第15回世界経営者会議のメモ書き (その1) 「グローバル化」「透明性」「相互信頼」「日本経営の復活」「イノベーション」

昨日(10/21)と本日(10/22)、東京帝国ホテルで日本経済新聞社主催「第15回 世界経営者会議」が行われています。

この世界経営者会議、実は申し込めば抽選で参加できます。(有料です)

ということで、勉強のために参加してきました。

 

初日の講演者は、米国を除いた、欧州・アジア・日本といった様々な地域出身の経営者でした。世界が多極化していることを実感した会でもありました。

そこで何回かに分けて、ご紹介していきたいと思います。

自分への備忘録も兼ねて、雑記的に書いていますが、ご了承下さい。

なお、本日(10/22)の日本経済新聞朝刊にも、各講演の様子が掲載されていますので、併せてご参照下さい。
 

■エアバス社長兼CEO:ファブリス・ブレジエ氏

・ブレジエさんはフランス出身。

・今や航空機需要の1/3はアジア。またリース事業のパートナー戦略の上でもアジアは重要。

・様々な需要がLCCから生まれている。近距離大量輸送用のワイドボディなどがそうだ。さらに地域によってニーズは異なる。これらに対応することが必要だ。

・エアバス社は100カ国以上の国籍からなる社員で構成されている。そのため透明性と信頼に基づき、相互理解を促進していく上で、グローバルコミュニケーションが必須となっている。

・このような環境で、経営の軸を伝えるのはトップリーダーの責任だ。隔月で1500名のマネージャーと意見交換する場を作り、さらに隔年の全社員サーベイでキーポイントが伝わっているかを確認している。

・経営判断上の軸は、あくまで顧客の要望だ。

 

■IHHヘルスケア社長 リム・チョクペン氏

・チョクペンさんはシンガポール出身。医師。

・シンガポール、トルコ、マレーシアなど9カ国で32の病院を運営。病床数は5100。統合医療を提供している。

・ほとんどの国で医師を社員としては採用していない。フリーの優秀な医師と契約している。

・「日本の医療についてどう思うか?」という質問に対して….。品質が高い。日本だけでなく他国に対しても、日本は医療ツーリズムのハブとなり得る。実際、ベトナムから日本に高度医療を受けに来ている人もいる。シンガポールの医師も東京大学で学んでいる。

・ただし日本の医療の問題は規制だ。クロスボーダーの医師免許制度が必要だ。例えばシンガポールの医師が日本で治療ができるようにすれば、患者にとってもメリットがある筈だ

 

■サハ・パタナピブン会長 ブンチャイ・チョクワタナー氏

・チョクワタナーさんはタイ出身。

・現在の成功は、明日の失敗の始まりだ。イノベーションは大切だ。

・学習することでチャンスに変えることができる。1997年の経営危機でイノベーションを日々実践するようになった

・この際に、MOPという手法を編み出した。Mission Objective Policyの頭文字を取ったものだ。社員が心から情熱を持って動けるように、かつ長期的政策と短期的なプロジェクトを実践していくものだ。この仕組みを導入してから、売上も利益も大きく伸びた。

・私たちの経営哲学は、古き良き日本の経営哲学と変わらない。終身雇用、誠実さと健全さ、収益を社会に還元、だ。

・「日本企業の停滞についてどう思うか」という質問に対して….。成功を一旦経験すると、そのモデルを変えるのは難しい。日本は経済大国になった。だから変えるのは難しくなった。しかし20年の停滞の後、安倍首相になって変わった。今まではゆったりとしたダンスを踊っていた。誰もがそれに慣れていて、それによる経済の影響を認識していなかった。今はロックンロールを踊っているかのように素早い。

・「日本企業への期待は何か?」という質問に対して….。海外でビジネスをするためには、地元の人が何を求めているかを肌身で理解する必要がある。タイと日本は比較的近いモノの考え方をするものの、日本の考え方を押しつけてはいけない。そのような企業は、タイでは失敗しているのが現実だ。

・「日本市場の参入について、どう考えているか?」という質問に対して….。できればと思っているが、実際には難しい。恐らく日本は世界一参入が難しい市場ではないか?カルフールも2回試みて失敗している。

 

■楽天会長兼社長 三木谷浩史氏

・米国のIT経営者(セルゲイ・プリン、ザッカーバーグ、ラリー・エリソン、等々)は、一見するとネジが一つか二つ吹っ飛んだ考え方をしているかのように見える。しかし実は「素直に考えると、将来はこうなる」という鳥瞰の眼を持って、技術を判断している。新しい発想をどんどん取り入れて、「できない理由」でなく「できる方法」を探していくことが必要だ。

・楽天社内の英語化により、グローバルで均質な情報共有ができるようになった。人材も多国籍化している。外国籍社員は10.2%、海外勤務比率は3割、外国籍の新卒は3割、外国籍の新卒エンジニアは7割だ。コンピューターサイエンス専門の大卒は、日本は2万人だが、米国は32万人、中国は100万人、インドは200万人。しかし日本語が壁になっていると2万人の中からしか採用できない。実は日本は暮らしやすいので、「日本企業で働きたい」と思っている海外の人は多いが、日本語が壁になっている。社内英語化で、この数百万人に門戸を開けるのは、当社にとってもメリットだ。

・「日本語と英語の両方を準備するのはコスト高になるのでは?」という質問に対して….。実際には他言語でも用意しなければならない。まず英語で用意して、それを日本語、中国語、フランス語….と作っていく。だから逆にコスト削減に繋がっている。

 

■ストラタシスCEO デビット・ライス氏

・ライスさんはイスラエル出身。

・ストラタシスは3Dプリンター大手。

・教育セグメントは大きい。子ども達のイマジネーションを育てることができる。

・製造業で、3Dプリンターが全てを置き換えることはない。大量生産は従来の射出成形が引き続き使われるだろう。しかし短納期・カスタマイズ・パーソナライズの需要は、3Dプリンターがまかなっていくことになる。今は存在しない新市場を創造することになるだろう。デザイン業界は大きく変わっていくはずだ。

 

■ヘンケルCEO カスパー・ローステッド氏

・ローステッドさんはデンマーク出身。

・ヘンケルは接着剤大手でドイツ企業。

・CEOに就任した6年前、社内公用語をドイツ語から英語に変えた。

・さらに2年間をかけて社内の価値観を変革し、その後4年間で定着させ成長を図った。

・あくまで顧客を前面に出した。顧客が第一である。顧客をもって行動を定義した。

・当初、経営陣40名が集まり、各自が考える10の価値観を話し合った。全員がちゃんと書けなかった。そこで1年かけて残したい価値観を5つに絞った。そして6ヶ月間かけて4万人の全社員に展開した。

・その結果、ドイツ的なビジョンから、グローバルなビジョンに大きく変わった。

・価値観・ビジョンを定義するに当たっては、基本的な言葉を使うようにした。例えば「ソリューション」という言葉は国によって意味が異なる。だから使わなかった。

・「アジア、特に日本の役割は?」という質問に対して….。アジアは製造の中心。日本は自動車や電機業界でリーダー。大きな投資をしている。

実は多くの欧州企業が、アジアの成長にいかに取り組むか、苦労している。欧州企業のチャレンジは、アジアを理解すること、アジア人がアジアの法人を運営するようにすることだ。そのためには信頼と共通の価値観が必要なのだ。

・アメリカ人なら1回の話し合いで納得できることでも、アジアではなかなか納得できない。それに意見もなかなか話さない。これが現実だ。多様な、異なる文化を、信頼して受け容れることが必要だ。

 

■HUBROT会長 シャン・クロード・ビバー氏

(ビバーさんのお話しは特に面白かったので、後日ご紹介します)

 

■堀場製作所 最高顧問 堀場雅夫氏

・社是は「おもしろおかしく」。経営陣はなかなか受け容れなかったが、6年かけて認めさせた。

・仕事は苦労してはダメ。疲れていてはダメ。いい発想ができない。「これは面白い!」と思うと、どんどん発想が生まれてくる。

・「日本企業の問題は?」という質問に対して….。リスクマネジメントという言葉がある。本来の意味は、リスクを取る際に損害を最小化する方策を採ること。しかし今の日本ではリスクを取らないことになってしまっている。だから日本が元気がない。

・「88歳になっても、そのように立ったままずっと講演をなさっている元気の秘訣は?」という質問に対して….。病の99%はストレスだ。特に経営者はストレスが多い。だから少しでもeasy goingだ。迷惑をかけずに好きなことをやることだ。例えば会社の利益分配。「誰にいくらあげよう」と経営者が考え始めるととても大変。しかもその作業は価値を生まない。だから「従業員にxx%、株主へは配当性向30%、役員へは利益の6%」と決めてしまった。決めたので悩む必要がなくなり、その時間、価値を生むことに使える。

 

「グローバル化」「透明性」「相互信頼」「日本経営の復活」「イノベーション」が大きなテーマとなった初日でした。

 

第1日目のビバーさんと、第2日目の様子は、また後日ご紹介します。

 

 

「なぜ企業変革が難しいのか」を理解するために…E.H.シャイン著「企業文化 生き残りの指針」

企業による様々な不祥事のニュースを目にします。中には不祥事を繰り返す企業もあります。

これらのニュースを見るたびに、「なんでこんな当たり前のことができないのだろう」と感じることは多いと思います。

しかし一方で、会社員の経験がある方であれば、「みんなわかっているのに、なぜ当社はなかなか変わらないのだろう?」というジレンマを感じた方もまた、多いのではないでしょうか?

不祥事を起こした企業に勤める社員や経営陣の皆様も、決してサボっていない筈です。

これまでのやり方を変えるためにも、企業の変革が必要なのですよね。

では、なぜ企業変革ができず、不祥事がなくならないのでしょうか?

それは社員個人の問題ではなく、企業文化の問題なのかもしれません。

 

そのことを考えるために、E.H.シャイン著「企業文化 生き残りの指針」を読了しました。

シャインは組織文化論の第一人者です。研究者としてのみならず、世界中にある多くの企業で実際に企業変革プロジェクトに携わった膨大な知見に基づいて述べられた洞察には圧倒されます。

シャインの著書と言えば、「組織文化とリーダーシップ」が有名です。私は2000年に多摩大学・大学院の授業「組織文化論」でこのシャインの理論を学びましたが、この時点で本書は絶版になっていました。幸い、2010年に最新事例も取り入れた第四版が出版され、昨年白桃書房から翻訳版が出ています。

しかしこの「組織文化とリーダーシップ」は500ページを超える大著で、読了するのはなかなか大変です。

一方で「企業文化 生き残りの指針」は、「組織文化とリーダーシップ」のエッセンスを凝縮した実践版です。234ページで読みやすく構成されています。私は神戸出張の新幹線で読了することができました。

読んでみて、企業変革においては、「企業文化」は避けて通れない大きな課題であり、変革の障害になることが多いこと。そして企業文化の課題は決して単純化できるものではないことを再認識しました。

本書は組織に関する本質的な洞察に基づいていますので、書かれている内容は日本企業にも当てはめて考えられると思います。

 

企業変革に携わる方々は、とても多くのことが得られると思います。

 


UCCグループ幹部会議で講演しました

一昨日9月30日のダブルヘッダー講演・午前の部は、神戸で行われた、UCCグループ幹部会議でした。(こちらに書きましたように、午後は東京に戻って別の講演でした)

UCCホールディングス各社幹部の皆様350名が集結されました。

この幹部会議で外部講師が話すのは、今回がはじめてだそうです。とても有り難い機会を頂戴しました。

(カメラマンの方に、写真を撮っていただきました)

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UCC様は今年創業80年を迎えられました。

この80年、世界ではじめて缶コーヒーを開発し成功させ、真空包装レギュラーコーヒーを開発し、ジャマイカに農園を作ったりして、日本にコーヒー文化を根付かせ、世界に展開してこられました。

この80年は、コーヒー市場でイノベーションを推進されてきた歴史でもあるのですよね。

 

この日の午後は同じ神戸の会場で、この創業80年イベントが行われました。各界からお客様も1000名近く来られました。

創業90年、そして100年に向けて、ますますのご発展をお祈りしております。

 

パンフレット作成中

大変有り難いことに、講演をさせていただく機会が増えました。

特定企業様からのご依頼に加えて、オープンな場でお話しする機会もあります。

そのような場合、「講演をお願いするにはどうすればよいのか?」とか「オフィス永井はどのような活動をしているのか?」というお問合せをいただくようになりました。

オフィス永井の活動はホームページをご覧いただくとわかるのですが、ホームページを見ていただくのも結構手間です。

そこでパンフレットを作成することにしました。

こんな感じです。

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来週後半には出来上がる予定です。

 

2013-09-23 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

かけがえのない時間を、どのように考えるか?

独立してから色々な方々とお目にかかりますが、改めて感じることがあります。

それは、「時間をどのように考えているか」で、その人のことがわかるということです。

 

時間は不思議な資源です。

誰でも「1日24時間」は平等に与えられています。

時間は蓄積できません。

そして、時間は交換できません。

過去の時間は二度と返ってこないかけがいのない資源です。

この時間を、どのように考えるかで、その人の人間性がわかるように思います。

 

メールなどを拝読すると、相手が持っている時間に対して深い配慮をされる方がいます。

このような方は、メールを拝読しただけで、すぐにお目にかかりたくなります。

そして実際にお会いしてみると、成熟した人格者であり、ビジネスパーソンとしての力量もある方が多いように思います。

そして有り難いことに、独立してお知り合いになる方のほとんどは、そのような方々です。

 

一方で残念ながら、他人の時間に対して配慮をなさらない方もおられます。

このような方は、実際にお目にかかっても、残念ながら他のことに対する配慮もないことが多いのです。

 

これは単に、

「お忙しいところ恐縮です」

「貴重なお時間を頂戴して申し訳ございません」

といったメールの文面上のテクニックを言っているのではありません。

このような言葉を使っても、時間への無配慮はメールで伝わります。

逆に「時間」とか「お忙しいところ」といった単語を使わなくても、メール全体から、その人の時間に対する感覚や気遣いが伝わって来るのです。

 

また、年齢とは関係ありません。例えば先日お目にかかった大学生の方は、素晴らしいご配慮をなさっていました。

 

自分も気をつけたいなぁ、と思います。

 

2013/8/23 9:55PM タイトル修正: かけがい→かけがえ

 

 

伊藤忠、朝の残業代を割り増し

本日2013/8/2の日本経済新聞一面に掲載されていました。

伊藤忠「仕事は夜より早朝に」 残業削減へ手当増額 全社員対象

・時間外勤務の割増率を、夕方以降の残業よりも早朝勤務の方が高くなるように見直す
・ワークライフバランスに配慮した働きやすい環境作り、業務効率化、人材確保に繋げる
・具体的には、
 早朝残業の割増率:25%→50%へ増額
 夜10時〜朝5時の割増率50%→10時以降の残業禁止。完全消灯

 

私も「朝シフト」を言い続けてきましたので、会社として賃金体系まで踏み込んで明確に方針を示すのは、素晴らしい施策だと思います。

一方で、朝型の方ばかりではありません。夜型の方もおられます。

さらにどうしても翌朝までに終わらせなければならない仕事もあったりします。

記事では「今後は早朝勤務を嫌う社員が仕事を自宅に持ち帰る『サービス残業』への対応が課題になりそうだ」としています。

モーレツ社員ばかりだった時代から、様々な形で働く社員が増えている現在、今後は働き方の選択肢をさらに増やしていくことが課題になってくると思います。

 

 

 

2013-08-02 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

なぜ独立後も、往復2時間かけて、会員制ライブラリーに通うのか?

7月に独立後、私は自宅ではあまり仕事をしていません。ほぼ毎日、会員制ライブラリー(平河町ライブラリー)に通っています。

自宅からは約1時間。往復2時間かかります。

「なんで自宅で仕事せず、2時間もかけて通うの?」と思われるかもしれませんね。

 

実際に、私は日本IBM在職中、会社が在宅勤務できる仕組みを用意していたこともあり、自宅でよく仕事をしていました。

会社での仕事と比べて、自宅での仕事はとても捗りました。

オフィスだとありがちな「仕事の割り込み」がないからです。

 

オフィスでは、大小様々な打合せがあります。スケジュールした会議だけでなく、ちょっと困ったときに近くの人に声をかけて相談することもあります。

私も、自分のチームのメンバーが仕事中に「ちょっといいですか?」と声をかけて相談することもよくありました。

そうして組織の仕事が回っていくのですよね。

組織としては必要なこのような「仕事の割り込み」は、しかし個人が仕事に集中するのを妨げます。

たとえば1〜2時間、何かの仕事に集中するのは難しいのです。

ですので、1〜2時間集中して仕事を仕上げるためには、仕事の割り込みが基本的にない自宅で仕事をすると捗るのです。

 

しかし、自宅は仕事環境がよいか、というと、必ずしもそうではないように感じています。

これは独立前でも、たとえば1週間の執筆作業をしていると実感しました。

なぜかというと、恐らく自宅が生活環境だからなのかもしれません。

執筆作業ではかなりの集中力が必要です。これが「本来はくつろいでリラックスする場所」である自宅だと、なかなか集中できないのですよね。没頭するような気分への切り替えが難しいのです。

ですので1−2年前に休暇期間に執筆していた頃は、自宅近所のカフェをハシゴしながら、執筆していました。場所を変えると、店の客が談笑する声もあまり気にならず、集中できるのです。

 

しかし独立後、日常的に執筆や講演資料を作るようになると、カフェのハシゴはなかなか難しいものがあります。

毎日カフェを長時間占拠するのは避けたい、でも店が結構混んでいてハシゴすると待たされる、ということに加えて、3時間程度集中して書いた後にカフェでは休憩が取れないのですよね。

そこで今年のGWで、思い切って会員制ライブラリーに入会しました。会員制ライブラリーであれば、飲食物の持ち込みが出来ますし、ソファもあるので疲れたら数十分程度は休むことも可能です。

さらにライブラリーのオープンスペースで打合せもできます。実際、私は1日に1−2回、色々な方々にお越しいただき、仕事の打合せをしています。

「会員制ライブラリー」ですが、実際にはシェアード・オフィスなのですね。

使い勝手は会社に勤務していた頃のオフィスと同等、むしろ休むスペースもあるので、さらによい位です。

 

自分の実感としては、自宅で執筆する場合と比べてライブラリーで執筆すると、あくまで感覚的なものですが、集中度が上がった状態が長時間続くことで、1日あたり2倍のパフォーマンスが生まれます。 

(蛇足ですが、会社勤務の頃でも、ライブラリーで仕事をしたら、さらにグッとパフォーマンスが上がったかもしれません)

さらに交通の便もよい(平河町ライブラリーだと永田町駅徒歩1分)ので、打合せにも便利です。

 

このように考えると、「通勤往復2時間かけても、ライブラリーで仕事をする方がいい」という結論になりました。(なお、2時間の通勤時間は座って仕事ができるように、早朝6時に家を出て、ライブラリーは午後4時頃に切り上げるようにしています)

ちなみに使わせていただいている平河町ライブラリーのフルタイム月会費は31,500円です。

ちょっとお高いように思えますが、アークヒルズと六本木にある会員制ライブラリーも使えますし、仕事の打合せでもたくさん活用させていただいています。

7月は、今日(7/26)までの26日間のうち21回(うちアークヒルズは9回)利用しています。ほぼ毎日ですね。

同じ場所で会社の事務所を借りると、恐らく10倍以上の金額がかかる上に、メンテ(掃除、電気水道ガス電話等の契約、その他諸々)は自分で行う必要があります。

これらを考えると、会員制ライブラリーは私にとって、本当に有り難い存在です。

 

 

 

2013-07-26 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

法人の立ち上げ:法人口座開設編

6月末に退職し独立、「オフィス永井」を設立しました。

ご支援下さっている会計事務所のおかげで、会社設立はとてもスムーズに出来ました。

しかしちゃんとビジネスが出来る状況にするためには色々な作業があります。初めてのこともあって、試行錯誤です。

 

何はともあれ、銀行の法人口座開設が必要です。これがないと、会社でのお金のやり取りが何も出来ません。

しかしネットで色々と見てみると、これが結構難しいようです。断られるケースも多いとか。

私の場合、ジャパンネット銀行にしました。法人ホームページがしっかりしていると比較的スムーズに審査が通ると聞いたので、ここにしました。

しかし思わぬ誤算が。

永井孝尚オフィシャルサイト(takahisa.nagai)のコンテンツ自体は早めに出来ていたものの、Yahoo!ウェブホスティング上にあった旧サイトから、さくらインターネット上の新サイトに引き継ごうとしたら、思いのほか時間がかかり、新サイト開設に手間取ってしまいました。

結局、法人口座を申請したのは、新サイト開設後。

法人口座申請後に審査、審査承認後に口座開設手続きなので、法人口座が開設できたのはほんの2−3日前。7月中旬になりました。

まぁ法人口座が開設できたので、やっと請求書発行や口座引き落としなどが当たり前に出来るようになった訳ですね。

 

これから法人クレジットカード申請にチャレンジです。

 

しかしこれでも、ほんの10年前と比べると、法人を立ち上げる難易度はものすごく低くなったようです。インターネットが普及して、必要な投資額も格段に低くなっています。いい時代になったと思います。

このように考えると、オルタナティブブロガーで経営者として以前より創業された諸先輩方は、大変な苦労をなさっていたのですね。

敬服です。

 

 

2013-07-16 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

【ご報告】オフィス永井を設立、代表に就任しました

ご報告致しましたとおり、2013年6月30日付で、30年間お世話になった日本IBMを卒業致しました。

そして本日2013年7月1日、オフィス永井株式会社を設立し、代表に就任させていただきましたので、当ブログにてご報告させていただきます。

 

日本企業は世界最強の現場力を持っています。問題解決のヒントは、すべてビジネスの現場にあります。

では、いかにそのヒントを見いだし、問題解決を図るべきなのか?

現場第一主義だけでは、なかなか解決できません。しかし戦略を現場に押し付けても、決して現場は動きません。

現場主導で、かつ戦略的に考えて動くようになれば、日本は必ず世界最強の力を取り戻します。

 

そこでオフィス永井では、

執筆

講演

研修

の3本で、日本企業が現場主導で戦略的に考えるためのお手伝いをさせていただきたく思っております。

詳しい活動内容は、「永井孝尚オフィシャルサイト」でご紹介していますので、よろしければご覧ください。(2013/7/1 8:00AM注: スマホから閲覧できないようです。原因調査中です。なおPCからは閲覧可能です→  2013/7/1 11:20AM注:スマホで閲覧できることを確認しました)

 

夢は壮大ですが、この活動は永井孝尚個人で行っています。

さまざまな方々とのネットワークを通じて、活動を膨らませながら、この夢を実現していきたいと思っております。

 

今後ともなにとぞご指導・ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 

 

皆様の激励に、感謝感激です

昨日、日本IBMを卒業させていただくことを書きましたが、Facebook、Twitter、メール、その他でたくさんの激励のメッセージを頂戴しました。

とても有り難いことです。

同時に、皆様にこのように支えていただいて自分があるのだな、と実感しました。感謝申し上げます。

 

次の仕事は、現在準備中です。ウェブサイトも更新中ですので、間もなくご紹介できると思います。

7月1日から早速活動を開始します。

これからもよろしくお願いいたします。

 

 

2013-06-29 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

新日本型経営の誕生へ ….NHKスペシャル「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオⅡ」

昨晩(2013/5/11(土) 21:00)のNHKスペシャル「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオⅡ 第1回 ニッポンの会社をこう変えろ」を見て思ったこと。

  • 日本人のものづくりの強み(高品質、信頼性)がなくなったわけではない
  • 世の中が多様化し変化が急激になっているのに、日本の組織が、ものづくりの考え方(大量生産・大量供給)を高度成長期から変えておらず、イノベーションが起きていないことが問題である
  • だから、組織の壁(個人間/事業部間/会社間)と考え方の壁(自分の専門分野)を壊して、日本が持つ強みを活かして、新しい領域にチャレンジし、イノベーションを起こせば、日本は必ず再生する
  • それはかつての黄金期のメイド・イン・ジャパンの復活ではない。まったく新しいメイド・イン・ジャパンの誕生である
  • 既に様々な成果が生まれている

日本が独自に持っている強みを否定するのではなく、活かせるように発展させていくのですよね。

 

今晩(2013/5/12(日) 21:00-)、第2回を放映します。

メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオⅡ 第2回 新成長戦略 国家の攻防

国の政策に焦点を当てるとのこと。必見です。

 

なお、昨晩の第1回の再放送は5/16(木) 1:39AM-2:37AMの予定だそうです。見逃した方は是非。

 

 

「グローバル時代の日本のものづくり」…工業デザイナー・奥山清行さんインタビューから

2013/5/5の日本経済新聞の記事「日曜に考える 日本の個性 世界にどう売り込む」で、工業デザイナーの奥山清行さんのインタビューが掲載されています。

奥山さんはイタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした方です。

日本のものづくりに今求められていることを、ズバッと語っておられます。

—(以下、引用)—

ーものづくりで世界に勝つには何が必要でしょうか。

「想像力とビジョンだ。(中略)レストランでシェフから『何を作りましょうか』と聞かれても客は魅力を感じない。自分が知らない世界を見たいと思っているからだ」

「….目の前にいない未来の消費者が何を求めるようになるのか。それをいち早くつかんだものが、市場の勝者になれる」

—(以上、引用)—-

これは「100円のコーラを1000円で売る方法」でも書いた「顧客の言いなりになってはいけない」ということですね。

たとえば1年間に国内で新販売される清涼飲料水は二千種類もあります。これらはすべて商品開発チームが慎重に企画を立てて開発した商品です。

しかし消費者に「この1年間で新発売された清涼飲料水は何?」と聞いても、ほとんど思い出せないのではないでしょうか?

現代は非常に多くの業界で競争が激化していて、顧客から見ると似たような商品が沢山あるのですよね。

このような状況で顧客の言いなりになっているかぎり、顧客の期待値を超えることはできません。

とは言え、顧客の一歩先に行くと早すぎます。半歩先で仕掛けて、実際に商品を「欲しい」と思ったタイミングで提供することが求められているのですね。

 

一方で市場がグローバルに広がっています。奥山さんはこのことについても語っておられます。

—(以下、引用)—

「僕が日本のものづくり再生の武器に使っているのは、外国の権威を利用した『黒船効果』。国産スポーツ車はジュネーブ国際自動車ショーに、家具や工芸品はミラノの国際家具見本市に出展している。認めてもらえば世界市場と直結して仕事ができる。黒船効果は中国など新興国に売り込むのにも極めて有効だ」

—(以上、引用)—-

自分で個別に売り込むのではなく、皆が集まっている場所に出向いていくということです。グローバルで勝負する機会は意外とあるのですね。

米国ではなくジュネーブやミラノといったヨーロッパの都市が出てきたのは結構意外でした。ヨーロッパで活躍されてきた奥山さんならではです。やはり文化面では相変わらずヨーロッパが世界をリードしているということなのでしょう。

—(以下、引用)—

「想像力は日本人の得意分野。相手の心情を推し量る能力は世界でもトップ級だ。….自己中心的でない客目線のものづくりが求められている。若者に広がる内向き志向は言語道断。海外に出て自分を客観視する経験を積まなければ、日本のものづくりに未来はない」

—(以上、引用)—-

今や、グローバル化は「すべきか、どうか」という時期は過ぎ去って、「どのようにするか」という時代です。

グローバル化を意識するかどうかは、企業の問題であると同時に、個人の問題なのかもしれません。

 

 

「クラウド化の流れは近いうちに止まる」…それは事物がらせん的に発展しているから

日経ITProに「『クラウド化の流れは近いうちに止まる』、ガートナーがITの近未来を予想」という記事が掲載されています。

ガートナー ジャパン主催イベントの基調講演で、ガートナー フェローのスティーブ・プレンティス氏が「今後5年間でITに影響を与える最重要トレンド」と題して話した内容の一部です。

記事では以下のように書かれています。

—(以下、引用)—

「2014年までに、SaaSを利用する企業の30%がサービスレベルの低さを理由にオンプレミスに転換する」—。

プレンティス氏の予想では、これまで先進企業が積極的にけん引してきたクラウド化の流れが、近い将来に止まるという。重要なシステムは社内に置きなおすべきだと考える企業が増え、2014年までに、ITサービスベンダーのトップ100社中20%が市場から姿を消すと予測する。

—(以上、引用)—

 

「クラウドはなくなる」と言っているのではなく、「クラウドへの過度な期待は徐々に収まり、オンプレミスへの揺り戻しがある」と言っているのですね。

 

これはまさにヘーゲルが述べた「事物のらせん的発展」です。

「事物のらせん的発展」は田坂広志著「使える弁証法」に詳しく書かれていますが、ここで簡単にご紹介します。

「ものごとは直線的に発展するのではなく、あたかもらせん階段をあがるように発展する」という考え方です。

らせん階段を登る人を横から見ると、上に向かって登っていますが、上から見ると円を描いて歩いています。

例をあげると、昔は定価がなく「指し値」や「競り」で物品を販売していました。この方法は非効率なので近代産業社会で一旦消えました。しかしインターネットの発達で「ネットオークション」という形で復活しています。一見すると昔懐かしい「競り」の復活ですが、「競り」は参加者はその場にいる人たちだけでした。ネットオークションでは世界中から参加できます。つまり新しい性質を獲得しているのです。

ある事象(競り)が、新しい事象(近代産業社会)で否定されて消え、その新しい事象が再び否定されて新しい性質を獲得して復活する(ネットオークション)。

このように原点回帰しながら、あたかもらせん階段を上がるように世の中は発展しているのです。

  

このように考えると、このクラウド化の流れの位置づけも分かるのではないでしょうか?

■1940年代に生まれたコンピューターは、集中処理でした。全業務は大型コンピュータで処理されていました。当初のユーザーインターフェイスはパンチカードや紙、後に専用ディスプレイになります。ユーザーインターフェイスは貧弱で全く融通性がありませんでした。

■1970年代にパソコンが生まれました。それが1980年代後半から1990年代に分散コンピューティングという考え方に進化します。ホスト集中処理は「クライアントサーバー」という形態に変わります。「ホストコンピュータは死んだ」と言われたのもこの時代。「エンドユーザーコンピューティング」という言葉も生まれたように、ユーザーインターフェイスの大幅な改善が図られました。

■一方で1960年代にARPANETとして産声を上げたインターネットは、パソコンに一足遅れて1990年後半から一般普及が始まります。社内全社員のパソコンに専用ソフトを導入管理するのは大変でしたので、PC側に専用クライアントソフトを導入せずに、Web経由で使う形態が普及し始めます。そしてリッチクライアントという考え方も生まれます。

■2006年にGoogleのエリック・シュミットが「クラウドコンピューティング」という言葉を使い始めて、クラウドの考え方が普及し始めます。社内に沢山のサーバーを置くのではなく、クラウドでまとめてしまおうという考え方です。昔懐かしい集中処理の復活です。しかしリッチクライアントと組み合わせることで、ユーザーインターフェイスは格段に向上します。そしてパブリッククラウドとして社外にデータを預ける動きが出てきました。

■そして記事にあるように、再びオンプレミスに回帰していく。その時のオンプレミスは、クラウド技術やリッチクライアントを活用したものになっていることでしょう。(いわゆるプライベートクラウドですね)

 

このように時間軸を広げて俯瞰して見ると、改めてIT業界はらせん的発展を遂げていることが分かります。

 

「事物のらせん的発展」という考え方は、IT業界で起こっている様々な事象が大きな歴史の中でどのような意味があるのかを思索する上で、ヒントを与えてくれると思います。興味のある方はご一読をお勧めします。

 

 

 

新入社員時代で、一番辛かった思い出

4月になって、見てすぐに「新入社員」と分かる人達が増えてきました。

でも数ヶ月もすると、不思議とそういう人達もビジネスパーソンの中に溶け込んでいくんですよね。

 

このような私にも、新入社員の頃がありました。もう30年近くも前のことですが、つい先日のことのようです。

一番辛かったのは、眠気との戦い。

学生時代は自分の時間はほぼ自由に使えました。これって、今の立場では考えられないことですね。ゆっくり起きて、遅くまで遊んでいたことが多かったように思います。

それが会社に入り、早く起きて時間通りに生活し、仕事をする。場合によっては夜遅くまで仕事が続く。

最初の1年間、これはなかなか辛かったですね。

ただ次第に慣れてきました。今では朝シフトの本を出す程になってしまいました。人間、変われば変わるものです。

 

この春、新入社員になった方々は、学生時代と環境が変わって大変かと思いますが、それも大切な経験の一つです。会社員生活は長いですし、徐々に慣れていくと思います。

頑張りすぎて無理をすることなく、この数ヶ月間は、この時期しかできない「タメ口がきける」利害関係がない同期の仲間を出来るだけ増やしていただければと思います。

 

 

2013-04-03 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

お付き合いする方の会社を理解する上で、とても役立つ本

ある方からご紹介いただいた、これら2冊の本がとても面白いです。


有名企業の創業者・計70名のドラマを描いた力作です。

色々な会社の方々と深くお付き合いする際に、前もってその会社の成り立ちを理解する上でとても役立ちます。

場合によっては、この本から得られたエピソードを自分なりに解釈して、プレゼンに取り込んだりしています。

 

残念ながら両方とも廃刊になっており、中古のみで入手可能です。

それにしても、廃刊になった本をこのようにアマゾンで簡単に入手できるのは、本当にありがたいことです。

 

 

2013-03-21 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

100年前の帯広には凄いイノベーターがいた。そのDNAは現代も受け継がれている

一昨日、帯広(十勝地方)から帰ってきました。

この帯広、日照時間も日本でトップクラス。肥沃な土地で、食材も豊富ですし、非常に豊かな土地であり、街全体もあたかも欧州の地方都市のように活気がありました。

しかし、帯広に行くことが決まった時から、ずっと疑問に思っていたことがありました。

どうしてこんな極寒の地に、これほどまでに豊かな土地が生まれたのか?

  

調べているうちに、依田勉三という人がいたことが分かりました。

依田勉三は伊豆出身で幕末の生まれ。

伊豆での農業に限界を感じ、当時は未開の地だった北海道を開拓しようという志を持ちました。そして仲間を募って「晩成社」を結成、十勝に乗り込みました。

しかしそれは苦難の連続でした。下記は依田勉三のWikipediaからの抜粋です。

1883年
13戸27人、帯広到着。一行を鹿猟の野火が、そしてイナゴの大群が襲う。アワを蒔き付けするも天候不順、ウサギ・ネズミ・鳥の被害で殆ど収穫できず

1884年
開墾は遅々として進まず開拓団の間に絶望が広まる。勉三は米一年分を大津に貯蔵したが帯広への輸送が困難。食糧不足打開のため当縁郡当縁村生花苗に主畜農業を経営

1885年
農馬を導入し羊・豚を飼育しハム製造を目指す。馬鈴薯澱粉を研究。農耕の機械化を試みる。何れも上手く行かず、当初移民は3戸に減少

1892年
状況が漸く好転。食糧は足り、小豆・大豆の収穫も目処がつくように。晩成社の事業拡大。函館に牛肉店開業、当別村に畜産会社。帯広に木工場、然別村に牧場

 当初目標:15年で10,000町歩開墾
 現実:10年で30町歩開墾

1897年
社有地の一部を宅地として開放。多くの移民が殺到。

1902年
バター工場、缶詰工場、練乳工場を創業。何れも現在の十勝・帯広に根付く産業に。しかし当時としては先進的過ぎて、晩成社の経営は上手く行かなかった。

1925年
勉三、中風症に倒れ12月12日享年73で他界。死の間際「晩成社には何も残らん。しかし、十勝野には…」と述懐したという。

1932年
晩成社解散。

1933年
帯広、北海道で7番目に市制を施行

 

日本国内の酪農飼育頭数を見ると、依田勉三が存命中だった1925年までは10万頭前後で推移していましたが、1930年頃から急速に立ち上がり始め、1960年には100万頭、1970年には200万頭になっています。

豊かな十勝の地は、志半ばにして倒れたイノベーターである依田勉三が礎を作ったと言っても過言ではないでしょう。

 

実は今、十勝では「十勝マンゴー」という名前で真冬にマンゴーを作っています。→十勝毎日新聞の記事

「厳寒の真冬の十勝で、なぜマンゴー?」と思われるかもしれません。

これは「クリスマスに真っ赤なマンゴーを出荷したい」という宮崎県の生産者の願いを聞き、マンゴーを12月に出荷するのに必要な条件が北海道で可能であったことから有志が英知を結集、十勝の温泉水と夏まで溶け残る雪を活用して、日本一の糖度を誇るマンゴーの生産に成功したものです。

「マンゴーはシーズンもの」という従来の考え方を覆し、「クリスマスに美味しいマンゴーを届ける」というイノベーションを起こし、新たな顧客を創造したのですね。

 

帯広では、他にも様々な分野に挑戦を続けている方々と出会うことができました。

また帯広では意外なことに、全国の様々な地域からの人達を受け容れており、そのような方々も多方面で活躍なさっています。帯広は人材多様性(ダイバーシティ)の観点でも、あたかもシリコンバレーのようにイノベーションを生み出す素地があるのですね。

 

依田勉三のイノベータとしてのDNAは、十勝・帯広の人達の中に脈々と受け継がれていることを、今回の帯広旅行で実感しました。

 

 

2013-03-14 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

サイロ化を克服し、劇的にパフォーマンスを上げる全体最適

ある程度組織が大きくなると仕事が細分化されていきます。そして部門毎に個別最適化され、全体から見て非効率な状況になり、みんなが頑張っているに成果が出ない状態にになってしまいます。

これが「サイロ化」という現象です。

サイロとは、北海道などを旅行するとよく農場などで目にする、農産物・家畜飼料等を蔵置・収蔵する倉庫のこと。窓がなくて中から周囲が見えないので、組織が他と連携せずに孤立化しているたとえでよく使われます。

サイロ化はある程度の大きさの組織でよく見られる現象です。

「全体最適」は、このサイロ化された組織を全体的な視点で連携させて、組織全体のパフォーマンスを上げるための方法論です。

サイロ化された組織ばかりになり全体の力が発揮できない場合、全体最適することでパフォーマンスは劇的によくなることが多いのです。

ただこれを行うのは大変です。組織によっては数十以上の窓口の人達と率直に話し合い、現状を確認し、情報交換と連携を密にし、各組織とお互いにWin-Winになる落としどころを探りながら、進めていくことが必要です。

これがなかなか難しいのですよね。スムーズに話し合いができればいいのですが、お互いに人間同士なのでうまくいかないこともたまにあります。そうするとなかなか全体最適が進まないのです。

全員が納得できる全体のデザインはもちろん必要ですが、加えて必要なのは、まとめる立場の人自身のエゴマネジメントなのかな、と思います。

 

 

2013-03-03 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

会社の仲間と成果を祝う瞬間は、何ものにも替え難い

ちょうど1週間前の金曜日の夜、事業部の仲間が集まり、とても大きなパーティがありました。

昨年度と昨四半期、私が所属している事業部の業績が非常に良かったことを祝う会でした。(ちょうど数日前に決算発表があったので、やっとブログに書けます)

 

ビジネスですから、確かに仕事をしていると大変なことも多いのです。

しかし、同じ高い目標を共有してチームとして一緒に仕事し、難題にチャレンジして汗を流し、苦労してきた仲間とともに成果を祝い合う。これは本当に嬉しく、また素晴らしい瞬間ですね。

これは会社員だから経験できることなのかな、と思います。

ちょうど、プロ野球チームが優勝した際のビールかけと同じかもしれませんね。鬼のような勝負師達が、あの時ばかりは子供のようにはしゃいでいます。

 

なかなか会社員もいいものだ、と思いました。

 

 

2013-01-26 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

「ビジネスパーソン2.0」という考え方

ここオルタナティブブログでブログを書いている方々は、経営者もいれば企業の会社員もいます。皆さんは日々の仕事をしながら、実名で主体的にメッセージを出しています。本を書いている方も沢山おられます。

このようなビジネスパーソンのあり方は、一昔前には考えられなかったように思います。

  

右肩上がりの高度成長期は、会社が成長することで自分の活躍の場も広がる、しんどいながらも幸せな時代でした。仕事は大変でしたが、「滅私奉公」という言葉もあるように、会社に自分の未来を投影できた時代でもありました。

多くのビジネスパーソンにとって「会社での仕事が自分の人生」だったのではないでしょうか?

「24時間戦えますか?」というCMが話題になったのも、この頃です。

ちなみに私、27歳だった1989年に会社勤務の傍ら写真の個展を行いましたが、この時は「かなり変わった奴がいる」という目で見られました。

 

その後バブルが崩壊。終身雇用も崩れ、少子高齢化が進んできました。一方でバブル崩壊数年後にインターネットも登場しました。

「会社=自分」だったのが、どうも「会社≠自分らしいぞ」ということになってきました。

多くのビジネスパーソンが、漠然と「自分ブランドの確立」を考え始めます。

またでワークライフバランスという考え方も出てきました。

そして「24時間戦えますか?」とは真逆の「育MEN」という言葉が広がりました。

このような時代、多くのビジネスパーソンが「自分はいかに仕事に関わっていくべきか?」ということを改めて考え始めているように思います。

そしてそれは、「いかに自分の人生を生きるか?」ということなのではないかと思います。

 

このように考えると、ビジネスパーソンのあり方が進化しているのではないでしょうか?

仮に高度成長期までのビジネスパーソンのあり方を「ビジネスパーソン1.0」、現代のビジネスパーソンのあり方を「ビジネスパーソン2.0」と名付けてみます。

「ビジネスパーソン1.0」は、あくまで「組織の中の個人」。

一方で「ビジネスパーソン2.0」は、「組織の中の個人」でありながら「独立した個人」という面も持っています。ちょうど冒頭で書いたオルタナティブブロガーの皆さんは、そんな人達なのかもしれません。

 

あえて「ビジネスパーソン1.0」「ビジネスパーソン2.0」を比較してみると、こんな感じでしょうか?

 

ビジネスパーソン1.0

働く意味:自己実現=会社の成長
立場:インサイダー
会社と家族:滅私奉公
コミュニケーション:社内が主体
ソーシャルメディア:匿名参加

 

ビジネスパーソン2.0

働く意味:自己実現=自分ブランド確立
立場:インサイダー+アウトサイダー
会社と家族:ワークライフバランス
コミュニケーション:社外コミュニティへの参画
ソーシャルメディア:実名参加

 

インターネットなどで様々な情報を収集・発信したり、コミュニティを作ったりできるようになったことで、個人の能力も、高度成長期と比べて格段に大きくなりました。このことが「ビジネスパーソン2.0」の能力をも非常に大きくしていると思います。

実際に昨年のビジネス書のベストセラートップ10を調べてみたところ、半分がビジネスパーソンが著者でした。たしかに仕事の学びは日々実務に携わっているビジネスパーソンしか書けません。

ビジネスパーソンは、「ビジネスパーソン2.0」に進化することで、可能性が大きく広がる。

それは社会にとってもとても良いことなのではないか、と最近考えています。

 

 

リスクを避ける正気 vs. 成長を希求する狂気

2012/10/22の日本経済新聞のコラム『経営の視点 「守り」を恥じた孫社長 リスク回避、成長の芽摘む』で、イー・アクセス買収直後にスプリント買収を決めたソフトバンク・孫社長のTwitter上での言動が紹介されています。

「少し守りに入っている己を恥じ入る。もっと捨ててかからねば」(10/5、イー・アクセス買収発表の4日後)

「目標が低すぎないか?平凡な人生に満足していないか?」(10/10、スプリント買収発表の前日)

これらの言葉を紹介した後、コラムは次のように続けています。

—(以下、引用)—

それは成長を希求してやまないある種の狂気だ。….

飽くなき成長への欲望は、裏目に出れば会社を存亡の危機に追い込むかもしれない。だかリスクを避ける「正気」が会社をむしばむこともある。4期連続の赤字に苦しむソニーの幹部は、その原因を一言でこう言い表した。「CFO(最高財務責任者)経営」

CFOが悪いという意味ではない。バブル経済の崩壊後は、どの会社でもリスクを管理するCFOの権限が強くなった。「投資はキャッシュフローの範囲内で」「手元資金は厚く」。リスクを避ける経営を続けた結果、多くの企業が成長の芽を摘んでしまい、縮小均衡のアリ地獄にはまり込んだ。

—(以下、引用)—

確かに、日本全体でリスクを避け続け、チャレンジを忘れた結果が、今の状況になっているのかもしれません。

持つ立場になったことで、失うことを恐れているのかもしれません。確かに失うことは怖いことですが、考えてみれば最初に戻るだけです。でもそのようになかなか割り切れないところに難しさがあります。

 

その意味でも、私は個人的に孫さんの挑戦は応援したいと思います。

 

 

2012-10-23 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

まずテザリング対応を発表し、次にイー・アクセス買収を決めた孫さんのすごさ

先日のエントリー「実は今後の通信業界勢力図のキャスティングボートを握っていたイー・アクセス」で、ソフトバンクのイー・アクセス買収について書きました。

改めて孫さんが凄いなぁと思うのは、まずテザリング対応を発表して、その後でイー・アクセスの買収交渉し、まとめあげたところです。

普通の企業の経営者ならば、まずイー・アクセス買収を合意した上で、テザリング対応を発表すると思います。

しかし、孫さんが凄いのは、まず市場に対してタイムリーにメッセージを出すことがなによりも大切であることを十分に理解していた点。そしてリスクを取ってテザリング対応を発表し、その上でプレミアムを付けて買収合戦に勝利した点です。

「リスクを取ったスピードある経営判断が出来ること」が現代の企業にとって貴重な資産であることと、改めて思いました。

 

 

2012-10-06 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

実は今後の通信業界勢力図のキャスティングボートを握っていたイー・アクセス

2012/10/2、ソフトバンクがイー・アクセスを買収することが発表されました。

ソフトバンクは時価総額の3倍強となる1800億円をイー・アクセスに提示。先行するKDDIとの買収合戦に対して、出遅れたソフトバンクが急速に巻き返して制する結果になりました。

買収によりソフトバンクは携帯電話契約数で2位のKDDIに迫ります。しかし買収目的は単なる契約数獲得だけではないようです。

2012/10/2の日本経済新聞の記事「ソフトバンクがイー・アクセス買収、1800億円、電波争奪戦を制す」によると、背景にはスマホの電波争奪戦があります。

ちょっと長めの引用ですが、重要なポイントが網羅されていますのでご紹介します。

—(以下、引用)—

「基地局数でも電波を受けられるエリアの広さでも競合他社を上回る」。ソフトバンクの孫正義社長は1日、都内で開いた記者会見で経営統合のメリットを強調した。

 ソフトバンクが狙うのはイー・アクセスが3月から高速携帯電話サービス「LTE」を始めた1.7 GHz帯の周波数。同周波数帯は米アップルが新型スマホ「iPhone 5」で世界標準の電波に指定しており「これまでと価値が全く変わった」(孫社長)。

 ソフトバンクは現在、LTE向けに2.1 GHz帯の電波を使っているが、イー・アクセスとの経営統合で1.7 GHzも使えるようになる。端末はつながりやすい周波数帯を選んで接続することになり、「利用者にとってスマホの商品価値が上がる」(孫社長)。

(中略)

 ソフトバンクにとってイー・アクセスをKDDIに奪われるのは死活問題だった。ソフトバンクは7月、「プラチナバンド」と呼ばれる900 MHz帯の周波数の運用を始めたが、それでもNTTドコモとKDDIに比べて電波の割り当てが少ない。KDDIがさらに電波を増やせばiPhoneの販売競争で後手に回るのは確実だった。

(中略)

 ソフトバンクの孫正義社長は「企業価値を適正に評価した」と強調。イー・アクセスから新しい周波数帯や顧客基盤を獲得できるほか、ネットワークの共用などで、企業価値は7220億円に達するとソフトバンクはみる。つまり、買収で得られるインフラなどの価値を評価したわけだ。

—(以上、引用)—

この記事を見ると、ソフトバンクにとってイー・アクセス買収がいかに重要だったかがよく分かります。そしてその背景にはiPhone 5のLTE対応があったということです。

 

翌2012/10/3の日本経済新聞の記事「楽天からも買収提案、ソフトバンクと統合するイー・アクセス」では、買収される側となったイー・アクセスの千本会長の談話が掲載されています。

一般的に弱い立場とみられる買収される側が、実は今後の通信業界勢力図を決める上でキャスティングボートを握っている様子が分かる貴重な談話です。

—(以下、引用)—

「具体的に話が動いたのはこの1~2週間。ソフトバンクがiPhone 5を発売し、テザリングを実施すると決めた後、孫正義社長から直接連絡があり、一気に盛り上がった」

(中略)

(ソフトバンクに決めた理由は)

「当社が持つ1.7 GHz帯の周波数は高速携帯電話サービスのLTE向けに世界で最も使われる『宝の山』だ。ソフトバンクはこの周波数を最も良く活用し相乗効果を発揮できる。通信インフラもスウェーデンのエリクソンや中国の華為技術(ファーウェイ)など同じ事業者のものを使っているため、統合が早く進みコスト削減を図れる」

 「ソフトバンクは他社に比べ交渉の反応も早くとても情熱的だった。当社とDNAが似ていると感じられ、スピード感があったことも決め手の一つになった」

—(以下、引用)—

当初、ソフトバンクはiPhone 5でテザリングを行わない方針でしたが、孫社長が急遽テザリング対応を発表したのが9月19日。そこから買収発表までわずか2週間。

千本会長が「具体的に話が動いたのはこの1~2週間」とおっしゃるタイミングとピタリと一致します。

実際にはそれぞれの立場で表に出てこない様々な思いがあることと思いますが、経営の立場で考えると、ソフトバンクによるイー・アクセス買収はまさに両社にとってWin-Winの関係だったことがよく分かります。

 

記事の最後で、千本会長は次のように語っておられます。

—(以下、引用)—

「…..もともと自力の成長戦略を取っていたが、ソフトバンクとの経営統合で相乗効果が高まり、社員が活躍できる場も広がると感じている」

—(以下、引用)—

社員を預かる経営者の立場では、恐らくこの視点がとても大切だったかと思います。

 

 

2012-10-04 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

カリスマを継ぐということ

CNETに「ジョブズ氏からクック氏へ、CEO交代から1年–アップルで何が変わったか?」という記事が掲載されています。

稀代のカリスマ経営者であるスティーブ・ジョブスの後を継いだクックですが、記事にも「Cook氏はAppleを引き継ぎ、自分の流儀で鍛え直したのだ」とあるように、ジョブスと同じ経営スタイルは目指さないという点を徹底しているようです。

 

日本でも、ユニチャームの社長として、父であり創業者のカリスマ経営者・高原慶一朗さんの後を引き継いだ高原豪久さんは、着任当時、創業者の事業を大胆に見直し、事業を再構築しました。

高原豪久さんは2010年の日経フォーラム・世界経営者会議で次のように語っています。

—(以下、引用)—

創業者は突然変異の生き物であり、同じ土俵では勝負できない。私が取り組んだのが創業者一人が会社をけん引するカリスマ経営から、トップと従業員がベクトルを集中させて事に当たる「共振の経営」への転換だ。

—(以上、引用)—

 

ユニチャームはその後、事業を大胆に見直して「不織布の技術をベースに日用品分野で世界一の企業を目指す」という目標を掲げ、創業事業の建材事業を売却したり、芳香剤や幼児教育事業から撤退しました。その後のユニチャームの成長は皆様よくご存じの通りです。

 

カリスマというのは個性そのものであり、後継者には全く異なる資質が求められる、ということなのかもしれません。

 

 

2012-09-12 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

仕事を移って半年経ちました。そして今、思うこと

私は十数年前、30代中頃まで開発チームでチームリーダーをしていました。

その後、14年前にマーケティングの必要性を痛感し、マーケティング職に転じました。

今年の初めに50歳になった時、「もう自分がマネジメントの仕事をすることはないだろう」と漠然と考えていました。

しかし今年2月末にある部門のマネジメントの打診をいただき、14年間のマーケティングの仕事を卒業させていただいて、今年3月から14年ぶりにマネジメントの仕事をさせていただきました。

お受けしてから半年が経とうとしています。

 

田坂広志先生の著作に「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」という本があります。

5年前に一度読んだ際に、将来再びマネジメントの仕事をすることがあれば、再度読んでみようと思っていました。

数日前、本書を5年ぶりに読みましたが、半年前には言葉でしか分からなかったことが、改めて実際にマネジメントの仕事をさせていただいた今、身を以て実感しています。

 

「なぜ私はマネジメントの道を歩もうとしたか。….(それは)一人の人間として「成長」できるから」(p.36)

「部下の人生を預かるという『重荷』ゆえに、マネージャーは成長できる」(p.37)

「仕事は、苦労や困難があるから,『働き甲斐』を感じることができる」(p.148)

「人生は、苦労や困難があるから,『生き甲斐』を感じることができる」(p.148)

「経営者やマネージャーは、部下や社員の『成長』を支えなければならない」(p.166)

 

まだまだ自分自身の未熟さを痛感しておりますが、以前は心の世界が見えていなかった、ということも少しは実感できるようになりました。

この仕事をさせていただいて、本当によかったと実感しています。

 

 

2012-08-28 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

ついに、中国経済が変調し始めた?

「チャイナ・ウォッチャーの視点 中国で月餅の生産が半減?数字が示す経済の本格的な衰退」で石 平さんが中国経済の変調を紹介しています。

・温州市(輸出製造業の一大生産基地)では、約4000社の民間製造業の60%が操業停止
・今年上半期の鉄道建設投資は、前年度比4割減
・鉄鋼産業の利益は約95%減

記事では、以下のように締め括っています。

—(以下、引用)—

このように、現在の中国経済は輸出も不動産も公共事業投資も全部落ち込んだ状況の中、「成長の新しいエンジン」として期待を寄せられている消費までも冷え込んでしまうと、中国経済の全面衰退はもはや避けられないすう勢であろう。

成長と繁栄の「響宴」は、確実に終わったのである。

—(以上、引用)—

 

一方で、2012/08/19の日本経済新聞では、「中国国家統計局が7月の主要70都市の新築住宅価格動向で、50都市で前月の水準を上回った」という記事が掲載されています。景気下支えのための金融緩和に不動産市場がいち早く反応した結果であり、政府は不動産取引規制の徹底を地方政府に指示しているとのことです。

政府は様々な景気刺激策を打っているようです。

 

日本の経済は、今や中国の影響を大きく受けます。

あくまで一時的な変調なのか?あるいは大きな衰退の流れに入るのか?

今後、中国経済がどのように変わっていくか、しばらくは動向を見ていく必要がありそうです。

 

 

2012-08-26 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

海賊版CD 400万枚!それでも、莫大な売上を上げている理由

クリス・アンダーソン著『フリー〜〈無料〉からお金を生みだす新戦略』は、フリーミアム、つまり「無料」のビジネスモデルを解説した名著です。

このフリーミアムのビジネスモデルは、ラジオ放送やテレビ放送など昔から様々な手法がありました。

一方でインターネットが普及し、デジタル財をほぼゼロのコストで個人がやり取りできるようになり、さらに新しいビジネスモデルが生まれています。(このブログをご覧になっている方々にとっては、今さら言うまでもないことだと思います….)

 

たとえば本書では中国の香香(シャンシャン)という25歳のポップスターの例が紹介されています。

香香はCDを400万枚出していますが、そのほとんどは海賊版。

CDからはほとんどお金は入ってきません。従来の考え方からすると大損です。

しかしCDで知名度を上げることで、メディアやCMに出演したり、コンサートツアーをしたりして莫大な売上を上げています。

香香にとって、不正コピー業者は最高のマーケティング担当者だ、と本書では紹介されています。

 

本書を読んで、フリーミアムに限らず現代においては、ほんの10年前には常識だったことであってもその先入観は捨てる必要がある、と感じました。

 

 

2012-08-19 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

アマゾンは、個人にとっても電子商取引のインフラ

日経ビジネスオンラインに「アマゾン、電子商取引のインフラ企業に変貌」という記事が掲載されています。

—(以下、引用)—

アマゾンが提供するインフラのサービスは、マーケティングや顧客対応、支払い処理などの様々なコンピューティング処理から商品調達、配送まで代行してくれるので、経営者はモノであれソフトであれ、良い商品を作るか見つけるかするだけでよい。顧客対応や支払い、配送といった業務は従来、企業内部にとどめておくのが常識だったが、時代は変わった。

—(以上、引用)—

このことは、私自身も個人として実感しています。

私はこれまで6冊の本を出版していますが、すべては2009年にアマゾンのe託販売で出版した処女作「戦略プロフェッショナルの心得」から始まりました。

そしてこれまで出版した6冊のうち、3冊は自費出版。

この3冊のうち2冊はアマゾンジャパンの「e託販売」で出版しました。

もう1冊の英語版は米国AmazonのKindle Direct Publishingで出版しています。

私の場合はたまたま本ですが、別にこれは本でななく商品やサービスでも可能です。

ですので経営者に限らず、幅広く個人にとっても、電子商取引のインフラとして活用できる訳ですね。

実は私も2009年に「e託販売」というキーワードを聞いたところから始めました。

思ったよりも容易に活用できますので、ご興味のある方はAmazonで活用できるサービスがないか、調べてみることをお勧めします。

 

 

2012-08-02 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

オンラインで、完全オリジナルな名刺がサクッと10分で作れました

先週金曜日の夜、初めての集まりに参加しました。

初対面の方々ばかりだったのですが、ふと気がつきました。

「そう言えば、個人の名刺をもう2年も作っていない」

随分前に作った名刺は持っていたのですが、改めて見直すと何をやる人なのかよく分からない名刺でした。

 

ということで、作ることにしました。

色々と探してみて見つけたのが下記サイト。

アイボス名刺

トップページを見るとちょっと分かりにくいのですが、ブラウザーの画面上で簡単に名刺が作れます。

こんな感じ。テキストも、文字の大きさも、位置も、写真も簡単に自由に変更できます。(メールアドレスは隠しております(笑))

Meishiomote

裏面に自分の主な著書も掲載してみました。

Meishiura

写真画像さえ揃えておけば、10分もあれば編集できてしまいます。

そしてその場で注文。100枚作って2,680円でした。

随分と簡単になりましたね。

完成品が届くのが楽しみです。

 

 

2012-07-29 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

「高いよね」、「はい。高いです」

数年前に、オルタナブロガーでありトップレベルのコンサルタントでもある北添さんのご講演をお聞きした時の言葉。

よくお客様から、「コンサル料高いよね」と言われます。

そういう時、こうお答えします。

「はい、高いです」

北添さんが手がけられてきた案件は、難易度が極めて高い案件ばかり。トラブルプロジェクトに呼ばれて収拾にあたることが多いと伺っています。

ある程度レベルが高いコンサルでも投げ出すことも多く、長期間プロジェクトに部下を入れると精神的にバランスが取れなくなってしまう場合もあるので引き上げるタイミングの見極めも重要だそうです。

このような案件をお願いできるコンサルは、非常に限られています。

一方で依頼されるお客様は切羽詰まっており、コンサルを依頼しないと巨額の損失が積み重なってしまう状況にいらっしゃいます。

 

だからコンサル料が高い。

しかし高くても依頼が来る。

それは、お客様にとっての価値が極めて高いからです。

 

本来、「高付加価値を提供する」とはこういうことなのではないかと思います。

 

 

「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は禁止。あんなものは会社にとってちっともいいとは思えない

「日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”」を読みました。未来工業という会社の創業者・山田昭男さんが書かれた本です。

未来工業は1965年の創業以来、赤字なし。平均15%以上の高い経常利益率で成長しています。

その未来工業の創業者が書いた本書のオビにこんな言葉が並んでいます。

「60歳からは給料は据え置き。下げないよ。定年前こそ、人は働くんだよ」

「残業したい?だったら、もう一人雇いなさいよ」

「俺の知らない間に営業所ができてんだよ。なにせ報連相禁止だからね」

「大量生産で単価下げろ?たくさん働かなきゃなんないんだから、単価上げたいくらいだよ」

「採用面接なんか俺しないよ。俺が選ぶのも社員が選ぶのも変わらんし」

「正社員でない人間が、まじめに技術を覚えようとするだろうか」

どれも刺激的な言葉です。

例えば、「報連相禁止」

山田さんは以下のように語っておられます。

—(以下、引用)—

例えば、未来工業は「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は禁止している。あんなものは会社にとってちっともいいとは思えないからだ。

社員が多い大企業ならともかく、うちくらいの中小企業には必要ない。

現場のことは現場の人間が一番知っているんだから、よくわかっていない上司に相談するだけ時間の無駄だよ。

うちでは、最低限の報告をする以外は、全て自分で考えて、自分の判断で行動させている。出張だって、自分が必要だと思えば勝手に出かけているはずだ。

—(以上、引用)—

つまり「報連相禁止」で野放しでなのではなく、徹底的に権限委譲をしています。そして権限委譲しているから、一人で必死に考えるようになる。その背景には、徹底した社員への信頼があります。

確かに私が勤務先しているような会社で「報連相禁止」したら業務は止まります。しかし未来工業ならば、権限委譲するという前提でうまく動く。

このように、一見荒唐無稽に見えること一つ一つが、未来工業ならではの差別化を真剣に考えた結果です。

山田さんは随所で「それが日本人のメンタリティだよ」と書いておられます。確かに海外ではこれを実行しようとしても難しい国は多いかもしれませんね。

自分の固定観念を覆す上で、とても参考になった本でした。

 

 

2012-07-19 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

IBMが創業以来持ち続けてきた3つの信条「最善の顧客サービス」、「完全性の追求」、「個人の尊重」はなぜ形骸化したのか?そしてどのように再定義されたのか?

私が日本IBMに入社した1984年、IT業界は常に二ケタ成長をしている成長産業であり、IBMは世界で大型コンピューターでダントツのシェアを持ち、エクセレントカンパニーと呼ばれていました。

当時のIBMには、創業当初から保持し続けていた「3つの信条」というものがありました。

「最善の顧客サービス」
「完全性の追求」
「個人の尊重」

これは50年以上にわたってIBMの文化を醸成し、あらゆる意思決定の基本になっていました。

私が入社した頃、この3つの信条を徹底して覚えたものです。

 

しかしIBMは1990年代前半の経営危機を迎えて、この3つの信条は変ってしまいました。昨年出版された、「世界をより良いものへと変えていく」 のp.161にそのことが書かれています。

—(以下、引用)—

「個人の尊重」は何十年という月日を経るうちに、ある種の既得権に変化していた。

「完全性の追求」は、決断をにぶらせる完璧主義になっていた。

そして「最善の顧客サービス」は、「顧客のためならどんなことであっても期待に沿わなくてはならない」と解釈されることも多かった

—(以上、引用)—

自分は当時のIBM社内にいましたが、このことは肌で実感しました。実は「100円のコーラを1000円で売る方法」にもこの頃の体験を一部ベースに描いています。

このような変化は、IBMに限らずどの企業にも起こりうることなのでしょうね。

 

こんな中でCEOに就任したガースナーは、1990年代にIBMをサービス・カンパニーに変革することで蘇らせましたが、この「3つの信条」には手をつけることはありませんでした。

 

しかし時代が進んでパソコンやインターネットにより世の中が急激に変化する中で、「3つの信条」も見直しが必要になりました。

そこで2003年にIBMのCEOに就任したパルミサーノは、この新しい価値観を民主型アプローチで再定義しました。

具体的には2003年から2004年にかけて2回、全世界のIBM社員が参加し、Web上で数万人が3日間かけて我々の価値観、存在意識、誇りについての意見を交換しました。

その結果、「三つの信条」は、以下のように「IBMers Value」に変りました。

「最善の顧客サービス」「お客様の成功に全力を尽くす」 (Dedication to every client’s success.)

「完全性の追求」「私たち、そして世界に価値あるイノベーション」(Innovation that matters – for our company and for the world.)

「個人の尊重」「あらゆる関係における信頼と一人ひとりの責任」(Trust and personal responsibility in all relationship)

過去の「3つの信条」を否定するのではなく、それをベースにした上で、新しい時代に合わせて書き換えたのが「IBMers Value」です。

私が入社した頃にことあるごとに「3つの信条」をたたき込まれたのと同様に、この「IBMers Value」もことあるごとにメッセージされています。

数十万人規模の企業が、このように全社員参加で企業の価値観を定義するのは、珍しい事例かもしれません。

 

 

2012-07-12 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

ビジネスの数字も、夢も、追い続ける

2012/4/20の日本経済新聞の記事「ダル経済効果、松坂以上」という記事で、大リーグ・レンジャーズ運営部門・副代表のヤヌセフスキー氏がインタビューに答えています。

—(以下、引用)—

….松坂大輔の2007年の入団時より経済的な効果は大きい。現時点で既に日本企業3社と契約した。日本で放映されるオープン戦の視聴率もいい。6年契約を結んだため、長期で戦略を練ることができる。

10年のシーズンは9000枚だったシーズンチケットは今年は21000枚も売れた。…収入も年22〜25%ずつ増えている。

昨年、「あと一死で世界一」という場面を二度も逃して負けた。ファンはつらいけど、こういう経験が積み重なって、チーム愛が培われる。有にもこうしたレンジャーズの歴史の1ページを共有してほしいと願っている。

—(以上、引用)—

確かに大リーグは夢を売る商売でもあります。

戦略をキッチリと立てて冷静にビジネスの数字を追い続ける一方で、夢も追い続けるその姿勢が素晴らしいと思いました。

記事を拝読し、私たちも日々の仕事でビジネスと夢の両方を追い続けていきたい、と思いました。

 

 

2012-04-22 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

工藤公康さんから学ぶ、プロの姿勢

プロ野球解説者の工藤公康さんが、2012/4/10の日本経済新聞「スポートビア 真の”プロ”への道」というコラムで、1995年に西部からダイエーに移籍し1999年に初優勝するまでの話を書いておられます。

プロとしての姿勢を学ぶ上で、大変勉強になりましたので、引用させていただきます。

—(以下、引用)—

 経験値は打たれたときや負けたときの方が上がる。失敗を反省し、ノートに付け、どう次につなげるかを考えた。相手の強みやチーム状況を理解すれば、同じ失敗を繰り返さずに「何をすればいいか」が見えてくる。

—(以上、引用)—

確かに自分のことを考えても、うまくいった時はふり返ってみるとあまり学ぶことがありません。

学ぶのはなかなかうまくいかず何回も失敗を繰り返してどうにかこうにか結果を出した時。

「なぜ」を何回も繰り返すと、必ず自責にたどり着きます。他人の責任に転嫁している間は物事は解決しません。自責の問題として考えることが大切なのですよね。

 

また当時高卒ルーキーだった城島を一人前の捕手にするため鬼に徹して接し、優勝した時のことも書かれています。

—(以下、引用)—

城島は見事に期待に応え、チームは優勝という美酒に酔った。城島が一人前に育ってくれたことで、ある意味、私のダイエーでの仕事は終わったのかもしれない。

—(以上、引用)—

一選手にして、この自覚を持っていた工藤さん。私たちビジネスパーソンもこのような考え方で後輩に接して育てているのか。改めて考えさせられる話です。

 

工藤さんは以下のように締め括っています。

—(以下、引用)—

….知識と経験を重ね、意思を持って自分を鍛えていく。そうした過程を経て生まれた自覚があってファンや周囲の人々に感謝できるようになる。その時こそ真のプロといえるのではないか。

—(以上、引用)—

自覚が生まれると自然と周りに感謝できるようになる。それが真のプロ。

改めて自覚していきたいと思います。

 

 

2012-04-11 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

1+1=2ではなく、1+1>3を狙う

小林製薬は、「"あったらいいな"をカタチにする」というコーポレート・スローガンを持っておられて、「今までになかったもの」を作ることをモットーされている会社です。

2012/3/16の日本経済新聞夕刊に「人間発見 小さな池で大魚釣る(5)小林製薬会長小林一雅さん」という記事が掲載されています。

小林製薬は2001年に使い捨てカイロの桐灰化学を買収、2005年には「命の母A」の独占販売権取得、2008年には肥満症改善薬「ビスラットゴールド」の商標権を取得、等、M&A(合併・買収)を加速しています。

小林会長は以下のように語っておられます。

—(以下、引用)—-

M&Aの決め手は小林製薬がその事業を再生できるかどうかやと思うてます。単にその事業の売り上げと利益が上乗せされるだけのM&Aやったらやらん方がまし。それまでのやり方で成果を出せへんかったところを見極め、小林製薬のマーケティングや販売、企画開発力で生き返らせて利益を出すようにできるM&Aやったら今後も積極的にやろう思うてます。

—(以上、引用)—-

「単にその事業の売り上げと利益が上乗せされるだけのM&Aやったらやらん方がまし。」というのは、M&Aでとても大切な視点だと思います。

M&Aの結果が1+1=2、つまり売上と利益が上乗せされるだけならば、社会的には価値を生み出していません。

1+1>3を実現する、つまりM&Aで相乗効果を出して売上と利益が何倍にも増えることで、はじめて社会に価値を生み出します。

自社の強みと、相手の強みをいかに組み合わせて新しい価値を生み出すか。その視点がM&Aを仕掛ける側に必要なのでしょう。

 

 

2012-03-17 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

正攻法の企業再生と、現場がビックリする実行力

2012/02/29の日本経済新聞の記事「ニッポンの企業力 サバイバル(4)再生に奇策なし」で、日本企業の企業再生事例がいくつか紹介されています。

最初に紹介されているのは日本航空です。

—(以下、引用)—

V字回復を呼び込んだ再建策の柱は(1)国内外の不採算路線の廃止(2)燃費効率の悪い「ジャンボ」全40機の退役(3)3割の人員削減と賃金カット――。…..

(中略)

部会の主力はカネボウやダイエーの再生に関わった旧産業再生機構のメンバー。企業再生のプロたちは1カ月で日航の患部を見つけ出した。しかし権限や出融資機能を持たない部会は、債権カットに反発する銀行団の合意を取り付けられず、報告書は前原の机の引き出しにしまわれた。

(中略)

厳密に言うと、日航再生のアイデアを出したのは部会でもない。09年9月に日航に乗り込んだ田作らは、30代、40代の中堅社員に集中的にインタビューした。守秘を確約すると、警戒していた中堅社員たちが、せきを切ったように語り始めたという。「ジャンボを捨てれば収益は改善する」「政治家に押しつけられた不採算路線を切りたい」

—(以上、引用)—

 

記事ではその次に日産が紹介されています。

—(以下、引用)—

日産自動車社長のカルロス・ゴーン(57)も現場から解を引き出した。1999年、仏ルノーから日産に乗り込んだゴーンは部課長を集めてアイデアを吸い上げて「日産リバイバルプラン」をつくった。

(中略)

だがゴーンが経営者として真のすごみを見せたのは、7期ぶりの減益になった07年の株主総会だ。ここでゴーンは自らの代名詞だったコミットメント経営を「修正する」と言い出した。

リーマン・ショック前にもかかわらず、先進国で販売台数を伸ばす短期志向をやめ、新興国で種をまく戦略に切り替えた。成果は出ている。中国などでシェアを伸ばした日産は12年3月期、最終利益で国内自動車業界の首位に立つ見通しだ。

ゴーンが軌道修正できたのはなぜか。カギを握るのが「多国籍軍」と呼ばれる日産の経営陣だ。仏、英、米、日。会議では異なる価値観を持つ役員が議論を戦わせる。トップが「裸の王様」になりにくい環境だ。

—(以上、引用)—

両社に共通するのは、現場レベルが「当たり前」と考えている正攻法の判断をし、それを徹底的に実行した、ということです。

しかし実際にそのような状況で社内から「当たり前」の正攻法の提案をしても、しがらみが大きく、その「当たり前」がなかなか決断したり実行できないことが多いように思います。

記事は次のように続きます。

—(以下、引用)—

…..佃秀昭(48)は、93年に食品大手RJRナビスコから転じて米IBMを立て直したルイス・ガースナー(69)を例に引き「大きな非連続が必要なときは、しがらみなく前例を否定できる外部人材をトップに登用した方がよい」と指摘する。

—(以上、引用)—

確かに、稲森さんも、ゴーンさんも、そしてガースナーも外部から来たトップです。

私も20年前のIBM企業再生をリアルタイムで経験しました。

ガースナーが来るまでなかなか変わらなかったIBM社内が、その後、当たり前のことを徹底的にやる、という社内変革を内部で経験できたことは、私にとって財産だと思います。

一方で、DIAMOND ONLUNEの記事「JAL再生"奮闘"記」で、稲森さんが乗り込まれた日本航空社内の様子が、実際に奮闘しておられる役員の方の発言として掲載されています。

—(以下、引用)—

びっくりしたのは、予測に対して実績が上ぶれしても叱られたことです。以前ならば、予測よりも実績が多いのだから、良かったじゃないかと思いますが、稲盛は予測を外したことに対して叱ります。精度が悪い、しっかり予測を立てろ、と。それは厳しい。ラッキーだったねとか、良かったねとは、絶対に言いません。

—(以上、引用)—

企業再生では、処方箋や戦略は「当たり前」の正攻法であっても、日々のオペレーションレベルでは現場が「今までの感覚からすると『びっくり』した」と言うような実行力が必要なのかもしれませんね。

 

2012-03-01 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

ビジネスシーンでのヒゲ、時代と共に変わる許容度の変化

私がヒゲを生やし始めたのは43歳からです。

 

参考までに、1999年、私が37歳の時に講演した頃の写真がASCII.jpの記事「【CT World Expo No.2】音声合成・音声認識・音声認証がこれからの注目株か」に掲載されています。

もう13年も前ですね。

この時はヒゲを生やしていませんでした。

 

実は2002年頃、40歳の時に半年ほどヒゲを生やしていた時期があります。

この頃は周りにヒゲを生やしている人がいなくて、結構目立ちました。

では何でヒゲを生やしていたかというと、私の場合、ヒゲがないと結構アクセントがない顔になってしまうのですよね。(上の13年前の写真などを見ると、確かにそうですね)

ある海外の方からは、「日本人は全体に幼く見えるけど、確かにヒゲを生やした方がいいね」とも言われました。

ただある方から「ちょっとどうかな?」と言われたのがきっかけで、この時はヒゲをやめました。

 

その後2005年、43歳からまたヒゲを生やして、今に至っています。不思議とこの頃からあまり周りの抵抗感も少なくなったように感じます。

今や、ヒゲを生やしているビジネスパーソンは結構多いですよね。

 

誠で「ビジネスシーンでのヒゲ、立場によって見え方に変化」という記事があります。

「そもそも、ヒゲを生やしてもいいんだっけ?」というほんの10年前と比べると、このような記事が出ること自体、いい時代になったものです。

一方でこの記事を読んで、もしかしたらヒゲを生やしているのは、私自身がある程度の年齢になったこともあって、逆に結構いい印象を与えるのかもしれない、と思いました。

 

 

【祝】ライフネット生命保険、上場承認

私は1年前からライフネット生命の生命保険契約をしています。

契約者なので、ライフネット生命から契約者に対して、出口社長名で2012/2/10(金)に送られた「ライフネット生命、上場承認に関するお知らせ」というメールが届きました。

一部抜粋させていただきます。

—(以下、抜粋)—

上場は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な保険商品・サービスを提供し続ける」というライフネット生命の生命保険マニフェストを実現するための一つの手段であり、上場によって、私たちライフネット生命の経営方針が変化することはまったくありません。

「ライフネットの生命保険マニフェスト」

私たちは、これまで通り、お客さまが「比較し、理解し、納得して」生命保険に加入するための努力を惜しむことなく、透明性の高い生命保険の選び方を推奨し、「生命(いのち)のきずな=ライフネット」を世の中に広げていきたいと考えておりますので、どうか引き続き、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

—(以上、抜粋)—

まさに「直球勝負」の出口社長、そしてそれを企業文化としているライフネット生命らしいメッセージです。

 

ライフネット生命は2006年に創業。営業開始は2008/5/18。

私が初めてライフネット生命を知ったのは、ITメディアで2008/8/11に掲載された記事『「ライフネット生命」――たった2人で始まった、営業ウーマンいらずのネット保険』でした。

 

その1年半後の2010/1/22、私は初めて出口社長のご講演を拝聴する機会をいただき、大変感銘を受けました。

このご講演を当ブログの「共感をエンジンとして成長していく、ライフネット生命保険」というエントリーで書かせていただきました。

すると直後にTwitterで、出口社長と岩瀬副社長のお礼のTweetをいただきました。これにはとても驚きました。

 

この講演で出口社長は、参加者(約100名)に対して、「もしご興味がありましたら、いつでも当社に遊びに来て下さい」とおっしゃっていました。

図々しい私はお名刺交換した出口社長にメールで、「『ビジネスパーソンの出版戦略』という本を考えておりまして、是非取材させて下さい」というお申し入れをさせていただいたところ、出口社長からご快諾をいただきました。

そのインタビューの様子は、2010/8に当ブログで紹介させていただきました。

出口治明さんインタビュー(その1) 「『書きたいから、書く』のが一番です」

出口治明さんインタビュー(その2)「情報は、発信すればするほど、集まってくる」

出口治明さんインタビュー(その3)「個人の出版は、日本の将来のためにもよいことです」 

 

そして2011/11/9、朝カフェ次世代研究会で出口社長にご講演をいただきました。

その時の様子は下記ブログで紹介しています。

第27回 朝カフェは、ライフネット生命保険社長 出口治明さんの「情報発信の需要性」。朝カフェ史上最大の盛り上がりでした #asacafestudy

朝6時半開始にも関わらず参加者40名、NSI 100。素晴らしい盛り上がりでした。

  

このように、個人的にも大変お世話になっている出口社長と、ライフネット生命。

上場の承認は、まるで自分のことのように嬉しいです。

 

ライフネット生命の社員の皆様、関係者の皆様、おめでとうございます!

日本全国へ、アジアへ、そして世界へ。

ますますのご発展を!

 

 

2012-02-13 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

IBMの新CEO、Virginia (Ginni) Romettyって、どんな人?

IBMの取締役会は、Samual Palmisano CEOの後任として、Virginia (Ginni) Romettyを選出しました。IBM 100年の歴史で、初の女性CEOです。

社内では、Samuel Palmisanoは「サム」とか「パルミサーノ」と言われることが多かったのに対して、Ginni Romettiの場合は「ジニー」と呼ばれています。

既にジニーがコンサルティング事業に長年携わってきたことや、PwCCとIBMコンサルティング部門の統合を成功させたこと等が、マスメディアで報道されています。

私は個人的な面識はありませんが、今年、ジニーを強烈に印象づける出来事がありました。

 

それは3月23日。

大震災12日後、急遽来日し、箱崎にある日本IBMの本社に、日本IBM社員を励ますためにやって来たのです。

原発の状況も不透明で、海外から来日するのは、抵抗感ある人も多かったと思います。

私個人はこの出来事で、ジニーがリーダーシップある人だと印象づけられましたし、将来はIBM全体をリードする人になる、と思いました。

 

就任は2012年1月1日。Palmisanoの後を受けて、さらにIBMを成長させるという挑戦が始まります。

 

VHS開発物語を描いた映画「陽はまた昇る」を、Apple TVで観ました

映画「陽はまた昇る」を観ました。

NHKのプロジェクトXにも取り上げられた、VHS開発物語です。

主演のビクター・ビデオ事業部長の西田敏行さん、ビデオ事業部次長の渡辺謙さん、ビデオ事業部長の奥さんに真野響子さん、他にも、仲代達矢さん、緒方直人さん、さらに江守徹さん、篠原涼子さん、倍賞美津子さん、夏八木勲さん、といった豪華キャストです。

 

西田敏行さんが演じるビデオ事業部長と、それを支える渡辺謙さんが演じる次長がすばらしいです。

全事業部一律2割人員削減との全社方針が出され、しかも当時は会社のお荷物となっていたビデオ事業部。しかし西田さん演ずる事業部長は、悪い言い方をすると「のらりくらり」と本社の指示をかわしながら、240名の事業部社員の半数を営業に回して売上を確保する一方で、会社に秘密で家庭用ビデオ開発を続行。次々と立ちはだかるハードルを乗り越えて、ビデオ事業を成功させ、間もなく定年退職。最後には感動的な場面が待っています。

 

私はとても観てよかったと思いましたし、映画の批評コメントでも高い評価が多くありました。

おそらくそれは、ここに登場する人達が、歴史にはおそらく名前も残ることがない、私たちと同じ普通のビジネスパーソンであり、私たちビジネスパーソンも全く同じ環境で仕事をしているからなのかな、と思いました。

ですので、「ドラマは、目の前の職場にあるのだ」という気づきと、「仕事がどんなに窮地に陥っても、諦めなければ、道は開けるのだ」という勇気をいただけるのではないかと思います。

 

そして、「自分はいつもその気持ちで仕事をしているのか?」と自問してしまいました。

 

なお、当映画では、会社名はすべて実名です。当初は仮名で企画したそうですが、プロデューサーが「やはり実名で」と考え、各社と交渉したところ、どの会社も実名を出すのを快諾したそうです。なお、内容は映画向けに一部フィクションを入れて作り替えています。ですので、一部には事実とは異なる部分もあるようです。

 

ちなみに、このVHS開発物語の映画、私はApple TVで観ました。自宅に光ネットが開通し、高速になったので、Apple Storeでレンタルしてダウンロードしました。手順は画面で選んでクリックするだけで、とても簡単。

こちらに書きましたように、1976年に生まれたVHSビデオも、35年経って役目を終えようとしています。そして1976年当時は存在しなかったレンタルビデオ屋に現在あるのは、DVD。

そして、その35年前のVHS物語を、2011年、ネットでレンタルして見ている。

時代の流れの速さを感じます。

 

 

 

2011-09-24 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom

トロイカ体制の経営スタイル

先日のある講演で、トロイカ体制で経営している会社のお話しをお聞きしました。

トロイカ体制でリードしている組織は多くの場合、お互いの意思疎通がうまくいかなくなることが多いようです。例えばなにか決定する際に1対2で多数決で決めることになると、残った1人がしこりを持ち続けたり、あるいはなれ合いになってしまい最終責任が不明確になったり、ということがよく起きます。

しかしこの会社の場合は、創業時からトロイカ体制を続けており、成長しているとのこと。

その理由を色々とお聞きしたのですが、どうも友人同士で創業したのではなく、完全にビジネスと割り切って付き合っているらしい、ということがわかりました。(他にも、責任分担が開発、営業、財務と明確に分けられている点も挙げられていました)

そういえば、藤田監督、牧野ヘッドコーチ、王助監督で優勝を重ねた藤田巨人も、ラリー・ページ、セルゲイ・ブリン、エリック・シュミットで経営していたGoogleも、トロイカ体制でしたね。

長い間人気を誇っているコメディアンのコンビも、私生活では別々に行動していることが多いと聞いたことがあります。(コント55号の萩本欽一さんと坂上二郎さんなどは、そうだったようですね)

もしかしたら、複数人で協業しながらビジネスを長期間継続するためには、仲良しな関係で続けるよりも、ドライで割り切った関係で進めた方がよいのかな、と思ったりしました。