永井孝尚ブログ
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朝活永井塾 第69回 「EQとオーセンティック・リーダーシップ」を行いました
11月2日は、第69回の朝活・永井塾。テーマは『EQとオーセンティック・リーダーシップ』でした。
心の知能指数のことをEQと呼びます。EQとは人の感情を思いやり、自分の感情をコントロールして動機づける力のこと。現代のビジネスではこのEQがますます大事になっています。IQが「考える知性」とすれば、EQは「感じる知性」です。
『EQ こころの知能指数』の著者ダニエル・ゴールマンは、「成功要因のうちIQは2割、EQは8割」と述べています。低迷していたソニーのCEOに就任して変革を成功に導き、ソニーを復活させた平井一夫さんもこのEQを重視するリーダーシップを実践していました。
また最近、「自然体のリーダーが多いなぁ」と感じることはないでしょうか? 最近注目されている自分らしさを貫くリーダーシップのことを、「オーセンティック・リーダーシップ」(本心に偽りのないリーダーシップ)と呼びます。これは医療機器会社メトドロニック社の元会長兼CEOであり、ハーバード・ビジネス・スクール教授であるビル・ジョージが2003年に提唱した考え方です。
このEQとオーセンティックリーダーシップは、密接に関連しています。
そこで今回の朝活永井塾では、下記をテキストにして、EQとオーセンティック・リーダーシップについて学んでいきました。
「EQ 心の知能指数」(ダニエル・ゴールマン著)
「オーセンティック・リーダーシップ」(ハーバード・ビジネス・レビュー編集部)
ご参加下さった皆様、有り難うございました。
【プレゼン部分】



またリアルタイムに参加できなかった方々には動画配信をお送りしました。
次回12月7日(水)の朝活勉強会「永井塾」は、『心理的安全性』がテーマです。申込みはこちらからどうぞ。
発破をかけるほど、イノベーションは起きない

仕事で大手企業の経営幹部の方とお話しすると、時々こんなお悩みをお伺いします。
「イノベーションを生もうとして、私は社員に発破を掛けているんですよ。でもねぇ。社員からなかなかいい提案が挙がってこないんですよ。困ったもんです」
実は大手企業で成果が挙がらない最大の原因の一つは、「その企業の心理的安全性の低さ」にあると常々感じています。こういう会社、実に多いのです。
心理的安全性とは「ここでは何でも言える。心置きなくリスクが取れる」と感じる雰囲気のことです。経営学者のエイミー・エドモンドソンが提唱した概念です。
たとえば現場社員が、手間と労力をかけて新事業アイデアを考え、経営幹部に提案する、ということはよくあります。「自分たちのビジネスを少しでも良くしたい」という想いですね。実に素晴らしいことです。
しかしそんな提案に、こんな対応をする経営幹部もよく見かけます。
「うーん。ダメだね。話にならん」
「こんなの何も目新しくないよ」
「あなた、今のお客さんを何だと思っているの? 無責任な発言はやめよう」
実はこう言っている経営幹部は、心の中でこう考えていることもよくあります。
「その心意気、いいね。実は提案もいい線行っているんだけどね。もう少し鍛えてやれば、よくなるな」
しかし厳しく言われた社員は、発言を額面通りに受け取って、こう思ってしまうのです。
「自分の力不足か。提案しない方がよかったのかなぁ」
「この会社、もう何を言ってもダメなのかな。…転職考えようかなぁ」
このような会社が「心理的安全性が低い会社」です。
終身雇用だった昭和の時代は終わっています。今の会社員は、転職の選択肢があります。やる気がある社員ほど「提案すると厳しく言われてチェックされるけど、なかなか話しが進まない」心理的安全性の低い職場から、「何でも言えてリスクも取れて、サクサク挑戦できる」心理的安全性が高い職場へと、次々と流れていきます。
そして心理的安全性が低い職場には、言われたことしかやらない社員が残ります。これで新しいイノベーションを起こすなんて、ムリです。
「発破かけているんだけど成果が挙がらない。困ったもんです」と苦笑いする経営幹部は、実は自分自身が原因であることに気付いていません。
これは日本企業独特の問題ではありません。あくまで、その会社の問題です。
エドモンドソンは心理的安全性を提唱した名著「恐れのない組織」で、「福島第一原発事故の根本原因は、権威に異を唱えず盲目的服従をする日本文化に深く染みついた慣習が問題」という調査委員会の報告書に対し、こう反論しています。
「それは日本文化に限ったものではない。心理的安全性のレベルが低い文化に特有のものだ」
しかしこう言うと、こんな声も聞こえてきそうです。
「いやぁ。でもウチの会社はそういう社風ですからねぇ」
そのような社風だと、発破をかければかけるほどイノベーションが生まれなくなり、心ある社員が離れていきます。そのまま放置していいのでしょうか? いいわけ、ありませんよね。
あなたの会社は、心理的安全性は高いでしょうか?
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それって本当に事実ですか?

安倍元首相の国葬が行われた際に、官房長官として安倍内閣を支えた菅さんの追悼の辞が、感動的だったと話題になりました。
すると翌朝、とある放送局のモーニングショーで、とあるアナウンサーがこう発言しました。
「演出側の人間として、それはそういう風に作りますよ。これ、電通が入っていますから」
この後、実際には電通は入っていないことが発覚。このアナウンサーの思い込みでした。アナウンサーは後日、番組で謝罪することになりました。
世の中を見ると、このように「それって本当に事実ですか?」といいたくなる情報が多いですよね。ワイドショーなら笑い話ですが、ビジネスでこのあたりの判断を間違えると、場合によっては致命傷になります。
ここで参考になるのが、ハロルド・ジェニーンは1984年に刊行したベストセラー「プロフェッショナル・マネジャー」です。(10月の朝活永井塾でテキストに使用しました)
ジェニーンは、1959年に米国のコングロマリット・ITTのCEOに就任。58四半期連続増益を達成。18年後に辞任するまでに売上・利益20倍、「フォーチュン500」で第11位の企業に育て上げた経営者です。
ジェニーンは…
「ほとんどのサプライズは悪い知らせだ。だからマネジメントの基本は『ノーサプライズ』。95%のサプライズを未然に防げば、残りのエネルギーを本当に必要なことに注ぎ込める。そこで必要なことは、本当の事実を、それ以外の情報から嗅ぎ分けることだ」
とした上で、こう述べています。
「4つの事実を見極めよ」
具体的には次の4つです。
❶表面的事実
例「この商品は売れ筋の最重要商品!」
→表面的に売れ行き好調に見えても、実は赤字販売だったら、最重要商品ではありません。
❷仮定的事実
例「品質は絶対的に重要だ!」
→ある日本の鉄鋼メーカーは品質に絶対の自信を持っていましたが、ある自動車メーカーへの入札で敗れました。この自動車メーカーは普及車のグローバル生産を目指していたので、そこそこの品質で、かつ全世界で調達できることを重視していたのです。このように盲目的に「品質は絶対」と信じている方は多いのですが、実は過剰品質に陥っていることも少なくありません。
❸報告された事実
例「○○さんがこう言っていた」
→冒頭の話しのように裏付け不十分なことも少なくありません。たとえば私たちは「テレビの情報だから正確だ」と思い込みがちですが、実際には正確ではないことも実に多いのです。私もテレビのワイドショー制作会社の担当者から「明朝放送分のこの情報を教えてください」と急に電話がかかってくることがよくあります(結構ドタバタ状態で制作していることもあるようです)。情報は盲目的に信じずに、ちゃんと裏を取りたいものです。
❹希望的事実
例「この案件、競合はいません」
→実は希望的観測でそう思い込んでいるだけで、実はお客様は想像もしなかった別の選択肢を検討中だったりすることもあります。
事実を見極めるには、その情報がまずこの4つのいずれかに該当しないかをチェックして、フィルターに通すことです。
そのためはジェニーンはこう言ってます。
「必要なのは、事実を確認するひたむきさ。知的好奇心。必要に応じて無作法さ」
出発点は「なんとしても事実を突き止めるぞ」という知的好奇心です。
そのためには、場合によっては相手に根掘り葉掘り聞く必要もあります。
「それはどうやって確かめたの?」「誰が言っているの?」「その人がそう言っている根拠は?」
実は私も何かあるとこのように色々と聞くので、煙たがれることも少なくありません。
ただ事実を見誤って間違った方向にいくよりはマシです。
知りたいのは事実であって、相手を信じていないわけではない、ということを伝えた上で、事実を見極めたいものです。
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「在宅とマスクではビジネスで勝てない」

最近SNSを見ていて目に付くのは、飲み会が復活していること。
マスクを外して大人数で宴会をしている様子をとてもよく見かけます。
コロナ禍出で在宅一辺倒だった世の中は変わってきていることを感じます。
そんなことを思っていましたら、日経ビジネス2022.10.10号の記事「オフィスのマスク着用を任意に GMO、対話力低下に危機感」で、こんなことが紹介されていました。
GMOはコロナ禍初期にいち早く在宅勤務態勢に移行した会社です。記事のポイントは、下記です。
・GMOの本社オフィスに社員が戻っている。3割の社員がマスクしていない
・同社は感染対策を続けつつ、共有スペースを除き、マスク着用を個人の自由とした
・社内アンケートでも6割弱の社員が「着用不要」と回答
・熊谷会長兼社長は「在宅勤務とマスクを続けていたら、ビジネスでは勝てない」
・「コロナ禍の2年半、コミュニケーションの機会も質も定量化できないくらいに落ちた。…このロスは計り知れないほど大きい」
・同社は足元の出社率は6割まで戻っている
・国立医療福祉大学大学院の高橋泰教授は「流行中のBA.5の重症化率・死亡率は初期型の80分の1。少なくともインフルエンザより低く、通常の風邪と変わらないレベル」
ビデオ会議で対面コミュニケーションはかなり代替可能です。しかしカメラを通しているので目線のコミュニケーションはできませんし、微妙な息づかいも伝わりません。人間の脳にある「共鳴(レゾナンス)」という仕組みで、人間はお互いの感情を無意識に伝え合うことができますが、最近出てきた様々な研究結果を見ていると、このレゾナンスはネットでは十分に機能しないようです。
コロナ禍が一段落しつつある今、第8波の動きを見極めながら通常モードのコミュニケーションを取り戻すタイミングの見極める一方で、コロナ禍で普及したオンラインコミュニケーションをどの程度残すかという判断が、今後の課題になりそうです。
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どうすれば学びが定着するのか

色々と本を読んだり講義を受けたりしてマーケティングを勉強している。
でもなかなか身につかない。
こんなお悩みをお持ちの方、多いかも知れませんね。
ちょうど先週、永井経営塾を受講されている方から、こんなご質問をいただきました。
「学びを定着するための良い方法があれば、教えてください」
永井経営塾では毎月2時間、様々なマーケティングや経営戦略理論を講義動画でお伝えしています。そこでいい機会なので、回答内容を共有したいと思います。
現実には、座学だけではなかなか身につきません。そこで私はこんなことを心がけてきました。
①実際に学んだ事を仕事で使ってみる
理論を頭で理解したつもりでも、十分に自分の中で消化していないと、仕事で使えません。頭で理解したことと、実際にやってみるのとは、全く違うからです。
たとえば、泳げない人が泳ぎ方を本で学んだとします。でもそれだけでは、プールに入っても泳げません。身体がちゃんと動かないからです。本で学んだ方法をプールの中で実際に試して、身体で覚えることで、泳げるようになります。
ここで大事なのは本で学んでおくということ。
本で学ばずにプールに飛び込み自己流で色々やってる人でも、いつか泳げるようになるでしょう。でも、予め本で学んだ人と比べると、泳げるようになるのは遅いですよね。
マーケティング理論や経営戦略理論も同じです。
理論を学んだ上で、実際に仕事で使ってみることが大事なのです。
実際に仕事で使ってみると、色々とうまくいかない部分が出てきます。
泳ぎ方マニュアルの通りに身体が動かないのとまったく同じです。
そして試行錯誤しながら調整していくと、学びが定着していきます。
②学んだ事をアウトプットする
私の企業研修を受講された方で、学んだ内容を元に、営業所内や自分の課で勉強会を開いている方が多くいらっしゃいます。これは実に素晴らしい方法です。
何かを学んだらそれを人に教えて、質疑応答して学びを深めることは、自分自身の学び定着のためにも有効です。しかもチームの力も向上します。
人に教えるためには、自分が教える内容の本質を理解する必要があります。本質とは「要は、こういうこと」と一言で言えて、相手がハラ落ちすることです。この教える準備をする過程で、理解が進み、知識が定着します。
一方向に教えるだけでなく、できれば教えた後に相手から率直な意見をもらうことをオススメします。これで教える側の自分の理解度も確認できます。
私も会社員時代、社内の勉強会を引き受けてお話ししたり、学んだ事をブログに書いてアウトプットしていました。
学んだ事はどんどん仕事で使ってみて成果を出し、あわせてアウトプットする。
こうすることで学びは定着していくのです。
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