先日、千葉県立船橋芝山高校様で、約300名の高校2年生の皆様に「知っていると役立つ、マーケティングを学ぼう」と題して講演をさせていただいました。
私の普段の講演はビジネスパーソンが相手です。そこで参加者の皆さんの仕事に、よく耳にするであろうマーケティングの考え方を当てはめて紹介し、納得感が出るようなお話しにしています。
しかし今回は仕事の経験がない高校生。
初めて「マーケティング」という言葉を聞く人も多いのです。そこで皆さんがいつも経験していることがマーケティング視点だとどうなるか、というお話しをしました。
私自身、マーケティングを知ったのは30代後半。もっと若い頃にマーケティングの考え方を知っていたら、人生も変わったのかもしれない、といつも思っています。
しかも今回お話しを聞いていただくのは、10代後半の皆さん。この世代の人達がマーケティングのことを理解して社会人になると、現代の日本が抱えているジレンマはきっとなくなる筈です。
そこでマーケティングが色々なことに役立つことを知って興味を持っていただければと考え、講演をさせていただくことにしました。
講演は約40分。こんな構成でした。
・マーケティングと言うと、何をイメージしますか?
・なぜApple製品が売れるのでしょう?
・テレビのリモコンで考えてみる
・ドリルを買うお客様が欲しいのは….?
・お客様は,実は自分の課題を知らないことが多い
・皆がお客様の言いなりになると価格勝負になる
・価格勝負がとても怖い3つの理由
・改めて、マーケティングとは?
・あらゆる人達にとって大切なマーケティング
講演の様子はこんな感じでした。体育館でお話しするのは初体験でした。
ビジネスパーソンを相手に話しをする際には、皆さんは仕事の一環として聞かれるためか、背筋を伸ばして話しを聞かれます。
一方で今回は、皆さんかなりリラックスした感じで話しを聞かれていました。
ですので講演の最中は、正直に申し上げて「ちゃんと伝わっているかなぁ」と思ったりしました。
一方で多くの人達の視線は真剣でした。メモを取っている人もいました。
さて、結果はどうだったでしょうか?
お話しを聞いていただいた生徒さん達の感想です。
■マーケティングがどのようなものか分かりました。価格重視もだめなんだと思いました。面接とか大学選びに活かしたいです
■安くして売ると赤字になってしまうけど、いつもの価格で売ると利益がある。でもいつもの価格で売って隣の店で半額になると売れなくなる。販売は難しいと思った。将来のために、沢山の人の意見を聞きたいです
■文化祭で来客者、自分では周りの人達、友人に気をつかっていこうと思いました。自分からやることを改めて思いました
■自分の希望している進路と同じなので、とても面白い話しでした。より一層進学に力を入れます
■マーケティングはお客様がいないと成り立たないことだと分かりました。面接とかでもしっかりと答えられるようにしたい
■マーケティング部に行きたいなと思っていたので、人が欲しいもの、人がやって欲しいことを考えてみようと思った
■お客の言うとおりではなく、お客が気がついていないニーズに気がつくことが出来る人間になりたい
■言われてやるだけではなく、それ以上のことをやろうと思う気持ちが大事。文化祭がんばりたい!
■「マーケティング」って言葉は知らなかったけど、「マーケティング」という言葉には興味があったので、今回の話しを聞いて理解出来たのはよかった。これからは「マーケティング」についてもっと勉強したい
■マーケティングについて、売る側と買う側の気持ちは違うし、働く人達はそういったことを大学などで学ぶんだと思った。こういった仕事は向き不向きがあるので、きちんと仕事のことを考えておく必要があると思った
■マーケティングは単なる広告の仕事ではないことを学んだ。もっといろんな仕事を知りたいです
■何の仕事をするにしても、その仕事には恐らく客がいるはず。だから客のことを考えて仕事をすることを忘れずにいたい
■お客様が言うことをそのまま商品化していたら全部同じことになってしまう、ということから、求められたのをそのままやるのではなく、自分なりに何か加えることが大切だと思った
■人の意見に従うだけではなく、自分で考え行動していくことが大切だと分かったので、進路選択も自分が本当にやりたいことを見つけていこうと思った
■お客様は神様、より、お客様はパートナーという考え方が大切。価格勝負ではなく価値勝負をするべきだと思いました
■相手の言葉をそのまま真に受けるだけではなく、なぜそういう言葉あるいは要望がでたのかという背後の様子も考えてみることが大切だということを学んだ
他にも同様のご意見が多数ありました。
すごいですね。社会人と同じというか、むしろそれ以上に高校2年生の問題意識はとても高いことが分かりました。自分の将来を考える真剣さは、明らかに私たちの世代よりも上だと思います。
「この若い人たちがいる限り、日本の将来は安泰」といいたいところですが、この様々なことを学ぼうとしている若い人たちに応えるのは、私たち大人の責任ですね。