永井孝尚ブログ
ブログ一覧
試したら、GPT-4oが仕事で十分使えるレベル!

ChatGPTを開発するOpen.AI社が、5/13(月)にGPT-4oを発表しました。
既にこの1週間、様々なニュースで取り上げられているように、人間と同等の会話が可能という驚くべきレベルに仕上がっています。(なお音声モードは数週間以内にアルファ版を提供後、Plusユーザー向けに早期アクセスが出来るようにする、とのことです)
一方でOpen.AIは、スマホ版ChatGPTを提供しています。私は1年前からパソコン向けの有償版ChatGPT-Plusを使っていたのですが、主にアイデア出しに使っていました。
今回のGPT-4o発表は、主にスマホでデモをしていました。
そこで私も試しにスマホ版ChatGPTをインストールして、有償サービスに入ってみました。音声対応が出来ないこと以外、GPT-4oの機能が使えます。使ってみて、驚きました。
「なにこれ! 仕事で十分に使えるじゃん」
いくつか例を上げて紹介します。
■まずはお試し。下記の手書きメモを写真に撮って「これはなんですか?」と聞いてみた結果です。

—(以下、回答)—
この写真は、手書きのメモが書かれた紙の画像です。内容は以下の通りです:
お仕事おつかれさまです。
よろしくれば、いつでもどうぞ。
このメモは、誰かに対して「お疲れ様です」と労いの言葉をかけ、「もしよろしければ、いつでもどうぞ」と何かを勧めている内容です。仕事仲間や同僚に対して、休憩や手助けなどを促すために書かれたものかもしれません。全体として、丁寧で親切なメッセージです。
—(以上、回答)—
手書き文字をほぼ読み取った上で、その文字が書かれた状況を類推して答えてくれます。
■いつも愛用しているコーヒーカップの写真を撮って「これは何か教えてください」と聞いたところ、こんなウンチクと共に答えが返ってきました。

—(以下、回答)—
この写真に写っているのは、日本の伝統的なデザインが施された陶器のマグカップです。花の模様や鳥のイラストが描かれており、色鮮やかな装飾が特徴的です。このようなデザインは、日本の伝統工芸品である九谷焼(くたにやき)や有田焼(ありたやき)などでよく見られます。
—(以上、回答)—
ChatGPT-4o先生、なかなか博識です。
■「教養書100冊」執筆で、教養書1冊ごとに本の内容をA3見開き2ページで手書きでビッシリと書いてまとめていたので、試しにこの見開きの手書きページを写真に撮って、「ここにある情報を要約してください」とお願いしたところ、かなりわかりやすく要約してくれました。「教養書100冊」執筆時にこの機能が使えたら、もう少し負担が減ったかもしれません。
■画像は省きますが、「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎の写真を撮って「これは何ですか?」と聞いてみたら、「竈門炭治郎」と認識して詳しい情報を教えてくました。松田聖子さんが二十歳前後で出したCDの顔写真も、松田聖子さんと認識した上で松田聖子さんの詳しい情報を教えてくれました。ただ最近の松田聖子さんの写真は「女性のポートレイト写真」として認識されました。学習データが少ないのでしょうね。いずれにしても、顔の特徴を把握した上で、個人を認識出来ています。
■最近英語で書いた自分のレジュメをチェックしてもらいました。かなり的を得たアドバイスが戻ってきました。通常お金を払ってプロにお願いするレベルでした。
ということで、昨年のChatGPT-3.5が新卒レベル、ChatCPT-4.0がプロフェッショナル直前のレベルとすれば、今はそこそこプロフェッショナルレベルという感じですね。
危機感を感じる人も当然いると思います。
しかし考えようによっては、これまでプロに高いお金を払ってお願いしていたことが、簡単にできてしまうわけです。
そして使うこなす上では、アプリをスマホにインストールするだけのスキルがあれば、それ以上の技術的スキルは一切不要です。要は「本当に使い始めるか否か」で、今後は意外と大きな差が付きそうです。
このあたりは、かつてのパソコン、インターネット、スマホと同じですね。
活用いただくと、自分ならではの使い方が見つかると思います。
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。
「ガセ情報に騙されず正しい判断ができる方法を教えて」というご質問

先日、こんなご質問をネットで拝見しました。
「世の中、ガセ情報が多いですよね。一般常識でも、間違いもよくあります。こんなガセ情報に騙されずに正しく判断するには、どうすればいいんでしょうか?」
この質問に対しては色々な回答があり、興味深く拝読しました。回答を大まかに二つに分類すると、
①「ガセ情報にはこんなパターンがあるから、こうすれば騙されなくなるよ」みたいな手軽なノウハウを教える回答(回答多数)
②「本格的な教養を、地道に付けることですよ」という回答(回答少数)
でした。
しかし①の方法は限界があります。そもそもガセ情報を広げている本人が、ガセ情報と思っていないケースもあるからです。
2世紀、ギリシャの医学者が考えた「瀉血(しゃけつ)療法」という血液の一部を抜き取る排毒療法が、欧州に広がりました。現実には病弱な患者はさらに体力を奪われてしまい逆効果だったのですが、欧州では19世紀まで広く使われました。
瀉血療法はガセ情報だったわけです。でもほとんど全ての人が1700年間も「真実」と考えていたのです。ちなみに瀉血療法は、一般的にABテストと呼ばれる統計学の「ランダム化比較実験」(19世紀末〜20世紀初に確立)を行うと、間違いだとわかります。
このようにガセ情報を見抜いて、正しく判断するのはなかなか難しいのが現実です。そこで騙されにくくする唯一の方法は、私は②の「教養を広く学ぶこと」しかないと思っています。
瀉血療法は、統計学の知識があればガセだとわかります。しかし統計学で森羅万象がわかるわけではありません。
たとえば、大国の思惑の裏を知るには「地政学」、多数決が本当に正しい意志決定かを考えるには「ルソーの一般意志」の概念、欧米人の意志決定ロジックを知るには「ヘーゲルの弁証法」が役立ちます。
ガセ情報に絶対騙されない方法はありませんが、幅広く深い教養を身につけることで、ガセ情報に騙されにくくなります。
では、教養を身につけるには、どうすればいいのでしょうか?
いまやネットには森羅万象の情報があります。だから「ネットを見続ければ教養が身につく」と考える人もいるかもしれません。
しかし残念ながら、現代のネット情報は、必ずバイアスがかかる仕組みになっています。それが「フィード」という概念です。
情報提供者は、ビジネスとして情報提供しています。彼らはユーザー滞在時間を最大化して、その時間を広告収入などに変えて稼ぐために、私たちの過去の閲覧履歴から私たちの嗜好を把握し、私たちが夢中になって読みそうな情報を選んで、表示しています。検索エンジンの検索結果や、アマゾンの検索でも、同じことをやっています。
つまりネット情報だけに接していると、自分の興味分野に最適化された情報が次々とフィードされるようになります。
例えば「岸田さんはケシカラン」と思っている人には、「岸田さん頑張って」という応援の声はすべて排除され、「岸田さんケシカラン」というその人が好む情報だけが集まり、その人はますます「世の人はみな岸田さんケシカランと言っている。自分は正しいんだ」と信じ込むようになります。
こうしてネットだけを見ている人たちは、自分の知らない領域が存在することに気付かない状態に陥ります。つまり現代では、ネットしか見ていないと、偏った知識が付く仕組みになっているのです。
そこで現代で重要になってきているのが「読書の習慣を身につけること」です。
本に書かれた知識は、個人の嗜好に合わせていません。むしろ「その分野で知るべき知識」が集まっています。自分の興味分野で読書を続けることで、興味分野で知るべき知識が効率よく入ってくるようになります。そして「世の中は知らないことばかりだ」とわかるようになり、知らない領域への興味が広がっていきます。
読書に限らず、新聞や雑誌でも同様です。先の岸田さんの例でいうと、新聞やビジネス誌を何紙か読むことで、岸田さんに厳しい論調と、岸田さん寄りの論調をバランス良く知ることができます。
読書で読むべき本の中でも、骨太な教養書は人類の叡智の結晶です。そのような本を読むことで、私たちはよりよく生きていく上で必要な教養を効率よく手に入れることができます。
昨年11月に「世界のエリートが学んでいる教養書100冊を1冊にまとめてみた」を刊行したのも、少しでもそのお役に立てればと願ってのことでした。
ガセ情報に騙されず正しい判断が必ずできる方法はありませんが、より騙されにくくなり、より正しく判断できるようになる上で、教養書を読むことは必ず役立つのです。
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。
朝活永井塾 第87回『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』を行いました
5月8日は、第87回の朝活・永井塾。テーマは『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』でした。
「細部への徹底的なこだわりこそが日本流」
「快適さと安心感で、おもてなし」
私たちが「日本の強み」だと信じ込んでいるこれらが、実は「日本の深刻な弱み」だとしたら、どうでしょうか?
実はまさにこういう指摘をしているのが、『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』(井関利明/山田眞次郎著、学研プラス)です。
著者の井関利明氏は、慶應義塾大学名誉教授。山田眞次郎氏は様々なものづくり企業の経営者をなさった方です。本書によると「日本の技術は半世紀遅れ。しかも認識されていない。細部のこだわりもイノベーションを阻んできた」。
これは、私たちが普段認識していることの真逆です。
幕末の黒船、そして敗戦と、日本は外圧で変わってきました。しかし、現代の黒船は世界を大きく変えたのに、古いメガネで世界を見ている私たちの目には見えません。
私たちはまず現代の黒船の存在を認識した上で、自分たちの問題を知ることが必要です。 日本経済に明るい兆しが見え始めた今こそ、私たちは自分たちの弱みがどこにあるのかを現実的に見定めていく必要があります。
そこで今回の朝活永井塾では、下記の本をテキストに、日本で何が起こっているのか、わたしたちはどう考えればいいのかについて学んでいきました。
『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』(井関利明/山田眞次郎著、学研プラス)
ご参加下さった皆様、有り難うございました。
【プレゼン部分】





またリアルタイムに参加できなかった方々には動画配信をお送りしました。
次回・6月5日(水)の朝活勉強会「永井塾」のテーマは『会社に縛られない時代の 「サルトルの実存主義」』です。申込みはこちらからどうぞ。
「まんだらけ」の集中戦略は、グローバルへ

マンガ専門の古本屋「まんだらけ」という店をご存じでしょうか?
いわゆる普通の古本屋とはかなり違っていて、コアなファンに特化しています。
マンガ関連グッズも多く、海外からのコアなファン層がお目当てのトレカやマンガのフィギュアを物色したりしています。BL(ボーイズラブ)系の品揃えも豊富で、意外なことに店内には若い女性客も多くいます。
店員の何名かは、マンガの世界のコスプレです。「うる星やつら」のラムちゃんのような目のやり場に困る女性店員や、フリフリのエプロンを着たロリータファッションの女性店員もいて、店内ではコスプレ店員の人気ランキングをつけていたりします。
この「まんだらけ」ですが、東証スタンダードに上場しており、最近の売上推移はこんな感じです。
2018年 98.7億円 (対前年 2.9%)
2019年 100.6億円 (対前年 +1.9%)
2020年 90.2億円 (対前年 -10.3%)
2021年 96.3億円 (対前年 +6.7%)
2022年 105.9億円 (対前年+10.0%)
2023年 128.4億円 (対前年+21.2%)
コロナ禍で売上が10%落ち込みましたが、最近は絶好調ですね。昨年からは株価も急騰中です。
競争戦略を提唱したマイケル・ポーターは「競争の3つの基本戦略」を提唱しています。
【差別化戦略】顧客の特定ニーズに対して売れるようにする
【コストリーダーシップ戦略】ライバルより低コストにする
【集中戦略】対応する顧客やニーズを狭める
集中戦略のカギは、顧客や提供する製品を徹底的に絞り込み、その絞り込んだ領域でライバルの誰も真似できないレベルまで価値を高めることです。徹底的に絞り込むことで、より低コストで価値を高めることができます。
まんだらけの戦略はまさに「集中戦略」です。
他では決して出会えないレアなマンガに出会えます。秘蔵レア本を持っている人にとっても、そのレア本の価値を正当に評価して買い取ってくれます。これはなかなか他の古本屋は真似できません。
マンガの古本という徹底的に絞り込んだ製品の領域で、コアなマンガ愛好家という徹底的に絞り込んだ顧客に対して、圧倒的な価値を提供しています。まさに無双状態です。
一方でコロナ禍でビジネスのデジタル化が進み、ECもすっかり当たり前になりました。そこでまんだらけは世界全体でのビジネス拡大を目指して、販売サイトが英語、簡体中国語、スペイン語に対応したり、「まんだらけSAHRA」というWeb通信販売、さらに電脳マーケット「ありある」などで販路拡大を勧めています。
しばらく低迷が続いていたまんだらけでしたが、日本市場に特化して最適化しているうちに、世界のマニアックな顧客を吸引する力を身につけて、グローバル展開が始まっているように見えます。
今後に注目したいですね。
集中戦略の本質は「徹底的に絞り込んだ製品・顧客へ、低コストで徹底的に最適化すること」です。そして日本以外にその顧客の数が多くいるのならば、その集中戦略はグローバル展開可能です。
そしてネット活用により、グローバル展開のハードルは思っていたよりもずっと低いのです。
御社のビジネスで、集中戦略→グローバル展開ができないか、考えてみてはいかがでしょうか?
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。
チョコザップに入会して驚愕し、マーケティング視点で考察した

私はコロナ禍でしばらくフィトネスクラブを休んでましたが、コロナ禍も終わったので、今年年初から週2〜3回のペースで会員制の老舗フィトネスクラブに行くようになりました。
最近、そのフィトネスクラブの近くに、巷で話題の「チョコザップ」新店舗ができました。
チョコザップはライザップが始めた格安フィトネスジムです。完全無人店舗で、月会費2,980円(税別)を実現。安いこともあり、チョコザップ体験をするために、「モノは試し」と思って入会してみました。
以下は、実際に入会してわかったことです。
・入会してスマホアプリに個人登録すれば、店舗にスマホ認証して入店できます
・店内はコンビニ程度の広さ。完全無人店舗で、店内にはAI監視カメラが多数設置され、セキュリティも万全だそうです
・着替えずに普段着・土足で「チョコっと」運動できます。通勤帰り、買い物帰りの「ついでの運動」にいいですね。着替えコーナーもあります
・店内は意外と人が多く、夕方に行くと主婦と思われる女性たちがトレッドミルやバイクをしていたり、会社帰りと思われる若い男性ビジネスパーソンもいます
・マシンは割と簡素。ウェイトも軽く、本格的に鍛えたい人は物足りないかもです
普通のフィトネスクラブに慣れた人は「これはオモチャ」と思う人もいるでしょうけれども、運動習慣がない人にはこれで十分だと思いました。
通常のフィトネスクラブにはないサービスもあります。
特に「スゴい」と思ったのが「スターターキット」。入会すると、ヘルスメーターとヘルスウォッチがもらえます。
ヘルスメーターでは、体重、BMI、体脂肪率、基礎代謝量、筋肉量、内臓脂肪レベル、体水分量、骨量、タンパク質量、体内年齢、除脂肪体重が測定できます。ヘルスウォッチでは、心拍数、消費カロリー、歩数、睡眠が常時測定できます。データは常にスマホアプリに記録され、チョコザップを運営するライザップのサーバーに転送されて履歴も記録されるわけです。
このスターターキット、恐らく相当のお金がかかってます。ユーザーにとってもかなりお得。チョコザップは最初は少々赤字でも、こうした個人データを集める大切さをわかっているのでしょう。
日々の運動データと、身体に関する日々のデータを長期間収集し、ライザップ事業で磨き上げたトレーニングプログラムの豊富な知識を活かして、データに基づいて個人毎に最適化した健康習慣プログラム・アドバイスを行えるようにしているのです。
さらにチョコザップオンラインストアでは、プロテインなどのオリジナル商品や、ライザップ管理栄養士によってタンパク質や糖質などの栄養価を調整したフードも提供しています。現在チョコザップ会員数は100万人を突破しました。その3%がこのサービスを利用するだけで、3万人の購買客を確保できます。
またスマホアプリでいつも行く店舗を登録すれば、時間帯別に店舗の混雑状況予測と、リアルタイムな混雑状況もわかります。AIカメラで無人店舗の状況を自動的に把握しているおかげです。
チョコザップはデジタル技術を駆使し、あらゆるデータを収集する仕組みを構築していることが、よくわかりました。
以上を一通り実体験して、私は感じました。
「チョコザップは、まさに健康習慣サービス業界の破壊的技術だ」
チョコザップは、経営学者クリステンセンが著書「イノベーションへの解」で書いた「破壊的技術」であり「新市場型破壊」なのです。
「新市場型破壊」では、それまで商品を使わなかった無消費者が使い始めます。チョコザップも、フィトネスクラブの既存ユーザーから見ると「こんなのオモチャ」というレベルかもしれませんが、無消費者だった「運動習慣がない人」にとっては、必要十分。まさに彼らのためのサービスなのです。
クリステンセンはハーバード・ビジネス・レビュー2015年8月号で、「破壊的イノベーションを評価する5つの質問」というコラムを書いています。この5つの質問でチョコザップを検証すると、より高い解像度で「チョコザップの正体」が見えてきます。
① 過剰にサービスされている顧客が、ターゲットか?
→月会費1万円程度の既存フィトネスジムは、運動習慣がなく「ちょこっとだけ運動したい」という運動無関心層の人たちには過剰サービスで、会費も高すぎでした。チョコザップはそんな人達に、月会費3000円強でサービスを提供しています。
② 時間とともに高性能化するが、既存プレイヤーは戦う気がないか?
→24時間ジム「エニタイムフィトネス」の山辺清明社長は、2024/4/19の日経MJに掲載されたインタビューで「チョコザップは完全無人化を進めています。エニタイムはどうしますか」という質問に「我々は人をなくす方向にはいきません。接客はエニタイムの強みの1つです」と答えています。このように既存プレイヤーであるほとんどの大手フィトネスジムは、チョコザップのような無人化の方向で戦う気はないように見えます。
③ 低コスト構造を維持。顧客の期待に応える速度で、性能改善できるか?
→完全デジタル化した無人店舗に加え、健康に関する個人データを徹底収集するチョコザップは、今後、様々なサービスを追加して『総合健康習慣サービス』へ、より高性能化して進化していく可能性があります。
④ 販売チャネルなど、新しい価値ネットワークを創造するか?
→チョコザップ店舗はフランチャイズでなく、すべて直販店舗です。2022年7月にサービスを開始し、17ヶ月後の2023年11月には単月黒字化を達成、18ヶ月後の同年12月には1225店舗まで展開。もの凄い勢いでまったく新しい価値ネットワークを展開中です。圧倒的なスピードで一気に「運動初心者なら、チョコザップ」という認知を獲得する戦略ですね。
⑤ すべての既存企業を破壊するか?
今後のチョコザップの進化次第では、フィトネスジムに留まらずに、健康サービス産業全体が大きな影響を受ける可能性があります。
実は現時点でも、チョコザップはまだその全貌が十分に見えていません。
いまやフィットネスに留まらずに、セルフエステ、セルフ脱毛、さらにカラオケ、ランドリーなどのサービスも続々追加し、チョコザップ会員は追加料金なしで使えます。
「カラオケやランドリー?」と驚いてしまいますが、これらのサービスはチョコザップ事業に関わるライザップ社員が次々とアイデアを出し、「そのアイデアは本当に有効なのか?」を猛スピードでリアルデータに基づいて仮説検証を繰り返すことで検証して、進化を続けています。
ダーウィンが「種の起源」で提唱した「変異、生存競争、自然淘汰」と同じロジックで、チョコザップはあたかも一つの生命の種であるかのように進化を続ける最中なのです。
現在ライザップはチョコザップ事業立上げのため、様々な手段でお金を調達していますが、新店舗展開の大展開や、スターターキットをはじめとするプログラムのために一気に投資しているようです。
今後、チョコザップがどのように進化していくか、要注目だと思います。
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。