「嫌われる日本人」は、かつて高く評価されていた

先月末の産経新聞の記事「米のハイテク業界で嫌われる日本人 そのわけは?」が、話題になっています。一部引用します。

—(以下、引用)—

日本人が「嫌われている」のだという。米国のハイテク業界での話だ。先日、業界事情に詳しい企業幹部と話した際、最先端ベンチャーが集まるシリコンバレーや、先進的研究で知られる大学を訪れる日本企業に話題が及んだ。(中略)

ところが、日系企業関係者の訪問は「視察」や「情報収集」が主体で、事業への具体的な投資話に進まない。生き馬の目を抜く世界を生きるベンチャー経営者にとって、ビジネスに結びつかない時間がとられるのは「迷惑だ」というのだ。

米国に出向く担当者が、日本の本社から、投資判断や資金決済の権限を持たされていないので、当然の結果だ。そう分析する企業幹部は「『決断しない』日本企業の評判が業界に広まりつつある」と警告する。

—(以上、引用)—

この記事に対して、ネットでは「なんだかなぁ」「すごくわかる」「いまだに視察とか情報収集?」という意見が多く寄せられています。

実はこの日本人の行動、かつてかのドラッカーが高く評価していたことをご存じでしょうか?
ドラッカーの著書「エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則」のp.150に、次のような一節があります。

—(以下、引用)—

…日本では、意志決定で重要なことは問題を明らかにすることである。そもそも意志決定は必要か、そもそも何についての意志決定かを明らかにすることが重要とされる。この段階でのコンセンサスの形成に努力を惜しまない。この段階にこそ、意志決定の核心があるとする。…

(中略)

アメリカでは、ライセンス契約の日本側の交渉相手が数力月ごとにチームを送りこみ、交渉のごときものを始めからやり直す理由を理解できない。一つのチームが克明にノートしていく。ひと月半後には、同じ会社の別のセクションが、初めて話を聞くという態度で克明にノートしていく。信じられないであろうが、これこそ日本側が真剣に検討している証拠である。

(中略)

こうして、われわれが決定と呼ぶ段階に達したとき、日本では行動の段階に達したという。日本では、この段階で意思決定の責任を「しかるべき人間」に任せてしまう。誰がこのしかるべき人間であるかを決めるのはトップマネジメントである。そして誰に任せるかによって問題に対する答えも決まってくる。コンセンサス形成のプロセスで、誰がどのような考えを持っているかが明らかになっているからである。

(中略)

日本流の意思決定は独特のものである。日本社会特有の仕組みや組織の性格を前提とするものであって、どこでも使えるものではない。だがその基本は、日本以外でも十分に通用する。それどころか、これこそ効果的な意思決定の基本である。

—(以上、引用)—

ドラッカーはこの文章を1973年に書きました。「日本人がコンセンサスを作るのは、問題を明らかにするため。解決策は担当者に任せ、トップは解決策に関与しない」というドラッカーの洞察は、実に的確です。

なぜ日本企業では、コンセンサス形勢に時間をかけ、仕事がスピーディに進まないのか?
なぜ個人が、なかなかリスクを取ろうとしないのか?
なぜトップが、不祥事が起こっても現場を掌握できないのか?

これらの問いに、まさに見事に答えています。
ドラッカーが「日本流の意志決定は、効果的な意志決定の基本である」と述べた1973年、確かにこれは日本企業の強みでした。

しかし40年以上が経過して、世の中が大きく変わりました。
激しい変化が常に起こるようになり、じっくりコンセンサスを取っていては遅れを取るばかり。
かつての強みは今や弱みに転じています。

問題は低迷する日本企業が、かつての強みが弱みになっているのに、40年前の意志決定方法を変えていないことです。

時代と共に、意志決定方法も、リーダーシップのあり方も、しなやかに変えていくことが必要なのです。

 

 

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一見ユルいチームが、爆発的なエネルギーを生み出す理由

講演を終えたら、こんなご質問をいただきました。

「今日のお話しで、『あるべき姿」と『解決すべき問題』が見えてきました。
 ぜひ社内で新たな挑戦を始めたいと思います。
 その組織づくりのアドバイスはありますか?」

ここで致命的な間違いをする会社員は、決して少なくありません。
「正式な組織を作らなければいけない」と考え、プランを作って、上司に相談するのです。
これは典型的な失敗パターンにはまります。

なぜか?

まず、会社で組織を作るのは、根回しや予算取りなど、意外と大きな労力が必要です。
しかしその労力にかけている間は、『解決すべき問題』は放置されたままです。

また会社で正式な組織作りをしても、『あるべき姿』を実現したいという想いを持つ仲間が集まるとは限りません。色々な「大人の事情」で異動せざるを得ない人が集まることも少なくありません。これでは強力なチームは作れないのです。

では、どうするか?

ユルく出入り自由のチームを作ることです。
まず『あるべき姿』と『解決したい問題』に賛同する仲間を見つけます。
そしてパートタイム感覚で、『解決したい問題』について話し合い、問題意識や方向性をすりあわせていきます。
「なんか違うからやめる」という人は、抜けてもOK。
「噂で聞いたんだけど、参加していい?」という人は、大歓迎。

「こんなユルくていいの?」と思うかもしれませんがOKです。
何よりも大切なのは、自発的でやる気があるメンバーが集まること。
このプロジェクトチームが、志を共有した強力なチームに育ち、爆発的なエネルギーを生み出すのです。

「日本一の星空」の阿智村も、「阿智村の地域づくりをしたい」という少人数の仲間が集まって始めました。

このように、ある目的を達成するために組織を超えて集まるチームのことを、「プロジェクトチーム」と呼びます。

世の中の変化が激しい現代だからこそ、志を同じくするメンバーが、組織を超えて柔軟に集まることが大切なのです。

 

 

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ダメモトで始め、いつの間にか成功する中国人から学べ

中国は「低コストの世界の工場」から抜け出し、ドローンやシェアライド、さらにキャッシュレス社会といった新しいビジネスを生み出し、経済は成長しています。一方で、日本は今ひとつ元気がありません。

私はIBM在職中、中国の人たちと仕事をすることも多かったのですが、「彼らのビジネススタイルからは、学ぶべき点が多い」と実感しています。

たとえば1998年のこと。
当時の中国IBMは、日本I BMや韓国IBMよりもずっと小さい売上でした。
私はIBMアジアパシフィックで、ある製品のマーケティング担当でした。
中国IBMで事業責任者だった中国人女性の口癖は、「中国ビジネスを成長させたかったら、投資!投資!投資よ!」

常に投資を求めてきました。荒唐無稽なプロジェクトも多く、失敗も繰り返していましたが、彼女は失敗しても堂々としています。アジアパシフィック全体会議でも、こう言い切ります。

「私たちの実行はまったく問題ない。原因は〇〇〇だ。だから次は、□□□をして欲しい」

そして彼女の中国事業は、次第に成長してきました。

ちなみに彼女はIBM社歴20年でしたが、その後、「IBMは大きいわね。意志決定が遅すぎ!嫌になったわ」と言って退職し、香港にあるベンチャー企業の社長になりました。

 

一般的に中国人は、日本人が当惑するほど個人のエゴが強いのですが、裏返せば、「私はこれをやりたい」という考えが明確でシンプルだということ。 そしてダメモトですぐに実行します。

日本人の私から見ると、「危ないなぁ」「これはダメでしょ」と思うことでも挑戦し、ダメとわかると即原因を特定し、即修正します。前言撤回は日常茶飯事。やり方もどんどん変えるし、ハシゴを外されることも少なくありません。しかし当初の「これやりたい」という強い意志は決してブレません。そしていつの間にかうまくいきます。

彼らはダメモトで始め、試行錯誤を執拗に繰り返し、いつの間にか成功させるのです。

 

2016年、上海を中心に中国各地で始まったシェアライドも、瞬く間に1億台も普及し、1年後の2017年には市民の足となって大成功しています。その裏には膨大な失敗があります。しかし数多くの失敗から率直に学び続けて、ビジネスを急拡大させているのです。

 

中国のやり方をすべて真似する必要はありません。日本人には日本人ならではの良さもあります。
一方で、現代はもの凄いスピードで動いています。日本人が好きな根回しや計画に時間をかけすぎていては、縮小するばかり。だからこそ、「やりたいこと」を明確に持って、ダメモトで挑戦して学ぶ彼らのやり方からは、学ぶべき点が多いと思います。

 

 

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失敗前提で成長する米国企業。成功前提で低迷する日本企業

朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

「長年ITビジネスに関わっているので、米国企業と日本企業の考え方が全く違うことを実感しています。たとえばウーバーのように一般人の車をシェアする仕組みは、登場した当初は『荒唐無稽なアイデア』としか思えませんでした。でも今は普通ですよね」

まったくおっしゃる通りだと思いました。
これは、彼らが「競争市場が3つにわかれている」ことを理解しているためだと思います。

シェア独占で圧倒的に儲ける市場(大きいところが勝つ)
たとえば、飲料市場(コーラなど)、ITインフラ市場(Google検索など)

各社横並び競争の市場(圧倒的差別化が難しい)
たとえば、自動車業界、かつての日本の家電市場

早い者勝ちの市場(不確実性が高い)
たとえば、ITビジネス

このうち「各社横並びの市場」は、これまで日本企業が得意としてきた市場です。

「早い者勝ちの市場」は米国IT企業が成長してきた市場。カジノで賭けをするようなもので、10件やって1件当たるかどうかという世界です。FacebookやGoogleはこの市場で生まれ成長し、ソーシャルメディアや検索サービス市場で圧倒的シェアを確保し、「シェア独占で圧倒的に儲ける市場」の世界に入り、莫大なお金を生み出すようになりました。そこで得たお金を「早い者勝ちの市場」に再投資し、次のビジネスを生み出そうとしています。(Googleが自動運転に投資しているのもまさにそうです)

いまITがビジネス全体に広がっているので、「早い者勝ちの市場」は急速に様々な業界へと広がりつつあります。だから海外企業は、ITを活用する際には、「失敗してもいい。早い者勝ちなので、むしろスピード命だ」と考え、失敗前提で次々と挑戦します。

ちょうどカジノで賭け金を分散するようなもので、失敗する事業も多いのですが、数少ない事業が大化けし、全体で成長を続けています。そして大化けした事業が多くの雇用を生み出し、人が集まっています。つまりこの流れの中で人材も活発に入れ替わっているのです。

 

一方で伝統的な日本企業は「失敗してはダメだ」「全部成功させよう」と成功前提で考えるので、組織内で根回しし、じっくりと計画を立てて時間をかける一方で、あまり多くの挑戦をしません。挑戦の数が少ないので、成功する数も少なくなります。

加えて、根回ししたり計画を立てている間は、貴重な時間が無駄に過ぎています。「早い者勝ちの市場」なので成功確率はますます下がります。挑戦する数自体が少なく、タイミングを逸して確率も低いので、全体でますます縮小します。

最近、しきりに「現場に権限委譲しよう」「失敗前提で挑戦しよう」と言われるようになりました。これは根回しをしなくても済むように現場にドンドン権限委譲することでビジネスのスピードを上げ、現場では失敗前提で数多くの挑戦を行い、そこで得られた失敗から学び続けるようにしない限り、日本企業は競争に勝てなくなるからなのです。

 

備考:この3つは経営学者のジェイ・バーニーが分類したものです。「シェア独占で圧倒的に儲ける市場」は「産業構造型」、「各社横並びの市場」は「チェンバレン型」、「早い者勝ちの市場」は「シュンペーター型」が正しい名前ですが、私がわかりやすく名前を変えてご紹介しています。詳しくはハーバードビジネスレビュー2017年8月号に掲載されている「世界標準の経営理論」で、入山章栄先生が詳しく紹介しておられますので、ご興味がある方はご一読下さい。

 

 

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「失敗」の定義を変えよう

こんなお悩みをよく聞きます。

「ウチは失敗が許されない。失敗して×がつくと昇進できない」
「失敗できないから、少しでもリスクがあると見送ることが多い」

新しい挑戦には失敗はつきものです。
だから失敗を避けていると、新しいことはできません。
低迷する組織は、失敗をおそれ、新しいことに挑戦せず、衰退し続ける傾向があります。

「失敗」の定義を変えることが必要です。

ルース・ベネディクトは著書「菊と刀」で、「罪の文化と恥の文化」について述べています。
欧米の「罪の文化」では、過ちは告白や懺悔をすることで軽くなります。
一方で日本の「恥の文化」では、過ちは公になることでさらに重くなってしまいます。
「失敗=過ち」と考えるから、日本人は新しいことに挑戦できないのかもしれません。
そして、失敗も共有されません。

「失敗=過ち=恥」という定義を変え、「失敗=学びという共有財産」と考えるべきです。

たとえばマツダの工場では、「失敗大賞」で新しいことに取り組んだ挑戦精神を表彰しています。

発明王エジソンも、「私は失敗したことがない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」と言いました。

一代で日本電産を売上1兆円企業に育てた永守重信会長も、「うちは徹底的な加点主義だ。社員が失敗しても減点しない。能力不足でもクビにしない。しかしどんなに能力が高くても、チャレンジしない社員には厳しい」と述べています。

世の中が激変し未来が見通せない現代では、新しいことに挑戦し、自分たちで未来を創り上げていくことが必要です。
そのために必要なのは、失敗を評価し組織で共有する組織にすること。失敗を認めない組織は淘汰されていきます。

「新しいことをしたい」という個人の想いを尊重し、失敗を認める組織への変革を加速化することが必要なのです。

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第9回『トルネード式仮説検証のススメ』を行いました

本日11月1日、第9回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回のテーマは『「売れる」仕組みづくりのための「トルネード式仮説検証」のススメ』

激変する世の中だからこそ、完璧な計画にこだわらず、「コレやりたい」と思ったら、少人数でプロジェクトを組んで、即実行して結果を出し、成長していく方法をお話ししました。

皆様のご感想です。

「失敗から学ぶというテーマは非常に勇気づけられました。即、今日から仮説検証を実践し、あるべき姿に近づきたいと思います」

「仮説検証をしているつもりでも、実際にはいつも反省会で終わっており、単なる原因確認に留まっていることに気づきました」

「ダメな組織とうまくいっている組織の違いはよくわかりました。一方でダメな組織の中にいるひとは、このような情報にも興味を示さない傾向があると思います。やる気のある若手発信で行ったプロジェクトや、ダメ組織から良い組織に転じた例をもっと知りたいと思いました」

「自分に照らし合わせて考えやすかった」

参加いただいた皆様、有り難うございました!

 

 

ICレコーダーが家庭向けにヒットした理由

「なかなか商品で差別化できない」というお悩みをよく聞きます。

しかし誰でも売れる商品で、もの凄い売上をたたき出している会社があります。
テレビショッピングで知られる、あのジャパネットたかたです。

たとえばICレコーダーはもともと会議の録音用に開発されたもの。
しかしジャパネットたかたでは、これを家庭用に売り出しました。
普通に考えると、「ICレコーダーなんて、家庭で使えるの?」って思ってしまいますよね。

ジャパネットたかたでは、このように売り出しました。

共働きの家庭では、昼間に親子が連絡を取り合うのは難しいもの。そこでテレビショッピングで「ICレコーダーを使えば、簡単に親子で連絡を取り合うことができますよ」と紹介、ヒット商品になりました。

その後、シニア向けに「最近『妻にこの話しなきゃ』と思っていたのに、どうしても思い出せないこと、ありませんか?私もよくあります。こんな時、ICレコーダーに言葉を吹き込んでおくといいですよ」と紹介して、これもヒット商品になりました。

 

ジャパネットたかたは、商品の機能紹介は最低限に留めています。
その代わりに力を入れて具体的に紹介するのは、その商品で暮らしがどのように変わるのか?

ジャパネットたかたでは、常に徹底したお客様目線で「その商品で、お客様の生活がどのように変わるか」を考え、他社でも販売する同じ商品で、新市場を創造しているのです。

ジャパネットたかたの徹底したお客様目線と、それを伝える力から、私たちが学べることは大きいと思います。

 

 

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基本設計、59年間不変!脅威のスーパーカブ

(写真はホンダのサイトより)

 

ホンダの二輪車「スーパーカブ」の累計生産が1億台を突破しました。本当に素晴らしいことですよね。

1958年の初代誕生から、59年。
「前任者の否定」がホンダの文化であり、スーパーカブもモデルチェンジを繰り返していますが、スーパーカブの基本構造は59年前から変わりません。

モデルチェンジのたびに新しいデザインやアイデアが出てくるものの、開発が進むと「これはお客さんは望んでいないよね」ということになり、元の基本レイアウトに戻ってしまうとか。乗り味も初代と最新型はほとんど変わらないそうです。

初代の基本設計がいかに徹底的に極められたものだったかを、物語っています。

そのスーパーカブがいかに生まれたのか?
2017/10/20の日経産業新聞記事「老いぬカブ ホンダの原点」を読んで、よくわかりました。

 

スーパーカブの誕生は、当時ホンダの大番頭だった藤沢武夫さんが、本田宗一郎さんに言った「50ccで底辺が広がらない限り、うちの将来はない」という危機感がきっかけでした。これを受けて宗一郎さんは欧州を見て回りましたが、当時舗装されていなかった日本に合うものはありませんでした。

そこで宗一郎さんから開発陣への指示は「そば屋の出前のお兄ちゃんが、片手で乗れるクルマ」。仕事に役立ち、悪路でも乗りやすい頑丈な乗り物、ということですね。藤沢さんの指示も「奥さんが買ってもいいと言うものにしてくれ」。

この指示を受けた開発陣は必死に考え、クラッチ操作不要で片手で乗り回せるメカニズムを作り、燃料タンクやエンジンを中央に据えて重心を安定させ、スカートの女性もまたいで乗れるようにハンドルとシートの間に広いスペースを設け、さらにエンジンが露出しないようにカバーを付けました。

「そば屋のおにいちゃんが片手で乗れる」という徹底的な顧客目線、さらに「奥さんが買ってもいい」という価格感と価値観。この徹底したわかりやすい顧客中心思考とバランス感覚、素晴らしいですね。

スーパーカブの基本設計は変わりませんが、常に最新技術を活用しています。新しい排ガス規制にも対応、小まめにメンテしなくても故障しないように耐久性も高め、リッター100キロ走る燃費性能も実現しています。

私たちが街中でよく見かけるカブは、59年前の徹底した顧客中心思考を、常に最新技術で磨き続けてきた産物なのです。

 

その一方で、世界はEV、自動運転、シェアなどの新しい動きが生まれています。今後50年、スーパーカブがどのように荒波を乗り切っていくのか、期待されるところです。

 

 

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富士通様「IPシンポジウム」で基調講演しました

本日2017/10/20、蒲田にある富士通ソリューションスクエアで行われたIPシンポジウムで、基調講演する機会をいただきました。

この会場には富士通社員の皆様が200名、さらに他会場やリモートでもビデオ中継で多くの社員の皆様にご参加をいただきました。

このシンポジウムは、富士通様の知的財産イノベーション統括部が年1回主催して開催しています。知的財産イノベーション統括部では、ビジネス上流段階から「コトづくり」を実現するために、知財でビジネスを強化するお取り組みをしておられます。

講演では阿智村の「コトづくり」への挑戦を中心に紹介し、コトづくりやニーズサキドリのために必要な考え方をご紹介しました。質疑応答でも、とても活発なご質問をいただきました。

 

私を育てていただいた古巣であるIT業界の皆様と、このような形でご縁をいただき、有り難く思います。

 

 

J-Waveに出演しました

2017年10月19日(木)、J-Waveの”STEP ONE”に出演しました。2年ぶりの生放送出演でした。

テーマは「フォロワーの数で人の存在価値は決まるのか?」

番組の様子は、タイムフリーでお聴きになれます。(10月25日まで) →リンク

コーナー終了後、ナビゲータのサッシャさん、アシスタントの寺岡歩美さんと記念撮影です。
久しぶりの生放送出演で、表情固めです。(苦笑)

 

 

やってるつもりで、できていない仮説検証

「仮説検証を、ちゃんとやりましょう」というと、「やっていますよ。(…耳タコなんですけど…)」という答えが返ってくることが少なくありません。しかし現実には、仮説検証のあるべき姿を理解せずに、まったく回っていないことも多いのです。

【できていない仮説検証】
たとえばある営業部のケースを考えてみましょう。
この営業部では、前期の売上目標に対し、売上実績は10%足りませんでした。
そこで営業の鈴木部長が「仮説検証しよう」と営業課長に呼びかけて、反省会が行われました。

鈴木部長 「売上が10%未達だったのは、なぜだろう?」
山田課長 「A社が契約できなかったからです。取れていれば目標達成でした。正直言って、担当営業の粘りが今ひとつだったと思います」
鈴木部長 「担当は誰だっけ?」
山田課長 「佐藤君です」
鈴木部長 「そうか。A社が契約できなかったのは指導不足が原因だな。山田課長は佐藤君にコーチングをお願いします。他には?」
山下課長 「今期出荷予定だった新商品の出荷がずれたことも痛かったですね。あれが出荷されていれば売上が大きかったので」
鈴木部長 「なるほど、問題は開発部だな。商品出荷の件は、私から開発担当の斎藤部長に、『それじゃ困るよ』と申し入れしておこう。他には?」
山田課長 「思いつくのはこの2つですね」
鈴木部長 「以上だな。仮説検証終了。今期も頑張ろうっ!よろしくっ!」

よく見かける光景ですが、これは仮説検証ではありません。
一見すると前期目標を元に反省会を行って議論しています。しかし「犯人捜し」しかしていません。

 

では「あるべき仮説検証」とは、どのようなものでしょうか?具体的に見ていきましょう。

【あるべき仮説検証】
まず、営業プロセスを、次のようにパターン化して考えます。

(1)顧客とのコンタクト → (2)課題と解決策の特定 → (3)提案 → (4)成約

そして期初に、目標売上を達成するために、過去の実績データを元に、このような仮説を立てたとします。(かなりシンプルにしています)

(1)顧客コンタクト数 2000件
(2)課題と解決策を特定した、発掘案件数 400件 (仮説:顧客コンタクト数の20%)
(3)提案案件数 200件 (仮説:発掘案件数の50%)
(4)成約案件数 100件 (仮説:提案案件数の50%)
→ 今期売上 10億円 (仮説:平均案件単価1000万円)

この仮説に対して、結果がこうなったとします。(仮説と違う部分を赤字にしています)

(1)顧客コンタクト数 2000件
(2)課題と解決策を特定した、発掘案件数 600件 (結果:顧客コンタクト数の30%
(3)提案案件数 300件 (結果:発掘案件数の50%)
(4)成約案件数 90件 (結果:提案案件数の30%
→ 今期売上 9億円 (結果:平均案件単価1000万円) →目標に10%未達!!

このように図にするとわかりやすいと思います。

この結果を元に、仮説と実績の差が出た原因がどこにあるのかを議論していきます。たとえばこんな感じです。

鈴木部長 「発掘数と提案数は仮説の1.5倍ですが、成約数が少ないですね」
山田課長 「本来は提案数の50%が成約するのに、30%に留まっています。提案書の品質の問題です。提案書をチェックしましたが『お客様の課題把握が中途半端な提案書が多い』というのが実感です」
鈴木部長 「なぜ提案書の品質が悪かったのでしょうか?」
山下課長 「今期、『売上拡大のために提案数を増やそう』と号令がかかりました。だから発掘数が1.5倍になりました。しかしこの結果、課題把握が不十分な状態で提案する案件が多くなってしまいました」
鈴木部長 「なるほど。言い方は悪いですが『提案書の粗製濫造』ですね…。それは反省ですね。私たちは売上至上主義に陥りかけていますね」
山田課長 「前期の学びは、『数と量を追いかけてはいけない』ということですね」
山下課長 「改めて、『最優先はお客様の課題把握』ということを徹底する必要がありますね」
鈴木部長 「今期は、お客様の課題見極めを徹底して、的確に課題に応えられる案件に集中し、提案の質の向上を目指しましょう」

このように、仮説検証で行うべきは、キチンと当初に立てた仮説に立ち戻り、その仮説を結果と事実で付き合わせて、ギャップが生じた原因を突き止めることです。

両者を比較すると、問題がよくわかります。
前者の「犯人を捜す」の反省会は、仮説に立ち戻らず、結果の数字だけを見た対症療法であり、本質的な問題に踏み込んでいません。
後者の「原因を探す」仮説検証では、数字と事実を元に仮説に立ち戻り、数字に現れない現実を把握している現場のマネージャーと本質的な議論を行い、問題を解きほぐしています。

このように、当初の仮説に立ち戻ることで、新たな学びを得ることができ、仮説を進化させることができるのです。

なお、11月1日に行う朝活勉強会「永井塾」のテーマは、この仮説検証です。現在、参加者募集中です。

 

 

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「セール」でなぜ顧客が離れるのか?対策は?

10年ほど前のこと。

妻と表参道を歩いていたら、ある有名ブランド店で、素敵な女性用ジーンズがありました。定価2万円。とても高かったのですが、思い切って買いました。帰りの電車では手提げ袋を下げながら、「とても高かったけど、いい買い物したね」と二人で話していました。

帰宅する前、近くの駅にあるデパートにある店に立ち寄りました。同じジーンズが売っています。目を疑いました。なんと半額なのです。

最初に自分を責めました。「なんてバカな買い物をしたんだ!」
そしてこのブランドは、二度と定価で買わなくなりました。

 

これは3年前までよく講演でお話ししていたエピソードですが、このほろ苦い10年前の経験を詳しく分析した記事がありました。2017/10/4の日経産業新聞『「セール」消費者利益損なう アパレル業界、商習慣の再考を』です。経産省がアパレル業界の課題を議論するために立ち上げた研究会の報告書について書いています。

—(以下、引用)—

その中の最大の課題の1つが、業界の商慣行だった。報告書は、過剰供給(売れ残り)とセールの悪循環がアパレル商品の原価率や品質の低下につながっていると指摘した。セールが常態化すれば、定価が信頼されず、消費者はセールを待って定価では買わなくなってしまう」

—(以上、引用)—

これはまさに10年前に私が経験したことそのものですね。

記事では、アパレル産業の利益配分イメージの図もありました。

■卸を挟むアパレル
工場製品価格 2,000円
問屋販売価格 6,000円
小売販売価格 10,000円
 →原価率=2割

■ユニクロなどのSPA
工場製品価格 2,000円
小売販売価格 4,000円
 →原価率=5割

普通に売っている服の原価は2割です。消費者から見ると「アパレルの価格って本当に信用できるの?」と感じてしまいますし、ユニクロなどのSPAで服を買う人が増えるのも、無理ありません。

「定価で買うお客さん」は、優良顧客です。この優良顧客が損をして、安値狙いのお客さん(=バーゲンハンター)が得をするのが、セールです。そして次第に優良顧客は離れ、定価で売れなくなり、売れ残りが増え、安値狙いのお客さんしか買わなくなる。利益もますます減る。悪循環です。

かつての大量生産・大量販売の時代、「大量に商品を供給する。売れ残れば値下げし、セールで売り切る」は勝ちパターンでした。しかしこれは既に賞味期限が切れているのです。勝ちパターンは、時間が経つと必ず賞味期限が切れます。昔のやり方を変えない限り、衰退するだけです。

 

今求められているのは、セールを前提とせず、必要なお客様を見極めて、顧客が必要とする服を、適切な価格で提供すること。SPAモデルに転換するアパレルが増えたり、ネット経由で中古やレンタル服を提供する会社が急成長しているのも、新たな挑戦で新市場を開拓した結果です。

つまり対策は、「かつての勝ちパターン」であるいまのやり方を、徹底的に見直して、変えることしかありません。

アパレル業界に限ったことではありません。勝ちパターンには必ず賞味期限があります。いま勝ちパターンを確立し、成長している企業や業界も、必ず賞味期限が切れる日がやってきます。賞味期限が切れた時、「自らを変えられるかどうか」が問われるのです。

 

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小池さんの強みは、「潮目を見切る勝負勘」だけではない


(写真は都庁サイトより引用)

 

衆議院選挙に向けて、急に世の中が慌ただしくなってきました。

安倍さんは今夏に事前調査し、「今の情勢なら勝てる」と判断して衆議院解散を決めた、と言われています。

しかし9月25日に小池さんが「希望の党」を立ち上げ、事前根回ししていたと言われる民進党が呼応し、本稿を書いている10月2日時点で一大勢力となりつつあります。

 

小池さんは「潮目を見切るセンスが抜群」「勝負感が鋭い」と言われています。
しかしそれだけではありません。
それは、私たちビジネスパーソンにとっても、大きな学びがあるのです。

あなたの同僚やお知り合いでも、正確に世の中の動きを見極めている人は、何人かお心当たりがあると思います。実際に潮目を読み切れるだけならば、そういう人は少なくありません。

しかし潮目を見極めた上で、実際に行動に移せる人となると、途端に数はガクンと減ります。多くの人は、潮目を読み切ってもリスクを考え、行動を躊躇してしまうのです。

潮目を見切った後、初動までの判断が極めて短いのが、小池さんの強みの本質だと私は考えています。

昨年桝添さんが東京都知事を辞任後、都知事選の自民党候補がなかなか決まらないと見るや、小池さんが「後出しじゃんけん」で都知事選出馬を公言し、自民党の公認が得られないとわかると、「崖から飛び降りる覚悟で」非公認で立候補した時も、同様でした。

 

モノゴトが変わるスピードは、ますます速くなっています。
だからこそ、潮目を見切った上で、初動までの判断の短さが、勝負を決するのです。

小池さんが愛読する書が、「失敗の本質」 です。
「失敗の本質」では、第二次世界大戦で日本軍が負け続けた要因を分析しています。共通する要因は、

「事実を客観的に見ようとせず、合理的に判断しない」
「個人が責任を持たないので、判断のスピードが遅く、タイミングを逸する」

このために、「トップが責任を持って、合理的、かつ迅速に判断する」米軍に負け続けました。

 

組織の空気のしがらみに囚われ、合理的な判断ができず、タイミングを逸しているのは、低迷する多くの日本企業にも共通する要因です。

「判断して即動くべき時に、リスクを取れずに判断を保留してしまい、動けない」

その結果、せっかく目の前に大きなチャンスがぶら下がっていても、それをライバルにみすみす取られてしまのです。

 

これを克服するのが、初動への判断の短さ。言い換えれば、事実に基づいた迅速で合理的な判断です。そして「リスクよりもメリットの方が大」と判断したら、即実行です。変化が激しい現代では、初動への判断の短さこそが、多くのデメリットを帳消しにする絶大な武器になり得るのです。

初動への判断が短いから、小池さんは「勝負師」と言われるのです。

 

小池さんには、「政局で動いており、政策がない」との批判もあります。
この議論はひとまず保留した上で、私たちビジネスパーソンが小池さんから学べることは、多いはずです。

(なお本稿は、私の支持政党とはまったく関係ありません。また選挙結果を予測するものでもありません)

 

 

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レディバードクラブ様で講演しました

9月26日に広島で行われたレディバードクラブ様のセミナーで、『お客様が買う理由を、いかに作るか? 「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題して講演しました。

レディバードクラブとは、印刷産業ビジネスのさまざまな経営課題解決のために、セミナーや情報提供などを行うことで、業界を発展させるために設立された団体です。

中国・四国地区の印刷会社を中心に、105名もの方々が参加されました。有り難うございました。

 

 

会社員の独立で、一つだけ押さえるべきは何か?

『「あなた」という商品を高く売る方法』(あなたか)の講演の後、こんなご質問をいただきました。

「永井さんは、4年前に日本IBMを退職後、独立されたのですよね。
起業や独立にあたって、一つだけ押さえておきたいことは何でしょうか?」

「あなたか」の講演では、このようなご質問を意外と多くいただきます。
「独立に挑戦したい」という会社員は、かつてなく増えているようです。
挑戦しようと考えることは、素晴らしいことですね。

このご質問に対して、私は自分の経験で、次のようにお答えしました。

 

私の経験で言えるのは、「お客様がいるかどうか?」 これに尽きると思います。

私の場合、本を書いていました。たまたまその時は売れていましたが、本は水物なので、今後も売れるかどうかは全くわかりません。ですから、本に頼ることは考えていませんでした。

ただ、日本IBMに在職して本を執筆していた最後の3年間、社外から講演のご依頼をかなり多くいただいていました。残念ながらすべて平日のご依頼でした。平日は、私は会社の仕事があります。ですので大変申し訳なかったのですが、すべてお断りしていました。

そんな中、ある企業様から「それなら、土曜に社員を集めるから、数回にわけてワークショップをして欲しい」というご依頼をいただきました。そこで半日のワークショップを数回にわけて数週間行いました。

この時、「謝礼をお支払いしたい」との有り難いお話をいただいたのですが、会社勤めでしたので固辞させていただき、無償で実施しました。ただ勤務先では人材育成部長をしていたので、同一内容を研修で提供した場合、どの程度の相場になるかは、ほぼ把握できました。

「これは独立しても、お客様がいるのではないか?」と考えました。

私は30代前半の頃から「50歳になったら独立しよう」と考えていましたが、この時は51歳。私は「50代がビジネスパーソンとして仕事のピーク」とも考えていたので、「このタイミングで独立しよう」と考え、この年の6月に退職して、独立しました。

 

ここで大切なのは、

「〇〇〇社の社員だから、仕事をお願いしてくれるお客さん」と、
「□□さんだから、仕事をお願いしてくれるお客さん」

の違いを、見極めることが大切です。

私の場合、有り難いことに、「あの本を書いた永井さんだから」と、仕事をお願いされました。
しかし実際には、「〇〇〇社社員の□□さんだから」と、仕事をお願いするお客さんが圧倒的に多いのが現実だと思います。

また、独立する際には「志」もとても大切です。そして若い時期であれば、お客様がよく見えていない状況で「志」だけで独立し失敗しても、失敗から学んでリカバリーできる余裕があります。

しかしシニアの場合、責任も抱えるものも、若い頃と比べると格段に増えています。会社員で長年経験しシニアになってから、「志」だけで独立して失敗すると、失うものは大きいのです。

一方でシニアは、若者が持っていないものを持っています。「経験と勘」です。失敗の勘所がわかっているはずです。

その「経験と勘」に加え、「自分個人に、お客さんがいる」という状態にして独立をすることが、必要なのです。

 

 

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JTB 協定旅館ホテル連盟千葉支部様で、講演しました

昨日2017/9/20、千葉県の富浦で行われたJTB協定旅館ホテル連盟千葉支部様の会議で、『「そうだ、星を売ろう!」阿智村から学ぶ、コト発想への変革』と題して、講演しました。

千葉県の旅館・ホテルの経営者二十数名が参加されました。

講演後は懇親会も行いました。

 

参加された皆様のご感想です。

■自身の体験と併せて、ストーリー性とマーケティングの考えが非常に効果的に伝わる内容であった。

■たいへんよいお話しをお聞かせいただきありがとうございました。

■商品を作る際の間違いなどがあり、ためになる講演でした。

■強みをどう考え、その後の行動の取り方がよくわかりました。今日の講演内容を持ち帰り、社内にもう一度強みとその後の行動について考え直していこうと思います。

■「意識+行動(力)+志」、大変参考になりました。

■自分の志を持って行動すれば、なにごともできる。部下の指導の面でも参考になった。

■地域の活性化=「最終的に人の力」ということがよくわかりました。今後の業務に活かしていきたい。

■自分の地域の事例に一つ一つあてはめて考えてみます。ありがとうございました。

■マーケティングについて大切なことを多く学びました。ネット販売が多い世の中で、旅館業に役立つと思います。

■わかりやすくてよかった。観光資源の少ない千葉県ですが、なんとなくやる気が出ました。探してみます。

■尽きるところ、すべては人を、いかに自分を、最初に志を高めるかですね!継続は力なり。

■1時間の講演ありがとうございました!もっとお聞きしたい位でした。VRIO検証、今後のチーム作りや商品提供に活用します。「仕事=やりたいこと」、今まさにその状況に自分はいます。もっとアンテナ高く行動を増やして、よい失敗を積み上げていきます。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

 

「吉野家はなまるはしご定期券」の裏にある周到な戦略

先日外出中に、急に「吉野家の牛丼が食べたい」と思ったら、すぐ目の前にあったので、入りました。

牛丼並を食べながら食卓の上にこんなものが貼ってあったので、驚きました。

「吉野家はなまるはしご定期券」

ポイントは、

・毎食80円引きの定期券を、9/22まで300円で発売中
・牛丼の「吉野家」、讃岐うどんの「はなまるうどん」の両方で使える
・9/15-10/23の期間中は使い放題。
・期間中であれば1枚で何人でも、何度でも、何食でも利用可能

吉野家自身も、「吉野家史上最大にお得なキャンペーン」と謳っています。

一見すると「こんな大盤振る舞いして、赤字になるんじゃないの?」と思ってしまいますよね。

そこで興味を持って調べて、驚きました。

「吉野家、おそるべし!」

単なる値引きではないのです。

 

ちなみに「はなまるうどん」(以下「はなまる」)は、現在吉野家傘下にあります。

「はなまる」は、それまで日本になかった讃岐うどんのチェーン店を成功させ、順調に成長しました。しかし大量出店があだとなり店の質が低下、売上が急降下し経営危機に陥り、吉野家の傘下に入り、吉野家から38歳の社長が創業者社長とバトンタッチして、店の質やサービスを徹底的に見直し、現在は吉野家グループの中でも優良企業に生まれ変わっています。

その経緯は、拙著「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」の第6章で紹介しました。

たとえば「はなまる」は、「期限切れクーポン大復活祭」と銘打ち、「日本全国どんな店の期限切れクーポンでも、お好きなメニューが50円引き」というキャンペーンを行いました。

きっかけは、「新たに女性客に来て欲しい」と思った社長が、「膨れた女性の財布に何が入っているんだろう?」と思い、周りの女性に聞き回ったところ、店でもらうクーポン券が溜まっていたと知ったことでした。しかもその6割は期限切れ。「何とかできないかな?」と考えて始めたものでした。結果、売上が3%増えて大成功。

他にも「健康志向」を打ちだしていた「はなまる」は、「健康保険証を見せれば50円引き」というキャンペーンも行いました。これも健康意識が高いお客さんを取り込む戦略です。

すべて期間限定でやっているのがミソです。単なる値引きではなく、いずれもその時点で自分たちが「固定客化したい」と狙う顧客を的確に狙った戦略なのです。

ちなみに、この当時のはなまる社長が、現在の吉野家の社長に若くして大抜擢された河村泰貴さんです。

 

今回の「吉野家はなまるはしご定期券」も同じです。

マイライフニュースの記事『吉野家、はなまるうどんとコラボした「はしご定期券」キャンペーンを開始、丼・定食・皿・カレーがいつでも80円引きになる定期券を期間限定発売』によると、「はなまるうどん」では毎年「てんぷら定期券」を販売して好評でした。吉野家でも同じような定期券ができないかを考えましたが、せっかくならお互いにコラボした方が相乗効果が生まれると考え、このキャンペーンが実現しましたそうです。

吉野家一店舗当たり600枚を販売予定で、キャンペーン期間中は2割の利用客増を見込んでいます。

一見大盤振る舞いのキャンペーンも、実は「吉野家」の固定客を「はなまる」へ、そして「はなまる」の固定客を「吉野家」へ、それぞれ誘導して、全体の固定客を増やす仕組みとして周到に考えられたものなのです。

 

 

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ジェイカレッジで講演しました

本日2017/9/14、松山真之助さんが主宰されているジェイカレッジで『「あなた」という商品を高く売る方法』の出版記念講演を行いました。

20名以上の方々が参加され、ワークショップも行いました。

 

皆様のご感想です。

■考えることを放棄していましたが、バリュープロポジションで考えるとワクワクしてきました。よい気づきをくださいましてありがとうございます。

■自分の新しい夢をみつけました。

■「競争しないための戦略」がとても印象的でした。

■本を読んでいたときには思いつかなかったことを思いつけてよかった。

■強みを見つけやすくする方法は、一生使い続けます!

■「PDCAは何回も回せ」というのが納得感ありました。

■ワークを完成させるというゴールを目指しての集中した時間を過ごすことができました。

■たいへん充実した時間をみなさまと過ごすことができました。ありがとうございました。

■「最初から答えはない。やりながら徐々に作っていく……」人生そのものですね。ありがとうございます。新たな気づきに。

 

最後はジェイカレッジ恒例、皆さんと集合写真です。

 

ご参加下さった皆様、松山さんはじめスタッフの皆様、ありがとうございました!

 

 

 

『「御社は敷居が高い」って、言われたんだけど…』

講演のQ&Aタイムに、こんなご質問をいただきました。

「お客様から、『御社の商品は敷居が高いですね』と言われたんです。
 当社は高級食材を高価格で定価販売しています。
 このお客様のご意見は、どのように考えればいいのでしょう?
 当社の強みと考えればいいのか、弱みとして考えればいいのか…?」

ご質問の姿からも、お客様の声に誠実に向き合っている姿勢が感じられました。
あなたは、この質問に対して、どう考えますでしょうか?

私は次のようにお答えしました。

 

最初にお客様が「敷居が高い」と考えていることは事実です。
これは事実としてまず受け止めたいですね。

その上で、これをどのように解釈して行動すべきなのか?
それが「これをどうするか?」という考え方、いわゆる「戦略」です。
たとえば「敷居が高い」というお客様の声に対しては、いくつかの戦略が考えられます。

→現在の商品の敷居を下げて、もっと広めよう。
これは敷居が高いことが商品普及の障壁になっている、という考え方です。
現在の商品をより拡販したいのであれば、お客様がもっと買いやすくなる戦略を考えます。
(但し、値段を下げるのは出来る限り避け、あくまで最後の手段として考えるべきです)

→もっと敷居を高めてしまって、ブランド価値を高めよう
現在の商品の売れ行きが満足いくものであり、さらにブランド価値を高めたいと考えるのであれば、この手もあります。より高級感があるパッケージングにしたりして、より高級品を求める顧客にアピールしていきます。

→新たに、敷居が低い商品群を作ってしまおう。
現在の商品のブランドは維持した上で、別ブランドで、より敷居が低い商品を開発して、顧客を広げるパターンです。これまで高級車中心だったベンツが、CクラスやAクラスという普及版ベンツを販売するのもこの戦略です

→敷居が高いままにしよう、
あえて何もせず、現在のブランド戦略を維持するのも、これはこれで一つの戦略です。ただ、お客様は常により贅沢によりワガママになっています。ブランド戦略を維持する場合でも、常にブランド価値向上に努力し続けることも大切です

 

このように、「お客様の声はまず事実として捉える」→「現状認識する」→「その上で戦略を考える」というように、分けて考えるとよいのではないでしょうか?

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第7回『「あなた」という商品を高く売る方法』を行いました

本日、朝活勉強会・永井塾を行いました。

今回のテーマはこちら。

先月出版した『「あなた」という商品を高く売る方法』をベースに、キーポイントをご紹介しました。

 

皆様からのご感想です。

■強みを確立するためには、やはりある程度の時間は必要だなと感じて、少し焦ります。

■自分で考え実践し、失敗という体験を経験にすることの大切さ、それを繰り返す大事さを学べました。

■自分自身だけでなく、今後の部下指導にも役立つヒントがあった。、

■再度、本の内容を勉強できて良かったです。自分自身のバリュープロポジションとジョハリの窓について考えさせられました。

■新規ビジネスを進める上で仮説検証や強みを見つけることなどが大事であることが参考になりました。

■「強みを活かして独自ポジションを確立」することが容易ではないことがよくわかりました。頭で理解することで満足するのではなく、実際のお客様のところに行って教えていただく。実践あるのみですね。

 

多数のご参加をいただき、有り難うございました!

 

来月の永井塾では、皆様のバリュープロポジションを事前に作成の上、発表いただく予定です。メルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガをご覧下さい。

 

 

 

 

「ライバルが現れた。どうしよう?」

講演で、こんなご質問をいただきました。

「『バリュープロポジションを作ろう』ということですけど、
 ライバルが参入して来たら、どうすればいいんでしょうか?」

まったくおっしゃる通りで、バリュープロポジションを作り、誰もいない市場でどんどん売れる状況になっているのを、ライバルは決して見逃してくれません。ですからある程度うまくいくと、ライバルは必ず登場してきます。

では、どうするか?

 

参入障壁があっても、ライバルは必ず現れます。
しかしライバルの登場は悪いことだけではありません。

ライバルが登場すると市場は大きくなります。
自分たちが市場シェアを維持していれば、市場が大きくなれば自分たちも成長できるので、それはいいことです。

 

たとえば「自動お掃除ロボット市場」を作ったのはアイロボット社のルンバ。市場シェア60%です。この市場には10社以上のライバルが参入し、消費者が「自動お掃除ロボットは便利だ」と認めた結果、市場は拡大しています。そしてルンバも性能を向上させ続けてシェアを維持し、成長しています。

 

問題はライバルにシェアを食われる場合。つまりライバルに負けている状態です。

なぜ負けるかというと、自分のバリュープロポジションの賞味期限が切れてしまっているからです。ビジネスには、必ず賞味期限があります。そして賞味期限は必ず切れます。

だから、常に新しいことに挑戦し続けることが、とても大切です。
常に新しいことをやり続けることです。
ただ新しいことをやると、失敗することも多いものです。
しかし失敗から学ぶことで、さらに進化が加速します。

 

そもそも、何もしないままではシェアは必ず食われてしまいます。

だからいずれにしても、常に新しい挑戦をし続けることで、新しいバリュープロポジションを作り続けて進化することが、必須なのです。

 

 

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【書店限定企画】「あなたか」出版記念講演@渋谷を行いました

昨晩2017年8月31日、渋谷で『あなたか』(『「あなた」という商品を高く売る方法』)の発売記念セミナーを行いました。講演の後、皆さんに実際にご自身のバリュープロポジションを作って発表いただき、講評しました。

皆様からのご感想です。

■いま、派遣で働いているため、キャリアの知識が非常に重要です。今後のキャリアアップに役立てます。とてもためになりました。ありがとうございました。

■これから就職をしていく中で、先を見据えて働くときのためになると思います。貴重なお話しありがとうございました。

■「考える→実行→検証」「失敗を認め改善していく」「永井先生の出版プロセス」、すべてがリアルにお話しをお聞きすることで、とても響いてきました。ありがとうございます。

■自社で、みんなで今日の研修をやってみたい。そして実践。(仕事で実験してみたい)

■新規事業や社内提案時にマーケティングの観点を持っていなかったことが本日の発見でした。マーケティングを学んでおられる方が多く刺激を受けました。

■学生なので仕事で役立つかはまだわかりません。しかし人生設計には役立つと思いました。難しいお話しをかみくだいてお伝えいただき、わかりやすかったです。これからマーケティングを学び、仕事にも人生にも活かしていきたいです。

当日の渋谷は、サッカーのワールドカップ予選で騒然とした状況でしたが、こんな中、ご参加いただいた皆様に感謝です。

 

実は、紀伊國屋書店本店などの9書店で販売している『あなたか』には、こんなご案内がはさまっています。こちらで申し込んでいただいた方々をご招待しました。

 

第2回目セミナーは9月28日です。参加ご希望の方は、次の書店で本書をお求めいただき、上記のご案内をご覧になってお申し込み下さい。

紀伊国屋書店 新宿本店 →アクセス
ブックファースト 新宿店 →アクセス 
三省堂書店 東京駅一番街店 →アクセス
三省堂書店 神保町本店 →アクセス
啓文堂書店 渋谷店 →アクセス
文教堂書店 浜松町店 →アクセス
虎ノ門書房 田町店 →アクセス
ジュンク堂 池袋本店 →アクセス
くまさわ書店 品川店 →アクセス

 

 

「言うことは聞け。言いなりはダメ」って、矛盾してない?

こんなご質問をいただきました。

「永井さんは、『お客様の言うことをよく聞こう』とよくいいますよね。
でも『お客さんの言いなりになるな』ともいいます。
なんか、矛盾していませんか?」

ごもっともな疑問ですね。今日はそのお話しです。

 

「ゴホンと言えば龍角散」で誰でも知っている龍角散。現在の社長は、お父様から社長を引き継いだ藤井隆太社長です。引き継いだ当時、年間売上は40億円。お父様は事業多角化に積極的でしたが苦戦し、借金は年間売上と同額の40億円。主力商品の粉薬は若い世代に受け容れられず、売上は下がる一方。経営危機を迎えていました。経営陣は「龍角散はもう古い。新しい商品が必要」という意見でした。

そんな中、藤井隆太社長は、龍角散の愛用者を集めてグループインタビューをしました。

すると「時代遅れ」と思っていた粉薬を、愛用者は「伝統があるから安心できる。身体に優しい」と考えていたのです。

特に若い女性は、「妊婦さんも飲めるしね」

よく聞いてみると意外なことがわかりました。妊婦は喉が痛くても、副作用がある強い薬は飲めません。産婦人科で唯一進められるのが龍角散でした。

つまり龍角散の強みは、「伝統があり身体に優しく安心できる」こと。それを教えてくれたのは愛用者でした。 彼らは、粉薬で飲みにくく咳き込んでしまうことも教えてくれました。

そこで顆粒状ののど薬「龍角散ダイレクトスティック」を発売して大ヒット。2016年度の売上は、社長就任時の4倍となる151億円。経営は立ち直りました。

(詳しくは、日経ビジネス2017.8.17号の特集「挫折力」に掲載されている龍角散の事例をご覧下さい)

 

私も同じことを、先日出版した『「あなた」という商品を高く売る方法』で経験しています。

当初、本書の位置づけは「自分のキャリアづくりを考えている若手ビジネスパーソン向け」でした。 そして執筆の真っ最中、今年5月に行った朝活勉強会・永井塾で本書の一部を紹介しました。すると新しい発見がありました。

実は40〜50代のビジネスパーソンが、「今後の自分のキャリアをどうするか?」をかなり真剣に考えていることがわかったのです。いまや人生100年時代を迎え、定年退職後のビジネスパーソン人生をどうするかは大きな課題なのです。改めて考えると、私も同年代なので、この悩みはとても共感します。

そこで年齢でターゲットを絞り込むのではなく、「自分の商品価値を高めたいと考えているビジネスパーソン」というニーズでターゲットを絞り込みました。

 

つまり、「すべての答えはお客様が持っている」ということです。

 

一方で大事なことがあります。
お客様の言いなりにならないことです。

 

たとえば、皆さんのご自宅にあるテレビのリモコン。お客様の要望をそのまま取り入れて、次々と機能を追加した結果、逆にボタンだらけで使いにくいリモコンになってしまっています。

お客様の言いなりになることが、必ずしも正しいとは限らないのです。
お客様は答えを持っていますが、答えそのものは教えてくれないのです。

 

お客様から得られることは、2つあります。

まずお客様の声は、「仮説を作るためのヒント」です。
龍角散は、「妊婦でも飲める」「でも粉薬は咳き込む」というお客様の声をヒントに、ヒット商品「龍角散ダイレクトスティック」を作りました。

そしてお客様の声は、「仮説を検証する手段」です。
私は、朝活勉強会・永井塾で『「あなた」という商品を高く売る方法』の内容を紹介した結果、本書のターゲット読者を修正しました。

仮説を考えないままで、お客様の声をそのまま取り入れ、言いなりになっても、お客様の本当の課題は解決できません。

必要なのは、私たちが仮説を持つことなのです。

 

 

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弱点こそが、あなたの強みの源になる

「自分の強みが何かを考えましょう」というと、このようにおっしゃる方が少なくありません。

「自分の強み?弱点ならいくつも思いつきますが…、強みはなかなか思いつきませんね」

実際には見方を変えると、弱点は強みの源になるのです。

 

たとえば私は、今はマーケティングの専門家として見られています。しかしマーケティングをちゃんと学んだのは、36歳になってからでした。その前までは、製品開発や営業で、悪戦苦闘・七転八倒の繰り返しでした。

「こういう商品を作れば売れるはず」→売れない
「お客様をどんどん訪問して売り込もう」→売れない

36歳でマーケティング職になり、マーケティング戦略を体系的に学ぶ機会がありました。そこで目からウロコが何枚も落ちました。

「なるほど、だから売れなかったのか!」

それまでいくら頑張っても売れなかった理由が、ハラに落ちてよくわかったのです。その後、学んだマーケティング理論をもとに、事業戦略を立てていくようになりました。

この経験が、「マーケティングを知らない人に、わかりやすくマーケティング理論を伝える」という今の私の強みの源になっています。マーケティング理論を知らずに現場で悪戦苦闘していたこそ、マーケティングを知らない人の立場がわかるからです。

 

このように、自分の弱点を活かして強みの源にしたケースは、世の中には少なくありません。

 

中日で219勝して名球会入りした大投手・山本昌は、入団当初は球速130Km/h程度でコントロールもなく、まったく期待されていない選手でした。その後、中日が業務提携していたドジャースのキャンプに参加した時も低い評価。「野球をやめてトラックの運転手になったら?」と言われたりしました。

ある日、米国キャンプの練習で見た大リーグの大投手・バレンズエラのスクリューボールに衝撃を受け、遊びで投げてみたところ驚くほど曲がり、これが決め球になりました。

山本昌のスクリューボールが大きく曲がった理由は、股関節や膝関節が外に割れているという独特の骨格のおかげで、ボールが上手く抜けたためでした。実は中日のトレーナーたちは全員、「山本昌の骨格では、野球選手として大成しないだろう」との意見でした。

山本昌も弱点と思われていたものが、強みになったのですね。

 

個人のケースを紹介してきましたが、これはビジネスでも同じです。

米国では、ウォルマートは地域の小売店に恐れられています。ウォルマートは人口1万人以下の地域に出店し、圧倒的な低価格と品揃えでその地域のお客さんをゴッソリと奪っていくからです。

ウォルマート出店が決まった地域に、小さな模型屋がありました。品揃えと価格競争力で圧倒するウォルマートと正面から戦っても勝てません。

あるコンサルタントが、その模型屋にこうアドバイスしましたた。

「これは大きなチャンスだ。ウォルマートで買える商品は一つも置かなければいい」

この模型屋は、熱狂的なマニアやコレクター向けの商品を揃えるようになりました。彼らはどうしても欲しい商品があると価格は二の次。この店はウォルマートが出店してから逆に繁盛しました。

これも「品揃えと価格ではかなわない」という弱みが、強みに転じた例です。

 

「自分の弱点」と思っていることは、実は「他にはない自分の資質」であることが多いのです。だからこそ、それを活かすことで、他の人には真似できない強みになりうるのです。

 

ご自身の弱みを今一度見直してみることは、意外と自分の強みのヒントを見つける早道なのかもしれません。

 

 

 

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ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益な理由

こんなことでお悩みの方は少なくありません。

「ウチの商品力が弱い。
 全然売れない…」

でも、問題は本当に商品力でしょうか?

世の中を見ると、ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益な会社は少なくありません。

 

たとえば、生命保険(生保)代理店のケースで考えてみましょう。

生保代理店ビジネスはこんな特徴があります。

・商品は、どこも同じ
・立地条件も、大差なし
・販売している人材の質も、大差なし

だからいかに差別化するかがポイントになります。

また、代理店は365日保険のことを考えています。
しかし、お客様は、保険のことはほとんど考えません。「不要」と思っている人もいます。

いかにお客様と関わるかが大切になってきます。

 

千葉県にある保険代理店「ほけんプラザエイプス」(以下、エイプス)のお取り組みを例に、考えてみましょう。

千葉県で35年間の実績があるエイプスは、社員28名。千葉県の金融機関239社中、財務安定性は6位の優良企業です。社長の田切さんにお話を伺ったことがありますが、冒頭、こうおっしゃっていました。

「特別なことはしていません。
誰でもできる、当たり前のことをしているんですが…」

田切さんは、お客さまと会っても保険の話は一切しません。たとえば運送業の経営者と出会うと、こんな話をします。

「運送業の労務管理って、時間管理じゃないですよね」

運送会社は、労務管理が後回しになってしまっている会社が多いのです。運転手の仕事は、A地点からB地点に荷物を運ぶこと。労務管理というと「まずはタイムカード」となりがちですが、これでは労務管理はできません。運送会社の経営者はこう答えます。

「そうなんですよ。わかっていますね!」

しかし田切さん自身が解決策を持っているわけではありません。そこで社労士の先生を招いて経営者と共に勉強会を行って課題解決を図ります。

さらに会社は、労務以外にも、会計・法律など様々な問題を抱えています。そのたびに田切さんは司法書士・会計士・弁護士などを招き勉強会を行います。
経営者は自社の懸案課題が解決できて助かりますし、士業の先生も田切さんが顧客を紹介してくれるので助かっています。この時点でも田切さんは保険の話は一切しません。

そのうち経営者と田切社長との間で、こんな会話が始まります。

「田切さんは保険屋さんですよね。当社はこんな保険に入っているんですけど…」
「この状況なら、こっちの保険商品がいいですよ」

田切さんは、その会社の課題や経営状況を熟知しているので、その会社に最適な保険もわかるわけです。しかしこの段階でも保険は勧めません。

「ご担当の保険代理店さんに、商品を変更するようにお願いするといいですよ」

ここでほとんどの経営者はこのように答えます。

「田切さんの会社も、この保険を扱っているんですよね」
「ええ、そうですよ」
「また田切さんに確認するのも手間ですから、…エイプスさんに保険を切り替えます」

生保代理店はどこも同じ保険商品を同じ価格で扱っています。だからこそ自分の課題を充分に理解して、自分に最適な商品を選んで提案してくれる生保代理店の方がいい。
考えてみれば、当たり前のことですよね。

どこも同じ商品を扱う生保代理店だからこそ、お客さまの課題理解が出発点なのです。

 

他業界の事例を紹介しましょう。
講演である県に出張したときのお話です。そこで会った教材販売業のお客様に会いました。

教材販売業の特徴も、生保代理店に似ています。

・商品は、どこも同じ
・顧客は小中学校(お金はそれほどない)
・立地条件はどこも同じ

だからいかに差別化するかがポイントになります。

この会社は、この県で粘土細工教材のシェアが実に90%だそうです。独占ですよね。同業他社も同じ商品を扱えるのに、なぜシェア90%なのでしょうか?

秘密は、粘土工作授業の手引き書を販売していることです。
小中学校の先生方の悩みは、超多忙なことです。課外指導があったりして、翌日の授業の準備がいつも大変です。そのため、慢性的な残業が発生しています。
校長先生の悩みは、「なんとか先生方の残業を減らせないか?」
粘土工作授業の手引き書があれば、授業準備の負担は大きく減らせます。

「事前準備しなくていい?それに決めた!」

ということになるわけです。

 

共通するのは、「お客様が買う理由を作っていること」。

これに尽きます。

その際に重要なのは、ターゲットとするお客様のお悩みです。

 

たとえ同じ商品を扱っていても強い商品力が宿るのは、ターゲットのお客様のお悩みを徹底的に考え抜いた結果なのです。

 

 

 

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新著『「あなた」という商品を高く売る方法』

本日、新著『「あなた」という商品を高く売る方法 -キャリア戦略をマーケティングから考える』を出版します。

 

会社員の方々とお話しすると、こんなことでお悩みの方が多いことを実感します。

「日々の仕事が忙しくて、将来のことを具体的に考えられない」
「同期の彼は昇進して活躍している。正直、あせっている」
「仕事でなかなか芽が出ない。このまま仕事を続けていていいのか、将来が不安だ」

しかし、「では、どのような戦略を考えていますか?」とお伺いすると、答えられない人が多いのも現実です。
自分のキャリア戦略を持っている方は、少ないのです。

ビジネスパーソンは「自分という商品づくり」を考えることが必要です。
ほんの20年前までは会社が自分のキャリアの面倒をみてくれましたが、いまや自分のキャリアを会社任せにできない時代だからです。

ここで役立つのが、マーケティング戦略の考え方です。

商品づくりで必要なのは、「顧客にどれだけ必要とされるか」
キャリアづくりで必要なのも、「他人からどれだけ必要とされるか」

「商品づくり」と「自分のキャリアづくり」の基本は、同じです。
あなたのキャリアは、「あなたという商品」の価値を必要とする人が、高く買ってくれることで決まるのです。だから「あなたという商品」の価値を高める戦略が必要なのです。

 

たとえば、「自分の商品価値を高めるには、戦い続けて勝つことが必要だ」と考える人がいますが、M・E・ポーターの「競争戦略理論」では、これは間違いです。

企業は、完全競争の状況では儲かりません。差別化できず価格勝負にならざるを得ないからです。ライバルがいない完全独占になれば値下げは不要になり、高収益になります。つまり「戦いを避ければ収益性が高まる」のです。

個人も同じです。他と競争している状況は、代替があるということですから、評価も低くなりがち。だから目指すべきは、「ライバルと戦い続ける」状態でなく、「誰もやっていない」状態です。

本書では、『「あなた」という商品を高く売る方法』を、マーケティング戦略をまったく知らない人でもよくわかるように、身近な企業や個人の事例を紹介しながら、わかりやすく10ステップでマーケティング理論で裏付けつつ解説しています。

第1章 「競争しない」ための戦略 (競争戦略論)
第2章 AIに仕事を奪われない方法 (イノベーション)
第3章 「戦わずして勝つ」のが真の戦略 (バリュープロポジション)
第4章 「あなたの強み」を育てる (強みの構造とセレンディピティ)
第5章 リスクを下げて何度も挑戦する (リアルオプション理論)
第6章 没頭すれば一流になれる (内発的動機付けとフロー理論)
第7章 あなたの物語が奇跡を生み出す (センスメイキング理論)
第8章 失敗があなたの武器になる (仮説検証とアダプト思考)
第9章 コンフォートゾーンから脱出せよ (ダイナミックケイパビリティ)
第10章 「自分のため」から「社会のため」 (ソーシャルネットワーク理論と利他的動機付け)

あなたの周りにも、「これは彼しかできない」と誰もが認める人がいるはずです。彼らはじっくりと自分という商品づくりをしてきた人たちです。

あなたも、彼らと同じように、「あなたという商品」の価値を高めることができるのです。

 

「部下に育って欲しい」と願っているマネジャーにも、お勧めです。

 

 

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山の中の温泉旅館で、なぜマグロ料理なのか?

先日お招きいただいたセミナーで、登壇されたある食の専門家の方が、こうおっしゃっていました。

「山奥の温泉旅館で、よくマグロ料理が出ますよね。なんでだと思います?」

確かに海から数百Kmも遠く離れた山奥の温泉旅館で、マグロや魚介類の豪華な刺身料理が出ることは少なくありませんよね。私は最初、その理由がよくわかりませんでした。

その方は続けてこうおっしゃいました。

「マグロ料理は、その土地の人にとってはご馳走なんですよ」

昔から日本の山間部では、タンパク質不足が課題でした。海の幸は、その貴重なタンパク源だ、というわけです。

「ただ、いつも魚料理を食べ慣れている都会の人にとっては、温泉旅館で改めてマグロ料理を食べようと思わないですよね」

この話を聞いた時、自分たちが『これはいい』と思うものを勧めても、お客さんはそう思っていないという、製品中心の「プロダクトアウト」そのものだと思いました。

ただこの話は、それだけでは終わりません。

セミナー終了後の懇親会で、講師の方と、旅行業の方の3人で、お話ししました。旅行業の方がこうおっしゃいました。

「実はね。もともと温泉旅館の客の半分は、地元の人だったんですよ。だからマグロ料理は、地元客にとっては、やはりご馳走なんです」

マグロ料理を出すのは、必然性があったのですね。

「ただ、今は都会客がどんどん増えている。そもそもお客さんがどこから来ているか、わかるのですから、地元客にはマグロ料理を、都会の客には地元の山菜料理を、というように、お客さん毎にわけて出せばいいんですよね」

実は地元の人が当たり前に食べている郷土料理は、その地域の外にいる人たちにとって、とても価値が高いものであることがよくあります。

たとえば、富士宮市はかつて観光客はほとんど来ませんでした。しかし今や、富士宮市名物のヤキソバを食べに、年間70万人が訪れるようになりました。このヤキソバは、富士宮市の人たちが普通に食べていたもの。「これを広げて町おこししよう」と考えた人たちが中心になって、活動した結果です。

 

お客さんが「価値がある」と思うものは、意外と自分たちの身近にあることを、再確認したセミナーでした。

 

 

 

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女性5名が、プロレス男5名に綱引きで圧勝した理由

15年ほど前に、テレビ番組で見た光景です。
綱引きの女性チャンピオンチーム5名が、男性プロレスラー5名と勝負しました。

綱引きは、体重(≒筋肉量)が多い方が圧倒的に有利。
合計体重は、女性308Kg vs. 男性516Kg。男性チームが1.67倍でした。
では、結果は?

女性チームの圧勝でした。
男性チームたちは悔しさのあまり、再戦を申し出ました。

半年後のリベンジマッチ。
男性チームには、元大関・小錦も参加しました。
そして、結果は?

またも女性チームの圧勝でした。

こちらに、その番組の様子が掲載されています。

 

なぜこんな結果になったのでしょうか?

男性チームの平均体重は103Kg。しかし一人一人が力任せに綱を引いていました。
一方の女性チームは一瞬のズレもなく、同じタイミングで綱を引いていました。

全体で見ると、女性 308Kg vs. 男性516Kgで、女性の方がはるかに非力。
しかしタイミングが合った瞬間は、女性308Kg(5人分) vs. 男性103Kg(一人分)で、女性の方がはるかに強力。

つまり、5名の力を合わせるタイミングがピッタリだったから、女性チームは圧勝したのです。

 

「会社でのチームの仕事もまったく同じだな」と思いました。

仕事力が抜群に高いスーパービジネスマンを集めているのに、業績低迷から抜け出せない会社は、決して少なくありません。

一人一人は決してスーパービジネスマンではなくても、全員が同じ方向に向かって力を合わせるようにすることが重要です。

たとえば、

・会社の強みは何か?
・会社として、その強みを活かして価値を提供すべきターゲットのお客様は、誰か?
・その人が抱えているニーズに、いかに応えるか?

これらを一人一人がハラ落ちするまでしっかりと考えて整理し、「お客様が買う理由」を作る。
そしてその方向に向かって、一人一人が全力を尽くす。

女性チームが、タイミングをピッタリと合わせて屈強なプロレス軍団たちに圧勝したように、会社も、明確な方向に向かって社員各自が全力を出すことで、大きな力を生み出すのです。

 

 

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過激な女性雑誌「美ST」から学べること

「美ST」という女性雑誌をご存じでしょうか?「びすと」と読みます。40代女性向けの美容雑誌です。

2017年8月号の表紙は、「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」の表紙にもなっていただいた広末涼子さん。なんだか嬉しいですね。

私はdマガジンという雑誌読み放題サービスに入っているので、時間を見つけてこの雑誌を眺めることがあります。

50代男性の私が、この40代女性向けの美容雑誌を理由は、なんといっても過激で面白いからです。

とにかく言葉がキレています。

■ヒジのシワシワびろびろ
■頰にY字!ムンクジワ
■グレーやカーキ、煮しめ色の服を着ただけで5歳老け

40代女性のモデルさんの証拠写真とともに、恐怖で強烈な言葉のオンパレード。「ヲイヲイ、ここまで言うと、読者の40代女性から反感を買うんじゃないの?」とこちらがハラハラするほどです。

しかしこの本が人気なのです。
おそらく読んでいる女性の内面の言葉は、こんな感じなのでしょう。

(え〜?そういえば私、頰にムンクジワあるかも…。どうしよう〜?)
(げげ。ヒジのシワシワびろびろ。キャー、あるじゃん!気がつかなかった…。)
(あのお気に入りの服、5歳も老けちゃうの〜?ショック…)

それまでまったく気にもしなかった自分のリアルな美容問題が、過激な言葉とそのものズバリの証拠写真ともに、頭に焼き付き、気になってどんどん読んでしまうのです。

実際に美容業界でも「最先端のことが書かれている」と人気で、意識高い系の女性たちに人気だとか。

まさに「お客様の気がつかない課題」を、インパクトある言葉と写真でえぐり出しているのですね。
まず、問題点を認識していないお客様に、問題点を認識していただく。
そして、その問題点の解決策を提示する。

「美ST」から、まさに「お客様が買う理由」の作り方を学ばせていただきました。

 

 

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かね善様合同研修会で、講演しました

昨日2017年7月12日、総合食品商社のかね善様大阪本社で行われた合同研修会で、『お客様が買う理由を、いかに作るか?「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題して講演いたしました。

かね善様のお取引先である食品メーカー様を中心に150名の方々がお集まりになりました。

食品メーカー様の事例を加えて90分の講演を行った後、30分の質疑応答を行いました。

質疑応答では、

・自社ならではの強みをいかに把握するか?
・最終消費者のニーズをいかにサキドリするか?
・新規事業をいかに立ち上げるか?
・お客様からの意見をどのように解釈すべきか?

という点を中心に、最前線で仕事をしておられる方々からご質問をいただき、お答えいたしました。

 

参加された皆様からのご感想です。

■本当の強みが何か、最終ユーザーが必要としているのは何か、阿智村の「星空エンターテイメント」の成功事例、スタートから今に至るまでの実例を挙げての解説がすごく参考になりました。「危機意識→行動→志」、少人数でお金がかけられなくても進めていけることを改めて気づかせていただきました。ありがとうございました。

■新しく事業や取り組みを行う際に、少人数から、小さな組織から初めていく。新規の施策を企画するには、時間もかかります。ムダも省けるので、早速のこの方法を行ってみようと思っております。

■専門用語を使用せず、それぞれのストーリーを繋げて話して下さる永井様の講演は、イメージがつきやすく、実際に自社にも置き換えて考えることができ、とても勉強になりました。今回得た知識を活用し、新たな商品開発に繋げたいと思います。本当にありがとうございました。

■色々と考えさせられる講演でした。ぶれないビジョン、志、それに伴う仮説検証の積み重ねが大事にもかかわらず、逆に出来ていないのが現状です。モチベーションも含め、今後の仕事のあり方を見直す良い機会になりました。

■一度会社で始めたものを止められないことや、少人数で始めた方がよいなど、共感することや、参考になる実績、例を話していただき、とても参考になりました。また危機意識や自分の志を大切に、商品開発に取り組んでいこうとモチベーションも上がりました。

■現実から自社の強み、その強みを活かせるお客様を探す。この流れが、とても考えさせられました。自分が見えているつもりだけで、周りにはまだ気づいていないチャンスがあると考えれば、楽しくなります。

■実例を交えながらの説明、解説、強みを見いだすプロセス、すごく勉強になりました。実際にどう活かしていけるかよく考えたいと思います。永井さんの本を読んでみようと思います。

■目からウロコでした。まず自分の強みから考えるというのに驚きました。いままで商品づくりをしていて、その強みを考えるというのが思い浮かばなかったからです。

■顧客ニーズ起点で考えがちになる部分で、自分の強み起点とすべきだという考え方は、とても参考になりました。食品メーカーとしては、問屋とのやりとりのみになるため、良い商品、価値の高い商品でも、問屋としては少しでも安く…、という要望になりがちで、厳しい部分です。

■新商品を開発する際、どうしても既存のニーズを意識してしまいがちで、自社の強みを活かし、ニーズサキドリが出来ていないことを再認識できました。内容はわかりやすく、大変参考になりました。

■業務的に、ドラッグストアに届く前に卸を通過するため、ユーザーの声が聞こえずらい。参考になったので、書籍を求めて、もう一度勉強したい。

■VRIOなど今後の改善を行っていく上でヒントになる考え方を得られ、満足です。

■実際の成功事例を踏まえ、わかりやすい内容でした。今後、自社において必要とすべきことが見えたように思います。

■自分たちの強みを一度社内で共有する必要があると感じました。なので学びを活かすように致します。ありがとうございました。

■ビジョンの大切さを改めて気づけた。また、理念、ビジョンを中心に、本当の強みを活かした新しいビジネスモデル手順を学べた。

■具体的な事例が多く、理解しやすかったです。VRIOなども活用し、今後の商品開発に活かそうと思います。ありがとうございました。

■当社工場部門へ、本日の話を伝えたく思います。

 

実は大阪は日本の問屋発祥の地です。このような場所で講演をする機会をいただき、本当に有り難く思います。

なぜ「炎上マーケティング」ではブランドを作れないのか?

「炎上マーケティング」が話題になっています。

最近もマーケティング業界で一目置かれるある大企業が、出張先の飲み屋での異性との出会いを男性目線で描いた動画を公開し、早速ネットで炎上、動画はすぐに差し替えられました。

ネットでは「不愉快」「気持ち悪い」という声が多くある一方、一部の男性からは「何が問題なの?」という声もあります。

「なぜわざわざお金をかけて不愉快なものを作り、炎上させるのか?」と思ってしまいますが、これは炎上させることで話題性を高め、商品認知度を一気に上げようという作戦です。こういうのを「バズらせる」と言ったりします。

 

ネットではネガティブなモノが口コミで一気に広がる傾向があります。

BuzzFeedの記事『サントリーのビールCM炎上の舞台裏 電通社員「炎上を狙うことがある」』によると、広告代理店からの提案で、炎上狙いで、あえて仕掛けることもあるようです。

「私たちの使命は、商品の認知を上げること」と考えている広告代理店の担当者にとっては、「お金をかけてプロモーションしたのに、誰もが無関心」という状況は、何としても避けたいところ。そこであえて炎上を仕掛け、一気に商品認知度をあげようとする。炎上させることで「認知度を上げる」という目的は達成できるというわけです。

広告代理店に限りません。「炎上でバズらせて、一気に認知度を高めましょう」と提案するコンサルタントも少なくありません。

これは本当に効果的なのでしょうか?

 

私はマーケティング的に見て、これは大きな問題だと考えています。

炎上させることで商品を認知するのは、主に不愉快になった人です。そういう人たちをいくら大量生産しても、価値を生み出しません。むしろブランドを大きく毀損します。場合によってはその商品ブランドだけでなく、炎上マーケティングを仕掛けている企業ブランドもダメージを受けます。

私は「ブランドとは鍾乳洞だ」と考えています。石灰水を含む1滴の地下水が長年積み重なって、あの巨大な鍾乳洞が出来上がります。

ブランドも同じです。「一滴の石灰水」が「一つの顧客満足」。ですからブランド価値を上げる方法は、石灰水を一滴ずつ滴らせるように、顧客満足を積み重ねることしかありません。

ブランド価値を高めるのは、本来地道な作業の積み重ねです。

 

現代の消費者は賢明です。
「炎上マーケティングでバズらせる」と考えて、不愉快な人たちを大量生産しても、ブランドを作ることはできません。

確かに認知度調査をすると、一時的には「その商品知っている」という人は増えるでしょう。一時的に商品は売れるかもしれません。

しかし「炎上マーケティング」を仕掛けることで、なによりも大切なブランドも焼失してしまうのです。

 

 

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「顧客囲い込み戦略」は、賞味期限が切れている

多くの企業が、いかにお客様を囲い込むかを考えてきました。

しかし「顧客囲い込み戦略は、既に賞味期限が切れつつある」というのが、私の実感です。

 

 

たとえば航空会社や家電量販店のポイントプログラムは、登場当初はライバルを大きく差別化し、顧客囲い込みに絶大な威力を発揮しました。

しかし「ポイントプログラムは儲かる」とわかったライバルも次々と参入してきました。その結果、お客様の選択肢は増えていきました。実際に私も、ビックカメラ、ヨドバシカメラなど、様々な量販店のポイントカードを持っていて、その都度使い分けています。

こうなると、ポイントプログラムによる差別化は難しくなってきます。そこで一部の企業は、より高いポイントを付けることで差別化を図ろうとしています。これは値引き合戦そのもので、体力を消耗させていきます。

また研究によると、ポイントプログラムで実際に「ご贔屓」になる顧客は、意外と少ないこともわかり始めています。一方でポイントプログラムで溜まるポイントはいつかは商品購入で使われるわけで、企業にとってお客様に対する負債(=借金)です。この負債額は、ポイントプログラムで成功している企業ほど膨大な金額にのぼっています。

このために、ポイントプログラムそのものを見直す企業も出始めています。

 

同様に多くの業界で、顧客囲い込みのビジネスモデルの賞味期限が切れつつあります。

銀行のATMは、1台で車が買えるほど高価なもの。しかし多くの銀行は、自社ATMを何百台・何千台も展開してきました。預金者囲い込みのためです。自社ATM大量展開で預金者を集め、預金を獲得することが、銀行の勝ちパターンだったのです。しかしマイナス金利の影響で、今や銀行は集めた預金が収益を生めなくなり、苦しんでいます。

新生銀行は当初自社ATMを380台展開していましたが、セブン銀行と提携してATM運用を委託するようになり、ついに先日、本店の自社ATMも撤去しゼロにしました。新生銀行のATM使用料はタダですが、セブン銀行への委託手数料を払っても、自社で持つよりもコストが安くなるそうです。

かつては銀行の勝ちパターンだった「自社ATMで預金者を囲い込み、預金を集めて、収益を生み出す」というビジネスモデルも、既に賞味期限が切れているのです。

 

いまのお客様には色々な選択肢を持ち、それらを自由に選ぶことができます。そんな移り気なお客様を仕組みで囲い込もうとすること自体に、ちょっと無理がありそうです。

こちらが「仕組みで顧客を囲い込もう」と思っても、お客様は「でも、私は自由でいたいし…」と思っているのです。

そもそもあらゆるものに、賞味期限があります。かつては脚光を浴びていた顧客囲い込み戦略も、既に賞味期限が切れつつある、ということなのでしょう。

必要なことは、仕組みでお客様を囲い込んでつなぎ止めるのではなく、お客様の方が常に「ぜひここにしたい」と思っていただけるように、日々魅力的であり続けること。

常にお客様にとっての価値を高め続け、新たな「お客様が買う理由」を創り続けることが必要なのです。

 

 

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ミスター・ビーンに、仮説検証のあるべき姿があった

「仮説検証」という言葉はかなり広まってきましたが、一方でこんな質問も少なくありません。

「仮説検証の大切さは、よく理解しています。でもどのように検証すればいいのでしょうか?」

こんな時、「では、どんな仮説を持っておられますか?」と伺うとこんなお答えが多いのです。

「これだけ売れればいいな、というのはありますけど」

売上目標は願望であり、仮説ではありません。

本来の仮説とは、目標を実現する上で想定される状況と、その状況毎の対応策をセットにしたものです。そして結果を検証したら、予め考えておいた対応策を即座に実施することが必要です。現代のビジネスは時間勝負。このように仮説検証を回すことでビジネスのスピードが上がるのです。

でも、これだけだとちょっとわかりにくいですよね。

 

先日、コメディ映画「ミスター・ビーン」を見ていて、「これぞ、まさに仮説検証のあるべき姿!」という場面がありました。ちなみに見たのはこの映画です。

英国から米国に出張するビーンを、米国のホストが自宅に泊めることになりました。

ホストの自宅に到着したビーンは、どう見ても挙動不審人物。その様子をニコニコと笑顔で見ていた奥さんは、ホストである夫に「ちょっとあなた、キッチンでお話しがあるの」と呼び出し、強い口調でこのように言います。

「はっきり言って、不気味な火星人の方が彼よりもずっとマシよ。彼が家にいるのなんて、ゼッタイ反対。ホテルに泊まってもらってね」

「わ、わかった。そうする」

ホストの彼はその場で約束しますが、その後、仕事先に彼を連れて行くとトラブル続き。ホテル探しする時間もなく、ビーンを連れて帰宅します。

早速、妻がたずねます。

「あなた、ビーンさんは?」

「いや、実は時間がなくて、ホテルが探せなくって……」

ここで奥さんは、息子と娘に大声でこのように言います。

「プランBよ!」

3人は即座にまとめておいた荷物を持って家を出て、奥さんの実家に向かいました。

奥さんは、見事に仮説検証を実践していることがわかります。

1.事前に仮説を立てておく。
仮説A「夫は、ビーンをホテルに泊める」
仮説B「夫は、ビーンを連れて帰ってくる」

2.それぞれの仮説に対して、対応策を考える。
プランA「ビーンはホテルへ→普段の生活に戻るので、一安心」
プランB「ビーンが帰ってくる→実家に帰る(荷物をまとめておく)」

3.予め1と2を関係者(子供達、実家の両親)に周知徹底しておく。

4. 結果を検証し、即座にプランA・プランBのいずれを発動するのかを決定し、実行する
「夫はビーンを連れて帰ってきた→プランB発動」

 

このように考えると、仮説検証が回すポイントがわかります。

・まず、具体的な仮説を立てること
・それぞれの仮説に対して、具体的な対応策(プランA、プランB、…)を考えておくこと
・予め関係者に周知徹底すること
・プランを即座に発動できるように準備しておくこと
・そして結果がわかったら、躊躇なくプランを実行すること

予め策定しておいたプランと、即座の実行が伴ってこそ、はじめての仮説検証なのです。

 

 

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家電量販店と書店を合体させたら、素敵な店になった

「家電量販店」と「書店」というと、どんなイメージを持たれるでしょうか?

「ギラギラ、ピカピカ。派手な音楽を鳴らし、明るい店内に家電やパソコンがズラッとあって、元気いい店員がいる」

とか、

「本は好きなんだけど…。どの書店も同じ本しか置いていないよね」

といった感想を持っておられる方は多いと思います。

「家電量販店も書店も、価格勝負で厳しい業界だよね」という印象をお持ちの方も多いでしょう。

 

先日、広島に出張した際に、この家電量販店と書店を組み合わせた店がありました。素晴らしい店でした。

店の名前で、ピンと来る方も多いかも知れません。

「Edion 蔦屋家電」

「家電量販店はギラギラ、ピカピカ。派手な音楽」「書店はどこも同じ」というイメージとはまったく違う異質の空間でした。

ゆったりとした店内。
やや暗めで落ち着く照明。
静かな空間。
心地よい空気感。
こだわりぬいた品のよい商品セレクション。

店内には、色々な店が入っています。基本は書店と家電ですが、文具、アウトドア用品、こだわりグッズ、靴の修理コーナー、さらに高級食材店もあります。カフェもスタバ以外に数店舗入っていました。

店内を見ているだけで楽しめますし、どこか癒やされる感じがします。

お客さんも、ソファーでくつろいだり、ゆっくり商品を見ていたりして、みなゆったりと過ごしています。

私は出張した日の夜にこの店を見つけ、翌日の午前中に2時間ほど時間が空いたので、この店内で過ごしました。気がつくと色々なものを買ったり、カフェで注文したり、ランチを食べて、意外とお金を使っていました。

実は昨日も、近所にある蔦屋家電で時間を過ごしました。ゆっくり本を見たり、目利きが選んだ商品を見ているのは楽しいものです。

ちなみに蔦屋家電を展開しているTSUYATAは、低迷する書店市場で紀伊國屋書店を抜き、いまや書店売上は日本一で成長を続けています。2016年の書店売上げは、TSUTAYAが1位で1308億円(対前年比+5%)。2位の紀伊國屋1060億円(-2.5%)です。

 

蔦屋家電が実践しているのが、まさに「モノ消費から、コト消費」です。

蔦屋家電が売っている本は、他の書店でも売っている本です。実は本は文化そのものです。「書店に行くと、なぜかワクワクする」と感じる人が多いのも、書店には新しい発見が必ずあるからです。

しかし昔の書店は、本という「モノ」を売っていればよかったのですが、いまは書店以外にもアマゾン・電子書籍といった利便性が高い代替手段があります。いまや消費者にとって、書店は「本に出会える唯一の場」ではなくなったのです。

蔦屋家電は、その「ワクワクする文化との出会いの場」を、家電などの様々な商品と組み合わせて、空間演出することで、ステージアップしているのです。

まずお客さんがそこで心地よく過ごしていただく空間を作る。
そして、その空間に長時間滞在していただく。
過ごした時間の長さに比例して、お客様はお金を使う。

スターバックスが成長したのも、スタバ店舗を家庭・職場とは異なる”3rd Place” (第3の空間)と定義したからです。

蔦屋家電が目指しているのも、同じ方向性なのです。

 

 

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「忖度」が、日本企業を「集団無責任」にする

「忖度」(そんたく)という言葉。最近よく目にしますよね。
広辞苑によると「他人の心中をおしはかること。推察」とあります。
日本人は他人の考えにとても敏感です。これは私たち日本人の「資質」でもあります。

しかし私は、「忖度」は日本企業を滅ぼしかねないと思っています。

実は私たちも知らない間に忖度をして、色々なトラブルを起こしています。他人の問題ではなく、自分たちの問題なのです。

 

私のささやかな経験を2つご紹介します。

ある社会人合唱団で、事務局を担当していました。
合唱団では集合練習が必須です。毎週末、GW期間中もお盆休みも、皆で集まり練習していました。平日の仕事もあり、毎週末の練習は体力的にもきついので、「たまには休みたいなぁ」と思うこともありました。

合唱団は複数のパートで構成され、各パートにリーダーがいます。リーダーの集まりで「GW期間やお盆休みくらいは、休みませんか?」と提案したところ、リーダーの一人であるAさんが、こう言いました。

「困ります。みんな毎週やりたいと言っています」

全員が集まった会議で「毎週やりたいですか?」と挙手をお願いすると、真っ先に手を上げるAさんに続き、ぱらぱらとほぼ全員が手を上げます。

「全員が希望するのなら、毎週やりましょう」と、毎週末の練習を続けていました。

ある日、AさんからBさんにリーダーが変わりました。Bさんから、こう言われたました。

「みんな『たまには休みたいよね』って言ってますよ。Aさんからは、永井さんの方針で毎週やっていると聞きました。検討していただけないでしょうか」

(え?そんなことになっていたのか!)と驚きました。

実は私も含めた全員が、Aさんの「何としても毎週練習したい!」という強い気持ちを忖度していたのです。

 

こんなこともありました。随分前、これも仕事から離れて、写真関係のネット会議室の運営を担当していました。ある日、Cさんというシニアな方から、こう言われました。

「永井さんが会議室に投稿したあの内容、Dさんに対して失礼だ。謝罪しなさい」

(ああ、気遣いが足りなかったな)と思い、お詫びの言葉とともに、改めて投稿したところ、Cさんは再度こう言ってきました。

「永井さんは、まだわかっていない。Dさん、傷ついていますよ」

後日、Dさんと会った際に話してみると、不思議そうにこうおっしゃいました。

「はぁ?ゼンゼン気にしていないんだけど。Cさん、どうしちゃったの?」

 

2つのケースとも、他の人のことを「忖度」(そんたく)しています。
この「忖度」がいい面で出ると、「相手への気遣い」や「思いやり」になります。
しかし「忖度」が悪い面で出ると、相手に振り回されたり、振り回したりして、そもそも何をしたいのかわからなくなることもあります。

仕事でも、社内で「〇〇社長のご意向だ」「××専務のご方針だ」というかけ声でプロジェクトが進むことがよくあります。
しかし実際には社内政治に長けた人が、〇〇社長や××専務に言質を取った上で、〇〇社長や××専務のご威光を使い、Aさんのように自分に利していることも多いのです。

 

先に挙げた2つのケースは、身近でささやかなものです。

一方で最近の日本の組織では、大きな問題が起こり、なかなか解決できないケースが増えてきました。一時期のシャープの経営危機、東芝の問題、福島第一原発の問題…。

どの問題も不思議と共通するのは、「誰が問題の責任者なのかが、よくわからない」という点。組織の中で「忖度」を続け、責任から逃れ続けることで、誰が責任者なのかわからないまま、モノゴトが進んでしまったことも、大きな要因だと思います。

 

「忖度」の問題は、自分が主語になっていないことです。

「私はこう考えている。だからやる」ではなく、
「〇〇さんがこう言っている。だからやる」となっているのです。

 

「〇〇さんがこう言っている。だからやる」というのは、一見、気遣いがある美しい言葉ですが、実は無責任です。もし間違っていても、自分で責任を取らずに済むからです。

「私はこう考えている。だからやる」というのは、一見すると自己中心的で身勝手な言葉ですが、実は責任を伴います。もし間違っていたら、自分の責任が問われます。

「集団責任」という美しい言葉は、容易に「集団責任」になります。
「〇〇さんが言っている。だからやろう」と思っている瞬間に、思考が停止し、他人にコントロールされているのです。

忖度して何も自分で決められないのが、今の日本です。
どこか戦前の日本と似た、危うい感じがします。

まず、あなたは、どうしたいか?
その上で、他の人のことを、どう考えるか?

すべてはそこから始まるのです。

 

 

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徹底した顧客目線が、AIビジネスを成長させる

いま、AIビジネスが爆発的に伸びています。爆発的に成長する海外のAIビジネスに共通するのは、「顧客目線をしっかり持っている」ということです。

たとえば、「次世代のインテル」とも言われているNVIDIA (エヌビディア)。

もともとNVIDIAは、GPU (Graphics Processing Unit)という画像処理専用チップを提供する老舗企業でした。

画像処理では、単純な計算がものすごく大量にあります。NVIDIAのGPUは、この単純で大量な計算を並列で行うことで、通常のCPUよりも数十倍速く完了できるようにしました。おかげで私たちは、パソコンなどで動画を自然に見ることができます。

ある日、NVIDIAのCEOは、社員からこんな報告を受けました。

「大学のAI研究者がGPUを使っています」

実はAIで大量データを学習する「デュープラーニング」という処理も、画像処理と似ています。並列で行える割と単純な計算が、ものすごく沢山あります。

これを通常のCPUで処理していると、とても時間がかかります。
並列処理に特化したGPUを使えば、数十倍に高速化できます。
たとえば数ヶ月間かかる計算が、数日間で終わるということです。
そこでAI研究者は、GPUをAIの研究に流用していたわけですね。

AIビジネスの成長を感じていたNVIDIAのCEOは「千載一遇のチャンス」と考え、経営資源をAI分野に集中する決定をしました。

早くからAIビジネスに取り組み、AI研究者を取り込んだおかげで、既にNVIDIAは自動運転に取り組む多くの自動車メーカーで採用されるなど、AI分野でデファクトスタンダードの地位を確立しつつあります。

NVIDIAの2016年度売上は69億ドル (7700億円)で、現時点で企業価値は844億ドル(約9兆円)。この出発点は、ユーザーであるAI研究者のニーズだったのです。

 

GoogleもAIビジネスに大きく投資しています。Googleでは、自社データセンターで使用するためにTPU (Tensor Processing Unit)というAI処理に特化したプロセッサーを開発し、実装が始まっています。先週、世界最強棋士に三連勝したGoogleの囲碁AI「AlphaGo (アルファ碁)」も、TPUを使っています。

GoogleがこのTPUを開発したきっかけも、顧客目線でした。
Googleは2011年頃にAI研究を本格的に始めました。
この時、ユーザーが毎日3分音声検索して音声認識のためにAIを使うと、データセンターの規模が2倍になることがわかりました。このままAIを本格的に始めると、膨大な投資が必要です。

そこでAI処理に最適化したプロセッサーが必要になったのです。
TPU開発も、Google自身がAIのユーザーであり、顧客目線を持っていたからこそ、生まれたものでした。

 

AIビジネスが爆発的に成長する米国では、ユーザーと開発が非常に近い関係にあります。

日本でも、自動運転に取り組む自動車産業のように、ユーザー目線でAIビジネスに取り組む業界も出てきています。

 

しかしながら、一方で、

「AIが流行っているらしい。何しようか?」
「AIと名前が付けば何でもいいから、ウチの商品で何かやってくれ」

という取り組みが少なくないのも、現実です。

 

ユーザーのニーズがビジネスを生むのは、あらゆるビジネスで共通です。テクノロジー産業も例外ではありません。

テクノロジーへの洞察力を持った経営陣が、徹底したユーザー目線を持ち、テクノロジーの将来像を描き、必要なテクノロジーのあり方を見据えることで、テクノロジー産業は進化してきました。

日本企業でも、かつての松下電器やソニー、そして今のソフトバンクも、そうやって成長してきました。

先進的なテクノロジー産業だからこそ、しっかりした技術の理解とビジョン、そして徹底した顧客目線か大切なのです。

 

 

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東京マラソン挑戦を止めたのは「目的と目標の矛盾」だった

とても熱心にジョギングを続けている友人がいました。
彼は「東京マラソンで4時間を切る」と公言し、毎月200Kmのノルマを1年間継続していました。

その彼が急に、「マラソン挑戦は止めた」と言い始めました。体調が悪くなったのかと心配しましたが、いたって健康です。相変わらずジョギングも続けていますが、ホドホドに留めているようです。そんな彼と話す機会がありました。

「『4時間切る』と言っていたのに、なんでまた?」
「きっかけがあってさ。目標を変えたんだよ」

彼が見せてくれたのが、ある雑誌記事。こんなことが書いていました。

・マラソンでは、「長い距離を走ると自信に繋がる」と、体調不良でも頑張り勝ちだ
・しかし「あと少し」と頑張りすぎて心臓に負担がかかり、マラソン大会で死亡するケースもある
・米国の研究で1週間48Km以上走る人は、それ以下しか走らない人と比べ、心臓病のリスクが上がる
・ジョギングは生活習慣病改善にはよい。しかし中高年になって始めたマラソンには、リスクもある

「確かに200Km走るようになって肌の張りがなくなってきたんだよね。距離を半分にしたら元に戻った。『過ぎたるは及ばざるがごとし』っていうし、何ごともやり過ぎずホドホドがいいのかもしれない。余裕でフルマラソンを走れる人はいいんだろうけど、自分にはちょっとムリな目標だったんだろうね」

毎年申し込んでいた東京マラソンもやめて、マイペースでジョギングをする日々だそうです。

 

話を聞いて、なるほどと思いました。

彼は『東京マラソン4時間完走』を目標にジョギングを続けていました。
しかしそもそも彼がジョギングを始めた目的は、『年齢を重ねても、現役で仕事を続ける体力をつけること』でした。
彼の場合はこの目的と「フルマラソン4時間完走」という目標は、実は矛盾していたことに気がついたということですね。

一方で東京マラソンに向けて熱心に挑戦を続けている友人たちもいます。人はそれぞれです。彼らは彼らの目的と目標があるわけで、応援したいと思います。

その目的は、正しいか?
その目標は、その目的を実現するために、正しいか?

友人の話を聞いて、これはビジネスでも常に考えなければいけない、と改めて思いました。

 

 

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客がほとんど来ない寂れた薬局が、なぜ儲かる?

先日、健康診断をした病院で、「念のため」と薬をいただいた時のこと。

病院で処方箋をいただき、地図を頼りにその薬局に向かいました。

道を歩いていたら、その薬局の看板がありましたが、そこは普通のマンション。指示通りマンション1階のロビーを通過すると、そこはなんとマンションの庭。その庭に薬局の入口がありました。

普通なら数名いる薬剤師も、ここは初老の男性1人だけ。店に入るとラジオが流れています。

この薬局は、普通の調剤薬局と比べると面積は1/5程度。とても狭い店内です。
普通の薬局には栄養ドリンクだけで10種類以上あったりしますが、ここは湿布が一種類、栄養ドリンクも見当たらず、置いている薬も数えるほど。
普通の薬局で壁一面にある広告もありません。
薬局によくあるIT機器もありません。

とても寂れています。
普通の調剤薬局なら薬剤師数名が忙しそうに働いているものですが、この薬局で一人だけいる薬剤師はノンビリとラジオを聴いているし、失礼ながら、商売のやる気がほとんど感じられません。
この薬局、儲かっているのでしょうか?

 

しかし近所の方に話しを伺って、驚きました。この薬局は、既に20年くらい営業しており、店の様子も最初の頃からほとんど変わっていないそうです。

「なんで続いているんだろう」

そこで考えました。

「この薬局、もしかしたら、意外と儲かっているのではないだろうか?」

 

まずこの薬局には一見客は来ません。入りにくい感じからすると、むしろ排除しているようにすら感じます。

実は私は、病院で処方箋をいただいた時に、「この薬はこちらの薬局しかありませんから」と言われてこの薬局にやってきました。

つまりこの薬局は、近所の病院で処方箋を出された患者さんだけを相手にしていて、その病院で必要な薬だけを用意しています。種類は絞られますし、量も限られるので、薬の在庫は最低限で間に合います。一見の一般消費者を排除しているので、湿布も最低限の1種類だけ。来店した時点で買う薬が決まっているので、店内の広告も不要です。

意外なことに、この薬局では薬がすぐに出てきます。一般の調剤薬局では薬が出てくるまで待たされることが多いことを考えると、大きな違いです。この薬局では、限られた薬剤の在庫情報は、恐らくこの初老の薬剤師さんの頭の中にすべて入っているのでしょう。だからすぐに用意できるし、待たせません。

つまりこの薬局は、一般消費者は完全に切り捨てた上で、近くの病院の患者さんだけを固定客として掴まえているのです。

仮にこの薬局と一般の調剤薬局のコストが面積比に比例していると考えると、この薬局のコストは通常の調剤薬局の1/5程度。

だからこの規模で経営できるのです。

 

もしこの薬局が一般消費者を切り捨てずに、対応しようとすると、どうなるでしょうか?

まず薬剤の品揃えを増やす必要があります。そのためには店舗を大きくし、薬剤師も増員する必要があります。

薬剤師を増やすには、薬剤師のスキルレベルは様々なので、まず薬剤の在庫情報をITで管理して、薬剤の効能もわかるようにして、病院の指示書に従って調剤し、ITで薬の情報を検索して精算できるようにする必要もあるでしょう。

在庫費用、店の賃料、人件費、IT化投資、あらゆる費用が大幅アップです。この費用に見合った売上が必要です。

売上拡大を目指してお客さんを一般消費者に広げた途端に、経営は変わり、普通の薬局と競争しなければならなくなります。

 

ノンビリとラジオを聴いているこの寂れた薬局の初老の薬剤師は、実はかなりしたたかな戦略家なのではないかと思いました。

 

 

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会社員時代、ほとんど残業しなかった理由

私は日本IBMに勤務していた会社員時代、40代前半までは「いやぁ、ゆうべは夜12時過ぎまで会社で仕事をしていてさぁ…」というような、典型的な残業自慢をするタイプでした。

しかし40代後半になって大きく変わり、残業ゼロになりました。

当時の私は仕事も責任範囲も増える一方でしたが、残業ゼロで乗り切れた理由は、早朝に行う仕事が、疲れた頭で夜に残業するのと比べると、6倍の生産性だったことがわかったからです。朝シフトを始めた40代中頃以降、仕事の生産性は大きく向上しました。

こんな私の体験を耳にされた中経出版さんとのご縁で、6年前に「残業3時間を朝30分で片づける仕事術」という本を書きました。

「100円のコーラを1000円で売る方法」を出版する半年前のことでした。

 

当時は5:00AM起床。家を5:50AMに出て、毎朝7:00に出社していました。殺人的に混雑している満員電車は避け、電車にゆっくり座りたいために早朝出社していたのですが、実は朝の仕事の効率はとてもよかったのです。

 

 

その後、2013年7月に日本IBMを退職して独立。会社への電車通勤はなくなりましたが、相変わらず私は早朝から仕事をしています。

仕事内容は会社員時代とはだいぶ変わりました。会社員時代は、事業戦略や人材育成戦略の策定、チームによる戦略の実践と進捗管理、さらにマネージャーとしてチームのマネジメントが主な仕事でした。独立後は、文章を書いたり、講演準備と講演、さらに自分の会社のマネジメントが主な仕事になりました。アイデアを出す比率は、独立後の方がやや増えている感じです。

このアイデアを出す仕事は、まさに生産性が6倍の早朝から昼にかけて行うのが最適なのです。

 

世の中は、6年前に本書を出した頃からだいぶ変わりました。
6年前は、残業削減に取り組む企業は、トリンプや無印良品など、数える程でした。「仕事は時間をかけて行うものだ」という考え方が世の常識で、「私、残業しない主義です」というと「ちょっと変わったヤツだな」という感じで見られました。

しかし今や政府主導で進めている「働き方改革」では、長時間労働是正に大きな焦点が当たっています。伊藤忠、SCSK、日本電産など、全社をあげて本格的に残業削減に取り組む企業も増えてきました。残業しないことは世の中で評価されつつあるように感じます。

日本人は過労死が社会問題になるほど働いているのに、世界全体で見ると、労働生産性はOECD加盟諸国35ヶ国中22番目です。この数十年間、ずっと下位に甘んじています。少子高齢化で働き手が減っていく日本では、「仕事は時間をかけて行うもの」という常識を乗り越え、残業ゼロを実現して生産性向上を図ることが急務です。

 

残業ゼロを実現し、ビジネスパーソンの生産性向上を実現する朝シフトは、ますます世の中で求められてきているように感じています。

 

 

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シェアは狙うな。スウィートスポットを狙え

「御社のお客様は、誰ですか?」とお伺いすると、こんな答えをいただくことがあります。

「世の中の人、全てですよ」
「当社の商品を買う人が、お客様です」
「うっ。…考えたこともありません…」

このパターンで本当に売れるでしょうか?いくつか事例を見ていきたいと思います。

■セグウェイ

2001年、鳴り物入りで登場しました。立ったまま自由に移動できる画期的な乗り物です。スティーブ・ジョブス、ジェフ・ペゾス、ビル・ゲイツといった錚々たる経営者がこぞって「人間の移動形態を変える革命的な製品だ!」と賞賛しました。

ターゲットは「世界中のすべての歩行者」。
米国で100万人に販売した後に、世界進出も予定されていました。

結果は? 3年間の販売は、6000台でした。

価格は60万円。この価格帯の商品を購入できる裕福な米国人は、健康維持のためにむしろ日々のウォーキングやジョギングを重視していたのです。

 

■コダック フォトCD

1990年、コダックがフォトCDというサービスを始めました。

ターゲットは、一般消費者。
デジタル写真時代を先取りし、写真フィルムから高解像度の画像データを読み取り、CDで提供してくれます。画像をテレビで見ることもできます。

かく言う私も、当時、自分の写真作品をフォトCDにしてもらいましたが、25年後の現代でも通用するような素晴らしい高解像度データで、とても驚いたことをよく憶えています。

結果は? 普及しませんでした。

当時の一般消費者にとっては、あまりにも高解像度だったのです。むしろプロフェッショナルな写真家に受け容れられました。さらに当時は、前提となるCD-ROMドライブはまだまだ高価。加えて、当初は高価だったスキャナーが急速に低価格化し、フォトCDを代替していったのです。

 

■身近でありがちな事例

同じような話は身近にもあります。
私は様々な企業から、「この商品企画書に意見を下さい」と言われて拝見する機会がよくあります。

多くの場合、商品仕様については子細に書かれています。商品企画書なので、これはこれで大切なことです。
一方で顧客に関しては、「市場規模は〇〇〇億円。このうちシェア5%を獲得して、売上〇〇億円を目指します」としか書かれていないことがとても多いのです。

このパターンは、セグウェイやフォトCD同様、顧客ニーズが把握できておらず、多くの場合、売れずに失敗します。。

 

共通するのは市場を大きく捉え、「大きい市場から、シェアxx%を獲得しよう」と考えていること。

しかしこの方法ではニーズを絞り込めていないので、ごく一部の人たちがたまたま買うだけで終わることも多いのです。

 

本来必要なのは、潜在的なニーズを捉えること。事例をご紹介します。

■ある樹脂メーカーの事例

この樹脂メーカーの取引先は、塗料メーカーでした。そこで「環境に優しい塗料なら売れるはず」と考えて、環境性能が高い樹脂で塗料を発売しましたが、売れませんでした。

そこでこの樹脂メーカーは、塗料の最終ユーザーである塗装業者の実態調査をしました。

わかったことがありました。塗装業者のコストのほとんどが人件費であり、塗料はコスト全体のうちわずか15%だったのです。そこで「人件費を削減できる塗料を提供すれば、売れるはず」と考えました。

そこで、速乾燥で1日で二度塗りでき、かつ環境にも優しい塗料を発売したところ、価格が1.4倍なのにも関わらず、飛ぶように売れました。

塗装業者にとって、より短い時間で塗装が完了する塗料は、まさに「喜んで買いたい商品」だったのです。

 

市場の中で、「買うかもしれない」潜在的ニーズを持っている人は、一部の人たちです。

そこでそのような人たちを絞り込み、「お客様が買う理由」を提供し、「喜んで買うお客様」に変えていくことが必要なのです。

 

テニスやバトミントンのラケットは、一見広く見えますが、実際には反発力が高い部分は中心のごく一部です。ここを「スウィートスポット」と呼びます。

新商品を立ち上げる際にも必要なのも、広さを狙った「規模」ではなく、確実に買う「お客様」

狙うべきは、「シェア」ではありません。
狙うべきは、「スウィートスポット」なのです。

 

 

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