売上や利益だけを管理しても企業は成長しない。星野リゾートから学ぶ「ノウハウの数値化」と「顧客満足度の数値化と共有」

多くの企業は、売上や利益目標を設定し、日々邁進しています。

中には、今期の売上達成が危うくなると、今期売上に直結しないあらゆる社内活動を禁止し、セールス活動を最優先する企業もあります。

この是非を考える上で、ハーバードビジネスレビュー2015年2月号に、星野リゾート代表の星野佳路さんが寄稿された論文「数値で管理すべきは結果よりプロセスである」は、とても参考になります。

—(以下、引用)—

私は計画が嫌いである。

…予算を策定し、目標必達と言い始めるとやっかいなのだ。

…あらゆる場面で、物事が計画通りに進むことなどほとんどない。

…重要なことは、ある局面で計画通りにやることが本当に正しいのかどうか、判断できる能力を身につけることである。

…目標達成のための計画は「目安」に留め、走りながら変えていくことが大事になる。計画を進めながら、毎日でも変えていくことが理想である。思考停止に陥らず行動できれば、計画も意味を持つだろう。

—(以上、引用)—

 

「計画は、まず計画通りには進むことはない」ということは、多くの方々が経験されていると思います。

ではどうすればいいのか?

星野リゾートでは「ノウハウの数値化」を図っています。

—(以下、引用)—

…社員に、その日いつどこで何をやっていたかを入力してもらうことで、すべての施設に関するサービスチームのマルチタスクのレベルや効率が、レーダーチャートになって出てくる。ノウハウが年々進化していれば、たとえ売上や件数が伸びていなくても心配ない。件数や売上は、後からついてくるからだ。

—(以上、引用)—

 

星野リゾートで取り組むのは、ノウハウの数値化だけに留まりません。

顧客満足度の数値化と共有も図っています。

—(以下、引用)—

……スタッフはだれでも施設の端末から、不満に感じている点、評価されている点を、客観的なデータとして把握することができる。

…利益率などは毎月の決算報告で把握できるが、そこに満足度やノウハウの数字は出てこない。そのため、この部分の数値化は非常に大切だと感じている。

…ノウハウの進化こそ私たちが数値化し、目標設定しなければならない部分である。

—(以上、引用)—

 

ノウハウの進化は、顧客満足度向上に繋がります。そしてノウハウの進化は、社員一人一人が考え、実現しなければならないものです。

だから、社員一人一人が、自分たちのお客様の満足度を把握でき、自分のノウハウをいかに進化させるべきかを自分自身で考えるようにする。素晴らしい仕組みだと思います。

では、これは経営にはどのように繋がるのでしょうか?

星野さんは、その点についても言及しておられます。

—(以下、引用)—

 利益や売上は、競争力の結果である。そして、ノウハウの高さこそ競争力の源泉であろう。だからこそ、ノウハウを数値化し日々マネジメントしていくことが、企業の成長にとって必要なのだ。

 だとすれば、本来は売上や利益や件数などを目標にするのではなく、ノウハウを進化させて、競争力を高めることを目標にすべきだ。それを数値化し、目に見える目標として設定することが、企業の成長に繋がるのだ。

—(以上、引用)—

 

つまり、

(1)ノウハウ進化→(2)顧客満足度向上→(3)競争力向上→(4)売上/利益向上

と考えれば、最初の2つをキッチリ数値化して把握し、(1)のノウハウ進化をしっかり管理すればいい。

至極当たり前のことですよね。

ともすると、(1)と(2)を把握せずに、(4)の結果だけに集中している企業は、冒頭の例にあるように、短期志向に陥ってしまい、長期的に見ると低迷しがちです。

星野リゾート自身が、「リゾート運営の達人になる」というビジョンを掲げておられます。まさにノウハウ目標がビジョンになっています。

 

本論文を拝読し、改めて、私自身、企業の「ノウハウ進化」に貢献できるように、日々邁進したいと思いました。

メールのコミュニケーションを改善すれば、仕事力を上げられる。そこですぐにでも始められる方法

昨日、ある企業様の社内報向けインタビュー取材でこんなご質問をいただきました。

「新入社員などの若い人向けに、仕事で成果を挙げるために今日から行えることがあったら教えて下さい」

そこでこんなご提案をしました。

 

仕事で成果を挙げる上での大きな障害は、トラブルです。

トラブルの多くはコミュニケーションが十分に取れていないことが原因で発生します。

ですから相手に伝えるべきことを確実に伝えれば、トラブルを回避でき、仕事の生産性は大きく向上します。

そして現代ではメール(あるいは最近ではチャット)がコミュニケーションの主な手段です。

つまり、これらのコミュニケーションを改善すれば、仕事力は大きく向上します。

 

ここで気をつけるべきは、相手へ確実に伝えることですが、よくある大きな勘違いがあります。

「相手へ確実に伝えよう」と思って、長いメールを送ってしまうことです。

詳細情報も、確かに重要なこともあります。

しかし多くの人たちが一日何十通・何百通ものメールをやり取りしています。

もしご自分が膨大な文章のメールを受け取ったら、ちょっと困りますよね。それは相手も同じです。

ほとんどのビジネスメールで伝えるべき情報は、「要はxxxx」という情報。

理想的を言えば、「5秒程度で相手が理解でき、すぐに返信できる」メールです。

 

「そう言うけど、このブログは長文じゃないか」と思われるかもしれませんね。

当ブログは一般向けに書いており、背景説明も必要ですので文字数が増えています。

一方でビジネスでのメールのやり取りは、相手とはある程度の情報共有がされています。相手がどの程度理解しているかを把握した上で、メールを短くすることは可能なのです。

 

これには私の原体験があります。

日本IBM社員だった頃、社長や役員がやり取りしているメールの内容を目にする機会がありました。

メールで活発に議論をして、その中で意思決定し合意形成がされていきます。

その社長や役員が書いているメールが1行なのです。

こんな感じです。

「xxxさん、私はxxxは、xxxxが課題だと思います。xxxxを検討しては?」

「当事業部ではxxxxという課題があります。対策として、xxxxしています」

「xxxさん、同じ意見です。当部門ではxxxxしています」

「了解。来週の役員会冒頭で会話の上、早速始めましょう」

見事に1行だけで会話がされていました。

 

「それなら、LINEやFacebookメッセージのようなチャットなら問題ないんじゃないか?」と思われるかも知れませんね。

実際、上記のやり取りもLINEのようです。

ただ、ありがちなチャットとは大きな違いがあります。

ありがちなチャットは、こんな感じのものが多いのではないでしょうか?

「ちょっといいですか?」

「はい。なんでしょう」

「この前の会議で議論になったことなんですけど」

「あ、先週のね」

「まだ色々とハラに落ちていなくて……」

「え?何が気になっているの?」

「実は、………」

確かに1行になっていますが、その1行にロジックもアクションもありません。とは言え仕事上、このような話も必要な場合があります。その場合は、チャットではなくむしろ直接会って話をする方がいいかもしれませんね。

一方で先に紹介した例では1メッセージに論拠とロジック、アクションが入っています。

だから必要最小限のやり取りで効率よくコミュニケーションが進むのです。

これはメールでもチャットでも、本質的に同じ重要な点です。

チャットは相手の時間を奪いますのでなおのこと、1回のやり取り(かつできれば1行)で済ませるようにしたいですね。

 

 

とは言え、1行でまとめるのはなかなか大変です。

そこで、3行程度にメールをまとめることを目標してはいかがでしょうか?

最近ではチャットでビジネスコミュニケーションをするケースも多いですが、同じです。

 

しかし実は、メールで3行程度にまとめるのも至難の業です。

そこで難しい方は、当面の目標として、メールでは画面1ページ(ページ送りなし)でまとめることを目標にしてもいいと思います。(チャットでこのようなメッセージを送るのは避けたいですね)

 

「たかがメール」と思いがちですが、これは深い問題をはらんでいます。

短いメールにまとめるには、自分の考えを整理し、さらに相手の理解度に対する洞察が必要になるからです。

短すぎて「何を言っているかわからない」というメールになっても、本末転倒です。

言い換えれば、メールで要点をロジカルかつ簡潔にまとめられないのは、実は考えが整理できておらず、相手に対する理解度も浅いのが原因なのです。

 

もう一つ、メールだけで相手の意思確認ができない場合は、必ず別の手段で相手の意思確認することです。

特に若い方は「メールで返事がないのは、承諾の意味」と考える傾向があるようです。

しかしビジネスでは、返事するべきメールに返事をしていないのは、見落としている可能性が高いのです。

 

「メールでは十分に伝わりそうもないなぁ」と思う内容の場合は、やはりメールを送っても伝わりません。

「メールでは十分に伝わりそうもないなぁ」と思ったら、電話。

「電話では十分に伝わりそうもないなぁ」と思ったら、直接会うなどして、コミュニケーション手段を使い分けることも重要です。

これを3年間続けるだけでも、仕事力は向上します。

 

「メールを送るほどではないけど、すぐ確認したい」という場合は、チャットも便利です。

一方で相手の仕事を中断するという特性もあります。緊急性がある場合や、相手がチャットを多用している場合などはとても有効ですね。

 

あなたのメルマガ、もしかしたら迷惑フォルダーに入っていませんか?

お知らせしましたように、先週からメルマガを始めています。本日、第2号を配信しました。

配信する際には、必ず自分のメール宛に配信テストを行います。

一昨日の配信テストでは、ちゃんと配信されていました。

昨日、文面を修正し配信テストをしてみたら、……2−3回試しても届きません。

メルマガ配信システムの不調かな、と思ったのですが、あとで調べたら、Gmailが迷惑フォルダーに分類していました。

 

試行錯誤の末、下記の文章を削除したら配信されるようになりました。

—(以下、削除した文章)—

一昨日・昨日と名古屋に出張し、色々なお客様とお話ししました。
皆様との出会いに感謝致します。

—(以上、削除した文章)—

普通の文章なのですが、たとえば「出会い」などの言葉と、他の文中にある「メルマガ」等の言葉の相関度を取って、Gmailが「迷惑メール」と判断したのかもしれませんね。

 

改めて自分のGmailをチェックすると、意外と多くの方々のメルマガが迷惑フォルダーに分類されています。

メルマガを発行する人は、配信テストでGmail等にも配信してみて、確認されるといいかもしれませんね。

みずほ総研様開催「みずほFORUM-M講座」(名古屋/福岡)で講演しました

みずほ総研様が開催された「みずほFORUM-M講座」で、講演いたしました。

□2015年2月12日(木) @ 名古屋
□2015年2月13日(金) @ 福岡

名古屋では約140名のお客様。
みずほ総研様@名古屋20150212-2

福岡では約100名のお客様が参加されました。
みずほ総研様@福岡20150213

このようにたくさんの方々にご参加いただき、本当に有り難く思います。
参加された皆様からのお声を抜粋してご紹介します。

◇『100円のコーラを1000円で売る方法』の本を読んで臨んだので、理解しやすかった。
◇マネジメントを再認識することができました。私の立場ですと、顧客が社員になります。社内でのマネジメントの参考例を学んでみたいです。
◇大変わかりやすく、考え方を見つめ直す機会となりました。ありがとうございました。
◇今後の活動に生かしていこうと思いました。ありがとうございました。
◇事例が身近で理解しやすかった。

参加された皆様、ありがとうございました。

メルマガを始めます

2月2日(月)から2月17日(火)まで、全国各地で講演を8回行いました。

名古屋 5回、大阪 1回、東京 1回、福岡 1回

参加されたお客様は経営者や経営幹部の方々を中心に、合計700名。

質疑応答や懇親会では、様々なご意見やご質問をいただきました。

私の本を「社内で教科書として使っている」という方も多くおられました。

本当に有り難いことです。

そこで、「このような方々に、定期的にメッセージをお届けしたい」と考え、メルマガ『お客様が買う理由を創ろう』を始めることにしました。

配信頻度は月数回程度。色々なことをお伝えしていきたいと思っております。

配信をご希望の方は、こちらからeメールアドレスを登録下さい。

配信開始は、2月下旬を予定しています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング様開催「経営課題サポートセミナー」(東京/大阪/名古屋)で講演しました

三菱UFJリサーチ&コンサルティング様が開催された「経営課題サポートセミナー」で、講演いたしました。

□2015年2月6日(金) @ 東京
□2015年2月9日(月) @ 大阪
□2015年2月16日(月) @ 名古屋

中小企業様の経営者を中心に、東京のセミナーでは約70名、大阪のセミナーでは約50名、名古屋では約30名の方々が参加されました。講演90分+質疑応答30分の合計2時間構成でした。

質疑応答では、事業を陣頭指揮なさっている経営者ならではの切実なご質問を多数いただきました。

参加された皆様からのお声を抜粋してご紹介します。

◇ 自社の強み、顧客の課題をもう一度見つめ直し、なぜ自社のサービスが選ばれているのかを考えたいと思います。その中で新しい課題が見つかれば、それを解決 していきます。買う理由は価格ではないケースが多いというのは理解は出来てもそれが何であるのか見極めるのは難しいと感じました。しかしながらローリスク で始められる実験をする勇気をもって仕事に取り組みたいと、やる気がでました。

◇「目からウロコ」という感じで、視点を変える気づきがありました。「お客様が買う理由」を積極的に考えるということに集中してみたいと思いまし た。

◇新事業を担当するタイミングでのセミナーだったため、部下と共に事業開発ができそうです。

◇弊社も新商品の開発を行っていますので、ニーズ断捨離についての考えを会社に広めていきたい。部下への発想の転換を促していきたい。

◇具体的かつ多様な企業の例で、より興味深くお話しを伺うことができました。社員数の少ない小規模のメーカーですが、今自分たちができている部分 あるいはできているのではないかという部分と、これから力を入れていくべき箇所が見えてきました。特に顧客リサーチはこれからの課題として社で共 有していきたいと思います。

◇たいへん勉強になりました。自社なりの価値創造を検討してみようと思います。「やりたいことをやる」…背中を押していただいたと思います。ありがとうございました。

◇顧客中心に考えることが新しいアイデアを生むことがわかりました。

◇事例がわかりやすく、そしておもしろく、充実した時間でした。ありがとうございました。新商品を企画して行くにあたり、課題の解決策を考えなければ売れないことがわかりました。バリュープロポジションの重要性について、役立てていければと思います。

参加された皆様、ありがとうございました。

『「それって社長がやりたいんでしょ。自分はやりたくない」という社員には、どのようにすればいいのでしょうか?』

2月は講演続きで名古屋・大阪・神戸・福岡・東京を回っています。

ある講演の質疑応答で、ある社長さんから、こんな質問をいただきました。

仕事では、「これをやりなさい」と上から指示するだけでなく、社員自身が「これをやりたい!」という仕事ができるようにすることが大切だ、ということはよくわかった。確かに知識社会の今は、そちらの方がいいアイデアが生まれてくる。

しかし自社を振り返ると、自分は社長なのでやりたいことばかりやっているが、社員からは「それって社長がやりたいんでしょ。自分はやりたいない」と言われることが多い。「やりたくない」という社員に対しては、どうすればいいのか?

まず、ご自身が「やりたい」と思っている仕事をしているのは素晴らしいことですね。一方で、さらに社員がどのように「やりたい仕事」が出来るようにするかが、このご質問です。

私は次のようにお答えしました。

まず必要なのは、社員との対話だと思います。これからお話しするのは、会社員だった頃の自分のマネージャーの経験です。

当時、私は30代中頃。前任マネージャーの頃から経験あるシニアな人たちが去り、若手中心で人数は半減した状態で、営業支援チームのチームリーダーを担当することになりました。

私自身、人から「これをやりなさい」と言われるのは嫌な性格でした。そこで
チームメンバーにも、「自分はこれをやりたい」という仕事ができる環境を作りたいと考えました。

ただ、いきなり「自分のやりたい仕事を教えて下さい」と言っても、普通はなかなか答えられません。普段から考えることが少ないからです。

そこで、「1週間後に1対1でお話しする時までに、自分が本当に何をやりたいのか、考えておいて下さい」とお願いし、一人一人と話し合いをしました。

意外なことがわかりました。前任マネージャーが各自にアサインした仕事は、実は本人がやりたい仕事ではなかったということです。

たとえばある女性は、容姿を買われて、製品デモの担当をしていました。しかし実際に話しを 聞いてみると、とても意外なことに、人前に出るのは大の苦手で辛かったということがわかりました。本当にやりたい仕事は、デザインや資料作成でした。そこ でお客様向けの資料作成の仕事をお願いしました。お客様別に色々な資料を作る仕事があったのですが、実にいい仕事をしていただき、お客様からも高い評価を いただきました。

色々な幸運に恵まれ、この若手中心の少人数チームは前年を凌ぐ成果を挙げました。その1つの要因は、各自が自分がやりたい仕事に取り組んだことだと思います。

マネジメントは、チーム内で発生する色々な仕事をメンバーにアサインする権限があります。だったらその仕事は、本人が希望する仕事をアサインした方がいいですよね。「やりたい仕事」なので、アイデアも次々生まれますし、成果に繋がります。

もちろん、仕事なので、状況によっては希望が叶えないこともあります。

しかし一方で、「対話をする」ということがとても大事だと思います。状況が変われば希望が叶える可能性も出ますし、何よりも社員ご自身の納得度が違ってくるのではないでしょうか?

皆様だったら、どのようにお答えになりますか?

最初の面談で、「お客様は何でお困りなのか」仮説を立て、ご提案を用意する

日本IBMの大先輩であり、オルタナブロガーとして「レジェンド営業塾」を書いておられる竹内雄司さんのエントリー「013そのプレゼン&デモでお客さんの心を捉えることできますか?」を拝読しました。

①お客様の事前期待は何か?
これが一番大事であり、この掘り下げ次第で準備の質が決まります。

「まったく、その通り」と思いました。

竹内さんのこのエントリーは「RFPへの営業マンの対応」という観点で書かれています。

一方でRFPがない状況で、お客様と最初の面談がある方も多いと思います。

かく言う私もRFPをいただくことはなく、オフィシャルサイトからのお客様のご依頼で最初の面談をすることが多いので、自分の経験で考えてみました。

私の場合、お客様と最初に面談する際には、「そもそも何でお困りになって、依頼されたのだろう?」ということを考えます。

事前にメールなどでお客様に直接お伺いすることも多いのですが、多くの場合、お客様ご自身も困っていて問題が整理しておられないことも多いのです。

そこで事前資料を読み込んだり、お客様のホームページを見たりして、「恐らく、こういうことで困っているのではないか?」と仮説を立てます。

IR情報があれば真っ先に丹念に読み込みますが、お客様が非公開企業であることも多いので、そんな場合は一般公開されているホームページやパンフレット、あるいはインターネット上の記事を読みます。

たとえば、お客様の会社ホームページに掲載されている、「当社の強み」が、具体的ではなく抽象的なことがよくあります。たとえば「高品質なサービス供」、「丁寧なフォロー」、「迅速な対応」といった言葉がある場合です。

裏返すと、自社の強みが十分に発揮できておらず、その結果、差別化できずに価格勝負に陥るジレンマを抱えておられる可能性もあるのです。

そこで、「このお客様の業務の場合、どのようにバリュープロポジション策定をご支援すればよいか」を仮説として考えます。たとえば、想定される潜在 的な強みは何か、類似の状況にあって強みを発揮している事例(他業界も含め)はあるのか、本来の対象のお客様は誰になるのか、などを考え、できるだけお客 様の業務に沿った内容の提案を仮説として考え、準備した上で、最初の面談に臨みます。

もし仮説が間違っていても、土台があることで、面談の中でどこが間違っているかを把握できれば、その場で修正提案が可能になります。

こうして多くの場合、その後の仕事に繋がっていきます。

ここまでは、お客様からのお問い合わせがあって最初の面談がセットされるケースで書きました。

実際の営業活動では、逆にこちらから最初の面談を申し入れするケースも多いと思います。

むしろこの方が、最初に仮説を作ることが必須です。お客様が必要としているのは、商品の説明ではなく、自分の課題解決だからです。(お客様の立場で「当社の素晴らしい商品を説明するお時間を下さい」とお願いされても、自分の貴重な時間を割く人は少ないと思います)

インターネットが普及している現在、多くの情報はすぐに入手できます。

情報が溢れている現代だからこそ、溢れている情報からエッセンスを整理・抽出し、お客様の事前期待を想定し、それを上回る提案を仮説として準備し、実際に目の前のお客様に検証する仮説検証力が、営業の現場でモノを言うのだと思います。

そのようにエッセンスを抽出し仮説を構築する力は、日々の仮説検証を愚直に繰り返し、学んでいくことで培われていきます。

一見難しいように思えますが、モノは考えようです。今日、今から始めればいいのですから、実は簡単、とも言えます。そして習慣化できれば、3年後には必ず大きな成果が上がっているはずです。

「仕事の悩み=器」理論

「仕事で悩みがない」という人は、いないのではないでしょうか?

新入社員には、新入社員の。
見習いには、見習いの。
先輩社員には、先輩社員の。
新任管理職には、新任管理職の。
ベテラン管理職には、ベテラン管理職の。
事業部長には、事業部長の。
役員には、役員の。
そして経営者には、経営者の。

 

それぞれの悩みがあります。

 

仕事で悩んでると、「昇進したら、こんな悩みはすぐ解消する」と思いがちです。

しかし昇進したら昇進したで、新しくもっと大きな悩みがちゃんと待っているのです。

 

一方で過去の自分を振り返ってみて、「あの頃は、なんであんなことで悩んでいたんだろう」と思うことも、多いのではないでしょうか?

私自身も振り返ってみて、天は、自分の現在の器に見合った大きさの悩みを大まかに計って、与えてくれるようだ、ということを感じます。仕事は不思議なものです。

 

「今、そのことで悩んでいる」というのは、それが自分の器のしきい値になっているからなのかもしれません。
自分の器が、そのしきい値をちょっとだけ超えて成長すれば、その悩みは解消します。
しかし、そこを越えた途端に、また新たな悩みに出会うものです。

 

つまり、

・仕事では、自分の器以上の悩みは、与えられない
・仕事の悩みは、自分の器をより大きくしてくれる

このように考えてみると、「仕事の悩み」は前向きに捉えて取り組むことで、より自分が成長できるようになるのではないかと思います。

 

ただ、天は「大まか」です。

特に仕事の悩みで心が折れそうになり、メンタル面で危険信号が灯ることもあります。

自分の状態によっては、悩みが現在の器以上に大きくなってしまったり、自分一人で何とかしようとして袋小路に入ってしまうこともあります。

こんな時は自分で抱え込まず、早めに周囲に相談したいですね。仕事は個人でなくチームで進めるものですから、「自分の手に余る」と思ったら、むしろ積極的に周囲に相談すべきではないかと思いますし、それは決して恥ずかしいことではありません。

「ひずみは、必ず解消される」ことを理解すると、色々なことが見えてくる

未来を予測することは、困難です。しかし予見する方法があります。

それは、「ひずみ」を見極めること。

「ひずみ?」と思われるかもしれませんね。

 

出光興産相談役の天坊昭彦さんが経理部国際金融課長に就任した後、為替の世界で有名なバンカー2人に教えを請いに行った時の様子を日経ビジネス2015.01.12号の記事「経済教室 2015年の潮流を読む 第1回 原油・為替を注視せよ」で書いておられます。

—(以下、引用)—

「為替を見る時に一番大切なことは何か」と問う私に対して、2人は「短期的な動きに惑わされず大局観を持って本質を見極めること」「そのためには歴史を学ぶことが重要」と答えました。……どこかに大きなひずみがたまると、必ずそれを解消する方向に変化が起きるので、その兆しを見逃さないことが大事だと教わったのです。

—(以上、引用)—

これは、為替に限らず、多くのケースに当てはまる金言です。

大きなところではリーマンショックや不動産バブル、身近なところでは職場の人間関係や取引先とのビジネスなど、自分が違和感を覚えるような「ひずみの兆し」を感じて、それを見定めれば、歪み解消の変化がどのように起こるのかが予想できます。

 

変化がますます急激になっている世の中です。

「ひずみは、必ず解消される」ということを理解し、もし違和感を覚えたら、「どこかにひずみの兆しが生じているか」を常に意識して考えるようにすると、流れを見極め、考えを半歩深めることができるようになるのではないでしょうか?

ホームページビルダーSPがとても使いやすい

10年以上、ホームページビルダー(以下、hpb)を愛用しています。

4年前にWindowsからMacに移行してからも、VMware Fusion + Windows7を入れてMac上で動かしています。

最新バージョンは19。開発販売元のジャストでは、「このバージョンになって、ドラッグ&ドロップで簡単にホームページが作成できるようになった」としています。→ジャストのサイト

 

実際にはhpb 19を買うと、hpb SPとhpbクラシックの2つのバージョンが付いてきます。

「ドラッグ&ドロップで簡単にホームページが作成できる」のが、hpb SP。

ただしhpb 18以前で作成したホームページは、hpb SPでは修正できません。hpb 18以前で作成したホームページを修正するには、hpbクラシックを使います。hpbクラシックはhpb 18までの操作性を踏襲したもので、細かい使い勝手は改善されているものの、「ドラッグ&ドロップで簡単にホームページが作成できる」バージョンではありません。

私はhpb 19を買ったものの、当面はhpb 18以前のバージョンで作成したホームページの管理をする目的で使ったので、主にhpbクラシックを使っていました。

 

このたび新しいホームページを立ち上げることになり、hpb SPを使い始めています。

まだ使い始めて2日間ですが、とても使いやすいですね。

「ドラッグ&ドロップで簡単にホームページが作成できる」のも魅力ですが、個人的に気に入っているのは、編集対象(オブジェクト)を選ぶと、そこで編集できる機能だけが表示されること。hpb 18以前では、hpb 18の全機能が画面に出ていたので、どの機能を使うかかなり迷いました。今は迷うことなく選べます。

独立したツールだったウェブアートデザイナーなども、hpb SPでは本体に取り込まれ、必要な時に呼び出されるようになりました。これも使いやすくなりました。

html編集はできなくなったようです。恐らく何かの理由があると思いますが、html編集ができると何かと都合がよい場合も多いので、できれば復活していただきたいですね。

 

今後作成するホームページは、hpb SPで作ろうと思います。

議論には、2種類ある。混同すると火傷する

「和を以て貴し」を是とする日本人にとって、議論は苦手です。

しかし一方で、ビジネスの世界では議論の重要性が高まっています。

そこで企業でも、議論の技法を身につけるべくディベートに取り組むケースも増えています。

 

 

たしかにディベートは、ロジックを学ぶ上で有益な方法です。

しかし実際には、議論はディベートだけではありません。

 

週刊東洋経済2015年1月17日号の記事「知の技法 出世の作法 信頼できる評論家が池上彰である理由 弁証法的な思考に長け 対話で真理を見いだす」で、佐藤優さんがこの日本人が苦手だと言われている議論の方法論として、2種類上げられておられます。

参考になるので、紹介します。

 

一つはディベート。企業ではディベート研修なども注目されていますが、本来ディベートとは「言葉の決闘」であり、二者のどちらの論者が優勢であるかを、ルールに基づいて判断するものです。

佐藤さんは「そこには、開かれた心で新たな真理を見いだしていこうという気構えはない」と書いておられます。

社内の議論を活性化しようとしてディベートのスキル向上を図るケースがよくあります。論理的思考と多角的なモノの見方を身につける上で、確かにディベートは有効です。またなかなか議論しようとしない組織では、ディベートはショック療法として有効かもしれません。

しかし日々の業務でディベートが過度に使われるようになると、ともすると単に議論の勝ち負けだけに終始するようになり新たな価値創造ができず、逆効果になる可能性もあります。

 

もう一つが、弁証法的対話。佐藤優さんが「池上彰さんが身につけている」としている手法がこちら。対話を通じて真理を見いだす方法です。具体的には、

・Aという意見を偏見なく聞き届ける。

・そしてその矛盾点や疑問点などを検証し、相手に質問し、回答を得る。

・そのようにして正しい真理に迫っていく。

という議論の手法です。

 

一昨年まで外資系企業に30年間勤務していて、海外の人たちから、日本人に対して感じている不満の一つとしてよく聞いていたのが、日本人が「弁証法的対話」が行えないことです。

「ダメなものはダメ」「日本は違う」「わけがわかっていない外人に対して、意見を通してやる」という考えを持って議論に臨むのは、どちらかというとディベート的手法。かつて日本人が海外の人との議論に臨む際には、「いざ、外人と一騎打ち」というこのパターンが少なくなかったように思います。

一方で、「こう考えてはみたものの、他にもっとよい解決策があるかもしれない。一緒に考えよう」という態度で議論し、よりよい解決策を探っていくのが、弁証法的対話です。

 

私の実感では、弁証法的な議論ができる人は意外と少ないように感じています。(また公平性を期して補足すると、海外の人たちの中にも、弁証法対話ができない人もいます)

 

典型的なのが、国会の答弁。弁証法的議論はほとんどありません。ディベート的手法の「言葉の決闘」で相手を打ち負かそうとしたり、あるいは揚げ足取りをしているのを、国民は望んでいない筈です。

国民の税金を使って国会議員同士が議論しているのですから、弁証法的手法で党派を乗り越えて、相手の良い点は取り込み、疑問点は正し、よりよい解決策を見いだしていく。

こんな姿勢を見せるような党は、より国民の支持も得られるのではないでしょうか?

 

そして、私たちの日々のビジネスでも、弁証法的対話は大切になってきていると思います。

議論のバリエーションとして、ディベートだけではなく弁証法的対話も身につけると、思考が半歩深まっていきます。

 

その連絡、メールでOK?電話?それとも会って話す?

「あの件、どうなりました?」

「数日前にメールしたんですけど、返事がないので…。とりあえず返事待ちです」

「うーん。相手の返事がないと進められないですよね。困りましたね」

こんなこと、意外と多いですよね。

比較的緊急で重要な案件の場合、こんな状況になると、仕事が停滞してします。

 

どうすればいいのでしょうか?

 

仕事は、仕事相手に色々な連絡をしてやり取りをしながら、進んでいきます。

今は、メール(あるいはFacebookメッセージ)、電話、あるいは直接会って話すなど、色々な連絡手段があります。

メールは比較的簡単ですし、相手が忙しい時に中断させる必要もありません。結構気軽に使えます。そこでメールで連絡するケースが多いのではないかと思います。

ただ、文字主体のメールでは、行き違いも多いのです。冒頭のケースは、そんな状況になっている可能性が高いのです。

 

実は、どのような場合に、どの連絡手段を使うのかを明確にしておくと、冒頭のような状況に陥るのを避けることが出来ます。

 

私の場合、その連絡事項を次の二つの要因で分類します。

■それは、込み入った話か? → Yes / No

■それは、相手の回答が必要か? → Yes/No

この二つで分類した上で、以下のように対応します。

連絡手段20150106.png

 

ちなみに「込み入った話かどうか?」は、大きく二つの要因があります。

■相手に伝わりやすいシンプルな話か?(→複雑な話は会うべき)

■相手がすぐに返事できる話か?(→考え込ませる話は会うべき)

 

ここ数年間、おつき合いが増えた出版社の編集者の方は、総じて連絡のやり取り上手な方がとても多いように感じています。

文章を使って知識を伝えることを仕事にしている人たちなので、「情報が伝わるか?」ということをよく考え抜いておられるのでしょうね。

 

仕事では、相手とちょっとした理解の行き違いが発生するだけで、大きな損失を生み出します。

連絡で行き違いがないように、充分に気をつけたいものです。

“How Google Works” –必要なのは、スピードを高め、試行錯誤を繰り返すこと

“How Google Works”を読了しました。

既に多くの方々が書評を書いておられる通り、Google社内の様々な優れた取り組みを紹介している良書です。

参考になった箇所を一つずつ挙げていくと、それこそ一つの解説書くらいのボリュームになってしまいますが、特に私が「なるほど」と思ったのは次の箇所です。

—(以下、引用)—-

劇的に優れたプロダクトを生み出すのに必要なのは巨大な組織ではなく、数えきれないほどの試行錯誤を繰り返すことだ。つまり成功やプロダクトの優位性を支えるのは、スピードなのだ。
 
………あらゆる企業はプロダクト開発プロセスのスピードと、プロダクトの質を高めることを最優先すべきだ。産業革命以来の業務プロセスは、リスクを抑え、失敗を避けることに重きを置きすぎていた。こうしたプロセスやそこから生まれた経営手法の支配する環境では、スマート・クリエイティブは息が詰まってしまう。
 
—(以上、引用)—

 

Googleに限らず、勢いがあり成長する企業には、スピードがあります。無駄なことは行っていません。もし無駄があればすぐに見直して無駄を省きます。

「無駄かどうか」を判断する一つの基準は、「その仕事は顧客に対する価値を生みだしているか?」。

もし生んでいなければ、即刻止める。そして、顧客に対する価値を生み出す仕事に集中し、そのスピードを徹底的に追求するのです。

 

また失敗を怖れず、失敗を「管理」します。大きな失敗にならないように、小さな失敗を繰り返して学びを蓄積することを重視します。

 

「自分の会社で、応用できることはないか?」と自問しながら本書を読むと、得られることが多いのではないかと思います。

 

いつも使っているGmailで、簡単に独自ドメインメールを受発信する方法

現在準備中の独自ドメインで、メールの受発信も行いたいと考えています。

一方で普段使っているメールはGmailです。スパム対策やセキュリティ設定も優れており、外出先でスマホでもメール受発信ができるので、できればGmailで独自ドメインのメールも使えればいいな、と思っていました。

そこで調べたところ、簡単に設定できることがわかりました。備忘録を兼ねて、メモ書きします。

なお、さくらインターネットのレンタルサーバーのケースで書いています。別サーバーをお使いの方は読み換えていただければと思います。メールサーバー管理者が別にいる場合は、その方の協力が必要です。

(また、私はこの方法でメール受発信できるようになりましたが、技術的に正しいかどうかは検証していません。実施される方は自己責任でお願いします)

(1) まず、さくらインターネット側の設定からです。サーバーコントロールパネルでメールアドレスを作ります。 (メールアドレスのパスワードも設定)

(2) 作成したメールアドレスの転送先に、自分のGmailのアドレスを指定します。なお、Gmailアカウントへのアドレス追加の際に、確認コードがさくらインターネットのアドレスに送られてくるので、この時点では「転送専用にする」ではなく、「メールボックスに残す」にチェックしておきます。

(3) この時点では、メールアドレスは「名前@xxxxx.sakura.ne.jp」になっています。独自ドメインを取得していれば、これを「名前@独自ドメイン」に変えられます。
サーバーコントロールパネルで「メールアドレス毎の設定」をクリックし、画面右側のテーブルにある該当メールアドレスの「ウェブメール」をクリック、次に出てくる画面で「メール」→「設定」をクリックし、「設定対象ドメイン」で登録済の独自ドメインを選び、「このドメインをデフォルトにする」をチェックします。これでメールアドレスが独自ドメインになります。

(4) 次にGmail側の設定です。Gmail画面右上の歯車マークをクリックし、「アカウントとインポート」を選び、「名前:」の中の「メールアドレスの追加」をクリックします。

(5) 「別のメールアドレスを追加」の画面で、「名前」にメールで使用したい名前を入れて、「メールアドレス」にさくらインターネットのメールアドレスを入れ、「次のステップへ」をクリックします。

(6) 「メールアドレスを編集」の画面で、「SMTPサーバー経由で送信します」をチェックし、「SMTPサーバー」にxxxxx.sakura.ne.jp (名前にはsmtpは付けないこと)、「ユーザー名」にさくらインターネットのメールアドレス(@以下のドメイン名も含めること)、そして「パスワード」に(1)で設定したパスワードを入力し、「変更を保存する」をクリックします。

(7) アカウント認証のために、Gmailから確認コードがさくらインターネットのメールアドレスに送られるので、(3)のウェブメールの画面で確認し、ここで入力します。

 

これでGmail上で独自ドメインメールの受発信ができるようになります。

一通り設定が終わったら、上記(2)の画面に戻って「転送専用にする」をチェックしておくと、さくらインターネットのメールボックス容量は圧迫されなくなります。

 

さらにiPhoneで使うためには、iPhone用のGmailアプリを使用する必要があります。iPhone純正のメールソフトでは、独自ドメイン宛メールの受信はできますが、発信はできないからです。Gmailアプリであれば、独自ドメインメールで発信できます。

 

ブラウザー上のGmailではなく、PC用のメールソフトでメール受発信する場合は、別途メールソフトの設定が必要になります。(割愛します)

(なお、これは2014/12/25時点の情報です。後日ご覧になった方は、変更されている可能性もありますのでご了承ください)

積ん読本が、急に減り始めた理由

気になる本があると、よく買います。そうしている間に、あっという間に本が溜まっていきます。

最近は半分がKindleのような電子書籍なので物理的な場所を取らないことも多いのですが、それでも未読本が何十冊も溜まっている状態になったりします。

これを解消するために、10月からあることを始めました。

2ヶ月が経ち、積ん読本が急激に減り始めました。

 

その方法とは、実はとても簡単。

読むべき本のリストをExcelで作り、状況(済/未読)、読書開始日、読書終了日をチェックできるようにするだけです。

 

自分にとって、これは意外と効きます。

まず、読むべき本が一目でわかります。未読本の中で、真っ先に読みたい本の優先順位も付けることができます。

また、「この本を読んで、次に関連するこの本を読もう」とか、「この本を読んだから、この本は読まなくてもOK」という判断ができるようになります。

さらに、「積ん読本を見える化」することで読書の励みにもなります。

 

新しい世界との出会いがある読書は、楽しいものです。

特にKindleのように電子書籍で気軽に本を持ち歩いて、スマホなどで待ち時間中にも読めるようになり、読書量は格段に増えています。

 

これからも色々な本を読んでいきたいと思います。

Evernoteに書いていた文章が上書き保存されて消えてしまった →復活できました

Evernoteに色々とメモ書きするようになりましたが、ちょっと困ったことが起きました。

仕事メモ用のノートに、Macでテキスト入力して書き込みました。

途中で写真を入れる必要があり、iPhoneで手書きメモを撮影、iPhoneのEvernoteでそのノートに貼り付けました。

無事に貼り付けられたので別の仕事をしていたのですが、ふとノートを見ると、前にMacで書いた文章が上書きされてしまっており、消えています。

30分ほどの作業だったのですが、考えながら書いた文章だったのでかなり残念。

「困った」と思いながら何気なくFacebookのタイムラインを見ていたら、お世話になっている編集者も「Evernoteでノートが上書きされてしまった。困った」と書き込んでいます。

「同じタイミングでお互い大変だなぁ」と思って見ていたら、他の方から「プレミアム会員なら、履歴から戻せますよ」とのコメントがありました。

 

私もプレミアム会員に入っているので、早速やってみました。

Macでノートを開いて、メニューで「ノート」を開いたところ、「ノートの履歴」、確かにありました。

こんな感じです。

Evernote履歴2.png

 

ここに残っていたので、無事戻すことが出来ました。

iPhoneやiPadでは、履歴は見ることができないようです。

 

確かにEvernoteで同期をしていると、前のノートがなくなってしまうことはよくありそうです。

「競合文書」として保存されることもありますが、競合文書が保存されていない場合もあります。

そんな時は、この履歴を使うと比較的近いところから戻すことができるので、覚えておくと便利ですね。

「Facebook、LinkedIn、Amazonが、社内でのパワーポイントの使用を禁止」を読んで…

本を書くのって、結構大変です。

色々な方法があると思いますが、私の場合は、必要な情報を調べたりアイデアをため込んだりして材料を揃えて、全体の構成を作って、書いていって、構成して、……途中、編集者との打合せもあります。

かなり大変な作業ですが、これは読者に伝えたいことを確実に伝えたいからなのですよね。

 

講演会でのプレゼンも、本質的には同じ。色々なアイデアや考え方を、講演で伝わるように構成を作り、わかりやすく伝わるように作っていきます。

この時に、パワーポイントという道具は、私にとってとても役立ちます。

 

そんなことを思っていたら、こんな記事を見つけました。

 

Facebook、LinkedIn、Amazonが、社内でのパワーポイントの使用を禁止

 

「なるほど」と思いました。

本やプレゼンは「伝えること」が目的です。

一方で社内会議は「アイデアを生み出し」「決定すること」が目的です。

目的が違うのですよね。

振り返ってみると、私もたとえば編集者やお客様との打合せの場合は、パワーポイントは使わずに、WORD等でアイデアや提案を文章にまとめることがとても多いのです。

 

当たり前のことですが、ビジネスツールは目的に沿って選ぶようにしたいものです。

Evernoteで、知的生産性を劇的に増幅する

遅まきながら、Evernoteを使い始めてから、約1ヶ月。日々の行動が変わり、知的生産性も高まりました。

 

以前は、せっかく思いついたアイデアをメモ書きしていないので、思い出せない、ということがよくありました。

そこでMac使用中にアイデアを思いつくと、すぐにテキストエディターでいつもの特定ファイルに記録するようにしていました。

外を歩いている時などはiPhoneのメモなどを使っていました。

モヤモヤっとした概念が思い浮かんだ場合は、文字入力できません。そこで手帳に図を手書きで書いていました。

それぞれに書いた内容はバラバラ。そこで別々に管理して見る必要があります。これが意外と不便。アイデアがなかなかまとまりません。

 

今はアイデアを思いつくと、まずEvernoteに書き込みます。

Macでも、iPhoneでも、iPadでも、テーマ別のノートをすぐに見つけることができます。

記入すれば即座にサーバーで同期します。たとえば「ブログアイデア」、「新事業案」、「新著書案」といったようなテーマ別に、常に最新状態のメモを見ることができます。

文字入力できない図のようなものが頭に浮かんできた場合は、手元の紙にさらさらっと描いて、iPhoneで写真を撮って、Evernoteに貼り付けるだけ。

まとめておけば、アイデアが浮かんだ時点で関連性も理解しているので、それぞれのアイデアを繋げることもできます。

つまり、

・アイデアを出力する時間が劇的に短縮する

・さらに情報を整理する手間もなくなる

・加えてテーマ別に情報が自動的に同期でき、最新状況のアイデアを一カ所でまとめて見ることができる→さらに新しいアイデアが沸いてくる

アイデア出力スピードが思考スピードに追いついてくることで、アイデアの生産性が格段に高まります。

 

さらにホームページ上の情報や、PDF、写真、スキャナーで読んだ情報なども取り込むことができ、写真やPDF上の文字情報も自動的にサーバーで文字認識し、テキスト情報化してくれます。つまり画像上の文字情報も、テキスト検索対象になります。

またKindleでは、気になった部分をハイライトできる機能があります。実はKindleのサイトでは、この自分がハイライトした部分をまとめて見ることができます。この情報をEvernoteに取り込めば、読んだ本のハイライト情報もEvernoteへ簡単に取り込むことができます。

これまでは色々な情報をインプットしても、手帳に手書きで書いたりExcelで整理するのに同じくらいの時間がかかっていました。これが不要になります。

さらにこれらのEvernote上にある情報は全て、文字検索することができます。

ちょうど、自分用に最適化した情報整理用Google検索エンジンを持っているようなイメージですね。

日々持ち歩く情報を紙媒体にする必要性が少なくなるのも、有り難いですね。

 

先日のブログで書きましたように、Evernote CEOのフィル・リービン氏は1ヶ月前の世界経営者会議で次のように語っていました。

どんなわがままも聞いてもらえる「子ども」。周りが働いてくれる「CEO」。自分の能力が飛躍的に高まる「スーパーマン」。

あなたはどれになりたいだろうか?

私の場合は「スーパーマン」だ。能力を高めて色々なことを実現したい。Evernoteはそれを可能とするのだ。そこで私が提唱しているのは、Augmented Intelligence (知能増幅)。テクノロジーを活用して、人間の知能を増幅するのだ。

私がEvernoteを使おうと思ったのは、彼の講演がきっかけです。(講演直後に会場でEvernoteをダウンロードし、MacとiPhoneにインストールしました)

実際に使ってみて、確かにEvernoteが知能を増幅してくれるツールだと実感しています。

ちょうど今、色々な情報のインプットに努めている時期であることもあり、この1ヶ月間はEvernoteにどんどん情報を放り込んでいます。

せっかくこのような仕事の能力を高めてくれるツールがあるのですから、使わない手はないですよね。

ぜひ来年の仕事に活かしていきたいと思っています。

世界経営者会議(1) 1日目:IBM・ロメッティCEO、日立・中西CEO

2014/11/11-12開催の日経フォーラム世界経営者会議に参加しています。当ブログでその様子と学んだことを順次ご紹介していきたいと思います。

初日のトップバッターは、IBMのロメッティCEOと日立の中西CEOでした。お二人の講演の後、竹内弘高ハーバード・ビジネス・スクール教授が加わり、3人で対談されました。

なお、今回の第16回目世界経営者会議では、初めて全てのセッションを英語にしています。(同時通訳レシーバーで日本語も聞けます)

初日に登壇した9名の経営者のうち、日本人は中西さん1名。中西さんも、司会を務められた竹内先生、関口論説委員も、英語でした。日本のグローバル化はこんなところでも進んでいるのですね。

■IBM バージニア・ロメッティ会長/社長/CEO

3つの技術シフトが起こっている。

1つ目はビッグデータ。産業界における天然資源になりつつある。産業界におけるデータは年間40%で増大している。これをアナリティックス技術で分析するかどうかで、勝者と敗者が明確に分かれる時代となった。

2つ目はクラウド。90%の新規ソフトウェア開発がクラウド上で行われている。クラウドの意義は、業務におけるスピードとアジリティ(俊敏性)の獲得、および新たなビジネスモデル構築が容易になったことだ。

3つ目はソーシャルとモバイル。日本は一人当たりのソーシャルデータが世界一だ。パーソナライゼーションが進んでいる。ここではセキュリティが課題だ。

このように3つの大きな技術シフトが同時に起こったことで、全産業界に影響を及ぼしている。IBMはこのために、ワトソンに10億ドル(1150億円)を投資している。

ここでロメッティCEO自身で、ワトソンの活用事例のデモを行いました。私が記憶する限り、IBMのCEOが自身でデモをするのを見たのは、これが初めてです。

ニューヨークのがんセンターで実際に使われている乳がんの診断の画面の様子でした。症例データを元に数百の治療方法の中から、1000万ページの文献データを元に、診断結果を、その診断理由とともにワトソンが提示します。

ロメッティCEOは、「これは『見る』『知る』『予測する』という意思決定プロセスの変革である」と締め括りました。

パッションを持ってプレゼンしつつ、全ての言葉をキッチリと数字でロジカルに裏付けているあたり、さすがだと思いました。

 

■日立製作所 中西宏明会長兼CEO

日立の1990年からの25年を見ると、1998年、2001年、直近では2008年に大きな赤字を出した。現在復活している。

ソーシャルイノベーション事業を進め、事業ポートフォリオを組み替えた。2009年と2013年の売上比率を比較すると、消費者向け事業は16%から7%に減少する一方、高技術素材は36%から44%に拡大、ITは27%から28%に、電力インフラ・産業用は21%で変わらずだ。

ソーシャルイノベーション事業を進めているのは、市場と顧客、社会トレンド、技術革新といった3つの変化があるから。そこでクラウドとビッグデータというITを活用して、ソーシャルイノベーション事業を推進している。

たとえばハワイ・マウイ島では、2030年までに再生エネルギー比率40%を達成するために、エネルギー管理システムを提供している。

水資源の有効利用も進めている。インドでは海水の淡水化事業を進めている。

顧客視点でのソリューションとサービスを提供する。

顧客の課題→製品・システム→保守→システム運用→課題解決

このように運用まで一括して請け負えるのが日立の強みだ。

 

■竹内弘高ハーバード・ビジネス・スクール教授と、ロメッティCEO・中西CEOの対談(敬称略)

竹内:お話しを聞いていて、二人とも事実に即した楽観主義 (fact based optimism)だと感じたが、どうか?中西さんにはアベノミクスに対するお考えも含めお聞きしたい。

ロメッティ:現代は、災害や疾病など、とても困難な課題が山積している。しかし一方でそれらを解決するための技術もある。だからfact based optimismが大切だと考えている。

中西:アベノミクスで一番重要なのはデフレ脱却。マインドセットは変わったと思う。日本企業の課題は課題はグローバル化だ。どこに目標を定めて、どう攻めるかだ。ここで日本の高い技術が活きる。だから私もfact based optimismだ。

竹中:いかに企業文化を変革したのか、ご自身の体験でお話しいただきたい。

ロメッティ:会社を改革するのは、私の任務だ。まず、長期的な視点を持つ。そして過去にこだわらない (don’t protect the past)。そして自分たちを製品で定義しないことだ。特に技術系企業は製品や競合で定義しがちだ。そして人材への投資も必要だ。IBMではThink academyという仕組みで最新技術を学んでいる。

中西:「日立復活」と言われたが、事業ポートフォリオ変革のために、リソースを未来へシフトする意思決定自体はそんなに難しくなかった。重要なのは、考え方の変革だ。社員をいかにアグレッシブにして過去にこだわらないようにし、顧客に目を向けさせるか。これまで国内市場中心だったが、グローバル化を推進する必要がある。多様化がキーワードだ。異文化、海外の同僚との交流などを推進していく。

 

日米を代表する企業のトップのお話をお聞きし、改めて企業変革において、社員の考え方の変革がカギになることを実感しました。

オフィス永井が企業様にご提供している「戦略的研修」について、3週間前に当ブログで書きました

改めてこの「戦略的研修」が現代の企業に対する一つの解決策であり、さらにそこで得られた学びを著書の形で広く世の中のビジネスパーソンにお伝えしていくことで社会に貢献できることを実感しました。

 

世界経営者会議では19名の経営者が登壇しています。また追って当ブログでご紹介していきたいと思います。

 

チャットのお作法

FBなどにより、チャット活用の場面が増えてきました。

チャットでまったり世間話をしたり、色々とアイデアを出し合うこともあったり、と、色々と便利です。

一方で困るのは、パソコンで仕事に集中している時に、チャットで割り込まれること。

集中している時はチャットの返事を後回しにすればいいのですが、私の場合、どのような要件なのかつい気になってしまい、返事をしてしまいます。

たとえば、こんな感じです。

「こんにちは。お久しぶりです」

「こんにちは。こちらこそ」

「来週、お時間あります?」

「月曜午後、火曜午後、金曜夜なら時間ありますけど、どんな要件でしょうか?」

「鈴木三郎さんって、ご存じですよね」

「あ、あの同期入社の人ですよね」

「今度、鈴木さんがプロジェクトを立ち上げるらしいんです」

「ほほう」

「永井さんにも是非参加いただきたいので、一度、三人でお話しできないかな、なんて思って」

「あ、そうですか…」

「月曜午後、火曜午後、金曜夜ですね。鈴木さんに予定、確認してみますね」

「よろしくです」

「あ、そうそう。どう言えば、同期の佐々木さんが今何しているかって、知ってました?」

こんな会話をしていると、いつの間にか5〜10分くらいかかってしまいます。

気分が乗って仕事に集中している最中にチャットで途切れると、集中力を取り戻すのに時間がかかったりしますので、とりあえずチャットが来ても後回しにさせていただく、ということも必要なのでしょうね。

まったりチャットモードもいいものですが、話しかける場合は、まずお互いに相手がどのような状況にあるのかをわかっている状態で、始めたいものです。

 

一方でこんな感じで、1回のチャットで要件を全部伝えてくる方もおられます。

「こんにちは。同期の鈴木三郎さんが立ち上げるxxxプロジェクトが、永井さんが取り組んでいるxxxとも関係が深いので、一度ご紹介させていただきたいと思いますが、いかがでしょう?鈴木さんは、来週の火曜午後と金曜午後なら空いているそうですが…。今日中にご返事をいただけるとありがたいです。よろしくです」

このようなチャットは、こちらの時間に対する配慮が感じられ、ありがたいですね。

自分がチャットする場合も、参考にさせていただいています。

  

「企画書は武器である」と心得るべし

もし「仕事で、こんなことをやってみたい」と思っていたとしたら、…企画書を作る力を磨くことです。

私たちは、かけがえのない人生の時間を使い、仕事をしています。
同じ時間を使うなら、やりたい仕事をしたいもの。

企画書は、自分がやりたいことを明確にし、周りの人たちの力を集めて実現していくための武器なのです。

それは会社員でも、独立したフリーでも、同じこと。

仕事は、多くの人々の協力で進みます。
一人だけで出来ることは限られています。

ただ、完成度が低い企画書も、数多く散見されます。たとえば、

・目指すものが、よくわからない。
・ビジョンは素晴らしくても、実現方法が不明確。
・アクション、責任者、期日があいまい。
・出されている数字に数多くの不整合がある。

このような企画書が通ることは、まずありません。

企画書は、

・なぜその企画が必要なのか、目的を示し、
・その目的を達成するための、具体的な目標を設定します。
この二つは、「自分がやりたいこと」そのものです。

そして、

・目指すところを実現する方法
・具体的な実行計画、期日とそれぞれのアクションの責任者
・解決すべき問題
・チーム構成

…に展開していきます。

場合によっては、顧客や市場の分析も必要でしょう。

そして、全て首尾一貫し、かつ整合性があることが必要です。

何よりも大切なのは、人を感動させること。
人の心を動かせない企画書は、組織も動かせないのです。

企画書は、武器であり、ビジネスパーソンとしての総合力が問われるのです。

ビジネスパーソンとして、武器としての企画書を作成する力を日々磨いていきたいものです。

そしてその力は意外なことに、日々の一見退屈で多忙な仕事の中で、磨かれていくものでもあるのです。

Business Journal連載第3回目『ルンバ成功のカギ、ニーズの断捨離とは?』が公開されました。「水道哲学」から「ニーズ断捨離」へ、いかに思考変革するか?

Buisness Journal連載「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」の第3回目が、公開されました。

ルンバ成功のカギ、ニーズの断捨離とは?
「すべての人に安く」から「5%に光るモノ」へ

今回の記事では、8月公開の連載第1回目『なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造』でご紹介した、『水道哲学思考』から『ニーズ断捨離思考』への思考変革の方法論について、より具体的にイメージできるようにご紹介しています。

 

最近の講演では、『「水道哲学」から「ニーズの断捨離」へ考え方をシフトしましょう』とお話しすることが多いのですが、時々、こんなご意見をいただきます。

「それって、昔からあるニッチ戦略に過ぎないんじゃないの?」

このご指摘は、確かに半分当たっていますが、半分間違っています。

その点をより深く掘り下げてみました。

よろしければご覧ください。

 

積ん読本解消法のために、「積ん読スコアカード」

「この本、読みたい」

「お、この本も良さそう」

と思いながら本を購入しているうちに、山のように未読本が溜まってしまいました。

改めて数えてみたら、なんと100冊近くも未読本があります。

 

そこで整理することにしました。

■最初に、現在の自分の状況を考えて、本当に読む必要性があるか考えて、選ぶ

以前買ったときに必要としていた理由が、今では消失している場合があります。そこで再度必要性の見直しです。これで分量が約半分になりました。

■Excelで未読本リストを作る

書名、著者、文庫/新書/Kindleの種類、読み始め日、読了日が書けるように、表にまとめます。

■読み始め日と読了日を明記。読み始めたら「読み始め日」セルを緑色に、読了したら「読了日」セルを緑色に変更。

こうすると、スコアカード風に読んでいる状況が見えます。

 

この方法のよい点は、

・スコアカード風にすることで、「積ん読状況」の見える化ができる
・次に読むべき本をすぐに見つけられる
・Kindle本をリストに加えることで、出張時に持っていく本の重さを減らせる

スコアカード化のおかげで、この12日間で8冊読了。現在600ページの大著に数日かけて取り組んでいます。

明日から1泊2日の沖縄出張は、Kindle本がお供になりそうです。

 

「積ん読本が増えてしまって困っている」という人は、是非ご参考に。

 

ジェイカレッジで出版記念講演をしました。

昨日2014/10/22、KIT虎ノ門大学院で行われたジェイカレッジ、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ』出版記念講演「お客様が買う理由をいかに作るか?」と題して講演を致しました。

参加されたのは約30名。凄い熱気でした。

201410221  

講演終了後、お名刺交換と著書へのサインも行いました。皆様にはお待たせ致しました。

201410222  

アンケートからご意見を抜粋しました。(個人のお仕事に関係するご意見も多くいただいたのですが、プライベート情報なので割愛しました)

■福祉業界も変わらないといけないと強く感じました。やるべき事業を見失っていると思いました。

■自分の事業内容を見直す必要があるので、たいへん参考になりました。やるべきことが見えてきました。

■ライフプランナーですが、今日のお話はまさにわたしのビジネスにとって大事なアドバイスをいただけたと思いました。

■水道哲学←→ニーズの断捨離。この考え方の違いがよくわかりました。顧客中心主義の考え方を整理してわかりやすくしていただけました。著書をよませていただこうと思いました。

 

松山真之助さんが校長を務められるジェイカレッジは、今回で88回目とのこと。継続することは素晴らしいですね。

最後に、松山さんはじめ、ジェイカレッジの皆様と集合写真を撮りました。

Photo  

このような素晴らしい機会をいただき、有り難うございました。

 

正しい答えは、マネジメントではなく顧客が持っている。 ー キリン「FIRE」誕生物語から

1999年から発売されたキリンの缶コーヒー「FIRE」は、大ヒット商品になりました。

Fire

FIREの企画を考えて立ち上げたのは現在キリンビバレッジ社長の佐藤章さんですが、企画当初、当時の社長に「25歳から34歳向けの缶コーヒーをつくりたい,パッケージはシルバー、名前は「FIRE」、広告にはインディアンを出します」と経営会議で提案したところ、「絶対許さん」と言われ、総スカンだったそうです。

いわく、「ガソリンじゃないんだから、そんなネーミングはあり得ない」「銀には色気がない」云々。

そこで佐藤さんは一計を案じ、「ネーミングは麒麟珈琲、色は青、広告キャラクターは日本の歌手」という案を出したところ、社長は「佐藤君、これだよ」と大喜び。

 

ここから、佐藤さんはあることを仕掛けました。ハーバードビジネスレビュー2014年10月号の付録小冊子「営業が強い会社はマーケティングもすごい!そして、マーケティングが優れた会社は営業もすごい!」で、佐藤さんがその様子をインタビューでお話ししていますので、ご紹介します。

—(以下、引用)—-

  でも僕は言う通りにしませんでした。両方のプランをターゲットである25歳から34歳のモニターにぶつけて、支持が多かった方を商品化しましょう、と社長に掛け合ったのです。なんと受けて立ってくれました。ですが、結果は8対2で、僕のプランが圧勝。………

 —-(以上、引用)—

 

佐藤さんが行ったことは、リアルな顧客への仮説検証です。

仮説を考えた上でA案・B案を作り、実際にリアルな顧客にその仮説を検証することで、答えが見つかります。

 

会社員として仕事をしていると、自信を持ってつくった企画がマネジメントに認められないことが多いと思います。ただここで文句を言うのではなく、佐藤さんのように前向きに捉えて対案を作った上で、顧客が支持していることを事実として示して、上司を納得させる方法はとても参考になるのではないでしょうか?

正しい答えは、会社のマネジメントではなく、顧客が持っているのです。

 

最後に佐藤さんはこのようにおっしゃっています。

—(以下、引用)—-

  ですから、ぐっとこらえて、決して諦めないことです。そのためにも、開発から発売まで、全てのプロセスに関わり、全てに責任を負うべきなんです。そこまで踏み込めば、そう簡単には諦められなくなりますからね。
 
 —-(以上、引用)–

自分の仕事が「やらされ仕事」だと、「諦めるな」と言われると、結構辛いものがあると思います。

それは責任分担の問題かもしれません。たとえば先のFIREで顧客モニター調査をする際に、「企画は自分で立てるけど、検証は営業に任せて、結果をもらう」というようにすると、営業は忙しいので優先度が高い自分の仕事の合間に検証せざるを得ず、思うような結果が得られません。

思い切って「全部自分でやる」と宣言してしまうと、最初はちょっと大変かもしれませんが、自分で仕事をコントロールでき、仕事も面白くなり、いい結果が出るようになります。

 

 

「戦略的研修」は、変革を目指す企業にとって現実的な解決策になりつつある

当ブログでちょうど1年前、『「オフィス永井」が、コンサルテーションではなく、研修を提供する理由』というタイトルで書いたように、オフィス永井ではコンサルは行っていません。その代わりに研修をご提供しています。

ビジネスのこと、お客様の課題、自社の強みを一番わかっているのは、実はお客様自身に他ならないからです。

お客様自身がビジネス上の課題を見つけ出し、戦略を考え、問題を解決していく方法論を身につけることをご支援していくことで、一過性ではなく、継続的に企業も成長できるのです。

そこでオフィス永井では、2013年7月の設立以来、戦略コンサルではなく戦略力を身につける研修をお客様にご提供してまいりました。

設立1年以上が経過し、多くの実績が上がっています。

 

そんな状況の中、週刊東洋経済2014.09.27号に掲載されていた、百年コンサルティング代表・鈴木貴博さんのインタビュー記事『戦略の「最終判断」をコンサルに任せるな』を拝読しました。

—(以下、引用)—-

…経営戦略として何を採用するかで結果が出たのは1980〜90年代まで。今は皆が戦略の定石を知ってしまったので、何をやるかよりもどうやるかで企業間における業績の差が生まれるようになった。….

–コンサルタントの限界もありますか?

あるだろう。今はやりの「リーン・スタートアップ」のように新規事業を小さい組織で立ち上げ、素早い意思決定を繰り返し規模を大きくするという、無料通話・メールアプリ「LINE」のようなビジネスモデルに対しては、時間単価でフィーをもらう形のコンサルティング手法は向いていない。こういう人たちをどうサポートするかという問いには、まだコンサルティング業界が答えを出せていないのが現状だ。

—(以下、引用)—-

鈴木貴博さんと言えば、ボストンコンサルティンググループで長年ご活躍され、2003年に独立されて百年コンサルティングを立ち上げられた、まさに日本を代表されるコンサルタント。

私もネットで連載されていた鈴木さんの記事を、いつも熟読しておりました。

 

この週刊東洋経済のインタビュー記事を拝読して、自分の事業の立ち位置を改めて確認できました。

 

オフィス永井では、新規事業を立ち上げるご支援を数ヶ月間の研修形式でご提供しています。

たとえはある企業様では、1事業部4-6名程度の少人数チームで構成された、10事業部(=10チーム)程度のシニアマネジメント選抜メンバーの皆様とともに、集合研修と個別ご支援を組み合わせて、新規事業を立ち上げています。

最初にチーム毎にバリュープロポジションを仮説として徹底的に考え、ユーザーや顧客への度重なる検証を通じてバリュープロポジションの精度を上げて、新規事業チームを立ち上げるところまでをご支援していきます。

結果的に、「リーン・スタートアップ」に近い形で事業を立ち上げることになります。

実務を通じて、従来の「開発する→売る」という思考スタイルを、「課題と解決策の仮説を立てる→検証する→開発しながら徐々に売る」という思考スタイルに変革することが目的です。

 

「座学の研修やワークショップでは、スキルはなかなか身につかない」というのは、前職の日本IBMで人材開発マネージャーを務めていた際にも、ジレンマとして実感し、常にチャレンジしてきたことです。

そこでオフィス永井では、単なる研修に終わらせずに、実務に直結した形で研修を実施しています。

いわば、戦略を学ぶための「戦略研修」ではなく、実務を通じて企業の考え方を戦略的に変えていくための「戦略的研修」なのです。

 

従来のマニュアルに基づいた研修ではないので、個別のお客様毎に企業戦略や課題を理解した上で、徹底的なカスタマイズが必須です。

従来の研修と比べてかなりの手間とスキルが必要になります。結果的に数を絞ったお客様企業へのご提供になります。

 

あらゆる場面に適用できる方法論ではありませんし、従来のコンサルテーションを完全に代替できるものでもありません。

しかし一方で、「人の考え方を変革すること」が、企業変革の大きな壁となっていることも事実です。逆にこの壁が突破できれば、様々な企業の課題も解決できるのです。

「戦略的研修」は、変革を目指す企業にとって、現実的な解決策の一つになりうる、というのが現在の実感です。

 

清水久三子著「フレームワークで人は動く」

日本IBMで同僚だった清水久三子さんが10月7日に出版されたご著書「フレームワークで人は動く」を読了しました。

同僚だったとは言え、実は清水さんとご縁をいただいたのは、日本IBM退職後です。

昨年2013年8月に中経出版さんが主催した出版記念ダブル講演で、清水さんと私が著者として講演した際にお目にかかったのが最初でした。私は日本IBMを退職して2ヶ月近く、清水さんは確か半年以上が経過していました。

 

本書は、IBMコンサルティング部門で様々な変革プロジェクトをリードしてきた清水さんの実践経験をもとに、使えるフレームワークがわかりやすく整理されています。

小話的にストーリーも挿入されており、実際のリアルな場面を通じて理解も深まるようにデザインされています。私も知っているつもりで、実は意外と知らなかったフレームワークが色々あり、勉強になりました。

企業内でプロジェクトを進める立場にある人が、フレームワークの全体像をサクッと手早く把握し、かつ、必要なときに見直す上で、とても役立つ本だと思います。

 

2014年12月6日、読書会で講演します

2014年12月6日(土) 17:00、読書会bizimaで講演を行うことになりました。

わくわく著者イベント『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』永井孝尚さんのスペシャル読書会!

場所は東京・目黒になります。

既に申込みを受付開始していますので、ご興味がある方はぜひどうぞ。

 

なお、現時点で下記の講演会を予定しています。

10/17(金) BBJ (IBM OB会) (@箱崎。IBM社員 & IBM OB限定)

10/22(水) ジェイカレッジ出版記念講演会 (@虎ノ門。松山真之助さん主催)

11/13(木) ニッポンクラウドワーキンググループ (@大久保)

11/20(木) ITメディアエグゼクティブ勉強会 (@赤坂。企業管理職対象)

 

誠ブログ・オルタナブログ合同オフ会で講演致しました

2014/10/10に行われた誠ブログ・オルタナブログ合同オフ会で、「お客様が買う理由を、いかに作るか?」と題して、講演致しました。

20141010  

『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』でご紹介したフレームワークをベースにしたもので、普段は90分から2時間でお話しする内容なのですが、かなりエッセンスを凝縮して45分版にしました。

既にブログでもご紹介をいただいています。

■大木豊成さん「市場に「マス」は存在しない。だから、あなたのために作るのです」

■吉田憲人さん「1杯のコーヒーが教えるビジネスの本質(定年退職者必読!)」

■永井千佳さん「「戦略は『1杯のコーヒー』から学べ! 」講演会 勝ち続ける理由とは?」

■久野麻美子さん「ブロガーオフ会報告:「お客様が買う理由を、いかに作るか?」」(2014/10/12 20:44追記)

 

オルタナブロガーの方はほとんどが顔なじみですが、誠ブログの方は初対面の方も多くおられました。

金曜日の夜の貴重な時間にお集まりいただいた皆様、ありがとうございました。

 

私の講演予定

9月に『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ』を出版したこともあり、ありがたいことに多くの講演会にお招きをいただいています。

公開されているものも多いので、まとめてみました。
10/09(木) 経営革新協議会 (@八重洲。中小企業経営者対象。非会員有料)

10/17(金) BBJ (IBM OB会) (@箱崎。IBM社員 & IBM OB対象)
10/22(水) ジェイカレッジ出版記念講演会 (@虎ノ門。松山真之助さん主催)
11/13(木) ニッポンクラウドワーキンググループ (@大久保)
11/20(木) ITメディアエグゼクティブ勉強会 (@赤坂。企業管理職対象)

 
詳細はリンク先にあります。ご興味がある方は、ぜひどうぞ。

 

情報がすぐに検索できるネット社会だからこそ、必要な力は何か?

ネット社会の現代は、とても便利ですよね。

私もわからない言葉があると、Googleなどですぐにネット検索します。大体のことはわかります。FacebookやTwitter、あるいはニュースサイトなどを四六時中見ていると、世の中の最新情報もわかったりします。

情報量はとても豊富になっています。そしてともすると、そのような知識を仕入れて安心し、理解したような錯覚に陥ってしまうのです。

 

今や当たり前のようにネット検索していますが、ふと昔のことを振り返ってみて考えました。

今はWikipediaですぐにわかるような情報でも、20年以上前、インターネットが普及していなかった頃は、図書館に行ったりして、調べるのに丸一日かかったりしました。

この頃は、このような「設定された問いに答える能力」はとても貴重でした。「物知り博士」という言葉もあったりしました。だからビジネスパーソンの力として、「設定された問いに答える能力」は重宝されたのですね。

でも現代のような知識社会では、すぐに答えが得られるような知識は、誰でも検索すればすぐに見けることができます。

見方を変えると、コモディティ化しているのです。

  

今求められているのは何かというと、恐らく「問いを設定する力」。そしてさらに「その問いを問い続ける力」ではないでしょうか?

しかし情報を検索することが得意な人は多くなった反面で、「問いを設定する力」、さらに「答えの無い問いを問い続ける力」を持つビジネスパーソンは、思いのほか少ないように感じます。

しかし社会は急激に変わりつつあるのです。「情報検索は得意だけれど、答えが見つからないとその時点でお手上げ」というビジネスパーソンの将来は、厳しいかもしれません。

 

田坂広志著『知性を磨く 「スーパージェネラリスト」の時代』で、次のような文章があります。

—(以下、p.15より引用)—

「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。
「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力。

—(以上、引用)—

ネット社会だからこそ、ビジネスパーソンには「答えが無い」とわかった時点から問い続ける本来の知性を磨くことが、求められているのではないかな、と思います。

 

その知性とは、「新しい知識を生みだす」力とも言い換えられると思います。
 

 

自然体でありたい

「常に自然体でありたい」と思うようになったのは、20年くらい前からです。

しかし、ともすると虚勢を張ってしまいがちです。

「もっと自分を大きく見せたい」とか。

「舐められてはいけない」とか。

そう思うことで成長に繋がることもあります。だからそう考えることでよい面もあります。一方で、ともすると自分が気がつかないうちにエゴが芽生えてしまい、他人を知らずに傷付けてしまうこともあります。

 

私は自分を虚飾せず、あるがままの自分でいたい。

それでもし周りから評価されなければ、何が自分に足りないのかを謙虚に学び続けて、成長すればいい。

それでもし周りから評価いただけるようなことがあれば、それは有り難いことだし、それを土台にして、さらに成長すればいい。

 

他人と比較し始めた途端に、苦しくなります。

与えられた状況の中で、虚飾せず、卑下することもなく、自然体のまま、周囲のご縁に感謝し、淡々と自己研鑽を積んでいきたい。

 

50代前半になって、ますます「自然体でありたい」と思っています。

とは言え、気がつかないうちにエゴが忍び寄っている。

なかなか難しいことではあります。

 

Business Journal連載第2回目『「成功は失敗のもと」の罠、どう回避?会長反対でも発売、あのヒット商品誕生秘話より考察』

Business Journal連載第2回目が公開されました。

「成功は失敗のもと」の罠、どう回避?会長反対でも発売、あのヒット商品誕生秘話より考察

 

成功体験というのはやっかいなもので、人を成長させてくれることもあれば、成長を阻害することもあります。

今回は、あるヒット商品を例に取って、そのことを考えてみました。よろしくお願いいたします。

 

4年前の取材記事を読み返し、ちょっとだけ昔の自分を振り返ってみた

先日、たまたま下記記事をネット上で目にしました。

オルタナティブな生き方 永井孝尚さん:わが人生を悔いなく生きる (2010/9/30)

4年前の取材記事ですね。

この2010年9月当時、私の状況がどうだったかというと、

・まだ48歳。日本IBM社員だった
・ソフトウェア事業戦略担当のシニアマーケティングマネージャーだった
・出版した本は累計2冊。(自費出版本1冊、商業出版本1冊)
・次の自費出版を準備中だった

この後の4年間は激動の日々でした。

・半年後、編集者の田中さん・谷内さんたちに出会い、「100円コーラ」シリーズを書き始めた
・1年半後、人材育成マネージャーに任命され、ソフトウェア事業部業績向上のためにチームメンバーと知恵を絞り、走り回った
・3年後、IBMを退職し、オフィス永井株式会社を設立。年間40−50件の講演・研修を行うようになった
・4年後、新シリーズとして『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』を出版した

取材当時は、その後の4年間がこのようになるとは思ってもいませんでした。

 

一方で改めて読み直してみて、基本的な部分はあまり変わっていないことも認識できました。

・仕事が一番素晴らしい『学び』の場
・ビジネスパーソンは情報発信すべし
・今日が最後でも笑顔で「自分らしい、最高の人生だった」と言えるように、この瞬間を周りの人たちに感謝して、充実して生きたい

 

ふと立ち止まってみて、ちょっとだけ昔の自分を振り返ることは、なかなかいいなぁ、と思いました。

 

「ナンバーワンよりも、オンリーワン」…しかしオンリーワンは、本来勝ち取るもの

SMAPの「世界でひとつだけの花」で、「ナンバーワンよりも、オンリーワン」という言葉が流行りました。

「ビジネスパーソンとして、自分らしさを追求する。オンリーワンを目指す」という人も多いのではないでしょうか。しかしなかなかうまく行かないケースも少なくないのもまた、現実だと思います。

 

ビジネスパーソンは企業の一部です。そこでまず、企業に置き換えて考えてみましょう。

 

プラットホーム戦略で「ナンバーワン」を目指して規模を求めるアプローチがあります。アップルやGoogle等が典型です。しかし、それができるプレイヤーは限られているのが現実です。

むしろ多くのプレイヤーが考えるべきは、オンリーワンになること。

顧客の要望はますます多様化しています。多様化した、特定の顧客の要望に、自社ならではの解決策を提供する。つまり自社にしかできないことを目指すことが必要です。

顧客中心主義の視点でも、「ナンバーワンよりも、オンリーワン」は、本来求められていることです。

 

しかし、ここで注意すべき点があります。

自分の独自技術を深めることだけに集中してしまうことです。

いくら自分の独自技術を深めても、それだけでは、ビジネスにはなりません。

その独自技術を必要とする顧客が存在し、その顧客が価値を認めることで、初めてビジネスとして成立します。

つまり、単に「オンリーワンの存在」であるだけでは不十分で、「それを必要とする顧客にとってのオンリーワン」の存在になることが必要なのです。

では、どのようにそのような顧客を見つけるのか?

他の誰も見つけてくれません。自分で探すしかないのです。

 

つまり、

「自分にとっての、オンリーワン」

から、さらに一歩進化して、

「顧客にとっての、オンリーワン」

でなければならないのです。

そしてそのような顧客は、「オンリーワン」であるための研究開発と同じ労力をかけて、自分で探し出さなければならないのです。場合によっては顧客から学ぶことで、さらに進化することも必要になります。

 

企業の視点で見てきましたが、ビジネスパーソンも同じことだと思います。

「自分は唯一無二の存在だ。自分は、自分らしさを極める」と考えることも大切です。しかしそれだけでは、独りよがり。

さらに一歩進んで、「では、誰がそれを喜んでくれるか」を考えることが必要なのかな、と思います。

 

なぜ「夢中になることをやり、情報発信し続けること」が必要なのか?そしてそれは、社会貢献になるのか?

昨日ご紹介したアエラのインタビューで、文字数の関係で掲載できなかったことをご紹介したいと思います。

『自分を変えるための2つのルール』が、なぜ

・夢中になれることをやること
・情報発信を続けること

なのか、です。

二週間前に当ブログで「天才は回数で勝負、という話」というエントリーを書きました。

デイヴィッド・ケリー/トム・ケリー著「クリエイティブ・マインドセット」では、モーツァルトやダーウィンといった天才的な創造力の持ち主は、失敗の数も多いことを挙げて、

……最終的に”天才的ひらめき”が訪れるのは、他の人よりも成功率が高いからではない。単に、挑戦する回数が多いだけなのだ。

と書かれています。

実際、創造的なことに挑戦するとうまくいかないことが多いのです。しかし挑戦の回数が多いほど、学びが蓄積され、深まります。

だから失敗を、「苦しい失敗」と思うのではなく、「楽しい学び」と考えることができればいいわけですね。

実際にはうまくいかないと落ち込むことも多いのですが、夢中になれることであれば、一時的に落ち込んでも「一つ学んだ。また挑戦だ」と気持ちを切り替えることができます。

つまり、

夢中になれることだったら、何回失敗しても、挑戦し続けられる

ということですね。

さらに情報発信で「これをやりたい」と意思表示し行動すると、仲間が集まってきます。

桃太郎の場合も、「幸せな世の中にしたい」というビジョンを持って、「鬼ヶ島の鬼をやっつける」という具体的な行動をすることで、仲間が集まったわけです。

加えて情報発信は、成長を加速してくれます。

自分一人で学び続けても成長します。これを仮に「自己完結モデル」と名付けます。。

しかし学びを情報発信すると、外部の人たちからのフィードバックも得られます。これを「情報発信モデル」と名付けます。厳しい意見、洞察に満ちたアドバイスなど色々と教えてくれることもあるでしょうし、仲間のご縁も得られることもあります。そこからさらに学びを得ることもできます。

「自己完結モデル」は成長がリニアになるのに対して、「情報発信モデル」は成長は指数関数的に増殖していくイメージになります。

重要なことは、「情報発信は、目的でなく手段である」ということです。単に情報発信すればよいのではありません。読み手にとって価値ある情報を発信し続けることが必要です。価値ある情報を創り出すことで、自分の学びも深まり、読み手からのフィードバックも得られるのです。

私自身、ブログを書き始めて、自費出版をやり、「100円のコーラを1000円で売る方法」を出版するまでの道のりが、まさにそうでした。

8年前の2006年に、マーケティングに関する情報発信をブログで開始。色々な学びをいただき、ご縁も広がりました。

本を書きたかったものの、出版未経験の人間に出版社はなかなか興味を持っていただけませんでした。当たり前ですよね。そこで2008年、自費出版で初めての本を上梓。その後も失敗を重ねながら色々な方々のご縁のおかげで「100円のコーラを1000円で売る方法」を出版。その後の活動に繋がっています。

うまくいかずにへこむことも多かったのですが、「マーケティングについて学びを深めて、世の中に情報発信し、よりよい世の中にしたい」という夢中になれることだから続けられたのですね。

このように考えると、『自分を変えるための2つのルール』は、

・夢中になれることをやること
・情報発信を続けること

に集約されるのではないか、と思います。

そしてその「夢中になれること」「世の中の役に立つこと」であれば、社会貢献にも繋がるのだと思います。

 

本日発売のAERAに、インタビューを掲載いただきました。「自分を変えるための2つのルール」とは

本日発売のAERA 2014.9.8号の特集「変わらなければ生き残れない」に、インタビュー記事を掲載いただきました。

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朝シフトをしたことがきっかけで、公私ともに充実した生活になったこと、さらに朝時間を活用してブログや本の執筆をして、さらに独立して現在に至った経緯などのお話しをした内容がまとまっています。

記事にも紹介いただいているように、『自分を変えるための2つのルール」は、

夢中になれることをやること
情報発信を続けること

つまり、

夢中になれることを見つけ、情報発信を続ける。
すると、学びが蓄積され、仲間も集まり、成長し続ける

ということなのだと思います。

今振り返ると、会社員時代に始めた朝時間活用は、その大きなきっかけになりました。

 

ちなみに独立した今も朝シフトは継続しており、このブログは朝7時過ぎに仕事場近くのカフェで書いています。やはり朝は生産性が高いですね。

今週、AERAをお手に取る機会がありましたら、ご覧いただければ幸いです。

 

Business Journal連載開始しました。第1回目は『なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造』

このたび、Business Journalで連載を持つことになり、昨日、連載第1回目が掲載されました。

『なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造』

当ブログでは、その時その時に得た気づきを毎日書き溜めるようにしています。

一方で、Business Journalの当連載では、そのようにして書き溜めたものを再度吟味した上で、場合によっては何回分かを組み合わせて、読み物として記事にしています。

これから月1-3回程度の連載になると思います。よろしくお願いいたします。

 

毎日の学びの積み重ねが天文学的な成長を生む、たった一つのシンプルな理由

何か新しいプロジェクトに挑戦する場合。

完璧な企画を立てた積もりでも、実際に実行してみるとうまく行かないことがほとんどです。

むしろまず挑戦してみて、その結果から学んだほうがいい。

たとえば試行錯誤による学びを通じて、プロジェクトが毎日1%成長したとします。

1%はすごく小さな成長に見えます。

でも、学びというものは、複利で増えます。

30日後には、1.3倍に成長しています。
60日後には、1.8倍。
90日後には、2.4倍。
180日後には、6.0倍。
1年後には、37.8倍。
3年後には、なんと53,939.2倍。つまり5万倍です。

しかし実際には、このように試行錯誤を継続せず、途中で挫折してしまうケースが多いと思います。

最初の1ヶ月間で1.3倍、2ヶ月間でも1.8倍しか成長していないのを見ていて、「毎日努力しているのに、これでは割が合わない」と思ってしまうのかも知れません。

しかし時間をかけた学びの積み重ねは、裏切りません。時として上の数字にもあるように、天文学的な差を生みだします。

日々の1%の積み重ねを怠れば、3年経っても1.0倍。つまりそのまま。5万倍とは天文学的な差が付いています。
だから愚直にあきらめず、積み重ねることが大切なのですね。

これはプロジェクトでも、人でも同じことだと思います。