息子と娘に大声でこのように言います。

「プランBよ!」

3人は即座にまとめておいた荷物を持って家を出て、奥さんの実家に向かいました。

奥さんは、見事に仮説検証を実践していることがわかります。

1.事前に仮説を立てておく。
仮説A「夫は、ビーンをホテルに泊める」
仮説B「夫は、ビーンを連れて帰ってくる」

2.それぞれの仮説に対して、対応策を考える。
プランA「ビーンはホテルへ→普段の生活に戻るので、一安心」
プランB「ビーンが帰ってくる→実家に帰る(荷物をまとめておく)」

3.予め1と2を関係者(子供達、実家の両親)に周知徹底しておく。

4. 結果を検証し、即座にプランA・プランBのいずれを発動するのかを決定し、実行する
「夫はビーンを連れて帰ってきた→プランB発動」

 

このように考えると、仮説検証が回すポイントがわかります。

・まず、具体的な仮説を立てること
・それぞれの仮説に対して、具体的な対応策(プランA、プランB、…)を考えておくこと
・予め関係者に周知徹底すること
・プランを即座に発動できるように準備しておくこと
・そして結果がわかったら、躊躇なくプランを実行すること

予め策定しておいたプランと、即座の実行が伴ってこそ、はじめての仮説検証なのです。

 

 

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朝時間活用で、残業ゼロを実現する方法

「今日も残業かぁ…」

こんな経験をされている方は、多いのではないでしょうか?

 

私は海外にいるIBMの仲間たちと仕事をしていて、驚いたことがあります。彼らは普段、ほとんど残業をしないのです。

日本人の労働生産性は、低い状況が続いています。OECDの調査によると、15-64歳男性の1日あたりの総労働時間は、OECD諸国の平均が350分未満なのに対して、日本は450分でダントツトップ。また労働生産性はトップのアイルランドやルクセンブルグの半分。米国の6割。あの経済破綻の危機に見舞われているギリシャよりも低いのです。

日本人は、生産性が低いまま、長時間働き続けているのです。

 

生産性とは「成果÷時間」です。同じ成果を挙げるのに、より短い時間で済ませば、高い生産性になります。

しかし日本人は長年、仕事を「時間無制限一本勝負」だと考えていました。残業大好きな人も多いですし、頑張ること自体が目的になっている人も少なくありません。

バブル期には、こんな上司もいました。「オレは、同じ成果を出すなら、定時退社のヤツよりも、深夜まで頑張っているヤツの方を、評価するね」

今ならパワハラ上司ですが、当時はこう考える人も多かったのです。

 

いまは大きく変わっています。いまや仕事は、「時間無制限一本勝負」ではなく、「時間制限一本勝負」なのです。

そのためには、仕事の密度を濃くすることが必要です。

では、どうすればよいのでしょうか?

 

業種や職種に関係なく、現代のビジネスパーソンの仕事の多くは、知的作業になりました。知的作業は、アイデア勝負です。

たとえばエンジニアは、技術的な課題をいかに解決するアイデアが必要です。
営業は、お客様のニーズを把握し、その解決策を考えるアイデアが必要です。
アドミ系の人も、業務の効率を高めるアイデアが必要です。

よいアイデアを次々と生み出せるようになれば、生産性は大きく高まります。同じアイデアを生み出すのに、1時間かかった場合と、10分かかった場合を比べると、後者は6倍の生産性です。

難しいことのように思えますが、実は頭がフレッシュな朝時間を使えば、後者のアイデアを生み出しやすくなる状況は、意外と簡単に創り出せます。

具体的には、早朝にオフィスに出社したり、サテライトオフィスで仕事をすることで、この生産性6倍の状況を生み出せるのです。

 

しかし、中にはこういう人もいるのではないでしょうか?

「そうは言っても、自分は夜型なので、朝が苦手で…」

 

実はかく言う私は、20年前までは典型的な夜型人間でした。就寝は午前2時頃。起床は8時過ぎ。残業が多い→帰りが遅くなる→起床も遅くなる、という悪循環でした。「自分は夜型人間だ」と思い込んでいました。

しかし10年前に朝型に切り換えてみたら、最初の1週間こそちょっとキツいと感じたものの、慣れてしまえば快適だったのです。実は最初のキツいと感じた1週間は、海外旅行の時差ボケのような状態だったのです。

自分が朝型か夜型かは、自分では意外とわからないものです。実際には先入観で決めつけていることも少なくありません。

 

朝型に切り換えるには、ちょっとした工夫が必要です。

まず、早く退社すること。
そして早く寝ること。
こうすることで、早く起床し、早朝時間を活用できるようになります。

 

さらに朝時間に6倍の生産性を生み出すためにも、ちょっとした工夫が必要です。

実は、データ入力のような定型業務は、どんなに頑張っても6倍にはなりません。朝時間に集中的に行うべきなのは、アイデアを考える作業です。そのためには、前日の午後からアイデアを仕込むための準備が必要になります。

 

6月15日に出版する『残業ゼロを実現する「朝30分の仕事術」』では、この朝シフトにより残業ゼロを実現する方法を詳しく紹介しました。

私はハードワーカーが多い日本IBMで30年仕事をしてきましたが、私は40代後半以降は残業ゼロでした。その秘密が朝時間活用。残業しない分、プライベートを充実させて、会社員時代に本も出版しました。このノウハウを本書に凝縮しています。

「生産性を高めて、残業をゼロにしたい」という方に、お役に立てば幸いです。

 

また、2017年7月5日(水)に行う朝活勉強会「永井塾」では、本書に書いた内容をご紹介し、参加された皆様と議論していく予定です。是非ご参加下さい。

 

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「忖度」が、日本企業を「集団無責任」にする

「忖度」(そんたく)という言葉。最近よく目にしますよね。
広辞苑によると「他人の心中をおしはかること。推察」とあります。
日本人は他人の考えにとても敏感です。これは私たち日本人の「資質」でもあります。

しかし私は、「忖度」は日本企業を滅ぼしかねないと思っています。

実は私たちも知らない間に忖度をして、色々なトラブルを起こしています。他人の問題ではなく、自分たちの問題なのです。

 

私のささやかな経験を2つご紹介します。

ある社会人合唱団で、事務局を担当していました。
合唱団では集合練習が必須です。毎週末、GW期間中もお盆休みも、皆で集まり練習していました。平日の仕事もあり、毎週末の練習は体力的にもきついので、「たまには休みたいなぁ」と思うこともありました。

合唱団は複数のパートで構成され、各パートにリーダーがいます。リーダーの集まりで「GW期間やお盆休みくらいは、休みませんか?」と提案したところ、リーダーの一人であるAさんが、こう言いました。

「困ります。みんな毎週やりたいと言っています」

全員が集まった会議で「毎週やりたいですか?」と挙手をお願いすると、真っ先に手を上げるAさんに続き、ぱらぱらとほぼ全員が手を上げます。

「全員が希望するのなら、毎週やりましょう」と、毎週末の練習を続けていました。

ある日、AさんからBさんにリーダーが変わりました。Bさんから、こう言われたました。

「みんな『たまには休みたいよね』って言ってますよ。Aさんからは、永井さんの方針で毎週やっていると聞きました。検討していただけないでしょうか」

(え?そんなことになっていたのか!)と驚きました。

実は私も含めた全員が、Aさんの「何としても毎週練習したい!」という強い気持ちを忖度していたのです。

 

こんなこともありました。随分前、これも仕事から離れて、写真関係のネット会議室の運営を担当していました。ある日、Cさんというシニアな方から、こう言われました。

「永井さんが会議室に投稿したあの内容、Dさんに対して失礼だ。謝罪しなさい」

(ああ、気遣いが足りなかったな)と思い、お詫びの言葉とともに、改めて投稿したところ、Cさんは再度こう言ってきました。

「永井さんは、まだわかっていない。Dさん、傷ついていますよ」

後日、Dさんと会った際に話してみると、不思議そうにこうおっしゃいました。

「はぁ?ゼンゼン気にしていないんだけど。Cさん、どうしちゃったの?」

 

2つのケースとも、他の人のことを「忖度」(そんたく)しています。
この「忖度」がいい面で出ると、「相手への気遣い」や「思いやり」になります。
しかし「忖度」が悪い面で出ると、相手に振り回されたり、振り回したりして、そもそも何をしたいのかわからなくなることもあります。

仕事でも、社内で「〇〇社長のご意向だ」「××専務のご方針だ」というかけ声でプロジェクトが進むことがよくあります。
しかし実際には社内政治に長けた人が、〇〇社長や××専務に言質を取った上で、〇〇社長や××専務のご威光を使い、Aさんのように自分に利していることも多いのです。

 

先に挙げた2つのケースは、身近でささやかなものです。

一方で最近の日本の組織では、大きな問題が起こり、なかなか解決できないケースが増えてきました。一時期のシャープの経営危機、東芝の問題、福島第一原発の問題…。

どの問題も不思議と共通するのは、「誰が問題の責任者なのかが、よくわからない」という点。組織の中で「忖度」を続け、責任から逃れ続けることで、誰が責任者なのかわからないまま、モノゴトが進んでしまったことも、大きな要因だと思います。

 

「忖度」の問題は、自分が主語になっていないことです。

「私はこう考えている。だからやる」ではなく、
「〇〇さんがこう言っている。だからやる」となっているのです。

 

「〇〇さんがこう言っている。だからやる」というのは、一見、気遣いがある美しい言葉ですが、実は無責任です。もし間違っていても、自分で責任を取らずに済むからです。

「私はこう考えている。だからやる」というのは、一見すると自己中心的で身勝手な言葉ですが、実は責任を伴います。もし間違っていたら、自分の責任が問われます。

「集団責任」という美しい言葉は、容易に「集団責任」になります。
「〇〇さんが言っている。だからやろう」と思っている瞬間に、思考が停止し、他人にコントロールされているのです。

忖度して何も自分で決められないのが、今の日本です。
どこか戦前の日本と似た、危うい感じがします。

まず、あなたは、どうしたいか?
その上で、他の人のことを、どう考えるか?

すべてはそこから始まるのです。

 

 

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いい習慣をつけ、人生を変える方法

小さなことでも、継続することで、大きな成果になります。
だからいい習慣を身につけると、あなたの人生は必ず変わってきます。

しかしいい習慣を身につけるのは、なかなか難しいことです。
「これをやるぞ!」と思っても、つい三日坊主になりがちです。

実は人間の脳は、そもそもそういう構造になっています。

予防医学者の石川善樹さんが、ハーバードビジネスレビュー2017年2月号に寄稿した記事で、習慣について述べています・
石川さんによると、脳はこのような三層構造になっています。(記事の図を若干変更して引用します)

「明日から〇〇〇を始めるぞ」と考えるのは、一番外側の脳(大脳新皮質)。ここは大きな変化を好みます。
この指令がそのまま一番内側の脳(大脳基底核)に届けば、バッチリと日々の習慣として身につくわけですが、残念ながらそうなりません。

感情を司る中間部分の脳(大脳辺縁系)が、「変化=恐怖」と判断して、大脳の指令を弾いてしまい、一番内側の脳に届かないからです。これは危険から身を守る人間の本能でもあるのですね。

小さな変化であれば、中間部分の脳は恐怖と見なさず、一番内側の脳に届いて習慣になります。しかし一番外側の脳は大きな変化を好むので満足しません。ジレンマですね。

 

そこで石川さんが提唱するのが、「小さな問い」。小さな目標を立て、それを達成するためにはどうすればよいかという「小さな問い」を立てて、小さな行動に繋げます。

たとえば私は、元々は朝型人間ではありませんでしたが、今は朝早く起きて仕事をするのが習慣になっています。
これも「小さな問い」がきっかけです。

私の場合の「小さな問い」は、「満員電車に乗りたくない。どうすればいいか?」

会社員時代は、首都圏でも最も混雑する田園都市線での通勤でした。ラッシュ時には殺人的な混雑。しかもよくトラブルで遅れることもあり、満員電車の中で数時間我慢することもしばしばでした。この「小さな問い」の自分なりの答えが、「早朝出勤」だったのです。2時間早く出勤するだけで、座って出勤できるようになりました。一度これを体験すると、二度と満員電車の乗ろうとは思わなくなりました。

そして早朝出勤が習慣化しました。
さらに早朝出勤すると、実は仕事が速く進みます。おかげで残業ゼロになりました。さらに本の執筆や、社外の人たちとの朝活も行えるようになりました。

これも「満員電車に乗りたくない」という小さな問いがきっかけだったのです。
もし「早朝出勤しよう」ということだけを目的にしていたら、おそらく習慣化できなかったかもしれません。
自分なりの「小さな問い」と「小さな行動」から始めることで、いい習慣を身につけて、人生を変えることができるはずです。

 

最後に宣伝です。

6月15日に『残業ゼロを実現する「朝30分で片づける」仕事術』という文庫本を出版します。6年前に書いた「残業3時間を朝30分で片づける仕事術」を、最近の「働き方改革」などの動きも取り入れて、大きく書き直したものです。

「働き方改革」は、一人でも始められます。

「残業ゼロを実現したい」と思う人にはお役に立てる本かと思います。

 

 

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弱みを克服するか?強みを強化すべきか?

私たちは学校で、苦手科目をなくすように教えられてきました。

数学が苦手だったら、「数学を頑張りましょう」
英語が苦手だったら、「英語を強化しましょう」
あるいは協調性がなければ、「みんなと仲良くなるようにしましょう」

こんな感じでしょうか?

私たちは苦手を克服するために、多大な努力を払っています。

それは社会人になっても続けていることが多いように思います。

しかし、これは本当に正しいことなのでしょうか?

 

たとえば私は、運動神経がよくありません。私がどんなに頑張って野球を練習しても、草野球で人並みにプレーするだけでも、恐らく難しいでしょう。

同様に、多くの人が弱みの改善に多大な労力をかけていますが、多くの場合、人並みになる程度です。

しかし一方で、あなたの強みは、あなたにとっては当たり前でも、普通の人はなかなか真似できません。

もし同じ労力をかけて能力を2倍にするなら、集中すべきは苦手なことの改善ではなく、自分の強みの才能をより伸ばして、ダントツの強みに育てることなのかもしれません。

企業でも同様です。

企業の弱みを強化しても、せいぜいが他社並になる程度です。しかしそれなら、他社のものを持ってきた方が早いはず。

むしろ自分たちの強みを見極め、そして磨き上げて、ダントツのものに仕上げていくことが大事なのです。

 

 

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東京マラソン挑戦を止めたのは「目的と目標の矛盾」だった

とても熱心にジョギングを続けている友人がいました。
彼は「東京マラソンで4時間を切る」と公言し、毎月200Kmのノルマを1年間継続していました。

その彼が急に、「マラソン挑戦は止めた」と言い始めました。体調が悪くなったのかと心配しましたが、いたって健康です。相変わらずジョギングも続けていますが、ホドホドに留めているようです。そんな彼と話す機会がありました。

「『4時間切る』と言っていたのに、なんでまた?」
「きっかけがあってさ。目標を変えたんだよ」

彼が見せてくれたのが、ある雑誌記事。こんなことが書いていました。

・マラソンでは、「長い距離を走ると自信に繋がる」と、体調不良でも頑張り勝ちだ
・しかし「あと少し」と頑張りすぎて心臓に負担がかかり、マラソン大会で死亡するケースもある
・米国の研究で1週間48Km以上走る人は、それ以下しか走らない人と比べ、心臓病のリスクが上がる
・ジョギングは生活習慣病改善にはよい。しかし中高年になって始めたマラソンには、リスクもある

「確かに200Km走るようになって肌の張りがなくなってきたんだよね。距離を半分にしたら元に戻った。『過ぎたるは及ばざるがごとし』っていうし、何ごともやり過ぎずホドホドがいいのかもしれない。余裕でフルマラソンを走れる人はいいんだろうけど、自分にはちょっとムリな目標だったんだろうね」

毎年申し込んでいた東京マラソンもやめて、マイペースでジョギングをする日々だそうです。

 

話を聞いて、なるほどと思いました。

彼は『東京マラソン4時間完走』を目標にジョギングを続けていました。
しかしそもそも彼がジョギングを始めた目的は、『年齢を重ねても、現役で仕事を続ける体力をつけること』でした。
彼の場合はこの目的と「フルマラソン4時間完走」という目標は、実は矛盾していたことに気がついたということですね。

一方で東京マラソンに向けて熱心に挑戦を続けている友人たちもいます。人はそれぞれです。彼らは彼らの目的と目標があるわけで、応援したいと思います。

その目的は、正しいか?
その目標は、その目的を実現するために、正しいか?

友人の話を聞いて、これはビジネスでも常に考えなければいけない、と改めて思いました。

 

 

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「永井ゼミ」第3回を行いました

今朝、東新橋で、朝活勉強会「永井マーケティング戦略ゼミナール」(永井ゼミ)の第3回を行いました。

今回は、『「あなたの強み」を考えるフレームワーク』というテーマで、20分の講義と40分の議論を行いました。

今回も参加された皆様同士で議論しました。実際に仕事の現場で尽力されている皆様のお取り組みを共有でき、私自身もとても勉強になりました。

以下、皆様からいただいたアンケートからの抜粋です。

■とても有意義な時間だった。キャリアを考える際のポイント・指針として参考になった。仕事・プライベートで強み・弱みをどうやって克服・活用するか考えたい。もっと参加者のご意見やアドバイスも聞ければと思った。

■知らないことを学んだり、いろいろな方のご意見が聞けて参考になる。

■嫌な仕事であっても自分の才能に照らして取り組めば、仕事が楽しくなり、好きになるという気づきを得ました。部下との対話でも、本人の気づいていない才能を教えてあげることで、好きになる可能性があると思いました。

■自分の将来を考える上で、まさに今後の導きが得られました。皆さんが常々考えていることを聞くことができ、刺激になります。

■今やっている仕事、そして転職先での仕事で、まず自分の資質をどう活かすか、考えて成果を出すのに役立つと思った。永井さんが理論をわかりやすく説明し、それをベースに出席者が思うところを率直に話し合って、気づきを得るという、理想的な勉強会だと思う。

■楽しかった。ワクワクドキドキした。

■強みを見つけるフレームワーク、活用してみます!

■自分の強み、弱みを考えて、深掘りしようと考えていたタイミングだったので、良かったです。

■思いがけずに「100円コーラ」誕生秘話や出版にかける思いをうかがえました。

参加された皆様、有り難うございました。

 

次回のテーマは、「それって、「商品」開発?「顧客」開発?」です。

ところで毎回、第一月曜日に行ってきましたが、参加された皆様にお伺いすると、半数以上の方が、第一月曜日はご都合が悪いと言うことがわかりました。(ご都合が悪い中にも関わらず参加いただいた皆様に感謝です!)

そこで今後、開催日を見直したいと思います。

詳しくは、明日のメルマガでご案内します。

客がほとんど来ない寂れた薬局が、なぜ儲かる?

先日、健康診断をした病院で、「念のため」と薬をいただいた時のこと。

病院で処方箋をいただき、地図を頼りにその薬局に向かいました。

道を歩いていたら、その薬局の看板がありましたが、そこは普通のマンション。指示通りマンション1階のロビーを通過すると、そこはなんとマンションの庭。その庭に薬局の入口がありました。

普通なら数名いる薬剤師も、ここは初老の男性1人だけ。店に入るとラジオが流れています。

この薬局は、普通の調剤薬局と比べると面積は1/5程度。とても狭い店内です。
普通の薬局には栄養ドリンクだけで10種類以上あったりしますが、ここは湿布が一種類、栄養ドリンクも見当たらず、置いている薬も数えるほど。
普通の薬局で壁一面にある広告もありません。
薬局によくあるIT機器もありません。

とても寂れています。
普通の調剤薬局なら薬剤師数名が忙しそうに働いているものですが、この薬局で一人だけいる薬剤師はノンビリとラジオを聴いているし、失礼ながら、商売のやる気がほとんど感じられません。
この薬局、儲かっているのでしょうか?

 

しかし近所の方に話しを伺って、驚きました。この薬局は、既に20年くらい営業しており、店の様子も最初の頃からほとんど変わっていないそうです。

「なんで続いているんだろう」

そこで考えました。

「この薬局、もしかしたら、意外と儲かっているのではないだろうか?」

 

まずこの薬局には一見客は来ません。入りにくい感じからすると、むしろ排除しているようにすら感じます。

実は私は、病院で処方箋をいただいた時に、「この薬はこちらの薬局しかありませんから」と言われてこの薬局にやってきました。

つまりこの薬局は、近所の病院で処方箋を出された患者さんだけを相手にしていて、その病院で必要な薬だけを用意しています。種類は絞られますし、量も限られるので、薬の在庫は最低限で間に合います。一見の一般消費者を排除しているので、湿布も最低限の1種類だけ。来店した時点で買う薬が決まっているので、店内の広告も不要です。

意外なことに、この薬局では薬がすぐに出てきます。一般の調剤薬局では薬が出てくるまで待たされることが多いことを考えると、大きな違いです。この薬局では、限られた薬剤の在庫情報は、恐らくこの初老の薬剤師さんの頭の中にすべて入っているのでしょう。だからすぐに用意できるし、待たせません。

つまりこの薬局は、一般消費者は完全に切り捨てた上で、近くの病院の患者さんだけを固定客として掴まえているのです。

仮にこの薬局と一般の調剤薬局のコストが面積比に比例していると考えると、この薬局のコストは通常の調剤薬局の1/5程度。

だからこの規模で経営できるのです。

 

もしこの薬局が一般消費者を切り捨てずに、対応しようとすると、どうなるでしょうか?

まず薬剤の品揃えを増やす必要があります。そのためには店舗を大きくし、薬剤師も増員する必要があります。

薬剤師を増やすには、薬剤師のスキルレベルは様々なので、まず薬剤の在庫情報をITで管理して、薬剤の効能もわかるようにして、病院の指示書に従って調剤し、ITで薬の情報を検索して精算できるようにする必要もあるでしょう。

在庫費用、店の賃料、人件費、IT化投資、あらゆる費用が大幅アップです。この費用に見合った売上が必要です。

売上拡大を目指してお客さんを一般消費者に広げた途端に、経営は変わり、普通の薬局と競争しなければならなくなります。

 

ノンビリとラジオを聴いているこの寂れた薬局の初老の薬剤師は、実はかなりしたたかな戦略家なのではないかと思いました。

 

 

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再び朝活を始めた理由

3月から朝活勉強会「永井マーケティング戦略ゼミナール」(略称:永井ゼミ)を行っています。
これまで2回行ってきました。メルマガでご案内の通り、第3回目を5月8日に行います。

朝活勉強会を主宰するのは4年振りで、「朝カフェ次世代研究会」以来ですが、いつも感じるのは「早朝から行う勉強会はとても生産性が高い」ということです。

夜の勉強会では、「仕事が終わらなくて…」と遅刻する人がよくおられますが、早朝の勉強会では間に合うかどうかは自分次第。たいへん有り難いことに、これまで朝活をやってきて遅刻する人はおられません。どなたも真面目に参加していただいています。

議論も活発です。永井ゼミでは講義時間を短めにして、議論を中心に進めていますが、様々な業界の方々が参加しているので、ご自身の仕事の経験を共有していただくことで、まったく違う業界の参加者から「とても参考になる」という意見を多くいただいています。

ある業界では当たり前のことが、別の業界ではとても斬新に見えるということは、色々な業界の企業をご支援していて、私自身もよく実感します。

さらに早朝の脳は、フレッシュで活性化されていて、議論の知的生産性も高いのです。

 

政府が主導している「働き方改革」は、これまで長時間勤務是正や同一労働統一賃金を中心に議論されてきました。次の段階は、仕事の生産性そのものを考えていくことが必要です。

しかし勤務先が会社の方針として「働き方改革」に取り組むのを待たなくても、個人でできる「働き方改革」があります。

その一つの方法が、朝時間活用です。

「朝は奇跡を起こす」という言葉は、4年前まで朝活「朝カフェ次世代研究会」を一緒にやってきたe-Janネットワークス社長・坂本さんの言葉ですが、「永井ゼミ」を始めてから、改めて実感している次第です。

 

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会社員時代、ほとんど残業しなかった理由

私は日本IBMに勤務していた会社員時代、40代前半までは「いやぁ、ゆうべは夜12時過ぎまで会社で仕事をしていてさぁ…」というような、典型的な残業自慢をするタイプでした。

しかし40代後半になって大きく変わり、残業ゼロになりました。

当時の私は仕事も責任範囲も増える一方でしたが、残業ゼロで乗り切れた理由は、早朝に行う仕事が、疲れた頭で夜に残業するのと比べると、6倍の生産性だったことがわかったからです。朝シフトを始めた40代中頃以降、仕事の生産性は大きく向上しました。

こんな私の体験を耳にされた中経出版さんとのご縁で、6年前に「残業3時間を朝30分で片づける仕事術」という本を書きました。

「100円のコーラを1000円で売る方法」を出版する半年前のことでした。

 

当時は5:00AM起床。家を5:50AMに出て、毎朝7:00に出社していました。殺人的に混雑している満員電車は避け、電車にゆっくり座りたいために早朝出社していたのですが、実は朝の仕事の効率はとてもよかったのです。

 

 

その後、2013年7月に日本IBMを退職して独立。会社への電車通勤はなくなりましたが、相変わらず私は早朝から仕事をしています。

仕事内容は会社員時代とはだいぶ変わりました。会社員時代は、事業戦略や人材育成戦略の策定、チームによる戦略の実践と進捗管理、さらにマネージャーとしてチームのマネジメントが主な仕事でした。独立後は、文章を書いたり、講演準備と講演、さらに自分の会社のマネジメントが主な仕事になりました。アイデアを出す比率は、独立後の方がやや増えている感じです。

このアイデアを出す仕事は、まさに生産性が6倍の早朝から昼にかけて行うのが最適なのです。

 

世の中は、6年前に本書を出した頃からだいぶ変わりました。
6年前は、残業削減に取り組む企業は、トリンプや無印良品など、数える程でした。「仕事は時間をかけて行うものだ」という考え方が世の常識で、「私、残業しない主義です」というと「ちょっと変わったヤツだな」という感じで見られました。

しかし今や政府主導で進めている「働き方改革」では、長時間労働是正に大きな焦点が当たっています。伊藤忠、SCSK、日本電産など、全社をあげて本格的に残業削減に取り組む企業も増えてきました。残業しないことは世の中で評価されつつあるように感じます。

日本人は過労死が社会問題になるほど働いているのに、世界全体で見ると、労働生産性はOECD加盟諸国35ヶ国中22番目です。この数十年間、ずっと下位に甘んじています。少子高齢化で働き手が減っていく日本では、「仕事は時間をかけて行うもの」という常識を乗り越え、残業ゼロを実現して生産性向上を図ることが急務です。

 

残業ゼロを実現し、ビジネスパーソンの生産性向上を実現する朝シフトは、ますます世の中で求められてきているように感じています。

 

 

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走りながら、考えよう

「彼は、走りながら考えているからね」

かつては、この言葉はいい意味では使われませんでした。

しっかりとチームでコンセンサス作りに時間をかけて、問題点と解決策を合意した上で、動くことが大切でした。だから、

「…もっと、ちゃんと考えればいいのに」
「…もっと、周りと話し合ってから動けばいいのに」

そのように見られることが多かったですし、実際に走りながら考えて仕事を進める人は、なかなか成果を出せずに消耗することが多かったのです。

 

しかし最近は、違ってきました。
簡単に言えば、「スピード命」の時代になったからです。世の中の変化が激しくなり、コンセンサス作りに時間をかけて合意しても、その時点で状況が変わってしまっていることが多くなったのです。だから、

「彼は、走りながら考えているからね。行動力があるよね」
「…動いた結果で最初の考えを変えるのも厭わない。柔軟だよね」

こんな意味で使われることが多くなりましたし、実際にそういう人は成果を挙げることも多いのです。

 

本コラムで提唱している「お客様が買う理由」も、そうです。

「自分たちの強みは何か?」
「その強みを必要としているお客様は、誰か?」
「そのお客様は、何を必要としているか?」
「お客様が私たちを選ぶためには、どうすればいいのか?」

これを考えることは大切です。しかし「お客様が買う理由」を考えるのに時間を使い過ぎて何も動かないのは、本末転倒です。

その理由は、シンプルです。最初から完璧な戦略を作ることはできないからです。

だから、まずは大まかに仮説を考えた上で、すぐに動いてみる。
そしてその結果をもとに、また考えてみる。
最初に考えた「お客様が買う理由」も、柔軟に修正していく。

「仮説を立てた後は、走りながら考え、戦略を修正していく」ことが大切なのです。

 

 

 

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シェアは狙うな。スウィートスポットを狙え

「御社のお客様は、誰ですか?」とお伺いすると、こんな答えをいただくことがあります。

「世の中の人、全てですよ」
「当社の商品を買う人が、お客様です」
「うっ。…考えたこともありません…」

このパターンで本当に売れるでしょうか?いくつか事例を見ていきたいと思います。

■セグウェイ

2001年、鳴り物入りで登場しました。立ったまま自由に移動できる画期的な乗り物です。スティーブ・ジョブス、ジェフ・ペゾス、ビル・ゲイツといった錚々たる経営者がこぞって「人間の移動形態を変える革命的な製品だ!」と賞賛しました。

ターゲットは「世界中のすべての歩行者」。
米国で100万人に販売した後に、世界進出も予定されていました。

結果は? 3年間の販売は、6000台でした。

価格は60万円。この価格帯の商品を購入できる裕福な米国人は、健康維持のためにむしろ日々のウォーキングやジョギングを重視していたのです。

 

■コダック フォトCD

1990年、コダックがフォトCDというサービスを始めました。

ターゲットは、一般消費者。
デジタル写真時代を先取りし、写真フィルムから高解像度の画像データを読み取り、CDで提供してくれます。画像をテレビで見ることもできます。

かく言う私も、当時、自分の写真作品をフォトCDにしてもらいましたが、25年後の現代でも通用するような素晴らしい高解像度データで、とても驚いたことをよく憶えています。

結果は? 普及しませんでした。

当時の一般消費者にとっては、あまりにも高解像度だったのです。むしろプロフェッショナルな写真家に受け容れられました。さらに当時は、前提となるCD-ROMドライブはまだまだ高価。加えて、当初は高価だったスキャナーが急速に低価格化し、フォトCDを代替していったのです。

 

■身近でありがちな事例

同じような話は身近にもあります。
私は様々な企業から、「この商品企画書に意見を下さい」と言われて拝見する機会がよくあります。

多くの場合、商品仕様については子細に書かれています。商品企画書なので、これはこれで大切なことです。
一方で顧客に関しては、「市場規模は〇〇〇億円。このうちシェア5%を獲得して、売上〇〇億円を目指します」としか書かれていないことがとても多いのです。

このパターンは、セグウェイやフォトCD同様、顧客ニーズが把握できておらず、多くの場合、売れずに失敗します。。

 

共通するのは市場を大きく捉え、「大きい市場から、シェアxx%を獲得しよう」と考えていること。

しかしこの方法ではニーズを絞り込めていないので、ごく一部の人たちがたまたま買うだけで終わることも多いのです。

 

本来必要なのは、潜在的なニーズを捉えること。事例をご紹介します。

■ある樹脂メーカーの事例

この樹脂メーカーの取引先は、塗料メーカーでした。そこで「環境に優しい塗料なら売れるはず」と考えて、環境性能が高い樹脂で塗料を発売しましたが、売れませんでした。

そこでこの樹脂メーカーは、塗料の最終ユーザーである塗装業者の実態調査をしました。

わかったことがありました。塗装業者のコストのほとんどが人件費であり、塗料はコスト全体のうちわずか15%だったのです。そこで「人件費を削減できる塗料を提供すれば、売れるはず」と考えました。

そこで、速乾燥で1日で二度塗りでき、かつ環境にも優しい塗料を発売したところ、価格が1.4倍なのにも関わらず、飛ぶように売れました。

塗装業者にとって、より短い時間で塗装が完了する塗料は、まさに「喜んで買いたい商品」だったのです。

 

市場の中で、「買うかもしれない」潜在的ニーズを持っている人は、一部の人たちです。

そこでそのような人たちを絞り込み、「お客様が買う理由」を提供し、「喜んで買うお客様」に変えていくことが必要なのです。

 

テニスやバトミントンのラケットは、一見広く見えますが、実際には反発力が高い部分は中心のごく一部です。ここを「スウィートスポット」と呼びます。

新商品を立ち上げる際にも必要なのも、広さを狙った「規模」ではなく、確実に買う「お客様」

狙うべきは、「シェア」ではありません。
狙うべきは、「スウィートスポット」なのです。

 

 

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市場縮小やコモディティ化は、大きなチャンスである

企業の方々とお話ししていると、このようにおっしゃる方が実に多いことを実感します。

「ウチの市場は縮小しているんですよ」
「ウチの商品はコモディティ化しているし」
「だから、ダメなんですよね…」

確かに市場がグングンと成長し、強力な自社商品が放っておいても飛ぶように売れる状況であれば、こんな悩みは簡単に解決できそうですが、そんな状況は、どんなに待っていても起こりません。

実は、市場が縮小したりコモディティ化している状況は、見方を変えれば、大きなチャンスでもあります。

 

躍進する市場も、強力な自社商品も、かつては先人たちが苦労しながら作ってきたものです。

 

たとえば、現在ビール業界首位のアサヒビールは、かつてビール業界で最下位転落直前。しかし1980年代、あのスーパードライが登場。

スーパードライの当時の責任者・松井康雄さんは、三ツ矢サイダーのマーケティングで成功した後、左遷先でスーパードライのマーケティング戦略を策定、そしてトップに直訴して本社マーケティング部・部長に抜擢され、スーパードライを成功させました。

1980年代の当時、ビール業界の常識は「消費者はビールの味がわからないし、飲み分けられない」でした。しかし実際には、消費者はビールの味を飲み分けている、という市場調査がありました。

そこで松井さんは、ターゲット顧客を明確に絞り、顧客が潜在的に望んでいた辛口ビールを開発、市場への浸透状況にあわせてターゲット顧客をシフトしつつメッセージを繰り出していきました。松井さんは、その時の様子を著書「たかがビール されどビール アサヒスーパードライ、18年目の真実」にまとめておられます。本書はまさに生きたマーケティング戦略の教科書です。

その後、スーパードライはアサヒビールを業界トップに押し上げる大ヒット商品となりました。

 

同様に、中川政七商店・社長の中川政七さんは、最近出版した著書「日本の工芸を元気にする」でこのように述べています。

・伝統工芸品の市場規模は、1983年は5400億円。2014年は1000億円。1/5に縮小している
・一方で、観光土産の市場規模は3兆6千億円で30年前から変わらない
・30年前は、食品・非食品の比率はほぼ半々だった。現在は食品が8に対し非食品は2
・3兆6千億円の半分を昔のように非食品に戻せば、それだけで1兆8千億円の市場規模
・そのうち何割かを工芸品で占めれば、工芸品の市場規模は、一気に拡大する

そして実際に、小売店「中川政七商店」を展開したり、工芸業者へのコンサルティングを行うなど、様々な取り組みを行い、成長しています。これは戦略思考です。

 

拙著「そうだ、星を売ろう」でも、宿泊客が減少する温泉郷・昼神温泉が、新たに「星を売る」という挑戦を行う様子を描いています。2016年はこの「日本一の星空ナイトツアー」に11万人が訪れ、昼神温泉の旅館・ホテルの収益力も大きく向上しました。

 

「市場縮小している。だから、ダメだ」
「商品がコモディティ化している。だから、ダメだ」

これは、主体性がある考え方とは言えません。

厳しい言い方になりますが、市場縮小・コモディティ化しているのは、その業界で長い間、新たな価値を生み出すことを怠ってきたからです。

しかし市場全体が「新たな価値が生み出されていない」ことは、見方を変えれば「ライバルも価値を創り出していない」ということです。

だからこそ市場縮小・コモディティ化は、自分たちが新たな価値を生み出し、市場で成長する大きなチャンスでもあるのです。

 

こんな状況こそ、マーケティング戦略思考でチャンスを切り拓くべきなのです。

 

 

 

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そもそも、なぜ「モノつくり」から「コトつくり」?

私の家の近所に、中川政七商店があります。一見すると工芸品というモノを売っていますが、ビジョンがあります。

「日本の工芸を元気ににして、工芸大国日本をつくる」

このビジョンのもとで、コトつくりによる物語を売っています。そして日本の様々な工芸メーカーも支援しています。

たとえば、中川政七商店がコンサルティングしている、新潟県三条市のある包丁メーカーの例です。

三条市は刃物の産地です。しかし「この包丁は、よく切れますよ!」と言って売るのは、モノつくり発想です。

この包丁メーカーは、900種類もの包丁を作っていましたが、パン切り包丁がありませんでした。
一方で家庭では、普通のパンを切る際に普通の包丁が使われています。

そこでこの包丁メーカーは「職人がつくるパンくずが出ないパン切り包丁」を作りました。下記は中川政七商店のサイトからの引用です。

「波刃ではない、」パン切り庖丁です。パンの切り口がなめらかでパンくずがほとんど出ません。柔らかいパンはつぶさずにすんなり、皮が硬いパンも、先端部の波刃できっかけをつくることでスッと切れます。刃が落ちる感じに切れ、思わず何枚も切りたくなる切れ味です!断面がボソボソとしないため、バターやジャムも塗りやすく、サンドイッチのパンの耳落としも手を添える程度で切り落とせます。

まさに、「物語で語られるコトつくり」。つい欲しくなってしまいます。

こういうコトつくり、挑戦していくのは実に楽しいことですね。

 

さて、「モノつくりから、コトつくりへ」という言葉を、よく見かけるようになりました。モノだけでは消費者が買わなくなったため、と言われていますが、なぜ「モノつくりから、コトつくり」なのでしょうか?

社会が変わってきたからです。図にするとこうなります。

 

成長期は、世の中がどんどん豊かになっていきます。
「より多く、もっと豊かに」というニーズが溢れ、需要が拡大しています。一方で供給は追いつきません。
必要なのは生産力と販売力の強化により、需要を満たすこと。「モノつくり」が重要なのです。
「この包丁は、よく切れますよ!」で、売れるのです。

かつての高度成長期の日本、2010年頃までの中国、そして現在のアジア新興国は、この状況です。

成熟期は、世の中が既に豊かになった時代です。
「より多く、もっと豊かに」というニーズは一通り満たさ、供給力はむしろ需要を上回っています。
必要なのは、新たなニーズを創り出し、「お客様が買う理由」を創り出すことです。「コトつくり」が重要なのです。
「この包丁は、よく切れますよ!」ではなく、「職人がつくるパンくずが出ないパン切り包丁」が売れるのです。

現代の日本はこの状況です。

 

こんな状況なので、昔ながらのモノつくりから変わっていない企業は、伸び悩んでいます。

成長している企業は、中川政七商店のように、価値創造・顧客開発に真剣に取り組んでいる企業なのです。

 

 

 

 

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意外と知らない「自分の強み」。そこでお勧めの本

あまりブログやメルマガで本をお勧めすることはないのですが、この本はとても参考になりましたので、ご紹介したいと思います。

「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」
(マーカス・バッキンガム&ドナルド・O・クリフトン著、日本経済新聞出版社)

企業も個人も、「強みを活かそう」とよく言われます。
企業の強みについては、コアコンピテンシーを提唱したゲイリー・ハメルや、RBVやVRIOを提唱したジェイ・B・バニーなど、様々な考え方があります。

一方で、「個人の強みとは何か」を定義したものは、意外と少ないものです。
本書では、この個人の強みについて書かれた本です。

 

本書は、「その人が一番強みを持っている分野を伸ばせば、大きな成長の可能性がある」としています。
では、「強み」とは何でしょうか?

本書では、「強み」とは「才能」であり、後天的に学習と経験で獲得できる「知識」や「技術」と区別しています。

そして「才能」は、その人の「資質」により、無意識に思考・感情・行動のパターンが繰り返されることで作られます。
つまり「才能」とは、その人の先天的な「資質」が作る、というのが本書の主張です。

ここまでの話を整理すると、

「才能(先天的な資質がベース)+知識(後天的)+技術(後天的)→ 強みが生まれる」

ということです。

そして「強みとなりうる先天的な資質を活かすことが、個人の成功に繋がる」として、個人の資質を34に分類し、「この資質を組み合わせることで、その人ならではの強みを育てるべし」と述べています。

「先天的な資質が、個人の強みを生み出す」という考え方は、なるほど、と思いました。

 

本書がさらに素晴らしいのは、巻末に袋とじ付録でついている固有のアクセスコード。これを使い、ネットで「ストレングス・ファインダー」にアクセスすると、自分の資質の上位5つを判定できます。

これが驚くほど当たります。私の場合、上位5つはこうなりました。

【1位】 学習欲 (Learner):新しいことを学ぶということが大好き。常に何かを学んでいないと落ち着かない。スキルを獲得することで、自信を強めていく。

→【私の場合】勉強好きというわけではないのですが、興味を持ったことはトコトン突き詰めて調べないと気が済まない性格ですので、かなり当たっています。特にこの20年間は、まさにマーケティングが大きなテーマになっています。

【2位】戦略性 (Strategic);他の人には複雑としてしか見えない状況の中でも、パターンを見つけて先を読み、リスクを予測し、最善の道筋を発見することができる。ヤバそうな選択肢を切り捨てる。

→【私の場合】前職のIBM社員時代に事業戦略を担当していた頃は、まさにこの強みを活かしていました。またここ数年は物語でマーケティングの本を書くことが多いのですが、実際の混沌としたビジネスの状況を、マーケティング理論で整理し、誰にでも理解できるように筋道立てて考えるのはとても好きです。これが今の「マーケティング戦略アドバイザー」としての強みの源になっており、「なるほど」と思いました。

【3位】責任感 (Responsibility):「やる」と言ったことはなんでもやり遂げようとする。筋を曲げて、言い訳や正当化したり、適当にごまかすのは問題外。それがよい評判を生んでいるが、完了するまで生きた心地がしない。一方で責任を果たしていない人がいるといらだちを感じる傾向がある。

→【私の場合】いつも「やるべきこと」を箇条書きにして、期日前に終えないと気が済まないのは、この資質のためだったのか、と納得です。ただ他人にも同じことを要求する傾向もあるので、これは気をつけないといけませんね。

【4位】内省 (Intellection):一人で考えるという行為自体が好き。自分自身に疑問を投げかけ、自分自身で回答がどうなのかを考える。

→【私の場合】アイデアをまとめるときは、ちょっとざわついたカフェに入って一人でああでもないこうでもないと考えることが多いですし、実はそんな時間が大好きですので、大いに心当たりがあります。

【5位】達成欲 (Achiever):何かを成し遂げたいという恒常的な欲求。平日も休日も、一日が終わるまでに何か具体的なことを成し遂げないと不満に感じる。何かを成し遂げると一瞬落ち着くが、また次の目標へと強制的に駆り立てられる

→【私の場合】常に「今日は何をすべきか?」「今日は何が出来たか?」を考えていますし、休みの日であっても何もしないでいるとどこか罪悪感を感じてしまうので、これも納得します。

ということで、怖いほど当たっていました。現在の仕事がまさにこれらの資質を活かしたものになっているのは、長い人生を通じてあれこれと壁にぶつかりながらも試行錯誤を繰り返した必然の結果なのかもしれません。

 

この「ストレングス・ファインダー」は、パートナーを理解する上でも、とても役立ちます。
このパートナーとは、たとえば、仕事では同僚ですし、プライベートでは家族です。

パートナーとのトラブルの多くは、こんなことが発端になることが多いのではないでしょうか?

「こんなこと、当たり前なのに、なんで相手はわからないんだろう?」

しかし実際には、パートナーは別の考え方をしていることが多いものです。

 

たとえば私の場合、先の診断結果にもありますように、こう考えています。

「モノゴトを戦略的に考えるべきだ。自分で学んだり考えたりすることは楽しいことだし、目標達成に責任を持つことは、何よりも大切だ」

しかし、世の中の多くの人がそう考えるとは限りません。たとえばこう考える人がいるかもしれません。

「モノゴトは相手の気持ちをくみ取って考えるべきだ。他人に役立つことは楽しいし、人とのご縁は必ず何らかの意味があるので相手を尊重することが何よりも大切だ」

あるいは、こう考える人もいるかもしれません。

「何ごとも1番にならないと話にならないわ。そのためには手段を選んでいられない。ライバルを蹴落としてでも、トップを狙う」

新しいプロジェクトが障害にぶつかった際に、これらの価値観の違いを考えずに、対応について議論した場合、

「誰がなんと言おうと、あるべき姿に向かって進むべきだ。だから戦略的にこう考えて進めるべきなのは自明だ」

「いやいや、この際は達成するかどうかよりも、相手の顔を立てることが何よりも大事でしょ」

「なに緩いこと言っているの?戦略とか相手の顔とか関係ないでしょ。この際、手段を選ばずに1番にならなければ意味がない」

と言うように平行線の議論が続き、お互いに「なんで、こんな当たり前のことを相手は理解しないのだろう?」とストレスが溜まるのです。「自分の資質が、世の中では一般的なものだ」と考えてしまった結果、自分の価値観を押しつけてしまうのですね。

 

ここで、お互いがこの「ストレングス・ファインダー」を受けて、相手がどんな資質を持っているかを理解すれば、

「なるほど、この人は戦略的に考えているから、私のように情に流されないんだな。ここは首尾一貫させるのもいいのかもしれない」

「なるほど、この人は私よりも相手に共感する力が強いから、こう言っているんだな。確かに一理あるな」

「なるほど、この人は競争志向だから1番にならないと意味がないと考えるんだな。ここは、いかにライバルに勝つかも考える必要があるかもしれない」

と、お互いに理解できようになるのです。

このように本書は、仕事では同僚を理解し、チーム力を上げるのにも役立ちます。

 

本書を知ったきっかけは、ヤッホーブルーイング・井手直行社長の著書「よなよなエールがお世話になります」を読んだ時でした。

井手社長は社内で、ストレングスファインダーを受けた社員同士でお互いの資質を共有し、「〇〇さんは『着想』を持っているから、これを任せよう」とか、「〇〇さんは『指令性』を持っているから、彼にまとめて指示を出してもらおう」というように、社員一人一人の強みを活かした仕事を担当するようにしています。

 

本書は、家族同士がお互いの価値観をより深く理解し合うのにも役立ちます。私生活のパートナーは比較的価値観は共有しているものですが、自分と常に同じ価値観を持っているとは限りません。私自身、パートナーにこのストレングスファインダーを受けてもらい、自分と相手の価値観に違いがあることを知ったのは、大きな発見でした。

 

本書は、「みんな一人一人違う。それぞれが、それぞれの資質を持っている。その資質が強みになる」という当たり前のことを、とても具体的に教えてくれるという点で、とても役に立ちます。

相手の資質を理解することで、自分との違いを認識すれば、お互いの理解が深まるはずです。

(なおアマゾンの書評を見ると、中古の本のアクセスコードではストレングス・ファインダーは受けられないようです。ご注意下さい)

 

 

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「お客様が買う理由」は、シンプルな物語で語る

シンプルに物語を語る人がいます。

「情報革命で、人々を幸せにしたい」(ソフトバンク社長 孫正義さん)
「ミドリムシが、地球を救う」(ユーグレナ代表取締役 出雲 充さん)

シンプルに物語を語る人は、語り続け、行動し続けることで、世の中を大きく変えていきます。

なぜ物語で語ることが大切なのでしょうか?

 

物語で語ることで、周りの人たちが物語に共感し、目標に向かって突き進むめるようになります。

ビジネスでは多くの人たちが関わりますが、彼らも色々な考えを持っています。さらに現代はとても複雑です。それぞれの考えをまとめ、方向付けるのは大変な作業になります。

ここで役立つのが、物語。複雑な状況を整理して、説得力あるシンプルなストーリーで語りることは、チームの目標を意味づけ、関係者の足並みを揃えてくれます。そして物語は、物語に共感した関係者が強く思い込むことで、皆で同じ目標に向かって各々が奮い立って行動したくなるように動機づけてくれます。

このように物語で意味を作る手法は、「センスメイキング理論」と呼ばれます。「センス(意味)をメイクする(作る)」という意味です。

 

このセンスメイキングは、「お客様が買う理由」を創り上げるときに、とても役立ちます。

「お客様が買う理由」は、

・どんな強みを活かして
・誰の(ターゲット顧客)
・どんな悩みに(ターゲット顧客のニーズ)
・いかに応えるか(解決策)

を考えることが必要です。 一見簡単そうに見えますが、実際に作るとなると、とても大変です。「強み」「ターゲット顧客」「ニーズ」「解決策」などの選択肢はとても多く、組み合わせが無数にあるからです。

センスメイキングは、これをシンプルに考えるための手段になります。物語で考えるのです。

たとえば阿智村は、こう考えました。

「日本一の星空」という強みで、阿智村にお客さんを呼ぼう。
ターゲットは、都市圏の若者カップルだ。
彼らは、日常にないドキドキワクワクした体験をしたい。
そこで「星空エンターテイメント」を提供しよう。
ライバルは、ディズニーランドだ。

阿智村の阿智村の「日本一の星空ナイトツアー」には、2016年には11万人が訪れました。この星空でプロポーズしたカップルも100組以上にのぼります。

共感が伝わる現代では、「シンプルな物語で語ること」の大切さは、ますます高まっています。

 

しかし誰でも「シンプルな物語で語れる」わけではありません。

何をしたいのか?どのように変えたいのか?

その深い想いが、人々を共感させる「シンプルな物語」を作るのです。

 

この「物語を語る」ことは、多くの人たちを動かす強力な武器になります。

ただ「物語で語る」ことはあまりにも協力なので、時としてファシズムのように、人々を熱狂させながら破滅的な方向に誘導する潜在力も持っています。物語を語る立場にある人は、「よきことを語っているか?」「事実に基づいているか?」を常に心して考えるべきことなのかもしれません。

 

 

 

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韓国から、テレビ取材がありました

韓国からテレビ取材チームが弊社オフィスにいらっしゃいました。

韓国版「そうだ、星を売ろう」が韓国内で話題になっているそうで、著者に取材したいとのことで、テレビ取材チームが弊社オフィスにお越しになりました。有り難いですね。

取材後、テレビ取材チームはそのまま中央高速に乗って、車で阿智村へ行かれました。

 

韓国国内の企業では、自分たちならではの強みを活かしている日本の地方の取り組みがとても注目されているとのこと。

お互いに良い取り組みは、国を超えて、学びあいたいですね。

「楽しくて、お客様のことなんか考えたこともない」

「お客様のことなんか考えたことがありません。
意気投合した仲間と、夢中になってやっています。
とにかく面白くって…」

その人はいかにも楽しそうにお話ししていました。

私は「お客様が買う理由を作りましょう」と提唱しています。
「お客様が買う理由を作ること」と、「お客様のことなんて考えたこともない」というのは、一見、正反対のように思えます。

しかし実際には、「お客様のことなんて考えたこともない。自分自身が楽しくて夢中」という状態は、実は理想的なパターンであることも多いのです。

 

この人の場合、「お客さんのことなんか考えたこともない」といっていましたが、実は自分自身がお客様になりきって、新しいサービスを作るのに夢中になっていました。

あのスティーブ・ジョブスも、顧客の意見はまったく聞きませんでした。しかし誰よりも厳しいアップル商品のユーザーでした。だから商品開発チームには超辛口ユーザーとして厳しく接しましたし、新商品発表の時は、最も情熱的なファンとして興奮しながら新商品を語り、それが顧客に伝わったのです。自分自身がワクワクしていると、それは確実にお客様に伝わります。

もちろん例外もあります。いくら夢中になって楽しくても、お客様不在の独りよがりな商品開発は、多くの場合失敗します。

 

自分たちがワクワクしていなければ、お客様もワクワクするわけがありません。

 

私も自分自身を振り返ると、成功したパターンは、自分自身がお客様の立場でそのプロジェクトにワクワクして没頭し、寝ても覚めてもそのプロジェクトのことばかり考えています。

自分たちがワクワクするものに取り組みたいものです。

 

 

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チャンスは、雨のように降っている

 

私は講演や著書では、成功事例をもとに「お客様が買う理由」をいかに作るかをご説明しています。すると時々、こんな質問をいただくことがあります。

「それって、たまたま運がよかったんじゃないですか?」

さて、本当に彼らは運がよかっただけなのでしょうか?

 

こんな研究があります。

ある大学の先生が、日本経済新聞「私の履歴書」を執筆した創業者や起業家を題材に、偶然起きた出来事がどのようにキャリア成功に役だったかを分析しました。→参考リンク

この研究では、次のような事例が紹介されています。

■「意外なところから大型商談が舞い込んだ。東京オリンピックの警備だ。リスクが高かったが何とかなると考えて引き受け、大変な思いでプロジェクト完了。その後一気に伸びた」(セコム、飯田亮氏)

■「三菱重工から非常に短納期の大量注文が舞い込んだ。受けないだろうと踏んで『契約の2倍なら』というと、『それで結構』。あわてて人材を確保、約束の期限に仕上げた。これで信用が付き、ビジネスが一気に拡大した」(大和ハウス工業、石橋信夫氏)

■「若手時代、地道に研究を続けたが、突然破局がやってきた。新任技術部長が『キミには無理。他の者にやらせる』と引導を渡された。そこで会社を退社。『自分で会社を作るか』というと部下達が口々に『付いてくる』。これが今の会社になった」(京セラ、稲盛和夫氏)

■「代理店を作ろうと思ったら、保証金が予算の10倍。『とても無理』とあきらめた。チャンスはどこにころがっているかわからない。帰ろうとしたら、先方の社長が『会いたい』。保証金は予算の1/10でいいので大阪で代理店をやって欲しいとのこと。大阪には縁もゆかりもなかったが、回ってみると商売のチャンスは大きく、得意先は次第に増えていった」(岩谷産業、岩谷直治氏)

■「工場勤めで高度な技術がついたが、学歴がないので役職に就けない。しかし思いがけぬところから幸運が舞い込んだ。自宅近所の会社の社長が『自営をしてみないか?うちの工場で技術指導してくれれば仕事も材料も回すよ』 私が独立を志していることは社長も知っていた。こうして独立がかなった」(カシオ計算機、樫尾忠雄氏)

■「女性用下着の商売がやっと軌道に乗り始めてきたら、下着業界に”黒船”がやってきた。米国の下着メーカーが2社上陸し、提携先を探し始めたのだ。条件は厳しかったが、断れば他業者と提携するかもしれないので、授業料と割り切って条件を飲み、この2社と提携。その後、1社は契約違反、もう1社は日本人の体型にあわず売れ行き不振で撤退。そのうち当社は東京進出を果たし、国内の地位を固めた」(ワコール、塚本幸一氏)

 

この論文にはありませんが、最初ピアニストを目指していた小澤征爾さんも、ラクビーで指を骨折してピアノを断念せざるを得ず、指揮者に転向して大成功を収められました。

 

さて、彼らは運が強かったのでしょうか?
確かにそれもあるでしょう。
しかしこのようなチャンスが成功した人だけにもたらされたのか、というと、ちょっと違うように思います。

 

おそらくチャンスは、雨粒のように、すべての人に平等に降り注いでいます。この雨粒が、見えている人と、見えていない人がいるのです。この雨粒が見えている人は、チャンスをつかみ取り、成功し、その結果「あいつは運がいい」と言われるのです。

では、そのためにはどうすればよいのでしょうか?

 

まず、問題意識を持つこと。

「このままじゃダメ」「何とか今の状況を変えたい」という危機意識。
あるいは「これをどうしてもやりたい」という好奇心。

何らかの問題意識を持つことです。

たとえば読書で、ただ本を読む場合と、問題意識を持って本を読む場合。
後者の方が得られる知識が格段に大きいことを経験したことがあると思います。

まず「現状をどうにか変えたい」という問題意識を持つこと。
そうすれば、それまで見えなかった雨粒が、少しだけ見えてきます。

 

問題意識を持ったら、次に具体的な行動に移すことです。

たとえば、何か解決したい問題があるなら、解決策を探すためにまず人に会ってみる。
あるいは「本を書きたい」と思ったら、思うだけでなく1行だけでもまず書いてみる。

具体的な行動に移すことで、雨粒がさらに見えてきます。
行動することで、経験やスキルが溜まっていきます。

 

そして人との繋がり、ご縁も拡がっていきます。
行動とご縁が、さらに雨粒をチャンスに変えていきます。

パスツールも「チャンスは、それを迎える準備が出来ている人に訪れる」と語っています。

 

そして大きなチャンスは、上記で紹介したように、一見あたかも大きなピンチの形で訪れます。
しかし準備することで、ピンチをチャンスに変えられるのです。

 

問題意識と行動が、人とのご縁につながり、運をたぐり寄せ、成功に繋がっていくのです。

 

 

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一番正確にお客様満足度がわかるのは、食器洗い場だった

よくこんなご質問をいただきます。

「お客様を理解するためには、どうすればいいのでしょうか?」

 

先日、テレビ東京の番組「ワールドビジネスサテライト」を見ていたら、まさに答えがありました。番組では、東京・目黒にあるうどん屋さんが紹介されていました。この店は毎日行列ができ、平日は深夜1時まで賑わっています。

この店の名物が、客の7割が注文する「カレーうどん」。10年以上かけて、出汁の材料をふんだんに使った濃い出汁に、企業秘密のレシピで作ったカレーの組み合わせを開発し、美味しいカレーうどんを作っています。大人気のカレーうどんですが、今もなお味を調整し続けています。

カレーうどんの味を調整するために、店主の尾藤さんは、自ら洗い場で下げられた食器を洗っています。

食器には、レンゲで最後まで食べたカレーの線が付いています。このカレーの線が付いているのは、完食したという証。尾藤さんは洗い場で、このカレーの線の確認をしています。

尾藤さんはこのようにおっしゃっています。

「洗い場はないがしろになりがちですが、実は一番正確にお客様の満足度がわかるのが、洗い場なんです」

さらに尾藤さんは、店で食べているお客様の様子をマメに見渡しています。お客様が食事をしながら麦茶のおかわりが多いのは、カレーうどんが辛すぎる可能性が高いのですが、その原因は煮干しや昆布の状態が悪いため。そんな時は出汁を取る際に、煮干しや昆布を多めに入れるようにしています。

 

「なるほど!」と思いました。

うどん店やラーメン店のようにお客様がどんどん入れ替わる店では、「完食したかどうか?」で正確にお客様の満足度を把握できます。しかもカレーうどんの場合、レンゲで残りをすくい取るほど追い込んで食べるのは、美味しさに満足した証でもあります。

尾藤さんはそこをチェックしているのですね。

 

KPIという言葉があります。「業績評価指標」という意味です。(Key Performance Indicatorの略)

尾藤さんは、お店のKPIを次の2つに設定し、マメにチェックしているのです。

レンゲの線 = 「顧客満足度」のKPI
麦茶のおかわりの頻度 = 「お客様が辛いと感じるかどうか」のKPI

お客様のことを理解するヒントは、お客様がいる現場にあります。当たり前のことですが、ただ漠然とお客さんを見ていても、なかなかわかりません。

尾藤さんのように、お客様を理解するためのシンプルなKPIを設定し、それをマメに把握し、改善し続けることが、必要なのです。

 

 

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私の失敗体験 – 製品開発編

 

「マーケティング専門家」ですが、実は私、理系です。

小学生の頃から理科の時間が大好きで、自然と大学も理科系に。社会人になって日本IBMに新卒入社し、製品開発部門の所属になりました。

「いい商品を作りたい!」

いつもこう思っていました。当初は製品開発部門の中でも管理系の仕事で製品開発に関わることができませんでしたが、29歳でやっと希望がかない開発部門に異動、晴れて製品企画担当者になりました。

当初は製品企画という仕事自体がわからず、四苦八苦していましたが、ある日、事業部の将来をかけた商品を開発することになり、その製品企画担当者に任命されました。責任重大です。

ちょうど市場が立ち上がり始め、ユーザーの導入検討も始まったばかりの製品分野です。市場に関するあらゆる情報をかき集め、徹底的に調査・分析しました。さらに先行ライバル製品のことも詳細に調べ上げました。

そして製品開発グループと話し合い、機能的にライバルとまったく遜色がない製品に仕上げました。機能表で〇×をつけると、自社の商品が勝つ状況になりました。さらにライバルと比べてお買い得な価格設定にしました。加えて大切な顧客データの保護機能も、業界に先駆けて最高レベルにしました。

開発中の製品を営業に説明すると、営業からは「これなら売れる!ぜひお客さんに提案したい」。引き合いも多かったのです。

 

満を持して商品を発表・出荷しました。

……まったく売れません。
それも、当初の予定よりも2ケタ少ない数字です。

 

アンラッキーな面もありました。製品出荷は1992年年末。バブル崩壊が始まった時期でした。多くの企業が、大規模プロジェクトを見直し始めていました。

商品企画担当者だった私は部門を異動して、製品営業になり、全国を売り歩きました。

この製品のことは、この世の中で私が一番わかっている自負がありますし、熱意も人一倍。お客さんに気合いを入れて製品デモや製品説明しますが、

「興味がない」
「面白いけど時期尚早かな」
「投資ができないんでね。せっかく説明してくれたのに、悪いね」

という反応がほとんどでした。しかしそんな中でも数をこなすことで、採用ユーザーは徐々に増えていきました。

 

そのうちお客様の大規模プロジェクトに入札する機会が何回かありました。お客様担当営業と製品開発部門でチームを組んで応札。その結果、ライバル企業との激しい受注競争の末、案件の多くを受注しました。

2年ほど頑張った結果、売上はなんとか当初予定して数字とケタが合うレベルまで回復しました。

私はこの製品開発のマネージャーを兼任しながら製品営業を続けることになり、開発チームメンバーとともに採用ユーザーのサポートを行うことになりました。

数年をかけて、やっと新製品のビジネスは、軌道に乗り始めました。

 

そんなある日、思いがけないことが起こりました。IBM本社が、この製品の開発中止を決定したのです。

IBMは米国である会社(仮にA社とします)を買収し、「A社製品をIBMの戦略製品とする」と決めたのです。この瞬間、私たちの新製品はA社製品と社内競合製品になりました。IBM全体から見ると二重投資は避けたいわけで、私たちが心血注いで育ててきた新製品はやめることになったのです。

 

私が悔やんでも悔やみきれなかったことがあります。私が企画段階で比較検討していた製品の中に、このA社製品もあったのです。

当時からIBMはA社と世界的に提携しており、A社製品の機能も比較的高かったのです。私はかなり早い時期にA社製品を職場で実際に使ってみて、細かく機能確認をしていました。IBMもA社と緊密な協業関係にあったので、「新製品の開発はやめて、A社製品を日本向けに機能強化する」という選択肢もありました。

しかし職場には、心血を注いで新製品に取り組んでいる数十人の製品開発チームがいます。私は「自分たちの事業部で、製品開発する」ということにこだわりました。A社製品よりも高機能の製品を開発することを製品開発部長に進言。製品開発チームもそれを後押しし、それが事業部方針になりました。

それから数年後、新製品が立ち上がった時期になってIBMはA社を買収して、A社は会社の一事業部になり、A社製品がIBMの戦略商品になった、というわけです。

 

あとから考えると結果論ですが、私が製品企画していた時期に「お客様に価値を提供する」という考え方を徹底していたら、自分たちの事業部で新製品開発はせずに、A社との提携を活かしてA社製品の機能強化を行う方針が正解だったかもしれません。

しかしそうしませんでした。

製品開発の本来の目的である「お客様に価値を提供すること」ではなく、製品開発の手段に過ぎない「製品を開発すること」にこだわってしまったのです。

 

当時「部門の新製品は、開発中止する」と申し渡された時、このことがわかりませんでした。

「なんで一生懸命開発した商品が、中止にさせられたのだろう?」

中止に至った社内事情はわかるものの、理不尽な思いでただ悶々としていました。

「…でも、もしかしたら『いい製品を作る』という考え方だけでは、ダメなのかもしれない…」

入社当初の「いい商品を作りたい!」という考えを変えて、私が製品開発マネージャーからマーケティング職に異動したのは、この直後です。

 

その後マーケティングを学び、業務でマーケティング戦略を立てて、実践してきました。

そしてなぜ新製品開発が失敗したのか、よくわかりました。やはり自分に原因があったのです。

いま振り返れば、当時の私の状況は、世の中で「プロダクトアウト」と呼ばれる状況でした。

商品開発の本来の目的は、「顧客づくり」です。
商品開発の「商品づくり」は手段に過ぎません。

当時の私が陥ってしまったように、手段に過ぎない「商品づくり」が目的にすり替わってしまうのが、「プロダクトアウト」という状況です。この状況になると、なかなか商品は売れません。

 

多くの人たちを巻き込んでしまったこの製品開発プロジェクトの失敗は、自分がマーケティング戦略を考えていく上で貴重な原体験になりました。

「商品づくり」が目的になったプロダクトアウトな考え方ではなく、「顧客づくり」を常に考えた仕事を広めたい。

その思いで、今の仕事をしています。

 

 

 

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山口県観光連盟主催「やまぐちDMOフォーラム」で講演しました

2017/1/31、山口県観光連盟様主催の「やまぐちDMOフォーラム」で講演致しました。

山口県様と山口県観光連盟様では、「やまぐちDMO」確立に向けた取組を行っておられます。

“DMO”とは、観光地域づくりのまとめ役となる組織のことです。(“Destination Management/Marketing Organization”の略です) 観光地域づくりには、その地域の実に幅広い関係者と協業が必要になります。そのまとめ役を担うのがこのDMO。そこで山口県では、このDMOがどうあるべきなのか、関係する方々が集まって、毎月開催するフォーラムで議論しておられます。

私は第8回目となるこの「やまぐちDMOフォーラム」にお招きいただきました。(ちなみに第7回目は、阿智村・ヘブンそのはらの白澤社長が登壇されました)

やまぐちDMOフォーラム講演20170131

第8回目のテーマは、「山口県の強みを考える」

そこで『「そうだ、星を売ろう」 阿智村から学ぶ 『コト』発想への変革』という講演タイトルで、阿智村の「日本一の星空」が強みになりえた理由と、「日本一の星空」を本当の強みに育て上げた過程をお話ししました。

講演には100名近い山口県の観光に関わる皆様が集まりました。

 

まったくの偶然だったのですが、この講演が13:45に終了した後、同じ湯田温泉で15:00から西京銀行様主催「ゼファクラブ新春合同例会」でも講演しました。この「やまぐちDMOフォーラム」の会場であるカリエンテ山口から、「ゼファクラブ新春合同例会」の会場であるホテルかめ福まで、わずか徒歩10分の近さ。初めての山口出張で、しかも同じ日に同じ山口県・湯田温泉でこのように講演の機会が重なることに、山口県との不思議なご縁を感じました。

この講演の機会をいただいたJTB様に、深く感謝いたします。

 

西京銀行様主催「ゼファクラブ新春合同例会」で講演しました

2017/1/30(月)に山口県徳山、1/31(火)に山口県湯田温泉で行われた、西京銀行様主催「ゼファクラブ新春合同例会」で、『お客様が買う理由を、いかに作るか? 「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題して、講演する機会をいただきました。

山口県の西京銀行様お取引先企業を中心に、それぞれ200名、合計400名の経営者の皆様がお集まりになりました。

 

こちらは1/30(月)、徳山の講演。

西京銀行様講演20170130-2

 

こちらは1/31(火)、湯田温泉の講演です。

西京銀行様20170131

講演後は懇親会があり、経営者の皆様と濃密な意見交換をさせていただきました。

 

かつて長州藩だった山口には、幕末に松下村塾から明治維新を成し遂げた人材を数多く輩出しました。今回参加しておられる経営者の皆様も、まさに「明治維新を成し遂げた人たちもかくあったのでは…」と思われる「志」がある方々ばかりでした。

西京銀行様は、この山口に根ざして、従来の銀行の枠を大きく超えた数多くの取り組みにより、山口発の産業育成に尽力しています。

西京銀行様の平岡英雄頭取は、「地方銀行の半沢直樹」とも呼ばれる方で、顧客中心主義を銀行で徹底しており、その取り組みはWeb版Goetheでも紹介されています。

Web-Goethe

今回の講演でも、平岡頭取ご自身が東京・大手町にある弊社オフィスにお越しになって、講演の事前お打ち合わせを行いました。

 

今回、山口に出張する機会をいただき、その様々な取り組みを学ばせていただき、とても啓発されました。

 

このような機会をいただき、本当に有り難いですね。