電話で営業支援サービスを売り込む会社

弊社には、営業の電話が頻繁にかかってきます。
この日も、営業の電話がかかってきました。

「御社の営業をご支援します。私どもに新規顧客開拓のお手伝いをさせてください」

普段は営業の電話は「申し訳ありませんが興味ありません」とお伝えして電話を置くのですが、この日はちょうど仕事が一息ついていたタイミングで、少し余裕がありました。前々からこのような営業の電話には興味があったので、勇気を出して尋ねてみました。

「あの、ちょっといいでしょうか?質問があるのですが…」
「はい?」
「御社では、普段はこんなスタイルで営業なさってるのでしょうか?」

お相手の方は(想像もしなかった)という様子でこうおっしゃいました。

「え?…いいえ。弊社では別に営業部隊がいます。(笑)」
「具体的にどのような営業スタイルをなさっているのでしょうか?」
「ええと。他部門のことですし、こちらではわかりかねます」

(悪いことを聞いてしまったなぁ)と思って、営業支援には興味がないことをお伝えして、電話を置きました。

この会社、とても営業効率が悪いと思います。
そもそもアポもなくいきなり営業の電話をしてくる時点で、完全にNGなわけですが…。

いわゆる「ローラー作戦」という営業スタイルです。
電話先がどんな会社で、相手がどんな人かもわからずに、片っ端からのべつ幕なしに電話しています。
この営業スタイルは、既に数十年以上も前に賞味期限が切れています。
この営業をさせられている担当の方(新入社員らしい女性の方でした)も、可哀想です。

ある程度確率した成功パターンを武器に持たせるだけで成約確率は数〜数十倍にアップします。成功すればご本人も達成感を感じて、次の成長に繋がります。にも関わらず、成功率が極めて低い営業スタイルに膨大な手間と労力をかけているのです。非常にもったいないことです。これは会社の経営の問題です。

営業支援が売り物の会社であれば、まず取り組むべきは自社が普段から行っている営業をレベルアップさせることです。今の時代、少しだけでもその手のセールスの方法論を書いた本を読めば、正しい営業スタイルの方法はすぐに学べます。そして成果をあげ、確立した方法論を外販すれば、大きな成果が上がります。

もし外注先の会社が電話をしていたとしても同じ事です。成功確率が低いことは変わりません。外注先なり、外注元が方法論を確立すべきです。

もしあなたが新入社員で入社早々こんな営業をさせられていたら、早めに会社に見切りを付けて新しい会社に移った方が、自分のキャリア上いいと思います。
恐らくそのようなことをさせる会社の文化は簡単には変わらないでしょうし、成長することもないでしょう。

 

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コロナ禍を成長に転じる経営者と、低迷する経営者

新型コロナで、新しいビジネスの種が生まれています。
今までのしがらみも吹き飛びました。

こんな状況で、部下にこんなことを言うマネージャーもいるのではないでしょうか?

「この状況でどうするか、何か考えてみてくれ」

これはちょっと残念なマネージャーです。
本当はこう言って欲しいところです。

「私が責任を取る。何かやってみようよ」

必要なのは、マネジメントではありません。
こんな時こそ、問われるのはリーダーシップです。

決まった目標があり、その目標達成のためにきめ細かく管理するのがマネジメントです。でも今は、アフターコロナはどんな世の中になるか、何をすべきかがよく見えない状況です。

こんな状況で必要なのはきめ細かく管理するマネジメントよりも、何を目指すか明確にするリーダーシップです。しかしリーダーと言えども何をすべきかはわかりません。だからこそ「あえて現場を知る部下に任せる」という方針を明確にするリーダーシップが求められます。

部下を信じ、とにかく仕事を任せ、上司として腹をくくり、責任を引き受けるべきなのです。

経営者も同じです。多くの経営者はこんなことを考えているのではないでしょうか?

「社内に起業家を育てたい。社員の成長を、会社の成長に繋げたい。そして目玉事業を育てたい」

ここまでの問題意識は素晴らしいと思います。問題はその次です。

「社内クラウドファンディングとかは、どうだろう?」
「でも、どうやって評価すればいい?」
「そもそも、誰に何をアサインすればいいのだろう?」

これでは何も新しいモノは生まれません。「全社一丸!」「標準化し、管理する」というマネジメント発想と、イノベーションは水と油だからです。

イノベーションは、異質なモノの組合せです。多様性から生まれ、創発します。そもそも管理不能なのです。では、どうするか?

私は多くの企業様で、組織横断型の全社研修を行ってきて、実感していることがあります。

研修を通じて、社内の多様性に気がつく人は実に多いのです。

「他事業部がこんなことをしていたなんて知らなかった」
「社内協業が必要だと痛感した」
「会社が成長する種が社内に沢山あることが分かった」

実は社内には、隠れた「宝の山」があります。
しかし組織のサイロ化で、隠れた宝の山は眠ったままになっています。

この組織のサイロを崩せるのは、経営者だけです。

有志メンバーを募って組織横断型のイノベーションチームを作りすべて任せるのも、1つの方法です。社内の多様性を活かし、サイロを崩して社員に任せて「イノベーションを促す仕組みづくり」に徹するべきなのです。

このアフターコロナを、今まで停滞していたイノベーションを活性化するチャンスに転じたいものです。

 

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商談のオンライン化は、論客型セールスへのシフトを加速する

先週、ある企業様で法人セールスの研修を行いました。現場のB2Bセールスで尽力しているリーダーの方々が多く参加されました。
研修に先立ちオンデマンド講義で、下記のような話をお伝えしました。

—(ここから)–
B2B営業の世界では顧客の課題を理解して解決策を提供する「ソリューション営業」が主流でした。

このソリューション営業は限界に突き当たっています。顧客の課題は様々。課題把握には時間も手間もかかるし、それに付き合う顧客にとっても、負担です。

私は前職で人材育成部長の時、このソリューション営業から提案を受けたことがあります。1時間の打ち合わせが2回。その後、3回目の商談での提案はイマイチ。商談はそこで打ち切りました。

顧客も「ソリューション疲れ」を感じており、手間がかかるのに売れないのです。
ではどうすればいいか?

新時代のセールスバイブルと呼ばれる「チャレンジャー・セールス・モデル」の著者マシュー・ディクソンとブレント・アダムソンは、全世界6千人の法人セールスを調査して5タイプに分類しました。

■論客型…論議を怖れず顧客に自己主張する
■一匹狼型…自信家で我が道を行く
■勤勉型…誰よりも多く電話し顧客訪問する
■受動的問題解決型…要望には必ず対応する
■関係構築型…顧客のためなら必死に働く

著者らはそれぞれのセールス業績も調べました。

最も業績が悪いのが「関係構築型」。
突出して好業績なのが「論客型」でした。

現代のB2Bセールスでは複雑な問題解決が必須です。顧客の行動を変える必要があります。論客型は顧客に「こうすべき」といういい意味でのプレッシャーを与え行動変化を促します。関係構築型は変化を生み出せません。だからなかなか売れないのです。
—(ここまで)–

その上で研修当日は参加者とZOOMで議論しました。
すると、こんな意見をいただきました。

「コロナのおかげで、論客型になる必要をさらに強く感じます。最近は商談もZOOMが多いのですが、お客様も忙しいので、関係構築型だと商談のアポすら取れません。具体的に議論ができ、解決策提示ができる論客型でないとお時間をいただけません。逆に論客型ならばZOOMのおかげで1時間の商談が20分で済むし移動も不要なので、商談の生産性はもの凄くアップします」

これは私も実感しています。私もお客様との商談では必ず課題を伺って提案をするようにしているのですが、大抵は20分で打ち合わせは終了します。

コロナ禍で日本のセールススタイルも良い方向へ変革していきそうです。

 

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もはや消費者はコントロールできないという実験

マーケターがよく使う手法に「おとり効果」があります。
こんな実験があります。

被験者を2グループにわけて、Aグループにはカメラ2台(2万円と3万円)から1台を、Bグループは1台(5万円)を追加しカメラ3台から1台を選ぶ実験をしました。結果、Bグループの方が3万円のカメラに人気が集まりました。5万円のカメラがおとりになり、3万円のカメラに誘導した結果です。

この手法は実際の店舗でよく使われてきました。

しかしいまの消費者は、カメラを購入する際に大抵はスマホでチェックします。
この方法はいまでも有効なのでしょうか?
実際に実験した人がいます。

ある研究者は、オンラインショッピングと同じように様々な価格情報や消費者レビューを見せた上で、同様の実験をしました。するとおとり効果は跡形もなく消え去ってしまいました。考えてみれば当たり前ですよね。
(ちなみにこれはイタマール・サイモンソンとエマニュエル・ローゼンの著書「ウソはバレる」で紹介されていた実験です)

現代の消費者は、マーケターが思うように簡単に操られません。
消費者の脳が進化したからではありません。
テクノロジーが進化したためです。

私たちマーケターは、「消費者はもはやコントロールできない」という事実を受け入れた上で、マーケティングを考えるべきなのです。

 

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顧客目線が難しい理由

顧客目線に立つのは、本当に難しいですね。

顧客目線で徹底的に考え抜き顧客インタビューを何度も行って商品や広告メッセージを創り上げ、「これだけ考え抜いたから絶対大丈夫」と思ったのに、顧客がまったく反応しない、ということは実によくあります。

「刺さる広告」(レックス・ブリッグス&グレッグ・スチュアート著)を読んでいて、その理由を端的に述べている一文に出会いました。

マーケターは家族や恋人と過ごすよりも自分のブランドと過ごす時間のほうが長い。だが、消費者がそのブランドについて考えるのは、一度に数秒に過ぎない。

少し補足します。

私たちは顧客の様々な調査情報を元に顧客のことを考えて、商品をデザインし、時間をかけて考え抜きます。社内外の人達にも声をかけて大勢で考え、完璧なメッセージを創り上げます。膨大な時間をかけるわけですね。

しかし顧客はほとんど時間をかけません。

自分が顧客の立場なる、よくわかるのではないでしょうか?

たとえば店頭にある商品は、ほとんど素通り。
あるいは新聞広告は、チラッと「あ、広告ね」と思うだけで、目は記事を追うだけ。
大金をかけたテレビCMも、録画の早送りでスキップされたりします。

私たちが膨大な時間を投下し顧客目線を意識して考えた商品や広告メッセージも、顧客から見たら膨大な他情報の中に埋もれたごく一部です。

私たちが時間をかければかけるほど、顧客と同じ白紙の状態で見ることが出来なくなるという皮肉なパラドックスが起こっているのです。
私たちのレンズは、「自社目線」で大きく歪んでいます。

だからこそ様々な手段を駆使して客観的に消費者の脳内を理解し、検証することがとても大事なのです。

 

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製造コスト50ドルで1000ドル節約する商品。日米欧の経営者の値付けは?

世界的な価格戦略の第一人者であるヘルマン・サイモンとハーバード・ビジネススクールのロバート・J・ドーラン教授は、名著「価格戦略論」の最終章で、日本企業の経営者とのこんな経験を紹介しています。

1980年代後半、ハーバード・ビジネススクールで行った経営者向けセミナーの参加者に「製造コスト50ドルで顧客に1000ドルの節約を実現する製品に、いくらの価格を設定するか」という課題を与えました。

欧州経営者は600ドル、米国経営者は500ドルと答えました。
しかし日本の経営者の答えは、100ドル。

日本の経営者はその理由をこう言いました。

「我々は高い顧客付加価値の実現は我慢し、その代わりに市場の占有を目指している」

30年以上前の出来事で、日本企業が抜群のコスト競争力を持っていた頃の話です。

今やコスト競争力はアジア諸国の方が優れていることが多いのですが、「高い顧客付加価値は我慢して、市場占有を狙う」という考え方は日本流商売の遺伝子に深く刻み込まれているようにも感じます。

日本流商売の源流を遡ると、江戸時代後期、享保時代に活躍した石田梅岩の思想に辿り着きます。

梅岩は「経費を3割節約し利益を1割減にせよ。常に奉仕を心がけ、欲を出すな」と説きました。この思想は日本にとって大きな財産でした。日本は庶民の間にこの考えが拡がった状態で明治維新を迎えて殖産興業を実現し、さらに戦後の荒廃の中から高度経済成長を成し遂げました。

この30年間、日本は高付加価値へのシフトが求められています。
多くの日本企業にとって、高付加価値戦略は初の挑戦です。
しかし日本企業は製品性能に頼りすぎ、感情的便益を無視し、強いブランドを創れていません。

そんな中でも、日本企業の中には、シマノ、マキタのように隠れた高付加価値を築き上げた企業もあります。

今後日本企業が高付加価値戦略を実現するには、これまで疎かにしがちだったブランド戦略と価格戦略の基本を改めて学んだ上で、一見矛盾する梅岩の思想との正反合を図り、日々の仕事で実践すべきなのではないかと思います。

 

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New York Timesは10年かけてサブスク・シフトした


一時期、こう言われていました。

「新聞業界は死ぬ。オンラインニュースは無料だ。現代人はコンテンツにお金を払わない」

現実には、2019年に日経電子版の購読数は2019年に70万人を超えました。
かく言う私も、数年前から日経は電子版で読んでいます。紙の新聞は嵩張るので配達は止めました。

考えてみれば「オンラインは無料、紙は有料」というのは変ですよね。

また無料オンラインニュースは広告で稼ぎますが、「広告にうんざり」という人が多いのも現実。

もともと新聞は、紙の時代から売上の過半が広告でした。
しかし広告はどうしても景気に左右されます。

5月上旬、私は日経夕刊を見てショックを受けました。
広告の数が激減しているのです。この日、広告は合計6件。1ヶ月前(4月上旬)の夕刊では、合計14件でした。
コロナ禍で広告の仕事は真っ先に削られているのが現実です。

ここで参考になるのが、New York Timesの挑戦です。
2007年、New York Timesも広告売上の激減に直面。そこでサブスクリプション(サブスク)モデルへの変革を進めてきました。
図はNew York Timesの過去の決算発表を元に集計した結果です。先日5月6日発表の2019年度決算も反映しています。

この12年間で、不安定な広告売上比率は59%から29%に半減する一方で、サブスク売上比率が33%から60%に増加しています。

サブスク・シフトは収益は安定します。New York Timesでは、年初に年間売上の6割を確保した状態でスタートできます。
ビジネスモデル上は、New York Timesは新聞社というよりも、収益が安定しているSaaS企業と言えるのかも知れません。

一方でサブスク・シフトには時間がかかります。
またサブスク・シフトで一番悩ましいのは、売り切りから定額制に変わることで、売上が一時的に落ちることです。

このように考えると、コロナ禍で需要が蒸発している今はサブスク・シフトに挑戦する絶好の好機なのかもしれません。

(なお、次回6月3日の朝活永井塾は、このサブスクのテーマを掘り下げます。今回はZoomで開催します)

 

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成功の90%は、適切な場所とタイミングに依存する

まさに「ガラガラポンッ」という音が聞こえんばかりに、世の中が急速に変化しています。
マーケターはどうすべきなのでしょうか?

セオドア・レビットは「マーケティングの針路」と名付けられたハーバード・ビジネス・レビュー2001年11月号のインタビューで、次のように語っています。

—(以下、引用)—

「変化と対応こそ生存する唯一の方法」なのです。
「何をすべきか」の答えは、マネージャーの頭の中や社内に存在するのではなく、外部環境によって決まるのです。
ウディ・アレンは「成功の90%は適切な場所とタイミングに依存する」と言っています。
…いつも注意深く気を配り、常に起こっていることに俊敏に対応せよ、ということです。

—(以上、引用)

このレビットの言葉は、まさにいまの私たちに対する言葉だと思います。

まず、周りを見渡してみる。
そしていまこの時に、私たちそれぞれの現場で、この大きな変化に対して、自分の力で何ができるのか?
見て聞いて観察した上で、考え、実行してみる。
そして成功は、場所とタイミングが決めるのです。

物事が短い間に急速に変化しているいまこの現在に、様々な成功のチャンスがある筈です。

 

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今この瞬間に生まれている無数の新規事業の種を掴む方法

新型コロナの影響で、多くのビジネスが止まっています。しかしこんな中でも、新たな需要が次々と生まれています。

ごく一例ですが、在宅勤務が急増したことで、遠隔会議サービス、自宅の仕事環境のグレードアップ、運動不足解消のためのジョギングや筋トレ、といった需要が急拡大しています。

この需要の周辺で、たとえばリモートでエクササイズをレッスンしたり、Zoomを活用した営業の方法をコンサルティングしたり、といった新規事業の種も生まれています。

急速に成長し、まだ誰も勝者がいない新規事業は、実に大きなビジネスチャンスです。
新型コロナのために、いまこの新規事業の種が様々な分野で無数に生まれつつあります。
では、いかにこれらの新規事業の種を掴めば良いのでしょうか?

一つの方法は、他の誰も手に付けていない新規事業を立ち上げること。
しかしこれは、率直に申し上げて至難の業です。

ここで現代のマーケティングに最も大きな影響を与えたセオドア・レビットが1966年に書いた論文「模倣戦略の優位性」で紹介した「かじりかけのリンゴ戦術」が参考になります。要約すると、

成功するには最初にリンゴをかじる必要はない。
果汁がたっぷりある二口目か三口目で十分。
ただし果汁が涸れた10口目ではダメ

ということです。

ただレビットがこの考え方を提唱したのは、54年前でした。
当時は3口目を食べるまで1年くらいは余裕がありました。
現代ではこれがかなり短くなっています。1〜2ヶ月の遅れが致命傷です。
最近の実感では、新型コロナでこれがさらに短くなっている印象を受けます。
2週間前のニュースを見返すと、かなり大昔の話のように思えます。

新規事業の種が次々と生まれつつある今、遅くても2週間程度で3口目のリンゴを探し、実際にかじってみることが必要なのではないかと思います。

「コロナが収まってから、じっくり新規事業を考えよう」としても、リンゴは10〜20口目で芯も残っていないかも知れません。

 

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新型コロナ後の新世界

自粛が続いています。なかなか終わりが見えません。

しかしこの状況も、いつかは治まります。
そして治まった時には、社会構造が変わっている可能性があります。
私たちはそれをどのように見るべきなのでしょうか?

マーケティング視点で考えると、ポイントは一つです。

どんな需要が減り、どんな需要が増えるか。

ここでのキーワードが、恐らく「デジタル化」です。

今回の危機について、「サプライチェーンや人の動きの停止」といったように、過去の危機と性質の違いが色々と言われています。
社会環境面を考えてみると、9.11(2001年)、リーマンショック(2008年)、3.11(2011年)の危機と大きく異なるのは、「デジタル化が極めて深く浸透している点」だと思います。

いまやスマホは誰でも持っています。SNSは広く普及、動画は当たり前。ネット取引の配送網も完備しています。
この数年間で、デジタル環境は急速に整ってきました。
新型コロナを契機に、デジタル化が一気に加速していきます。

私の身近でいくつか考えてみました。

たとえば、オフィス業務。
従来オフィスで行っていた作業のうち、かなりの部分は在宅勤務でカバーできることを実体験しているビジネスマンは多いと思います。Zoomなどを使えば数人の会議は簡単ですし、数十人の会議もこなせます。「都心のフィス需要が足りない」と言われてきましたが、デジタル化可能な分のオフィス需要はネットに移行する可能性があります。

たとえば、外食産業。
カフェやレストランのような外食業は、今回の新型コロナで壊滅的な影響を受けています。
一方で新型コロナの前から、客席ゼロで宅配専門の「ゴーストレストラン」が急成長していました。
今後、宅配サービス活用で新たな需要を確保しようとする外食業が増えていくでしょう。
実は先日、近所の高級フレンチレストランも、テイクアウトサービスを始めました。
この20年間成長してきた中食需要拡大と同じ効果が、半年から1年で起こる可能性もあるかもしれません。

たとえば、大規模イベント。
多くの会社が、数百人から数千人を集めて商品展示会やセミナーを行ってきましたが、一斉にオンライン開催に切り換えています。
リアルな商品を触る体験はオンラインでは再現できませんが、情報を伝えるだけならば、かなりの部分はオンラインでも代替可能です。しかも開催コストは減り、開催は容易になっていきます。
今後、リアルな大規模イベントの需要は減ってネットにシフトしていく一方、開催が容易になることでオンラインを含めた全体需要は増加し、イベントマネジメントの需要も増える可能性があります。

身近な例と言うことで考えてみました。

いま現在、自分が見えているビジネスの景色の中で、どんな需要が減り、どんな需要が増えているのか?
その変化が、人々の意識をどのように変えるのか?
そして感染が終息したと仮定した場合、その需要はどうなるのか?

これを考えていけば、「新型コロナ後の世界」で自分たちのビジネスがどうなるかが見えてくるのではないでしょうか?

 

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「100日後に死ぬワニ」は「みんなのブランド」になり、そして批判された

(写真は楽天の100ワニコレクションより)

Twitterで連載さた4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」が大人気になり、そして炎上しました。

ワニの何げない日常を描いた4コマ漫画ですが、連載第1回目のコマ下の欄外にはこんな文字が。

「死ぬまで99日」

これが毎日カウントダウンしていきます。大人気になり、3月20日に最終回を迎え、ワニは死んでしまいました。
作者のきくちゆうきさんのフォロワー数はなんと220万人に。多くの人が「泣いた」「感動した」「ありがとう」とコメントしました。

しかし最終回が終わると、「書籍化決定、映画化決定、グッズ・イベント」などが矢継ぎ早に発表され、楽天でも「100ワニコレクション」のショップが開店しました。

すると今度は批判が集まりました。
「広告代理店が関わっていたのではないか?」「全部仕組んでいたのではないか?」と言われ、Twitterのトレンドに「電通案件」というタグもランクイン。ただし実際には電通は関わっていないそうですが。

ここまで批判が拡がったのは、「100日後に死ぬワニ」が、ブランドとしてあまりにも成功してしまったからだと思います。

成功したブランドは企業の手を離れます。

やや古い話ですが有名な事例もあります。1985年、ペプシがシェア争いで急追してきたため、コカ・コーラは従来のコークを一新した「ニューコーク」を発売しました。すると消費者は猛反発。不買運動まで起こりました。結果、ニューコークは3ヶ月で市場から撤収することになりました。

米国ではコカ・コーラは「幸せの象徴」です。米国の消費者は深い愛着を感じていました。ニューコークへの変更は、一方的に「幸せの象徴」を取り上げられる裏切りを意味していたのです。

成功してしまうと、企業の都合でブランドをコントロールできなくなってしまうということです。
しかも現代では消費者の反応はSNSで一気に拡がり、コントロール不能になります。
企業ができるのは、自社の行動をブランドのミッションに一致させることだけです。

「100日後に死ぬワニ」は「100日後、どうなるんだろう?」という読者を惹きつけ、最後に多くの人に感動を与え、大成功したブランドに育ちました。

最も集中が集まるこのタイミングで販促をかけるのは、一見するとマーケティングの王道に思えます。

しかし大きく成功してしまい既に自分の手を離れているブランドの場合、これは悪手になることがあります。その行動が、消費者の心の中にあるブランドと一致したものなのか、一手間かけて考える必要があるのです。

あからさまにグッズの告知をせずに、感動の余韻が収まったタイミングを見計らって、追悼イベント→ショップ開店、という流れで告知するようにすれば、ここまで批判されることはなかったかもしれません。

 

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青臭く考え、泥臭く仕事をしよう

マイケル・ポーターが2011年に提唱したCSV (Creating Shared Value: 共有価値の創造)という考え方があります。

企業の活動が、地球環境破壊や社会問題(貧困層搾取)など大きな問題を生み出しています。そこで社会課題の解決と企業としての経済的価値の両立を図ろうという考え方が、CSVです。

CSVの流れを受け、2015年国連サミットでSDGs (Sustainable Development Goal: 持続可能な達成目標)が採択されました。「貧困をなくす」「飢餓をゼロにする」「ジェンダー平等を実現」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」といった17の目標に対して、169のターゲット・244の指標が決められ、2030年達成を目指すものです。

アメリカ先住民の格言に「地球は先祖からの相続品ではなく、子供たちからの借り物である」という考え方があります。
CSVもSDGsもこの考え方を具体化したものです。

一方で、日本ではCSVやSDGsに対する典型的な反応があります。

■一つは「日本では昔から近江商人の『売り手よし、買い手よし、世間よし』という『三方よし』の考え方がある。別に新しい考え方じゃない」

これはCSVやSDGsへの理解不足から来る誤解です。
100年以上前からある「三方よし」の考え方は素晴らしいものですが、世界はさらに進化しています。

まず問われているのは、自社だけでなく、調達先を含むエコシステム全体です。調達先で弱き立場の人を搾取することも問題になります。
そして「世間よし」は現代だけでなく、未来も含みます。

加えて、具体的なコミットメントが求められています。
たとえばマイクロソフトは「カーボン・ネガティブ」を宣言し、1975年の創業以来マイクロソフトが排出したCO2を2050年までに全て回収するとしています。

もはや「三方よし」だけでは、かなりの周回遅れが否めません。

もう一つの典型的な反応は「欧米ではきれい事をいっているけど、金儲けの下心があるんでしょ?」

これもやや甘い見方かもしれません。
底流に流れているのは「社会課題をビジネスにして収益化しよう」という、欧米流のしたたかな問題意識です。

CSVを提唱したマイケル・ポーターは、日本企業に対して日経ビジネス2020年1月9日号の取材で、このように述べています。

「第2次世界大戦後の日本企業の活動は、CSVの典型だ。当時の日本企業は国を再建するためにビジネスを展開していた。しかし現代の日本企業は、新エネルギーやリサイクルには取り組み始めキャッチアップしているCSVの初期段階である。もっと多くの日本のビジネスパーソンがCSVに目を向けるべきだ」

ポーターが指摘しているように、戦後の日本企業の創業者たちは「事業を通じて世に貢献したい」という強い思いがあり、戦略的な考え方をしてました。しかしこの姿勢は、バブル期を通じて日本企業から失われてしまいました。

今から60年以上前の1958年、セオドア・レビットはこう述べていました。

突き詰めていくと、企業の責任は二つだけに絞られる。
誠実さや善意を忘れないなど日頃の礼節を守ることと、利益を追求することである。

私たち日本人は、色々なことを知りすぎて、大人になりすぎているのではないでしょうか?
もっと青臭く考え、泥臭く目の前の仕事に取り組んでみてもいいのではないかな、と思います。

 

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「MBA 50冊」の使い方

「MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた」(以下、MBA50冊)を出版したのが昨年4月でした。
とても有り難いことに好評で、累計8万部を超えました。

本書を読んだ方からのご意見も多くいただきました。
そこで改めて、本書の使い方についてまとめてみたいと思います。

あなたは本を1冊読んだ後、頭にどの程度残っているでしょうか?
米国国立訓練研究所の調査によれば、読書の学習定着率は1割程度だそうです。意外と少ないですね。
MBA50冊は、そのエッセンスの部分を噛み砕き、コンパクトに紹介することを狙った1冊です。

ただこのMBA50冊といえども「1割ルール」からは逃れられません。50冊のエッセンスを選び抜いていますが、エッセンスの塊を読んで頭に残るのも、やはり多くても特に印象が強い1割。当たり前のことですが、やはり原書を読むのが一番学びになります。

一方で読書は「時間の投資」でもあります。最近「本が読まれなくなった」と言われるのは、多くの人が読書時間の投資対効果を厳しく見るようになったためではないかと思います。

この読書時間の投資対効果を上げる近道は、自分にとって役立つ本に出会うこと。素晴らしい本との出会いは、人生を変えるレベルの影響力があります。

MBA50冊で紹介した本はいずれも私自身にとっても「人生の1冊」となった本ばかりです。
たとえ1冊読んで1割しか残っていなくても、10冊読めばその10倍。50冊読めば50倍です。

ぜひあなたにとっての「人生の1冊」を探すためにも、ご活用いただければと思います。

 

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「顧客価値の式」で、競争力あるサービスを作り込む

現代のビジネスの7割以上は、サービスビジネスです。
サービスビジネスでは、より高い顧客価値を生み出した会社が勝ちます。
サービス化が進むモノづくり企業も例外ではありません。

では、具体的にどうすればいいのでしょうか?

明治大学大学院で教授を務められた近藤隆雄先生のご著書「サービス・イノベーションの理論と方法」を読んでいたら「顧客価値の式」がありました。

顧客価値=(結果品質+過程品質)/(料金+入手コスト)

この式は、実に理解しやすく実践的です。

たとえば身近なところで、私が主催する勉強会「永井塾」ではこうなります。

■結果品質→そのサービスがもたらす結果の品質。たとえば永井塾に参加すると、現場の仕事で役立つ経営戦略を学べます。

■過程品質→サービス提供過程の品質。たとえば永井塾は申込みはWeb、都心の教室で学ぶことができ、お問い合わせには出来る限り迅速に対応しています。

■料金→サービスの金銭的費用。永井塾の場合、朝活3000円/夜学5000円です。

■入手コスト→サービス入手のために必要な料金以外のコスト。朝活は、早起きして交通費をかけて参加する必要があります。

 

顧客価値を高めるには、分子(結果品質と過程品質)を大きくするか、分母(料金と入手コスト)を小さくすることです。たとえば永井塾の例では…

■結果品質を高めるには→勉強会の内容をより業務に即した内容にすること。たとえば夜学では、最初に参加される方々が仕事で抱えておられるお悩みをお伺いし、ホワイトボードに書いた上で講義を行い、最後にお悩みがどのように解決できるかを一緒に考えていきます。

■過程品質を高めるには→サービス提供過程の快適性を向上させること。たとえば資料や動画をWeb配信し、遠方で参加できない方や復習したい方が学べるようにしています。

■料金は→慎重な対応が必要です。料金は品質の代表指標です。要は、高品質でも安価なサービスは安物に見えてしまいます。

■入手コストを下げるには→手間を減らすこと。たとえばやむを得ない理由で当日欠席しても、後日動画で学ぶことができます。

実際には永井塾では参加者の顧客価値を高めるために、毎回参加者にアンケートを取っています。朝活と夜学で累計50回近く実施していますが、常にいただいたご意見をもとに様々な改善を図っています。第1回と比べると今や完全に別物です。

 

このようにサービスの顧客価値の構造を考え、それぞれの要素で何をすればいいかを考えれば、やるべきことは見えてきます。そして顧客からのリアルな学びをもとに、常に改善し続けることが必要なのです。

 

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石田三成、三杯のお茶

以前、ある温泉旅館に泊まった時のこと。

旅の疲れもあって早く温泉に入りたかったのですが、仲居さんが何度も部屋に出入りして、お茶を出してくれたり宿泊の説明をしてくれます。恐らくこれがこの旅館流の「おもてなし」なのだと思いますが、「早くして欲しい」というのも野暮なので言い出せず、察して欲しいなぁと思ったりします。

京都で200年続く老舗旅館「柊屋」で60年間も仲居を務められた田口八重さんは、ご著書「おこしやす」で次のように書いておられます。

—(以下、引用)—

お客さまはおひとりおひとり、お顔立ちが違うように、お気持ちだって違うのです。それぞれに合ったおもてなしをしなければいけません。お仕着せのサービスでは喜んでくださらないということです。お目にかかった瞬間に、お客様の気持ちを察して、こうしてほしいと望む対応をしていくのです。
これが私がおもてなしをしてきた人生で、体験から掴んだモットーなのです。

—(以上、引用)—

 

また、石田三成がある小寺の小坊主だった時のこと。

鷹狩りをしていた秀吉がその小寺に立ち寄り、お茶を所望しました。

三成は、まず冷たいお茶を持ってきました。
一気に飲み干した秀吉が二杯目を求めると、三成は生暖かいお茶を出しました。
二杯目も飲み歩々してそしてもう一度求めると、熱いお茶を出しました。

三成は汗をかいた秀吉の状態を考え対応したのです。
三成の気配りに感心した秀吉は、三成を召し抱えることにしました。

 

田口八重さんと三成の逸話は、「本来のおもてなし」とは、相手の状況を踏まえた対応であることを教えてくれます。
しきたり通りの対応は「本来のおもてなし」の対極にあります。

そもそも今やものづくり企業と言えども、サービスなしでは成り立ちません。マーケティングの巨人と言われたセオドア・レビットも、こう述べていました。

「サービス業というものは存在しない。サービスの要素がほかの業界と比べて多いか少ないかの違いであり、すべての業界でサービスが行われている」

御社のサービスは、お客様へ「本来のおもてなし」を提供しているでしょうか?

 

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大手メーカーの研究開発者が顧客に会おうとしない理由

大手メーカー様の研究開発部門から、講演のご依頼をよくいただきます。
お悩みは驚くほど共通しています。

「社員を顧客視点の考え方に変えるにはどうすればいいんでしょうか?」

どこもバブル絶頂期までは、世界で輝いていた大企業。しかしその後伸び悩み苦しんでいる点も共通しています。

デザイン思考やDXなどの新しい方法論の取り込みには貪欲。全社で大きな投資をしています。でも低迷から抜け出せないのです。

講演の事前打ち合わせを重ね、講演当日に参加者と話し合い、さらにその後のフォローで感じる点も、共通しています。

お客様に会う機会があるエンジニアがほとんどいないのです。
研究開発拠点のオフィスで仕事をする日々を続けているのです。

「顧客視点に変えるには、まずお客様に会うことですよ」と、手を変え品を変え、様々な事例を紹介しながらお伝えします。

参加者からは「確かにそうだよね」と同意はいただけます。でも行動がほとんど変わりません。

最近サービスマーケティングを学んでいるのですが、理由が少し分かってきました。
「価値はどこで生まれるのか?」という根っ子の認識が、どうも違うようなのです。

大手メーカーは、「ものづくり」の大きな成功体験があります。
ものづくりでは、技術的な種から強い製品を生み出します。
「自社テクノロジーを製品に結集し、この価値をお客様に提供しよう」と考えるのです。
このようにものづくりの成功体験がある企業は、研究開発部門で価値が生まれるのが常識でした。

しかし今や就業者の7割以上がサービス産業(第3次産業)。メーカーもサービス化が進んでいます。

スティーブ・ジョブスがアップルに戻ってきた2000年頃のこと。ジョブズはこう言ったそうです。

「我々はユニークなマーケティングとイノベーティブな製品の二つで勝ってきた。21世紀はもう一つの柱が必要だ。それがカスタマーサービスだ」

そして世界中にアップルストアを作りました。

私がMacのトラブルで困った時のこと。AppleCare+という有料サービスに入っていたので、サイトでサポートを依頼すると、数秒後にアップルストアのスタッフから折り返し電話があり、親切丁寧に電話で問題解決をサポートしてくれました。最高で完璧なサービスでした。

このように「サービス化」はあらゆるビジネスで進んでいます。
iPhoneはアプリというサービスなしで使う人はいません。
GEもジェットエンジンの稼働状況を常に監視するサービスを提供しています。

そしてサービスで価値が生まれるのは「顧客との接点」です。

ここまでの話をまとめると、

①ものづくり全盛期は、研究開発部門で価値が生まれるのが常識だった。
②しかしあらゆるビジネスでサービス化が進み、「顧客との接点」で価値が生まれるのが常識になった。

いまや「研究開発部門で価値が生まれる」という過去の常識を変えないと、「顧客との接点で価値が生まれる」という現代の状況には対応できないのです。

しかし「研究開発部門で価値が生まれる」という過去の成功体験から抜け出せないのが、大手メーカーの研究開発者が陥っているジレンマなのです。

 

では、どうするか?

研究開発棟に閉じこもって考えていても、何も生まれません。
まずはオフィスから一歩外に出る。

顧客に会ってみる。観察してみる。話してみる。
そして、顧客の悩みを理解してみる。
その上で、自分たちが何ができるかを考える。

「価値共創」という言葉があります。
価値とは、顧客とともに創るものです。
顧客に会わずして、価値共創ができるわけがありません。

まずはオフィスを出でよ。
そしてお客様から学べ。

すべては、そこから始まるのだと思います。

 

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自ら学ばない日本人、アジア太平洋地域で最下位の衝撃

パーソル総合研究所が、アジア太平洋地域14の国・地域で就業意識をインターネット調査した結果を発表しています。→リンク

注目が「社外の学習・自己啓発」。
「とくに何も行っていない」で、日本が14ヶ国でダントツワースト1位です。

14ヶ国平均 13.3%
14位 ベトナム 2%
13位 インドネシア 2.3%
12位 タイ 5.7%
11位 中国 6.3%
10位 フィリピン 6.4%

6位 台湾 13.0%
5位 香港 18.3%
4位 シンガポール 18.3%
3位 オーストラリア 21.5%
2位 ニュージーランド 22.1%
1位 日本 46.3%

ううむ。
これはヤバイです。
確かに、ベトナム、インドネシア、タイ、中国、フィリピンの人たちは、頑張って自ら学んでいるという印象を受けます。

それにしても、日本がこれほど低いとは。

頑張って学ぶ人は、成長する。
学ぼうとしない人は、成長しない。
当たり前のことですよね。

ビジネスパーソンが楽しく学びたくなるように、本を書いていますが、まだまだ力不足です。

私も本を書いたり新しい研修をご提供するために、日々学んでいます。
新しく学ぶたびに「知らないことばかりだ」と自分の無知を再確認します。
自ら学ばない限り、衰退するだけです。

一方で、学びには「新しいことを知る」という楽しさもあります。
少しでもこの楽しさを伝えられたらと思います。

「やるべきことはまだ多い」と、改めて実感した調査でした。

 

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力はある。あとはやるかどうか?

講演や研修を終え参加者の様子を見ると、二通りの人たちがいることに気がつきます。

A:納得し行動を変える人たち
B:理由を探し、変ろうとしない人たち

講演や研修の目的は「行動を変えること」なので、全員がAになるように常にフィードバックをいただき改善を図っていますが、Bタイプはいるものです。

AとBの比率は会社によって大きく変わります。

小さな会社は、ほとんどの方が行動を変えるAタイプ。

なかなか動かないBタイプは、不思議なことに就職ランキングの上位で社員1万人以上の大企業に多いのです。

Bタイプに共通するのは先が見えてしまうこと。

「あのケースでこれやってもうまくいくかなぁ」
「こんな提案したら怒られそうだなぁ」
「いい話だけど、理想論だよね」
「自分が動かなくても大勢に影響ないし」
「やっぱりやめとこう」

色々と考えてしまい、行動に繋がらないのです。

小さな会社はそんな余裕はありません。自分一人の働きで会社は変わります。ですので行動せざるを得ません。

 

日本が停滞を続けているのは、大企業を中心にBタイプが多くなったからではないでしょうか?

これは二つの要因があります。

一つは「危機感」。

「社外の人と会う機会がない」という大企業の人、多いですね。「大企業」という組織は、魔法瓶のように外界の変化を遮断します。世界は激変しているのに、社内は心地よいぬるま湯のまま。危機感を持てないのです。そして魔法瓶はいつか壊れます。

2つ目は、失敗を恐れ新しいことができないこと。

絶対に失敗しない方法があります。
新しいことを何もしないことです。しかし確実に組織は衰退します。

新しい挑戦で成功するには、80点主義で新しいことを次々とやること。
沢山の苗を植えて、間引くイメージです。

そもそも一会社員が少々失敗しても、大企業はまず潰れません。せいぜい出世が1年遅れる程度。新しい挑戦で成功すれば、充分に元は取り返せます。

 

出来ない理由を探したり他人を頼るのは、そろそろ止めましょう。

「力不足じゃないか?」というのは杞憂です。
日本の多くのビジネスパーソンは既に力はあります。
要は「やるかどうか」。

「社外の人と会う機会がない」というであれば、自分で会う機会を作ればいいだけのこと。

「○○○だからできない」と考えず、「これをやるために○○○しよう」と考えを変えることです。

そして失敗を認め、失敗から学ぶスタイルに変える。
組織も、失敗から学ぶことを許容する組織に変える。

自分を変えるのは、自分だけです。
会社を変えるのも、自分たちだけです。

私たちは、変える力は既にあります。

目の前の課題を見つけ、挑戦しましょう。
成長の種は、そこにあるのではないでしょうか?

 

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成功するから幸せなのでない。幸せだから成功する


先週水曜日の夜学・永井塾は「人はなぜ動くのか?」

一見、マーケティングとは関係なさそうなテーマですが、経営戦略も組織のマネジメントも必ず人が絡みます。人に対する洞察は大切です。

今回の夜学永井塾では、下記の本をテキストにしました。

「人を伸ばす力」(エドワード・L・デシ著)
「選択の科学」(シーナ・アイエンガー著)
「フロー体験入門」(M・チクセントミハイ著)
「GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代」(アダム・グラント著)

この4冊の著者に共通することがあります。彼らは「ポジティブ心理学」の研究者なのです。

ポジティブ心理学とは、人間の幸せについて研究する心理学のこと。

かつての心理学は、心の病を治療することを目的に発展しました。
第一次/第二次世界大戦で、数多くの人たちが心に傷を受けました。
そこで政府の財政支援の下、病理の学問として心理学が発展しました。

一方でかつての心理学は、「どうすればもっと幸福になれるか」という研究はあまり行ってきませんでした。

そこで個人や社会を繁栄させ、より充実した幸福な人生を送るためにはどうすればよいかという視点で、ポジティブ心理学が発展しました。自己実現を重視したかのマズローは、実は「ポジティブ心理学」という言葉を初めて使用した心理学者でした。

欧州でのポジティブ心理学の第一人者イローナ・ボニウェルは、著書「ポジティブ心理学が1冊でわかる本」で、このように述べています。

–(以下、引用)–

特にポジティブ心理学でコペルニクス的大発見だと思われるのは、「成功するから幸せになるのではない。幸せだから成功するのだ」というものです。

私たちは、「いい学校に入ったら幸せになれる」「出世して給料があがれば幸せになれる」「いい人と結婚すれば幸せになれる」と、いつも幸せを先送りしてきました。しかし、ポジティブ心理学は、今、ここで幸せになれる、そして、その幸せがさらなる幸運を連れてくるということを、データで証明してくれています。

–(以上、引用)–

確かにいつも幸せそうにしている人は運に恵まれますます成功する一方で、いつも悪口や愚痴を言う人を見ていると、どうも運に見放されがちのように感じます。

日本にも古くから、「笑う門には福来たる」という言葉があります。

楽観的に考え、いま現在の環境に深く感謝して、日々を過ごしていきたいものです。

 

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原因探しよりも、対応策

大きな問題が発生しました。
こんな時のセオリーは、「根本原因を特定し、原因を除去せよ」です。
しかしいくら調べても、原因が特定できません。

たとえば体調が悪くなって倒れてしまいました。
なんとか体調は戻りましたが、色々と検査をしても原因がわからない、というようなケースです。

こんな時、どうすればいいのでしょうか?

2020年1月3日の日本経済新聞『こころの健康学 原因より「手立て探し」を』で、認知行動療法研修開発センター 大野裕さんがこのように書いています。

—(以下、引用)–

…「原因探し」ではなく「手立て探し」をするように意識するとよい。私たちはよくないことが起きたとき、「なんであんなことをしたのだろう」「どうしてこうしなかったのだろう」と考えて、原因探しを始める。原因がわかれば解決策が見つかるのではないかと考えてのことだが、原因がわからないことも多い…

(中略)

現実によくないことが起きているのだとすれば、原因を考えても、その事実は変わらない。これからどうすればよいのかという手立て探しをする方がずっと大事だ。そのように考えていると、考えは自然に前向きになって、いろいろな工夫ができるようになる。

–(以上、引用)—

たとえば「体調が悪くて倒れたけど、原因がわからない」という場合は、

・普段から体調が悪くなる状況を避ける→仕事でムリしない、など
・体調が悪くなったら、すぐ休む

といった対応策を取れば、かなりの確率で再発を防ぐことができます。

現実には、問題が起こっても、根本原因が見つからないケースは意外と多いもの。

こんな時は、根本原因がわからなくても、「手立て探し」、つまり対応策を考えて、解決を図るようにしたいですね。

 

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ホンキ出せ

昨年のドラマで私の一番のお気に入りは、「グランメゾン東京」。
フレンチレストランを舞台に、ミシュランの三つ星を目指す物語です。

登場人物は誰もが、頑張って努力してきた人たちばかり。
しかしもっと凄い世界を知ります。

そして自分は、実は努力していることに満足しているだけで「なんでこんなに努力しているのに、うまくいかないの?」と思っていたことを思い知らされます。

「自分は本当に努力してきたのだろうか?」
「努力していることに満足していただけなのではないか?」

そして吹っ切れて、没頭していきます。

このドラマのキャッチコピーは「自分だけの星を掴め。」
そして登場人物達が相手にかける言葉は、「ホンキ出せ。」

登場人物達は、悩みながら自分がホンキを出すべきものは何か見つけて、ホンキを出して、自分の星を掴んでいきます。

とても元気をいただいたドラマでした。

2020年、私たちもホンキを出しましょう。

 

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読書は、投資活動である

読書に時間がかかるという人は、多いのではないでしょうか?
かく言う私も、必ずしも速読家ではありません。しかしかなりの分量の本を読んでいます。

読書の際に心がけているのは「読書は投資活動である」ということ。

誰でも貴重な自分の時間を投資し何かを得ようと考えて読書をしています。時間という投資とそのリターンを考える必要があります。「時間をかけて一所懸命読んだけど、よくわからなかった」という状況はなるべく避けたいものです。

そこで私は次の工夫をしています。

■気になる本は、内容を大まかにチェックして基本「即買い」
その本は、自分にとって運命のお宝本かもしれません。一度チャンスを逃したら、入手する機会は二度とないかもしれません。「やっぱり欲しかった」と探し回るのは時間のムダ。だから内容をチェックして「いい」と思ったら基本「即買い」です。

■概要を掴んだ上で読む
「はじめに」「目次」「あとがき」でその本の概要が掴めます。本来は買う段階でチェックしたいものですが、ネット購入だと必ずしもすべてチェックできません。ですので読み始めの段階でチェックします。

■目的意識を持って読む
その本を買ったのには、目的があるはずです。その目的のために必要な箇所を読めば、自分の目的を達成できます。

■「何か違う」と思ったら躊躇せず止める
「いい」と思って読み始めた本でも、「何か違うなぁ」と思うことは案外と多いものです。そんな時は躊躇せずにそこで読むのを止めて、次の本を読み始めます。「せっかくお金出して買ったのにもったいない」と思って何時間もかけて読んでも、何も得られない方がずっともったいないですよね。

拙著「MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた」でご紹介した50冊は、こうして最初から最後まで熟読した本の中から厳選しました。

良い読書は、徐々にではありますが、確実に自分を高めてくれます。同じ時間を投資して本を読むのであれば、自分の血となり肉となる良い本を読みたいものですね。

 

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イチロー『ぼくの夢』は、基本理念・ビジョン・経営方針のお手本

会社で経営戦略を立てる時に必要なのが、基本理念・ビジョン・経営方針。それぞれ似ているようですが、違います。

■基本理念:自社とは何か?時代が変わっても変わらない目指す姿
■ビジョン:ある時期までに実現したい姿
■経営方針:ビジョンを実現する方法

でも、違いはわかりにくいですよね。
小学6年生のイチローが書いた作文「ぼくの夢」は、この3つが見事に使い分けられています。まず一部を紹介します。

—(以下、引用)–

ぼくの夢は一流のプロ野球選手になること。

そのためには、中学高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。活躍できるためには練習が必要です。
3歳のときから練習を始めています。3歳から7歳までは半年、3年生の時から、365日中360日は激しい練習をやってます。
1週間中で友達と遊べる時間は、5~6時間。そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球選手になれると思います。

そして中学、高校と活躍して、高校を卒業してからプロに入団するつもりです。そしてその球団は、中日ドラゴンズか西武ライオンズです。ドラフト入団で契約金は1億円以上が目標です。

(中略)

…そしてぼくたちは、1年間負け知らずで野球が出来ました。だからこの調子でこれからも頑張ります。

そしてぼくが一流の選手になったら、お世話になった人に招待状を配って応援してもらうのも「夢」のひとつです。

とにかく1番大きな夢は、プロ野球選手になることです。

—(以下、引用)–

この中で、「基本理念」はこの部分。既にプロ野球選手を目指しています。

ぼくの夢は一流のプロ野球選手になること。
そしてぼくが一流の選手になったら、お世話になった人に招待状を配って応援してもらうのも「夢」のひとつです。
とにかく1番大きな夢は、プロ野球選手になることです。

「ビジョン」はこの部分。6年後の自分を具体的にイメージしています。

そして中学、高校と活躍して、高校を卒業してからプロに入団するつもりです。そしてその球団は、中日ドラゴンズか西武ライオンズです。ドラフト入団で契約金は1億円以上が目標です。

そして「経営方針」はこの部分。6年後の自分になる方法が具体的です。

そのためには、中学高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。活躍できるためには練習が必要です。
3歳のときから練習を始めています。3歳から7歳までは半年、3年生の時から、365日中360日は激しい練習をやってます。
1週間中で友達と遊べる時間は、5~6時間。そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球選手になれると思います。

…そしてぼくたちは、1年間負け知らずで野球が出来ました。だからこの調子でこれからも頑張ります。

小学6年生にしてこの構想力。

やはりイチロー、恐るべしです。

 

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お客様の痛みを、観察して見つける6つのポイント

新事業成功のカギは「お客様の痛みを見つけて、解決すること」です。

しかしお客様の痛みは、ウンウン考え続けても、なかなか見つからないもの。
だからと言って、お客様に「痛みを教えて下さい」と言っても「は?」と言われます。
お客様はそもそも自分の痛みに気がついていないことも多いからです。

そこで必要なのが、お客様を観察すること。
でも「どうやって観察すればいいんだろう?」と思いますよね。

ちょっとした工夫をすることで、観察から多くのことが学べます。
デザイン思考を提唱したトム・ケリーは著書「イノベーションの達人!」で6つのポイントを挙げています。本書では丁寧に紹介されていますが、ここでは端的に要約してご紹介します。

① 先入観に囚とらわれずに素直に観察する
「へぇ〜。全然知らなかった」というように、素直になりましょう。

② 相手の立場に感情移入し、共感する
「この人、何に困っているんだろう」と共感しましょう。

③ ヒラメキと直感を重視する
「あれ?なんか変だぞ」という自分野直感を信じましょう。

④ 気になることはマメにメモ。情報を蓄積
メモることで、一見違うことでも「コレとアレは同じね」と関係性が見つかります。

⑤ 一見ゴミ情報も漁あさってみる
貪欲にアレコレ探すことで「こんなところにヒントが!」というのが見つかります。

⑥ 相手との会話を楽しむ
「へぇ〜。なるほど」と楽しみましょう。

「お客様の痛み」を探すのは、宝物探しに似ています。好奇心を持って探すと、意外と見つかりますよ。

 

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何したいの? どうしたいの?

最近、ビジネスパーソンの方々とお話ししていて、痛感していることがあります。

皆さん、とても真面目に目の前の仕事に取り組んでおられます。
しかし「何をしたいのですか?」「どうしたいのですか?」と聞くと、皆さん考え込んでしまうのです。

「何したいのか?」は、言い換えれば「これをこうしたい」という問題意識です。
「どうしたいの?」は、言い換えれば「こうすればうまくいく」という仮説です。

問題意識と仮説がないまま、目の前の仕事を、言われたとおりに一生懸命に行っているのです。

一昔前までは、これで問題はありませんでした。
やることが明確だったからです。
求められるのは効率。だから言われたとおり、頑張ってやることが必要でしたし、評価されました。

たとえてみれば、登る山が明確で、誰がその山に一番乗りで登るかを競っていました。

しかし今は、世の中がどんどん複雑になっています。
何をやればいいか、皆が困っています。

たとえてみれば、どの山に登るか、どう登るかが、決められないのです。

この「どの山に登るか?」が問題意識で、「どう登るか?」が仮説です。
ここで必要なのが、実践的な企画力です。

そこで来年1月と2月の朝活永井塾は、「超実践・マーケットイン企画術」と題して、2回連続でこの企画力について学んでいきます。

メルマガでご案内しています。ご興味ある方はぜひどうぞ。
(ネットのみの参加も受け付けています)

 

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戦略策定は、「田植え」と「収穫」の2段階で考える

戦略策定で、まず必要なのはアイデア。
その次の段階が、アイデアの絞り込み。ポーターが言う「戦略とはやらないことを決める」ことです。

ここが難しいところ。
アイデアを育てる方法とアイデアの絞り込みの方法は、そもそも正反対だからです。

そこで必要になってくるのが、今のタイミングは、アイデア育成なのか、アイデア収穫なのかを、メリハリを付けて意識することです。

■アイデア育成の段階→基本は「発散させる」こと

・アイデアは絞り込まず、とにかく量を沢山出すことを狙う
・制約は最小限にする
・あえてカオスな状態を重視する
・自由闊達な議論を促す
・あえて何も決めない
・アイデアは記録する(メモらずにホワイトボードなどに書く)

たとえてみると、田植えをして稲(=アイデア)を育てるのと似ています。

 

■戦略策定(=アイデア収穫)の段階→基本は「収束させる」こと

・アイデアを選び、徹底的に絞り込む
・そもそもの戦略の目的を実現するために、やらないことを決める
・首尾一貫性を重視する
・課題解決のための議論を促す
・自己責任による決定をする

たとえてみると、育った稲(=アイデア)を刈り取るのと似ています。

 

今がアイデアを生み出す段階なのか、戦略を策定する段階なのかを意識しないまま、両者をわけずに議論をすると、会議が迷走し、時間はかかるけど何も決まらない状態になります。

今がどのフェーズかを意識すれば、生産性は飛躍的に高まります。

 

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朝活・永井塾 第33回「ゲーム理論で勝つビジネス」を行いました

昨日は第33回の朝活・永井塾。テーマは「ゲーム理論で勝つビジネス」でした。

「ゲーム理論って難しそう」と感じる方、多いのではないでしょうか?
しかしゲーム理論を学ぶことで、ビジネス力はアップします。

実はゲーム理論の基本は、決して難しくありません。
そして「お客様が買う理由」を創り上げるためにも、ゲーム理論の理解はとて役立ちます。

ゲーム理論を理解すると、「このお客に何とか売ろう」「ライバルに絶対勝つ」といった目先の勝ち負けから抜け出し、より高い視点でビジネスを考えられるようになります。

ゲーム理論で考え抜く交渉上手な欧米企業や中国企業と比べると、日本企業はゲームを知らない素人です。プロの将棋士を相手に、勝ちの定石を学ばずに勝負を挑んでいる状態に似ています。

そこで今回の朝活・永井塾では、下記テキストを使ってゲーム理論を学びました。

「ゲーム理論で勝つ経営」(A・ブランデンバーガー著)

今回の様子です。早朝からのご参加、感謝です。

次回の朝活勉強会「永井塾」は12月4日(水)。テーマは「ソーシャル・ネットワーク理論」です。
詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録いただければ幸いです。ご参加をお待ちしております。

 

サービスだけで、3ヶ月で1.3兆円を稼ぐアップル

10月30日に、アップルの2019年7~9月期決算が発表されました。

売上高は…。

全社では、640億4000万ドル(約6兆9000億円)で、前年同期比2%増
→その中で、ハードは、515億2900万ドル(5兆5500億円)で、同1%減
→その中で、iPhoneは、333億6200万ドル(3兆5930億円)で、同9%減

相変わらずもの凄い売上規模ですが、成長は止まっているように見えます。特にiPhoneの売上は下がっています。

しかし実際には、この裏で大きな変化が徐々に進んでいます。
注目すべきは、サービス売上です。
売上高は、125億1100万ドル(1兆3500億円)で、前年同期比18%増

全体に比べると小さく見えます。しかし3ヶ月で1兆3500億円をサービスで稼ぐ会社は滅多にありません。
年で換算すると、5兆円規模。これが20%近く毎年伸びています。

しかもアップルの場合、サービス売上は、景気が悪くなってもあまり影響を受けないiCloud、iTunesなどです。

アップル全体の売上に占めるサービス売上は19.5%。
ちなみに6年前の2013年第三四半期は、全社売上比率11.3%でした。
6年間で全社売上比率は8.2%もアップしています。

かねてからアップルの課題は、ハード偏重からの脱却でした。
ハードは製品の仕上がりや季節変動要因が大きく、不安定だからです。

そこでアップルは、収益基盤が盤石な今のうちに「サービスビジネスへの移行」という戦略を立て、じっくり時間をかけて着実に戦略を実行しているのです。

最近は定額見放題のApple TV+も始めました。

私たちは、ビジネス絶好調な中でも正しい危機感を持った上で、10年単位で戦略を立てて収益構造をゆっくりと着実に転換しているアップルの戦略から、今一度じっくりと学ぶべきだと思います。

参考までに、この戦略については、昨年2018年8月に書いた下記ブログでも詳しく解説していますので、よろしければ併せてご参照下さい。

3ヶ月でサービス売上1兆円!リカーリングビジネス化するアップル

 

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自社商品しか知らずに、顧客目線に立てるのか?

自社商品やサービスを愛用している人は、とても多くいます。
愛社精神の表れであり、誠に結構なことです。

しかし中には、こんなマーケティング部長もいます。

「私は自分の会社以外のお菓子は絶対食べないんです。だって当社が1番いいから。皆さんも、ウチのお菓子を食べて下さいね」

お客様は、自社商品以外に数多くの他社製品も選んでいます。
そもそもマーケティング部長は、市場全体を俯瞰する立場。
社内で最も顧客視点を求められます。

しかし自社商品しか知らずに、リアルな顧客視点を持てるのでしょうか?

トヨタの設計エンジニアは、トヨタ車ではなく他社の車に乗っています。
他社の車にも、いい点は沢山あります。そこから学べることも多いからです。

なんとトップの豊田章雄社長自身が、スバル・インプレッサに乗ってかっ飛ばしている動画もあります。トヨタ広報も関わっています。

確かに愛社精神も大切。

同時に顧客目線を持ち続けるためにも、時にはライバルの商品も知ることが必要だと思います。

 

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究極のマーケット・インは、究極のプロダクト・アウト

よくこう言われます。

プロダクト・アウトはダメだ。
これからは、マーケット・インで考えなければいけない。

確かに作り手の思い込みで、顧客視点がまったくない商品やサービスは、なかなか売れません。

一方で、スティーブ・ジョブスはユーザーの話を一切聞かないことで有名でした。

「ジョブスはユーザーの声を聞かなかった。
でもアップル製品はものすごく売れている。
だからプロダクト・アウトでいいんだ」

時々、こう言う人もおられます。

しかしジョブスは、自分自身が一番厳しいアップルユーザーでした。
自社のエンジニアやデザイナーに、厳しい注文を出し続けました。
そして細かいところに手が届くクールな製品を生み出してきました。

ジョブスは、成功するプロダクト・アウトのお手本です。
ユーザーの話を一切聞かない究極のプロダクト・アウト。
一方で究極のマーケット・インでもあるのです。
だからアップル製品が愛されるのです。

売れる商品を作るためには、顧客を観察し、顧客の痛みを理解することです。
観察の対象は相手に限りません。自分自身の観察でも、痛みはわかります。

10分で散髪できるQBハウスも、創業者が髪を切っているときに、

「そもそもなんで髪をカットするだけで1時間も必要なんだ?」

…と、自分自身で気がついたことがきっかけで、生まれました。

自分が、顧客になりきる。
そして自分自身の痛みを解決する商品やサービスを作る。
これが究極のプロダクト・アウトであり、同時に
究極のマーケット・インでもあるのです。

「プロダクトアウトでいい」という方は、本当にご自身が顧客になり切っているかを問いかけてみるのは意味があることだと思います。

 

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「何やるか」の前に、「何故やるか?」

 

私は仕事柄、数多くの様々な企画書を拝読する機会があります。

会社員時代は、他の企画担当者が作成したマーケティング戦略企画書や事業企画書。
独立後は、新商品企画書や、事業計画書。

いつも感じることがあります。
「何をやるか」を詳細に書いた企画書はとても多く目にします。
しかし「何が変わるか」がサッパリわからない企画が、実に多いのです。

たとえば、会社員時代であれば、こんな感じです。

同僚「とりあえず企画を考えた。コレやってアレやるんだよ」
永井「この企画ってさ、何がどう変わるの?」
「え?考えたことないなぁ。だって企画だからさ。まずはやってみないと」
「ええと。そもそも何のタメにやるの?」
「部の方針だしさ。そもそもやることに意味があるんだ」
「どんな意味があるの?」
「だから方針なんだよ。だから、やるしかないでしょ」
「じゃぁ、何を変えるのが目標なの?」
「だから、やることに意味が…(面倒だな〜。聞かなきゃよかった…)」

かくして私は、結構嫌われていました。(笑)

そもそも企画の目的は、何かを変えることです。たとえば、

「不便な状態」を、「便利な状態」に変える
「困った状況」を、「快適な状況」に変える

その出発点は、

その企画では、何を解決するのか

つまり

「何故やるか?」

です。

そもそも何故やるかが明確でない企画は、何も問題を解決できません。
そんな企画は、ヒトモノカネの浪費です。
あえて企画を立ち上げないという選択肢がよい時もあるのです。

まず「なぜその企画をやるのか?」を考えたいですね。

 

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ネットを使わない若者。デジタル疲れ。常識は必ず変わる

これまで当たり前だった常識は、必ず変わります。

 

たとえば私たちはこう考えがちです。

「若者はネット、年配は店」

実は、旅行予約の世界では逆転しています。
9月27日の日本経済新聞の記事「ヒットのクスリ」で、JTB総研「海外観光旅行の現状2019」のデータを紹介しています。元データを確認したところ、

【相談から申込みまですべてネットを利用】
男性19-28歳 36.4%
女性19-28歳 31.6%

男性60-79歳 53.9%
女性60-79歳 60.7%

なんと男女ともに、シニアの方がはるかにネットを使いこなしています。
では若者は何を使っているかというと、店舗です。

【相談から申込みまですべて旅行代理店を利用】
男性19-28歳 39.3%
女性19-28歳 45.1%

男性60-79歳 26.7%
女性60-79歳 23.3%

若い層は旅行経験が浅いためですが、今のシニアは意外とネットを使いこなしています。

先日私もカフェで体験したのですが、隣の席にいた80代と思われる女性の方々がかなりコアなネットの話をしておられました。

このような事実を踏まえずに、「ターゲットはシニアだからお店の対応を充実させよう」と考えると、失敗します。

また、私たちはこう考えがちです。

「デジタル化はどんどん進む」

しかし現実には、逆の動きも出始めています。

ブックオフの業績が、最近回復しています。
メルカリに押されてきましたが、実際にはメルカリで商品発送したり個人間トラブルに気をつけたりというのは意外と手間がかかります。いわゆる「メルカリ疲れ」です。

そのためリアル店舗に回帰する人が増えているためです。

 

「若者はネット。シニアは店」
「デジタル化はどんどん進む」

これらは一例ですが、私たちの常識は、意外と変わっていることも多いのです。これをいち早く察することで、戦わずして勝てるのです。

そのためにも、事実をキチンと見ていきたいものです。

 

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自分ごと vs. 他人ごと

色々な会社とご縁をいただき、感じることがあります。

成長する会社は、みな自分ごとで考えています。

経営幹部は、「自分はこの会社をこうしたい」「次の新事業、自分はこれを立ち上げる」
現場も、「私はお客さんに、こんなサービスを提供したい」
マネージャーも、「今回部下が失敗したのは、自分のココが悪かった。こう改める」

経営幹部も現場も、常に自分主語で考え、具体的に行動しています。

一方で、中には残念ながら低迷する会社もあります。
共通するのは、みな他人ごとで考えていることです。

経営幹部は、「もう少し部下が何とかならないかなぁ」
現場も、「上が悪い」「これはトップの問題だよ」
マネージャーも、「上も下もダメだ。困ったなぁ。様子見かなぁ」

皆が「誰かが考えてくれる」と考え、問題意識はあり文句は言うけれども、考えは「〜すべき」といった抽象的ばかり。自分ごとで考えず、具体的な行動もしません。
そして新しいことをすると「それはダメ」と足を引っ張ったり潰すことすらあります。
日本が停滞しているのは、このような人が増えてしまったためかもしれません。

自分主語で、自分ごとで考え、具体的な行動をすれば、企業も日本も少しずつ変わっていくはずです。

そんなことを考えながら、私も微力ながら自分ごとで考え、本を書いたり、講演したり、月2回の勉強会を続けています。

あなたは、自分主語で考えていますか?
自分事で、いま、何を考え、どのような具体的な行動をしますか?

 

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人気レストランが、食べ残しを食べる理由

商売で何よりも怖いのが「客離れ」。

「万事順調」と思っていても、知らない間にお客様は不満を感じているもの。
そんなお客様は何も言わずに黙って離れていき、二度と戻ってきません。

気がつくのは、客離れがかなり進んでしまった時。そこからの巻き返しは大変です。
その後も売上は下がり続け、場合によっては人員削減などの辛い状況が待っています。

だから出来るだけ早い段階で、客離れの兆候を知ることが大事です。

イタリアンレストラン「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」のシェフ落合務さんが、9月5日の日本経済新聞夕刊に掲載された記事「【人間発見】イタリア料理シェフ 落合務さん」で、こんなことを書いています。

–(以下、引用)—
 お客さまは気にいらなければ二度と足を運んでくれません。味がまずいのか、価格が高いのか、接客が悪いのか。よほどのことがない限り、面と向かって教えてくれません。
 ですから各店のシェフら責任者には、お客さまが半分以上食べ残した皿は、必ず自分で食べてみるように厳命しています。
 それがラ・ベットラの味であれば「そのお客さまの舌に合わなかったのだ」と納得できます。もし本来の味と離れていれば、原因を探し出してコックに調理を修正させます。もちろん私も厨房にいれば食べ残しを食べて、指導しています。
—(以上、引用)—

食べ残しを食べるのは勇気がいるものだと思います。
でも客離れの恐怖を考えると、「そんなことはどうでもいいこと」と落合さんは考えているのでしょう。

客離れの兆候を把握するために、仕組みを持ちたいものです。

 

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ゴディバと同等。でも価格は1/3

ある菓子メーカー部長の講演を聞く機会がありました。

この会社は自社の最新技術を駆使し、最高級チョコ「ゴディバ」と同等品質のチョコを開発。ゴディバの1/3の価格、同社他商品よりも1〜2割高い価格で販売しています。

「ゴディバと同じ品質で、価格1/3ですよ。こんな商品、当社しか作れません」

部長は自信満々です。

「そうそう。部下が『当社の名前を外して、別ブランドで売ったらどうでしょう?』って提案してきたんで、『当社が誇る最高級チョコだ。当社の名前を外すなんて言語道断!』と一喝してやりました。」

お話しを伺って、少し考えてしまいました。

 

トヨタは長年米国では「品質は良いけど安い車」というイメージ。メルセデスのような「高いけど欲しい車」ではありませんでした。

そこでトヨタ色を一切排除したブランド「レクサス」を新たに作り、「最高級ブランド」としてメルセデスに対抗しました。トヨタは既存のトヨタ車の顧客ではなく、トヨタがリーチできなかった「最高級で高品質な車が欲しい」という新しい顧客を開拓したのです。

トヨタは「最高級車だからトヨタの名前をつけよう」と考えず、むしろ「トヨタという名前は安物と取られてしまうから、新しいブランドが必要」と現実的に考え、レクサスを立ち上げたのです。

「ゴディバと同等のこのチョコには、当社の名前を外し別ブランドで売りましょう」という部下の真意は、恐らくこのレクサスの考え方と同じです。「当社がリーチしていない新しい顧客を開拓しよう」ということです。

 

こう考えると、菓子メーカー部長の問題は二つあることがわかります。

①「あえて高く売る」という選択肢を考えていない
部長は「当社のチョコよりも1〜2割も高い。わが社が誇る最高級チョコだ」と考えているのでしょう。しかし価格には「品質表示機能」があります。ゴディバと同等品質でも、ゴディバの1/3の価格を付けた途端、お客さんは「ゴディバの1/3の品質」と考えるのです。

②「自社名ブランド」を至上のものと考え、それ以外の現実的な選択肢を排除している
この会社のブランドは「親近感」はありますが「高級感」はありません。自社ブランドは確かに大切です。しかし現実には、この自社ブランドでは最高級チョコ「ゴディバ」には対抗できません。そして恐らくこの部長の頭の中には、ゴディバへ対抗する選択肢はないのでしょう。

 

本当は今までのやり方を根本的に見直すところに、新たな飛躍の種があります。この部長は成功体験があるがために、その種を潰してしまっているのです。

成功体験は、本当にやっかいなものです。
自信にもなりますが、新たなチャンスを潰すこともあります。

だからこそ、常に今の状態が本当にいいのか、健全な問題意識を持ち続けたいものです。

 

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根本原因を一つに絞るな。問題の構造を考えろ

「その問題の根本的な原因は、何だ?」というのが口癖の方、多いですよね。

たしかに問題の根本原因を探すことはとても大切です。
しかし、問題の根本原因は必ずしも一つとは限りません。
複数の原因により、問題が発生していることが多いのです。

問題と対応策の構造は図のようになっています。

だから解決すべき問題があったら、まず主な原因を洗い出すこと。
原因を漏れなく洗い出したいところですが、一方で原因究明に時間をかけすぎるとタイミングを逸します。
だから主立った原因を洗い出します。

そして各原因への対応策を立てることです。
その上で、各対応策に首尾一貫性を持たせた、問題対策の基本方針を決めます。

たとえば、「社内がどんよりしている。社員も元気がない。問題も放置される。新卒退社も多い」という問題があったとします。

この問題解決のために、「景気づけに全社員でハロウィーンパーティーをやろう!」と企画したけれども、社員がほとんど参加せずに盛り上がらないまま終わってしまう…というのはよくあること。

そこで主な原因を洗い出していきます。たとえば

・社員同士のやり取りはチャットとメールが中心で、対面コミュニケーションがほとんどない
・同僚がどんな人なのか分からない。興味もない。
・入社数年目の若手が相談できる人がおらず、悩みを抱えたまま辞めていく

そして、それぞれの原因への対応策を考えていきます。

その上で、「社員同士が理解し合う楽しい職場に変えていく」という基本方針を決め、首尾一貫性を持たせて各対応策を連携させながら、実行していきます。

さらに実行しながら、適宜見直していきます。

問題の構造を見極めて、対応策の構造を作りこむことが必要なのです。

 

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企画を立てたら、全責任を持て。しかし抱え込むな

何か企画を立てるとき、絶対に言ってはいけない禁句があります。
「それは自分の仕事じゃない」

企画を立てる人は、映画のプロデューサーに似ています。

映画のプロデューサーは、映画の企画を立ち上げ、資金調達し、監督・脚本・俳優・スタッフを誰にするか決め、宣伝し、映画を公開して、収益を生み出すところまで責任を持っています。

プロデューサー自身は、脚本を書くわけでもないですし、演技するわけでもありません。
しかしプロデューサーは映画制作の総責任者です。プロジェクトでは必ず何らかの問題が起こります。そんなときに、「これは自分の仕事でない」といった瞬間、その映画プロジェクトは失敗します。

だから細部まで目を配り、何か問題が起こったら率先して解決することが必要なのです。

企画も同じです。
「この企画は、全て自分の仕事。全責任が自分にある」と考えるべきなのです。

これは「すべての仕事を抱え込め」と言っているのではありません。
むしろ逆です。

プロデューサーは脚本を書きませんし、演技もしません。
企画責任者も、その道のプロがいれば任せるべきなのです。
そして彼らが成果を出せるようにサポートし、問題があれば先回りして解決すべきなのです。

そのためには、まず自分で抱え込まないこと。
その一方で、徹底的に細部まで目を配り、すべて自分でまとめ上げることが必要なのです。

 

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「わかった」と「実際にやってみる」は、全く違う

マーケティング研修をやっていて実感するのは、「マーケティングの実践」と「自転車に乗る」のが、とても似ているということ。

講演でお話しすると、意外と多いのがこんな反応です。
「言われてみれば当たり前のことですよね。知っていることもあったし。こんなの楽勝ですよ」

そして実際にワークショップをはじめてみると、多くの場合、こんな反応に変わります。
「あれ?ぜんぜんできない」

理解することと、実際にやることは、まったく違うのです。

「自転車に乗るには、自転車にまたがり、身体でバランスを取り、ペダルをこぐ。ハンドルで方向を取ってください」と口頭で説明されると、なんだか乗れそうな気になります。

しかし現実には、それだけでは自転車には乗れません。実際に補助輪をつけて自転車に乗り慣れて、補助輪を外してバランスの取り方を憶え、空中に足を浮かせて自走する、という段階を経て、乗れるようになります。

マーケティングの実践もまったく同じです。
頭で理解するだけでは、出来ないのです。
実際にやってみることです。

マーケティングの世界には、様々なフレームワークがあります。
「実際に自転車に乗ってみる」ことに相当するのが、この「フレームワークに沿って考えてみる」こと。

フレームワークを与えられ、実例を見せられ、それを自分の仕事に当てはめてみても、最初はなかなか考えることができません。
しかし自分なりに考えて、試行錯誤をしながらやってみると、徐々に考えられるようになります。

座学で学んだだけでは、マーケティングは使いこなせないのです。
自分の仕事で、試行錯誤を繰り返すことで、徐々に身体が憶えていくものなのです。

ところで自転車は一度乗れるようになると、身体が憶えていてその後は忘れなくなります。
マーケティングも同じです。一度使えるようになれば、その後も使えるようになります。

それは自分の武器になるのです。

 

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考えるだけでは、いい企画は生まれない

このような悩みをよく聞きます。

「みんなでいい企画を作ろうと考えているんですけど、なかなかいい企画が思いつきません」

これは勘違いをしています。
それは「考えれば、いい企画が生まれる」と思ってること。

考えるのは、確かに大切です。
しかしそれだけでは、いい企画は生まれません。

企画のキモは「誰かの課題を解決すること」。誰かとは、たとえば顧客や同僚の社員です。

顧客も気づかない課題を見つければ、ヒット商品の種になります。
あるいは、同僚の社員が抱える課題を見つけて、会社が元気になることもあります。
このような課題の発見が、いい企画の種です。

このような企画の種は、会議室に何人も集まって考えているだけでは見つかりません。
いい企画を生み出す出発点は、まずよい情報(=事実)を仕入れることです。

商品開発であれば、顧客を観察してみて、顧客も気づかない課題を見つける。
あるいは同僚の社員を観察して、何で困ってるかを見つける。
考え抜くのはその後です。

顧客も気づかない課題を見つけたら、なんでその課題が発生しているのか、どうすれば解決できるのかを考え抜く。
あるいは同僚の社員が困っていることを見つけたら、なんでそんなことが起きているのか原因を考え抜き、解決策を考え抜く。

私は会議室でお客さんと考える場合、たとえば消費者アンケートなどをプロジェクターで映しながら、気がついた点や違和感を議論することもあります。これも「よい情報(=事実)」に基づいて考える一つの方法です。

材料がないままひたすら「いい企画は何だろう?」と考えても、ただ時間が過ぎていくだけ、ということも多いのです。

まずは、よい情報を仕入れましょう。
考え抜くのは、その後です。

 

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「正しい答え」でなく「正しい問い」を探せ

商品企画で「売れる新商品を作ろう」と考えて、そのための「正しい答え」を探そうとして堂々巡りに陥っている人は、少なくありません。

しかし世の中はますます複雑になり、ニーズも多様化しています。
「売れる商品にするための正しい答えが、どこかにある」と思って一生懸命に答えを探しても、なかなか見つからないものです。

必要なのは「正しい答え」の前に、「正しい問い」を探すことです。
お客様は、何で困っているのか?
お客様は、どんな課題を持っているのか?

これはお客様に会って話しを聞くだけではわかりません。
お客様にとって問題は当たり前になっているので、何が問題なのかをなかなか言葉にできないのです。

たとえばある食品加工用機械メーカーのセールスが、鶏肉加工工場に商品を納めに行くと、作業員が手作業で鶏モモ肉の骨を外していました。加工業者は「昔からこの業界は、手で骨を取り出すのが常識。それ以外の方法を考えること自体、馬鹿げている」と思い込んでいました。

この作業員を見て、セールスは考えました。
「待てよ。鶏モモ肉の骨を手で取り出しているけれども、もっと効率が良い方法があるんじゃないか?」

彼は自動で脱骨する機械の開発に取り組み、試作品を完成させました。
「バカげている」と言っていた加工業者は、試作品を見て「欲しかったのはコレだよ!」
こうして開発した前川製作所の商品「トリダス」は、ヒット商品になりました。

お客様は「自動で脱骨したい」という課題を持っていましたが、手作業が当たり前になっていたので、課題が見えなかったのです。

前川製作所のセールスは、正しい問いを見つけ、自分でその問いに対する答えを作ることで、ヒット商品を生み出したのです。

商品開発では、まず探すべきは「正しい問い」なのです。

 

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