「婚約指輪は給料3ヶ月分」は価格戦略だった

「世の中にはなかった新商品を発売します。お客さんの引き合いも多いのですが…、値付けをどうしようか、悩んでいます」

こんなことで悩む方は少なくありません。

最初の値付けはとても大切です。
つい「お客さんに聞いてみようか」と思いがちですが、これはダメ。

 

参考になるお話しがあります。

黒真珠といえば、高級ジュエリーです。しかし最初からそうではなかったのです。

数十年前にある宝石商が買ったタヒチの珊瑚島で、黒真珠が採れました。宝石商は「これは売れるかもしれない」と考えましたが、当時真珠と言えば日本産の美しい白真珠が常識。「黒い真珠?色も形もまるで鉄砲の弾みたいだ」と言われていました。ガラクタ扱いだったのです。

品質改良に努めた末、ニューヨークにいる旧友の宝石商に相談しました。彼のアドバイスで、店頭のショーウィンドウに並べて、同時に豪華グラビア雑誌に全面広告で、黒真珠のネックレスがダイヤモンドとルビーのブローチと一緒に光り輝いている写真を出しました。

すると、ニューヨークのセレブたちが黒真珠を付けるようになったのです。「黒真珠は高級ジュエリー」と認知され、世界に広がりました。

 

世の中にまだ認知されていない新商品の価格が高いのか安いのか、お客様は判断できません。

こんな時に「いくらだったら買いますか?」とお客様に聞くのは、愚の骨頂。必要なのは私たちが主導権を持ち、価格の基準を決めることです。

 

ちなみにこの基準のことを、行動経済学では「アンカリング」とも呼びます。アンカーとは船の錨のことです。大きな船がアンカーでつなぎ止められるように、私たちの心の中にも基準が作られてしまう現象が、アンカリングです。価格戦略を考える上で、アンカリングを理解することはとても大切です。

 

身近な例でもう一つ。

「婚約指輪は月給の三ヶ月分が目安」といわれます。実はこれ、冠婚葬祭の常識ではありません。高級宝石を扱うデビアスが、マーケティングプロモーションで作ったメッセージです。

婚約指輪の客観的な価格は、そもそも存在していません。そこでデビアスが、基準を作ったのです。新婚カップルにとって「給料3ヶ月分」が婚約指輪の価格の基準になりました。価格戦略とプロモーション戦略を組み合わせて、大きな成果を挙げた事例です。

ちなみにこのプロモーションが行われたのは1970年代から1980年代後半。でもいまの若い人も知っています。最初に価格の基準が出来ると、それはなかなか変わらない、ということですね。最初の価格はとても大事なのです。

郷ひろみが1987年に二谷友里恵と結婚した際に報道陣から婚約指輪の価格を聞かれ、「給料の3ヶ月分くらいです」と答えたのも、これが常識になる上で大きく影響しました。

 

商売が儲かるかどうかは、価格戦略次第。これまでになかった新商品の価格を決める時は、私たちが主導権を持って価格の基準を作っていきたいものです。

 

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朝活勉強会「永井塾」第15回『あらためて価格について考えよう』を行いました

本日5月9日(水)、第15回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回のテーマは『あらためて価格について考えよう』。行動経済学の考えを取り入れながら、知っているようで意外と知られていない価格のナゾについて議論しました。

皆様のご感想です。

■アンカリングという言葉は初めて聞いた気がします。説明を聞き、価格戦略におけるアンカリングの重要性を理解できて良かったと思います。

■アンカリングを意識しながら価格を見つけたいと思います。

■アンカリングと言うキーワードを通して、シンプルに価格設定について考えることができました。化粧品のファンケルがアジア圏で高級ブランドイメージを作って売っていると言う話を聞いたことがあり、思い出しました。ブランドイメージに関するマーケティングをより深く知りたいと思いました。

■講義内容にポイントがまとめられていてとてもわかりやすかったです。

■とても参考になるお話をありがとうございました。より高い価値をお客様に感じていただくための付加価値を考えていきたいと思います。

■テーマに関するお話だけではなく、質問を通じて一人ひとりの課題解決のためにしっかりお答えいただけることがありがたいです。また他の方の質問の中にも、自分にとっての気づきのヒントがあり、参加してよかったです。

■価格設定は正解のない世界だということがよくわかりました。

■現在新サービスを企画中でこれから価格を決めていく予定です。アンカリングの議論が参考になりました。また参加させていただきます。

■何週間か前に、行動経済学に関する番組を見たばかりだったので、面白かったです。

■アンカリングの考え方は非常に納得でした。航空業界もLCC 対 フルサービスでお客様が感じていらっしゃる価値観が違い、サービスに対する期待度も変わると言う事ですね。

■競合他社、通販等と価格競争中ですが、付加価値をつけるということがどういうことなのか、探しておりました。今日はヒントをいただきました。自分たちの営業力を養う事は継続、各々がどのような営業展開していくかの面談も継続、次は付加価値をつけるための何かを考えます。

■ソニーの盛田さんがいらっしゃった時に、コスト割れでウォークマンを販売した話をお聞きし、凄いと思いました。価格決定にはお客さんの感覚を把握する力と、長いスパンで物事を考えていく力が重要なのだと感じました。

■価格がテーマなので楽しみでしたし、改めて営業としての責任を果たすに当たって気をつけなければならないと気持ちを新たにしました。当社では価格戦略は未だに浸透しておらず、説明する立場として他者を腹落ちさせるには良い材料を出ました。 この頃、あらためて自分の築いた人脈がいわば良い土壌となって、実りをもたらしてくれるようになってきました。楽しくかつ利益率の出るお仕事が、しかも残業せずにできています。自分の個性と戦略を両輪として今後もやっていきたいと思いました。

 

皆様、ご参加いただき有り難うございました。

 

次回の朝活勉強会「永井塾」は6月6日(水)。「戦略の基本、競争戦略について学ぼう」というテーマで行います。

詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

 

 

 

グリズリー熊に出会った、二人の登山者の話

ある登山者二人が山を登っていたら、熊に出くわしました。

相手は凶暴なグリズリー熊。獲物の二人を見つけると、徐々に速度を上げて、こちらに向かってきました。
一人はすぐにリュックを降ろし、ハイキングシューズを脱いで、ランニングシューズに履き替えました。
それを見て、もう一人が言いました。

「何しているの?熊はキミよりずっと速いよ」

すると彼は靴を履き替える手を止めずに、答えました。

「熊よりも速く走る必要はないよ。キミより速く走れればいいんだからさ」

これは、MITのジョン・D・C・リトル教授が1984年に論文で紹介した逸話です。

 

このちょっとブラックな逸話は、競争について大切なことを教えてくれます。

競争に勝つか負けるかは、ほんの半歩の差で決まります。

ちょうど登山靴のままそこから駆け出すように、とりあえずその場で必死に頑張るのも、一つの方法です。
しかしリュックを降ろしランニングシューズに履き替えたように、ちょっと知恵を出し、相手に半歩先んずれば、消耗戦を避けて、競争に勝てるのです。

どうすれば相手に半歩先んずることができるか?
常に考えたいものです。

 

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行列が絶えないパン屋と、行列がないパン屋

近所に、行列が絶えないパン屋さんがあります。

普通のパン屋さんは、コッペパン、フランスパン、あんパン、コロッケパン、カレーパンなど…、様々な種類のパンを揃えて売っていますが、ここは1種類の食パンだけ。通常の食パンサイズは432円、その倍のサイズは864円。この2種類のみです。

11時の開店前には毎日十数名の奥様方が行列しています。夕方まで営業していて、常に食パンを焼いているのですが、予約しないとまず買えません。毎日完売です。

先日テレビを見ていたら、この店が『奇跡の「生」食パン』として紹介されていてビックリしました。

実際に私も買いました。『奇跡の「生」食パン』というだけあって、焼かずに生で食べると、これがまたもの凄く美味しいのです。さらに翌日や翌々日になると。さらに熟成して美味しく生で食べることができます。

この店は、最高に美味しい単品の食パンで、味にうるさい奥様たちをトリコにしているのです。

 

実はこの近くに老舗のパン屋チェーン店があります。

先日通りがかると、同じコンセプトの生食パンが、まったく同じ値段で売られていました。「マイスターが心を込めて焼き上げた」とのこと。ただ店頭で平積み状態のまま。並んでいる人はいませんでした。

実際に買っていないので、もしかしたら美味しいのかもしれません。ただ売れないのは、「単なるコンセプトの真似」と思われている可能性もあります。これでは、味にうるさい奥様たちは引きつけられないかもしれませんね。

 

売れている商品を見て「これは売れる!」と考え、形やコンセプトだけを真似しても、本当の強みまではなかなか真似できません。仮にかなりの程度真似ができても、先行ライバルが成功しているほど、二番煎じと思われてしまう。

私たちも気をつけたいですね。

 

 

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出版記念講演会を行いました

4月19日、幻冬舎で「売れる仕組みをどう作るか トルネード式仮説検証」の出版記念講演会を行いました。

岡山や安曇野など、遠方からわざわざ参加して下さった方々もおられました。

有り難い限りです。

皆様のご感想です。

■本の内容をより深く理解することができました。報告書をまとめる際に本を参考にし提案していきたいと思います。

■仮説検証の重要性がよくわかりました。何度も出てきたパッションがカギであると思います。パッションの実現のための方法なのだと思いました。

■冒頭の環境分析や質疑応答が大変勉強になった。

■売れる仕組みについての説明とその後の質疑応答で議論が高まったと思います

■とても面白く惹きつけられた講演で、本の骨子が理解できた。具体的でわかりやすく明日から実行できる、と思えた。またこの本を通して日本にトルネード式仮説検証のトルネードを起こし、衰退企業を成長企業に変えていきたいと言う思いが伝わってきた。

■本の内容にプラスしてご自身の具体例や企業についてなどがあり非常に勉強になりました。事実に基づいて検証すると言うことで自分でも実践していければと思います。

■大変勉強になりました。3社の説明がとても分かりやすかったです。現在の仕事ではいろいろな課題を抱えていますのでトルネード色を実践してみたいと思います。

■本日は大変にありがとうございました。仮説検証はジョギングのようなものだったり、速過ぎてしんどいなどの話がありましたが、私はマイペースなので私のペースで進めていってみます。営業所のメンバーも速過ぎるととついて来れなくなってしまうので「継続」を目標にします。

■本の内容をわかりやすくまとめてお話しいただき、著者の言葉で聞けたので、本を最後まで読みたいと思いました。質問の時間に他の方のお話から学ぶことが多くありました。

■わかりやすく例を多く挙げていただき大変理解しやすかったです。

■現在数十名の製造業で、営業を1人でやっているのですが、直近の仕事に追われたり守りの考えでずっと仕事をしていたと思います。今回のセミナーに参加して、失敗を恐れずに常に挑戦することに気が付きました。今後少人数ではありますが仮説検証を実践していきたいと思います。

■改めて仮説検証がビジネスにおいて必要だということがわかりました。また考え方は私が考えてることとそれほど離れていないので本を読んでより深く理解していきたいと思います。

■具体的な3つの会社の話を聞けて参考になった。とても楽しいセミナーでよかったです。

■ご紹介ありがとうございました。事例を踏まえてとてもわかりやすく良い時間でした。ゆるいチームの話、永井流ファシリテーションの本を期待しています。

■永井先生、本日はありがとうございました。先生の本を読み始めてから、悩んでいたことが解決でき、こういう時間をいただき、ありがとうございます。ぜひ関西よりも西で開催いただければ嬉しく思います。

■永井さんの本を何冊か読まさせていただき、非常に興味を持ち、いちど直接話を聞きたく参加しました。期待通り非常に参考になりました。機会があればまた参加します。

■しつこい仮説検証家に続けることの大切さがよくわかりました。

 

皆様、有り難うございました。

 

 

一人一人が仮説検証する組織に変革し、成長するジャパネット

今月の日経「私の履歴書」はジャパネットたかた創業者・高田明さん。
大評判ですね。私も毎朝楽しみです。

いまジャパネットの経営を担っているのは、2015年1月就任した高田旭人社長。創業者・高田明さんのカリスマ経営から、全員で仮説検証を徹底する経営に大きく舵を切り、成長を続けています。

4月の新刊「売れる仕組みをどうつくるか トルネード式仮説検証」では、髙田旭人社長への取材内容を紹介しています。4月の朝活勉強会「永井塾」でもお話ししました。

その永井塾で、こんなご質問をいただきました。

先代がカリスマ経営者だと、どうしても先代のやり方を継ごうとしがちと思います。旭人社長が仮説検証を重んじるようになったきっかけは何でしょうか?

創業者の高田明社長は、天才的経営者。社員は明社長の言うとおりに動いていたそうです。 旭人さんは証券会社に勤めた後、そんなジャパネットに入社しました。

旭人さんは入社前から「なぜジャパネットは急成長しているのか?」と興味を持っていました。

社長室長として明社長の傍らで意志決定に接し、色々考えると、「なるほど、これは合理的に考えている。ロジカルだな」と感じることが多かったそうです。

ただ明社長は意志決定は速かったのですが、意志決定の理由を説明しませんでした。そこで旭人さんは10年間、社員に明社長の意志決定の背景を「通訳」する役割をしていました。

2015年に旭人さんが二代目社長に就任した時、こう考えました。

「先代社長と同じスタイルでは持続性ある経営ができない。社員全員が、自分で仮説検証を実践する組織に変えていこう」

それまで常に明社長に判断を求めていたのを、社員自ら考えるように変えるのでなかなか大変ですが、時間をかけて取り組んでおられます。

たとえば、かつては明社長が「Aで行く」といえば、それに従うやり方に慣れていました。今でも旭人社長に「ABCどれがいいですか?」と聞く社員が多いのですが、徐々に「私はAで行きます。理由はこうです」という社員が増えてきています。

たとえば最近ジャパネットが始めた「クルーズ旅行販売」のアイデアは、幹部社員から出ました。

日本一周クルーズでは、横浜港を出港、翌日に富山に着いて夜8時まで観光。翌朝には金沢に着いて観光。これが10日間続きます。船内の食事は食べ放題。そして、ジャパネットのお客様は年齢が高めで、旅行ではゆったりしたいはず。一方でクルーズ人口はまだ10万人であまり知られていません。

「これは行ける。ジャパネットでこの良さを伝えたら、売れる」と仮説を立てて、実際に売り始めたらすぐ完売。船を一隻丸ごと買い上げて拡大販売したらまたすぐ完売。このため第一種旅行免許も取りました。

一方で、先代社長が反対していたプロジェクトを始めているケースもあります。 たとえば明社長は「商品修理はメーカーに任せればいい。ウチの仕事ではない」という方針でした。 しかし旭人社長は、ジャパネットで修理業務をすることにしました。結果、ジャパネット社員も販売する商品のことがよくわかるようになり、メーカーに商品改良の意見を言えるようになりました。

先代の明社長の意志決定スタイルを全員に広げながらも、今の最新状況に併せて、意志決定の内容は変えているのです。

 

取材では髙田旭人社長とは初対面でしたが、不思議なほど意気投合しました。髙田社長が目指す方向と、「トルネード式仮説検証」で提唱している方向が同じだからなのかもしれません。

 

 

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「幼稚園児は、MBA修了生やCEOよりも優秀?」という話

「マシュマロ・チャレンジ」というゲームをご存じでしょうか?

4人一組のチームで、次の道具を使って、制限時間18分以内で、できるだけ高い塔を作り、てっぺんにマシュマロを乗っける、というゲームです。

マシュマロ1つ、スパゲティーの乾麺20本、長さ90センチの紐と粘着テープ

2010年、トム・ウージェックという人が、このマシュマロチャレンジについて、実に面白い結果をTEDプレゼンで紹介しています。

6チームが参加しました。結果は、

・1位は、建築家とエンジニアチーム。これは順当ですね。
・2位は、CEOと管理系役員チーム。これは指揮系統とファシリテーションの賜物です。
・3位は、何と幼稚園児チーム。
・4位はCEOチーム。以下、5位は弁護士チーム。最下位はなんとMBAを修了した直後の修了生チームでした。

幼稚園児が並み居る大人たちを圧倒しているのですね。

MBA修了生はどうやっているかというと、

・ゲームが始まると、まず4人で目的と課題について議論する
・最適な一つの解決策を求めて、設計して塔を組み立てていく
・制限時間18分の終了間際に、そっとてっぺんにマシュマロを乗せる
→しかしそこで全体が壊れてしまうことも多い。

MBA修了生の問題は、「正確な計画を作らなければ」と思い込み、計画に時間をかけすぎていること。
会社の中での仕事を考えてみると、身につまされることも多いですよね。

では、幼稚園児はどうやっているかというと、

・そもそも計画も、目的の確認も、解決策も、まったく議論しない。
・ゲームが始まると、マシュマロを一番上にのせて、どんどん作り、どんどん失敗を繰り返す。

「高い塔を作ろう」というシンプルな目標に向かって、試行錯誤を繰り返し、「あ、ダメだ」「じゃぁ、こうしてみよう」と夢中になって取り組んでいるうちに、大人たちよりもずっといい成績を残しているのです。

机上で色々と考えても、実際にやってみると間違っていることも多いもの。それならば、簡単に考えたことをサッサとやってみる。

シンプルな「あるべき姿」と素早い仮説検証

まさに「トルネード式仮説検証」です。子供たちから学べることは多いですね。

 

この「マシュマロチャレンジ」のTEDプレゼンは、下記サイトでもご覧になれます。7分程度の動画で、日本語字幕もあるので音がなくても理解できます。お時間がありましたらぜひご覧下さい。画面下の字幕アイコン(キーボードの形のようになっている部分)をクリックすると字幕が出ます。

 

 

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「上司がマイクロマネジメントで、困っています」

朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

「『トルネード式仮説検証で、自発的に考え自由に動こう』ということですが、現実には、上司の中には、マイクロマネジメントが大好きでこと細かに指示しないと気が済まない人もいます。彼らにマイクロマネジメントをやめさせるのは、どうすればいいでしょうか?」

「マイクロマネジメントが好きな上司」…私も経験あります。何かしようとするたびに一つ一つ説明が求められ、「それダメ」「こうしなさい」とこと細かに指示があります。

マイクロマネジメントをする人にも、その人なりの理由があります。

たとえば過去、「ちょっと気になるけど、任せるか…」と考えていたら、やはり失敗。その経験で「やはり気になることは、徹底的にチェックしておこう」と考えるようになる人もいます。

つまりマイクロマネジメントな上司にも理由があり、実際にそれで成果が出ているから続けているわけです。そんな人にマイクロマネジメントをいきなり辞めさせるのは、ほぼムリです。

必要なのは、「ムリにやめさせること」ではありません。
「例外を認めさせること」。言い換えれば、「新しいことを、自由裁量で小さく始める」という例外ルールを認めてもらうことです。

「そうはいっても、ウチのマイクロマネジメント上司が、例外を認めてくれるワケない」

そう思いがちですが、今の時代、どの会社も「いかに新しい価値を生み出すか?」で悩んでいます。そのマイクロマネジメント上司も、例外ではありません。「現場が自発的に考え、自由に動くことで、新しい事業を生み出せる」ことをちゃんと納得すれば、例外を認める可能性も高いのです。

ちょうど「特区」と同じ考え方です。
厳しい規制の中では、新しいことはなかなか生まれません。
そこで公に規制では許されていないことを、特別に試行的に許す地区のことを「特区」といいます。日本政府も地域や分野を限定して「国家戦略特区」を作り、ここで多くの規制を大幅に緩めることで、経済活性化を図っています。(森本学園問題などでいい印象はないかもしれませんが、本来「特区」そのものは素晴らしい仕組みだと思います)

マイクロマネジメントな上司を変えるのではなく、特区を認めてもらうのです。

ちょっと大きな視点で考えてみると、社内の既存のやり方をすべて否定して、壊す必要はありません。確かに既存のやり方も問題があります。しかし一方で、機能している部分も多いものです。

企業の場合、既存事業から大部分の売上が上がっています。「すべてを変えよう」と考え、既存の仕組みを否定して壊してしまうと、企業として存続できなくなります。だから既存の仕組みはそのまま残した上で、その上でプロジェクトチームとして動かしてみることです。

ちょうど図のように、既存の仕組みの上に、新しい層を加えて、新しい層では別ルールを適用するイメージです。

プロジェクトチームを「特区」のように扱うことで、今の仕組みから新しい事業を生み出すことができるのです。

 

 

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やる気を失った元部長さんが活躍できる、即効性ある方法

朝活勉強会「永井塾」でこんな質問をいただきました。

当社は社員が高齢化していて、管理職も余っています。部下がいない元部長さんも多くて、やる気をなくしています。やる気をなくした方に活躍していただく上で、参考になる例はありますでしょうか?

この方は言葉を選んでおられますが、「成功体験の賞味期限切れを起こしている人をどうすべきか?」というご質問です。

実は即効性がある方法があります。
賞味期限切れを起こした成功体験でも、まったく違う場所に移ると、そこでは役立つ新しいスキルに変わることが多いのです。ですから社内で別部門に異動いただくことで、活躍できる可能性が高まります。

5年前に書いた「100円のコーラを1000円で売る方法 3」で、昭和の熱血営業マンだった清水元専務が、新しい営業変革に対応できずに、失意の中で駒沢商会を退社、外資系のガンジーネットに広報部長として転職した場面を描きました。清水元専務の「パッション一筋」という信念は、SNS上で若者から熱狂的に支持され、大活躍しました。これは清水元専務が持っていた営業としては賞味期限が切れた強みが、まったく違う場で花開いた例です。

これはフィクションですが、現実の世界でも同じです。

職場でも、「お客様第一主義」の営業部長が技術部門に異動してプロダクトアウトな製品作りをお客様志向に変革できるかもしれません。また逆に、「テクノロジー命」の技術部長が営業に変わることで、浪花節的な営業スタイルをロジカルな営業スタイルに変えられるかもしれません。

大切なのは、その異動の意味を、ご本人が心から納得するかどうかです。

実は私自身も経験しています。
私はマーケティング戦略の仕事を15年担当した後、人材育成の仕事に異動しました。事業本部長から「うちの事業部は、マーケティング戦略や営業戦略は徹底的にやった。人材育成はまだ不充分だ。事業部1000人の社員が、事業戦略に沿って動くようになって、生産性が20%上がれば、売上も20%上がるはずだ。だから事業戦略に沿って社員が動けるように、人材育成をして欲しい」と言われました。そして納得して、異動しました。人材育成はまったく未経験でしたが、マーケティング戦略で培ったスキルを活かして成果を挙げることができました。

このようにポイントは、異動する意味をご本人が納得していること。

本人が異動する意味を納得すれば、一見賞味期限切れした成功体験は、宝の山に変わるのです。

 

 

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白山市観光連盟様で講演しました

本日3月23日、石川県白山市にある白山市観光連盟様で、『「そうだ、星を売ろう」 阿智村から学ぶ『コト』発想への変革』というテーマで講演を行いました。

とても多くの皆様にお集まりいただきました。

皆様からのご感想です。

■「100円のコーラを1000円で売る方法」を読んでファンになり、今回参加しましたが、文章で読むのとはまた異なる印象を得ました。今回自身が永井さんのファンと言うことで参加しましたが、地域の方が多く参加されていて、今後もっと地域のセミナーに参加し、横のつながり作ることも大切だとも感じました。

■とても良いセミナーでした。「JTB武田さんとの出会いについて」の回答はよかったです。積極的に行動することの重要性が伝わる良い事例でした。

■危機意識や行動や志を推進していきたい

■経営理念はどんな場合でも共通点があり観光も経営をもとに成り立っていると思いました。

■とても良かったです。ドラッカーの言うやり方とよく似て面白かったです。

■とてもわかりやすかったです。本を読み返してきてよかった。とにかく行動ですね。

■大変勉強になりました。「恋のしらやまさん」とは関係のない企業からの参加でしたが一企業の企画担当者として自分ができることを少しずつ行っていき、地域一体となって盛り上がっていけるよう努力していきたい

■事業を実践していく上でのキモを学べたと思います。本日学んだことを活かして「恋のしらやまさん」のさらなる誘客に努めます。

■阿智村の事例から誘客を推進するためのたくさんのポイントを学ぶことができました。貴重な講演ありがとうございました。

■講演ありがとうございました。あっという間の2時間でした。「仕事=やりたいこと」を実現しようとを転職しました。思いをお客様にどう届けるか?強い後押しとなりました。

■わかりやすい内容であると同時に熱意が伝わってきた。

■勉強になりました。有り難うございました。本当の価値は「人」である、が考えと一致しました。正しい志、熱意が周りを変えていくのが共感しました。

■阿智村へいちど行ってみたいと思います。白山市の地域おこしの参考になると思います。

■非常に興味を持って聞かせていただきました。ありがとうございました

■これから強みについてさらに考えてみます。

■阿智村へ行って星を見たくなりました。「100円のコーラを1000円で売る方法」を一度読んでみたいと思います。行動や志が大事であるとのこと、最初の一歩が行動できれば思います。

■やはり「人」ですね

■大変分かりやすい講演であった。

■会社の意識改革で考えていることが当てはまり、合わせてその難しさも考えつつ、興味深くお話を聞くことができました。自分たちのイベントにも参考にしていきます。ありがとうございました。

■自分の会社の職員マネージメントに使えそうだと思いました。やはり人なんだなと感じました。

■とても興味深いお話で時間があっという間に過ぎました。「コト」を売るということは、自分の仕事にも大変役立つことなので、スタッフにも話して共通理解をしていこうと思います。

■次回機会があればブランディングの方法を教えて欲しいです。

■あるべき姿を目指すには危機意識に始まり現場の認識がポイント。ここから情熱ある少人数が無関心層動かしていくプロセスをいかに楽しみに変えていけるか、情熱というか「志」なんだなと感じています。

■「ビジョン」「こうありたい」という欲求がないと。「お客様の買う理由」を考えることが重要だということに今更ながら気づかされた

 

参加された皆様、有り難うございました。

現場の体験と強いパッションが、新規事業を生み出す

ヤマト運輸で「まごころ宅急便」というサービスがあります。65歳以上の要介護者向けに、地元スーパーが商品を揃えて、ヤマト運輸が届けるサービスです。配達時にはドライバーが体調を聞き取り、必要であれば関係各方面に連絡します。

このサービスが生まれたきっかけは2008年の岩手県。ヤマト運輸のある女性ドライバーの体験です。

担当地域に住む高齢者の女性に荷物を届けた時、いつもは笑顔で出てくるのに、その日は家の奥から声しか聞こえませんでした。しかし次の配達もあるので、そのままにしていました。

3日後、孤独死しているのが発見されました。

この時、女性ドライバーは「ひと言かけていれば救えたのでは?」と悔やんでも悔やみきれなかったそうです。

そして「二度とこんな思いはしたくない」「孤独死をなくしたい」との強い想いで、「まごころ宅急便」の事業化を提案しました。

社内では、

「儲かるのか?」
「そもそもヤマト運輸で行うべきことなのか?」

という反対もあったそうです。しかし、

「これはヤマト運輸だからこそできること。そして有料事業化するからこそ、次世代に引き継がれる」

という強い想いで、岩手県内で事業化にこぎつけます。その後、3.11の大震災で店舗がすべて失われて買い物ができなくなり、「まごころ宅急便」は他地区に広がりました。

今では各自治体と協定を結び、全社で取り組むようになりました。

これは、現場で日々現実と向き合っている人たちだからこそ、「コレやりたい!」という強いパッションを持って生み出せる事業です。

「低成長時代」と言われる現代ですが、現場には数多くの課題があります。
現場にいる人たちだからこそ、そんな課題が見つけられるはず。

そしてそんな課題に正面から取り組むことで、お客様の課題を解決し、新しいビジネスを生み出し、成長に繋がっていくのです。

 

 

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「今の仕組みは全然ダメ。破壊すべし」というご意見

こんなご意見を時々聞きます。

「今の会社の仕組みは全然ダメ。すべて破壊すべきだ」
「現経営陣は、全員入れ替えるべきだ」

たとえば第二次世界大戦では、旧日本軍の上層部は不合理な意志決定を繰り返し、負け戦を続け、日本は米国に惨敗しました。そしてすべて破壊された後に、高度成長が始まりました。

「今の仕組みが機能していないのだからすべて破壊すべし」というのは、一見正論に思えます。

しかし現実には、第二次世界大戦ですべてを破壊された日本は、昭和20年代前半に飢餓やハイパーインフレにより大混乱が起こり、日本国民はとても苦しみました。高度成長期はその後、朝鮮戦争特需がきっかけで始まりました。

破壊のデメリットは、とても大きいのです。

現実には、今の仕組みの上では今のビジネスが動いています。現行ビジネスを破壊してしまうと、会社そのものが破綻してしまう可能性もあります。

ちょうどターミナル駅のリニューアル工事と同じです。渋谷や新宿のようなターミナル駅では毎日何百万人も乗り降りしています。「これから1年間、工事のため駅を壊すので閉鎖」なんてやってしまうと、社会全体が大混乱になります。

会社の中で実際に現ビジネスに責任を持つ立場からすると、『「すべて破壊すべし」なんて言うけど、現実にそんなことをしたら大混乱だ』というのが、口に出せない本音ではないでしょうか?

組織は継続性も必要なのです。低迷した組織を「破壊すること」が自己目的化してしまい、さらに低迷してしまう事例は数多くあります。

問題は、今の仕組みが、新しい価値を生み出せなくなっていること。そして低迷する企業の多くが、個人の「コレやりたい!」という気持ちを活かせておらず(従って人材も活かしておらず)、仮説検証サイクルも回っていないことです。

ですので私は、むしろ今の仕組みは残したままで、まず小さなところから新しい取り組みを始めるべきだと思います。

たとえば「コレやりたい!」という強い気持ちを持った少人数チームに、予算や期間などの許容範囲を示した上で、自由意志を尊重して自律的なプロジェクト立ち上げを任せてしまう。

このプロジェクトでは仮説検証サイクルを高速で回し、試行錯誤を繰り返しながら、短期間での事業立ち上げを目指す。

この際、旧来型の管理ルールはすべて外す。ただし既存組織の仕組み(会計処理や業務システム)はそのまま使えるようにする。

そしてそのような取り組みを、様々なところで行う。

 

プロジェクトが成功し、新規事業に育つことで、既存ビジネスが徐々に置き換え変わっていくのです。

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第13回『「売れる」仕組みを作る「トルネード式仮説検証」実践編』を行いました

本日3月7日(水)、第13回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回は『「売れる」仕組みを作る「トルネード式仮説検証」実践編』。前回の基礎編を元に、実際にこの方法を行う際に、職場で直面する問題と対応策についてご紹介しました。

ちなみに今回から、大手町駅から徒歩数分という新会場での開催です。(便利になりました!)

皆様からは、こんなご感想をいただきました。

■前回からより具体的になりわかりやすかった。Q&Aで深掘りできた。次回の事例編が楽しみ。

■問題点で挙げられていた「議論しっぱなし」は組織でよく陥りがちな問題であり、解消するためには誰かがアクションプランを決めることをリードしなければならない。リードする人間にならないと物事を進めることができるビジネスパーソンになれないと思った。

■セミナーで学んだことを実際の仕事の現場で実施することは簡単なことではなく、しばしば挫折しますが、今回のように「実践編」として事例を示していただければ非常にありがたい。

■「人」のやる気を出させることは大切だと思うので、本人の納得があるとなしとでは違うなと感じました。異動の説明も、ちゃんと情を含めて配慮しないと、結果的に生産性は落ちますね。

■仮説検証の問題と対策がシンプルでわかりやすく、マネージャーとしての現業の進め方を見直す良いきっかけになりました。

■トルネード式仮説検証について、詳しくすることができ、良かったです。まずは新しい職場で、「思い込み」ではなく「仮説」を立てて、仕事に臨んでみます。

■もう少し具体的な事例、生々しい話をお聞かせいただけると嬉しいです。永井さんの社内試験のお話しは面白かったです。

■自分の部署で使いたい。

■現在の抱えている問題につながっている話で、大変勉強になりました。

■「問題と対策」で具体的な話を聞けて理解が深まりました。本の出版が楽しみです。

■いつも実例が多く、自分の置かれている現場に置き換えて講義が受けられるので勉強になっています。参加者の方々の質問も勉強になっております。

■前回のトルネード式仮説検証から、一歩踏み出して、いかに自分たちの仕事・ミッションと重ね合わせていくか、自分自身の課題も浮き彫りになったように思います、次回の事例編が楽しみです。

 

次回の朝活勉強会「永井塾」は2018年4月4日(水)開催。テーマは『「トルネード式仮説検証」事例編』です。実際に成長している企業3社のトップに、どのように仮説検証を社内で実践しているかをインタビューした結果をお話しします。規模も状況も異なる3社ですが、いずれも、個人の想いたパッションを大切にするとともに、事実も重視し、仮説検証から学び続けて成長していることがおわかりいただける内容になります。

詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

 

 

 

 

試験不合格は、あなたが悪いのではなく、回答を間違ったから

私はいつも「失敗から学ぼう」とご提唱していますが、講演でこんなご意見をよくいただきます。

『そうは言っても、失敗は怖いし、嫌なものです。「失敗から学ぶ」のは理想ですが、難しさも感じています。どのように考えればいいのでしょうか?』

誰もが「絶対に成功させる」という強い想いでプロジェクトに取り組んでいます。失敗して気持ちが落ち込むのは、人間として当たり前のことです。時には心が折れそうになることもあるでしょう。

ここで必要なのは、「失敗したのは、自分が悪いのではない」と考えることではないでしょうか?

失敗には必ず原因があります。
たとえば試験で不合格になったのは、自分が悪いからではありません。
試験の回答を間違ったからです。
だから間違った箇所を把握し、正しく回答できるようになれば、合格します。
「自分が悪かった」と自分を責めるだけでは、次も不合格ですよね。

できるだけ早く「自分が悪いのではなく、どこかに必ず原因がある」と気持ちを切り換えて、原因探しを始めることではないでしょうか?

原因探しを「成長の大きなチャンス」と考え、ゲーム感覚で楽しめるようになればしめたもの。そうして失敗を乗り越えれば、必ず成長します。

「あの人は失敗しても落ち込まない。楽しそうに再挑戦している」という人がよくいます。その人は、決して精神がタフなのではありません。失敗の捉え方が少し違うだけなのです。

その人も「絶対に成功させる」という強い想いでプロジェクトを進めています。しかし心のどこかで失敗を前提に考えて、「万が一失敗したら、こうしよう」と事前に対策も考えています。だから失敗からの立ち直りが早いのです。

 

 

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若い人の芽を育てるには、許容量を決める

朝活勉強会「永井塾」で仮説検証の考え方をお話しした後、こんなご質問をいただきました。

仮説づくりについて、質問です。自分はマネージャーですが、「若い人に余計なことをいうと、可能性の芽を摘んでしまうのではないか」と思っています。その辺りの「さじ加減」は、どのように考えればいいのでしょうか?

おっしゃる通りで、「経験が少ない」ことは必ずしも悪いことばかりではありません。

確かに経験が少ないと、経験者にとっては既知の落とし穴が見えず、失敗を重ねることもあります。
しかし経験が少ないからこそ、先入観に囚われず、斬新な発想で新しいことを始めることもできます。

ザッカーバーグが大学在学中に「女子生徒のランク付けサイト」を作り総スカンを受けて閉鎖し、そこから学んでFacebookの原型を作ったのも、江副浩正さんが東京大学在学中に「就職希望者と企業を広告で結びつけられないか?」と考えてリクルートを創業したのも、未経験だったからです。

既に過去の経験を蓄積した人にとっては、「それはダメでしょ」と思うことでも、時代が変わり大きな可能性があることが多いもの。一方で、既に失敗がわかっていることは事前に教えてあげたい。この狭間で悩んでいるマネージャーは少なくありません。

この方は、そのことを踏まえた上での質問です。

 

私は、1つの方法は「許容範囲を決めること」だと思います。たとえば、

「これだけの予算の範囲なら、自由に使っていいよ」
「いついつまでに、成果を出してね」

という感じです。

ある経営者に仮説検証をどのように実践しているかをインタビューした際に、こうおっしゃっていました。

「僕から見て『6割は間違っているな』と思っていても、本人が『6割は正しい』と思っていたら、『やらせよう』と判断します。チャレンジさせないと本人の成長はないからです」

この経営者はこの人なりの「許容範囲」を決めて、社員に任せています。

マネージャーの役割は、チームメンバーの力を増幅させ、組織として大きな力にすること。がんじがらめに管理すると、マネージャー個人の器以上のモノが出てこなくなります。

そのポイントの1つが、「許容範囲を決める」ことだと思います。

 

 

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あなたの「弱み」は、「強み」になる

 

ワークショップ後、こんな質問をいただきました。

『「強みを考えよう」ということですけど…。自分の弱みは沢山見つかるのに、強みなんて見つかりません。どのように考えればいいんですか?』

確かに「自分の強みガ見つからない」という人、とても多いのですよね。
実は強みと弱みは表裏一体です。どちらもあなたが持つ「資質」が生み出しています。

たとえば私は、事実に即して考えないと、どうもムズムズします。これが私の資質のようです。

マーケティング戦略を考える際には、現実的に考えますし、筋が悪い戦略に出会うと「この戦略の問題点は、コレ」、よい戦略に出会うと「この戦略はここが素晴らしい」と割とすぐに気がつきます。これは「事実に即して考えないとムズムズする」という資質が「強み」になった例です。

一方で若い頃は、この資質が弱みになっていました。

私は新卒で、日本IBMの製品開発研究所に配属になりました。研究所は機密保持のためにセキュリティ管理が厳重で、入口には守衛がいて社員証を一人一人チェックし、ドアというドアにはセキュリティバッジがないと入れないようになっていました。

入社数ヶ月後、地方の営業所に営業実習に行きました。研究所と違い、営業所は出入り自由。そこで営業実習日誌にこう書きました。

『今日、気がついたこと。営業所では、セキュリティ管理をしていない」

営業実習日誌は、営業所や所属部門の課長がチェックします。営業所の課長は「そんなことはない!」とやや怒りのコメント。数日後、私の上司から電話があり、「永井さん、ああいうことは書くものではないよ」。でも私はこう答えました。

「え?だってセキュリティ管理をしていないのは、事実ですけど」

これは「事実に即して考えないとムズムズする」という資質が「弱み」になっている例ですね。ちなみに「気配り」という言葉を覚えたのは、それからしばらく経ってからのこと。社会人としてはちょっと遅めでした。

資質を悪い面から見ると「弱み」になり、よい面から見ると「強み」になります。

ちょうど「火」の良い点が「ものを温める」、悪い点が「火事の原因になる」というのと同じで、本質的に人の資質は性質であり、「いい」も「悪い」もありません。

せっかくならば自分の資質に向き合い、「強み」を引き出したいものですね。

 

 

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浜松商工会議所様で、ワークショップを行いました

2月15日に浜松商工会議所様が主催された「浜松地域新産業創出会議」で、半日の「お客様が買う理由を、いかに作るか? 」ワークショップを行いました。(イベントのご案内文はこちら

浜松の企業様から、20名以上の方々が参加されました。

浜松は34年ぶりです。日本IBMの新入社員だった1984年、開発部門に配属された私は、ここ浜松で営業実習の機会をいただき、営業の先輩方について数週間お客様を回りました。思えば会社で「お客様」と初めて出会ったのが、ここ浜松でした。34年が経ってすっかり街の様子も変わっていました。

今回は、下記内容で進めました。

13:00-14:00 講義「お客様が買う理由をいかに作るか?」
14:00-14:30 ワークショップ「お客様が買う理由を作る」
14:30-14:45 (休憩)
14:45-15:45 各チーム代表から、ワークショップの成果発表
15:45-16:30 講義「お客様が買う理由を検証する」
16:30-17:00 質疑応答

皆様からのご感想です。

■敷居が高いと思っていたマーケティングの世界にようやく足を踏み込めた気がします!現状と照らし合わせて考えていけたので、とてもわかりやすかったです。早く職場に帰りたい!と、いい意味で思えました。いろいろとやりたいことが湧いてきました。有り難うございました。

■いいものを作っても売れないという疑問への解決方法のスタートが切れそうな気がしました。

■失敗の定義を変えるよう、社内でも働きかけたいと思いました。仮説検証のやり方を改めてみようと思いました。まずは実行!

■徹底的に顧客ニーズを理解すること。仮説を立てること(仮説と目標は違う)と検証すること。この2点は当たり前のようで、やはりできていないことを再認識し真下。今後、すぐにでも取り入れたいです。

■発表に対するアドバイス、有り難うございました。自社の強みを再認識して、ニーズとの組み合わせを変えていきたいと思います。

■徹底的に顧客ニーズを理解する。仮説を立てる。検証すること。など出来ていないことで再確認できた。今後すぐにでも取り入れたい。

■成果を出すため、重要な事を中途半端にしていた事に気づいた。

■自社の強みが自己満足の押しつけになっている事に気づいた

■「チャンスは雨のように降り注いでいる」意識レベルを高くし、チャンスを見落とさないようにします

■事前に本を読んでいたが、モチベーションの話やトルネード式仮説検証など載っていない内容も聞けてよかった。

■わかりやすくていねいな解説で非常に良かった

■始めはついていけるかと不安でしたがワークして行く上で理解が深まりよかった

 

ご参加いただいた皆様、有り難うございました!

 

 

 

間違いだらけの仮説検証。ダメな3パターン

「仮説検証に取り組みましょう」というと、こんな答えがよく返ってきます。

「仮説検証?そんなの当たり前にやっていますよ」

しかし実際にちゃんと仮説検証プロセスが回っているのは、驚くほど少ないのが現実です。

仮説検証プロセスは丸い円で描くことが多いのですが、実際にはらせんのようにグルグル回しながら、あたかもトルネード(たつまき)のように上に進化していくイメージです。

ダメなパターンでは、このトルネードが回っていません。大きくわけて3パターンあります。

■ダメ1:継続しない(1回しか回さない)

こんなパターンです。

「仮説検証、やってみましたけどね。ダメでしたね」
「何サイクル回しましたか?」
「1サイクル回しましたよ」

本来の仮説検証は、何回も回し続けることで学びが急速に蓄積していくもの。1回だけでは学びは溜まりません。

■ダメ2:やりっぱなし(半周しか回さない)

「100%完璧な計画を作ろう」とばかり、計画段階でプロジェクトの大部分のヒトモノカネを投入。根回しも完璧に実施。そしてやって実施します。しかし実際にやってみると問題百出。そこで計画を修正しようとすると、根回しした人たちから「話が違う」と言われたりしてなかなか修正できません。

■ダメ3:そもそも仮説がない(そもそも回っていない)

営業チームで前期の営業成績が悪かった場合の反省会がこうなりがちです。たとえば目標を10%下回った場合、こんな議論をするケースです。

「売上げ目標を達成できなかったのは、X社の案件落としたからだ。営業への指導を徹底しよう」

これは単なる反省会です。対症療法なので問題は再発します。そもそもの仮説がないからです。売上げ目標は仮説ではありません。「その売上げ目標をいかに達成するか」が仮説です。

 

本来の仮説検証はこうなります。

(仮説)現案件40件中、提案20件、成約10件を目指した。
(実行)提案30件、成約9件だった。
(検証)提案は5割増だったが成約が1割減。提案で課題把握が甘かった。
(対応)営業チームで課題把握の徹底を図ろう。

 

仮説検証をちゃんと回せば、問題を生み出している根本原因に近づくことができ、学びが確実に蓄積され、スピーディに成長していくのです。

 

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人生100年時代!辛い?楽しい?

「人生100年時代」と言われます。
60歳定年でも、残り40年。年金も繰り上げ支給になりました。

「昔はよかった。定年後は年金支給で悠々自適だった。今は年金も頼れない」

本当にそうでしょうか?

 

国民皆年金が実現した1960年頃の平均寿命は、男性65歳、女性70歳。
60歳定年で引退し、仕事をせずに悠々自適な生活ができましたが、その期間はあまり長くはありませんでした。

 

いまは60歳で定年後、人生100年として残り40年もあります。一方で現在の40代・50代は「年金には頼れないかも」という漠然とした不安があります。60歳で定年を迎えても、仕事は続けざるを得ないわけです。

これを「辛い」と感じるか、「楽しい」と感じるか、です。

「仕事が苦痛」と感じる人にとっては、辛いですよね。

しかし「やりたい仕事をやっている」という人にとっては、こんなに「楽しい」ことはありません。
80歳まで仕事を続けるとしたら、プラス20年も楽しめるわけです。

そのために大切なのは、「自分という商品づくり」を常に考えること。

そして自分の商品価値の賞味期限が切れないように常に磨き続けることだと思います。

私はいま56歳ですが、まだ最低30〜40年は仕事を続けたいと思っています。今の仕事が大好きなので、とてもワクワクしています。

 

せっかく与えられた「人生100年時代」、大いに楽しみたいですね。

 

 

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あえて期待値を下げ、新ビジネスを生み出す

朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

『永井さんはいつも、「顧客満足=提供価値−事前期待」といってますよね。
自分の業界ではお客様の期待値がどんどん上がり、現場での負担が多すぎるのが現実です。
「逆に期待値を下げて、顧客満足を高める」って、アリなのでしょうか?』

実はまさに最近、そんな経験をしました。

私は毎月、決まった理容室でカットします。まずカット数日前に理容室に電話して担当理容師さんを予約。「この日時がいいな」と思っても理容師さんがお休みのこともしばしば。数日後にカットします。軽くマッサージしてくれたり、洗髪や整髪料をつけたりして料金も結構します。1時間ほどかかります。行き帰りも1時間。

つまりサービスは、カット、洗髪(シャンプー・リンス・トリートメント)、整髪料、マッサージ。一方で私のコストは、数千円の料金+合計2時間の時間。手厚いサービスは料金に見合っているとは思いますが、「時間がもったいないなぁ」と感じることもしばしば。

ある日、近所にQBハウスがあるのを見つけました。ご存じの通り10分・1080円でカットしてくれます。
「技術はどうかな?」と思ったのですが、店の入口にある説明を読むとしっかりしているようです。
入口には緑・黄・赤のランプがあり、待ち時間もわかります。この日は黄色で待ち時間5〜10分。2名待ち。「ものは試し」と入ってみました。

まず自動券売機で1080円のチケットを購入。椅子に座り順番を待ちます。座った順番に散髪。場所取り不可という割り切り。店員は理容師さん2名だけなので順番管理はしていません。

すぐに私の順が来ました。以前カットした直後のスマホ自撮り写真を見せ「これでお願いします」。カットが始まりました。バリカン、はさみはすぐ手に届く所にあり効率的です。一通りカットが終わりスタイル確認。意外といい仕上がりです。この後、普通の理容室だと切った髪を洗い流すのですが、ここでは天井から下がっているエアシャンプーという強力掃除機で吸い取ります。ちゃんと吸い取り、切った髪は残りません。

12分ですべて終了。待ち時間込みで20分弱。

いつもの散髪と比べて数分の一の料金。しかも1時間40分も早く終わりました。
おかげでこの日、記事を一本余分に書けました。

QBハウスは「髪のカット」という理容室の本質的なサービスに特化し、カットに関しては必要十分な技術を持っています。そして「洗髪」「整髪」「マッサージ」「店員が待ち順番を調整」といった付随サービス(=過剰サービス)はすべてやめ、「レジ打ちする」作業も廃止、お客さんが自販機でチケット購入するなど徹底的に合理化しています。

さらに洗髪不要なので店の水回り工事が不要になり、出店コストを大きく下げ、出店場所の制約もなくなります。

QBハウスでは常にカット待ちのお客さんがいます。顧客回転数を上げて、数分の一の低価格でもビジネスが成り立っています。

2017年、QBハウスは独自性がある優れた戦略を実行し高い収益性を達成・維持している企業を表彰する「ポーター賞」を受賞しており、「投下資本利益率、営業利益率ともに5年間の業界平均を大幅に上回っている」と評価されています。→詳細はこちら

 

冒頭のご質問の通り、時代と共に、お客様の期待値は常に上がっています。
しかし同時に、時代と共に、お客様が不要と感じる過剰サービスもいつの間にか生まれています。それらについては、あえて期待値を下げてもいいはずです。

QBハウスは一見当たり前の過剰サービスを見直し、それらは顧客の期待値を下げ、「低料金で迅速なサービス」という新たな価値を提供しています。

 

あの旅館「加賀屋」も、かつては宿泊客が到着後、茶菓子・煎茶・浴衣・観光パンフレットと、客室係が一つ一つ、8回訪問して部屋に持ってきていました。1時間かかることもありました。「できるだけ部屋に伺い、お茶を差し上げるのが理想の接客」と考えられていたためです。しかし到着して早く温泉に行きたいお客さんにとっては過剰サービスです。そこで2017年から訪問は3〜4回程度に減らしています。(参考:日経ビジネス2018.1.22 特集『「おもてなし」のウソ やればやるほど顧客は逃げる』)

 

過剰サービスを見直すことは、新たなビジネスを生み出したり、既存ビジネスを強化するための切り口になり得るのです。

 

 

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「解決すべき問題?特にないけど」は、思考停止である

 「まず『解決すべき問題が何か?』を考えましょう」と言うと、こんなご返事が返ってくることが少なくありません。

「解決すべき問題?うーん、そんなの特にないけど…」

 これは、かなりヤバイ状況です。

「解決すべき問題」とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップです。

この「あるべき姿」とは「こんな未来にしたい!」というあなたの想いでもあります。あなたがそのような想いを持っていれば、必ず「現状」との「ギャップ」が見つかるはずです。

これを絵にすると、こうなります。

もし「解決すべき問題?そんなの特にないけど…」と考えていたとしたら、それは「あるべき姿」のレベルが低すぎるのです。「思考停止状態」です。こんな人が多いと、組織は衰退する一方です。

ビジネスとは、「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋める問題解決そのものです。次々と「解決すべき問題」が見つかる組織は、発展している組織なのです。

では「解決すべき問題」が見つかったら、どうすればよいのでしょうか?

「現状」と「あるべき姿」のギャップを埋めていくことです。
ここで役立つのが仮説検証の考え方で。仮説検証の出発点は、「あるべき姿」と「現状」のギャップ把握から始まるのです。

そのための方法論を「トルネード式仮説検証」と名付けて、次回2月7日の朝活勉強会「永井塾」でご紹介します。昨年11月の永井塾でご紹介した内容を、4月出版予定の新著にあわせて大幅にバージョンアップした内容になります。

ご興味がある方は、ぜひご参加下さい。当勉強会の参加方法は、メルマガでご案内しています。

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第11回『質問大会』を行いました

1月10日(水)、第11回朝活勉強会「永井塾を行いました。

今回は、参加される皆様から事前にご質問をいただき、お答えするスタイルで進めました。

こんなご質問をいただき、個別にお答えしました。

■永井さんが起業に踏み切った経緯と、採算が取れると思った根拠はなんでしょうか?

■会社で仮説検証のテーマで講演することになりました。気をつけるべき点を教えて下さい。

■既存事業と新規事業の共存・両立について。会社の規模が大きいほど、社内起業は難しい傾向があります。社内新規事業の成否を分けるポイントや、「これはほぼ確実に失敗する」というパターンを教えて下さい。

■縦割り意識が強い組織を破壊するためのアクションについて。会社もトップが様々なプロジェクトを立ち上げていますが、兼務者が多く片手間になっているのが現実です。

ご参加下さった皆様、有り難うございました。

 

次回の朝活勉強会「永井塾」は2018年2月7日(水)開催です。次回テーマは『売れる仕組みを作る「トルネード式仮説検証」』。4月に出版する本の内容を事前に公開します。メルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

 

 

「健全な怒り」があるか?

講演で、こんなご質問をいただきました。

「永井さんが本を出版した経緯について、とても興味を持ちました。
本を書く原動力は、仕事の経験や読書から得られた知識なのでしょうか?
あるいは、思いついたアイデアが原動力になっているのでしょうか?」

確かに本を書く上で、知識やアイデアはとても重要です。

私の場合、自分のビジネス経験の棚卸し、色々な本を読みこんで理論の裏付けをとり知識を整理して全体の骨格を決め、アイデアを出しながら書いていきます。このように知識もアイデアも、本を書く上で重要です。

しかしそもそも本を書く原動力は、「これを書きたい!」という衝動、いいかえれば「健全な怒り」です。

「100円のコーラを1000円で売る方法」を書いた時には、「なんでみんな価格勝負をするんだろう?」が、その衝動でした。そこで、価値勝負する大切さや方法論を伝えようと考えて、知識を整理してアイデアを出しながら本を書きました。

 

この「世の中をこう変えたい」という「健全な怒り」を持つことは、とても大切です。

松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助さんも100年前に、「(当時は)高価な商品を、水道の水のように、無尽蔵に安く提供すれば、極楽浄土がやってくる」と考えて、「水道哲学」を提唱し、大量生産・大量販売の時代に大きく成長しました。

現代では、自動の家計簿アプリで成長するマネーフォワードの辻社長が会社を立ち上げたのも、ソニーの経理部に所属していた時に感じていた、経理業務の面倒さに対する個人的な怒りがきっかけでした。

 

「健全な怒り」が、世の中を変えていくのです。

あなたは、「健全な怒り」を持っていますか?

今年、その「健全な怒り」をどのように解決していきますか?

 

 

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「成熟社会だから、現状維持でいいのでは?」

先日の朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

「現代は、人口が減っている時代です。『常に変わり続け、成長していくべき』ということですが、『成長は目指さず、安定状態を維持する」という戦略に切り換える考え方もあるのではないでしょうか?」

確かに高成長が望めない今、「ほどほどで安定できればいい」とも考えたくなるのはよくわかります。
しかし実は、現状維持で安定するためには、変わらなければならないのです。

自分は変わっていないつもりでも、周囲は常にレベルアップしているからです。
自分が変わらなければ、周囲と比べると、相対的に衰退してしまうのです。

アップルは2007年にiPhoneを発表、スマホが本格的に普及し始めました。当時のiPhoneは革新的でライバルを圧倒しましたが、その後ライバルたちが登場。しかしアップルは常にiPhoneの機能強化を続け、出荷金額ベースでスマホ市場のリーダーであり続けています。もしアップルが2007年の初代iPhoneのまま何も変えていなければ、あっという間にライバル勢に追い抜かれています。

このようにライバルに圧倒的に優位でも、いつかは追いつかれます。周りの状況も変わり、必ず時代遅れになります。

だから現状維持するためには、常に変わり続けることが必要なのです。

絵にすると、こうなります。

常に変わり続けるか?さもなくば、衰退と死を受け容れるか?

成熟市場だからこそ、現状維持するためには変わり続けることが必要なのです。

 

 

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実験で始まり、実験で見直されるコンビニ24時間営業

24時間営業のコンビニは、もはや私たちの生活の一部。当たり前の風景です。

しかし、一部で見直しが始まっています。

日経ビジネス2017.11.27の記事『「未来のコンビニ」そろり始動」では、ファミリーマート(以下、ファミマ)の実験店舗で、午前0時〜5時の営業を休止し、一部商品を自動販売機での販売に切り換えている様子を紹介しています。以下、記事の抜粋です。

—(以下、引用)—

このような実験に取り組む背景には、人手不足と人件費高騰に対する危機感がある。沢田貴司社長は「現場負担の高まりを痛感している。深夜閉店への反論を(業界内で)よく聞くが、実験してみないことにはわからない」と話す。

—(以上、引用)—

この話を読んだときに思い出したのが、「そもそもコンビニの24時間営業自体、実験で始まった」ということ。

1974年にセブン-イレブン(以下、セブン)がコンビニを始めた頃、コンビニの営業時間は社名の通り朝7時から夜11時でした。この時期、世の中には24時間営業の店はほとんどありませんでした。そんな中でセブンが24時間営業を始めたのは、翌1975年。

当時、深夜まで遊ぶ若者や深夜労働者が増えていました。セブンは「夜中も営業すれば、客の利便性が高まり、売上が拡大するはず」と考えました。しかし当時の常識は今と逆で「深夜に営業しても、客が来るわけない」

そこでセブンは、24時間営業を実験して、本当に売上が拡大するかを確認しました。

場所は当時の店舗で一番北にあった福島県内の直営店。「条件が悪いところで売上が伸びれば、どこでも24時間営業が成り立つ」と考えました。結果は、日販売上は63%も上がり、1日の来店人数も700人強から1200人近くまで増え、大成功。その後、東京江東区や神奈川県相模原市での実験も同じ結果でした。そこで24時間営業を開始した。

1975年、コンビニ24時間営業は、セブンの実験により始まり、常識になりました。
そして42年後の今、今度はライバルであるファミマの実験により。24時間営業の見直しが始まっています。

 

常識をくつがえすようなアイデアを机上でいくら議論しても、なかなか正解には至りません。
それならば、サッサと実験でサクッとやってみて、検証した方がはるかに速いし、確実です。

 

皆さんがお持ちのビジネスのアイデアも、議論に時間をかけすぎずに、サクッと簡単な実験を行ってみれば、新たな発見が得られることが多いはずです。

 

 

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「嫌われる日本人」は、かつて高く評価されていた

先月末の産経新聞の記事「米のハイテク業界で嫌われる日本人 そのわけは?」が、話題になっています。一部引用します。

—(以下、引用)—

日本人が「嫌われている」のだという。米国のハイテク業界での話だ。先日、業界事情に詳しい企業幹部と話した際、最先端ベンチャーが集まるシリコンバレーや、先進的研究で知られる大学を訪れる日本企業に話題が及んだ。(中略)

ところが、日系企業関係者の訪問は「視察」や「情報収集」が主体で、事業への具体的な投資話に進まない。生き馬の目を抜く世界を生きるベンチャー経営者にとって、ビジネスに結びつかない時間がとられるのは「迷惑だ」というのだ。

米国に出向く担当者が、日本の本社から、投資判断や資金決済の権限を持たされていないので、当然の結果だ。そう分析する企業幹部は「『決断しない』日本企業の評判が業界に広まりつつある」と警告する。

—(以上、引用)—

この記事に対して、ネットでは「なんだかなぁ」「すごくわかる」「いまだに視察とか情報収集?」という意見が多く寄せられています。

実はこの日本人の行動、かつてかのドラッカーが高く評価していたことをご存じでしょうか?
ドラッカーの著書「エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則」のp.150に、次のような一節があります。

—(以下、引用)—

…日本では、意志決定で重要なことは問題を明らかにすることである。そもそも意志決定は必要か、そもそも何についての意志決定かを明らかにすることが重要とされる。この段階でのコンセンサスの形成に努力を惜しまない。この段階にこそ、意志決定の核心があるとする。…

(中略)

アメリカでは、ライセンス契約の日本側の交渉相手が数力月ごとにチームを送りこみ、交渉のごときものを始めからやり直す理由を理解できない。一つのチームが克明にノートしていく。ひと月半後には、同じ会社の別のセクションが、初めて話を聞くという態度で克明にノートしていく。信じられないであろうが、これこそ日本側が真剣に検討している証拠である。

(中略)

こうして、われわれが決定と呼ぶ段階に達したとき、日本では行動の段階に達したという。日本では、この段階で意思決定の責任を「しかるべき人間」に任せてしまう。誰がこのしかるべき人間であるかを決めるのはトップマネジメントである。そして誰に任せるかによって問題に対する答えも決まってくる。コンセンサス形成のプロセスで、誰がどのような考えを持っているかが明らかになっているからである。

(中略)

日本流の意思決定は独特のものである。日本社会特有の仕組みや組織の性格を前提とするものであって、どこでも使えるものではない。だがその基本は、日本以外でも十分に通用する。それどころか、これこそ効果的な意思決定の基本である。

—(以上、引用)—

ドラッカーはこの文章を1973年に書きました。「日本人がコンセンサスを作るのは、問題を明らかにするため。解決策は担当者に任せ、トップは解決策に関与しない」というドラッカーの洞察は、実に的確です。

なぜ日本企業では、コンセンサス形勢に時間をかけ、仕事がスピーディに進まないのか?
なぜ個人が、なかなかリスクを取ろうとしないのか?
なぜトップが、不祥事が起こっても現場を掌握できないのか?

これらの問いに、まさに見事に答えています。
ドラッカーが「日本流の意志決定は、効果的な意志決定の基本である」と述べた1973年、確かにこれは日本企業の強みでした。

しかし40年以上が経過して、世の中が大きく変わりました。
激しい変化が常に起こるようになり、じっくりコンセンサスを取っていては遅れを取るばかり。
かつての強みは今や弱みに転じています。

問題は低迷する日本企業が、かつての強みが弱みになっているのに、40年前の意志決定方法を変えていないことです。

時代と共に、意志決定方法も、リーダーシップのあり方も、しなやかに変えていくことが必要なのです。

 

 

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一見ユルいチームが、爆発的なエネルギーを生み出す理由

講演を終えたら、こんなご質問をいただきました。

「今日のお話しで、『あるべき姿」と『解決すべき問題』が見えてきました。
 ぜひ社内で新たな挑戦を始めたいと思います。
 その組織づくりのアドバイスはありますか?」

ここで致命的な間違いをする会社員は、決して少なくありません。
「正式な組織を作らなければいけない」と考え、プランを作って、上司に相談するのです。
これは典型的な失敗パターンにはまります。

なぜか?

まず、会社で組織を作るのは、根回しや予算取りなど、意外と大きな労力が必要です。
しかしその労力にかけている間は、『解決すべき問題』は放置されたままです。

また会社で正式な組織作りをしても、『あるべき姿』を実現したいという想いを持つ仲間が集まるとは限りません。色々な「大人の事情」で異動せざるを得ない人が集まることも少なくありません。これでは強力なチームは作れないのです。

では、どうするか?

ユルく出入り自由のチームを作ることです。
まず『あるべき姿』と『解決したい問題』に賛同する仲間を見つけます。
そしてパートタイム感覚で、『解決したい問題』について話し合い、問題意識や方向性をすりあわせていきます。
「なんか違うからやめる」という人は、抜けてもOK。
「噂で聞いたんだけど、参加していい?」という人は、大歓迎。

「こんなユルくていいの?」と思うかもしれませんがOKです。
何よりも大切なのは、自発的でやる気があるメンバーが集まること。
このプロジェクトチームが、志を共有した強力なチームに育ち、爆発的なエネルギーを生み出すのです。

「日本一の星空」の阿智村も、「阿智村の地域づくりをしたい」という少人数の仲間が集まって始めました。

このように、ある目的を達成するために組織を超えて集まるチームのことを、「プロジェクトチーム」と呼びます。

世の中の変化が激しい現代だからこそ、志を同じくするメンバーが、組織を超えて柔軟に集まることが大切なのです。

 

 

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ダメモトで始め、いつの間にか成功する中国人から学べ

中国は「低コストの世界の工場」から抜け出し、ドローンやシェアライド、さらにキャッシュレス社会といった新しいビジネスを生み出し、経済は成長しています。一方で、日本は今ひとつ元気がありません。

私はIBM在職中、中国の人たちと仕事をすることも多かったのですが、「彼らのビジネススタイルからは、学ぶべき点が多い」と実感しています。

たとえば1998年のこと。
当時の中国IBMは、日本I BMや韓国IBMよりもずっと小さい売上でした。
私はIBMアジアパシフィックで、ある製品のマーケティング担当でした。
中国IBMで事業責任者だった中国人女性の口癖は、「中国ビジネスを成長させたかったら、投資!投資!投資よ!」

常に投資を求めてきました。荒唐無稽なプロジェクトも多く、失敗も繰り返していましたが、彼女は失敗しても堂々としています。アジアパシフィック全体会議でも、こう言い切ります。

「私たちの実行はまったく問題ない。原因は〇〇〇だ。だから次は、□□□をして欲しい」

そして彼女の中国事業は、次第に成長してきました。

ちなみに彼女はIBM社歴20年でしたが、その後、「IBMは大きいわね。意志決定が遅すぎ!嫌になったわ」と言って退職し、香港にあるベンチャー企業の社長になりました。

 

一般的に中国人は、日本人が当惑するほど個人のエゴが強いのですが、裏返せば、「私はこれをやりたい」という考えが明確でシンプルだということ。 そしてダメモトですぐに実行します。

日本人の私から見ると、「危ないなぁ」「これはダメでしょ」と思うことでも挑戦し、ダメとわかると即原因を特定し、即修正します。前言撤回は日常茶飯事。やり方もどんどん変えるし、ハシゴを外されることも少なくありません。しかし当初の「これやりたい」という強い意志は決してブレません。そしていつの間にかうまくいきます。

彼らはダメモトで始め、試行錯誤を執拗に繰り返し、いつの間にか成功させるのです。

 

2016年、上海を中心に中国各地で始まったシェアライドも、瞬く間に1億台も普及し、1年後の2017年には市民の足となって大成功しています。その裏には膨大な失敗があります。しかし数多くの失敗から率直に学び続けて、ビジネスを急拡大させているのです。

 

中国のやり方をすべて真似する必要はありません。日本人には日本人ならではの良さもあります。
一方で、現代はもの凄いスピードで動いています。日本人が好きな根回しや計画に時間をかけすぎていては、縮小するばかり。だからこそ、「やりたいこと」を明確に持って、ダメモトで挑戦して学ぶ彼らのやり方からは、学ぶべき点が多いと思います。

 

 

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かね善様合同研修会@東京で、講演しました

2017年11月16日、総合食品商社のかね善様が東京・品川で実施された合同研修会で、『お客様が買う理由を、いかに作るか?「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題して講演いたしました。今年7月12日に大阪で行った合同研修会の東京版です。

かね善様のお取引先である食品メーカー様を中心に100名の方々がお集まりになりました。

今回も食品メーカー様の事例を加えて90分の講演を行った後、35分の質疑応答を行いました。

質疑応答では、現場で奮闘されておられる皆様ならではのご質問をいただきました。

 

大阪に引き続き、このような機会をいただき、有り難うございました。

 

 

 

 

失敗前提で成長する米国企業。成功前提で低迷する日本企業

朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

「長年ITビジネスに関わっているので、米国企業と日本企業の考え方が全く違うことを実感しています。たとえばウーバーのように一般人の車をシェアする仕組みは、登場した当初は『荒唐無稽なアイデア』としか思えませんでした。でも今は普通ですよね」

まったくおっしゃる通りだと思いました。
これは、彼らが「競争市場が3つにわかれている」ことを理解しているためだと思います。

シェア独占で圧倒的に儲ける市場(大きいところが勝つ)
たとえば、飲料市場(コーラなど)、ITインフラ市場(Google検索など)

各社横並び競争の市場(圧倒的差別化が難しい)
たとえば、自動車業界、かつての日本の家電市場

早い者勝ちの市場(不確実性が高い)
たとえば、ITビジネス

このうち「各社横並びの市場」は、これまで日本企業が得意としてきた市場です。

「早い者勝ちの市場」は米国IT企業が成長してきた市場。カジノで賭けをするようなもので、10件やって1件当たるかどうかという世界です。FacebookやGoogleはこの市場で生まれ成長し、ソーシャルメディアや検索サービス市場で圧倒的シェアを確保し、「シェア独占で圧倒的に儲ける市場」の世界に入り、莫大なお金を生み出すようになりました。そこで得たお金を「早い者勝ちの市場」に再投資し、次のビジネスを生み出そうとしています。(Googleが自動運転に投資しているのもまさにそうです)

いまITがビジネス全体に広がっているので、「早い者勝ちの市場」は急速に様々な業界へと広がりつつあります。だから海外企業は、ITを活用する際には、「失敗してもいい。早い者勝ちなので、むしろスピード命だ」と考え、失敗前提で次々と挑戦します。

ちょうどカジノで賭け金を分散するようなもので、失敗する事業も多いのですが、数少ない事業が大化けし、全体で成長を続けています。そして大化けした事業が多くの雇用を生み出し、人が集まっています。つまりこの流れの中で人材も活発に入れ替わっているのです。

 

一方で伝統的な日本企業は「失敗してはダメだ」「全部成功させよう」と成功前提で考えるので、組織内で根回しし、じっくりと計画を立てて時間をかける一方で、あまり多くの挑戦をしません。挑戦の数が少ないので、成功する数も少なくなります。

加えて、根回ししたり計画を立てている間は、貴重な時間が無駄に過ぎています。「早い者勝ちの市場」なので成功確率はますます下がります。挑戦する数自体が少なく、タイミングを逸して確率も低いので、全体でますます縮小します。

最近、しきりに「現場に権限委譲しよう」「失敗前提で挑戦しよう」と言われるようになりました。これは根回しをしなくても済むように現場にドンドン権限委譲することでビジネスのスピードを上げ、現場では失敗前提で数多くの挑戦を行い、そこで得られた失敗から学び続けるようにしない限り、日本企業は競争に勝てなくなるからなのです。

 

備考:この3つは経営学者のジェイ・バーニーが分類したものです。「シェア独占で圧倒的に儲ける市場」は「産業構造型」、「各社横並びの市場」は「チェンバレン型」、「早い者勝ちの市場」は「シュンペーター型」が正しい名前ですが、私がわかりやすく名前を変えてご紹介しています。詳しくはハーバードビジネスレビュー2017年8月号に掲載されている「世界標準の経営理論」で、入山章栄先生が詳しく紹介しておられますので、ご興味がある方はご一読下さい。

 

 

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「失敗」の定義を変えよう

こんなお悩みをよく聞きます。

「ウチは失敗が許されない。失敗して×がつくと昇進できない」
「失敗できないから、少しでもリスクがあると見送ることが多い」

新しい挑戦には失敗はつきものです。
だから失敗を避けていると、新しいことはできません。
低迷する組織は、失敗をおそれ、新しいことに挑戦せず、衰退し続ける傾向があります。

「失敗」の定義を変えることが必要です。

ルース・ベネディクトは著書「菊と刀」で、「罪の文化と恥の文化」について述べています。
欧米の「罪の文化」では、過ちは告白や懺悔をすることで軽くなります。
一方で日本の「恥の文化」では、過ちは公になることでさらに重くなってしまいます。
「失敗=過ち」と考えるから、日本人は新しいことに挑戦できないのかもしれません。
そして、失敗も共有されません。

「失敗=過ち=恥」という定義を変え、「失敗=学びという共有財産」と考えるべきです。

たとえばマツダの工場では、「失敗大賞」で新しいことに取り組んだ挑戦精神を表彰しています。

発明王エジソンも、「私は失敗したことがない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」と言いました。

一代で日本電産を売上1兆円企業に育てた永守重信会長も、「うちは徹底的な加点主義だ。社員が失敗しても減点しない。能力不足でもクビにしない。しかしどんなに能力が高くても、チャレンジしない社員には厳しい」と述べています。

世の中が激変し未来が見通せない現代では、新しいことに挑戦し、自分たちで未来を創り上げていくことが必要です。
そのために必要なのは、失敗を評価し組織で共有する組織にすること。失敗を認めない組織は淘汰されていきます。

「新しいことをしたい」という個人の想いを尊重し、失敗を認める組織への変革を加速化することが必要なのです。

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第9回『トルネード式仮説検証のススメ』を行いました

本日11月1日、第9回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回のテーマは『「売れる」仕組みづくりのための「トルネード式仮説検証」のススメ』

激変する世の中だからこそ、完璧な計画にこだわらず、「コレやりたい」と思ったら、少人数でプロジェクトを組んで、即実行して結果を出し、成長していく方法をお話ししました。

皆様のご感想です。

「失敗から学ぶというテーマは非常に勇気づけられました。即、今日から仮説検証を実践し、あるべき姿に近づきたいと思います」

「仮説検証をしているつもりでも、実際にはいつも反省会で終わっており、単なる原因確認に留まっていることに気づきました」

「ダメな組織とうまくいっている組織の違いはよくわかりました。一方でダメな組織の中にいるひとは、このような情報にも興味を示さない傾向があると思います。やる気のある若手発信で行ったプロジェクトや、ダメ組織から良い組織に転じた例をもっと知りたいと思いました」

「自分に照らし合わせて考えやすかった」

参加いただいた皆様、有り難うございました!

 

 

ICレコーダーが家庭向けにヒットした理由

「なかなか商品で差別化できない」というお悩みをよく聞きます。

しかし誰でも売れる商品で、もの凄い売上をたたき出している会社があります。
テレビショッピングで知られる、あのジャパネットたかたです。

たとえばICレコーダーはもともと会議の録音用に開発されたもの。
しかしジャパネットたかたでは、これを家庭用に売り出しました。
普通に考えると、「ICレコーダーなんて、家庭で使えるの?」って思ってしまいますよね。

ジャパネットたかたでは、このように売り出しました。

共働きの家庭では、昼間に親子が連絡を取り合うのは難しいもの。そこでテレビショッピングで「ICレコーダーを使えば、簡単に親子で連絡を取り合うことができますよ」と紹介、ヒット商品になりました。

その後、シニア向けに「最近『妻にこの話しなきゃ』と思っていたのに、どうしても思い出せないこと、ありませんか?私もよくあります。こんな時、ICレコーダーに言葉を吹き込んでおくといいですよ」と紹介して、これもヒット商品になりました。

 

ジャパネットたかたは、商品の機能紹介は最低限に留めています。
その代わりに力を入れて具体的に紹介するのは、その商品で暮らしがどのように変わるのか?

ジャパネットたかたでは、常に徹底したお客様目線で「その商品で、お客様の生活がどのように変わるか」を考え、他社でも販売する同じ商品で、新市場を創造しているのです。

ジャパネットたかたの徹底したお客様目線と、それを伝える力から、私たちが学べることは大きいと思います。

 

 

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基本設計、59年間不変!脅威のスーパーカブ

(写真はホンダのサイトより)

 

ホンダの二輪車「スーパーカブ」の累計生産が1億台を突破しました。本当に素晴らしいことですよね。

1958年の初代誕生から、59年。
「前任者の否定」がホンダの文化であり、スーパーカブもモデルチェンジを繰り返していますが、スーパーカブの基本構造は59年前から変わりません。

モデルチェンジのたびに新しいデザインやアイデアが出てくるものの、開発が進むと「これはお客さんは望んでいないよね」ということになり、元の基本レイアウトに戻ってしまうとか。乗り味も初代と最新型はほとんど変わらないそうです。

初代の基本設計がいかに徹底的に極められたものだったかを、物語っています。

そのスーパーカブがいかに生まれたのか?
2017/10/20の日経産業新聞記事「老いぬカブ ホンダの原点」を読んで、よくわかりました。

 

スーパーカブの誕生は、当時ホンダの大番頭だった藤沢武夫さんが、本田宗一郎さんに言った「50ccで底辺が広がらない限り、うちの将来はない」という危機感がきっかけでした。これを受けて宗一郎さんは欧州を見て回りましたが、当時舗装されていなかった日本に合うものはありませんでした。

そこで宗一郎さんから開発陣への指示は「そば屋の出前のお兄ちゃんが、片手で乗れるクルマ」。仕事に役立ち、悪路でも乗りやすい頑丈な乗り物、ということですね。藤沢さんの指示も「奥さんが買ってもいいと言うものにしてくれ」。

この指示を受けた開発陣は必死に考え、クラッチ操作不要で片手で乗り回せるメカニズムを作り、燃料タンクやエンジンを中央に据えて重心を安定させ、スカートの女性もまたいで乗れるようにハンドルとシートの間に広いスペースを設け、さらにエンジンが露出しないようにカバーを付けました。

「そば屋のおにいちゃんが片手で乗れる」という徹底的な顧客目線、さらに「奥さんが買ってもいい」という価格感と価値観。この徹底したわかりやすい顧客中心思考とバランス感覚、素晴らしいですね。

スーパーカブの基本設計は変わりませんが、常に最新技術を活用しています。新しい排ガス規制にも対応、小まめにメンテしなくても故障しないように耐久性も高め、リッター100キロ走る燃費性能も実現しています。

私たちが街中でよく見かけるカブは、59年前の徹底した顧客中心思考を、常に最新技術で磨き続けてきた産物なのです。

 

その一方で、世界はEV、自動運転、シェアなどの新しい動きが生まれています。今後50年、スーパーカブがどのように荒波を乗り切っていくのか、期待されるところです。

 

 

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富士通様「IPシンポジウム」で基調講演しました

本日2017/10/20、蒲田にある富士通ソリューションスクエアで行われたIPシンポジウムで、基調講演する機会をいただきました。

この会場には富士通社員の皆様が200名、さらに他会場やリモートでもビデオ中継で多くの社員の皆様にご参加をいただきました。

このシンポジウムは、富士通様の知的財産イノベーション統括部が年1回主催して開催しています。知的財産イノベーション統括部では、ビジネス上流段階から「コトづくり」を実現するために、知財でビジネスを強化するお取り組みをしておられます。

講演では阿智村の「コトづくり」への挑戦を中心に紹介し、コトづくりやニーズサキドリのために必要な考え方をご紹介しました。質疑応答でも、とても活発なご質問をいただきました。

 

私を育てていただいた古巣であるIT業界の皆様と、このような形でご縁をいただき、有り難く思います。

 

 

やってるつもりで、できていない仮説検証

「仮説検証を、ちゃんとやりましょう」というと、「やっていますよ。(…耳タコなんですけど…)」という答えが返ってくることが少なくありません。しかし現実には、仮説検証のあるべき姿を理解せずに、まったく回っていないことも多いのです。

【できていない仮説検証】
たとえばある営業部のケースを考えてみましょう。
この営業部では、前期の売上目標に対し、売上実績は10%足りませんでした。
そこで営業の鈴木部長が「仮説検証しよう」と営業課長に呼びかけて、反省会が行われました。

鈴木部長 「売上が10%未達だったのは、なぜだろう?」
山田課長 「A社が契約できなかったからです。取れていれば目標達成でした。正直言って、担当営業の粘りが今ひとつだったと思います」
鈴木部長 「担当は誰だっけ?」
山田課長 「佐藤君です」
鈴木部長 「そうか。A社が契約できなかったのは指導不足が原因だな。山田課長は佐藤君にコーチングをお願いします。他には?」
山下課長 「今期出荷予定だった新商品の出荷がずれたことも痛かったですね。あれが出荷されていれば売上が大きかったので」
鈴木部長 「なるほど、問題は開発部だな。商品出荷の件は、私から開発担当の斎藤部長に、『それじゃ困るよ』と申し入れしておこう。他には?」
山田課長 「思いつくのはこの2つですね」
鈴木部長 「以上だな。仮説検証終了。今期も頑張ろうっ!よろしくっ!」

よく見かける光景ですが、これは仮説検証ではありません。
一見すると前期目標を元に反省会を行って議論しています。しかし「犯人捜し」しかしていません。

 

では「あるべき仮説検証」とは、どのようなものでしょうか?具体的に見ていきましょう。

【あるべき仮説検証】
まず、営業プロセスを、次のようにパターン化して考えます。

(1)顧客とのコンタクト → (2)課題と解決策の特定 → (3)提案 → (4)成約

そして期初に、目標売上を達成するために、過去の実績データを元に、このような仮説を立てたとします。(かなりシンプルにしています)

(1)顧客コンタクト数 2000件
(2)課題と解決策を特定した、発掘案件数 400件 (仮説:顧客コンタクト数の20%)
(3)提案案件数 200件 (仮説:発掘案件数の50%)
(4)成約案件数 100件 (仮説:提案案件数の50%)
→ 今期売上 10億円 (仮説:平均案件単価1000万円)

この仮説に対して、結果がこうなったとします。(仮説と違う部分を赤字にしています)

(1)顧客コンタクト数 2000件
(2)課題と解決策を特定した、発掘案件数 600件 (結果:顧客コンタクト数の30%
(3)提案案件数 300件 (結果:発掘案件数の50%)
(4)成約案件数 90件 (結果:提案案件数の30%
→ 今期売上 9億円 (結果:平均案件単価1000万円) →目標に10%未達!!

このように図にするとわかりやすいと思います。

この結果を元に、仮説と実績の差が出た原因がどこにあるのかを議論していきます。たとえばこんな感じです。

鈴木部長 「発掘数と提案数は仮説の1.5倍ですが、成約数が少ないですね」
山田課長 「本来は提案数の50%が成約するのに、30%に留まっています。提案書の品質の問題です。提案書をチェックしましたが『お客様の課題把握が中途半端な提案書が多い』というのが実感です」
鈴木部長 「なぜ提案書の品質が悪かったのでしょうか?」
山下課長 「今期、『売上拡大のために提案数を増やそう』と号令がかかりました。だから発掘数が1.5倍になりました。しかしこの結果、課題把握が不十分な状態で提案する案件が多くなってしまいました」
鈴木部長 「なるほど。言い方は悪いですが『提案書の粗製濫造』ですね…。それは反省ですね。私たちは売上至上主義に陥りかけていますね」
山田課長 「前期の学びは、『数と量を追いかけてはいけない』ということですね」
山下課長 「改めて、『最優先はお客様の課題把握』ということを徹底する必要がありますね」
鈴木部長 「今期は、お客様の課題見極めを徹底して、的確に課題に応えられる案件に集中し、提案の質の向上を目指しましょう」

このように、仮説検証で行うべきは、キチンと当初に立てた仮説に立ち戻り、その仮説を結果と事実で付き合わせて、ギャップが生じた原因を突き止めることです。

両者を比較すると、問題がよくわかります。
前者の「犯人を捜す」の反省会は、仮説に立ち戻らず、結果の数字だけを見た対症療法であり、本質的な問題に踏み込んでいません。
後者の「原因を探す」仮説検証では、数字と事実を元に仮説に立ち戻り、数字に現れない現実を把握している現場のマネージャーと本質的な議論を行い、問題を解きほぐしています。

このように、当初の仮説に立ち戻ることで、新たな学びを得ることができ、仮説を進化させることができるのです。

なお、11月1日に行う朝活勉強会「永井塾」のテーマは、この仮説検証です。現在、参加者募集中です。

 

 

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紀伊國屋書店で「あなたの値打ちを知るワークショップ」を行いました

昨日10月11日、紀伊國屋書店_新宿本店で、少人数による「あなたの値打ちをしるワークショップ」を行いました。

参加された皆様に「自分のバリュープロポジション」を作成して発表いただき、それぞれにコメントしました。

皆様のご感想です。

■自分のアピールの仕方を改めて考える機会となった。検証と繰り返しのループができていないと認識した。マーケティングについてもアドバイスをしていただきましてありがとうございました。

■講義はポイントをしぼっていただきとてもわかりやすかったです。ワークショップで実践でき、理解が深まり、楽しかったです。今後も勉強会などがありましたら、ぜひ参加したいです。

■自分をまとめられたよい機会をいただきました。とても整理されており、今後も考えていきたいと思います。

■自分自身が悩んでいた部分だったので、とても参考になりました。

■前半の講義の部分で、競争しないことの重要性がわかりました。

■また聞きたいです。

 

最後、記念にNHK出版で編集を担当された久保田さんとのツーショットを撮りました。

参加された皆様、サポートしてくださったスタッフの皆様、ありがとうございました!

「セール」でなぜ顧客が離れるのか?対策は?

10年ほど前のこと。

妻と表参道を歩いていたら、ある有名ブランド店で、素敵な女性用ジーンズがありました。定価2万円。とても高かったのですが、思い切って買いました。帰りの電車では手提げ袋を下げながら、「とても高かったけど、いい買い物したね」と二人で話していました。

帰宅する前、近くの駅にあるデパートにある店に立ち寄りました。同じジーンズが売っています。目を疑いました。なんと半額なのです。

最初に自分を責めました。「なんてバカな買い物をしたんだ!」
そしてこのブランドは、二度と定価で買わなくなりました。

 

これは3年前までよく講演でお話ししていたエピソードですが、このほろ苦い10年前の経験を詳しく分析した記事がありました。2017/10/4の日経産業新聞『「セール」消費者利益損なう アパレル業界、商習慣の再考を』です。経産省がアパレル業界の課題を議論するために立ち上げた研究会の報告書について書いています。

—(以下、引用)—

その中の最大の課題の1つが、業界の商慣行だった。報告書は、過剰供給(売れ残り)とセールの悪循環がアパレル商品の原価率や品質の低下につながっていると指摘した。セールが常態化すれば、定価が信頼されず、消費者はセールを待って定価では買わなくなってしまう」

—(以上、引用)—

これはまさに10年前に私が経験したことそのものですね。

記事では、アパレル産業の利益配分イメージの図もありました。

■卸を挟むアパレル
工場製品価格 2,000円
問屋販売価格 6,000円
小売販売価格 10,000円
 →原価率=2割

■ユニクロなどのSPA
工場製品価格 2,000円
小売販売価格 4,000円
 →原価率=5割

普通に売っている服の原価は2割です。消費者から見ると「アパレルの価格って本当に信用できるの?」と感じてしまいますし、ユニクロなどのSPAで服を買う人が増えるのも、無理ありません。

「定価で買うお客さん」は、優良顧客です。この優良顧客が損をして、安値狙いのお客さん(=バーゲンハンター)が得をするのが、セールです。そして次第に優良顧客は離れ、定価で売れなくなり、売れ残りが増え、安値狙いのお客さんしか買わなくなる。利益もますます減る。悪循環です。

かつての大量生産・大量販売の時代、「大量に商品を供給する。売れ残れば値下げし、セールで売り切る」は勝ちパターンでした。しかしこれは既に賞味期限が切れているのです。勝ちパターンは、時間が経つと必ず賞味期限が切れます。昔のやり方を変えない限り、衰退するだけです。

 

今求められているのは、セールを前提とせず、必要なお客様を見極めて、顧客が必要とする服を、適切な価格で提供すること。SPAモデルに転換するアパレルが増えたり、ネット経由で中古やレンタル服を提供する会社が急成長しているのも、新たな挑戦で新市場を開拓した結果です。

つまり対策は、「かつての勝ちパターン」であるいまのやり方を、徹底的に見直して、変えることしかありません。

アパレル業界に限ったことではありません。勝ちパターンには必ず賞味期限があります。いま勝ちパターンを確立し、成長している企業や業界も、必ず賞味期限が切れる日がやってきます。賞味期限が切れた時、「自らを変えられるかどうか」が問われるのです。

 

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小池さんの強みは、「潮目を見切る勝負勘」だけではない


(写真は都庁サイトより引用)

 

衆議院選挙に向けて、急に世の中が慌ただしくなってきました。

安倍さんは今夏に事前調査し、「今の情勢なら勝てる」と判断して衆議院解散を決めた、と言われています。

しかし9月25日に小池さんが「希望の党」を立ち上げ、事前根回ししていたと言われる民進党が呼応し、本稿を書いている10月2日時点で一大勢力となりつつあります。

 

小池さんは「潮目を見切るセンスが抜群」「勝負感が鋭い」と言われています。
しかしそれだけではありません。
それは、私たちビジネスパーソンにとっても、大きな学びがあるのです。

あなたの同僚やお知り合いでも、正確に世の中の動きを見極めている人は、何人かお心当たりがあると思います。実際に潮目を読み切れるだけならば、そういう人は少なくありません。

しかし潮目を見極めた上で、実際に行動に移せる人となると、途端に数はガクンと減ります。多くの人は、潮目を読み切ってもリスクを考え、行動を躊躇してしまうのです。

潮目を見切った後、初動までの判断が極めて短いのが、小池さんの強みの本質だと私は考えています。

昨年桝添さんが東京都知事を辞任後、都知事選の自民党候補がなかなか決まらないと見るや、小池さんが「後出しじゃんけん」で都知事選出馬を公言し、自民党の公認が得られないとわかると、「崖から飛び降りる覚悟で」非公認で立候補した時も、同様でした。

 

モノゴトが変わるスピードは、ますます速くなっています。
だからこそ、潮目を見切った上で、初動までの判断の短さが、勝負を決するのです。

小池さんが愛読する書が、「失敗の本質」 です。
「失敗の本質」では、第二次世界大戦で日本軍が負け続けた要因を分析しています。共通する要因は、

「事実を客観的に見ようとせず、合理的に判断しない」
「個人が責任を持たないので、判断のスピードが遅く、タイミングを逸する」

このために、「トップが責任を持って、合理的、かつ迅速に判断する」米軍に負け続けました。

 

組織の空気のしがらみに囚われ、合理的な判断ができず、タイミングを逸しているのは、低迷する多くの日本企業にも共通する要因です。

「判断して即動くべき時に、リスクを取れずに判断を保留してしまい、動けない」

その結果、せっかく目の前に大きなチャンスがぶら下がっていても、それをライバルにみすみす取られてしまのです。

 

これを克服するのが、初動への判断の短さ。言い換えれば、事実に基づいた迅速で合理的な判断です。そして「リスクよりもメリットの方が大」と判断したら、即実行です。変化が激しい現代では、初動への判断の短さこそが、多くのデメリットを帳消しにする絶大な武器になり得るのです。

初動への判断が短いから、小池さんは「勝負師」と言われるのです。

 

小池さんには、「政局で動いており、政策がない」との批判もあります。
この議論はひとまず保留した上で、私たちビジネスパーソンが小池さんから学べることは、多いはずです。

(なお本稿は、私の支持政党とはまったく関係ありません。また選挙結果を予測するものでもありません)

 

 

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【書店限定企画】「あなたか」出版記念講演@渋谷 #2を行いました

9月28日、渋谷で『あなたか』(『「あなた」という商品を高く売る方法』)の発売記念セミナー第2回目を行いました。今回は約20名が参加。講演の後、皆さんに実際にご自身のバリュープロポジションを作って発表いただき、講評しました。

参加された皆様のご感想です。

■お話を聞いて突破口が開かれた気がします!ありがとうございました。

■今回は本を購入している前提のセミナーなので、前半部分は省略して、ワークと解説に時間をさくべきと思った。

■直接お話しを聞けて、理解が深まりました。ありがとうございます。

■本の内容や書かれていないことが聞けて、とても勉強になります。

■本を買って、セミナーに参加できるということが、とても面白い仕組みだと思いました。本にのっていない内容も聞けて、嬉しかったです!

■もっと速く知ることが出来たら良かったな!と…。でも決して遅くはない…と考えます。

■本当にありがとうございます。自分の強みを活かし私しか提供できない価値を深掘りしていこうと思いました。本もわかりやすく、今後の参考にします。

■バリュープロポジションを通じて今後の自分の仕事に活かしていきたい。ストーリーを描けるようにしたい。

■ご講演ありがとうございました。実際にバリュープロポジションを考えるのはとても難しかったですが、今後どのように働いていくか、メンバーと向き合っていくか、参考になりました。ありがとうございました!

■時間がタイトで焦りましたが、その分、頭をフル回転させて考えられ、楽しかったです。

■有料でよいので、ワークショップの時間を多く取って、個人的な相談ができる形を取っていただけたら有り難いです。その際は、①副業・独立を考えている人向け、②今の会社で上を目指す人向け、とわけていただけると幸いです。

参加いただいた皆様、サポートして下さったNHK出版の皆様、有り難うございました!