自分の仕事を、どのように考えるか

私が社会人になった頃は、「良い会社に入社し、定年まで無事勤め上げることが、幸せである」と言われていました。もう30年も前のことです。

もちろん今でも終身雇用を堅持している素晴らしい会社もありますし、そのような会社に入社できたとしたら幸せなことでしょう。

しかし言うまでもないことですが、今は時代が大きく変わっています。

「ワークシフト」(リンダ・グラットン著、プレジデント社)で次のような一節があります。

—(以下、p.371から引用)—

私たち一人ひとりにとっての課題は、明確な意図をもって職業生活を送ることだ。自分がどういう人間なのか、人生でなにを大切にしたいのかをはっきりと意識し、自分の前にある選択肢と、それぞれの道を選んだ場合に持っている結果について、深く理解しなくてはならない。そのためには、自分が望まない選択肢にきっぱりとノーと言う勇気が必要だ。自分が大切にしたい要素を優先させる職業生活を送れる場を積極的に探す姿勢が必要だ。「普通」でありたいと思うのではなく、他の人とは違う一人の個人として自分の生き方に責任をもち、自分を確立していく覚悟が必要だ

—(以上、引用)—-

この一節ですべてが語られていると思います。

自分の人生は、自分だけのもの。

そして職業生活は、人生の中でとても大きな比重を占めます。

「自分の仕事をどのように考えるか」は、ますます重要になってきています。

常に考えていきたいものです。

 

2014-04-16 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

アマゾンは、あらゆる消費者体験を革新しようとしている

アマゾンのニュースを数多く目にするようになりました。

ここ数日のニュースに限っても、…

『「Amazon Dash」はネットショッピングに革命を起こしそう』

Amazon Dashを一言で言うと「買い物専用インプットデバイス」。

商品のバーコードを読み取り、注文できます。現在はPC経由。将来的にはこのデバイスが単独で直接ネットに繋がり、消費者が商品を手にしてバーコードを読み取った途端に直接注文できるようになっていく可能性が高いのではないでしょうか。

 

『「Amazon Prime Air」のドローンは第6世代試作機の飛行テスト中、第8世代が設計段階』

ドローン(無人航空機)を使って注文後30分以内に配達することを目指している「Amazon Prime Air」は、2015年の実現を目指しています。

一見ホラ話に思えますが、アマゾンは真剣に取り組んでいます。既に試作機の飛行テスト中で、2kg強の荷物を抱えて16km飛行できるだけの能力とバッテリーを搭載しようとしています。

 

『Amazon Fire TV について知っておくべき10のポイント』

99ドルのセットトップボックスです。テレビを見ていて、「これ買いたい」と思う場面は多いと思います。その際の購買の手間を大きく削減することになるのではないでしょうか?

 

(4/14 7:30AM追記) ■アマゾン、6月にもスマホ発表―9月末までの出荷目指す

Amazonはスマホ販売を検討していると報じられています。これも消費者がスマホ経由で購買することを考えると、アマゾンにとって自然な流れなのかも知れません。

 
 

数多くの消費者が日常的にアマゾン経由で購買するようになると、購買取次をするアマゾンの収益は莫大なものになります。

消費者を増やせば増やすほど、儲かります。

消費者を増やすためには、入り口の敷居をなるべく低くすること。

たとえば、Amazon DashやAmazon Fire TVのデバイスを無料で配布したり、Amazon Prime Airを極めて低料金で提供することで、将来的には莫大なキャッシュフローが得られます。

まさに消耗品の「ジレットモデル」に近い収益モデルを構築できる訳ですね。

 

ちなみに、日本国内ですが、最近もこんなニュースもありました。

『Amazon.co.jpが酒類の直販に参入 ビールや日本酒など5000種以上』

クール便対応などが行われるようになると、従来の酒屋のビジネスは変革を迫られそうです。

 

最近のアマゾンは、小売ビジネスにおけるある種の「クリティカルマス」を越えた感じがあります。

消費者の購買体験をより容易に簡単にすることにより購買機会を増やすために、廉価な最新テクノロジーを活用して、考えられうる様々な方法を展開しているように見えます。

 

ここしばらくの間は、アマゾンの動きから目を離せない状況が続きそうです。

(4/14 7:30AM追記) …赤字部分

 

「人とカネは無限にあると考えよ!」

DIAMONDハーバードビジネスレビューのウェブ連載記事「盛田昭夫 グローバル・リーダーはいかにして生まれたか」第10回目「人とカネは無限にあると考えよ!」で、トリニトロン開発責任者だった井深さんの考え方を、当時開発スタッフだった唐澤英安さん次のようにまとめれておられます。(「フレキシブルPERT法」と名付けています)

①時間は競争優位に立つ唯一の条件である
②おカネは無限にあると考えよ
③人も人材も無限にあると考えよ
④制限条件に頼って発想するな。制限条件は挑戦の対象としてモデルを作れ
⑤前例は常に打破すべきであり、従うことは恥

トリニトロンは1968年に発表されました。既に46年前です。

しかしこの方法論は、現代でも通用する重要な考え方だと思います。

たとえば、我々はともすると、与えられた予算内で新規プロジェクトを定義し、進めようと考えがちです。

たしかに予算内で納めなければならない場合も多いでしょう。しかし一方で、売上が未知数の新製品などの場合は、価値を最大化する方が優先順位が高い場合があります。

予算などの制約条件のことはいったん忘れて考えるべきケースが多いのもまた事実です。

そしてそのようなプロジェクトには、不思議とヒト・モノ・カネが集まってきたりします。

 

改めて自分が進めている仕事を、この5つに照らし合わせて考えてみたいと思います。

 

学んだことや秘訣は、どんどんオープンにする

自分が学んだことや秘訣は、情報としてどんどん公開していくべきと考え、このブログでも書いています。

 

「自分だけのモノにとどめて、公開すべきではない」という考え方もあるかもしれません。それも一つの考え方でしょう。

また、企業のトップシークレットなどは厳重に守る必要がありますので、厳密に言えばケースバイケースになることもあろうかと思います。

たとえば私も、執筆中の著書については、版元の出版社とお話しした上で、公開しても問題ない段階(多くは出版の数週間前)で当ブログでご紹介しています。それは出版社から見ると、執筆中の著書は機密情報でもあるからです。

 

一方で物理的なモノは「共有すると価値を減じる」性質を持っていますが、情報は「共有することで価値が上がる」という性質を持っています。

また、もしすべてをオープンにして、それ以外に何も残っていなければ、それはたいした強みを持っていないことの裏返しとも言えます。しかし本当の強みなのであれば、実際にはそんなことはないはずです。それはどうしても公開できない暗黙知のようなものであったりします。

むしろオープンにすることで、色々な人たちからの情報がどんどん入ってくるようになり、自分の強みもさらに強化できるようになると実感しています。

そしてそれは、学び続けることが前提になると思います。

 

ということで、差し支えがない範囲で、学んだことや秘訣といった情報は、どんどん公開するといいのではないか、と思っております。

 

供給過剰が終焉し、需要が上回った。だから今こそ、価値創造が大切

本日2014/4/8の日本経済新聞のコラム「一目均衡」で、編集委員の西條都夫が「供給過剰時代の終焉」というコラムを書いておられます。

内容をサマリーすると、1990年代初頭のバブル崩壊後に、雇用・設備・債務の「3つの過剰」が流行語になったのを皮切りに、過去四半世紀の日本の課題は「供給過剰」にどう対処するかでした。それがここに来て、状況が大きく変わっている、という話です。

「雇用」は、幅広い業種で人手不足が深刻。

「設備」も、再編やリストラによる調整が進行。鉄鋼業界は大手2社に集約され、4年前には月産100万台を超えていたテレビの国内生産も5万台程度まで急激に縮小。

「債務」も、むしろ日本企業の「現金ため込み体質」が批判されようになりました。

 

先日の当ブログで、「需要をいかに科学して「お客様が買う理由」を作り上げるか?」というエントリーを書きました。

このエントリーでCCC社長・増田宗昭さんの「今は需要と供給は逆転、供給が圧倒的に大きい。今の日本に一番欠けているのは、需要を科学し、需要力を上げること」とおっしゃった発言を引用させていただきました。

供給が需要を下回ったのであれば、「それじゃぁ、問題解決じゃん。よかったぁ!」と思いがちです。

しかし、当コラムでは、西條さんは次のように締め括っておられます。

—(以下、引用)—

企業経営者にとっては別の課題が浮上する。過剰を削り、身を縮めることが経営の主軸だった時代が終わり、新しい価値の創造がこれまで以上に求められることになる。

—(以上、引用)—

 

需要が供給を上回ったのに、なぜ「新しい価値の創造」が必要なのでしょうか?

その一つのヒントが、本日2014/4/8の日経記事「アマゾン、酒類を直販 6000品目スーパー並みに安く 」に書かれています。

即日配送で8割、翌日配送なら9割の地域をカバーできるアマゾンの流通網は、酒類小売店にとって脅威です。アマゾンは次々と事業領域を広げ、顧客需要を吸収し、成長し続けています。

このアマゾンに代表されるように、高い価値を提供する業者(特に海外のライバル)が次々と現れているので、供給不足の状況になっても、顧客は、従来業者ではなく、より高い価値を提供する新しいライバルへと、容易に流れてしまうのです。

消費者でもある自分自身の行動を振り返ってみると、よくわかるかも知れませんね。

「需要が供給を上回り始めた」ということは、「より高い価値を提供するライバルが成長するスピードが速まる=市場シェアを奪われる」ということでもあるのです。

 

過去の歴史を考えてみると、人類は常に新しい価値を創造し、進化し続けてきました。

たとえば、馬車で移動するのが当たり前だった時代がありました。しかし「需要が供給を上回っている」と考えて馬車のビジネスに安住していたら、蒸気機関車や自動車のイノベーションは生まれなかったでしょう。

 

需要が供給を上回るようになった今こそ、「新しい価値の創造」を考えることは、ますます大切になっていると思います。

 

再び日本企業が世界の変革をリードし始めている…日経記事「日本企業を再評価 来日したハーバード大教授18人」から

日本経済新聞のサイトに、下記の記事が掲載されています。(有料会員限定記事です)

「日本企業を再評価 来日したハーバード大教授18人」

本記事では、ハーバードビジネススクール(HBS)教授の次の言葉が紹介されています。

ノーリア学長「日本は島国根性で停滞状況にあるといわれるが、日本を実際に訪れればそれは誤りだと分かる」

ラインハート教授「日本は世界の未来を象徴する国だ」「日本は高齢化、人口過密、資源不足、食糧問題などにいち早く直面してその解決策を模索してきた」

バーンスタイン助教授「前回に日本に来たときよりも、起業家活動が活発になっている」「HBSがミッションとして掲げているのは、世界に変革をもたらすリーダーの育成。いまの日本の企業には、そうしたリーダーが出てきている手応えを感じた」

HBSのマイケル・ポーター教授も、2011年に「クリエーティング・シェアード・バリュー(CSV)」と呼ぶ概念を打ち出し、社会と企業の共栄共存を目指すことが、これからの企業に求められると唱えています。これは松下幸之助に代表される日本の企業経営者が、昔から提唱していたことでもあります。

 

記事では動画も掲載されています。多くの日本人の経営者が、英語で堂々と自社の戦略を語っておられるのが印象的でした。

バブル崩壊後の20年間、停滞のニュースばかりが伝えられてきた日本ですが、2011年の東日本大震災や、2013年のアベノミックスが契機となり、再び世界の注目が集まり始めています。

ご興味ある方は、本記事のご一読をお勧めいたします。
 

 

チャレンジして失敗から学び、成功につなげるための3ステップ

現代では、様々な新しいことにチャレンジしていくことが必要になります。

一方でチャレンジには失敗が付きもの。ともすると、失敗を恐れて、なかなかチャレンジできないのもまた、現実です。

しかし、チャレンジして失敗から学べば、成功する可能性もまた大きくなります。

「爆速経営 新生ヤフーの500日」(蛯谷敏著、日系BP社)では、ヤフー・宮坂学CEOの次の言葉を紹介しています。

「今よりも10倍挑戦して、5倍失敗して、2倍成功する」

しかし「5倍失敗する」にしても、損失はなるべく最小限にしたいものです。

具体的に、どのようにしればよいのでしょうか?

 

昨日ご紹介した、「アダプト思考」(ティム・ハーフォード著、ランダムハウスジャパン)で、この具体的な方法について触れている箇所がありましたので、ご紹介します。

—(以下、p.327から引用)—

アダプトの基本原則を企業や日常生活に応用するには3つのステップがある。…

第一に、新しいことを試す。ただし、挑戦に失敗はつきものであると覚悟しておく。

第二に、失敗しても大きな問題にならないようにする。そのためには失敗しても大丈夫な保護区をつくるか、小さなステップで少しずつ進むことだ。…ここではどのくらいの規模で実験するかを見きわめることがカギとなる。違いを生むには十分な大きさでなければいけないが、失敗したらすべてが終わってしまうようなギャンブルにしてしまってもいけない。

第三に、失敗を失敗と認める。それができなかったら、失敗から学ぶことはできない。

—(以上、引用)—-

1990年代後半、IBMが従来のビジネスを、IT活用を前提にした「eビジネス」にシフトすることを世に問うた際に、“Start Small, Grow Fast”というアプローチを提唱していました。

ハーフォードが述べた上記の3つのステップは、まさに“Start Small, Grow Fast”の具体的な方法論でもあります。

 
ハーフォードが提唱する3つのステップの中で、一番難しいのは、もしかしたら「失敗を認める」ことなのかもしれません。

ともすると私たちはなかなか失敗を認めることができません。しかし、失敗を認めない限り、次の進歩もないのですよね。

そして失敗を学ぶ際には、犯人捜しに陥ることなく、原因特定と対策立案に集中したいものです。

 


 

デジタルドキュメントサービス研究会(D.D.S.S.)様で講演いたしました

昨日2014/3/14(金)夕方、大阪・弁天町で行われたデジタルドキュメントサービス研究会(D.D.S.S.)様の第17回通常総会の特別講演で、

顧客中心主義の戦略思考
- 現状維持は破滅。新たな顧客と市場を創り出せ! -

と題して、講演致しました。

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デジタル・ドキュメント・サービス研究会(D.D.S.S.)様は、印刷・複写・製版・DTPなどの情報サービス関連業界におられる経営者の皆様が、業界の発展に寄与する為に1997年に設立した任意団体です。

会員企業は45社。毎年活動を積み重ねて、今回の総会が17回目。

富士ゼロックス様が事務局として運営に参画、活動の支援を行っておられます。

講演に先立って行われた総会にも同席をさせていただきました。年間を通じて密度の濃い勉強会を多数実施され、スキル育成を通じて高付加価値化、現状打破にチャレンジしておられます。

業界団体として、このように20年近く中身が濃い活動を継続できるのも、日々のご努力の賜物だと思います。素晴らしいことですね。

20年近くD.D.S.S.様を事務局として支えてこられた富士ゼロックス様からも、役員の皆様が多数参加されました。全社でバックアップしておられます。

  

実は私は、昨年の第16回D.D.S.S.様総会で講演のご依頼をいただいていたのですが、当時は日本IBMに勤務しており、平日の講演だったこともあって、承れませんでした。今年、再度お声がけをいただき、講演の機会をいただきました。大変有り難いことです。

 

講演は1時間45分。内容は下記の通りでした。

(1)顧客中心主義の戦略思考
・なぜ、あなたは買ったのか?
・なぜ、顧客は買うのか?
・企業がいいと思っていても、ほとんど伝わっていないのが現状。
・目の前にいるお客様の言いなりになった末路
・お客様は、自分の問題を知らない
・価格勝負は怖い
 ①2位以下は負ける
 ②最安値目当ての顧客が集まる
 ③よき顧客は去っていく
 →価格勝負は、筋肉増強剤
・際限なき価格勝負の日々→ 本当に正しい苦労か?
・ダイエットのリバウンド
・「価格を下げる=食事を減らす」だけが解決策か?
・顧客絶対主義と顧客中心主義の違い
・強く具体的で明確な「お客様が買う理由」を作ることが大切
・それは誰も教えてくれない。自分自身で徹底的に考え抜き答えを出す

(2)現状維持は破滅
・パンフレット印刷、競合は、実はLancers? (低価格・短納期・高品質)
・3年前のクラウドソーシング原体験:価格1/20の衝撃
・真空管ラジオと、トランジスタラジオ
・新たな顧客を創造し、覇権を握ったトランジスタラジオ
・既存の顧客だけに向き合い、衰退した、真空管ラジオ
・イノベーションのジレンマ 過剰性能→価格暴落
・UCC缶コーヒーも「どこでも飲める」顧客を創造した 
・イノベーションは常に繰り返され、覇者は入れ替わる
・ジレンマ状態は「茹でガエル」。実はとても心地よい
・しかし、市場が崩壊中。数年で消え去ることもある
・常識を見直そう
 - まずは「ヒト、モノ、カネ」
 - ものづくり。個別にきめ細かくカスタマイズ
 - 違法コピーと闘い、著作権で稼ぐ
・「現状維持は破滅」(三井物産 飯島彰己社長 2012年年頭の辞)
・「新たなニーズ、未充足のニーズが私たちの現場にはまだまだあるはず」
・当たり前と思っていることに、疑問を持とう
・解決できていないお客様の課題は、何か?
・「今よりも10倍挑戦して、5倍失敗して、2倍成功する」
・失敗は、成功の母。奨励すべし。(ただし、学ぶこと)

 

今回は60名のご参加でした。半分以上は、印刷・複写・製版・DTPなどの会社を経営なさっている経営者の方々。まさに市場全体が大きく激変している大海原のまっただ中で、会社の舵取りを任されている皆様です。

講演は一方的に話しているように見えますが、実は会場におられる皆様の真剣なお気持ちも、話す側にはリアルに伝わって来ます。

講演の場を通じて、私自身、大変勉強になりました。

このような機会をいただいた富士ゼロックス様、デジタル・ドキュメント・サービス研究会(D.D.S.S.)様に感謝申し上げます。

  

「仕事は自ら創るべき」 v.s 「仕事は自ら創るな」 — 「電通鬼十則」と「裏十則」から

電通では、4代目社長吉田秀雄が1951年に作られた「鬼十則」と呼ばれる言葉があります。

1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

仕事のあるべき姿の真髄を突いた素晴らしい言葉です。電通が今日に至るまでトップ企業であるのも、納得ですね。

 

一方で、この「鬼十則」のパロディである「裏十則」というのもあります。電通に勤務されていた吉田望さんが作られたものだそうです。→詳しくはこちら

1. 仕事は自ら創るな。みんなでつぶされる。
2. 仕事は先手先手と働きかけていくな。疲れるだけだ。
3. 大きな仕事と取り組むな。大きな仕事は己に責任ばかりふりかかる。
4. 難しい仕事を狙うな。これを成し遂げようとしても誰も助けてくれない。
5. 取り組んだらすぐ放せ。馬鹿にされても放せ、火傷をする前に…。
6. 周囲を引きずり回すな。引きずっている間に、いつの間にか皆の鼻つまみ者になる。
7. 計画を持つな。長期の計画を持つと、怒りと苛立ちと、そして空しい失望と倦怠が生まれる。
8. 自信を持つな。自信を持つから君の仕事は煙たがられ嫌がられ、そしてついには誰からも相手にされなくなる。
9. 頭は常に全回転。八方に気を配って、一分の真実も語ってはならぬ。ゴマスリとはそのようなものだ。
10. 摩擦を恐れよ。摩擦はトラブルの母、減点の肥料だ。でないと君は築地のドンキホーテになる。

 

過去大きな成功を収めて安泰であり、ウチに閉じこもっている組織の場合、「同質性」を重視し、社員のほとんどが「裏十則」の行動原理に陥ってしまっていて、停滞していることが多いように思います。

 

『「一体感」が会社を潰す 異質と一流を排除する<子ども病>の正体』(秋山進著、PHPビジネス新書)で、こんな一文があります。

—(p.74-76より引用)—

….経営者にとってコドモの組織のほうが運営しやすく、経済的にも長い間合理的であったからなのです。…..1990年代前半にバブルが崩壊するまでは、市場自体が大きく成長していました。商品の差別化や高付加価値化が一部では叫ばれていましたが、基本的には独自の戦略を取ることよりも、当たり前のことを全員が息を合わせて一生懸命やることで会社も成長できたのです。………現代は、「多様性」が競争力の源泉になると言われていますが、ひと昔前までは、逆に「同質性」こそが競争力の源泉だったのです。

—(以上、引用)—-

現代では、同質性に陥り「裏十則」の原則で動いている「コドモ」の組織は、競争が激しい業界から順番に賞味期限が切れています。

それは多様性がない組織だと、競争と変化が激しい市場では敗れてしまい、市場から退場せざるをえなくなるからです。

そうならないためには、どうするか?

個人だけが変わってもダメ。マネジメントが一生懸命頑張っても限界があります。個人、組織、マネジメントが変わっていく必要があるのです。

本書では、個人、マネジメント、組織のそれぞれが、コドモから大人に変わるためにどうするべきかを提示しています。

 

「鬼十則」の組織は、一見厳しそうに見えます。しかし実際にこんな感じで仕事をすると、結構面白いものです。私はそのような組織の方と仕事をすることも多いのですが、皆さん楽しそうです。そしてそのような組織が成長して活気もあります。

じっくりと「鬼十則」と「裏十則」を見比べてみると、色々な発見があるかもしれません。

 

「ジェフ・ベゾス 果てなき野望-アマゾンを創った無敵の奇才経営者」を読んで、事例を学ぶ心得について改めて考えた

「ジェフ・ベゾス 果てなき野望-アマゾンを創った無敵の奇才経営者」を読んでいます。

500ページを超える大著ですが、iPad miniのKindleで読んでいるので、持ち歩きは楽ですね。

 

アマゾンの成功について、アマゾンの関係者に徹底的に取材して書かれた本は、恐らく本書が初めてではないでしょうか?その意味でも本書は大いに価値があると思います。

一方で本書のAmazonの書評にも書いておられる方も多いのですが、ジョブスの本のようにドラマティックな展開は比較的少なく、やや単調でもあります。

逆にこの単調なこと(と言っても、その一つ一つも凄いばかりなのですが)を、着実に実行し、数多くのイノベーションを積み重ねてきたところに、未来を見据えているビジョナリーとしてのペゾスの非凡さがあるように思います。

 

一方で、アマゾンは多くのリスクにも直面してきました。アマゾンが成功してきたのは、ペゾスの凄さに加えて、特に初期の頃に幸運が味方した面も大きいのかもしれません。

「ベストプラクティス」として成功事例を学ぶ際の危険は、ここにあるのではないかと思います。成功事例の結果だけを見て、その成功をなぞろうとするのです。

「風がない日は、凧は上がらない」という言葉もあります。多くの成功事例は、絶妙なタイミングにも恵まれているのです。加えて運も味方している部分も大きいのでしょう。

私たちが事例で学ぶべきは、考え方や判断の基準、リスクへの処し方、リーダーとしての態度、成功までの失敗の過程、等ではないか、と改めて思いながら、読み進めています。

 

とは言え、まだ本書は半分まで読み進めたところ。後半も楽しみです。

 

 

話す内容を、その場で考える、というプレゼン・スタイル

昨日、3名の講演を拝聴する機会に恵まれました。各界の著名人ばかりで、当然ながら皆さんお話しが素晴らしいのですが、同時に感じたのは、お話しのスタイルは実に人ぞれぞれであること。

3名のうち2名が講演資料を用意していないのです。

 

1名は、元スポーツ選手。テレビにもよく出演され、芸能人とも丁々発止の会話をなさっている方。話の内容も面白くためになることばかりでした。とても頭の良い方です。「この人なら、確かに資料は不要だなぁ」と、納得です。

 

もう1名は、普段の仕事はお客様に最高級のサービスを提供するお立場にある方。30代中頃の若い方でした。「今日は、何を話すかは、事前に考えていませんので…」と前置きしつつ、その場にいるお客様の声にならない反応を見て、お客様が知りたいことに併せて話を進めていきます。お話しもとても深い内容でした。

「事前に話を考えていない」のは、サボっているのではありません。逆に、「その場のお客様と真剣勝負をする」という固い覚悟を持って臨んでいるのです。

講演終了後、お名刺交換する機会に恵まれました。「事前にお話しを考えていなかったとおっしゃっていましたが…」とお尋ねしました。

「お客様のご期待をお察しし、お応えするという日々を過ごしています。講演でも同じです」とのことでした。

圧倒的な経験と暗黙知、実力の積み重ねがあって、このようなスタイルが可能なのですね。

思い返せば、私の師も、同じスタイルで講演をなさっています。

 

私の場合は、事前に相手の方が知りたいことをお伺いし、プレゼンのストーリーを予め徹底的に考えた上で、できるだけ理解しやすいパワーポイントの資料を作り、相手に伝わる話し方を意識してプレゼンします。このためリハーサルもしますし、講演中の動画も録ってあとで確認します。講演準備には講演時間の数十倍の時間をかけます。

このようなスタイルなので、私は資料やプロジェクターがない状況でお話しするのはとても苦手です。

この方は「何があっても対応できるようにするのが、私たちの仕事ですから」とおっしゃっていました。

まだまだ学ぶべきことは沢山あります。

 

2014-02-21 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

「コーヒー豆」は、実は豆じゃありません

…というと、意外に思われる方は多いのではないでしょうか?

コーヒーはマメ科の植物ではありません。

コーヒーノキというアカネ科の果物の実が、コーヒーのおおもとです。

この赤く完熟したサクランボウのような実(コーヒーチェリー)の種が、コーヒーの生豆です。「コーヒー豆」と言いますが、実は種なのですね。

 

コーヒーチェリーから種を取り出して乾燥させ、焙煎し、粉砕して、湯を注ぐと、1杯のコーヒーが出来上がります。

一言で書いてしまいましたが、この作業はすごく人手がかかっています。

 

まずコーヒーノキからコーヒーチェリーという実を取る作業。機械を使ってガーッとやってしまう方法もあるそうですが、コーヒーノキが傷んでしまいます。完熟豆を見極めるスキルを持った人たちが、人手をかけて摘んでいく方法が理想です。

さらにその果実から果肉を除去し、さらに内皮の粘質を除去して、水洗いし、天日で乾燥させ、豆を選別するのもとても手間をかけて作業しています。これでいわゆる「生豆」が出来ます。

さらにその生豆を、ブラジル、タンザニア、ジャマイカといった生産国から消費国へ輸入します。

しかし生豆は味も香りもほとんどありませんし、このままでは飲むことはできません。そこで、輸入した生豆を焙煎します。「ロースト」とも呼ばれます。熱い温度で加熱して、水分を飛ばして成分を化学変化させます。焙煎によりコーヒー豆は揮発性の素晴らしい香りを放つようになり、苦味、酸味、甘味等、コーヒー独特の風味も生まれます。UCC上島珈琲、AGF、キーコーヒーなどが焙煎業大手ですが、最近は自家焙煎のカフェも増えてきています。

焙煎した生豆をコーヒーミルで挽いて、ドリッパーなどで淹れるわけですね。

 

このようにコーヒーは実に手間がかかる飲料ですが、このステップ一つ一つの違いで、味わいが大きく変わってきます。

また最近は、新しいコーヒーのカルチャーとして「サードウェイブコーヒー」の波が起こっています。ちゃんとした定義はまだないようですが、産地や農園単位でコーヒー豆を厳選して焙煎し、豆に合わせた挽き方、抽出をして、一杯を楽しもう、というものです。

最近は、おしゃれで美味しい個人経営のカフェも、増えてきました。世の中も、「カフェはおしゃれだ」という風潮になってきています。

世の中に、もっと美味しいコーヒーと、居心地のよいカフェが増えるといいな、と思います。

 

昨晩2/14(金)、文化放送「オトナカレッジ」に出演しました (スタジオ写真付き)

昨晩2014/2/14(金) 21:00-21:55の文化放送「オトナカレッジ」に、特別講師として出演しました。

12/13の第1回目「100円のコーラを1000円で売る方法」第1巻をベースにお話ししました。

第2回目の今回は「100円のコーラを1000円で売る方法2」をベースに、ビジネス戦略論・『時間を味方につけるサーフィン思考』というテーマで講義致しました。

放送スタジオの中を、エンジニアの皆様がいるスタジオ外から見るとこんな感じです。

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放送の合間に撮影した、スタジオの中の様子はこんな感じです。手前の後ろ姿が放送作家の鈴木さん、奥がアナウンサーの砂山さんです。

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今回、2回目の生放送で少し慣れてきました。

第1回目(12/13)は初の生放送ということもあって、1時間弱の放送で自分が話す部分はナレーション原稿を全て書き上げ、暗唱できるまで記憶しました。おかげで話がつかえたり忘れることなく、スムーズに話ができました。一方で反省もありました。自分の言いたいことに集中してしまい、アナウンサーの砂山さんとの対話が若干おろそかになってしまったのですよね。ともすると一方的に話してしまいましたが、アナウンサーの砂山さんはとても上手にフォローしてくださいました。

 

第1回目の反省を踏まえて今回は方針を大きく変更。放送作家の鈴木さんが、打合せて作っていただいた、ポイントを記した台本だけで進めることにして、ナレーション原稿は作りませんでした。実は前日夜まで、本の執筆やお客様の研修があり、事前に前回のような準備時間が取れなかった、という現実的な事情もあります。

しかしナレーション原稿を作らなかったことで、砂山さんとの対話が起こり、当初は考えていなかった話まで広がりました。

実は、放送局の方々からは、『むしろ、居酒屋で「少しためになる面白い話」を雑談しているようなイメージの方が、より楽しめるしスムーズに入っていけますよ』というアドバイスをいただきました。

ラジオのリスナーの方にとっては、ナレーション原稿に沿った話はまるで「講演」のように聞こえて面白くないのかもしれません。 

「対話とは、起こるもの」なのだ、と改めて実感しました。 

 

「自分たちの会社をどうすればいいのかを人に聞くなど、もってのほかだ」…古森重隆著「魂の経営」

富士フィルムの経営変革を率いた古森重隆さんのご著書「魂の経営」で、古森さんは次のように書いておられます。

—(以下、引用)—

新規事業を決める議論は、基本的に社内だけで行った。その間部下たちには、「社外のコンサルタントなどの意見を信用しすぎるな。自分たちで考えろ」と言い続けてきた。もちろん、外部の専門家の意見に耳を傾けなければいけないこともある。しかし、専門家の意見は、あくまでも外部の意見として聞くべきである。自分たちの会社をどうすればいいのかを人に聞くなど、もってのほかだ。

—(以上、引用)—

自分が日頃から思っていたことを古森さんはズバリと書いており、「なるほど」と思いました。

企業では、言葉では伝えられない、自分たちしかわからないことは沢山あります。このため、社外の意見というのは、悪い面とよい面があります。

 

悪い面は、社外の正論が必ずしも解決策とは限らないこと。

社内の人しかわからない微妙なことは多いのです。

社外の人が正論で「こうするべき」と言っても、社内の様々な事情で実行できないことも多いのです。その場合、正論はそのまま解決策にはならないのです。しかしその状況がなかなか説明できないこともまた、多いのです。

 

では、社外の意見が意味がないか、というと、そういうことはありません。よい面もあります。

先の例で、「なぜ正論が解決策でないか」を突きつめていくと、これまで気がつかなかった新しい別の解決策が見つかることもあります。

それは、社内で常識と考えていた思い込みとはまったく違った視点が得られたからです。

社内全体がある価値観に染まっている場合、なかなか他の考え方に思いが及ばないことがあります。このような新しい発想を得ることで、ブレイクスルーのきっかけが得られます。

加えて、社内の人が言ってもなかなか説得できないことでも、社外の人が別の言い方で伝えると、説得力があるケースもあります。

 

私も「社外の専門家」としてお客様の仕事に参加する機会が増えてきました。常に新しいことを学んでお客様に提供する価値を高めつつ、お客様の状況に柔軟にあわせた問題解決が図れるように努めていきたいと思います。

 

企業の成功事例・失敗事例

本や記事などでは、企業の成功や失敗の事例が紹介されています。これはどの程度役立つものなのでしょうか?

 

本日2014/2/10の日本経済新聞の記事『今こそ問われる「ケネディ大統領、核軍縮の理念」』で、池上彰さんが次のように書いておられます。

—(以下、引用)—

 歴史は決して暗記科目ではありません。歴史の前後には常に因果関係があり、いくつもの出来事が積み重なって、かたちづくられているものだと私は考えています。

 その因果関係には人間が大きく関わっています。「なぜこんなにも愚かだったのか」と思うこともあれば、「どうしてこれほど重大な決断を下せたのか」と考えさせられます。それによって、人間の弱さ、強さが見えてくるはずです。

—(以上、引用)—

池上さんもおっしゃるように、歴史に学び、人がなぜ過ちを犯したのか、あるいは成功を収めたのかを学ぶことは、とても意味があることです。

同様に、企業の様々な事例の物語には、実際に体験した人ならではの真実があります。それらを学び、失敗や成功を追体験することで、得られるものはとても大きいはずです。私も事例の物語を読むことは好きです。

 

一方で、事例で書けることには限界があります。形式知で表現できることには限界があるからです。当事者にしかわからないことがあります。

このように考えると、実は自分自身の成功体験や失敗体験こそが、最高の事例なのではないでしょうか? 自分の体験を振り返り、深掘りしてみることで、得られることは大きいと思います。

 

4月の消費税増税でも、価格勝負は避けて、価値勝負を継続するセブン&アイ

消費税増税が4月に迫ってきました。

2014/2/4の日本経済新聞の記事「消費増税の駆け込み反動、車に懸念、家電は緩やか」によると、新車販売や住宅着工件数を見ると、消費税増税をにらんだ駆け込み需要が発生しています。一方の家電は、家電エコポイントや地デジ移行の買い替え需要が先行した影響で今回は買い換え需要はそれほど発生していないとのこと。

確かに住宅や車のような高額商品では、消費税増税(+3%)による価格差は少なくありません。たとえば100万円の軽自動車なら3万円。住宅など5000万円程度の物件では150万円。けっこうな金額ですよね。

「需要の先取り」は「将来の需要の先食い」でもありますので、悩ましいところですが、消費者が駆け込み購入をするのはやむを得ない面もあります。

一方で、「消費税増税直前駆け込みセール」のようなものを企業側が仕掛けるのはいかがでしょうか?

増税前に駆け込み購入を勧めるのは、消費増税前と後の価格差を訴求するという意味では、実質的に価格勝負です。しかし当ブログや拙著で繰り返し書いているように、安易な価格勝負は筋肉増強剤のようなもの。一時的に体力は上がりますが、企業の体力を蝕んでしまいます。そして「食事を減らす」ダイエットのリバウンドのように、繰り返すことで泥沼にはまっていきます。

 

では、どのように考えるべきなのでしょうか?

 

今年1月7日に日本経済新聞に掲載された「企業トップの年頭発言」でセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が語った言葉は、この状況に対して明確な示唆を与えてくれます。

—(以下、記事より引用)—

消費増税というマイナス影響には、新しい商品やサービスをどれだけ投入できるかが重要となる。反動減の一巡後、7~8月ごろにどれほど消費が盛り返すかを見る必要があるだろう。

—(以上、引用)—

確かに消費増税のマイナス影響は避けられませんが、需要は盛り返します。マイナス影響を最小限にし、盛り返した時点で成長できる準備をしておくことが大切です。

 

本日2014/2/8の日本経済新聞の記事「セブン&アイ、高品質PB商品拡大 増税後も路線明確化」では、セブンが着実に施策を展開してることを紹介しています。

—(以下、記事より引用)—

セブン&アイ・ホールディングスは2014年度、質の良さを打ち出した価格が高めのプライベートブランド(PB=自主企画)の商品を増やす。傘下のイトーヨーカ堂は食品の新シリーズを投入。グループで販売する高品質PB「セブンゴールド」では4月の消費増税直後に全体の約3割の商品を刷新する。増税で消費者の節約志向が強まる可能性があるが、品質の高さを訴える路線を明確にし、価格競争とは一線を画す。

….セブン&アイが増税後も質を訴えて価格が高めの商品に力を入れるのに対し、他の大手スーパーは値ごろ感を打ち出す見通し。イオンはPB「トップバリュ」の大半の商品の価格を増税後も据え置く方向で調整している。発注量の拡大や物流の効率化などでコストを下げ、割安感を出す方針。

—(以上、引用)—

もしセブンイレブンに行く機会があれば、10分くらいかけて店頭をじっくり眺めてみることをお勧めします。最近、「セブンゴールド」や「セブンプレミアム」といったPB商品が増えています。実際にそれらの商品を買ってみるとわかりますが、高品質です。

セブン&アイによれば、セブンプレミアムの2013年度売上見込は6500億円で対前年+30%。2015年度には1兆円にする計画です。

セブンが展開しているように、本来は値引きをしなくても売れるように、常に価値を上げ続けていくことが必要です。

確かに消費増税の反動で、マイナスの影響は避けられませんが、この時期こそ「価格勝負ではなく、価値勝負」をいかに継続するかが大切なのではないでしょうか?

反動減が一巡した後、今年後半に入って消費を盛り返す時点で、それは効いてくると思います。
 

Kindleを使ってみて、改めて著者視点で興味を持ち、さらに考えたこと

昨日のiPadを使ってみた感想の続きです。

といっても、今回はiPadではなくKindleです。

私がはじめてKindleを使ったのは、もう4年前です。まだ日本語版はなく、英語版Kindleを米国Amazonで注文。数日後に届きました。

日本の自宅でスイッチを入れたら、何も設定していないのにそのまま電話回線に繋がり、本のダウンロードを始めた時は、グローバル展開を考慮したそのビジネスモデルの斬新さに驚いた記憶があります。

その後、日本語版が生まれ、PC、iPadなどのタブレット、スマホでも使えるようになったのはご存じの通りです。

 

Kindleでは、気になった部分には簡単に線も引けますしコメントも記入できます。iPad版ではこんな感じ。(表示している本は、古森重隆著「魂の経営」です)

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上記の本をiPhoneで開くと、こうなっています。

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つまり、線やコメントのデータはKindleクラウドに送られており、登録している他のKindleデバイスにも自動的に反映されます。これは読者としては便利ですね。

 

このような読者の関心データをあらゆる本について蓄積しているのは、考えてみると凄いことです。

著者の立場では、常に「読者の反応を知りたい」と思っています。私の場合は、TwitterやFacebook、ネット検索などで、常に本の感想をチェックしています。

しかしどうしても分からないのが、読者の皆様が、自分の本のどこにどんなチェックや注釈をしているのか、ということ。

これはこれまで、マーケティング戦略を立てる人たちが、どんなに欲しくても入手できなかったデータです。

Kindleクラウド上には、このようなデータが集積しているわけです。自分の著書についての読者の反応は、是非知りたいことですね。もちろんプライバシーの問題もあり、個人情報が特定できないようにする必要があります。

また、このようなデータはアマゾンにとっては自分しか持っていない大きな武器でもあります。

 

もしアマゾンが普通の会社であれば、このようなデータを活用してビジネスを始め、収益に繋げるでしょう。

そしてそれは、当たり前の手堅い方法に見えます。

しかしアマゾンの最優先事項は、新市場を開拓し、豊富な資金力により収益度外視で消費者の利便性を徹底的に高めて、圧倒的なシェアを獲得し、市場に浸透すること。

収益向上は経営が存続できる限りできるだけ遅らせる判断です。

日経ビジネスオンラインの記事「タフな交渉で相手をたたきつぶすのがアマゾンの文化」でも、アマゾンCEOであるペゾスの次の言葉が紹介されています。

—(以下、引用)—

通常、価格競争はある分野で優位に立った企業に対して後発企業が仕掛けるのが通例だ。しかしアマゾンは、「先制価格戦争」あるは「予防的価格戦争」を仕掛ける。新事業のスタートの際に意識的に赤字覚悟の料金を設定する(ちなみに、その時点で競争相手は存在しないから被害を受ける相手もいないので反トラスト法が定める不正競争行為に該当しようがない)。

—(以上、引用)—

 

おそらくアマゾンは小規模の収益化は捨ててひたすら規模の拡大に邁進し、将来、圧倒的なシェアを背景に、本よりもはるかに網羅性が高く、質の高い消費者データを把握していることでしょう。

このようなデータをどのように活用し、アマゾンはどのような新しいビジネスを生み出すのか?

注目したいところです。

倉重英樹著「シグマクシス経営論Z」…平易な言葉で書かれた経営書ですが、実は深い問いかけをする本です

日本IBMの大先輩である倉重英樹さんが書かれた「シグマクシス経営論Z」を読了しました。

本書は、創業5周年で2013年12月18日に上場を達成したコンサルティング会社「シグマクシス」を創業した倉重さんが語る経営書です。

 

この本は、とても平易な言葉で、やさしく、かつ読みやすく書かれています。

しかし一方で、実は怖い本です。

熟練経営者として多くの実績をあげられた倉重さんならではの深い洞察に基づいて書かれています。

誰にでもわかる平易な言葉から何を掴み取るのか、読者に深い問いかけを投げかけてくる本でもあります。

 

いくつか引用します。

—(以下、p.41から引用)—-

 では、ビジネスのスピードは一体どこで決まるのでしょう。3つあります。「意志決定(デシジョン)のスピード」、「コミュニケーションのスピード」、そして「プロセスのスピード」です。

—(以上、引用)—-

さらに倉重さんは「100点の答案は作るの大変だし実行するのはもっと大変。60点でもいいので、方向性をしぼり、現実的な目標やハードルを設定し、まずは組織を動かしてみる方がいい」(p.44-45)とおっしゃっています。

私が「100円のコーラを1000円で売る方法2」で書いた、「網羅思考から論点思考」「三カ月の完璧な企画よりも、半日の仮説検証」を、「100点満点よりも、60点」というように、よりわかりやすい言葉で述べておられます。

 

—(以下、p.80から引用)—

 このようにスピード重視で動かしていく時、私たちが大切にしているのが「PoV (Point of View) = シグマクシスの視点」です。これは様々なテーマにおいて、①世の中の変化、②それによってもたらされるであろう経営課題、③その解決策の3点セットです。一言で言えば、私たちなりの「仮題」です。

…クライアント企業を取り巻く環境を一通り理解すれば、「このあたりが課題なのではないか」ということはおおよそいくつか思い浮かびます。そこで私たちのPoVの中からこれはご興味あるだろうというものを選んで、経営者の方にお話しします。

—(以上、引用)—-

PoVは、倉重さんが代表を務めておられたPwC Consulting Japan時代からあった考え方です。

2002年にIBMがPwC Consultingを買収した際、IBMもPwC ConsultingからPoVを学びました。そして私も日本IBM在職中は、ソリューションマーケティングを展開するために、コンサルティンググループが実践していたPoVについて学びました。

現在「オフィス永井」でお客様にご提供している個別研修も、このPoVの考え方を応用し、お客様と議論を深めるスタイルで進めています。その意味では、倉重さんのこの考え方を間接的に受け継いできたのだな、と実感します。

 

—(以下、p.117から引用)—-

…この考え方の背景に横たわっているのは、「人財は教育ではなく学習で成長する」という考え方です。

….「あれを勉強しろ」「この研修を受けろ」と組織から社員に求めるのではなく、成長したい、という社員の意欲を支援していくプログラムと環境を追求するのが、経営者の仕事だと考えています。

—(以上、引用)—

ともすると人材育成責任者は、「全員必須研修」として全員が研修を受けたかを厳しくチェックすることもあります。確かにコンプライアンス関連などでは、このタイプの研修も必要な場合があります。しかしすべての研修に、このスタイルが有効なわけではありません。

倉重さんがおっしゃるように、人は自ら成長したいと思って学ぶときが、一番成長します。

その意味では、研修は、深い人間洞察を必要としているのでしょう。

私もお客様にワークショップをご提案する際には、ノミネーション制ではなく、「是非参加したい」という希望者を募る形式をお勧めしています。

 

—(以下、p.154から引用)—

トップクラスの営業マンに共通するのは、2つのことです。まず一つはお客様のことを徹底的に知ろうとしています。….優秀な営業マンは相手とものすごく親しくなる。…緊密なリレーションができていれば、何か問題があった時は、「彼に頼めばなんとかしてくれるかな」と思ってくれるからです。…

もう一つ、彼らがやっているのは、仮説提案をひたすら相手にぶつけていることです。…仮説ですから100点満点の説でなくてもいいわけです。「私はこう思っています」というものを明確にして、それを持っていくと相手の反応で、「あ、今のは外したな」とか「これは当たった」とか感触が分かります。それを繰り返すことで、相手の本質的な課題を探っていく。優秀な連中ほど、この繰り返しを嫌がらない。

—(以上、引用)—

これも日々実践していきたいことですね。

 

私が日本IBMに新卒入社した1984年、倉重さんは私の所属部門の統括本部長でした。22歳の私にとっては、まさに雲の上の人。当時倉重さんは41歳。若き幹部候補生の筆頭でした

1993年に日本IBMを退職されるまでの9年間、私は倉重さんとお話しする機会はありませんでした。

昨年暮れに倉重さんが代表を務められる日本IBM OB/OG会があり、同じIBM卒業生である大里真理子さんのご仲介で、初めて倉重さんとお話しする機会をいただきました。

大里さんが「永井さん、本を出しているんですよ」と紹介されたところ、倉重さんは「おお、是非読みたいな」。後日、本をお送りしたところ、メールでご丁寧な御礼をいただきました。

倉重さんの部下になった人たちが、倉重さんを慕う理由がよくわかる気がします。

 

この本、折に触れて、読み返したいと思います。

北電技術コンサルタント様で講演いたしました

昨日、富山の北電技術コンサルタント様で、「改めて顧客中心主義について考えよう」と題して、講演+ワークショップを行いました。

前日の夕方は都内で仕事だったので、東京駅近くのホテルに宿泊。

早朝、ホテルから徒歩8分で東京駅に到着。都内に泊まると、さすがに近いですね

先日ブログでご著書を紹介した川島良彰さんから紹介いただいた、東京駅グランスタにあるDrip Maniaで、朝一番のコーヒーをゲット。サン・セバスチャン・ブルボン・ナチュラルというコーヒーでした。

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Drip Maniaは一杯ずつ注文の度にドリップで入れてくれます。コーヒーハンターの川島さんがオススメするだけあって、「いつまでも飲んでいたいなぁ」と思えるような極上の味。JR東日本が展開している店です。

早朝から素晴らしく美味しいコーヒーをいただけるのは有り難いですね。

上越新幹線で、乗り継ぎの越後湯沢を目指します。

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越後湯沢には1時間で到着。乗り継ぎの電車を待つ間、雪です。東京よりもかなり寒いです。まぁ、スキーの観光地ですからね。

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日本海沿岸を走って、富山に到着。雪は降っておらず気温も東京と同じ程度でした。

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東京駅から乗り継ぎで3時間半以上かかりましたが、来年北陸新幹線が富山まで伸びれば、東京から富山まで2時間10分で行けるそうです。

 

タクシーで20分乗り、正午前に会場に到着。

北電技術コンサルタント様の松田社長、中村部長、田知部長と昼食をいただきました。

北電技術コンサルタント様は北陸電力様の100%子会社。社会インフラのコンサルティングを担う専門技術集団です。

松田様は1年半前に北陸電力から北電技術コンサルタント社長に着任されました。

「電力会社は会計帳簿上、固定資産を莫大に持っている。しかしこの会社は固定資産がほとんどない。電力会社はいかに社会インフラとして確実に設備を稼働し続けるかが肝心。一方でコンサルティングは社員個人個人が商品そのもの。着任して、これまでとは、まったく畑違いのビジネスだと実感した」とおっしゃっていたのが、私にとって新鮮でした。

確かにコンサルティング会社の経営資産は人財であり、人財が商品そのもの。しかし会計帳簿上では資産になりません。ビジネス形態としては、親会社である電力会社とはまったく異なるのですね。

ですので、いかに人財の価値を上げていくのか、ということに細かく配慮をなさっておられました。

今回の講演も、その一環で企画されたものでした。

松田様は昨年出版した「『戦略力』が身につく方法」(PHPビジネス新書)をお読みになり、「この本の内容を全社員に伝えたい」とお考えになって、今回の講演にお招きをいただきました。

「会社をこうしたい」という強い気持ちとリーダーシップをお持ちの方でした。

 

オープニングで、松田社長にお話しをいただきました。

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今回は、120名もの方々がご参加。

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講演40分 + ワークショップ60分 + フォローアップ講演20分 + 質疑応答、という内容でした。

いつものワークショップ結果発表の様子です。今回のワークショップでは5人1チームで24チームに分けて25分間議論をいただき、4チームの方々に発表をいただきました。

各チームの代表が口頭で発表されたを、私がホワイトボードに書き取っている様子です。

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「ウチの社員は、徹底的に仕事を頑張るのが誇り」と松田社長がおっしゃる通り、皆様真剣に参加されました。

このような講演の機会をいただき、本当に有り難いですね。

 

講演終了後、17:00前の富山駅発の電車に乗り、越後湯沢経由でとんぼ帰りです。新幹線が通れば、もう少し余裕を持って移動できるのでしょうね。

越後湯沢では、夜のスキー場が見えました。スキー帰りと思われる女性客が数人、乗ってきました。そう言えばスキーシーズンなのですね。

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昨年7月の独立後、名古屋、神戸、兵庫県小野市、島根県浜田市、富山と、日本の各地からお招きをいただいています。

出張する度に、色々な発見や出会いがあります。

ありがたいですね。

「オフィス永井」のロゴが完成。クラウドソーシングの威力を実感

先日当ブログでご紹介した、オフィス永井のロゴが完成しました。Lancersによるクラウドソーソングでお願いしたものです。

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訴求力があり、かつできるだけシンプルにわかりやすいことを重視し、色はモノクロ単色。さらに、いつもの背景黒のパワーポイントでも使えるように、背景白と背景黒の2バージョンを作成いただきました。

一時期、自分でロゴを作ろうと試行錯誤をしたこともあるのですが、自力ではとてもこのようなデザインは作れません。

素晴らしい仕上がりで、とても満足しております。

 

早速、ホームページにもロゴを掲載しました。

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今回のロゴ作成には、19名の方々から、24案ものをご提案をいただきました。ご提案下さった皆様には、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

 

「料金の安さ」に注目が集まり勝ちなクラウドソーシングではありますが、個人的には、発注にまつわる手間を大幅に簡略化していることが素晴らしいと思います。

これまでこのような作業を発注しようとすると、業者選定、見積もり依頼、発注、メールや電話での作業進捗のやり取り、請求書や納品書のやり取り、銀行振込など、けっこうな手間と時間がかかっていました。

しかしクラウドソーシングを使うと、やりたいことさえ明確であれば、提案依頼の作成はウェブ上で10分程度でできますし、選定、修正依頼、納品、決済もとてもシンプルです。

また、クオリティが高い方とのマッチングも可能になります。

限られた時間を、本当に価値を生み出す作業に集中できることは、大変有り難いことですね。

これからも折を見て、クラウドソーシングを活用していきたいと思います。

 

2014-01-28 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

機密情報保護のために、シュレッダーを購入しました

昨年7月に独立してからの仕事は、著作、講演、研修の3本柱で進めています。

このうち講演と研修は、お客様のほとんどが企業様です。

これまでは、お客様の課題をうかがって、それにお応えするように講演や研修内容をカスタマイズするケースが大半でした。

最近、新しいタイプが増えてきました。

お客様のトップからお声がけをいただき、お客様の社内業務変革プロジェクトに参画し、プロジェクトメンバーの皆様とあるべき姿をともに議論した上で準備を重ね、より範囲を広げた社内関係者に向けて「顧客中心主義とは何か?」「本来当社の強みを必要としている顧客は誰か」「当社は何を変えなければならないか」を、講演とワークショップでご提供する、というタイプです。

 

このようなタイプでは、最初にお客様と機密保持契約書を締結した上で、プロジェクトに入ります。そして社内資料をいただき、詳細な資料をもとに議論を重ねていく形になります。

通常の講演とは異なり、機密情報を預かる責任が伴ってくるわけですね。

 

当然ながら、パソコン上のお客様の情報は、しっかり管理する必要があります。

セキュリティソフトは言うまでもなく、Mac上のSSDもFileVaultで暗号化したり、パスワードも英数大文字小文字混在の10ケタ以上のものを使います。

さらに念のために、お客様の機密情報は、クラウド上に載せるデータとは別管理。載せる場合はファイル単位でパスワード保護をかけます。

 

一方で、不要になったお客様の機密書類の廃棄も大切です。これまでお客様の情報を廃棄することはなかったのですが、仕事が進んでくると、廃棄すべき書類も出てきます。

そこでシュレッダーを購入しました。

最近のシュレッダーは意外と安価です。私が購入したのが「フェローズ プロフェッショナルシュレッダー M-450Cs-」という機種。定価4万円でしたが、アマゾンで13,900円。注文した翌日に届きました。

 

この機種は、紙を2×8mmに裁断してくれます。A4だと3000片以上になります。こんな感じ。

Photo_2 

家庭用シュレッダーだと、ここまで細かくならないタイプも多いようです。

紙も7枚まで入れられます。さらにCDやDVDも裁断可能。

Photo_4

  

音も意外と静かです。

考えてみれば、本を執筆する際は何回も原稿を書き直すのですが、書き直した原稿は出版前は厳重に保管していました。

本来はシュレッダーがあれば、廃棄して書類を整理できたわけで、もともとシュレッダーは必要だったのですね。

活用していきたいと思います。

2014-01-25 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

クラウドソーシングで、「オフィス永井」のロゴを発注中

クラウドソーシングを使ってみようと考え、一昨日の夜、Lancersで「オフィス永井」のロゴを発注してみました。

発注はとても簡単。他の発注案件も参考にしながら作ってみました。発注依頼内容はこちら

募集は1週間でセットしたので、締切は2014/1/28 21:00にセットしています。

 

1日半が経過し、ありがたいことに、2014/1/23 8:00AM時点で6件の方々に応募いただいています。→最新の提案一覧

どれも力作揃い。投票もできるようです。(Lancersへのユーザー登録が必要のようですね)

 

こちらこちらに書きましたように、3年前にグローバルのクラウドソーシングに発注したことがありました。この時は30ドルで高品質の仕事をセルビアの方にお願いできました。

今回のロゴ作成は日本語ロゴなので、日本のクラウドソーシングを使ってみた次第です。金額は2万円。どのような作品が集まるか、楽しみです。

 

もしうまくいったら、今後はパンフレット作成などでも活用していきたいと思います。

 

2014-01-23 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

「スターバックス再生物語」…「第3の場所」再生を実現した原動力は、情熱と、絆だった

「スターバックス再生物語」を読んでいます。本書は2011年の出版なので、もう3年前の本です。

タイトルや装丁を見ると、「スターバックス成功物語」の続編的な位置づけの本に見えます。実際に中身も、創業者であるハワード・シュルツ自身が書いた「『成功物語』のその後の苦難と再生」がテーマです。

しかし原書である英語のタイトルは、「成功物語」が”Pour Your Heart Into It” (情熱を注ぎ込め)であるのに対して、「再生物語」は”Onward” (未来へ)。

別の本なのですね。

 

物語は2008年2月、大成功したスターバックスが、自らの良さを失い低迷を始め、全米の店舗を半日休業して、135,000人のバリスタ全員を一斉に再研修をするところから始まります。

実際、スターバックス本社の2008年Annual Reportを見ると、当時のビジネスはこのような状況でした。

          2007年  2008年
店舗数       15,011  16,680
売上        9.4B$  10.4B$
営業利益     1,054M$   504M$
売上営業利益率   11.2%   4.9%
店舗売上(対前年)    5%    -3%
純利益       673M$   315M$
株主資本利益率    29%    13%

グラフにするとこんな感じです。

Starbucks2008ar  

売上は順調に伸びていますが、利益率は急落。一方で店舗当たりの売上の伸びはジワジワ下がり、ついにマイナス。

この数字だけを見ると、こう考え勝ちなのではないでしょうか?

「確かに利益は落ち始めているけど、売上は伸びている。この勢いを保持して、利益率を上げて店舗当たりの成長率を回復するために、無駄を省いて効率化を徹底しよう」

しかし実際はまったく逆でした。

無駄を省き、効率性を追求し、成長を追い求めた結果が、こうなったのです。

 

創業者のハワードがCEOを退任し、二人のCEOを経て、スターバックスでは「売上成長至上主義」が蔓延していました。

スターバックスの良さが急速に失われ、顧客が徐々に離れていた結果が、ついに数字に表れ始めたのです。

たとえば、それまでバリスタは徹底的に教育されて店舗に出ていたのが、店舗急拡大で人材育成が追いつかず、テキストを渡され自習しただけで、店舗に出るようになりました。

また、効率性の追求で店舗デザインは簡略化されてしまいました。

それまでコーヒー豆は店舗で挽いていたのが、効率化のために工場で挽いて真空パックされ店舗に届けられました。味は落ちてしまいます。

売上拡大のため、様々な商品が投入されました。その一つがブレックファスト・サンドイッチ。暖めることでチーズが溶けて強い香りが店内に流れ、店内のかぐわしいコーヒーの香りを消し去ってしまいました。「第3の場所」の魅力が半減です。

これらが積み重なった結果、2007年のコンシューマレポートで行われたコーヒーの味テストで、不名誉なことに、マクドナルドの「マックカフェ」よりも低評価になってしまいました。厳選したコーヒー豆を焙煎するコーヒー専業のスターバックスが、ファストフード店に味で負けるということ自体、スターバックスにとって大きな屈辱でした。(p.112)

自宅と職場の間にある「第3の場所」としてのスターバックスは、急速にその魅力を失っていたのです。
 

ハワードは色々と悩んだ末にCEO復帰を決意。2008年1月にCEOに再び就任します。その際に、このように考えました。(p.76)

・「原点回帰」をしなければならないが、スタバの歴史を守るのではない。改革や革新の気風に結びつける。

・過去の間違いは責めない。

・戦略や戦術では混乱は乗り切れない。必要なのは情熱だ。

そして、下記方針を決めました。(p.90-91)

【即座に実行すること】
・米国店舗ビジネスの現状改善
・お客様との感情の絆を取り戻す
・ビジネス基盤の長期的改革をすぐに開始する

【手を付けないこと】
・コーヒーの品質 (豆自体の品質はよかったのです)
・従業員の健康保険 (米国では健康保険は未整備)

そして2008年前半、「変革に向けたアジェンダ」(=すべてのパートナーがやるべきこと)と「新たなミッションステートメント」(=スターバックスの存在理由)を定めました。この二つが改革の柱になりました。

「変革に向けたアジェンダ」(p.139-141より)

わたしたちが望むもの 魂を刺激し、育む企業として知られ、世界で最も認められ、尊敬されるブランドを有する優れた企業であり続ける

七つの大きな取り組み

1.コーヒーの権威としての地位を揺るぎないものにする
2.パートナーとの絆を確立し、彼らに刺激を与える
3.お客様との心の絆を取り戻す
4.海外市場でのシェアを拡大する。各店舗はそれぞれの地域社会の中心になる
5.コーヒー豆の倫理的調達や環境保全活動に率先して取り組む
6.スターバックスのコーヒーにふさわしい創造性に富んだ成長を達成するための基盤をつくる
7.持続可能な経済モデルを提供する

 

ミッションステートメント (p.147-149より …一部文章を短縮化)

スターバックスの使命———人々の心を豊かで活力のあるものにするために———ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そして一つのコミュニティから。

・わたしたちのコーヒー——常に最高級の品質を追求
・わたしたちのパートナー——一人一人が輝き働きやすい環境。お互いに尊敬と威厳をもって接する
・わたしたちのお客様——感動体験。完璧なコーヒーの提供はもちろん、人と人とのつながりを大切に
・わたしたちの店——くつろぎの空間
・わたしたちのコミュニティ——コミュニティの一員としての責任と、日々の貢献
・わたしたちの株主——すべての人々の繁栄

 

この4年後の2012年のAnnual Reportからは、スターバックスは2008-2009年の店舗閉鎖、人員解雇、売上/利益減といった大きな苦痛を乗り越えて、再び力強い成長を取り戻していることがわかります。

Starbucks2012ar_2  

しかしこれらの数字も、「第3の場所」を再生し、「人々の心を豊かで活力のあるものにする」という使命に向かって動いた結果に過ぎないこともまた、認識すべきでしょう。 

また、世界で現在展開している新型店舗も実におしゃれで、まさに「第3の場所」といった趣きです。

Starbucksnewstore_2(2013/11/19の”Starbucks at Morgan Stanley Global Consumer Conference Presentation”資料より)
 

こんな店なら、いいコーヒーを飲みながら、ずっと時を過ごしていたいですよね。

先日入ったスターバックス・銀座マロニエ通り店の2Fも、このような感じに改装されていました。

 

実際に2012年のAnnual Reportによると、2012年は全世界で、1,063の新店舗を出店する一方で、2,025の既存店舗をリノベーションしています。(全世界のスターバックス店舗数は18,066)

 

なぜ創業者のハワードは、このような変革ができたのでしょうか?そのことを語っている一文があります。

—(以下、p.57から引用)—

創業者の強みは、会社の基盤となるブロックの一つひとつを知っていることだ。会社を活気づけるのはなにか、そのためにはどうすればいいかがわかっている。その知識が、その歴史が、成功のために必要な情熱を呼び起こし、なにが正しくて、なにが間違っているかを判断する直感につながる。

—(以上、引用)—-

「株主至上主義」「数字至上主義」と言われがちな米国企業ですが、情熱と絆の大切さは、実はどこの国でも同じなのだ、ということを実感できた本でした。

現在の企業変革の事例として、ご一読をお勧めします。

 



2014年を迎えて、本年の抱負

あけましておめでとうございます。1月1日生まれの私にとって、本日は52歳の誕生日でもあります。

 

昨年7月にオフィス永井を設立し、半年間やってまいりました。おかげさまで講演・研修・記事執筆のご依頼もいただき、なんとか軌道に乗せることができました。

2年目を迎える今年は、活動をより進化させていきたいと思っております。

具体的には、

1.新しい本を出版する

「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズは、昨年6月に第3巻目を出版して、ひとまず完了しました。

大変有り難いことに、多くの方々が読んで下さいました。

今年はコーラシリーズに続く新たな本を上梓したいと考えています。

 

2.クライアント企業様の経営変革ご支援を拡大していく

とても有り難いことに、拙著「100円のコーラを1000円で売る方法」「戦略力が身につく方法」をお読みになり、「まさに当社が抱える問題と、その解決方法が描かれている。当社の経営変革に役立てたい」と共感された社長/CEOの皆様から、お声がけをいただくことが増えてきました。

そして実際に詳しいお話を伺いながら、お客様の課題に合わせて講演・研修を作り直してご提供したり、経営変革支援をする機会をいただくようになりました。

今年、このような形でのクライアント企業様ご支援をさらに強化していきたいと考えております。

 

この両者の相乗効果によって、より質の高い価値を創り出して、読者とクライアント企業双方の皆様にお届けしていきたいと考えています。

 

「50代」という自分にとって一番仕事力を発揮できる脂が乗った時期に、自分の限られた時間をこの二つの仕事に集中出来るようになったことが、独立して得られた一番大きなものです。

今年、このような機会をいただけることに感謝です。

 

今年もよろしくお願いいたします。

 

2014-01-01 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

川島良彰著「私はコーヒーで世界を変えることにした」…今日からの仕事に、元気がもらえます

川島良彰著「私はコーヒーで世界を変えることにした」を読了しました。

川島さんは「コーヒー界のインディージョーンズ」と言われるコーヒーハンター。

1956年、静岡県にあるコーヒー焙煎卸業の店に生まれ、コーヒーの香りとともに育ち、子どもの頃から「中南米でコーヒーの仕事をしたい」という強い想いを持って高校卒業後、エルサルバドルに留学しコーヒーを学び、様々なことを経験されます。

エルサルバドルの内戦中も残ってコーヒーの研究を続けていましたが、内戦が激化してやむを得ず一時期米国・ロサンゼルスに滞在中、UCC上島珈琲の創業者・上島忠雄氏に直々にスカウトされUCC上島珈琲に入社。当時25歳。

上島忠雄氏の「海外にコーヒー農園を持つ」という生涯の夢を託され、ジャマイカでゼロから農園を立ち上げます。

その後も、ハワイ、インドネシア等でコーヒー農園を次々と開発。

さらに「絶滅した」と言われるコーヒー種をマダガスカル島で発見、「コーヒーハンター」と呼ばれるようになります。

51歳でUCC上島珈琲を退職。

今は会社を創業し、コーヒーで世界を変えるために、様々な活動をなさっています。

 

私たちが何気なく毎日飲んでいるコーヒーは、実は南北問題を象徴する商品です。

世界トップ10の生産国は発展途上国ですが、一方で世界トップ10の消費国のうちブラジル・エチオピア以外は全て自国で生産できない先進工業国です。そしてトップ10消費国のうち、アジアでは唯一日本が入っています。

このようなコーヒーの世界で、本書にも書いているように、川島さんは、気候・人種・宗教・文化・言葉がまったく異なる様々な国でのコーヒー農園開発を通じて生産国の現状を知り、コーヒー栽培の知識があり、コーヒー屋で生まれてコーヒーを感覚的に理解し、さらに消費国の事情にも精通している、世界でおそらく唯一のコーヒー屋です。

このような仕事をなさってきた川島さんの生き方に感銘を受けると同時に、川島さんを社員として26年間守り、育ててきたUCC上島珈琲の度量の深さも、凄いと思いました。

「現代の日本にも、こんなスケールが大きい日本人がいたんだ!」というのが率直な感想でした。

コーヒー好きでない方も、本書を読むと、とても元気が出てくると同時に、仕事とは何かを深く考えるきっかけを得られると思います。

そしてもしかすると、読み終わるとコーヒーのことが好きになっているかもしれません。(笑)

 

 

情報インフラが1年前と比べてかなり強化されました

今年は独立することを念頭に年初から情報インフラ系を強化しました。

目的は、より簡単に情報入手できるようにし、さらにデータ保全性を高めてリスクをできる限り下げることです。

当たり前のことですがデータが消えると業務が停止し、お客様に多大なご迷惑をおかけすることになります。自分自身もかなり大変なストレスに晒されてしまいます。ある程度のコストをかけたデータ保全対策が必要でした。

とは言え、7月に独立して9月までの3ヶ月間は、新しい本を執筆したり、講演活動を軌道に乗せたり、会社を立ち上げたりで、最低限の対策しかできませんでした。10月以降は時間を見つけて様々な対策を講じることができました。

この結果、1年前と比較すると、こんな感じで変わりました。

■屋外でのPC接続手段
昨年まで:ワイヤレスゲート(無線LAN) + UQ (Wifi)
今年:さらにiPhone 5でのテザリングを追加。どこでも大抵は繋がるようになりました

■データのバックアップ
昨年まで:TimeCapsule (2011年導入。不具合多発)
今年:TimeCapsuleを最新版に変更

■データ多重化
昨年まで:対策なし
今年:Dropboxを使用開始。多重化を図りました

■パソコン多重化
昨年まで:Macbook Air (MBA 13)一台のみ
今年:Macbook Pro (MBP13)に変更。Dropbox経由で家族のMBA 13とデータ同期。さらにバックアップで一昨年に購入したMBA 11に同じ環境を構築

■データ取り込み
昨年まで:対策なし
今年:Scansnap iX500導入。紙の書類を大幅削減し、どこでも見られるように変更

■プリンターとスキャナー
昨年まで:Satera MF 4120使用。大量印刷・コピーは苦手。スキャナーはMac非対応
今年:Satera MF 6780dwに変更。印刷・コピーは業務用並に高速化。Mac環境でスキャナーも対応

■Webサイト
昨年まで:オフィシャルサイトを持っていたものの手を抜いていました。モバイルにも非対応
今年:「オフィス永井」設立に伴い、HBP17で新規作成。モバイルにも対応

■情報入手手段
昨年まで:主に無償のメディア系ポータルやメルマガ中心
今年:日経電子版に加入

■その他:iPhoneで下記作業を行っています

講演の動画撮影(リハーサルと本番反省用)、名刺管理(World Card)、スケジュール管理(Google Calendar + Week Cal)

 

昨年同時期と比べるとややコストがかかるようになりましたが、データバックアップ・多重化や機器の冗長化により、データ保全性はかなり高まりました。

また、より質の良い情報を簡単に入手し活用しやすい環境を作ることで、仕事の生産性も高まっています。そして仕事がサクサク進められるようになると、同時に発想力も高まるようにも感じています。

日経電子版やKindleも使い始めましたし、電車での移動も多いので、できれば年内にiPad miniも導入したいと思っています。

 

それにしても、個人でもこれだけの環境を比較的安価に構築できる時代なのですね。基本的な情報インフラ構築の面だけを考えても、起業の壁はとても低くなっていると実感します。
 

 

日経電子版に加入。重宝しそうです

遅ればせながら、日経電子版に加入しました。

自宅で日本経済新聞を購読していたので、月1000円の追加で済みました。→案内

加入は意外と簡単でウェブ上で全て完了できます。住所を入力し、クレジットカード番号を入れれば、すぐに使えます。自宅で購読している日経とは、住所でリンクさせるのですね。

 

使い始めて1週間ですが、意外と重宝しています。

有料会員限定記事は、なかなか面白い記事が多いですね。

また新しいビジネス書の構想を考えているのですが、実際の企業事例や、業績を調べる際に、過去5年間の新聞記事をすぐに検索できるのはとても便利です。記事は印刷できますし、タグを付けて保管もできるので、あとで見返すことも簡単。資料を調べる際に、手間と時間を大幅に削減できる上に、より深く調べることができます。

但し月26件目以降は、記事1件あたり175円の費用がかかるので注意。より多くの記事が読めると、有り難いですね。日経テレコンの料金と比較すると、絶妙な価格付けです。

新しいニュースはメールでも通知されます。

 

私は主にMacBookで読んでいますが、これなら電車の中などでiPadで電車で読むのもいいなぁ、と思いました。

ということで、これまでまったく考えていなかったiPad購入も検討開始しています。

  

2013年の振り返り(3): 今年は講演を31回実施、のべ2,000名以上に参加いただきました。有り難うございました

2013年は、これまでで一番多くの講演を行いました。

合計31回実施。

のべ2,000名以上の皆様に参加いただきました。

これだけ沢山の皆様が、私の講演に貴重なお時間を預けて下さったわけで、大変有り難いことです。

 

数字で把握するために、まとめてみました。

■総合満足度(NSI*): 87.8
(全31回中、アンケート実施分19回の平均値)

* NSI: Net Satisfaction Indexの略。アンケートの5段階評価で、「とてもいい」=100点、「いい」=75点、「まあまあ」=50点、「よくない」=25点、「とてもよくない」=0点に換算し、加重平均を取ったスコア。講演の顧客満足度を把握するために使用します

講演では、主催者様にお願いして、できる限りアンケートを採るようにしています。

通常のセミナーでは「NSI 75以上で合格」と言われます。しかし私は参加される方が心から満足いただく目安として、毎回、NSI 90を超えることを目指しています。

このために、事前に参加者の課題を把握して毎回資料を作りかえ、講演前はリハーサルを動画で録ってチェックしています。

しかしながらアンケートを採った19回の講演のうち、11回はNSI 90をクリアしたものの、残念ながら90以下が8回ありました。

これら8回について、本番講演の動画をチェックしたりアンケートでいただいた意見を見ながら振り返ると、下記が原因になっていました。

・参加された一部の方との期待値と講演内容にギャップがあった

・講演での説明内容に改善の余地があった

・ある講演で講演時間がオーバーしてしまった

・ご質問への回答が不十分だった(疲労などにより)

毎回振り返り、日々、講演品質の改善を図るようにしています。

先日の講演では、念願のNSI 100(参加者20名)を実現できました。なんとか続けていきたいですね。
 

■実施時期別:1−3月:5回、4−6月:4回、7−9月:12回、10−12月:10回

やはり7月の独立後、実施回数が急増しています。特に9月と10月に多くの講演を行いました。

このうち半分強が「永井孝尚オフィシャルサイト」経由でのご依頼です。やはりオフィシャルサイトを整備することは大切ですね。

 

■実施テーマ別

・「改めて顧客中心主義について考えよう」 24回
・「ビジネスパーソンの出版戦略」 6回
・「グローバルコミュニケーション」 1回

「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズを読んだ方々からのご依頼もあり、有り難いことにマーケティング関連がダントツに多いですね。

一方で、「ビジネスパーソンの出版戦略」やグローバルコミュニケーションも増やしていきたいところです。

 

上記講演以外にも、研修・ワークショップ・大学院での講義などもありました。これらも併せると、2013年は皆さまの前で1時間以上お話しする機会が50回以上あったことになります。

振り返れば、若い頃の自分は人前で話をするのが大の苦手。トラウマもありました。

当時の私を知る方々は、私がこのような仕事をしていること自体、想像も出来ないことかもしれません。

しかし講演や研修は、皆様のかけがえのない人生の時間をお預かりする、大切な仕事です。

これからも日々反省し、より高い価値をご提供できるように、精進していきたいと思います。

 

そもそも「オフィス永井」で何をやろうとしていたのか、整理してみました

7月1日に独立して「オフィス永井」を設立。当初から「著作」「研修」「講演」の3本柱で活動しようと考えていました。

その後、5ヶ月間余り活動してきて、色々と学ぶことができました。

「ここで一度、どんな価値をご提供しているのか、整理をしてみよう」と思って、昨日こんな絵を描いてみました。

Officenagai 

以前より、「日本企業の競争力の向上」にささやかながらも貢献したいと考えてきました。

日本は世界で一番の「顧客志向」の国であり、さらに現場の人たちの当事者能力(=現場力)もダントツです。

しかし「失われた20年」という言葉があるように、この強みが充分に活かし切れていません。

「顧客志向」は顧客の言いなりになる「顧客絶対主義」に陥り、「現場力」は戦略なき迷走に陥っているのが現実です。

これを打開するためには、一見遠回りではありますが、ビジネスパーソン一人一人のさらなる成長が必要です。

独立する前から「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズをはじめ、本を何冊か書いたのも、そのような想いがあったためでした。

 

では、「オフィス永井」として何が出来るのか?

以前より当ブログで「ビジネススキル」について書いてきましたし、昨年初めからは日本IBMでソフトウェア事業の人材開発責任者として1年半仕事をしてきました。

さらに独立してからは企業様での講演や研修も行ってきました。

スキル開発の視点で考えてみると、日本のビジネスパーソンのスキル重点強化分野は、下記3つだと考えています。

・戦略構築力
・仮説検証+実行力
・コミュニケーション力(プレゼンやグローバルコミュニケーション等)

ビジネスパーソンの成長をご支援することが、企業の競争力強化にも繋がると思います。

そこでこれらのスキルについて、一般読者様には著作で、クライアント企業様には研修と講演(企業向けサービス)で、それぞれご提供していくことが、現在「オフィス永井」で取り組んでいることです。

「経営変革の一環で人材育成したい」と考えている企業のリーダー(経営者、マネージャー)、および「ビジネスパーソンとして活躍したい」とお考えの読者様に対して、長年ビジネスの現場で学んだ経験を基本に、様々な理論に当てはめて、現場のビジネスパーソンがわかりやすく納得でき、かつすぐに活用いただける形でご提供できることが、「オフィス永井」のバリュープロポジションです。

  

「永井孝尚オフィシャルサイト」のトップページにも、この絵を掲載しました。

この図も、今後見直していきたいと思います。

 

ところで、現時点で「永井孝尚オフィシャルサイト」(takahisanagai.com)=「オフィス永井のサイト」になっています。

実際にはオフィス永井の活動はもっと幅広いですし、実はtakahisanagai.co.jpという日本企業用ドメインも取得済です。

どこかのタイミングで「オフィス永井」のサイトも立ち上げたいと考えています。

  

日本IBM様主催、SOAパートナー・コミュニティーで講演 (@天城ホームステッド)

日本IBM様は、伊豆に天城ホームステッドというエグゼクティブ向けの研修施設を持っておられます。

12月6日から7日にかけて、この天城ホームステッドにて、日本IBMソフトウェア事業部様の主催でSOAパートナー・コミュニティー (SPC)の理事会が行われ、2時間の講演とワークショップを行いました。

SOAパートナー・コミュニティー (SPC)とは、SOA(サービス指向アーキテクチャー。詳しくは→リンク)という技術を活用したITソリューションの活用・普及を目的に、日本IBM様が2009年に設立したコミュニティです。

現在の会員企業数は89社。天城での理事会は今回で6回目だそうです。

技術の波が激しいIT業界で、このように継続しているのは素晴らしいですね。

 

天城ホームステッドは、JR伊東駅から車で40分ほど山奥に入った場所にあります。途中の山道で、野生の鹿に遭遇することもよくあります。

ちなみに天城ホームステッドの入り口はこんな感じ。

Img_2675 

実は、私が天城で講演するのは、今年で3回目です。

1回目は日本IBMを退職する直前の6月末で、ある大手電機会社様IT部門の天城研修会。この時は日本IBM社員の立場で、業務の一環として講演しました。

2回目は独立後の10月、日本オフィスシステム様のパートナー会。(その時の様子→リンク)

3回目が今回のセミナー。

IBM退職後に、このようにお声がけをいただけるのは、有り難いことですね。

 

講演とワークショップは下記構成でした。

講演タイトル:改めて顧客中心主義について考えよう

・顧客中心主義の戦略思考 (講演40分)
・私たちの価値は何か? (ワークショップ60分)
・仮説思考と実行力 (講演20分)

Spc201312060 
今回の参加は、SOAパートナー・コミュニティー・メンバー企業様の19社26名様。

ワークショップでは5チームに分かれ、各チームで担当しているSOAソリューションの価値について議論、発表をいただきました。

普段のワークショップでは、時間の制約上、発表は1チームに限っています。

しかし今回はせっかくのSPC理事会であり、各社様の取り組みを共有するよい機会でもあります。そこでIBM様の強いご希望もあって、5チーム全てに発表いただきました。

発表と私からのコメントを含めて、1チーム5分間という短い時間でしたが、濃い時間をご一緒できたと思います。

Spc201312061  

この日は天城に宿泊。参加された皆様との懇親会がありました。

 

翌朝。天城ホームステッドの真正面に、富士がきれいに見えます。

Img_2670 
ちなみに天城ホームステッドの宿泊棟はこのような感じ。まさに一流ホテルのホスピタリティを持ったサービスを提供しておられます。

Img_2673 

12月7日(土)の朝、天城を出発して家路につきました。

日本IBM様をはじめ、参加された各社様と色々とお話しをさせていただき、私自身も大変勉強になりました。ありがとうございました。

 

Academyhills「bizメンバーインタビューシリーズ」で、インタビュー記事を紹介頂きました

こんな感じの記事です。リンクはこちら

Academihills  

当ブログで何回かご紹介している通り、今年4月に平河町ライブラリーに入会し、7月に独立して以来、仕事場にしています。

インタビュー記事でもご紹介頂いている通り、とても生産性が高いシェアード・オフィスです。自前でオフィスを構えるコストと手間を考えると、とても有り難いですね。

「好きな本の紹介も」ということで、当記事では4冊紹介させていただきました。どれも、私にとってとても勉強になった本です。

ご紹介下さったAcademyhillsの金藤さんには感謝申し上げます。

 

複合プリンターを切替えました:Satera MF 4120 → MF 6780dw

こんな感じになりました。(右が4年前に購入したCanon Satera MF 4120(粗大ゴミ収集予定)、左がこのたび新調したCanon Satera MF 6780dw)

Img_2587  

Img_2585

大きさの差は歴然です。MF 6780dwは、いかにも「オフィスで使う複合機」といった風情があります。

Img_2590 

これまでは、2009年に購入したCanonモノクロレーザー複合機であるSatera MF 4120を使っていました。

そして今年7月に独立し、会社を作ってから、自宅で印刷・コピーしたり、スキャナーを使うことが増えました。

MF 4120は安定していていいプリンターなのですが、最近は色々と問題が出てきました。

・2年前にPCをThinPadからMacBookに変えたものの、Mac用ドライバーがスキャナーに対応していないため、Macだとプリントしかできない。

・10枚程度の印刷であれば問題なく印刷できるが、数十枚以上になるとちょっと厳しい。大量印刷・大量コピーの場合は、Kinkos等のコピーサービスに頼らざるを得ない

そこでトナーも少なくなってきたので、このタイミングで切り替えることにしました。

 

下記が要件でした。

1.複合機(プリンター/スキャナー/コピー)で、モノクロのレーザープリンター

補足:私は写真がライフワークですが、写真はネット経由で写真専門店でプリントしているので、写真をプリンターでカラー出力することはありません。むしろ文章を印刷することの方が多いので、モノクロレーザープリンターが必要でした。

2.100枚以上を出力しても問題なく印刷できること

前述の理由です。

3.無線LAN対応であること

これまではUSB接続だったので、プリンターの場所まで移動して印刷していました。

4.重いと腰を痛めるので、あまり重すぎないこと

MF 4120だと12Kg程度なので持ち運びは楽なのですが、複合機はモノにより30Kgを超えたりします。自宅で場所を動かすこともあるので、20Kg程度のものが必要でした。ちなみにMF 6780dwのカラー版Satera MF8380Cdwは、30Kgを超えます。

5.できればA3までスキャンできると有り難いが、なくてもOK

A3までだと新聞記事も余裕でスキャンできるのですが、これは重さや価格との兼ね合いになります。A3をスキャンするケースは限られますし、場合によっては半分ずつスキャンすればイメージ編集で繋げられるので、優先順位を落としました

 

色々と検討した結果、MF 6780dw(2011年9月発売)を選びました。

実は新モデルのMF6880dw(2013年10月発売)も検討しました。

両モデルで目立つ違いは、解像度(600×600 dpi→1200×600 dpi)とスマホのダイレクト印刷機能。

これらは私にとってはあまり重要な機能ではありません。

その割には価格差が2万円あったので、MF 6780dwにしました。

 
これまで使ってきたMF4120と、新調したMF6780dwのスペックの違いは下記の通りです。

Mf6780dw

オフィス環境を考えた場合、プリンター、コピー、スキャナーはちゃんとしたモノを使いたいところなので、これで少し仕事もはかどりそうです。

アマゾンや価格.comでも高く評価されているように、いい製品です。

それにしても、このような複合機がアマゾンで5万円以下で購入できるというのは、便利な世の中です。

 

日本企業が核とすべきは製品か?技術か? 東レとシャープの事例からの学び

「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」(NHK取材班、宝島社)の感想の3回目です。

 

本書では、「技術にこだわるべきか?製品にこだわるべきか?」というテーマが書かれています。

結論から申し上げると、本書の答えは、

 企業にとって、核とすべきは技術であって、製品ではない

ということです。

 

Appleのように、製品の選択と集中で成功した企業のサクセスストーリーを聞いてきた私たちにとっては、意外なことかもしれません。

確かにAppleは、スティーブ・ジョブス復帰前までは膨大な製品群がありました。

そしてジョブス復帰後、製品群は絞り込まれ、新製品発表でもモデル数を限定、高度な戦略力と集中投資で高成長・高収益を実現してきました。

本書では、この『選択と集中』が出来るのはジョブスの構想力とプロデュース力に依っている、としています。

 

一方で本書では、製品ではなく、技術を核として多様な製品を生み出すことが、日本企業の成功パターンである、としています。

 

例えば、東レは1961年に炭素繊維の研究開発に着手。

製品として出来上がったのが10年後の1971年。

しかしその時点でも使い道は定まっていませんでした。当初から「旅客機の構造体に使えるかもしれない」というアイデアはありましたが、スペック的にはまだまだ。

そこで,「鉄の1/4の軽さで10倍の強度」という炭素繊維の特性を活かし、釣り竿やゴルフクラブに展開したところ大ヒット。

その技術が自動車に使われ、現在は当初のアイデアの通り航空機にも使われています。

本書では「深は新なり」という東レ・栗原フェローの言葉が紹介されています。「一つのことを深く追求していけば、新しい発見がある」ということです。

そのためには「超継続」が必要であり、失敗から学び続けることが求められます。

そして東レでは優秀な技術者を定年後も手放さず、「人財」として長く雇う人材戦略を取っています。

 

現在苦しんでいるシャープも、東レ同様、かつては液晶技術を核に、バッテリーが長時間稼働する液晶電卓、電子手帳ザウルス、液晶ビューカムといった多彩な製品群を生み出していました。

その後1998年、ブラウン管テレビ全盛の当時、「国内販売のテレビを2005年までに液晶に置き換える」という「液晶テレビ宣言」を行いました。

この大胆な「選択と集中戦略」は大当たりし、液晶テレビ普及で歴史的な役割を果たしました。

しかし結果として、全社経営資源も液晶テレビに集中投資することになりました。シャープは液晶テレビに社運をかけることになり、「技術を核に次々と新製品を生み出す」という勝ちパターンに狂いが生じていきます。

その後、液晶テレビがコモディティ化の波に飲み込まれ、コスト競争に陥ると、液晶テレビに命運をかけていたシャープは次第に追い詰められてしまいました。

最近のニュースでは、スマホ液晶への注力が伝えられています。かつての「勝ちパターン」に戻ろうとされているのでしょう。

 

■「技術を核に徹底的に深める」

■「これを顧客視点で、キラーアプリとしての製品に展開する」

■「そのために、超長期間の超継続」

■「超継続実現のために、人財の長期確保」

これらが互いに密接に絡み合っているのですね。

これは、世界でも際だった高い技術力を持ち、人材の定着度が高い日本企業だからこそ取れる戦略です。

激しい競争環境の中で、この強みをいかに維持していくかが問われていると思います。

 

 

メイド・イン・ジャパン復活のカギは、「スピード」と「正しいリスクテイク」。しかしそれは大きなチャンスでもある

「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」(NHK取材班、宝島社)を読了しました。

 

昨日のブログでご紹介したように、本書は1年前にNHKスペシャルで放映された内容を書籍化したものです。

1年前のコンテンツですが、今こそ必要と思われる箴言が沢山ありました。

 

本書で学べたことは沢山ありますが、私が感じたことをサマリーすると、メイド・イン・ジャパン復活のために必要なことは、表題の通り、「スピード」「正しいリスクテイク」だということです。

 

「スピード」…日本全体がいわゆる「大企業病」にかかっている状況になっています。

根回しに時間がかかりすぎて、意志決定が遅い。それに対して、ライバルの台湾・中国・韓国メーカーは現場に権限委譲されており、数十倍のスピードで動いています。

現代では、「時間」は、「ヒト、モノ、カネ、情報」に続く第5の経営資源です。

いかに意志決定プロセスを権限委譲して簡素化し、スピードを上げるか、ということが成功のカギだと改めて痛感しました。

 

「正しいリスクテイク」…「リスク管理」という言葉が流行っています。

本来の「リスク管理」とは「リスクを正しく評価し、取るべきリスクは取り、そのリスクを管理すること」ということです。

しかし多くの日本企業では「リスクを取らないこと」と理解されてしまっている現状があります。

このため、新しいことには何もチャレンジしようとしない。

顧客の課題を先取りしようとぜずに、言いなりになってしまっているのも、「リスクを取らない」ことが要因なのかもしれません。

一方のライバルであるライバルの台湾・中国・韓国メーカーは、どんどんリスクを取って顧客の課題を先取りし、動いています。

 

しかし、この二つが課題であるということは、見方を変えれば、日本企業にとってはもの凄いチャンスなのです。

本書では、「技術では日本企業にかなわない」というライバルメーカーの経営者の言葉が紹介されています。

現時点でも、日本企業は、ライバルの台湾・中国・韓国メーカーを圧倒しているのです。

ライバルたちが「技術力」という課題を克服するのは難題です。

一方で、日本企業の課題である「スピード」と「正しいリスクテイク」は、意志決定プロセスを変えれば克服できます。「その気になって、やればできる」のです。

 

メイド・イン・ジャパン復活のカギは、要は「やる気があるかどうか」「本気になるかどうか?」。

実際の企業の現場におられる方々は大変かと思いますが、「解決したい」という強い気持ちを持っている人たちにとっては、可能性はとても大きいと改めて実感しました。

 

 

お客様からのお問い合わせメールが、迷惑フォルダーに!

昨日のブログで、ホームページをリニューアルしたことをご報告しました。

今回のリニューアルでは、講演のご依頼の際に、より詳細な情報を明記いただいた上で、ご依頼内容が私の元にメールで届くように変更しました。

しかしリニューアル作業で実際に申し込めるかを確認してみたところ、当初はメールが届きませんでした。

試行錯誤した結果、迷惑フィルターに引っかかっていたことが判明し、これを解除。無事届くようになりました。

 

一通りリニューアルが完了し、「念のため」と思い、さらに迷惑フィルターをチェックしてみて、驚きました。

ある大手企業様からのご依頼が、数日前にメールで届いていて、迷惑フィルターにひっかかっていました。すぐにフィルターを解除して、ご返事をしました。

 

「迷惑フィルターはマメにチェックする必要がある」ということを実感しました。

 

この一件があってから、毎日巡回するブックマークの一つに、迷惑フィルターを入れるように変更しました。

ご参考までに、Gmailの場合は、Gmail検索窓に下記キーワードを入れて検索すると、チェックできます。

in:spam キーワード

キーワードの部分は、自分の名前や会社名などを入れればOK。

この検索結果のURLをブックマークし、毎日巡回するようにすれば、チェックできます。
 

 

「永井孝尚オフィシャルサイト」、プチ・リニューアルしました

7月1日、オフィス永井設立に伴い、「永井孝尚オフィシャルサイト」を立ち上げました。

その後、オフィス永井の講演活動やメディア活動を、適宜サイトのコンテンツに追加してきました。

しかし最近、気がついたことがあります。

・講演などのご依頼は、拙著を読んだ方々からしか来ていない

・講演ご依頼をいただいた後に、ご依頼元に「講演ご依頼の背景」「参加された方々の課題」などを個別にお伺いしており、ご依頼元・当方ともに手間がかかってしまっている

考えてみるとこれらは、サイトのコンテンツに不備があるのですよね。

 

そこでこの度、「永井孝尚オフィシャルサイト」をプチ・リニューアルしました。ポイントは、

1.まず、トップページでオフィス永井が目指すことを分かりやすく図示するように変えた。

Officialsitetoppage

2.これまで6つの講演テーマを掲載していたが、ご要望の多い2テーマのみに絞った。そしてこれら2テーマの講演概要、参加者の感想、講演実績詳細を掲載し、講演の依頼を検討する方々がより深い情報を確認できるようにした。

考えてみれば、日本IBM在職中に私が講演依頼をする場合も、サイト上の情報はかなり詳細にチェックしていましたので、こちらからも詳細な情報をご提供するようにしました。

Officialsitekouen
2.「講演お問合せ」では、ご依頼される方が、必要な情報を入力した上で、依頼できるようにした。

以前はご依頼をいただいてから個別に確認していた情報を、あらかじめ掲載するように変更しました。

Officialsitetoiawase

 

やはりウエブサイトは、PDCAを頻繁に回して、マメに修正し続けていくことが必要です。当初からWordPressのホームページビルダー17で作成しているので、修正も割と簡単です。

お客様の嗜好や市場の状況は常に変わり続けているので、仮説検証は終わりがありません。

これからも修正を続けていきたいと思います。

 

IT業界にいてよかったこと

今年6月までIT業界で30年間仕事をしてきましたが、改めて「IT業界にいてよかった」と思ったことがあります。

 

それは、ほとんど全業界と接点があり、各業界の業務について一通り学べたこと。

 

私は様々な製品を担当してきましたが、それらの製品は製造業界、金融業界、流通業界、通信業界、公益業界、メディア業界、サービス業界、医療製薬業界、官公庁等といった、全業界でお使いいただきました。

現代では、ITは社会で必須の業務インフラとなっていますが、これを実際のビジネスで活用するためには、各業界の業務に適合させることが必要です。

そこでお客様へのご提案や、ソリューション構築のために、それぞれの個別業界の状況やお客様の経営課題を理解することを重ねてきました。

そしてこのような経験を重ねていくと、どの業界についても一通り「土地勘」が養われていきます。

 

私は独立して、様々な業界のお客様から講演や研修のご依頼をいただくようになりました。

ご依頼を承る際には、必ず経営課題などをお伺いします。この時に、IT業界でやってきた経験がとても役に立っています。

将来の自分のキャリアとして、このような観点でIT業界を捉えてみても、いいかもしれませんね。

 

第15回世界経営者会議に参加。そのメモ書き (その5) 2日目:

日本経済新聞社主催「第15回 世界経営者会議」のレポート、今回は最終回です。

 

【これまでの記事】

その1: 1日目:「グローバル化」「透明性」「相互信頼」「日本経営の復活」「イノベーション」

その2: 1日目: HUBLOT会長の話に、とても共感しました

その3: 2日目: GE・イメルト会長、明確なビジョンと戦略

その4: 2日目: 富士フイルム・古森重隆会長。写真フィルム市場崩壊の危機に、いかに事業再構築を果たしたか?

 

■ロンバー・オディエ 銀行マネージングパートナー:クリストフ・ヘンチ氏

・スイスのプライベートバンク。1976 1796年創業で7世代に渡っている。現在8名のパートナーで経営。従業員2000名。東京含め96支店展開。

・外部株主・借入いずれもなく、独立性を保っている。短期的利益追求のプレッシャーはなく、30年単位の長期的視点で経営している。

・「後継者はどう決めているか」という質問に対して…。日本でも17代続いた「とらや」のようなケースもあるのでわかると思う。標準はなくケースバイケース。

・銀行は人で成り立っているビジネスだ。顧客の要望は様々で、標準ソリューションはなく、顧客毎に課題について考え、個別提案している。

・「8名のパートナーの役割は?」という質問に対して….。8名全員の合意で経営している。

 

■アサヒグループホールディングス社長:泉谷直木氏

・社員18,000名、売上1.58兆円。アサヒビール創業は1949年だが、前身の大阪ビール創業は1889年。124年目。

・グローバル化を目指している。M&A実施時には株式市場の評価が重要であり、そのためには自社の企業価値増大が非常に重要。企業価値と売上の2軸で考えた場合、第1グループグローバル企業(コカコーラ、ネスレ、ペプシコ)、第2グローバル企業(ハイネケン、カールスバーグ)のうち、当社は第2グループの下位にいるのが現状との認識。

・そこで経営メカニズムを効かせた企業価値向上経営を目指している。基本戦略は、(1)ファンダメンタル(ROE, 経営インフラ)強化と、(2)ビジネスモメンタム(売上、利益、目標達成率)の成長による、(3)コーポレートバリューの向上(財務価値、時価総額、社会貢献)だ。

・人材は極めて重要。執行役員クラス対象の「アサヒエグゼクティブインスティチュート」(泉谷社長自身が講義)、役員候補者対象の「アサヒエグゼクティブリーダープログラム」(戦略構築力、リーダーシップ力、目標達成力強化を通じ、経営者としての覚悟を決める)、所属長手前の管理職対象の「アサヒネクストリーダープログラム」(集合形式で経営に必要な様々な知識習得を目指す)を実施している。

・ただし、「職場に戻ると何も変化なし」となりがち。そこで仕事の定義づけと能力ランク付けをし、社員も自ら何をしたいかを考えてもらい、マッチングによる適材適所を図っている。

・「消費財は価格競争が厳しい。価格はどう上げていくのか?」という質問に対して….。原点に還ったものづくりだ。どうやって買っていただくか、というものづくりが大切。納得価格を考え、商品価値を上げていく。

 

■アルグレア・インベストメント副会長:イサ・アルグレア氏

・ビジネスでは何よりも「信頼」が大切だ。

・2008年の金融危機以降、信頼はより重要になっている。金、ダイヤ、石油、株取引においても、信頼はお金で買えるものではない。

・リーマンブラザーズは31倍のレバレッジをかけ破綻した。中国の粉ミルク事件も同じ。欲があるからこのようなことが起き、そして全てを失ってしまった。信頼は、それが裏切られるまでは当たり前のものに見えてしまうのだ。

・私見だが、安倍首相は素晴らしいと思う。「環境」を作ろうとしている。消費税アップは他国では国民は許せないと言うだろうが、力があるリーダーは納得させることができる。

・「信頼と統制のバランスはどう考えるのか?」という質問に対して….。時には独裁的な民主主義や拒否権発動も必要だと考えている。

・「では会社の統制はどのように考えているのか?」という質問に対して….。複数方向で話し合いを行う。その上で優先順位付けをする。集団として判断するようにしている。それが無理なのであれば、自分が判断をしている。

 

■旭化成社長:藤原健嗣氏

・売上1.67兆円。内訳は、ケミカル繊維 7,942億円、住宅建材 5,377億円、エレクトロニクス 1,311億円、ヘルスケア 1,856億円。今後ヘルスケアを大きくしていきたい。食もやってみたが止めた。

・旭化成は多角化の歴史だ。共通するのは全事業で繊維素材を使っている点。一方で多角化は劣化した事業を抱えてしまうリスクもある。選択と集中が必要だ。他事業がピークアウトする前に新事業を手がけている。

・成功要因は「持てる資源を最大集中していること」「技術のシーズをあわせて創出していること」。

・選択と集中から、新陳代謝を生み出している。考えているのは3点。(1)成長性(そのモノの成長力と、市場の成長力)、(2)収益性 (売上規模と利益率は両立しない)、(3)事業寿命(製品寿命、市場・顧客寿命)

・日本が得意な高付加価値事業は、小さな規模を持った市場の集まり。さらに旬な期間が短い。だから新陳代謝が必要。

・「旭化成はしつこい」と言われている。「一本、柱を立てる」という意気込みで多角化に取り組んでいる。さらに研究開発もしつこい。

 

他にも、インテュイット会長のスコット・クック氏、DeNAの南場氏、ハーバードビジネススクール教授の竹内弘高先生のセッションもありましたが、夜から自分の講演予定があったため、大変残念でしたが参加できませんでした。

 

この世界経営者会議には、2日間参加しました。

世界で活躍中の経営者から、経営最前線の話を直接聞けるこの会議で、とても多くのものを学ぶことができました。

同時に、このような会議をこれまで毎年15回開催してきた日本経済新聞の底力を見る思いもしました。

来年も是非参加したいと思います。

【2013/11/10 8:38AM 修正記録】ロンバー・オディエの創業年度を修正: 1976年→1796年

 

第15回世界経営者会議のメモ書き (その4) 2日目の富士フイルム・古森重隆会長。写真フィルム市場崩壊の危機に、いかに事業再構築を果たしたか?

第1回目第2回目第3回目に続き、日本経済新聞社主催「第15回 世界経営者会議」の内容をご紹介します。

今回は2日目の講演から、富士フイルムホールディングス 古森重隆会長兼CEOのお話しをご紹介します。

私は写真をライフワークにしているため、’90年代後半から’00年代後半にかけた写真のデジタルへの流れを見てきました。

15年前、カメラ店では写真フィルム売り場は1フロアを占めていました。今はフィルムそのものがほとんど売られていません。

富士フィルム様の売上は、この写真フィルム事業で過半を占めていました。

どのようにこの危機を乗り切ったか、が今回のお話しでした。

自分への備忘録も兼ねて、雑記的に書いていますが、ご了承下さい。

 

・富士フイルムホールディングスの規模は、従業員8万人。売上2.35兆円。(現在)

・2000年に社長に就任。就任直後からカラーフィルム需要が急落。2003年にシミュレートしたら会社が数年持たないと判明した。事実それから10年で、写真フィルム市場規模は1/20程度になった。

・「これは天命である。断固として乗り切る」 覚悟を決めた。

・四象限で、縦軸に「新技術」「既存技術」、横軸に「既存市場」「新市場」と置き、事業を取捨選択した。

・選択基準は3点。「成長性」「自社技術が活かせるか」「継続的に競争力を持てるか」。この結果、6事業に経営資源を集中。異分野の研究者が壁を超えて創発できるように、研究者を一カ所に集めた研究所も作った。

・業績は厳しかった。しかし売上の8%に当たる年間2000億円の研究開発費は維持した。仮に研究開発費を売上の3%に減らせば、短期的利益は出る。しかし長期的な成長は損なわれる。短期利益を犠牲にしても、投資し続けた。

・富士フイルムが生き残り、競合の米国コダックは破綻した。その理由は、恐らく当社の方が変化を先取りする力が勝っていたためだ。実は両社ともデジタル化を予測し、対応していた。しかしコダックは自社既存製品を過信し、フィルム事業を事業の柱として残し、M&Aを中心にデジタル化に対応しようとした。しかし、これでは不十分だ。自分自身も新事業に対応しなければならない。当社は自分達で技術を身につけ、養い、新分野を開拓してきた。

・「コダックと富士フイルムの目の付け所の違いは、どこから来たのか?」という質問に対して….。米国は短期的経営であり、コダックもそうしていた。当社は短期的な数字を犠牲にしても、投資を続けた。

・「関係者に対して、新しい投資についていかに説得したか?」という質問に対して….。「伝える」ことだ。大変な危機である。「全社で売上60%を占める写真事業が音を立てて崩れ始めた。だから、これをやろう」と示した。危機的な状況でこう言えば、反対する者はいない。たとえてみれば、戦争で敵が攻めてきたときに「こうしよう」と言うのに対して、「それはいやだ」と言うものがいないのと同じだ。経営は民主主義ではできない。多数決で決めるものではない。自分が真っ先に飛び出すことだ。そうすれば皆がついてくる。

・「そうは言っても、考えるばかりで身体が付いてこないサラリーマン経営者が多い。どうすればできるのか?」という質問に対して….。まるで自分が考えずに動いたと思われたようだが、決してそうではない。1年半かけて、自社の強み・成長性・競争力などを整理し、考えに考え抜いた。そういう読みが一番大切なのだ。そしてリーダーは、決めたら、やる。「断固として、やる!」ということだ。自分はアメフトで闘争心を培ってきた。このような体験がよかったのかもしれない。

・「間接部門の生産性についてどう思うか?」という質問に対して….。戦後の日本の成長は、間接部門であるホワイトカラーが支えたのは間違いない。しかし今は間接部門が増えすぎてしまっている。もっと減らしてスリムにし、創造的な目標を与えるべきだ。

 

古森会長の講演をお聞きするのは今回が初めてでしたが、器の大きさを感じました。

同時に、存亡の危機を乗り切ったのも、古森会長のリーダーシップと、それに応えた社員の方々のご尽力の結果だと実感しました。

短期利益に陥り勝ちな米国型経営と、日本型経営の違いの一面を教えていただいた講演でもありました。

 

残りの2日目の様子は、また後日ご紹介します。

 

第15回世界経営者会議のメモ書き (その3) GE・イメルト会長、明確なビジョンと戦略

一昨日のブログ昨日のブログに続き、日本経済新聞社主催「第15回 世界経営者会議」の内容をご紹介します。

今回は2日目の講演から、ゼネラル・エレクトリック会長兼CEO ジェフリー・イメルト氏のお話しをご紹介します。

非常に明確なビジョンと戦略を持っておられることを、改めて認識しました。

自分への備忘録も兼ねて、雑記的に書いていますが、ご了承下さい。

・GEの基盤は技術。GEはインフラの会社なのだ。65%の受注が米国外からあるグローバルな企業だ。そして成長がビジネスでは重要だ。

・競争力を形成する上で、重要なことが4つあると考えている。

・一つ目は、天然ガス(シェールガス)。安価なガスの時代がやってきて、他燃料を置き換える。

・二つ目は、インダストリー・インターネット。インフラとして設置されているGE製品毎に30〜40個のセンサーが取り付けられ、データを分析し、価値を生み出す。例えば、ジェットエンジンのセンサーデータにより燃費を数%改善すると大きな価値を生み出す。物理的な世界と、アナリティカルな世界が一緒になる時代なのだ。事業会社と分析をする会社が別々だった時代は、終わる。

・三つ目は、高度な製造業。低コストの人件費を求める時代の終焉だ。今は、例えばサプライチェーンの変革のように、生産プロセスや材料がより重要なのだ。

・四つ目は、徹底した現地化。迅速に新地域でビジネスができることが必要だ。現地化をしない限り、ビジネスはできない。サプライチェーンの現地化も必要だ。

・現在、GEの歴史の中で、最も深い文化変革が起こっている。シンプル化の動きだ。小さなスタートアップ企業は、顧客が全てであり、全社で情報を共有しており、本社組織もない。シンプルだ。彼らの強みをGEでも持ちたいし、GEを筋肉質にしたい。管理をなくして、本社を軽くし、シェアード・サービスを展開する。そしてグローバルに分散したリーダーシップを持たせる。プロセスの数を減らし、ITをシンプルにし、問題を素早く解決していく。シンプル化を推進していくのだ。

・「米国民は日本をどのように認識しているか?」という質問に対して….。日本のことが好きだ。私は安倍首相を評価している。まず財政施策など、手を付けやすいことから先に始めている。そしてモメンタム(弾み)を作り、より大きな課題に挑戦している。

・「福島原発に絡んで、原発ビジネスについてはどうか?」という質問に対して….。三つある。一つ目は、福島原発問題については、日本の人達をご支援したい、ということ。二つ目は、短期的には低コストの代替エネルギー開発を考えていきたい。実際、他の代替手段も生まれている。三つ目は、長期的には2030-2050年頃に原子力がなくなるということはない、と思っている。原発も安全でより低コストなものになるだろう。ただし、世界も変わっているのでこの先はわからないかもしれない。例えば10年前にシェールガス革命は誰も想像できなかった。

・ソフトウェアは重要。今は、GEの全ての事業会社でソフトウェアは重要になっており、サービスの中に埋め込んでいる。導入機器からのデータを分析することが、ビジネスになるのだ。将来的には、GEをソフトウェア会社にしたいと考えている。IBMはデータベースをビジネスにしているが、GEもデータベースをビジネスにしていく。領域によってはIBMがライバルになる、ということだ。自分がGEに入社した頃は米国内で売上80%だった。今は米国内は35%だ。だから境界を設けて「できる」「できない」と考えてはいけない。市場(顧客)が大切であり、市場の動きを理解することが大切だ。

・「地域戦略で重要と考えているのは?」という質問に対して….。重要なのは地域ではなく、国だ。韓国、中国、日本はどれも違う。マクロではなく、ミクロで考えることが重要だし、全てのところにチャンスがある。例えば、ガスタービンは米国よりもアルジェリアの方が売れる。ナイジェリアでは40Gwの電力不足がありGEにとっては大きなチャンスだ。もちろん透明性の観点でリスクもある。正しいリスクを取り、見返りを見極めることが必要だ。

・「日本のGEビジネスのメインは何か?」という質問に対して….。医療だ。優れたエンジニアもいる。新しいMRIを日本で最初に始めた。日本は材料科学が素晴らしい。テクニカルパートナーは日本で持つべきだ。GEとしても活用していきたい。

・「あなたは5年前に『リセット』という言葉を使った。今はどの程度『リセット』されていると考えているか?」という質問に対して….。金融危機を乗り越えて、世界は変わった。今はリセットされた経済だ。今後どうするかは、新しい視点で考えなければならない。

・「リーダーに必要なことは何か?」という質問に対して….。リーダーに必要なことは、いかに早く学ぶか、だ。かつレジリエンシー(トラブルがあっても復旧・回復する力)が必要だ。いい時代でなくても、乗り越えていく。賢いだけでなく、状況が明確でないときでも、モノを見通すことが必要だ。

 

残りの2日目の様子は、また後日ご紹介します。